資 料 紹 介
中 国 の 女 性 神 と そ の 芸 能
漸 江 省 説 唱 芸 能 鼓 詞 ﹃ 陳 十 四 夫 人 伝 ﹄
廣 田 律 子
中 国 の 女性 神 とそ の芸 能
ここでは︑中国南部の漸江省で種々な芸能形態をとって唱われている陳靖姑という名の女神の伝説を取り上げたい︒
陳靖姑は︑臨水陳夫人.陳十四夫人・順天聖母などとも称され︑婦人や子供の守護神とされる︒その信仰は︑福建省
北部から漸江省南部︑そして︑その地域の人々が移住した台湾やシンガポールに分布する︒陳靖姑の伝説が語られる
所には廟が必ず祀られているといってよい︒かつてこの廟を中心に︑女性達は講のような組織を作り︑擬制的な姉妹
関係を結び︑食事をともにするなどしていた︒陳靖姑の伝説は︑古くは元代の張允明の﹃巻憶妙計﹄の記述に始まり︑
以後の地方志や随筆などに散見することができる︒とくに清代中庸に里人何求が福建省の福州を中心とした民俗・伝
承などを記した﹃閲都別記﹄にある陳夫人の伝説に関する内容はまとまっており︑陳夫人を語る芸能の元本とされる
また︑伝説は七言調や小説に編され今も人々の愛好するところとなっている︒伝説によ
月十四日に福州(福建省)に生まれる︒出生に際し︑母が観音の指から流れた血を飲ん
で方術を学び︑その後︑妖怪を退治し民を救う︒大旱の折︑雨請いを行うが︑この時︑堕
後現れ︑古田県臨水郷の白蛇洞の蛇精を封じ︑その地に廟(臨水宮)が建てられ︑祀ら
り伝えられている陳靖姑の一生と所業を題材にした語り物︑つまり説唱芸能の種類の多
では︑断江省麗水県に鼓詞︑永嘉県には唱南遊︑唱竜船︑福建省の福州には評話を聞く
して演じられるものに漸江省麗水県に人形劇を︑松陽県に高腔と称される劇を見ることが
唱うのであるから︑宗教的な色彩を帯びた芸能とい︑兄︑村や家単位で除災や招福.雨請
祈願する目的で︑芸人に上演を依頼し︑上演に際して神まぎや神送りの簡単な儀礼を伴う
はあくまで宗教者ではない︒
いる資料をあげて紹介してみよう︒
嘉地区一帯に行われる︒この地域では各村ごとに陳靖姑を祀る太陰宮を見出だせるといっ
の太陰宮では︑三年ごとに中秋節前後に七日七晩をかけて︑芸人によって陳靖姑の物語が
の災いを払う目的で村人達の主催で行われる︒費用は合わせると一万元(約十五万円)に
の前には供物のほか︑サツマイモを台に米粉で登場人物が作られて飾られる︒また陳靖姑
描いた紙の張り子が飾られる︒一メートルを超・兄る大きなものから小さなものまで紅いろ
んとも幻想的な空間を演出する︒
られる前に︑祭司を務める道士が陳靖姑に向かって拝礼をし︑演者に向かって拝礼をし︑
中国 の 女性 神 とそ の芸 能
その場を清め︑観音などの神々を招く呪文を唱える︒演者はこれをうけ︑黄色の旗を振りながら︑やはりこの場を清
める文句から始め︑神々の名を呼びながらお越し頂くように唱う︒そして︑健康で︑福多く︑長生きし︑自然に恵ま
れ︑作物が豊かに実り︑子供が授かり︑家畜も増える等々の祝言を唱う︒また︑天上の菩薩や宿星や土地神について
唱った後︑陳靖姑の物語を唱い始める︒語りは七言の講談調で︑板切れを打ち鳴らしたり︑銅鐸や太鼓を伴奏に入れ
る︒陳靖姑の所業を唱うなかで︑ご当地永嘉の地に到る場面になると︑道士の先導で皆で御輿を担ぎだし・甑江の岸
まで行き︑線香をたき︑陳靖姑を迎えて戻る︒また陳靖姑が永嘉で人々に災いをなす蛇を退治する場面では・紙製の
蛇の張り子が剣によってずたずたに破られ︑燃やされる︒物語を唱い終わると︑竹の枠に紙を張って作ったジャンク
に先程の蛇の燃えかすを載せて︑村中を巡って最後に甑江に流す︒蛇はすべての災いを代表させたものと言える・こ
れを自分達の村の領域から永く去らしめようというのである︒
紙で模したジャンクは︑実際に今もこの付近の海で漁船として使われているが︑竹を縦に割ったような横の隔壁構
造を持つ箱型の中国を代表する船である︒船尾に︑額に王の字を記した虎のような顔が描かれる・船首で大きく反り
上がった舷側には︑黒目が描かれている︒これは実際の漁船でも魚のいる場所を見据える意味で︑同様に黒目が付け
られている︒この例は︑村の除災の儀礼が陳靖姑の語りと同時進行で行われる点でとても重要だと言える︒陳靖姑の
妖怪退治を語ることで︑つまり過去の伝承の世界を今に生きかえらせることで︑現在の種々の災いも取り除いてしま
えると考えている︒この基礎にあるのは︑やはり陳靖姑・女神への人々の信仰心以外のなにものでもないだろう・現
に女神の名が物語で唱われるたびにじっと聞き入る老女達は手を合わせているのだ︒
唱竜船は︑陳靖姑の小さな像を︑舷側に竜の鱗を描いた船に載せ︑それに足を付けて立てられるようにした〃竜
船〃を担いで︑村々︑家々を回り︑陳夫人の物語を唱って歩く芸能である︒子供が欲しいとか︑子供が健やかに成長
してほしいとか願いのある家では︑芸人を呼び入れ唱ってもらう︒また︑願いがかなった時も御礼に芸人に唱っても
奉納するので︑竜船の前にいくつも毛玉が掛けられている︒いつまでも陳夫人が子供を
まない信仰の現われである︒芸人は鐘を鳴らしながら︑七言調で念仏のように語り︑ま
決った村々を回って歩く︒遊行する芸人に中国で出会ったのは初めてのことだった︒御
とで︑芸能と信仰とが不可分の関係を保っている例として興味深い︒
の仲介人となるわけでもなく︑宗教者としての性格を帯びているわけではない︒自分の語
に陳夫人の権威の象徴を持って歩いているようにも見える︒いずれにせよ神を語り唱うこ
ことを意味し︑願いをかなえてくれるのだという考︑兄があることは確かである︒
省の福州で人々が陳夫人にお参りする際の唱・兄言を記録することができたが︑まずはじめ
あるか︑その所業を述べ︑それから自分の願いを申し上げるのである︒つまり︑多くの
