HRM
研究プロジェクト報告
人 的 資 源 会 計 研 究 の 現 状 と 課 題
照 屋 行 雄
一︑はじめに
二︑人的資源会計の問題領域
三︑HRA研究の現状
四︑人的資源管理とHRA情報システム
一︑はじめに
企業は各種の資源を保有し︑それらの有効適切な利用
によって経済活動を展開している︒企業の保有する資源
には︑物的資源︑財務的資源︑人的資源︑情報資源︑環
境資源(顧客信用価値など)などの各種のものがある︒
これらの資源のうちで最も貴重な資源は人的資源(}肖=目P⇔ロカΦoΩO¢﹃OΦ)である︒人的資源が物的資源な
ど他の資源を制御する関係にあるからである︒ 人的資源に関する研究は︑経済学︑経営学および会計
学において展開されている4︒その中でも企業における
人的資源の測定と伝達の問題を扱うのは会計学固有のも
のである︒人間を企業内の人的資源として会計的に認識
し︑測定の対象とすることについては︑多くの問題があ
ることは否めない︒しかしながら︑人的資源会計の重要
性についての理解は︑今日ますます高まってきているこ
とは事実である︒
本稿では︑まず︑人的資源会計の問題領域を明らかに
し︑次に︑人的資源会計研究の展開と現状について述べ
る︒そして︑経営学における人的資源管理の情報管理シ
ステムとしての特質に着目して︑それと人的資源会計情
報との統合の可能性について考察したいと思う︒人的資
国 際 経 営 フ ォー ラ ムNo.5
源管理と人的資源会計の統合の可能性を探ることによっ
て︑人的資源会計研究の新たな展開が期待される︒
二︑人的資源会計の問題領域
(一)人的資源会計の領域
今日の人的資源会計(国仁ヨ蝉ロ國㊦ωO霞oo>ooo算冒σq"
国閑﹀)の展開に直接的な刺激となったのは︑リカート
(切8︒︒♂=ざ琶に始まる経営学における初期リー
ダーシップ論あたりであると言われている瑠︒リカート
教授を中心としたミシガン大学の研究グループは人的資
源会計を︑﹁企業内における有効な測定を促進するたあ
に︑人的資源に関する情報を識別し︑測定し︑伝達する
プロセス﹂であると定義している心︒ここではもっぱら
企業内における経営管理目的のための人的資源会計情報
の利用を意図している︒
これに対して︑アメリカ会計学会(﹀日霞宕皆>ooo巨‑
江口σq>︒︒︒︒Oo一讐一〇P>﹀﹀)の人的資源会計委員会(OO日‑
日葺①08山仁8留勾Φωo⊆零Φ>oo2艮冒σq)によれば︑人的資源会計とは︑﹁人的資源に関するデータを識
別し︑測定﹂て︑この情報を利害関係者に伝達するプロ
セス﹂である︑と定義している呵︒この定義によれば︑
HRAは人的資源の企業に対する原価のみならず︑価値
の測定も考慮に入れなければならない︒なお︑ここでの 測定とは︑貨幣的測定と非貨幣的測定の両方を包含する
ものである︒
同委員会報告は︑人的資源会計の目的について︑次の
ように述べている悪
﹁人的資源会計の目的は︑企業について内部的および
外部的に行われる財務上の決定の質を改善することであ
る︒﹂
このAAAのHRA委員会報告では︑先のミシガン・
グループの考之方よりも︑人的資源会計の目的や範囲を
広くとらえていることがわかる︒すなわち︑人的資源会
計は単に経営管理上の意思決定のためにのみ利用される
ものではなく︑人的資源会計により測定︑伝達される会
計情報は︑広く企業の外部の利害関係者にも役立つこと
が目標とされている︒ただ︑同報告では︑人的資源会計
は︑まず第一段階として内部報告目的(管理会計)のた
めに実施されていくことになるとしている︒
これまでの物的︑財務的資源を中心とした伝統的会計
惰報に人的資源会計情報が加えられることによって︑企
業の状況に関する利害関係者の判断がより適切なものと
なる︒企業内外の各種利害関係者の行う経済的意思決定
の質がより改善されることが期待されるのである︒
ところで︑人的資源会計の構想するところは︑決して
