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消費財への環境税の最適税率と厚生効果

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全文

(1)

消費財への環境税の最適税率と厚生効果

その他のタイトル Optimal Taxation and Welfare Impacts of Environmental Taxes on Consumer Goods

著者 鎌苅 宏司, 村田 安雄

雑誌名 關西大學經済論集

52

1

ページ 57‑80

発行年 2002‑06‑01

URL http://hdl.handle.net/10112/4509

(2)

論 文

消費財への環境税の最適税率と厚生効果

要 約

最適環境税率の決定とその厚生効果を分析するために、代表的個人の効用に影響を及ぼさない一 定の移転賦与を行う政府のもとで、消費の外部不経済をもたらす汚染財へのビグー税を分析した

Sandmo ( 1 9 7 5 )

の最善解の導出を複数の汚染財について求める。次に、清浄財・汚染財・余暇の

3

財モデルにおいて次善解を分析した

Bovenberg=deM o o i j   ( 1 9 9 4 )

について、スルツキ一方程式 を用いて労働賃金あるいは清浄財を非課税とする場合と、

Schob ( 1 9 9 7 )

の全

3

財に課税する場合 において、それぞれ最適税率を決定する。さらに、労働所得税を調整項として税収総額を不変に 保つ税収中立の仮定もとで汚染財課税の税率上昇がもたらす環境税の厚生効果を

3

つに分けて表現 し、この厚生効果の判定が既存の税体系と最適税率との乖離に依存することを明らかにし、併せて、

この厚生効果を

P a r r y ( 1 9 9 5 )

にならって図示する。最後に、

W i l l i a m s ( 2 0 0 1 )

の方法によって、

汚染財と清浄財の間の最適な税差がピグー税を労働所得税の

MCF

で除した商に等しいことを導出 する。

キーワード:環境汚染;ピグー税;限界漿境損害;租税交互作用;税収再循環 経済学文献季報分類番号:

0 2 ‑ 2 6  ;  0 2 ‑ 3 3  ;  1 3 ‑ 1 1  ;  1 3 ‑ 1 5  

(目次)

1.  はじめに

2 .  

複数汚染財へのピグー課税の最善解

3 .  

清浄財・汚染財・余暇の

3

財への最適課税

4. 

労働非課税の場合の

2

財課税の次善解

5 .  

清浄財非課税の場合の

2

財課税の次善解

6 .  

3

財へ課税する場合の次善解

7 .  

環境税増税の厚生効果

8 .  

汚染財と清浄財の間の最適な税差 付録A.賃金率に関するスルツキ一方程式 付録

B .

弾力性表示の租税交互作用効果

(3)

5 8  

関西大学『経済論集』第

5 2

巻第

1

( 2 0 0 2 年 6 月 )

1 .  

はじめに

自動車の排気ガスや煙草の煙など、消費財の消費に伴う環境汚染に対して、如何なる環境 税を課するべきであるかについて、最適税率を求める。消費財についての最適課税の理論は 恐ら<

Sandmo ( 1 9 7 5 )

が最も明快であろう。そこでは多数の消費財のうちの一つが環境汚 染財であって、それに対するビグー課税の最善解

( f i r s t ‑ b e s ts o l u t i o n )

と次善解

( s e c o n d ‑ b e s t s o l u t i o n )

が求められる。その理論では各消費者は全く同一の効用関数をもつと考えられ、

汚染消費財の消費に伴い自分の効用は増すが、その副次効果として排出する汚染が、社会全 体の不効用へ追加する大きさはごく微小であって、各自の汚染財消費がもたらす不効用はゼ ロに等しいと各消費者は想定するものと考えられる。しかし政府は全社会レベルで汚染消費 財によってもたらされる環境汚染を全社会の厚生関数の中で把えて、税率を最適に決定する 基準を全社会の厚生を極大化するように設定する。

Sandmo

の導出によれば、その最善解で は汚染消費財にのみピグー税が課せられ、清浄財は非課税になる。他方で彼の次善解ではす べての消費財に課税され、特に汚染消費財には追加的にピグー税が加算される。労働賃金に 対しては非課税の想定が置かれてきた点を後の論者達は改めるが、最適解導出の方法は基本 的に

Sandmo

のそれと同様である。

我々は先ず彼の最善解を多数の汚染消費財の場合に拡大することを第

2

節で行う。次善解 については

Bovenberg=deM o o i j  ( 1 9 9 4 )

の清浄財・汚染財および余暇の

3

財モデルにおいて、

労働賃金を非課税にする場合と、清浄財を非課税にする場合に、税率変化のスルツキー方程 式を適用して最適税率を導出する(第

4

節と第

5

節)が、それは

Schob ( 1 9 9 7 )

の方法に従 う。ついで労働も清浄財もすべて課税される一般の場合に最適税率を全 3財について求める

6

節)。これは

Schob

の結果を一般化している。

7

節では、税収総額を不変に保つ状態において、汚染財課税の税率を上昇させることに よる厚生への影響が、労働所得税を調整項として分析され、 3つの効果にまとめられる。こ れらの効果の大きさを決めるのに、既存の税体系が係わっており、それが次善解としての最 適税率の体系から乖離して、特に当初の環境税が最適な税率より低い場合には、環境税増税 は厚生にプラスの効果をもたらすであろう。

さらに第

8

節では、各消費財が余暇と同等の代替関係にあるとき、汚染財と清浄財への課 税の間の最適な税差を求めるが、それはピグー税を労働所得税の

MCF

で除した商に等しい ことがわかる。そこでの導出過程は

W i l l i a m s( 2 0 0 1 )

の方法をより明快に説明するものとなっ ている。

(4)

2 .  