いを聞いてもらう相手の神の神格を明らかにするための唱え言を︑より筋立てをはっきり
学化したものが語り物だと言えるのではないだろうか︒語り物は︑永く芸人の師から弟子
させながら伝えられてきた︒人形劇や地方劇︑そして浪速節のような響きの評話という語
妖怪退治は︑漸江省︑福建省の人々の問で長い間身近に語り伝・兄られ︑より芸能化されて
生まれた地や妖怪退治をした場所︑蛇の閉じ込められた穴︑雨請いをした場所などと伝え
せる︒そこには陳夫人の廟が置かれていることもあり︑銀の髪飾りをつけた美しい女神の
て子供の布靴が置かれている︒これは子供が欲しいと願った人が持って帰り︑子供を授か
めである︒物語に登場する兄弟達の像も側に置かれている︒陳夫人の像が前後に二体置か
れは像を御輿に担ぎだし︑村々を巡って︑豊作を願い︑雨請いをするためであるという︒
中国 の 女性 神 とそ の 芸能
陳夫人は︑婦人や子供の守り神であるぼかりでなく︑この地方の人々の様々な願いをかなえる万能神であると言え
る︒筆者は観音の変化した神格ではないかと考えている︒神を喜ぽせるために︑人々は神のなさったことを語り・そ
れに長ずる芸人がより美しく唱ったり︑演じたりして︑人々も神とともにこれを楽しむのである・
今回︑内容を紹介する鼓詞は︑その名の通り太鼓と︑板切れ数枚をつなぎ合わせ指に挟んで音を出す〃篠"を伴奏にして陳夫人の所業を唱う芸能で︑多くは目の不自由な人々の間で伝承されている︒単調な七言調であたかも経典を
唱.兄るかのように聞︑兄る︒個人個人の家が病気がちの子供の健やかな成長を願ったり︑子授かりを願ったり︑安産を
願ったりする時︑また願いがかなった御礼として芸人を招いて鼓詞を唱ってもらう︒
神々の像を描いた三界図と称する巻き物を掛け︑その前に祭壇をしつらえる︒供物として米︑果物︑豆腐︑茸︑落
花生︑豚の脂身︑鶏︑酒︑茶︑長命発樵(盤形にした小麦粉を蒸し山のように積み上げた上に鳳風︑験麟︑蟹・ざくろ︑桃︑竜などめでたい図柄を施したもの)︑そして赤く塗られた茄卵と乾・坤・日・月・天・地と書いた卵・また米
の斗桶に籾を入れ秤や物差し︑鋏︑鏡︑灯明を置いたものを供える︒これは陳夫人が︑妖怪に食われた者達の骨を計
り︑誰だか判断するのに用いるという︒陳夫人の登場する度に︑助手の婦人が線香をたき︑酒をつぎ︑紙の銭を燃や
す︒依頼人の家の人々だけでなく︑近所の老婦人が子供達を連れて︑祭壇に向かって礼をしにやってくる・赤く塗ら
れた卵は︑子供達に食べさせると賢くなるという︒芸人は一日唱って五︑六十元ほどの現金と供えられていた米を得・
近所の人々とともに御馳走になる︒
生まれつきひよわな子であれぽ︑陳靖姑に子を託し︑陳靖姑の子供にしてもらい︑十数歳になって願もどしをし・
陳靖姑に無事に育ったことへの御礼をして︑また自分達の子とする︒それまでは子供には陳靖姑をお母さんと呼ぽせ
る︒子供が健やかに育てと願い︑子供と婦人の守り神である陳靖姑の所業に耳を傾ける時︑人々はその場に神がおい
でになったことを感じ︑神々と一緒に歌を楽しんでいるようである︒
%
ー 〆
鼓 詞 を 上 演 す る芸 人(手 前)
陳 靖 姑 の 登 場 場 面 で紙 銭 を焼 く助 手 の婦 人(奥)
塾 1
ン
潔 ∴1蜘ゼ ぐ
讐総 ゴ∵ '緯
欝 難
耀 臨議
第 ド 陣「嘆 評Y鼓詞祭壇
中 国 の 女性 神 と そ の芸 能
②
地 と書 かオ 卵
⑱
.,,.
@
③
精神爽朗自康強
㊦ ㊦ ㊥ ⑧ ㊥ ◎ 糖㌔ ⑤ ㊥ ◎ ⑭
夫人画 精通⑧ 法清
㊦ ④ ⑧ ⑤ ㊥ @
㊥ 坤 祖師籠
米
心地光明宣寿
㊦ ㊥ ㊥ % ㊥
㊥ ⑧ ㊥ @ ⑭
③
卵
㊥ ⑤ ㊥ ㊥ ⑭ 墨
西
鼓詞祭壇図
燃襟
㊥
J㊥
⑱
②
寅︑ン昌
者
一托尾二年の調盤の際︑鼓詞の上演を依頼していた嬰阿娼さん(八十二歳)は︑娘の次男黄偉妨氏(三十一歳)の
長男黄変雲君(一歳)の無事成長を感謝してのことだった︒曾孫は生まれながら病気がちであったので︑占い師の算
命先生に尋ねたところ︑孫夫婦の生辰八字を見ると︑まず女の子が誕生するのがよかったが︑男の子が生まれてしま
った︒この子と父親の生辰八字が合わずに︑この子が身体が弱くなっているので︑まず十四夫人(陳靖姑)の子供と
してもらえぽ病は回復すると言われた︒そのことで廟に行き願掛けを行ったところ︑八ヶ月の間に子供は回復した︒
そこで一歳を迎えた黄道吉日に鼓詞の上演を依頼し︑願もどしを行い︑十四夫人に感謝を表わそうとしたといういき
さつであった︒このように陳靖姑は子授かりや子供の成長にかかわる神として信仰されている︒
一九九一年に共同調査を行った際︑鼓詞の演者の黄景農氏が唱い︑麗水文化庁の唐宗竜氏が記録整理した﹃陳十四
夫人伝﹄をテキストとして︑すじがきを簡単にまとめて紹介する︒唐宗竜氏の記録は﹃陳十四伝﹄陳靖姑地方神研究
会資料之二﹃夫人詞﹄日本民俗研究会・上海民俗学会等合編一九九五年に収められている︒
一九九一年の調査時︑演者の黄景農氏は︑六十一歳︑目が不自由で︑十一歳の時金細宝氏(一九五六年死去)に師
事し︑一年間鼓詞の指導を受けた︒弟子入りの際︑師に対して﹁謝師酒﹂の宴を設け︑また米を謝礼として贈ったと
いうことだ︒
(註)﹃陳十四奇伝﹄葉中鳴漸江文芸出版社など︒
﹃陳十四夫人伝﹄
する︒
﹃陳十四夫人伝﹄ は第一冊六段︑第二冊十四段︑第三冊四段から構成されている︒内容.すじがきを段ごとに略述
第一冊の内容を登場人物・神ごとに以下にまとめる︒
O登場人物を以下に図示する︒
陳元献
葛林順倹
張
金貫外
祝員外
林 法 氏}通(林百花)
法清
王一
﹁ 陳 西
林百花
林聞善=陳十四
金華秀
祝九姑 (靖姑︑神娘)
(益君)