単なる人的資源の会計的測定と伝達による︑企業内人間
43
の合理的な利用と管理保全を行うことを究極の目標とす
るものではない︒人的資源会計システムの構築によって
人的資源の原価や価値を貨幣金額的に測定し︑情報化す
るということは︑なにも人的資源を物的資源や財務的資
源などと同質にみなすということを意味するわけではな
い︑∪
わが国における人的資源会計研究の先駆者であられる
若杉明教授は︑人的資源会計の真の目的を次のように説
㌔て︑る,田人間資産会計の真の目的は︑人間資産会計情報を通
じて︑企業の経営者に対しては組織のあり方や人事政策
の核心にふれた重要性を示し︑また利害関係者に対して
は︑人間資産の情況や経営者の人間資産に対する取扱い
方を正しく評価せしめることによって社会的ブレッ
シャーとLて︑経営者に間接的に人間資産に対する正し
い取り扱い方を促すことにより︑結果において企業内の
人々にやる気をよび起し︑生きがいをもたせ︑その結果
として企業の経営効率の向上を期待しようとする点にあ
る︒一略︒L若杉教授の構想する人的資源会計(人間資産会計)
は︑企業内の人的資源の貨幣的測定による経営効率の増
進が本来の目的ではなく︑人的資源会計の遂行と人的資
源会計情報の利用を通じて︑企業内の従業員にやる気と 生きがいを感じさせ︑企業の発展に寄与することを意図
して︑る,
本稿で考察する人的資源会計は︑三シガン・グルーフ
が企業内の経営管理目的のための人的資源会計情報の利
用を考之ているものよりはるかに広く︑また︑AAAの
HRA委員会報告の定義や目的よりもはるかに明確であ
る,すなわち︑ここでの人的資源会の問題領域は︑第一
に︑人的資源投資に対する会計処理の問題(資産化と費
用化の問題)であり︑第二に︑人的資源に固有の諸特質
をいかに測定し︑情報化するかという問題である︒そし
て︑その真の目的は︑若杉教授の見解に示されたよう
に︑一方企業内外の利害関係者の経済的意思決定の質を
高めることであり︑他方従業員にやる気ど生きがいを感
じさせることにおかれる︒
(二)人的資源の概念
人的資源会計を考察するに当たっては︑そこで認識.
測定される人的資源の概念がまず明らかにされていなけ
ればならない︒
人的資源の本質に関して︑労働力としての人的資源
は︑効益力創出の源泉となるものであり︑客体としての
他の物的︑財務的資源とは異なるとする主張がある︒効
益力創出主体説のもとでは︑人的資源と他の資源とは会
計上の概念範疇が異なり︑同列で扱うわけにはいかなく
国 際 経 営 フ ォ ー ラ ムNo。5
なる︒人的資源会計は︑まず︑人的資源に関する会計上
の取り扱いを︑物的︑財務的資源のレベルまで引き上
げ︑その上で次に︑人的資源固有の特性を認識・測定
し︑情報化する手続をとることになる︒このような人的
資源会計の考之方を前提として︑ここでは人的資源を効
益力創出客体説に立って︑物的︑財務的資源と同質的な
効益力とLて認識する4︑
人的資源会計における人的資源の概念については︑次
に述べるような三つの見解がある︒
第一は︑個人の有する能力や技術を人的資源の価値と
みなす考之方である︒これは個人価値説と呼ばれるりヘ
キミアン(q満BΦのω・=Φ置白冨昌)とジョーンズ(○¢﹃江ω
にし8①ω)は︑個々の経営管理者の管理能力や従業員
の業務能力を会計上資産に計上することにより︑人的資
源に関する合理的な計画や配置が行之ると説く娼︒彼ら
はそのためにインベスト・センターを設け︑セリ法によ
る従業員の企業内スカウトを提唱しているQまた︑フラ
ムホルツ(南目8Ω.聞窮8﹃o}旦によれば︑企業の意
思決定が殆んど従業員個人を対象としていることや︑部
門や企業全体の人的資源の価値は個人価値の総計として
把握されることなどを理由として︑人的資源会計の測定
対象を企業内の個人におーべきであるとされる甫.