複数汚染財へのピグー課税の最善解

Sandmo ( 1 9 7 5 )

は多くの消費財のうちの一つが汚染財

( d i r t yg o o d )

である場合に、後者 へのピグー課税の最善税率を導出した。我々は複数の汚染財に対してピグー税を課すことを 想定して、それらの最善税率を求めるが、その他の点は

Sandmo

に従う。

当面の経済社会には

N

人の消費者が居て、その人達は同一の効用関数ufを持ち、その関 数は余暇と

m

種の消費財、および

m‑r

種の汚染財に依存するものとしよう。いまふ

( i = 1 ,  

…, m) を第

i

財の一人あたり消費量とすると、

X ;  

N:. 

は、その財の社会全体の消費量を表す。各人の労働可能最大時間を

1

として、 X。を実際の 労働時間とすると、

x:。はその人の余暇を示す。第

1

財から第

r

財までを清浄財

( c l e a n g o o d s )

とし、第

r+l

財から第

m

財までを汚染財として、各人は余暇と各消費財からプラ

スの効用を得、

m‑r

種の汚染財の社会全体の消費からマイナスの効用を得ると考えられる。

かくして各人の効用関数はつぎのように表される。

u1=u(l-~。,ふ,…, Xm,Xr+h …,Xm) 

ここに限界効用は

u

1u/a(I‑x

)

>O  u 咸 u /

>O ( i = l ,   …,  m) 

Uj+m—

,=au/a~<O ( j = r + I ,   …,  m) 

である。

(1) 

( 2   a )  

( 2  b) 

( 2  c

) 

社会全体の消費財生産は労働投入によって下記の固定係数の変形関数に従うものとする。

 

a

= x ;

(a;>O)

i=I 

(3) 

ただし

X

。三ル。である。

全社会の厚生

Nu1

( 3 )

式の変形関数の制約の下に極大にするための極値条件を求め よう。それは、ラグランジュ関数

A

A=Nu(l‑x0, 

ふ,…,Xm,N;+h

N

心ー

a ( ‑ x ;

。十孟

a

(5)

6 0  

関西大学『経済論集』第

5 2

巻第

1

( 2 0 0 2 年 6 月 )

と定義して、

1

階条件

BAI

=0 ( i = O ,  1 ,   … ,

m) 

を解けばよい。ただし、 aはラグランジュ乗数で、 BA/ax

=O

より a=u

となる。また

a l ¥ / 祝 =O ( i = l ,  

, 

r )

より

生— =a;

u

( i = l ,   … , r )  

を得て、さらにaA/

祝 (j=r+ 1 ,   ・ ・ ・ ,  

m) より

U ・ U ・  

(1+N

言)

=aj  (j=r+l,  … ,

m) 

(4) 

(5) 

(6) 

を得る。

(5)

式の意味することは、清浄財については、その財と余暇の間の限界代替率は、

それらの限界変形率に等しくなるように、その財の需要量を決めるべきだということである。

これは

S a m u e l s o n

の公共財供給の最善条件と同じである(村田=鎌苅

( 2 0 0 0 ),  p ; l 6 7

を参照)。

つぎに

(6)

式左辺の括弧内の第

2

項は、汚染財の消費の限界効用Ujに対する、汚染の 負の限界効用Uj+mrの比率を全社会的に表すので、その絶対値をその財の消費に伴う「純粋 の不効用率」と称して、これを

e j

と記すと、

(6)

式はつぎのように書き換えられる。

‑(1‑0 u

Uj 

i )  =ai  (j=r+l,  …, 

m) 

t t

しここに

炉— Nui+m-rlui

(>O) 

と置かれている。以上の考え方を競争均衡の表現で解釈し直そう。

いま生産者価格ベクトルを

p=  ( p o , P i ,   …, 

Pm)  と記し、消費者価格ベクトルを

q=  ( q 。 , q i ,  . . . ' q 』

と記して、労働をニュメレールと選んで、

(6') 

(7) 

(6)

q 。 =p 。 =1

と置く。つまり賃金率を

1

として、それに税は課されないものとする。競争均衡では、消費 者は価格

qを含む予算制約の下で効用を極大化し、他方で企業は価格ベクトル

Pを所与とし て、利潤を極大化する。ゆえに、消費者の均衡は、予算制約式

‑x

 

iざ炉

;=B

(8) 

の下で (1) の効用を極大化した状態である。ただし B は公共部門から授与される政府移 転賦与額である。個々の消費者は市場において微小であるので、各汚染財の消費変化はその 市場全体の消費量へほとんど影響を及ぼさないと想定される。したがって実質的に

a~

=O (j=r+l,  …,  m) 

(9)  が想定される。かくしてラグランジュ関数

<I> =u (l‑x

。,ふ,…ぶ

m,X,+1, 

… , x 』 ‑ f 3  

(‑x

。+ I : q

;‑B)

;~1 (10) 

を定義して、

1

階条件、 8/8x; 

=O

を求める。ここにBはラグランジュ乗数で、 a<1>1ax

=O

より

/ 3  

=u

となる。そして (9) の想定があるので、 8/Bx; 

=O ( i   =l,  …, 

m) より

‑=q;  ( u

U; 

。 i = l ,  ・ ・ ・ ,  m) 

(4') 

(11) 

を得る。他方で企業は (3) の生産制約式の下で、利潤冗 =Jl必— X。を極大化すると、

明らかに

P ; = a ;   ( i = l ,   …,  m) 

(12)  が成立する。これは生産者価格が限界費用に均等になるべきであることを意味する。 (11). 