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南広廟の住職 (息子)
(娘)
口観音仏(仏母娘々︑大悲娘々)
①観音の二本の抜髪が下界に落ちて︑蛇公蛇婆になった︒
②蛇妖退治のために︑観音は指の血を赤い雨として降らせた︒観音を信仰する葛氏はその雨を飲んで後︑陳十四を生
んだ︒
③鷹山の師に蛇妖退治の役目を言いつけた︒
④観音に遣わされた竜女は陳十四を助けて︑蜘蛛と蛙の妖怪を追い払った︒
⑤観音は盧山の師に誤って岩石の下にとじ込められた陳十四を救った︒
⑥陳十四は盧山で天地をひっくりかえしたので︑玉皇に死罪と定められたが︑観音が玉皇に詫びを入れて︑
寿命を三歳減らすことになった︒
⑦陳上元は観音の像を壊したので︑背中が六年痛むように罰せられた︒
⑧林百花は人をそそのかして問題を起こしたので︑六年寡婦の暮らしをするように罰せられた︒ 陳十四の
口玉皇
①陳元献が陳十四の祀っている観音の像を壊したので︑陳+四は怒って父を罵った︒そのために玉皇は陳十四の寿命
を三歳減らした︒
②陳十四が盧山で天地をひっくりかえしたので︑玉皇はさらに陳十四の寿命を三歳減らした︒
四盧山の師
①観音の言いつけにより︑蛇妖退治の役目を陳元献に夢で知らせた︒
②法通を助けるために︑一度南広廟に行ったが︑誰もいないので︑嘘山に帰った︒
③蛇婆の化けた偽の陳十四に騙されて︑法を教・兄︑宝を与︑兄た︒
④真の陳十四を偽物と思って︑岩の下にとじ込めたが︑観音に助けられた真の陳十四に法を伝︑兄︑神娘という名前を
つけ︑宝を与えた︒
⑤観音に妖精を見分けられる目を一つ付けられた︒このときから盧山の師は皆三つの目を持つようになった︒
⑥黄︑衰の二人の神将を陳十四の伴として遣わした︒
㈲蛇妖蛇婆(蛇妖︑南蛇‑南広廟にいる蛇)
①一度法通に捉えられた︒
②法通が金︑祝の家に招かれた機会に乗じて︑法清に法のある清水を飲ませてもらい逃げた︒
③法通の施した方術が法清に破られたので︑蛇妖は法通を捉えた︒
④蛇妖は法通を粉々に噛んで︑骨の粉を海に噴き出した︒
⑤蛇婆は陳+四に化けて︑法を学ぶために慶山に行った︒
因竜王
法通の骨の粉を掬い上げて金瓶に納めた︒
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﹃陳十四夫人伝﹄第一冊のあらすじを以下にまとめる︒なお()内の頁はテキストの頁である︒
第一段陳十四の誕生(陳十四出世)(OP︒︒ω‑凸)
① 観 音 の 二 本 の 抜 髪 i 蛇 公 蛇 婆 の 由 来
②観音の指の血陳を四の出生(正月十四日に生まれた)
観音を信奉する葛氏は観音の指の血(赤い雨になった)を飲んで陳十四を生んだ︒
③陳十四は林聞善のいいなずけになった︒ 陳十四の父は法師︒
第二段陳上元の誕生祝い(陳上元倣寿)6,お出O)
①陳+四は八歳から十二歳まで刺繍を勉強した︒
②十二歳から観音を信奉した︒(念仏︑読経)
③陳上元の誕生日に︑林氏がいざこざを起こしたので︑
十四は父を罵った︒このために玉皇は陳十四の寿命塗
④陳十四は改めて観音の像を作ってもらった︒ 陳上元は怒って︑
二年減らした︒ 陳十四の祀っている観音の像を壊した︒陳
第三段法通は南蛇を退治する(法通収南蛇)(8幽㎝O凸︒︒)
①観音は嘘山の師に蛇妖退治の役目を言いつけた︒
②癒山の師は蛇妖退治の役目を陳上元に夢で知らせた︒
③法通は父から方術を学んで︑法清と一緒に父の代わりに蛇妖退治のために南広廟に行った︒
④法通は蛇妖の生け賛にされた金︑祝の少年少女を助けた︒
⑤法通は方術を施して︑蛇妖を捉︑兄る準備を整・兄た︒
第四段金姓と祝姓の謝恩の祝宴(金祝請恩酒)(ooU︒︒‑①①)
①法通は南広廟で蛇公蛇婆を捉えた︒
②蛇妖は法通が金︑祝の家に招かれた機会に乗じて︑法清から清水をもらって飲み︑
③法通は方術を施して蛇妖と戦ううちに
④法通は蛇妖に捉えられた︒
⑤法通は家に送る血書を書いた︒ ︑法清に方術を破られた︒ 逃げた︒
中国 の 女性 神 とそ の 芸能
第五段陳十四は法を学ぶ(陳十四学法)(Oや①①‑翻)
①法清は兄の血書を持って家に帰った︒
②陳十四は法を学び︑兄を助けるために鷹山に行こうと決心した︒
③蛇婆は陳十四に化けて︑法を学ぶために盧山に行った︒
④観音は陳上元と林百花に六年の罰を与えた︒
⑤陳+四が盧山へ行く途中で︑観音に遣わされた竜女が陳十四を助けて︑
四に難香を贈った︒
⑥蛇婆は盧山を出て︑師から宝を学えられた(鉄の傘など)︒
第六段洞門を出て宝を取り替える(出洞門換宝)(唇菊①‑︒︒ω)
①陳十四は火焔を抜けて鷹山に着いた︒
②観音は岩石の下にとじ込められた陳十四を助けた
った︒ 蜘蛛と蛭の妖怪を逐い払った︒さらに陳十
︒同時に盧山の師に妖精を見分けられるもう一つの目を付けてや
③師は陳十四に法を伝・兄る︒
④観音は天地をひっくりかえして死罪を犯した陳+四を助けて︑さらに三年の寿命を減らすことになった︒
⑤陳十四は臆山を出るとき︑師に神娘という号をつけられ︑宝を与えられた(紙の馬など)︒
⑥陳十四は偽の陳十四に追いついて︑宝を取り替・兄た︒
⑦陳十四は兄のために仇討ちをしようとしたが︑黄︑衷の二人の神将に告げられて︑先に漸江︑福建に散在している
妖魔退治に出発した︒
﹃陳十四夫人伝﹄第二冊のあらすじを以下にまとめる︒
第一段神娘は姉妹を救う(神娘救姐妹)(℃P︒︒令︒︒︒︒)
①神娘は戦乱中に首を括って白骨になった陳+五を復活させる︒二人は姉妹の契を結ぶ︒陳+五は催生夫人になる︒
②神娘は黒松嶺で蜘蛛の精を斬る︒
③神娘は茅山の陳二郎に挑戦されて︑法の優劣を争う︒神娘は負けた陳二郎と兄妹の契りを結ぶ︒
④神娘は南京で迎えてきた蟹の精を五疽神に封じて︑遠方へ送る︒
⑤神娘は江西の竜虎山で張天師︑李天師に歓待される︒
