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情報交換活動規制法理の適用可能性

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Academic year: 2021

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(1)

情 報 交 換 活 動 規 制 法 理 の 適 用 可 能 性

︱︱ 国際 航空 貨物 運賃 カル テル 事件 を素 材と して

︱︱

斉 藤 高 広

は じ め に︱

︱本 稿の 課題 と展 開︱

︱ 一 情報 交換 活動 に対 する 基本 視座 二 欧米 競争 法の 状況 三 わが 国に おけ る規 制法 理の 適用 可能 性 お わ り に は じ め に︱

︱本 稿の 課題 と展 開︱

︱ 市場 にお いて 良質 廉価 な競 争を 促し つつ

、共 同行 為や 協調 的行 動を もた らす 情報 交換 活動 を違 法行 為と して 規制 する こと は可 能な ので あろ うか

。わ が国 の独 占禁 止法 は、 情報 交換 活動 それ 自体 を違 法行 為と は考 えて おら ず、 共 同行 為を 形成

・実 行・ 維持 する

﹁意 思の 連絡

﹂を 検出 する 媒体 と位 置づ けて いる に過 ぎな い。 これ に対 して

、欧 米 競争 法は

、情 報交 換活 動を 実施 する 合意

︵情 報交 換合 意︶ も違 法要 件と 考え てい る。 前記 問題 に対 して は、 寡占 市 場に おけ る閉 鎖的 な形 で実 施さ れる 情報 交換 活動 であ って

、本 来な らば 秘密 にす べき 競争 上重 要な 戦略 情報 を閉 鎖 的な 形で 迅速 に行 う場 合に 可能 であ る、 と回 答す るこ とに なる だろ う。 これ まで 筆者 はア メリ カ反 トラ スト 法及 びE U競 争法 にお ける 情報 交換 活動 規制 法理

︵以 下、 規制 法理 と略 する こ

(2)

とが ある

︶に つい て検 討を 加

( )

えた

。も っと も、 時間 を隔 てて 独立 して 論じ てい るた め包 括的 な形 で整 理さ れて おら

ず、 また

、欧 米競 争法 の展 開か ら得 られ た示 唆に 基づ いて 独禁 法上 の課 題点 を指 摘し たも のの

、実 際い かな る場 面 にお いて 同法 理を 適用 する こと がで きる か、 必ず しも 明確 には して いな かっ た。 本稿 では

、欧 米競 争法 が形 成し た 規制 法理 を整 理し 概観 した 上で

、わ が国 にお ける 最近 の国 際航 空貨 物運 賃カ ルテ ル事 件を 素材 にし て、 同法 理の 適 用可 能性 につ いて 検討 する こと とし

( )

たい

一 情報 交換 活動 に対 する 基本 視座

⑴ 情報 交換 活動 は、 その 形態 や機 能が 多様 であ るこ とか ら、 競争 制限 的と も競 争促 進的 とも 評価 され うる

。複 数の 行為 者が

、価 格カ ルテ ルな ど具 体的 な競 争制 限行 為を 形成

・維 持す る目 的で

、個 別に また は事 業者 団体 や第 三 者機 関を 通じ て情 報を 伝達

、保 有す るこ とか ら、 情報 交換 活動 を検 証す るこ とで 競争 制限 行為 に関 わる 合意 を認 定 する

。こ の場 合、 情報 交換 活動 は競 争制 限行 為の 温床 とな る。 他方 で、 事業 者は

、商 品・ 役務 をよ り効 率的 かつ 的確 に製 造・ 提供 する 上で

、市 場の 状況 を把 握す る必 要が あ る。 最終 需要 者た る消 費者 も、 商品

・役 務に 関す る価 格や 品質 など 基本 的な 情報 は勿 論の こと

、安 全性 や環 境負 荷 など の属 性情 報も 熟知 した 上で

、消 費活 動を 行う こと が望 まれ てい る。 この よう な場 合、 市場 の透 明性 を確 保す る こと は有 益で ある

。 適法 と評 価さ れる 統計 を目 的と した 情報 交換 活動 であ っ

( )

ても

、そ の実 態と して

、単 なる 市況 情報 の報 告や 概括 情

報を 中心 とす る統 計情 報の 域に とど まら ず、 あわ せて 価格 引上 げの 必要 性を 示唆 した り、 ある いは 個別 企業 の事 業 活動 を識 別で きる 方式 で情 報を 共有 した りす るの であ れば

、事 業者 に協 調的 行動 を促 すこ とか ら、 競争 制限 効果 が ある と評 価さ れる こと にな る。

(3)

⑵ 統計 目的 の情 報交 換活 動で はな く、 カル テル の形 成を 目的 とし て実 施さ れる 秘密 裡の 情報 交換 活動 につ いて は、 その 適法 性を 議論 する 余地 は皆 無と 言っ てよ い。 わが 国で は、 この よう な情 報交 換活 動を 検証 し、 共同 性を 認 定す るに あた って 必要 とさ れる 事業 者間 の﹁ 意思 の連 絡﹂ を見 出し てこ れを 立証

( )

する

。従 来か ら、

事前 の連 絡・

交渉

、 連絡

・交 渉の 内容

、 外形 的な 行為 の一 致の 三点 を総 合的 に考 慮し た上 で、 漸次 醸成 され る暗 黙の 了解 や 黙示 の合 意を 含め て﹁ 意思 の連 絡﹂ を立 証し てき たと

( )

ころ

、い つ、 誰が

、い かな る形 で合 意を 形成 する に至 った

か、 カル テル の意 図や 目的 も加 味す るな ど、 比較 的厳 密な 立証 を求 める 傾向 にあ

( )

った

。こ の点

、今 日、 入札 談合 事

件だ けで なく 価格 カル テル 事件 にお いて も、 必ず しも 合意 形成 の日 時等 を厳 密に 特定 する こと なく

、﹁ 概括 的認 識﹂ によ って

﹁意 思の 連絡

﹂や 合意 を認 定す る方 向に

( )

ある

共同 性の 立証 を厳 密に 行う のは

、意 識的 並行 行為 の問 題に よる とこ ろが 大き い。 同一 環境 にあ って 原材 料の 高騰 に直 面し た事 業者 は共 同で 一斉 値上 げす る理 由は 乏し いが