(12) を (5)・(6') に対比することによって、

q

P ; ( i = l ,  ・ ・ ・ ,  r )  

qil ‑ e i )  =pi  (j=r+ 1 ,   …,  m) 

が導出される。 (14) 式はさらに

(13)  (14) 

(7)

6 2  

関西大学『経済論集』第

5 2

巻第

1

( 2 0 0 2 年 6 月 )

q j =  ( 1

) P i (j=r+l,  … ,

m) 

と書き換えられる。ここにてiは従価税率として、

e .

戸 下 句

  (j=r+ 1 ,   … ,

m) 

と置かれ、特にちが正値をとるために

e i < l  

が想定される。

(14') 

( 1 5 )  

(7') 

(13)式は、清浄財が課税されないことを意味し、 (14')式は汚染財がてiの税率で課税さ れることを意味する。したがって巧はビグー税の最善税率と解釈される。

これまでの公共部門の役割は負の外部性に対してピグー税を課し、それからの税収を一払 移転賦与を通して消費者へ配分することであった。つぎに我々は公共部門に一層現実的制約 を付したモデルヘ転じる。それは多くの財や労働賃金への課税を想定し、それらの税による 価格のゆがみ

( d i s t o r t i o n )

を生じるので、セカンド・ベスト(次善)の解を追求する問題 である。

3 .  

清浄財・汚染財・余暇の

3

財 へ の 最 適 課 税 本節のモデルはつぎの特徴をもっている。

(1)

消費財の種類は

2

種で、一つは清浄財

C

であり、他は汚染財

D

であって、両者に課 税され、その従価税率は、それぞれたとゎである。ただし

C

D

は一人当たり消費鼠を示す。

(2)

一消費者の余暇を

H

と記し、労働を

L

として、

H+L=l 

(16) 

とする。労働賃金に比例的に課税され、その税率を

t l

と記す。

(3)

各消費財の生産者価格を

1

とし、また賃金率も

1

とする。したがって清浄財と汚染 財の消費者価格は、それぞれ

l+

たと

1

十ゎである。そして税引き賃金率は

1‑ t l

である。

(4)公共部門は公共財 Gを供給して、これをちょうど賄うように課税を決める。

(5)

各消費者の効用関数には、プラス効用をもつ変数として

C・D・H・G

が含まれ、環境 の品質

E

が追加される。

E

の向上はプラス効用を増やすが、社会全体の汚染財消費量

ND

E

を低下させると想定する。すなわち

(8)

u1=u(C,D,H, G,E) 

U1

8u/8I>O E=e(ND), 

(I=C,D,H, G,E)  e '

de/d(ND) < O  

各消費者は、予算制約式

( 1  + t c )  c+  ( 1

D =   ( l  ‑ t L )  (l‑H) 

( 1 7 )   ( 1 8 )  

( 1 9 )  

( 2 0 )   の下で、 ( 1 7 ) 式の効用を極大化するが、 (9) と同様に各人の D が全体の ND に及ぼす影 響を無視する。ゆえに G と並んで E も不変と考える。 したがってラグランジュ関数

① 

=u(C,D,H, G,E)

( 1+ t c )  c+  ( 1

D‑( l ‑ t i )  (1‑H)f  ( 1 0 ' )   を定義して、 1 階条件 a < 1 > ; a 1 = 0 (l=C,D,H) から下記を得る。

示す。

Uc= 入 ( 1

+

Un= 入 (1+

UH=

(1fL)

入は個人所得の限界効用を

( 2 1  

a) 

( 2 1  

b) 

( 2 1  C)  ( 2 0 ) 式と ( 2 1   a ,   b,  c) の 3 式によって、 C・D・H と入が一意に決定され、前 3 者は下記 のように表される。

C=  C ( t c ,  t n ,  t i )   D=D(tc, t n ,  t i )   H=H(tc, t n ,  t i )  

ゆえに各消費者の間接効用

U

( t c ,  t n ,  t L ,   G ,  E )  

=u[C(・),D(・),H(・),G,E] 

と表現される。ただし ( 2 3 り 式 内 の (・)は ( t

t L )

( 2 2  

a) 

( 2 2  

b) 

( 2 2  C) 

( 2 3 )   ( 2 3

を意味する。税率の変化が

u

に及ぼ す影響は、 ( 2 1 a ,   b, c) 式を考慮に入れ、 G と E を不変と想定するので、つぎのようになる。

仇 = 入

( 1+ t c )仇 + 入 ( 1

十ゎ)閏+入

(1‑

り)閃

(9)

6 4  

関西大学『経済論集』第

5 2

巻第

1

( 2 0 0 2

6

月)

( 1

+

( 1

( l‑ t i )

腐~=入 (l+た)仇+入 (1 十ゎ)閃+入 (l

t L )

また消費者予算式

( 2 0 )

を各税率で偏微分すると、つぎのようになる。

C+(l+

+(1+

+(I‑ti)

=O

) AC 

D+(l+t  +(l+t)  a n   a H  

O t v  

O t v  +(I‑ti) o t v   =O  L+  ( 1

孔)仇+

( 1

叫翡+

( l   ‑ t i )