第二は︑個人を構成員とする人的組織の有する生産能 カの価値を人的資源価値とみなす考之方である︒これは
人的組織価値説と呼ばれる︒人的組織価値説の主張は︑
個人の有する能力や技術が企業の組織目的に対して効益
を生むのは︑その個人が企業内の特定の組織に配置され
るという事態に至ってからであり︑従って︑個人の能力
や技術それ自体を独立して測定し︑人的資源会計情報と
して提供することは妥当でないとする︑
人的組織価値説は︑リカート(幻Φ嵩ω一〇〇Hし鵠{㊦同甘)︑
ハーマンソン(即oσqΦ目類幽=Φ﹃ヨ餌口のo口)︑ブラメット
(い8菊. c歪欝ヨΦ¢︑パイル(芝三冨白ρ勺≦Φ)な
どによって主唱されている︒リカートは︑企業内の人的
資源の価値は︑その個人が属する特定組織の状況(組織
特性)に大きく影響を受けると考える︒組織特性を規定
する要因として﹁リーダーシップの質﹂ほか=個の変
数をあげている舶︒
人的組織価値説の特色は︑組織との不可分の関係にお
いて個人の価値を認識し︑しかも︑これらの個人価値が
企業の組織の中で他の個人価値と統合されて生み出され
る人的組織価値を測定の対象とする点にあるといえる︒
人的資源の概念についての第三の考之方は︑第二の人
的組織価値と顧客信用の価値の複合値をもって人的資源
とみる見解である︒リカートに代表される考え方であ
る︒
45
さて︑人的資源会計における人的資源の概念に関する
前述の見解は︑いずれもメリットとデメリットがある︒
ここでは︑個人と組織の関係からみて人的資源会計の目
的を達成するためには︑人的組織価値をもって人的資源
とする考之方がすぐれていると解される︒また︑人的資
源価値の測定の面から考察すれば︑第一に︑企業業績へ
の個人の貢献は所属する人的組織全体としての貢献とし
てまず認識され︑第二に︑人的資源のもつ将来効益力の
合理的測定は人的組織の方が個人よりも可能性が高い︑
そして第三に︑人的資源の測定基礎としては犠牲価値よ
りも効益価値におかれ︑それによって人的組織のもつ効
益力を測定することが望ましい︑などの点から人的資源
の概念として個人価値説より人的組織価値説によるべき
ことがわかる岨︒
三︑人的資源会計研究の現状
(一)HRA研究の発展
企業内の人的資源価値に関する研究は︑一九六〇年代
以降︑人事管理における人的資源研究を基礎として展開
されてきた︒フラムホルツによれば︑HRAの研究開発
は今日まで五つの段階を経て発展してきたと考えられ
る︒覗
まず第一段階は︑人的資本に関する経済理論からのH RA概念の分離・独立をはかった時期である︒一九六〇
1六六年がこれに当る︒この時期は︑さらにHRAが︑
人事管理における人的資源研究や組織心理学の目的とす
るリーダーシップ効果に関する研究から離れて︑固有の
問題領域を形成した時期でもあった︒
第二の段階は︑人的資源会計における測定モデルの理
論的研究や人的資源会計情報の潜在的利用者の識別・分
析がなされた時期である︒この段階になると︑HRAに
対する社会の関心もようやくに高まり︑実際の企業組織
において実験的にHRAの適用が幾つか行われるように
なった︒時代的には一九六六‑七一年と区分することが
できる︒この時期にHRAを実践L︑世界に先がけて人
的資源会計報告書を公表した代表的事例が︑後述するR