、個 々の 事業 者に おけ る個 別の 判断 によ って 自主 的な 価 格引 上げ に及 んだ 結果

、外 形的 に行 為の 一致 が生 じる こと も否 定で きな い。 とり わけ 寡占 事業 者は

、相 互依 存関 係 にあ るこ とか ら、 自他 とも に競 争的 行動 を牽 制し あい

、各 社の 事業 戦略 が類 似す る傾 向が 見ら れる こと があ る。

⑶ 行為 の外 形的 一致 だけ では 共同 行為 とす るの は困 難で ある とい う理 解は

、わ が国 に限 らず

、海 外の 競争 法に おい ても 同様 であ る。 ただ し、

﹁合 意﹂ によ って 生じ る競 争制 限の 態様 は、 価格 引上 げだ けで はな く、 価格 競争 の 停止 とい う市 場の 安定 化に 対し ても

、積 極的 な規 制を 試み てい る。 すな わち

、高 止ま りし た横 並び の価 格は

、需 給 バラ ンス を反 映し た結 果で はな く、 事業 活動 に対 する 相互 監視 から 硬直 状態 とし て現 れて いる 可能 性も ある

。そ の 場合

、競 争的 行動 を抑 止し

、競 争回 避行 動を 促進 する よう な情 報交 換活 動を 行っ てい る点 に、 人為 性を 見出 す余 地 があ る。 この よう に、 均衡 状態 や競 争回 避か らの 逸脱 を監 視す る効 果が もた らさ れる 情報 交換 合意 を捉 える のが

、 欧米 競争 法に おけ る情 報交 換活 動規 制で ある

(4)

二 欧米 競争 法の 状況

反ト ラス ト法 にお ける 規制 法理 反ト ラス ト法 にお ける 情報 交換 活動 規制 を辿 ると

、一 九二

〇年 代に おけ る事 業者 団体 に対 する 規制 から 始ま り、 一九 六〇 年代 の寡 占規 制強 化の なか

、価 格情 報の 交換 活動 を違 法と 判断 した コン テナ ー事 件判 決が 示し た違 法性 判 断基 準が

、そ の後

、刑 事事 件や 民事 事件 にお いて 踏襲 され てい るこ とが 分

( )

かる

⑴ 一九 世紀 後半 から 二〇 世紀 初頭 にか けて 急増 した 事業 者団 体に おい て、 一九 一〇 年代

、情 報交 換活 動を 推奨 する 運動 が展 開し た。 この 運動 は、

﹁公 開価 格政 策﹂ と称 する

﹁新 しい 競争

﹂を 提唱 し、 価格 情報 の公 開・ 共有 を 通じ て、 業界 内に おけ る行 き過 ぎた 競争 や不 公正 な競 争を 規律 しよ うと する もの であ った

。提 唱者 であ る弁 護士 の A・ J・ エデ ィー によ れば

、反 トラ スト 法違 反を 助長 する 目的 を有 して いた わけ では なか った よう であ

( )

るが

、連 邦

最高 裁は

、一 九二

〇年 代か ら一 九三

〇年 代に かけ て、 同運 動の 影響 を受 けた と思 われ る事 業者 団体 にお ける 情報 交 換活 動の 違法 性に つい て判 断を 迫ら れる よう にな った

。そ のな かで

、連 邦最 高裁 判決 は、 構成 事業 者に 対す る詳 細 かつ 特定 可能 な情 報提 供を 実施 する

﹁合 意﹂ に着 目し てい たが

、し かし 実質 的に は、 むし ろ生 産調 整や 価格 決定 の 目的 や効 果を 認定 し、 競争 制限 行為 に関 わる 合意 につ いて シャ ーマ ン法 一条 違反 とす るも ので あ

( )

った

10

⑵ 反ト ラス ト法 上、 情報 交換 活動 規制 につ いて 先例 的意 義を 持つ のは

、一 九六 九年 のコ ンテ ナー 事件 連邦 最高 裁判 決で

( )

ある

。市 場の 構造 と製 品の 特性 に着 目し て、 段ボ ール コン テナ ー製 造業 者ら によ るコ ンテ ナー 価格 情報 を

11

交換 する 合意

︵情 報交 換合 意︶ をシ ャー マン 法一 条の 成立 要件 であ る﹁ 合意

﹂と 捉え た。 コン テナ ーは

、製 品差 別化 に乏 しく 代替 性が ある こと から 価格 競争 が重 要な 競争 手段 とな って いる とこ ろ、 本件 の対 象情 報は

、顧 客に 対す る各 社の 販売 価格 や見 積価 格で あり

、供 給過 剰の ため 価格 は下 落傾 向に ある もの の、 価

(5)

格は 概ね 一致 して 安定 状態 にあ った

。連 邦最 高裁 は、 本件 下級 審判 決と 同様

、① 情報 交換 合意 を認 定し

、② 寡占 市 場と いう 市場 の構 造︵ 集中 度、 新規 参入 の難 易度

、︶

③製 品特 性︵ 代替 性、 価格 弾力 性︶

・交 換情 報の 種類

︵鮮 度、 特定 化、 公開 性︶ を考 慮要 因と して 違法 性を 判断 し、 価格 競争 の回 避と いう 競争 制限 効果 を推 認す る判 断枠 組み を認 容 した 本 。 件で は、 各社 が求 めに 応じ て価 格情 報を 提供 しあ う合 意を 要件 事実 とし ての 合意 と認 定し てい る。 価格 の安 定 化を 目的 とす る具 体的 な合 意や 意図 を、 直接 かつ 積極 的に 捉え よう とは して おら ず、 また 価格 先導 制︵ プラ イス

・ リー ダー シッ プ︶ や価 格の 一斉 引上 げと いう 現象 につ いて 競争 制限 効果 を見 出そ うと して いる わけ では ない

。当 該 価格 情報 の交 換を 通じ て価 格競 争を 回避 し、 コン テナ ー価 格の 安定 化が もた らさ れて いる とし て、 競争 制限 効果 を 推認 して いる

⑶ コン テナ ー事 件で 示さ れた 判断 枠組 みは

、そ の後 も、 ジプ サム 刑事 事件 連邦 最高 裁判 決︵ 一九 七八 年︶ やト ッド 対エ クソ ン民 事事 件判 決︵ 二〇

〇一 年︶ でも 採用 され てい る。 ジプ サム 刑事 事件 では

、連 邦最 高裁 は、 石膏 板 製造 業者 によ る価 格情 報に よっ て価 格の 安定 化が もた らさ れ、 協調 的な 価格 設定 行動 が助 長さ れて いる と認 定

( )

する

。す なわ ち、 自己 の価 格情 報を 他社 に通 知す るこ とが

、値 引き など 隠れ た競 争を 躊躇 させ る機 能と 効果 を指 摘 す 12

る。 価格 に及 ぼす 効果 のみ なら ず、 本件 は刑 事事 件で ある こと から 競争 制限 の意 図・ 目的 の立 証ま で要 求し てい るが

、コ ンテ ナー 事件 のよ うに 民事 事件 にお ける 競争 制限 効果 に基 づく 判断 枠組 みを 否定 して いる わけ では ない 旨 を明 確に して いる