第二段王志忠は旅商人として旅立つ(王志忠倣客)(燭P︒︒︒︒めα)
①杭州城内の金持ちの息子王志忠は両親の言いつけ通りに︑絹販売のために四川へ旅立つ︒
②王志忠の妻葛氏は名残惜しく︑くどくど夫に話してから︑金のかんざしを印として夫に持たせる︒
③豚の妖怪は和尚に化けて︑途中で工志忠にお布施をもらう振りをして︑黄苓の枝を王志忠の持っていた金のかんざ
しと換える︒
第三段葛氏は妖怪に魅入られる(葛氏犯妖病)(OOb㎝山設)
①豚の妖怪は王志忠に化けて︑王の家に行く︒葛氏は金のかんざしを確認してから豚の妖怪を部屋に入れる︒
②王志忠は途中で︑四川が大火に遇ったので行ってはいけないと聞かされて︑家に帰る︒
③真の王志忠は偽の王志忠と家で激しく戦う︒
④両親も息子の真偽を見分けられない︒真の王志忠は殴られて家から追い出され︑隣人が王志忠に法師唐五郎を推薦
する︒
中 国 の 女 性神 とそ の 芸 能
第四段暦五郎は夢を論じる(唐五郎論夢)(℃℃.一〇や昌ω)
①唐五郎は夢を見たことを妻に話す︒妻は夢判断をして不吉な兆だというが︑唐五郎は改めて夢判断をして︑めでた
い兆だという︒
②唐五郎はあわてて妻の靴を穿いて︑夜中訪ねてきた王志忠を家に入れる︒
③唐五郎は妻にお茶を出せと言うと︑妻は冗談で家に何もないと答える︒
④唐五郎は顔を洗うお湯がほしいと言ったが︑妻は起きずに︑祭壇にある紙を焼いて体をあぶって清めるようにと答
える︒これからこの清め方がきまりとなる︒
⑤唐五郎は︑祭壇に祀る神兵をつれて家を出たが︑妻は彼を呼び戻して靴を換えさせる︒神兵も祭壇に戻ってしまい︑
出たら戻ってはいけないとされる︒
くと︑妖怪にとら・兄られて吊し上げられる︒
にと頼む︒
い︑神娘は唐五郎を助けて妖怪を退治する︒ ひどく殴られた唐五郎は王志忠に早く天師
(狐狸精告状)(O℃﹂器山卜︒㊤)
は役人として温州に赴任する︒途中で奥さんの張氏は亡くなる︒
て︑亡き夫の兄弟達に家から追い出されたと︑道端で萢三府にうその訴・兄をする︒
れて︑ふざける︒狐の精は自分が賎しい者で役人の萢三府に相応しくないと媚びつつも一
して温州までつれて行く︒
ひどい病気にかかる︒
妖怪を退治する(一路収散妖)(OPお㊤‑にω)
ており話が筋としてまとまっていない為︑内容別に分類してみる︒
︑以下に分類する︒
者)
狐狸精(O.一撃)白猴精6.一ω一)白羊精(℃・一器ノ一竃)糊縣精(℃・一認)白鼠精
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(巳ω①)
鳥類六老鵡精(鳥)(や一ω一)白鵠精(鳩)(P一ω一)鵡鳩精(しゃこ)(,一ω︒︒)雄鶏精(P一器)山燈精(きじ)(や一自)鶏娚精(雌鶏)(P一島)
虫類.両棲類丘蠕蟻精(あり)(P一︒︒卜︒)黒蜂怪(P一器)蛤摸精(蛙)(,}ω㎝)娯舩精(や一自)補蛇精(毒
蛇)(P一合)
魚類二目魚精(O.一ω切)鯉魚精(P一︒︒9
植物一苑菜精(ひゆな)(唱・一ωq)
器物五掃箒鬼(竹箒)(や一ト︒㊤)竹篁鬼(竹竿)(P一逡)銅鋸怪(,一ω刈)灯蓋鬼(油皿)(,Hω刈)旅擁鬼
(竹で編んだ網杓子)(℃油ω刈)
其の他八三塔鬼(,お㊤)水間鬼(水門)(ワ一ト︒¢)石獅子(,一ωO)肚痛寛鬼(,一ωO)断舌鬼(戸一ら︒O)楡銀鬼(Pおト︒)大脚鬼(P一逡)楡箸鬼(P一︒︒刈)
②地方の伝説との関わり
山の名称の由来鵬鳩尖(,鵠ω)老鼠梯(,一ω①)
紅蒐菜の由来(℃・ω①)
腹痛の民間療法の由来(P一ωO)
大橋の支柱の由来(O﹂卜︒㊤)
紅花樵の由来(P一︒︒O)
鶴鳴井の由来(℃.一︒︒ゆ)
多くの城門の名称の由来等の由来伝承が数多く語られる︒
③妖怪退治のその後
妖怪の大部分は謙滅されるが︑とくに神として封じられたり︑命を助けられる例もある︒
・吊死鬼を地姑仙娘として封ずる︒(,置卜︒)
・楡箸鬼を楡箸神として封ずる︒(PHω︒︒)
・糊獅の足を一本断ち切って命を許す︒(P一ωω)
・三尾の鯉の精は︑二尾を殺して一尾を生かす︒6μG︒ω)
・三羽の鴎鳩は二羽を斬り︑一羽は逃げて山に化ける︒(Pζω)
・八頭の豚の妖怪を六頭殺し︑二頭を逃がす︒(P旨b︒)
④陳神娘以外の神々の名称
関王︑薬王︑桃花娘身︑凋公大帝6μ︒︒一)茶欄土地(Oμωω)麗陽星帝︑平天聖母(P一ω㊤)城陛︑土地
(O.憲O)の神々が登場する︒
⑤廟と神像
神娘の言いつけで廟が建てられ︑神娘をはじめとする神像が作られ︑妖精を鎮める︒そして子授かりを求める人々の
信仰の対象となる︒(や一ω一'一認'一ω㊤'一蒔ω)
第七段虞秀英が妖怪に魅入られる(妖迷虞秀英)(℃O.=ω山αO)
①虞員外の独り娘虞秀英は器量がよく︑文才もすぐれている︒
②王員外の三男の飼っている猟犬が月の宝を呑んで白犬精になる︒
③ある夜︑美男子に化けた白犬精が虞秀英のいる二階にやって来る︒秀英は旨い言葉に騙されて︑妖怪に魅入られる︒
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第八段虞の家で妙法を施す(虞門施妙法)(署・}蟄山ざ)①虞秀英の病気を治療するために︑虞貝外に招かれた法師六人が庁堂で賑やかに法事を行う・祭壇を設け・天師の画
像をかけ︑神まぎを行い︑符㎜几を書き︑叩斐を唱え︑竜角を吹き︑ドラや太鼓を敲き・卜具を投げる・
②舟に乗っていた神娘は占いで白犬精のことが分ると︑舟を下りて︑虞の家に行く・神娘は虞の家の裏口に来て・
﹁火肚隔﹂の訣をして︑下女からもらった炭火を着物の裾に入れておミ三回炭火をもらい・神兵を祭壇から離す・
そのために法師の法事はだめになる.怒・た法師の天は冗牛撞Lの訣をして︑転ばした臼で神娘を突き倒して殺