=O

( 2 5 )

式を

( 2 4 )

式へ挿入して、下式が得られる。

I (l=C,D,L) 

他方で公的部門(政府)は、その予算制約式

G=  ( t ぷ 叫D+tiL)N

の下で、社会的厚生

vN

を極大化するように各税率を決定するが、

想定するので、 ラグランジュ関数甲をつぎのように定義する。

W =  

v(

t n ,t L ,   G ,  e  (ND 

(·)))—訊C十ゎD+tLL-G/M ゆえに

1

階条件

aw;at;=O(i=C,D,L)

によって

+NuEe'

仇=1/J(C+tc 仇 +tn勢~+ti 仇)

+NuEe'

(D+tc

+tn

+ t i

+NuEe'

閃=

1 / J ( L + t c

+tn

+ t i

が導出される。ここでラグランジュ乗数↓の意味を考えよう。いま Q

( t c ,

t i ,G ,  e(ND(・))) 

T=た

c+

D+tiL

このとき

( 2 4 )  

( 2 5 )  

( 2 6 )  

( 2 7 )  

(19)式の E

(28) 

( 2 9 )  

(10)

と置けば、

( 2 9 )

式は下記のように表される。

T t i  

a a

小 ャ  

‑ ︳  

o t i  

a a

 

(i=C,D,L)  ( 3 0 )  

そして0Tの変分式はそれぞれ

叩=悦血+悦曲+闘

d t L

dT=

悶此+闘

dtv+

d t L

であるので、

( 3 0 )

式を考慮すると、

dO=  i / ) d T   ( 3 1 )  

が導出される。

( 3 1 )

式は↓が平均的な増税ー単位による個人の純効用の変化額を表すこと を意味する。したがって力は負値をとる。

さて

( 2 6 )

式を

( 2 9 )

式へ代入してから、後者を行列表示したものが次式である。

u E e '

( 1 +

c

か臼’促— (1+心)D

釦臼 閃―

( 1 +

L

L t c  

a a

D t

 

a

c  

a  

c t c  

a a

  L

t D

 

a a

 

D t

D  

a a

 

c t

D  

a a

  L

t L

 

a a

 

D t

L  

a a

 

c t

L  

a a

 

C D  

t t

  ( 3 2 )  

( 3 2 )

式から各税率を求めることは形式的に可能であるが、その陽表的解の形は複雑過ぎる。そ こでたまたは

t i

をゼロと置いて、汚染財へのビグー課税の次善解を求めたのが

Schob( 1 9 9 7 )  

であり、次節でその導出過程を解説しよう。

そのための準備として、

( 3 2 )

式左辺の係数行列の各要素を、付録

A

にまとめられたスル ツキ一方程式で表現する。

( A l )

を考慮して、

( A ' 2 )

より

=Scc‑C

立=喜噂ー,

=Svc‑C

=S

ェ 遭

( 3 3 )  

を得、 また

( A 4 )  

より次式を得る。ここでY=(l‑tJLである。

(11)

6 6   関西大学『経済論集」第5 2 巻第 1 号 ( 2 0 0 2 年 6 月 )

aL =‑an  aL  a t e   a t e  =Sie‑C ay 

此=―閃=心疇

そして

w=l‑t i

を考慮して、

( A 5 ) ac  ac  ac  a t i  =  ‑aw =SLC‑L ay  an  =‑ an  =Sw‑L  an  a t i   aw  ay 

( 3 4 )  

( A 6 ) よ り

( 3 5 )  

肱=―此=ー

Su‑L

を得る。代替項の間につぎの関係があることに注意しよう。

S c v = S v c   SLc=‑ScL  Sw=‑SvL 

(36) 

4 .  

労 働 非 課 税 の 場 合 の

2

財 課 税 の 次 善 解

労働賃金を非課税とする場合に、汚染財と清浄財への最適課税を求めるには、

( 3 2 )

式に おいて

t i = O

と置いて、その他の税率について解けばよい。すなわち

︱  

C D  

︑ ̀ \

' / ,

' / ,

  1 1  

/

 

D t

C D

̲ t

D  

a a a a  

tp tp  

︳ ︱  

 

︳  

tc

tD

 

︳  

︳  

D t

C D

t D

 

a a a a  

c t

c c

t D

 

a a a a  

 

(37) 

の体系において

t c

t v

の解を求める。ここに

t p

t p

三 ー

Nu

召/入

(>O)  ( 3 8 )  

Bovenberg=deM o o i j   ( 1 9 9 4 )

が置く。右辺は汚染財の社会的限界不効用を私的所得の限 界効用で除したもので、「限界環境損害

( m a r g i n a le n v i r o n m e n t a l  d a m a g e s )

」と呼ばれる。

これを最善ピグー税率に等しいと考えて

t p

と記すが、その理由は、最善ビグー税率

( 1 5 )

のてr+l

(j=r+l

と置いたがが、

( 7 )

式の0,+1を考慮して、

(12)

てr+I ‑Num+I  U,+I 

Num+I 

汚染財の社会的限界不効用 汚染財の私的純限界効用 と表されることにある。

さて

( 3 7 )

式左辺の係数行列を

Q

と記し、その逆行列

Q —'~ 高 [ _ 立

D t

D  

a a  

D 一

t c

c t

c  

a a a a  

( 3 7 )

式の左側から乗ずると、たとゎはつぎのように解かれる。

1 (

崎)(噂噂)

t p +I

( 1 +

心)(土噸)