・G・バリー社(米国オレゴン州)である︒
HRAの第三の段階は︑研究者や企業団体でHRAに
対する関心が非常に高まり︑HRAの研究と実践が広ー
行われるようになった︒一九七一ー七六年のこの時期に
は︑アメリカ会計学会(AAA)で人的資源会計委員会
が設置され︑先にみたHRA委員会報告(一九七三年)
を公表している︒また︑わが国においても日本会計研究
学会にHRAスタディー・グループが設置され︑その成
果が同グループの座長であった若杉明教授によって﹃人
的資源会計論﹂(一九七三年)として著わされている︒
国 際 経 営 フ ォー ラ ムNo.5
HRA展開の第三の段階では︑HRAの実践は主とし
て小規模の企業組織において多くみられた︒とくに企業
内のライン・マネージャーの計画設定や︑企業外の投資
家の投資意思決定へのHRA情報の潜在的な影響効果の
測定が中心的なテーマとなった︒小規模企業の場合︑確
かに従業員等の企業業績に対する貢献意欲のあり方が重
要な影響をもっており︑人的資源会計情報のもつ意義は
大きいといえる︒しかも︑人的資源の測定が容易に行之
るので︑HRA適用の条件が揃っている場合が多い︒
次に︑第四の段階としては︑一九七六‑八〇年の期間
をあてることができる︒この時期は︑これまで開発さ
れ︑実践されたHRAについての研究が一時後退した数
年である︒この時期は一九七四年の第一次オイル・
ショックの直後で︑世界経済が高度成長から一気にマイ
ナス成長あるいは低成長へ移行した時代である,アメリ
カの企業も多ーの産業分野でリストラクチャリングを余
儀なーされた︒このような企業環境の激変状況下で︑企
業にHRAの開発と導入の余裕がなく︑従ってHRAの
実践への適用を実験的に行うスポンサー企業が減少し
た︒このことがHRA研究の一時的減退現象の背景とい
之よう︒
しかしながら︑一方では経済学の分野でベッカーの人
的資本に関する著書が公刊され弔︑また︑経営学の 分野でも人的資源管理(==ヨ鋤旨閑㊦︒︒oロ零Φζ㊤コゆ鵬①‑
§㊦コ∬山菊]6の概念のもとで新しい展開がみられ︑人
的資源の価値の認識はますます高まる状況にあった︒わ
が国においても知識集約型のエンジニアリング︒インダ
ストリーを中心に︑HRAの導入の定義については新た
な認識が広がった︒この間の成果は︑やはり若杉教授の
先の﹃人間資産会計﹂(一九七九年)に集約されている,
一九八〇年以後︑今日までの間は︑これをHRA発展
の第五段階と位置づけることができる︒この時期はいわ
ばHRAに対する社会の関心の復活した時代と特徴づけ
られる覗︒HRAに関する新しい研究が生まれ︑また︑
幾つかの大企業でHRAの実践が試みられるようになっ
た︒アメリカにおいては労働生産性の向上や産業構造の
転換などが背景となって︑HRAへ再び注目が集まって
きている︒わが国においても︑企業のディスクロー
ジャー制度の拡充に伴って︑企業内の人的資源に関する
貨幣的情報や非貨幣的情報の開示に対する要求が高まっ
ている︒わが国でも人的資源会計システムに対する関心
は︑とくに企業組織側において強くなってきている状況
である︒
(二)HRA研究の今日的意義
①R・G・バリー社の先駆的実践
人的資源会計を本格的に実践し︑世界に先がけて人的
4?