そうとしたが︑神娘は﹁倒牛車﹂の訣で臼を逆に庁堂へ転ぽす︒法師たちは恐ろしがって︑テーブルの下に身体を隠
す︒
③虞員外は急いで神娘に追いついて︑助けて下さいと脆いて懇願する︒虞員外は神娘に教えられた通りに・もらった
三枚の神符を家に貼っておく︒白犬精はたんすの中に隠れる︒
④神娘は﹁水肚隔﹂の訣で︑手を清める水を破れた野菜のかごに入れて︑宙に吊しておく・法師たちは手を清めよう
と先を争って︑がやがやさわぎ立てる︒神娘がかごを宙に吊す訣を収めると︑法師たちはびしょぬれになる・
⑤庁堂の地面を乾かすために︑神娘は自分の神衣を地面に敷いてから︑法師たちに各々の神衣をその上に敷かせる・
神娘が﹁倒水訣﹂をすると︑下の神娘の神衣はぬれず︑上の法師の神衣はびちょびちょになる・
⑥虞員外は神娘の一一 口いつけにより︑鉄の鍋︑菜種油︑柴︑一両五銭の銀塊を用意する・﹁油の沸騰している鍋の底か
ら銀塊をつかみ出荏︑その銀塊をもらえる﹂と神娘は言ったが︑法師たちは恐ろしがって手を出さない・神娘は暴ヨ山㎝几Lで冷ました油から銀塊をつかみ出して見せてから︑さらに銀塊を鍋に入れる.神娘は雇火訣Lで油を熱
くしたので︑銀塊をつかもうとした一人の法師の手が鍋に触れるなり︑火傷する︒
神娘は︑﹁女よりも劣って︑これは法をよく学ぽないせいだ﹂と法師を嘲笑する︒
⑦神娘は白犬精を退治してから︑後山の穴に逃げ込んだ妖怪の子を鎮めるために︑白刀を穴の中に挿しておく︒この
穴は白刀洞といわれる︒神娘は虞秀英と姉妹の契りを結び︑嬰児の生まれる時刻を定める定生夫人に封じてやる︒
⑧虞員外は神娘のために下男に寝室や新しい寝具を用意させる︒神娘は﹁皆法を学ぶ者だから︑法師たちと一緒に庁
堂に寝てもかまわない﹂と言う.神娘は法師たちがいやがらせをすると予知し︑霊牌(札)を;の石牌坊に化けさ
せ︑自分のベッドは庁堂の中央の梁に高く吊しておく︒
第九段神娘はベッドを宙に吊し︑法師たちは神娘のベッドを探る(吊床和摸床)(薯・一ざ山Oα)
①夜に・法師は仲間に神娘をからかう悪巧みをしようと言い出す︒彼は神娘のべヅドを探るうちに︑頭が石牌坊にぶ
つかって・血が流れる︒﹁助けてくれ﹂と叫んだ声に応じて︑虞員外に起された下男が灯をつけて見ると︑頭を柱に
打ちつけ︑尻を立て︑足を曲げている法師の格好はまるでふとんの棉にもぐった蚤のようだった︒
﹁この家が倒れそうになったら︑君の頭では支えきれないだろう﹂と下男は法師をからかう.法師は便器をさがす
ために起きたと下男にうそをついて︑自分のベッドに戻る︒
②神娘は神額を鉄壁倉に化けさせ︑神鞭を鉄釘山に化けさせていた︒病気持ちの法師は︑﹁俺の腕は君よりましだ﹂
と先の法師に言ってから︑神娘のべヅドを探るうちに鉄壁倉︑鉄釘山にころげる︒法師の叫びに応じて︑起された下
男が灯をつけて見ると︑法師が石段で踵って︑両手で頭を抱えている姿を見つける︒﹁誰かが君の頭を切り落そうと
すれば︑頭を抱えてもだめだろう﹂と下男は法師をからかう︒
③神娘は﹁神仙児﹂を唱えて︑台所に通じる五重の扉を開けておく︒
もう一人の法師は神娘のベッドを探るうちに︑台所まで行く︒食器などに突き当たり︑音を立て︑犬が吠.兄出して
中国 の女 性 神 とそ の芸 能
法師を咬もうとする︒法師は慌てて薪の中にもぐる︒虞員外は台所に泥棒が入ったと言って︑下男を見に行かせる・
下男たちは薪の中から法師を引っぱり出して︑泥棒だと思って︑棒で殴る︒﹁俺は法師だ﹂と叫ぶと・﹁家の銅のしゃ
もじを盗むつもりで台所に来たんだろう﹂﹁おいしいものを盗食いに来たんじゃないか﹂﹁陳神娘をからかおうとして
起きたのだな﹂と下男たちは法師を責める︒
④神娘は霊牌を後山に化けさせ︑神刀を振って谷川に通じる一筋の道を開き・一碗の清水を庁堂の中央にある池に化
けさせる.自分のベッドを高く宙に吊しておく.・の歪んだ法師の悪巧みによって︑五人で同時に神娘のベッドを探
るうちに︑二人は虎の吼︑兄ている後山に当り︑もう二人は谷川で水鬼に逢い︑一人は池に落ち込んだ・さわぐ声に応じて︑起された下男が見に行く︒果して︑一人は下水に頭を傭いている︒二人は庁堂の椅子の上で︑背中合せに壁を
にらんでいる︒もう二人は庭で目を閉じて︑互いに着物の裾をひっぱり合っている︒翌朝神娘は五人の法師を責め
る︒﹁盧山の師の顔に免じて︑おまえたちを許してやる﹂という︒神娘は虞員外からの銀二百両と法を伝える本一冊を︑悪巧みに加わらなかった馬老実法師に贈る︒神娘は米︑酒︑肉などで﹁回師﹂(師と神兵へのお礼)をする・これが神娘の定めたきまりになる︒
⑤五人で一両五銭の銀しかもらえず︑三叉路で神娘を待ちかまえていた法師たちは︑﹁銀を分けないと・谷川にほう
り込んで溺死させるぞ﹂と神娘を脅かす︒神娘が﹁ちょっと待って﹂と答えると︑地面に坐った法師たちは尻に根が
生えて立てなくなる︒神娘に教︑兄られた通りに︑牛飼いの少年は法師から銀をもらってから︑尻の根を掘ってやると 陶って彼らに目を閉じさせ︑着物を脱がせ︑藤の枝で彼らをしっかり縛っておき︑竹の枝の束で殴る・神娘は﹁千斤
錘﹂の訣を収めて︑法師たちを立たせる︒
その後︑神娘は餓鬼︑公鴨怪︑麻布鬼︑白羊精などを退治する︒神娘は双港埠頭の岸にある高山に馬氏天仙を祀る
夫人廟を立てる︒(馬氏天仙は神娘と姉妹の契りを結んだ︑麗水の女神)
第十段温州で三府を助ける(温州救三府)(ロb.一〇α‑NOω)
①神娘は青田県の馬天仙と同じであった夫人廟の縁日の日取りをずらす︒
②神娘は廟を立てるために︑金の鉢に入れた砂を撒いて風水を定める(方位を鑑定する)︒青田の人々に嘲笑された
神娘は機嫌が悪くなって︑撒き出した砂が青田人の目に入る︒神娘は青田の人々に目の痛みを止める方法や目の不自
由な芸人の語り物(金書)を教える︒神娘が石の亀の背に八卦をつけてから︑青田の石の亀によって風水を定めるこ