。 コン テナ ー事 件法 理は

、私 人間 にお ける 民事 訴訟 でも 援用 され てい る。 トッ ド対 エク ソン 事件 では

、石 油産 業専 門職 員の 給与 価格 に関 わる ベン チマ ーキ ング 活動 によ って 当該 職員 の給 与報 酬価 格が 抑制 され てい る、 と原 告が 主 張

( )

した

。控 訴裁 判所 は、 地裁 判決 を覆 して

、コ ンテ ナー 事件 判決 とジ プサ ム事 件判 決に 依拠 しな がら

、専 門職 員の

13

(6)

労働 供給 には 代替 性や 価格 弾力 性が ある とし て当 該市 場を 画定 した 上で

、石 油業 界の 寡占 的構 造、 ベン チマ ーキ ン グ活 動を 通じ た過 去及 び将 来に 及ぶ 賃金 デー タの 特定 化か ら、 協調 的な 価格 設定 行動 が促 進さ れて いる

、と 判断 し てい る。 反ト ラス ト法 にお ける 規制 法理 は、 寡占 市場 にお ける 協調 的な 価格 設定 行動 を対 象と し、 価格 の安 定化 とい う視 点で 競争 制限 効果 を推 認す る手 法と なっ てい る。 一連 の判 決は

、価 格の 安定 とい う合 意や 目的 を積 極的 に認 定し て いる ので はな く、 価格 情報 の交 換を 通じ て秘 密の 値引 きを 抑制 し、

﹁秘 密な いし 暗黙 の共 謀﹂ を監 視す る機 能を 指 摘す る。 しか し他 方で

、価 格の 一斉 引上 げを めぐ る事 件で は、 コン テナ ー事 件法 理を 積極 的に 援用 して いる わけ で はな い。 私人 が提 起す る民 事事 件で は、 原告 側が

、価 格引 上げ カル テル に関 して

、コ ンテ ナー 事件 法理 に基 づい て 情報 交換 合意 の違 法性 を主 張す るも のの

、同 法理 を限 定的 に捉 えた り、 被告 が独 自に 行動 する 可能 性が ある 点を 指 摘し たり する など

、原 告敗 訴と する 下級 審判 決例 が少 なく

( )

ない

14

EU 競争 法に おけ る規 制法 理 EU 競争 法は

、域 内市 場に つい ては TF EU 一〇 一条 によ って

、ま た加 盟国 でも 同規 定を 平準 化し た自 国競 争法 によ って

、共 同行 為を 規制 して

( )

いる

。情 報交 換活 動規 制は

、共 同行 為の 規制 原理 が洗 練化 され た後

、違 法性 判断 基

15

準が 徐々 に形 成さ れ、 一九 九〇 年代

、適 用免 除申 請を 審査 した UK トラ クタ ー事 件に おい て結 実

( )

した

16

⑴ 情報 交換 活動 規制 法理 の原 型は

、黎 明期 にお ける 寡占 規制 のな かで 形成 され た共 同行 為規 制法 理、 すな わ ち、 事業 者同 士の 接触 を厳 格に 規制 し、 独自 に意 思決 定を 行っ たか 否か

、と いう 接触 理論 と独 自の 決定 原理 にあ る。 一九 六〇 年代

、欧 州委 員会 は、 競争 法の 適用 事例 が増 加し たこ とに 伴っ て相 談件 数も 増え たこ とか ら、 一九 六 八年 告示

︵﹁ 事業 者間 の提 携に 関す る協 定・ 決定 及び 共同 行為 に関 する 告示

﹂︶ にお いて

、違 法と なる 共同 行為 と適 法と

(7)

評価 され る協 力行 為と の線 引き を示 し、 統計 情報 など 正当 な情 報交 換活 動が 同条 に該 当し ない こと を明 らか に

( )

した

。そ の前 後、 価格 先導 制を 通じ た価 格引 上げ や事 業者 団体 の示 す推 奨価 格の 遵守 など に対 して

、カ ルテ ル規 制 を 17

本格 化し たが

、情 報交 換活 動そ のも のを 規制 する こと はな かっ た。 情報 交換 活動 規制 の契 機と なっ たの が、 一九 七八 年の CO BE LP A/ VN P事 件決 定と 模造 羊皮 紙事 件決 定で

( )

ある

18

双方 とも 事業 者団 体に おい て、 本来 であ れば 事業 秘密 とさ れ、 ある いは 他の 方法 によ って は入 手困 難な 情報

、す な わち

、各 社の 生産 数量 や販 売量

、輸 出価 格な どの 情報 につ いて 詳細 かつ 定期 的に 伝達

・共 有し あう 情報 交換 活動 が 問題 とな った

。競 争リ スク を回 避し

、市 場戦 略の 協調 がも たら され てい ると 判断 され た。 翌年

、欧 州委 員会 が、 年 次報 告書

︵﹁ 第七 次競 争政 策年 次報 告︵ 一九 七七 年度

︶﹂

︶に おい て、 情報 交換 活動 の違 法性 を判 断す るた めの 具体 的な 判断 基準 や考 慮要 因を 示

( )

した

。す なわ ち、

⒜交 換さ れる 情報 の種 類や 内容

、⒝ 寡占 市場 とい う市 場の 構造

、⒞ 情報

19

共有 によ って

﹁隠 れた 競争

﹂を 制約 し価 格の 硬直 化を 招来 する とい う、 不確 実性 の解 消な いし 透明 性の 確保 の弊 害、 であ る。

⑵ 情報 交換 活動 に対 する 違法 性判 断基 準と 考慮 要因 の意 味内 容を さら に明 確に した のが UK トラ クタ ー事 件で

( )

ある

。本 件は

、第 三者 機関 を通 じて

、英 国向 けト ラク ター を販 売す る事 業者 らに よる 情報 交換 活動 につ いて

、T F E 20

U一

〇一 条三 項に 基づ いて 適用 免除 を申 請し たと ころ

、欧 州委 員会 がこ れを 認容 しな かっ たこ とか ら、 司法 機関 にお いて TF EU 一〇 一条 一項 違反 が確 認さ れた 事件 であ る。 基本 とな って いる 違法 性判 断基 準や 考慮 要因 は、 前 述し た共 同規 制法 理と 前掲 年次 報告 書が 示し た考 慮要 因で ある

。寡 占市 場と いう 市場 構造 にお いて

、各 社の 企業 行 動を 把握 でき る程 度、 詳細 かつ 迅速 に情 報を 交換 しあ う事 実上 の合 意が

、価 格競 争を 抑制 し、 競争 回避 行動 をも た らす とす る規 制法 理を 確立 した

。 本件 の基 本的 なス タン スや 寡占 市場 観は

、次 のと おり であ る。 すな わち

、競 争的 な市 場で あれ ば、 透明 性を 確保

(8)