これらの式へ

( 3 3 )

tc= 

~ ~

'‑'‑でヽ

の各式を代入すると、 それぞれ下記のように整理できる。

t  1 入

c = ~ ( 1 + l f )   (DSCD

C S D D )  

ゎ=一— t+

入 CSCD‑DScc

i./J 

DSCD‑CSDD  t 

ここに行列式

I Q Iは

IQl=SccSDD‑s ぷ+ (DSCD‑CSDD) 府 + (CScD‑DS

叫僻

になる。さらに

( 4 2 )

式の

I Q Iを ( 4 0

りへ代入して、

( 4 1

りを考慮すると、次式が得られる。

1+  7 / J  

SccSnn‑Scn2  a c  

DScn‑CSnn  +  a y  

+(p)

t c   a a n y    

入 >Oと↓

0

を考慮して、

/ J . =

+ t c

(>O) 

と置くと、

( 4 3 )

式はつぎのように書き換えられる。

SccSvv‑Scv2  DScv‑CSvv 

(1‑μ)

t c *

( 1 5

( 3 9 )  

( 4 0 )  

( 4 1 )  

( 4 0 ' )  

( 4 1 ' )  

( 4 2 )  

( 4 3 )  

( 4 4 )  

( 4 5 )  

(13)

6 8  

そして

関西大学『経済論集』第

5 2

巻第

1

( 2 0 0 2 年 6 月 ) ( 4 5 )

式のたを

( 4 1 ' )

式へ代入して、

ゎ=一―

t+ CScn‑DSnn

T / J  

S e c

饂 ー

S c n 2(l‑μ,)=

+tn* ( 4 6 )  

と表現される。清浄財と汚染財はおおまかに代替関係にあると考えられるので、

S e n

は正値 をとり、

S e c<O

、SDD<Oを考慮し、 さらに

O<μ<l  ( 4 7 )  

を想定すると、がと

t v *は共に正値になると考えられる。特に汚染財への税率ゎは t v *にピ

グー課税部分(‑入

/ 1 / J ) t p

が追加された形をとっていることは注目される。

なお

t v *は環境税のうちの「ラムゼイ成分 (Ramseycomponent)

」と名付けられる。

この節および次節以降にて算出される次善解としての最適税率は、既存の税体系

( p r e ‑ e x i s t i n g  t a x  s y s t e m )

に依拠していることに注意しなければならない。例えば

( 4 0 )式と ( 4 1 )

式で示されるたとゎはそれぞれの式の右辺の各項によって決まるが、 そこでの財需要量と 税率に対する需要の微分係数、および

I Q I

の値は既存の税体系における数値を用いる。これ

に対し、第

2

節での最善解としてのピグー税率は税体系が未だ無い状態で考案された。

5 .  

清浄財非課税の場合の

2

財 課 税 の 次 善 解

清浄財に課税しない場合には、労働賃金に課税される。その場合の最適税率を求めるには、

( 3 2 )

式において

tc=Oと置いた体系

 

D L  

、\~、\.~

入 ︳

← 入 一 ←

  1 1  

/ ,\

︵ー ー\

 

D t D D t L  

a a a a  

tptp 

入辺入一←

︳ ︳

 

 

 

tDtL 

 

 

L t D L t L  

a a a a  

D t D D t L  

a a a a  

︳ 一

(48) 

をゎと

t L

について解けばよい。

ら乗ずると、つぎのようになる。

[::]=贔 l-~ a a  

L

L t L  

この式の左辺の係数行列を

M

と記し、 その逆行列を左側か

 

D L  

ヽー︶ヽー︶

入初入︳←

  1 1  

 

 

a D a t D a D a t L  

t p t p  

入砂入←

 

a L a 一

t D a D a t D  

これを書き換えたものがつぎの

2

式である。

t l =

1 (

+(D 閃—L 閃)

( 4 9 )  

(14)

ゎ=—如+ん (1+心)

( r

D

ここへ

( 3 3 ) (   3 5 )

のスルツキ一方程式を代入すると、次式が得られる。

炉向

(1+

(DSw‑LSnn) 

(1+

( L S DSu)

そして行列式

I M I

IMl=-SnnSu-Sw2+(LSw+DSu)~i +(DSw‑LS

副翡

になる。

( 4 9 ' )

式を考慮すると、

( 5 0 ' )

式は

入 LSw+DSu

ゎ=一— t+

1 / J  

DSw‑LSnn  L  t 

( 5 0 )  

( 4 9 ' )  

( 5 0 ' )  

( 5 1 )  

( 5 2 )  

に書き換えられる。そして

( 5 1 )

I M I

( 4 9

り式へ代入し、

( 5 2 )

式を考慮に入れると、

a L  

t L  

aY +(入)

t a n  ̲  S n n

+s

ぷ 入

p  a y   DSw‑LSDD t L = I

十す

( 5 3 )  

が得られる。ここで

( 4 4 )

のμ と同様に、

V= —ぶ+ti 翡+(ゎ+い)僻

( > O )   ( 5 4 )  

を定義すると、

( 3 6 )

の関係も考えて、

( 5 3 )

式より

t i =   LSnn+DSni 

SnnSu+Snl  ( 1 ‑ v )  

t i * *   ( 5 5 )  

が導出され、

( 5 2 )

式はつぎのように表される。

t n  

1 . / J  

S LSni‑DSu  D D ふ + S n i 2

(1-v) 三—如心**

( 5 6 )  

そして

( 4 7 )  

と同様に

O <  

< l   ( 4 7

を想定すると、

t/*>O

t v * * > O

が言えるであろう。特に汚染財への税率はラムゼイ成分

t v * *

にピグー税部分の(一入

/ 1 / J ) t p

が追加される形をとる。

(15)

7 0  

関西大学『経済論集』第

5 2

巻第

1

( 2 0 0 2 年 6 月 )

6 .  