資源会計報告書を公表したのはR・G・バリー社であ
る︒バリー社は当時従業員一八〇〇名ほどの中規模企業
で︑米国オレゴン州に本社をおいた衣類・雑貨等の製造
販売業である︒バリー社はもともと従業員や管理職など
管理 者の職 務
第1図ぐ
組 織 の 目 的
i
i i
管 理 任 務 管 理 用 具
当期 企 業 業績
■ 一 冨一 一 一 一 一 π一 一 一」
資 源
一 財 務 一 物 的 一 人 的 一 情 報
一
一
一
‑‑‑一 π罰 一‑一 冨一
長 期 能 力
プ ロ セ ス ー プ ラ ン ー 実 施 一 管 理
i
組 織 的 実 施 結 果
一 一 一一 引レ
フ ィ ー ド ・ノ斗 ッ ク
(注)WilliamC.Pyle"MonitoringHumanResources‐Onllne
の価値を高く評価しており︑いわゆるヒーブル・オリエ
ンテッドな企業である︒
そのバリー社がミシガン大学の社会行動研究所(リ
カート︑ブラメット(カ︒いO㊦ごσ﹃仁巨P5PΦ一)︑バイル
(を白一卑BOも≦Φ)およびフラムホルツなど)とタイ
・アップして︑人的資源会計実施のフロジェクト・チー
ムを編成した︒このようにして一九六八年一月一日を
もって始まる会計年度より︑人的資源会計による財務報
告を実践するに至ったの
ところで︑パイルは管理者の職務について︑上の第二
図のような説明を加之ている茄︒
図に明らかなように︑組織目的のための管理要因とし
ての各種資源とフロセス︑管理任務としての企業業績と
長期効益力がマッチングすることによって︑組織的実施
結果が生まれるい一定時点におけるこれらの各機能の状
態が財務諸表によって情報化されることが求あられる.︑
バリー社の人的資源会計報告書は︑パイルの示す管理
者の職務の全体を情報化する手段として有用である.い
まバリー社の一九七一会計年度末の貸借対照表(じd巴節コoo
GQ9Φけ)とその日をもって終了する期間の損益計算書
(幹讐o目Φ暮oh冒8筥Φ)を示せば︑第二図の通りであ
る︒弱
国 際gフ ォ ー ラ ムNo.5
第2図 バ リー社 の人 的資源 会計報 告書
"THETOTALCONCEPT"
R.G.Barry
tConventional
CorporationandSubsidiaries Pro‑Forma
andHumanResourceAccounting) BalanceSheet
Assets
TotalCurrentAssets・ ・・ ・・ ・・ ・・ …...
NetProperty,PlantandEquipment・ ・ ・・ ・ ・・ ・・ ・・ ・・ …
ExcessofPurchasePrice・ ・
overNetAssetsAcquired・ ・ ・・ ・・・ ・ ・・ ・・ ・…...
NetInvestmentsinHumanResources・ ・・ ・・ ・…
OtherAssets...
1971 Conventionaland HumanResource
1971 Conventional
C)nly X12,810,34fi
3,343,379 1,291,079 1,561,264 209,419
$12,810,346 3,343,379 1,291,079 209,419
$19,215,487 X17,654,223
LiabilitiesandStockholders'Equity
TotalCurrentLiabilities・ ・ ・ ・・ ・・・ ・・ ・ ・・ ・・ ・・ ・…...
LongTermDebt,ExcludingCurrentInstallments
DeferredCompensation・ ・・ ・ ・・ ….…...
DeferredFederalIncomeTaxesBasedUponFull TaxDeductionforHumanResourceCosts Stockholders'Equity:
CapitalStock...
AdditionalCapitalinExcessofParValue・
RetainedEarnings:
Financial...
HumanResources・ ・・ ….・ …...
TotalStockholders'Equity・ ・・ ・・ …
3,060,576 5095,000
95,252 780,fi32 1,209,301 5,645,224 2,548,870
7sos32
3,060,576 5,095,000 95,252
1,209,301 5,fi45,224 2,548,870
10,184,027 9,403,395 X19,215,487 $17,65・4,223
Statementofincome
NetSales...
CostofSales...
GrossProfit...
Selling,GeneralandAdministrativeExpenses…
OperatingIncome・ ・ ・・ ・・ ・ ・・・ ・・ ・ ・…...