する こと で、 事業 者間 にお ける 有効 かつ 効率 的な 競争 を促 進し

、消 費者 厚生 を高 める

。一 方、 寡占 市場 では

、価 格 情報 や販 売数 量な ど競 争上 重要 な戦 略情 報を 共有 し、 競争 者の 行動 に関 して 不確 実性 を除 去す るこ とが

、相 互の 事 業活 動や 企業 行動 の監 視に つな がり

、個 別の 取引 にお ける 価格 競争 を典 型と する

﹁隠 れた 競争

﹂の 機会 を奪 う。 販 売地 域ご とに 分類 され た各 社の 販売 実績 を相 互に かつ 迅速 に把 握す る仕 組み によ って 競争 回避 行動 をも たら すこ と にな る、 と。 加え て、 情報 交換 合意 によ って

、具 体的 に監 視機 能が 生じ てい たか どう か、 また

、実 際に どの 程度 の 競争 制限 があ った かを 立証 する こと は現 実的 には 不可 能で ある こと から

、反 事実 的な 仮定 のも と、 競争 制限 効果 を 推認 する こと で立 証責 任を 転換 させ てい るこ とが 特徴 的で ある

。 UK トラ クタ ー事 件は

、経 済的 要因 とと もに 情報 交換 活動 も間 接証 拠と しな がら

、三

〇社 以上 の業 者に よる 価格 の一 斉引 上げ に対 して

﹁相 互協 調行 為﹂ とし て規 制し よう と試 みた ウッ ドパ ルプ 事件 とは

、前 提と なる 事実 も法 律 構成 も異 にし て

( )

いる

。す なわ ち、 UK トラ クタ ー事 件で は、 情報 内容 は価 格情 報で はな く販 売数 量で あり

、ま た、

21

関係 当事 者は 事業 者団 体及 び事 業者 八社 と少 なく

、英 国ト ラク ター 市場 は高 度に 集中 化し てい た。 前記 考慮 要因 に 基づ いて 情報 交換 活動 の監 視機 能、 すな わち

、詳 細か つ迅 速に 秘密 にす べき 情報 を相 互に 提供

・保 有し あう こと で、 独自 に事 業活 動を 決定 する 機会 を抑 制し 協調 的な 行動 をも たら すと いう メカ ニズ ムを 重視 して いる

⑶ UK トラ クタ ー事 件法 理は

、欧 州共 同体 レベ ルで は、 EC SC 条約 に関 わる 判断 でも 踏襲 され た。 ドイ ツ鉄 鋼協 会事 件︵ 一九 九八 年・ 二〇

〇一 年︶ では

、各 社の 出荷 量と 市場 シェ アに 関し て製 品別 に分 類さ れた 情報 交換 合意 につ いて 適用 免除 を違 法と 判断

( )

した

。ま た、 価格 カル テル や数 量制 限カ ルテ ルを 監視 する 目的 のも と、 各社 の注 文

22

量や 出荷 量を 地域 別に 分類 した 情報 交換 合意 につ いて

、カ ルテ ル合 意と とも に、 独立 した 一つ の違 法行 為と 捉え た ビー ム鉄 鋼カ ルテ ル事 件︵ 一九 九四 年・ 一九 九九 年・ 二〇

〇三 年︶ でも

、U Kト ラク ター 事件 を先 例と して 引用 し、 欧州 裁判 所は

、情 報交 換合 意そ れ自 体が 違法 要件 とし ての 合意 とな る旨

、再 確認 して

( )

いる

。同 様に

、加 盟国 競争 法

23

(9)

でも

、た とえ ばフ ラン ス競 争法 は、 最高 級ホ テル 市場 や携 帯電 話通 信事 業分 野に おい て、 競争 上重 要な 情報 を交 換 する こと で、 価格 カル テル とし てで はな く、 市場 の安 定化 をも たら した 協調 的行 動に 対し て、 UK トラ クタ ー事 件 法理 に基 づい て違 法と 判断 して

( )

いる

24

欧州 委員 会が 二〇 一一 年に 施行 した 改定

・水 平的 協力 ガイ ドラ イン は、 情報 交換 活動 が違 法行 為類 型で ある こと を明 示す ると とも に、 UK トラ クタ ー事 件法 理を 反映 した 違法 性判 断基 準や 考慮 要因 など を採 用し て

( )

いる

。同 ガイ

25

ドラ イン は、 近年 にお ける 各種 ガイ ドラ イン と同 様、 経済 学の 知見 を取 り込 みつ つ、 EU 競争 法の 目的 につ いて は、 共同 市場 の設 立か ら消 費者 厚生 の増 大に 重心 移動 をし なが ら、 寡占 市場 にお ける 共謀 的結 果を もた らす 情報 交 換活 動に 焦点 を当 てて いる

。寡 占事 業者 によ る競 争的 行動 や新 規参 入の 動向 を監 視し

、こ れら を抑 止す るこ とで

、 協調 的行 動を 維持 し相 互依 存関 係に よる 共謀 的結 果が 実現 する

、と いう メカ ニズ ムを 前提 にし て

( )

いる

26

欧米 競争 法に おけ る規 制法 理の 接近 と継 承

⑴ 欧米 競争 法は

、価 格カ ルテ ルや 数量 制限 カル テル など 具体 的な 競争 制限 行為 に関 わる 合意 を立 証す るこ とで 競争 法違 反を 認定 しつ つ、 他方 で、 情報 交換 活動 を行 う合 意も 違法 行為 類型 の一 つと して いる

。寡 占市 場と いう 市 場の 構造

、交 換情 報の 内容 や情 報交 換活 動の 態様

、独 自に 判断 を下 した か否 かを 考慮 要因 とし

、情 報交 換を 行う 合 意を 違法 行為 と構 成す る判 断枠 組み であ る。 前述 した よう に、 欧米 競争 法に おけ る情 報交 換規 制に 関わ る判 例法 理 は接 近し てお り、 前提 とな って いる 事件 の背 景事 情も 似通 って いる

。す なわ ち、 反ト ラス ト法 にお ける コン テナ ー 事件 判決 も、 EU 競争 法に おけ るU Kト ラク ター 事件 判決 も、 寡占 市場 にお ける 特定 可能 な情 報を 相互 に交 換し あ う合 意や 実施 形態 によ って もた らさ れる 競争 回避 行動 を問 題視 して いる

。 とこ ろで

、厳 密に 言え ば、 二つ の規 制法 理が 扱っ た情 報の 内容 は異 なっ てい る。 すな わち

、コ ンテ ナー 事件 法理

(10)

は、 価格 情報 の共 有に よっ て価 格競 争が 委縮 し、 競争 回避 的な 状況 を問 題と して いる のに 対し て、 UK トラ クタ ー 事件 法理 は、 数量