3

財 へ 課 税 す る 場 合 の 次 善 解

Schob  ( 1 9 9 7 )

2

財について課税される場合について、汚染財への最適税率を考察し、

2節でそれらを導出したが、本節では全3財すべてに課税される場合に、最適税率を次善 解として求めよう。それは

( 3 2 )

体系を直接に

t c ・ t n ・ t i

について解くことであり、その結果は

2

節での最適税率を特殊形として含んだ一般形の最適税率になるであろう。導出過程では

3

次の逆行列を求めるという煩雑さを克服しなければならないが、記述は簡潔になされる。

( 3 2 )

式左辺の係数行列を]として、その逆行例]ー1

 

l L

C l

m l

a  

l n c l

n n f n

L  

CCCDCL 

l ‑  

I J I  

︱ ︱  

( 5 7 )  

と書く。ここにムは]の第

i

K

列要素の余因子を表し

( i , k=C, D ,  L )

、また

I J I

は]の行 列式を示す。

1

1

( 3 2 )

式へ左側から乗じて、

I: 

a n  

];c=I: 

a n  

i = C , D , L   a t ;   i = C , D , L   a t ;  

JiL 

=O 

IJI=~ aD 

; ‑ C , D , L   a t ;   J i D  

を考慮すると、各税率は下記のように表される。

tc=‑(1+

( C f c c + D f v c + L J L C ) I  I J I  

ゎ=一切

入 t p ‑ (

( C f c v + D .   +Lfw)II J I  

tL=‑(1+

( C f c L + D f v L + L ] u ) /  I J I  

( 6 0 )

式と

( 6 2 )

式より、

t c

t L

= =  

C f c c +  Dfvc+ L ] L   C

I f  I  C f c   L  +  DJ  D L  +  L ] ,  

( 5 8 )  

( 5 9 )  

( 6 0 )  

( 6 1 )  

( 6 2 )  

( 6 3 )  

の関係が得られ、これらのうちの第

1

等式と第

2

等式を別々に

( 6 1 )

式右辺へ代入すると、

t v =

―布

t p + Cfcv+Dfvv+Lfw

C f c c + D f v c + L J L C   c  t  ( 6 4 )  

(16)

入 Cfcn+Dfnn+Lfw

7 . / J   t+

CJci+Dfni+Lfu  L 

になる。

( 6 5 )  

ここで余因子ヘスルツキ一方程式を代入して書き換えよう。一例として

l i e

は下記のよう になる。

( 3 3 )

( 3 4 )

の諸式を考慮する。

l i e =   aD  aL  aD  aL  a t e   a t D   a t D   a t e  

=ScnSw‑Snn ふ+ (DSic‑CS 叫 弥 + (CSnn‑DS 叫 翡

同様に

L C I

はつぎのようになる。

J c i =   ac  aD ̲ aD  ac  a t n   a t i   a t n   a t i  

=ScnSw‑SDD ふ+ (DSic‑LS 叫 僻 + (LSnn‑DS 叫 辟

このように

f L c

f c L

とは異っている。そしてすべての余因子を上記のように書き直す。さ らに行列式

I J I

( 5 9 )

式に従って、

IJl=A‑(Cfcc+Dfvc+

加)僻ー

( C f c v + D .

如+枷)僻

‑( C f c i + D f v i +

加)砕

と書き換えることができる。ここに

( 6 6 )  

A

( S c i S n i+ScvS

S c v  +  ( S c v S v i  ‑ S n v S c i )  S c i ― (SvvSu+Sv/)Scc  ( 6 7 )  

と置かれている。

( 6 0 )

式を変形した次式

‑ t c l f l  / ( C f c c + D f n c + L f L c )  =l+

( 6 0 ' )  

へ l ] I

の展開式

( 6 6 )

を代入し、

( 6 4 )

式を考慮すると、

t c

辟+(ゎ+い)僻

+tc ( C f c L  +  C T , D . , f . n + L  DTnr+ L   +~

加翡—A

T , , .   =1+‑ t / J  

が導出され、ここで

(17)

7 2  

関西大学『経済論集』第52巻第

1

( 2 0 0 2

6月

a L ‑ a

y  

L C

L J L l

 

++ L C  

I D J D

 

D D  

++ e

Le c 

C J C J

+ 

 

D Y  

a a  

、\`~

+  ← 

A ‑

t D  

︵ 

C Y  

a a

+ 

 

←  A ‑

‑ =  

μ  

( 4 4 ' )  

と置けば、前式からつぎのようにたの最終形が得られる。

た=(1‑

Cfcc+ DfDc+  L f L c  

‑11

畔 c ( 6 8 )  

つぎに

( 6 2 )

式を 考慮する。そして

( 6 0 )

式の場合と同様に変形して、

( 6 6 )

式を代入してから、

( 6 5 )

式を

^ 

v三 一

tL

a a L y   +(ゎ+ー 7

P  

t

a a n y     +tL  Cf  CfCL+DfnL+Lfu  cc+  Dfnc+  L f L c   a a c y     ( 5 4 ' )  