とが長く伝わってきた︒
③役人の萢三府はおくさんにした化け狐に魅入られて︑ひどい病気になった︒(第五段の続き)温州に来た神娘は役
所の下男に迎えられて︑化け狐を退治する︒下男たちは神娘に教えられた通りに狐の血を萢三府に飲ませ︑竹の弓な
どでその全身をこすり揉んで上げると︑萢三府は全快する︒神娘は萢三府と兄妹の契りを結ぶ︒
④瑞安県の飛雲渡にある蜂の精は︑神娘に殺された親類の仇を討つために︑舟頭に化けて︑神娘を川の中に落した︒
東海の竜王の命令により︑おおすっぽんが神娘を助ける︒神娘は蜂の精を退治する︒
⑤この時から︑飛雲の川を渡る人々は皆川の神を祀る︒川祭りは神娘の決めたきまりで︑唐代から今まで伝わってき
た︒
第十一段金員外が亡霊を祀る(金員外祭霊)(薯.卜︒Oω山O㊤)
①平陽県金村の金員外の妻珠は難産で母子とも冥土(地府)に落ちた︒
②神娘は︑泣き沈んで亡霊を祀っている金員外を助けようと︑珠翠を復活させようとする︒
③神娘が七昼夜煉丹しても︑珠翠を復活させることができず︑天上から借りてきた換魂床に寝て︑ 神娘の魂は冥土に
行く︒
④閻魔王は観音の肉親である陳+四を迎えて︑珠翠を助けたいなら︑
⑤神娘は監霊官(冥土の役人)に案内されて冥土を回る︒ まず冥土を回って見るように勧める︒ 中 国 の女 性 神 とそ の芸 能
第十二段冥土の地獄を回る(游陰司地府)
第十三段立腹して血河のかめをひっくりかえす(怒翻血河鉦)(O算N8‑卜︒ω腿)
第十二段と第十三段の内容は神娘と監霊官との問答の形式で書かれている︒
地獄は全部で十入ある︒
席香地獄.仏灯地獄.舗銭地獄.対経地獄・香台地獄・錯舌地獄・燗河地獄・鉄遥地獄・滑油地獄・茶牢地獄以
上第+二段
刀山地獄.孟婆地獄.斬手地獄.田螺地獄・解鋸地獄・碓磨地獄・鴛喬地獄・血河地獄以上第十三段
神娘は各地獄の有さまを見ながら︑監霊官から各地獄に人々が落ちるようになった理由を聞く︒神娘は監霊官の説
明した人がしてはいけないことが道理に合うと思い︑帳簿に記入して︑俗世の人たちに勧めようと︑舎利(神娘の従
者︑記録をする者)に言いつける︒
◎鼓詞の演者は︑一つの地獄を通るたびに︑冥土の百鬼のために祭壇の前で紙銭を焼く︒
席香地獄
①お香を焚くことの忌
・端の折れた線香を焚いてはいけない︒夫婦が途中で別れるから︒
・お香を焚く時に︑話をしてはいけない︒香炉が汚れて︑仏さまがお香を受けないから︒
・線香をまっすぐに香炉に挿してこそ︑煙が天堂に通じる︒
②台所の忌
.かまどで桃や李の木を焼いてはいけない︒家は不運になるから︒
・庖丁を鍋の蓋においてはいけない︒かまどの神が休めないから︒
.一日︑十五日に庖丁を磨いてはいけない︒この日に諸々の神仏が俗世に降りてくるから︒
・養魚池の水や肉食の鍋で精進料理を作ってはいけない︒
仏灯地獄(℃繭卜︒目)
仏灯に関する忌
仏前で仏灯を吹いてはいけない︒来世に口の歪んだ人に生まれ変わるから︒
舗銭地獄(OO﹄一一山匿)
紙銭を焼くことに関する忌
・紙銭を焼く時にかきまわしてはいけない︒破れた紙銭は冥土で使︑兄ないから︒
・百鬼はお金が欲しいから︑冥土でも地獄の沙汰も金次第といえる︒
・焼いた紙銭の灰を水中に捨てれば︑冥土で舗銭地獄を通ることを免れる︒
対経地獄(づO・卜︒旨幽一ω)
読経に関する忌
読経するときには︑読み間違ってはいけない︒
俗世のおろか者に生まれ変わるから︒ 閻魔王の門前で読経を照合される時に︑一字の間違いがあったら︑
香台地獄(Pb︒一ω)
神娘は万丈の高い香台の上から︑福州の家族のありさまを見る︒
錯舌地獄(℃.b︒=)
.告げ口や仲を裂くことをすれぽ︑冥土で舌が引き延ばされる︒来世でことばが不自由に生まれ変わる︒
.悪いことをすれば悪い報いが︑よいことをすればよい報いがあるという昔からの諺通りである︒
中国 の女 性 神 とそ の芸 能
欄河地獄(O冒b一心‑NHα)
.冥土のきたない川の上に六つの橋がかけてある︒仏は金の橋︑銀の橋を通り︑精進︑修行する者は鋼の橋︑鉄の
橋を通る︒悪人が石の橋︑木の橋を通ろうとすれば︑橋の端で守る牛頭︑馬面が悪人を橋の下の火の穴に落す︒
.橋の下にいる銅の蛇︑鉄のすっぽんは悪人の魂や体を丸呑にして︑来世に家畜に生まれ変わらせる︒
鉄遥地獄(℃℃﹄一①‑卜︒嵩)
・俗世の人たちは親孝行すべきだといましめる︒
.親を無視すると︑冥土の大鳥はもっぽら不孝者の目を突く︒
・不孝者は来世に目の不自由な者に生まれ変わる︒
滑油地獄(OPN嵩‑卜︒一︒︒)
・油のついた手を水で洗ってはいけない︒
・油のついた手は紙で拭くべきで︑そのよごれた紙を火の中に捨てると︑ 冥土で滑油地獄を通ることを免れる︒
茶牢地獄(bP母Q︒‑卜︒一㊤)
・お茶の葉を地面に捨ててはいけない︒お茶の葉を炉に入れて着物を乾かしてもいけない︒
・お茶の葉を水に流せぽ︑冥土で茶牢地獄を通ることを免れる︒
・お茶を摘む人やお茶を揉む人は大変な苦労をし︑君主︑百官から民衆まで誰でもお茶を飲むから︑
宝物だ︒ お茶は俗世の
刀山地獄(箸甲卜︒b︒O‑認一)
・牛肉を食べてはいけない︒
・牛肉を食べれぽ︑冥土で鉄釘山(刀山)に上がらなければならない︒
・耕作用の牛は大変苦労をするから︑人間のために働いて死んだ牛は︑
・牛の全身(牛角︑牛毛︑牛骨など)はすべて宝物だ︒ 荒れ野に埋葬すべきだ︒
孟婆地獄(箸・b︒卜︒甲N卜︒N)
.神娘がこの地獄の孟婆から孟婆湯の入った碗を受け取ると︑監霊官は慌ててその碗を奪い取って地面に投げる︒
こ﹂の孟婆湯を飲むと︑何もかも忘れてしまう︒
.臨終の老入の口にお茶の葉や銀を入れておけば︑死者が冥土に行っても頭が冴えたままでいられるという︒
斬手地獄(唱P卜︒b︒b︒幽卜︒心)