・市 場シ ェア 情報 を対 象と する 情報 交換 活動 を扱 って いる

。し かし なが ら、 反ト ラス ト法 がも っ ぱら 価格 情報 しか 扱わ なか った り、 他方 で、 EU 競争 法も 価格 情報 を規 制対 象外 と考 えよ うと して いる 趣旨 では

、 勿論

( )

ない

27

⑵ 寡占 市場 にお ける 協調 的行 動に 対す る規 制を めぐ って

、か つて アメ リカ にお いて 大き な論 争が あっ た。 いわ ゆる ター ナー

=ポ ズナ ー論 争は

、協 調的 行動 に対 する 規制 につ いて

、一 方で 合意 認定 に関 わる 立証 方法 の新 提案 に よる 規制 強化 に積 極的 な評 価と

、他 方で 市場 の構 造か ら不 可避 的に 選択 され る同 調的 な企 業行 動に 対す る消 極的 な 評価 とい う、 対立 図式 とし て理 解す るこ とが で

( )

きる

。す なわ ち、 価格 引上 げ等 の合 意を 具体 的に 立証 する こと に代

28

えて

、経 済学 の見 地か ら諸 要因 を積 み重 ねる こと で、 協調 的行 動の 合意 や競 争制 限効 果を 強く 推認 する 手法 を提 案 する 主張 に対 して

、た しか に外 形的 には 共同 行為 と異 なる とこ ろは ない が、 市場 の構 造か ら不 可避 的に 生じ る同 調 的傾 向な いし 現象 は、 むし ろ各 社が 独自 に合 理的 な判 断を 下し た結 果生 じる こと もあ り、 この よう な意 識的 並行 行 為に 対し て慎 重な 判断 を求 めざ るを 得な いと する 見解 の対 立で ある

。 EU 競争 法に おい ても

、一 九八

〇年 代、 すな わち 年次 報告 書の 公表 後、 UK トラ クタ ー事 件決 定︵ 一九 九二 年︶ まで の間 に、 寡占 規制 強化 の動 きが あり

、上 位三 社に おけ る販 売数 量の 情報 交換 合意 から 市場 の安 定化 をも たら し た脂 肪酸 事件 決定

︵一 九八 六年

︶も 下さ

( )

れた

。し かし 他方 で、 斉一 的な 価格 設定 行動 に対 して 情報 交換 活動 や経 済

29

的証 拠な どの 間接 証拠 に基 づい て、 TF EU 一〇 一条 一項 にお ける

﹁相 互協 調的 行為

c o n c e r t e d p r a c t i c e s

﹂を 問 うた 前掲 ウッ ドパ ルプ 事件 では

、欧 州裁 判所 は、 委員 会決 定を 覆し たこ とか ら、 寡占 規制 や協 調的 行動 規制 に対 す る限 界が 露呈 する こと にな った

、と いう 評価 もあ る。 もっ とも

、ウ ッド パル プ事 件で は、 三〇 社を 超え るE C共 同 体内 外の 事業 者に よる 価格 引上 げ行 為を 問題 とし てい る。 勿論

、意 識的 並行 行為 の対 象は

、同 調的 な価 格引 上げ に

(11)

限る もの では 決し てな いが

、ア メリ カに おい ても

、コ ンテ ナー 事件 法理 を価 格引 上げ に対 して 適用 する 展開 が見 ら れな いこ とは

、先 に述 べた とお りで ある

。 ター ナー

=ポ ズナ ー論 争が 主と して 考察 対象 の前 提に して いた 経済 現象 ない し意 識的 並行 行為 の中 身を

、当 面、 価格 設定 行動 につ いて は価 格引 上げ に関 わる 斉一 的行 動に 限定 して 捉え ると すれ ば、 EU 競争 法は

、U Kト ラク タ ー事 件に おい てコ ンテ ナー 事件 法理 を継 承し つつ

、ウ ッド パル プ事 件を 克服 する よう な形 で情 報交 換活 動規 制を 推 進す る方 向性 を打 ち出 した もの と評 価す るこ とも 可能 であ るか もし れな い。 さし あた り情 報交 換活 動規 制の 意義 とは

、具 体的 な市 場を 前提 とし て、 第一 に、 特定 の情 報交 換活 動が もた らす 競争 制限 効果 を推 認す るこ とで 立証 負担 の軽 減に 寄与 する こと

、第 二に

、監 視機 能効 果が 優先 する 情報 交換 活動 を 部分 的に 制約 する こと で、 共謀 的結 果や

﹁暗 黙の 合意

﹂の 形成 を抑 制す るこ と、 第三 に、 事業 者な らび に事 業者 団 体に 対し て、 競争 を促 進し 消費 者利 益を 増大 させ る適 法な 情報 交換 活動 の範 囲と 態様 を明 確化 する こと にあ る、 と 言え る。

⑶ 情報 交換 活動 規制 法理 は、 一連 の事 件に おけ る事 実と 競争 制限 を見 る限 りで は、 少な くと も価 格競 争を 回避 し、 高止 まり した 価格 を維 持す る傾 向に ある 協調 的行 動に 対し て、 有効 な手 法と なっ てい る。 ただ

、具 体的 な競 争 制限 行為 に関 わる 合意 を認 定す るこ とに 代え て、 ある いは この よう な合 意と とも に、 特定 の情 報交 換活 動を 規制 し よう とす る規 制態 度や 方針 に対 して は、 たと えば

、わ が国 でい うと ころ の﹁ 意思 の連 絡﹂ が欠 如し てい るに も拘 わ らず

、も っぱ ら共 謀的 結果 を抑 止・ 規制 する こと に主 眼が 置か れる こと で、 過剰 規制 がも たら され る懸 念も 指摘 さ れよ う。 また

、そ もそ もU Kト ラク ター 事件 法理 は、 適用 免除 申請 に基 づく 違法 性判 断を 示し たと ころ

、届 出制 度 が廃 止さ れた EU 競争 法に おい て、 はた して 情報 交換 合意 なる もの を把 握す るこ とが 可能 であ るの か、 合意 把握 の 問題 も指 摘す るこ とも 考え られ る。

(12)

合意 把握 の問 題に つい ては

、前 掲ビ ーム 鉄鋼 事件 やフ ラン ス競 争法 にお ける 事件 のよ うに

、情 報交 換合 意を 適用 免除 申請 とは 無関 係に 把握 する こと が可 能で ある

。ま た、 リニ エン シー 制度 のも と、 申請 者か らの 協力 によ って 述 調書 や資 料提 出な ど実 態把 握に つい て期 待も 見込 まれ ると ころ

、な お引 き続 き今 後の 動向 に注 目す る必 要が ある

。 一方

、過 剰規 制の 懸念 につ いて は、 たし かに

、ガ イド ライ ンや UK トラ クタ ー事 件法 理に よれ ば、 共謀 的結 果を も たら す可 能性 があ る情 報交 換活 動を 規制 対象 とし て包 含し てい るよ うに も見 える