と置くと、

f l

の最終形がつぎのように得られる。

tL=(l‑v) I¥ 

C]Cl+DfDL+LJLL 

I¥ 

‑LI tl

最後にゎの最終形は、

( 6 8 )

式のたを

( 6 4 )

式へ代入したものと、

( 6 9 )

式の tLを

( 6 5 )

式へ代入したものになり、それぞれつぎのように示される。

t

戸 一 ゎ +

(1―μ)  C: 

+ p

+Lfw 入 1 / J  

‑A  三 一

1 / J  

+ ' f D 入 ^ 

ゎ = 一 ゎ +(1‑v) I¥ 

Cfcv+Dfvv+Lfw 入 1

/ J  

‑A  三 ー 一

1 / J   ゎ+ t v  

( 6 9 )  

( 7 0  

a) 

(70b) 

ここで

( 7 0 a ,   b)

式右辺第

2

項は、各余因子をスルツキー方程式を用いて書き換え、

Aへ ( 6 7 )

式を代入すると、下記のようになる。

l n =  

(1μ,) 

(CScn‑DScc)

ふ +

(LScc+CSni)Sci+ (CSu,‑LSci)Scn 

(SccSnn‑Scn2)Su 、 + ( S n i S c c S c n S c i )  S n i  + ( S n n S c i  ‑ScnSni) S c i   ( 7 1 )  

この

( 7 1 )

式の

' f D

f l = Q

の場合の

が =(1‑μ) 

CSCD‑DScc  SccSDD‑Sci 

( 4 6 )

式の中の

( 7 2 )  

に対比される。

f l

0の場合には ( 7 1 )

式に示されたように複雑な構造になり、

( 7 0

a) 式の ゎは

( 4 6 )

式のゎの簡略形に対して一般形である。

同じように、

(70b)式のゎは ( 5 6 )式のゎの簡略形 (tc=Oの場合)に対して一般形である。

ちなみに

( 7 0b)

式の中の

t D

は下記のように表される。

i D =  

(l‑9) 

(LSDi‑DS

Sec+ (CS

且 ―

L S c i )S C D  ‑ ( D S c i  ‑CS  D i )  S c i   ( S D D S L L  +SDLSDL) Sec‑( S c i S D L  +SCDS

SCD+ ( S D D S c i ‑ S C D S D L )  S c i  

これに対比される

t D * *はつぎのようになっている。

(73) 

(18)

tv**=(l‑v)  LSvL‑DSu  S v v ふ + S v L S D L

明らかに

f v

t v * *

よりも一般化されている。

7. 

環境税増税の厚生効果

ところで労働を唯一の生産要素であると想定すると、社会レベルでの総額において

NL=NC+ND+G 

( 7 3 ' )  

( 7 4 )  

の恒等式が成り立つ。税収総額としての

G

を不変に保って、

( 7 4 )

式をゎについて全微分す

ると次式が得られる。

O=  dH  dC  dD 

—+ d t n   d t n   d +ー t n   ( 7 5 )  

また (23') 式の間接効用をゎについて全微分して、 (21a, b, c) の関係を考慮すると、

仇=入

(1+

た)立+入

( 1

十ゎ)蛇+入

( I ‑ t i

+Nu

( 7 6 )  

となる。

( 7 6 )

式の両辺を入で除し、 さらに

( 7 5 )

式より

dC/d

ゎを代入すると、

( 3 8 )

式も 考慮に入れて、次式が得られる。これは

W i l l i a m s

(2001) の (9) 式に相当する。

i 翡=(ゎ一た一ゎ)蛇— (tげた)罰

( 7 7 )  

つぎに

t l

を調整項と想定して、

( 2 7 )

式をゎについて全微分すると、

( 1 6 )

式も考慮に入れて、

次式が尊出される。

そして

dC  dD  dH  d t L   O=tc

+D+tn

瓦―

t L d t n

十瓦

‑(1‑H)

( 7 5 )

式より

dC/d

ゎを

( 7 8 )

式へ代入すると、

( t

げた)閃=(ゎ一た)毘+D+

(1‑H)

が得られる。さらに

堕 =

aH + aH d t L   d t n   a t D   a t L   d t n  

( 7 9 )

式へ挿入して整理すると、

{  ( t

げた)

gf‑L}

=  C t n

一た)北+D‑(

t i

叫 ) 闘

( 7 8 )  

( 7 9 )  

(80) 

(81) 

(19)

7 4   関西大学『経済論集」第 5 2 巻第 1 号 ( 2 0 0 2 年 6

になる。いま

ど 三

( t L + t C a )   aH  t L  

L‑(t

け た ) 社

air 

と置くと、

( 8 1 )

式より

翡‑

(t,~ 層

[n+(戸)虎―(t,

が導出される。

( 8 2 )  

( 8 3 )  

最後に

( 8 0 )

式より

dH/d

ゎを

( 7 7 )

式へ代入してから、

( 8 3 )

式より

d t J d t v

を代入して 整理したのが次式である。

い翡=(tp孔—t泣(-虎)+こ{

D +  

(tv心創— (1

( t

けた)既

( 8 4 )

これは

G o u l d e r = P a r r y = B u r t r a w( 1 9 9 7 )

( 1 3 )

式に相当する。もっとも彼等の

( 1 3 )

式は、

我々の

( 8 4 )

式においてた

=O

と置いたものであるので、

( 8 4 )