OtherDeductions,Neレ ・ ・・ ・・・ ・ ・… 一 ・・..・...・....
IncomeBeforeFederalIncomeTaxes NetIncreaseinHumanResourceInvestment・
AdjustedIncomeBeforeFederalIncomeTaxes・
FederalIncomeTaxes・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ …...
NetIncome...
$34,123,202 21,91S,942
X34,123,202 21,918,942 12,204,260
9,417,933
12,204,260 9,417,933 2,786,327
383,174 2,403,153 137,700 2,540,853 1,197,850
2,786,327 383,174 2,403,153 2,403,153 1,129,000 1,343,003 1,274,153
49
人的資源会計報告書の右側の金額欄は伝統的会計情報
で︑人的資源の投資額(人間資産勘定)は含まれていな
い︒一方︑左側の金額欄が伝統的会計情報に人的資源情
報が加わったもので︑この情報がHRA情報と呼んでい
るものである︒記載されている人的資源に関する情報項
アラ目は次の通りであるd︑
人間資産勘定"(貸借対照表)①人的資源投資残高(2Φ二毫︒︒︒げ目Φ耳ω
ヨ鵠二]B缶コ菊㊦ωo⊆器㊦ω)
②人的資源コストの税控除(弓霧閑㊦Ω‑
¢o江oづho同國窪β9D⇒菊Φのo⊆胃800ω甘)
③留保利益"人的資源(菊Φ邸冒①創国胃‑
駄⇒σqωn=¢ヨ碧菊㊦︒・o類8の)
(損益計算書)①人的資源投資評価益(Z卑冒くΦ︒︒吋B①馨)
バリー社は︑HRAシステムの導入で︑その三年間企
業業績を大きく伸ばした︒
②HRAの今日的展開
人的資源会計の研究は︑今日再び注目を集め︑大企業
などでも適用されてきている段階にある︒とくにアメリ
カにおけるその背景を探れば︑第一には︑企業における
労働生産性の低下傾向と能率増進の要求があり︑第二に
は︑日本企業における人的資源への対応(費用としてよ
りも永久資産としてのアプローチ)に対する関心の高ま り︑第三には︑従来の製造業重視のヨーロッパ型経済か
ら︑人的資本が中心資源となるハイ・テク型のサービス
経済への転換︑が主たるファクターとなっている鴫︑
フラムホルツは︑この時期においてアメリカの大手企
業がHRAの全社的な導入実践をはかっている事例を紹
介している︒すなわち︑アメリカの大手の銀行︑合衆国
海軍戦略研究所(d口詳㊦αoQ$8︒︒○窪80hZ帥く巴
勾︒︒︒$零プ)︑証券会社︑航空会社︑産業部品メー
カー︑製薬会社︑監査会社("じd一σq‑①"会計事務所)︑カ
ナダの大手製造業︑およびヨーロッパの大手備品製造会
社などで近年HRAの組織的実践がなされていると指摘
へ らして︑る組,
一方︑わが国においても人的資源に依存する知識.技
術集約型の事業︑たとえばエンジニアリング・インダス
トリーやソフト・ウエアー開発会社などで︑HRAに対
する関心が高まっている︒また︑近年における企業内容
開示制度の拡充のもとで︑会計情報に対する利害関係者
の情報要求も拡大L︑多様化している︒従来のモノやカ
ネに関する会計情報に加えて︑ヒトや情報や環境に関す
る情報の開示要求が強まっている状況である︒
ヒトに関する情報は︑上場企業が証券取引所に提出す
る有価証券報告書においても︑これまではかなり限られ
た範囲での記述情報(定性情報)が中心である︒ヒトに
国 際 経 営 フ ォ ー ラ ムNo.5
関する会計的情報としては︑給与等の特定・費用項目と
有償で取得した場合の営業権(のれん)の一部(人的資
源価値とその他の部分は分離計上されない︒)のみが開
示されているに過ぎない︒人的資源に対する投資額の資
産化や人的資源の価値についても測定︒表示するHRA
の導入の意義や重要性は︑今日ますます高まっていると