。し かし なが ら、 あら ゆる 情報 交 換活 動を ただ ちに 一律 に禁 止す る趣 旨で はな いし

、コ ンテ ナー 事件 法理 もU Kト ラク ター 事件 法理

、ひ いて はこ れ らを 継承 した と思 われ る水 平的 協力 ガイ ドラ イン も、 たし かに 共謀 的結 果を 助長 する 情報 交換 活動 に注 目す るが

、 あく まで 個別 の事 案に 即し て、 複数 の諸 要因 を具 体的 に検 証し た上 で違 法性 を判 断し よう とし てい る。 さら に、 いず れの 競争 法も

、一 時的 ある いは 一過 性の 均衡 状態 ない し小 康状 態を もっ て競 争制 限効 果を 認定 して いる ので はな く、 ある 程度 の継 続性 も念 頭に 置い てい るよ うで ある

。ま た、 仔細 に分 析し てみ ると

、価 格カ ルテ ル、 市場 分割 カル テル

、数 量制 限カ ルテ ルな ど、 具体 的な 競争 制限 行為 に関 わる 合意 を認 定す るこ とも 可能 であ っ た事 例も 多く

、実 際そ のよ うな 合意 もあ わせ て認 定す る事 件も ある

。 三 わが 国に おけ る規 制法 理の 適用 可能 性

審決 の検 討と 考察 の方 法 欧米 競争 法に おけ る情 報交 換活 動規 制の 検討 から 得ら れた 示唆 に基 づい て、 わが 国で はど のよ うな 事案 にお いて これ を適 用す るこ とが 可能 だろ うか

。冒 頭で も述 べた よう に、 わが 国に おい ては

、情 報交 換活 動そ れ自 体を 違法 行 為と する 法的 構成 は採 用さ れて いな い。 しか しな がら

、近 年、 価格 引上 げカ ルテ ルの 実効 性を 確保 する ため に事 後 的に 情報 交換 活動 を実 施し てい た事 実を 摘示 する 事件 や、 情報 交換 活動 に関 わる 具体 的な 相談 事例 も公 表さ れる よ

(13)

うに なっ て

( )

きた

30

とり わけ

、最 近の 国際 航空 貨物 運賃 カル テル 事件 は、 情報 交換 合意 を捉 えた わけ では ない が、 情報 交換 活動 を通 じた 競争 回避 行動 を問 題と した 事件 であ り、 本稿 が関 心を 寄せ る欧 米競 争法 にお ける 規制 法理 を検 討す る上 でも 有 益で ある と思 わ

( )

れる

。判 例研 究は

、所 与の 認定 事実 を前 提に

、法 律構 成、 考慮 要因

、解 釈論 の是 非な らび に結 論の

31

妥当 性な どを 検討 する 研究 手法 であ るが

、本 件事 実を 素材 にし て、 欧米 競争 法に おけ る規 制法 理の 適用 可能 性に つ いて 検討 する こと とし

( )

たい

32

国際 航空 貨物 運賃 カル テル 事件

⒜ 事実 の概 要

⑴ 本件 は、 国際 航空 貨物 利用 運送 業を 営む 一四 社が

、荷 主か ら引 き受 けた 貨物 運送 に関 わる 料金 のう ち、 燃油 サー チャ ージ 分の 費用 につ いて 価格 競争 をす るこ とな く、 荷主 に全 額負 担さ せよ うと した 合意 に対 して 不当 な取 引 制限 が問 われ た事 件で ある

。一 四社 は、 平成 一三 年か ら平 成二

〇年 の間

、わ が国 にお ける 総貨 物量 の七

〇% 以上

︵そ のう ち本 件被 審人 を除 く上 位三 社で 六〇

%以 上を 占め てい る︶ を扱 って おり

、航 空貨 物運 送協 会に 所属 して いた

。 平成 八年 以降

、燃 油価 格が 高騰 した こと から

、航 空業 界で は、 サー チャ ージ 方式

、す なわ ち、 航空 運賃 とは 別建 て に燃 油価 格分 につ いて 価格 高騰 した 期間 に限 って 顧客 から 請求 する 方式 を採 用す るよ うに なっ た。 本体 価格 であ る 航空 運賃 自体 の変 動を 抑え る一 方、 燃油 価格 分を 柔軟 かつ 機動 的に 調整 する こと が可 能と なる 仕組 みで ある

。 平成 一二 年、 燃油 価格 の上 昇を 受け て航 空会 社が 航空 運賃 を値 上げ した こと から

、一 四社 らは

、荷 主に 対し て値 上げ 分を 反映 した 運賃 設定 を申 し出 たも のの

、結 果と して 燃油 価格 の上 昇分 を自 社で 負担 する こと とな った

。そ の ため

、一 四社 らは

、航 空会 社に 対し ては 航空 運賃 本体 を値 上げ する ので はな く、 これ とは 別に 燃油 価格 分を サー チ

(14)

ャー ジ方 式に よっ て値 上げ する よう 要望 した とこ ろ、 わが 国に おけ る航 空会 社が

、一 四社 らを 含め た利 用者 に対 し て、 燃油 サー チャ ージ を別 途請 求で きる 燃油 サー チャ ージ 方式 を導 入す る旨

、国 土交 通省 に認 可申 請し た結 果、 平 成一 三年 五月 から 同方 式に よる 請求 が可 能と なっ た。

⑵ この 間、 一四 社は

、会 合に おい て、 仮に 燃油 サー チャ ージ 分を 荷主 に転 嫁で きな けれ ば、 再び 自社 が負 担す るこ とと なる ため

、足 並み を揃 えて

、航 空会 社に 対す る航 空運 賃の 引下 げ交 渉や 荷主 に対 する 負担 要求 等を 行う 旨 確認 した が、 実際 には 各社 まち まち の対 応と なっ た。 そこ で平 成一 四年

、燃 油価 格の 再上 昇を 受け て燃 油サ ーチ ャ ージ の請 求が 再開 され る際

、足 並み を揃 えて 荷主 に対 し荷 主向 け燃 油サ ーチ ャー ジ全 額負 担を 請求 する こと

、一 部 ない し全 部請 求を 放棄 せず に全 額収 受す るよ う各 社が 協調 し荷 主向 け燃 油サ ーチ ャー ジを 競争 の手 段と して 用い な いこ とが 提案 され た。 前記 内容 を実 現す るた めに 複数 回開 催さ れた 各会 合に おい て、 一キ ログ ラム 当た り全 額分 を荷 主か ら収 受す るた めに