式はより一般的表現である。

いま労働供給

L

の税引き賃金率弾力性

c L

私 1‑ti a n   1‑ti  C

a(l‑ti)

= 冗 L と定義される。ここで下記の関係を使った。

d(l‑H) 

dL  dH  dH  ‑dH  d ( l  ‑ t i )   =  d ( l  ‑t) 

= 

d t i   L  d t i   ‑ d t i  

( 8 5 )

の弾力性を用いてどをつぎのように書き換えることができる。

ど= l‑tL

(t

げた)

( t

けた)

E i   E i  

したがって

1 十ど= l‑tL‑C l‑tL  t i

CI 

( 8 5 )  

( 8 2 ' )  

( 8 6 )  

は、もしたを除けば、いわゆる労働所得税の

MCF

に等しい。ゆえに

( 8 2 ' )

のどはその

MWC

に相当する(村田=鎌苅

( 2 0 0 0 ) ,p . 1 8 6

および村田

( 2 0 0 1 )

を参照)。すなわちどは労 働所得税の限界超過負担を示す。

( 8 4 )

式は環境税増税の厚生効果

( w e l f a r ei m p a c t )

3

つの成分で表現している。その

(20)

式の右辺の第

1

項は

t p

を含むので、「ピグー効果」と云えよう。第

2

項は環境税収入の増分 と所得税の限界超過負担の積であって、「限界税収再循環

( m a r g i n a lr e v e n u e ‑ r e c y c l i n g )

果」と名付けられる。そして第 3項は「限界租税交互作用

( m a r g i n a lt a x ‑ i n t e r a c t i o n )

果」と呼ばれ、環境税増税に伴う余暇変動を通しての労働所得税による厚生損失を示す。

Goulder=Parry=Burtraw ( 1 9 9 7 )

はこれらの第

1

項を

dWP

、第

2

項を

awR

、そして第

3

項を

‑aw1と記した。付録 Bでaw1

はつぎのように弾力性を用いて書き換えられることが示さ れる。

a w

ど D(cvH+ciy)

C  D 

1‑H

+1‑H

+ciy

( 8 7 )  

, ̲ ︑

こ こ

l‑tL  l‑tL 

e c H

Sa

C  , 

evH= S v L   D  ( 8 8 )  

E I Y 三可ァ

aL 

(l‑tJ ( 8 9 )  

であり、 €en と Evn はそれぞれ C と D の補償需要の賃金率弾力性を表し、 €LY は労働供給の 所得弾力性を示す。税引き賃金率の上昇によって労働供給が増し(余暇が減り)、各消費財 需要が余暇と代替関係にあれば、 C と D は増大するので、 €en と cvH は正値をとる。また所 得増加と労働供給増大が併行すれば、屯yは正値をとる。かくして

( 8 7 )

式で表される

aw1

は正値をとると考えられる。

いま

dW ら

0と想定し、

dWP+awR>aw1

であれば、

( 8 4 )

式は正値をとり、環境税の増 税は厚生を増大させる。

もし当初の税体系で

t c = O ,   t v = t p ,   tL=iL>O 

となっていたとすると、

( 8 4 )

式は

い仇=山

(D+t

(l+

訊既

( 9 0 )  

となり、このとき (82')のどではたが消えるので、 1十どは正確な意味で労働所得税の

MCF

である。第

5

節ではた

=Oの場合の最適税率が ( 4 9 ' )

式の

t Lと ( 5 0 ' )

式の

t v

で示さ れたが、いま

( 5 0 ' )

式の

t v

t p

より小さく、

( 4 9 ' )

式の

t L

t L

より小さいならば、当然に

( 9 0 )

式でのゎの増税は厚生を増加させるであろう。このように

( 8 4 )

式の厚生効果の判定は、

(21)

7 6  

関西大学『経済論集』第

5 2

巻第

1

( 2 0 0 2 年 6 月 )

当初の税体系が最適税率と如何に乖離しているかに依存する。

最後に

P a r r y( 1 9 9 5 )

にならって、

( 8 4 )

式でた

=O

と置き、両辺に

t D

の変分△ゎを乗じ た場合を

t D =  

(tp-t泣(—舵叫+ど咆巴如 (1+ 訊既△

t D   ( 8 4 ' )  

と表し、

( 8 4

う式の右辺第

1

項が図

1

B

の、第

2

項が

R

の厚生利得を、そして第

3

項が

2

Z

の厚生損失を近似的に示すことを、下記の概算によって確認しておく。

B=(tp‑tD

―圧)

(Do‑D 伍 ( t p ‑ ,

(‑dD)

R=

△ゎ

D

叫 + △ ゎ ) か 砂 ゜ = △

t

+tDdD

(n°+t

洸 ) △

t D   Z=ti(‑dL)

立(‑仇)的=,

t D  

P a r r y   ( 1 9 9 5 )

の想定は、当初にゎ

=O

としている点で我々のものと違っていることに注意 しよう。

図 1 . D

の量と価格

2 . L

の量と税引き賃金率

価格 賃金率

需要

l+t, 

D'I 

Iv•

D  L 

dD  dL 

8 .  

汚染財と清浄財の間の最適な税差

いま消費財需要

D

C

が余暇

H

との間で同等の代替関係をもつと想定して、両消費財ヘ の課税の最適な税差 (tax

d i f f e r e n t i a l )

Williams ( 2 0 0 1 )

の方法に従って導出しよう。

参照

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