・俗世で助産婦になってはいけない︒
.助産婦が助産して汚れた手で神仏の前の灯を点けたりすれぽ︑神仏に対して不敬なことになるから︑斬手の関所
を通らなけれぽならない︒豚を殺す者も似かよったわけで︑斬手の関所を通らなければならない︒
.助産婦と豚殺しは臨終に線香を包む赤紙を指にかぶせておけば︑斬手の関所の役人に︑指にかぶせておいた赤紙
をぬいてあげさえすれば︑無事ですむ︒
中国 の女 性 神 とそ の芸 能
田螺地獄(℃O.b︒卜︒腿‑Nb︒切)
・田螺の肉を食べてはいけない︒
.田螺は作物を食わないので︑田螺の肉を食べる者は冥土で棒でひどく敲かれる︒
物がたくさんできる︒
.田螺の肉を食べなければ︑神さまを拝むと等しいことになる︒
解鋸地獄(Obま)
・再婚の媒酌をしてはいけない︒ 生まれ変わったら︑体に毒の腫
・夫婦を離縁させてから︑再婚の媒酌をする者は︑冥土で鋸で体が二つに分けられる︒
碓磨地獄(b﹄ミ)
・訴状を書くにあたっては気をつけなければならない︒
・お金をもらうために︑訴状に嘘を書いて人をおとしめる者は︑
・来世に生まれ変われぽ︑体が麻痺した者になる︒ 冥土で碓磨に引かれて粉々になる︒
鴛鴛地獄(O℃・鵠刈‑卜︒N¢)
・理由もなく再婚してはいけない︒
・再婚した女の夫たちが冥土で言い争わなけれぽ︑それでいい︒
・怠けて享楽に耽るような女の夫たちは︑十中八九言い争うから︑閻魔王は︑この女を鋸で二つに分けてから︑彼
女の夫たちに分けてやれと牛頭馬面に言いつける︒彼女の先夫と継夫は皆血まみれの彼女をもらいたくなくなる︒
・運命に定められたように︑仲良く一緒に暮らす夫婦は神さまから福を賜わる︒
血河地獄(b℃︒b︒︒︒O‑Nωω)
①血染の着物に関する忌
・血染の着物を川の上流で洗ってはいけない︒池︑水たまりや谷川で洗ってもいけない︒そこの神に対して不敬な
ことになるから︒
・血染の着物は桶やたらいで洗うべきだが︑それを屋外で干せぽ︑日月の神に対して不敬なことになる︒
rl・国 の 女 性 神 と そ の 芸 能
.血で汚れた水をみだりに流せぽ︑そこの神(水かめの神︑五穀の神︑地蔵王など)に対して不敬なことになる︒
︒血で汚れた水を家からちょっとはなれた便所の側に流すのがいい︑諸神はそこを通らないから︒
②お産をする女に対する処罰
・女の人がお産をすれば︑死後に血河鉦に坐らなけれぽならない︒
.俗世の男女が血盆素という精進をし︑血盆経を万遍唱えれぽ︑親を天上界へ済度できる︒例えぽ︑日の出や日の
没みを見ないこと︑赤色のものを使わないことなどいろいろのことを忌み避けてもいい︒それは難しいことだか
ら︑女の人は死後血河鉦に坐らない者は殆どない︒
③神娘は血河鉦をひっくりかえす
.神娘は自分の母も血河鉦に坐るだろうと思うと悲しくなる︒神娘は勝手に翻天叩几を唱えて︑三つの血河鉦をひっ
くりかえす︒
.監霊官は慌てて跣いて神娘に忠告して止めさせる︒彼は﹁昔︑血河鉦は三百六十あったが︑目蓮が母を救うため
に冥土に来て︑三百五十の血河鉦をこわした︒今︑神娘が三つをこわした上に︑さらに残った七つの血河鉦をこ
わしたら︑冥土で悪人を処罰する血河鉦が全部なくなってしまう﹂と言う︒
④神娘は玉皇に処罰される
・閻魔王は神娘のことを玉皇に上奏する︒
・玉皇は神娘の寿命をさらに三歳減らして二十七歳で天上に昇るように処罰する︒
.玉皇の見た寿命簿では︑神娘の寿命は初め三十六歳だったが︑父を罵ったために三歳減らされ︑天地をひっくり
か・兄したために三歳減らされ︑今度勝手に血河鉦をひっくりかえしたためにさらに三歳減らされて︑二十七歳の
寿命になった︒
第十四段家に帰って父親を助ける(回家救父親)(℃O﹄竃‑Nω⑩)
①神娘が珠翠の魂をつれて俗世に帰る前に︑閻魔王は︑これから改心して好い人になれと珠翠に教・兄いましめる︒神
娘は珠翠母子を復活させてから︑珠翠と姉妹の契りを結んで護生夫人に封じてやる︒
②神娘は難産で苦しんでいる李+三と︑ひどい天然痘にかかった林九姑を災難から救う︒李十三を送子夫人︑林九姑
を管痘夫人に封じてやる︒
③神娘の次兄法清はお金が欲しいために︑病気を伝染させる法事をして︑近所の人たちを苦しませる︒彼だけが病気
をなおす薬をもっている︒神娘は家に帰る途中で︑法清の兵馬に出合うと︑すぐに法角を吹いて︑法清の兵馬を祭壇
に帰らす︒これから近所の民衆は無事平安となる︒
④神娘は家に帰って︑母を喜ぽせ︑背中の腫物で六年も苦しんできた父を助ける︒観音さまは神娘の孝行ぶりを見る
と︑善才童子を遣わして︑陳上元の背中に刺しておいた金の鉤を取り出させる︒
⑤神娘は二階で精進料理を供えて観音さまにお礼をする︒
第三冊のあらすじを以下にまとめる︒
第一段南広で南蛇と戦う(南広闘南蛇)(℃P漣O‑卜︒麟)
①南広の蛇妖は蛇の誕生日に少年少女のいけにえがないと︑良民を害する︒
②陳十四は長兄の仇を討つために蛇妖退治の兵馬を出す︒神娘の知らせを受け取った姉妹たちが応援に来る︒
③蛇公蛇婆は蛇の子孫や娯舩など三千六百の兵を出す︒
④神娘の姉妹たち︑魔山の師︑茅山の師︑三尊天師︑都監元帥︑萢三府︑王志忠︑陳二郎らは皆兵を率いて参戦する︒
⑤多方は激しく戦って︑なかなか勝負がつかない︒
⑥玉皇は太白星の願いにより︑神娘を助ける天兵(関公︑托塔李天王︑邨呪など)を出す勅命を太白星に渡す・
⑦天兵の威力に頼って︑神娘は蛇公を殺す︒観音さまの助けで︑神娘は一丈二尺の蛇婆を五尺斬り落したが︑七尺の
蛇頭は都に飛んで行く︒
中 国 の女 性 神 とそ の 芸 能
第二段陳十四が嫁ぐ(陳十四出嫁)(OP卜︒心①歯竃)
①焼かれた蛇の骨の灰が蚤︑蚊︑蝿などの害虫に化ける︒
神娘は袋に入れた蛇の骨の灰を法清に背負わせる︒法清は川辺で勝手に袋をあけて蛇の灰を捨てる︒捨てられた蛇の