、各 社の 収受 率、 一部 ない し全 額を 支払 わな い荷 主︵ 支払 拒否 荷主 の︶ 名称

・支 払拒 否理 由や 支払 い状 況な ど の情 報を 共有 する こと で、 荷主 向け 燃油 サー チャ ージ の収 受に つい て各 社が 協調 的に 行動 して いる こと を確 認し あ って いた

。各 社と も、 荷主 への 全額 転嫁 と競 争手 段の 回避 とい う提 案に 対し て異 議を 申し 立て たり 反対 した りす る こと なく

、実 際に

、一 四社 の行 動は 前年 度と 比較 して 明ら かに 協調 的に なっ てい た。

⒝ 審 決

⑴ 審決 は、 本件 合意 に関 わる 争点 を判 断す るに あた って 次の よう に述 べて いる

︵以 下、 傍線 部筆 者挿 入︶

﹁一 四社 は、 長年 にわ たり

、繰 り返 し国 際部 会役 員会 の会 合を 開催 し、 本来 であ れば

、競 争相 手に 対し て秘 密に する はず の、 自社 の取 引相 手先 との 交渉 内容

、交 渉経 過及 び交 渉結 果等 の情 報を 披れ きし 合い

、取 引先 に対 する 競合 他社 の行 動に つ いて の情 報を 入手 しそ の動 向を 把握 し︵ これ によ り一 四社 は、 容易 に、 互い に、 荷主 向け 燃油 サー チャ ージ に関 する 他社 の

(15)

過去 の行 動を 把握 し、 将来 の行 動を 予測 した 上で

、自 社の 行動 を決 定す るこ とが でき たも のと 推認 され る。

︶、 その 上で 各社 とも 取引 先に 対し て同 一の 行動 を取 って いた ので あっ て、 この よう なこ とは

、本 件事 業者 業界 にお いて 自由 な競 争が 行わ れ てい たと すれ ば、 到底 あり 得な いと いう ほか ない

。こ れに 加え て、 本件 全証 拠を 総合 して も、 平成 一四 年一 一月 から 平成 一 九年 一一 月ま での 間に

、一 四社 のう ちの いず れか の会 社が

、荷 主向 け燃 油サ ーチ ャー ジを 競争 の手 段に して 荷主 と交 渉し

、 他社 から 顧客 を奪 おう とし たり

、従 前と 比較 して 取引 量を 増や そう とし たり した 具体 的事 例が あっ たこ とを うか がう こと す らで きな いの であ る。

﹁… 確か に、 一四 社は

…役 員会 以前 から

、各 社独 自の 判断 とし ても

、荷 主向 け燃 油サ ーチ ャー ジを 請求 し収 受す るこ とを 企図 して いた もの とう かが われ

、各 担当 者ら はこ れを 立替 金と して 回収 する もの と考 えて いた よう であ るが

︵…

︶、 それ は 飽く まで も、 一四 社は

、航 空会 社に 支払 う燃 油サ ーチ ャー ジ相 当額 を荷 主に 転嫁 でき なけ れば

、そ の分 は自 らが 負担 する こ とと なり 利益 が減 少す るこ とと なる から

、本 件事 業者 の経 営上

、是 非と も荷 主か ら収 受し たい 性質 のも ので ある とい う認 識 を有 して いた こと をい うも のに すぎ ない

。 結局

、一 四社 は、 各社 独自 の経 営判 断に より

、上 記企 図ど おり の行 動す るこ との リス ク︵ 独自 の判 断で 荷主 向け 燃油 サー チャ ージ を請 求す るこ とに より

、荷 主と の交 渉に 支障 を来 した り、 荷主 向け 燃油 サー チャ ージ を請 求し ない 競争 相手 に顧 客 を奪 われ たり する 可能 性︶ を回 避す るた めに

、他 社と 意思 を通 じ合 って 協調 行動 に出 たも のと 推認 され るの であ り、 これ は 不当 な取 引制 限に 該当 する もの とい うほ かな い。

⑵ その 他の 争点 を含 めて

、結 論と して

、一 四社 は、 当該 業務 にお ける 総貨 物量 の七

〇% 以上 を占 め、 燃油 サー チャ ージ 等の 料金 を含 めた 国際 航空 貨物 利用 運送 業務 にお ける 競争 を実 質的 に制 限し たと 判断 され ると とも に、 排 除措 置命 令及 び課 徴金 納付 命令 に問 題は なか った とす る審 決が 下さ れた

⒞ 評 価

⑴ 本件 審決 は、 国際 航空 利用 貨物 運送 業に 関わ る燃 油サ ーチ ャー ジ等 の付 加的 料金 につ いて 価格 競争 を回 避 し、 取引 相手 方で ある 荷主 に全 部転 嫁さ せよ うと した 合意 を認 定し てい る。 燃油 サー チャ ージ 制度 の導 入時 から

(16)

導入 後の 将来 にお ける 価格 競争 の回 避に 向け た意 思の 形成 を捉 えて いる

。航 空会 社か ら請 求さ れる 燃費 サー チャ ー ジの うち 当該 業務 に関 わる 価格 幅に おけ る料 金競 争や

、本 体料 金及 び付 加的 料金 なら びに 諸費 用な どを 織り 交ぜ た 料金 競争 の余 地が あっ たに も拘 わら ず、 足並 みを 揃え て料 金競 争を 停止 し、 独自 の判 断に よる

﹁競 争リ スク

﹂を 回 避し よう とし た点 に競 争制 限効 果を 見出 して いる

。 本件 合意 を認 定す るに あた って

、審 決は

、① 燃油 サー チャ ージ の荷 主に 対す る全 部転 嫁提 案へ の反 対意 見が 皆無 だっ た事 実、

②競 争が あれ ば到 底あ りえ ない よう な秘 密情 報を 他社 に披 歴し あっ てい る状 況、 より 具体 的に は、

③ 個別 の交 渉内 容、 交渉 経過 及び 交渉 結果 等の 情報 のみ なら ず収 受率 を報 告し あっ たり

、大 手の 荷主 に対 する 全部 転 嫁実 現の ため の協 力体 制を 築い たり する 実態 など を明 らか にし て

( )

いる

33

⑵ 本件 の特 徴と して

、料 金競 争が 成立 する 一定 幅を めぐ って

、価 格引 上げ とい う価 格設 定行 動で はな く、 価格 競争 の回 避に 競争 制限 を求 めて いる こと が挙 げら れよ う。 制約 され た範 囲内 であ って も競 争が 生じ る余 地が あれ ば 独禁 法違 反の 対象 とな る。 たと えば

、石 油価 格カ ルテ ル事 件で は、 原油 価格 の高 騰を 受け て石 油価 格や 生産 調整 を 実施 した 業界 が、 旧通 産省 によ る行 政指 導で 示さ れた 限度 額を 上限 とす る枠 内に おい て競 争可 能で あっ た点 に違 法 性を 見出 して