いわなければならない鵬︒
四︑人的資源管理とHRAシステム
伝統的な人事労務管理論においては︑ヒトを経営管理
の機構上どのように位置づけるかということが関心の中
心であった︒そこでは︑組織管理目的の達成と従業員
個々の私的満足とのバランスをはかるシステムが検討・
開発されたように思う棚︒
一九七〇年代後半から八〇年代にかけて登場し︑今日
まで展開されている人的資源管理(=ロ日⇔コ切Φ‑
ω2器㊦ζ雪⇔σq①80コ計記切ζ)は︑ヒトを企業内の人
的資源としてとら之︑それを企業経営全体の機構の中で
どう位置づけ︑あるいは生かして行ーかということを課
題としている︒従って︑HRMは人的資源についての機
能主義観に立っているということができる︒
一方︑わが国での人的資源管理についての展開は︑人
的資源としてのヒトの部分と︑全人格的な存在としての ヒトを同時に考察し︑経営管理システムの中で合理的に
統合しようと試みている磁︒今日では︑人的資源管理を
経営管理戦略の中核において︑両者の統合もしくは融合
をはかろうとする方向での展開がみられる︒このように
HRMを戦略的アプローチによって新たに展開する方向
は戦略的人的資源管理と呼ばれている粥︒
塩次喜代明教授は︑人格的側面を強くもつヒトが戦略
の中心となるようなHRMを﹁人的資源戦略﹂(国自日碧
図①ωo=﹃oΦω訂鉾㊥σq賓"=菊ω)と呼ぶ︒塩次教授は︑経
営戦略とHRMが相互浸透する関係を︑第三図のように
表わしている棚︒
塩次教授のこのようなアプローチは︑人的資源会計の
目指す方向に照らして︑極めて示唆的である︒示唆的で
あるにとどまらず︑このような人的資源戦略(HRS)
と人的資源会計(HRA)の相互浸透あるいは統合の可
能性が探究できるように考える︒
ところで︑人的資源会計システムの構築に当たって︑
その測定︑伝達︑利用のシステムとの関係は極めて重要
である︒これを人的資源会計の情報システムとしてとら
.之れば︑人的資源会計情報の伝達ループとそのフィード
バック.ループを通じて︑人的資源会計システムと人的
資源管理システム(HRMシステム)︑あるいはHRA
システムと塩次教授の展開される人的資源戦略システム
51
第3図 人 的資源戦 略の分析 的枠組 み
場
働労
←
〔企 業 〕
易耐
争1▼競
」
戦 略 的 リー ダ ー シ ッ プ
糊 /
組
團 \
織組営経J
企 業 行 動
↓
経 営 成 果
第4図 人的資源会計 システム と人的資源管理 システム
企業 の戦略的 経営 活動 (人的資源の利 用)
デ ー タ1
入力 」
人 的 資 源 会 計 シ ス テ ム
(貨 幣 的 測 定4ト1そ 嘗 等白 勺沮ll定) 情報出力
レ
〈 … 一一… 一
t
A
" i、
、人 的 資源
、 会 計
ほ
ノ シ ス テ ム
ロロ ロ
y
人的資源の 管理保 全 と利 用
(HRM)
4
1,
.● ● じ 薗9
戦 略 的 入 的 資 源 管 理 シ ス テ ム
̲→ イ ン フ ォ メ ー シ ョ ン ・ ル ー フ
〈̲… フ ィ ー ドバ ッ ク ・ル ー プ
国 際 経 営 フ ォー ラ ムNo.5
との相互浸透もしーは機能的結合がはかられるように思
われる︒
そこで︑人的資源会計システムと情報の測定・伝達・
利用の関係を図示すれば︑第四図のように表わすことが
ゆら てきる曙⊂
この図は︑人的資源会計システムの側からみての関係
を示したものであるが︑両システムの相互浸透もしくは
統合の範囲が描けるものと考える.人的資源会計の新し
い領域での︑より広範囲な展開が期待できると思われ
る︒引き続きこの面で研究を深めてゆきたいと考えてい
る︒
(てるや・ゆきお/経営学部教授)
(注)
L経済学においては人的資本の研究(マクロレベルで
の教育・医療投資等の効果測定)が早ーからなされ
た︒また︑経恥宮学においてもテイラー(国目⑦傷①ユ犀
≦章臼鋤覧O﹃)の科学的管理法以後の初期人間関係論
(メイヨー(的ζ譜o)やレスリスバーガー(国.