灰が害虫に化ける︒端午節に菖蒲︑宝剣︑雄黄酒で南蛇の邪気を払う︒
②神娘は法通を復活させる︒
神娘は川辺で法通の骨の粉が入れられた金瓶を奪い取って南広に帰る︒神娘は指をかんで出した血を金瓶の中にたら
してから︑法水と兄文で粉々になった法通の骨をつなぐ︒神娘はさらに煉丹︑招魂を行って法通を復活させる・
③法通の行方
法清に究われて麻痺させられた法通は一度家に帰る︒神娘は紙のかごを作って︑法通をある所に送って落着かせる・
法通は書写をする者となる︒
④神娘は林兄嫁(法通の妻)の媒酌をして陳二郎と再婚させる︒再婚は神娘の決めたきまりで︑今まで伝わってきた・
⑤蛇婆は都の宮中に入って︑皇后と妃たちを食べてから︑自ら皇后に化ける︒
⑥神娘は父母の命に従って嫁に行く︒
林家から息子の嫁を迎える期日を知らせてくる︒神娘は盧山で嫁に行かないと誓ったことを母に話す︒母は嫁に行か
ないなら︑林家から訴訟を起こされ︑お父さんが罪を負うだろうという︒神娘は父母の命に従って嫁に行く︒
⑦新婚後の三日目に︑神娘は林家で盧山の将軍のために法事を行う祭壇を設ける︒
第三段蛇退治のために都に赴く(赴京斬蛇妖)(O℃.N課歯O一)
①蛇婆は陳十四を殺す悪巧みをする︒
皇后に化けた蛇婆は病気を装って︑陳十四の心肝を薬にして欲しいと君主にねだる︒非道な君主は陳十四を都に呼び
つける勅命を出す︒
②神娘は都に赴いて蛇妖を退治する︒
神娘は占いで蛇婆の陰謀が分って都に行く︒神娘は君主に道案内されて︑宮内に入りながら法を施すと︑蛇妖が原形
を現わす︒神娘がさらに雄黄酒を吹きかけるなり︑蛇妖は息が絶える︒勅命により︑蛇の骨を入れた箱が地方へ護送
される︒
③神娘は蛇婆に食われた皇后と妃たちの骨を捜し出してから︑煉丹して彼女たちを生返らせる︒
④神娘は君主の賜わる栄典にあずかり︑平天聖母に封じられる︒県令に封じられた夫は林青天と民衆に称えられる︒
第四段陳十四は天上に昇る(陳十四昇天)
①蛇妖の魂の崇りとひどい早魅
深く埋められた蛇妖の魂が地下から逃げて︑ (℃O・NO一‑卜︒コ)
空で雨を遮って良民を害する︒ひどい旱魅で︑役人さえ薄粥を食べ︑民
中 国 の 女性 神 とそ の芸 能
衆は草や木の皮を食べるほど苦しむ︒
②神娘の雨乞い
法師︑道士︑尼︑和尚の雨乞いがすべて効かない︒法清は雨乞いを命じられたが︑雨が降らないので︑火刑にされか
かる︒法清は陳十四の家に逃げて来て︑雨乞いのことを話す︒神娘は民衆のために︑身ごもった胎児を取り出して・
雨乞いの法事をする︒神娘の雨乞いで糠雨が降り出したが︑空で雨を遮る二人の雷公が神娘に斬られる︒
③玉皇は神娘の寿命をさらに三歳減らす︒雷公を斬った罪で三歳減らされると︑神娘は二+四歳で天に昇ることにな
る︒
④蛇妖の魂が神娘の胎児を害する︒
神娘は鯉に化けさせた胎児を︑養魚池に化けさせた銅の鉢で養育する︒林兄嫁に化けた蛇妖の魂が林家に行って︑毒
気で銅の鉢にいる鯉を血の水に化けさせる︒
⑤神娘は鷹山の師に雨乞いを頼む︒
神娘が雲の上で水車を使うと︑蛇の妖気を帯びる風が彼女を海に落す︒鴨に助けられた神娘は恩返しのために︑仏前
の供物に鴨を用いないで︑神娘を嘲笑した雄鶏を仏前の供え物にする︒玉皇は神娘に頼まれた盧山の師の懇願により︑
福州城に大雨を降らす︒
⑥神娘の二人の息子の行方
神娘は胎児を取り出す時に︑頭巾をかぶらなかったので︑急に頭痛がする︒産婦が頭巾で頭を包むきまりが伝わって
きた︒神娘は煉丹して︑蛇妖の魂によって害された息子を生返らさせて︑走馬︑霊通と名づける︒神娘は三歳半の二
人の息子を十五叔母に世話してもらう︒十五叔母は二人の甥に腹を立てて︑この二人の甥がいつまでも大きくなれな
いように究う︒神娘は泣いて帰った二人の息子をなだめて︑走馬を狩猟の神︑霊通を芝居の神としてある所に送る︒
⑦神娘は二十四歳で天上に昇る︒
神娘は帰ってきた夫の林県令に自分の寿命が二十四になったことを話す︒林県令は泣きながら︑神娘のために三丈六
尺の高い花台を作らせる︒神娘は高い花台から天上に昇る︒天上に昇った神娘は︑犬の心肝を借りて︑俗世の道端の
白骨を生返らせたが︑助けられた者が恩を仇で返したため︑神娘は彼をもとの白骨に戻す︒神娘に助けられた犬は夫
人に感謝する︒神娘はこれからは俗世の畜生だけをすくい︑人間を救うまいと思う︒
俗世の女はお産をする時に︑閨房で﹁刀頭香﹂(点したお香を庖丁の背にのせておくこと)を点しておかなけれぽ
ならない︒このようにすれば︑催生夫人が俗世に遣わされる︒
⑧陳十四は玉皇に謁見して神に封ぜられる︒
玉皇は陳十四を平天聖母に封じ︑陳十五を護国老夫人に封じる︒陳十四の父母︑夫︑兄弟(法通︑法清)︑息子(走
馬︑霊通)は皆神に封ぜられる︒陳十四の六姉九妹︑及び王志忠︑陳二郎︑萢三府も神に封ぜられる︒
⑨陳+四は天門の外で︑よく修行すれば︑天堂に上がれるという一首の詩を書いて俗世の人に知らせる︒
⑩俗世の君主の聖旨により︑漸江省︑温州府︑福建省には夫人を祀る夫人宮が建てられる︒
⑪陳︑林の二つの家の主人は財産を貧しい人に分けてから︑天上に昇って神に封ぜられる︒
以上︑あらすじを簡単に翻訳した三冊を語り終え︑鼓詞の上演を依頼した家の主人の願もどしを済ませた後︑線香
とろうそくを点して神娘を雲の上の御座に戻るように神送りをして︑鼓詞は終了となる︒
﹃夫人伝﹄は﹃海遊記﹄とも称されて世に伝わるが︑唱われる内容は︑﹃西遊記﹄にあるような妖怪退治や︑﹃目蓮
救母﹄にあるような地獄めぐり等︑民間に伝わる種々な物語や教えが取り込まれ︑人々は親しみをもって陳靖姑の一
生に耳を傾けるのである︒今回は資料の紹介にとどまり︑考察は次回にゆずりたいと考︑兄る︒
中 国 の女 性神 とそ の 芸 能
(ひろた・りっこ中国民俗学)