9菊o簿三δげ霞σQ鶏)らによるホーソンエ場の実験)
の拾頭により︑人的資源の重要性についての認識が高
まった︒
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乞若杉明著﹃人的資源会計論﹄森山書店︑一九七三
年︑=二〜一六頁を参照のこと︒
なお︑一八六五年以前のアメリカ南部における事例
をもどに︑人的資源会計の発生をその頃に求めるフ
レッシャー(O巴Φピ'国Φωげ㊦こらの研究がある︒こ
れについては︑次の文献を参照されたい︒
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拙稿﹁人的資源会計の発生に関する一考察﹂︑﹃沖
大経済論叢﹂第八巻第一号(一九七四年三月)︑七五
〜八九頁︒
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53
色若杉明著﹃人間資産会計﹂ビジネス教育出版社︑一
九七九年︑二一頁︒
なお︑若杉教授は同書序文で前著(前掲書)で使っ
ていた人的資源会計よりも︑人間資産会計の方がより
ご自身の構想を適切に表現するとして︑用語を替えて
おられる︒
乳人的資源の本質に関する効益力創出主体説と効益力
創出客体説の考え方については︑詳しくは︑拙稿i人
的資源の概念に関する一考察L(﹃沖大経済論叢﹄第
四巻第一号(一九八〇年三月)一一一〜一一四頁)を
参照されたい︒
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OOこ一㊤①8℃﹂幽①(三隅二不二訳﹃組織の行動科学ー
ヒューマン・オーガニゼーションの管理と価値﹄ダイ
ヤモンド社︑一八六八年︑一八五〜一九五頁)︒
几人的資源会計の問題領域および人的資源の概念につ いて︑筆者はすでに次の二つの論文で︑ここに明らか
にしたような内容を詳しく検討しているので参照され
たい︒
拙稿︑前掲論文︑一〇七〜一二七頁︒
1﹁人的資源会計の問題▼領域﹂︑﹃沖大経済論
叢﹄第五巻第一号(一九八一年二月)︑=一三〜一
三七頁︒
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(佐野陽子訳﹃人的資本ー教育を中心とした理論的・
経験的分析﹂東洋経済新報社︑一九七六年)
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毘森崎民造稿剛人的資源会計ー従業員の"資・産価値"
を数量化する﹂︑﹃産業経理﹂第三二巻第一一号(一
九七二年一一月号)︑七〜一二頁を参照のこと︒
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皿若杉明稿﹁会計情報の多角化とディスクロー
ジャー﹂︑﹃企業会計﹄<o=轟Zo.一(一九九二年一
月号)︑四五〜五二頁参照のこと︒
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舩伊丹敬之著﹃人本主義企業﹄筑摩書房︑一九八七︒
津田真激著﹃日本的経営の人事戦略﹄同文館︑一九八
七︒
器塩次喜代明稿﹁戦略と人的資源管理の統合を目指し
て﹂︑﹃松山大学論集﹂第四巻第五号(一九八三年二
月)︑=頁︒
肱塩次喜代明稿︑前掲論文︑一六〜一七頁︒
器この図は︑ここでの筆者の構想を表わすために︑若
杉教授の次の文献に示されたものを参考にLて︑作成
したことを断っておきたい︒
若杉明稿﹁人的資源会計システムと人的資源会計情 報の展開L︑
〜七一頁︒ ﹃リクルート﹂一九七四年六月号︑六四