( )

いる

。同 様に

、近 年に おけ るポ リプ ロピ レン 価格 カル テル 事件 でも

、原 料価 格に 連動 した 価格 リン ク

34

方式 を共 通化 して いた とこ ろ、 同製 品の 価格 をめ ぐっ て個 別の 事業 者が 競争 をす るこ とが 可能 であ った にも 拘わ ら ず、 共同 で﹁ 需要 者向 け販 売価 格を 一キ ログ ラム 当た り一

〇円 を目 途に 引き 上げ る﹂ 合意 を認 定し て

( )

いる

。国 際航

35

空貨 物運 賃カ ルテ ル事 件で は、 共同 で燃 油サ ーチ ャー ジ分 の上 限枠 を最 大化 し、 価格 引上 げを 行っ てい る、 とい う 捉え 方も 可能 であ った かも しれ なか った が、 合意 形成 過程 の事 実や 実態 に即 して

、価 格競 争の 停止 とい う競 争回 避 行動 を認 定す るア プロ ーチ を採 用し たも のと 考え られ る。 なお

、本 件で は、 価格 交渉 力の 違い から 大手 荷主 に対 する 全部 転嫁 が困 難で あっ た事 実も 示さ れて いる が、 価格

(17)

設定 に直 接反 映さ れる 現実 の小 売価 格だ けで はな く、 価格 設定 行動 に何 がし かの 影響 を及 ぼす 場合

、た とえ ば、 参 照価 格や 基準 価格 につ き合 意が あれ ば実 際の 現実 価格 に値 崩れ があ って も、 競争 制限 の認 定の 妨げ とな るも ので は

( )

ない

。い ずれ にし ても

、本 件合 意か ら競 争制 限効 果を 認定 した 本件 審決 の事 実認 定と 判断 枠組 みは

、適 切か つ妥 当 で 36

ある とと もに

、価 格競 争の 回避 とい う視 点か ら不 当な 取引 制限 を適 用し た本 件は

、斬 新な 構成 を採 って いる

本件 を素 材と した シミ ュレ ーシ ョン

⑴ 再度 確認 する と、 コン テナ ー事 件法 理あ るい はU Kト ラク ター 事件 法理 は、

①寡 占市 場と いう 市場 の構 造の もと

、当 該製 品の 特性 も配 慮し なが ら、

②情 報交 換合 意を 認定 し、

③事 業上 重要 な戦 略情 報に 関し て個 別企 業の 行 動が 特定 可能 であ るか どう か、 最新 かつ 詳細 に分 類な いし 認識 でき るか どう かを 考慮 要因 とし てい る。 この 法理 が 有効 に機 能す るの は、 価格 カル テル 形成 時と いう 初動 段階 より も、 むし ろ競 争回 避行 動を 実現 し維 持す る情 報交 換 活動 であ る。 国際 航空 貨物 運賃 カル テル 事件 では

、第 一に

、大 手荷 主に 対し て価 格転 嫁の 実現 が困 難な 中小 の事 業者 も関 与し てい たが

、市 場の 構造 とし ては

、上 位三 社に よる 寡占 傾向 にあ る市 場で あっ た。 しか しな がら

、第 二に

、本 件合 意 は情 報交 換合 意で はな い。 燃油 サー チャ ージ が制 度と して 承認 され た場 合、 これ を取 引相 手方 たる 荷主 に全 部転 嫁 する 方針 を確 認し

、将 来の 燃油 価格 上昇 に直 面し た際

、同 方針 を徹 底さ せ足 並み を揃 えて 全部 転嫁 を実 現す るこ と にあ る。 第三 に、 交換 され る情 報の 内容 も、 秘密 情報 に該 当す る点 では 共通 する もの の、 戦略 上重 要な 情報 では ない

。た だし

、取 引交 渉の 内容 と結 果と いう

、ま さに 現在 ない し将 来の 企業 行動 を決 定づ ける 事項 であ って

、燃 油サ ーチ ャ ージ 制度 導入 前後 にお ける 初動 段階 にお ける 会合 の内 容ま で把 握し てい る。 した がっ て、 一般 的な カル テル 規制 の

(18)

手法 を踏 襲す るこ とが 可能 であ り、 かつ

、そ れで 十分 な立 証で あっ たと 評価 でき る事 例で ある こと から

、欧 米競 争 法に おけ る情 報交 換規 制法 理を

、あ えて 無理 に当 ては める 必要 が無 い事 例で ある

⑵ では

、い かな る状 況で あれ ば、 欧米 競争 法に おけ る規 制法 理を 適用 する こと が可 能な のだ ろう か。 まず

、初 動段 階で の会 合の 状況 が把 握で きな い状 況で あっ たり

、あ るい は、 価格 引上 げに 関わ る具 体的 かつ ある 程度 明確 な 内容 を把 握す るこ とが 困難 であ った りす る場 合な どが 考え られ る。 たと えば

、原 油価 格な ど原 材料 費の 高騰 に直 面 した 際、 価格 競争 を回 避す る慣 行が 散発 的で はあ るが 定型 的な 形で すで に浸 透し てお り、 情報 交換 活動 によ って 各 社の 企業 行動 や実 績を 監視 し実 効性 を確 保す る効 果が ある 場合 に、 有益 であ ろう

。取 引相 手と の交 渉内 容で なく と も、 個別 企業 の収 受率 や、 燃油 サー チャ ージ 等の 付加 的料 金を 織り 込ん だ価 格設 定の 詳細 なデ ータ を相 互に 提供

・ 保有 しあ って いれ ば、 相互 に情 報交 換活 動を 行う 合意 を認 定し

、価 格競 争回 避と いう 競争 制限 効果 を推 認す るこ と も考 えら れる

。 EU 競争 法に おい て、 カル テル 合意 の認 定と とも に情 報交 換合 意の 双方 を対 象と する 法律 構成 から

、情 報交 換合 意だ けを 審査 対象 とす る法 律構 成を 採る に至 って いる

。国 際航 空貨 物運 賃カ ルテ ル事 件で も、 燃油 サー チャ ージ 等 の全 部転 嫁に 関わ る合 意を 認定 する とと もに

、各 社に おけ る成 果状 況に つい て、 収受 率や 価格 デー タ、 取り 扱っ た 数量 実績 など 詳細 かつ 最新 のデ ータ を扱 って いる 事実 を認 定で きれ ば、 競争 上重 要な 戦略 情報 を相 互に 報告

・共 有 して いる 合意 もあ わせ て認 定し

、カ ルテ ル合 意を 補強 する こと も可 能で ある

。初 動段 階に おけ る情 報交 換活 動か ら、 将来 にわ たる 協調 的行 動の 合意 を認 定す るだ けで 足り るこ とは 先に 述べ たと おり であ る。 しか しな がら

、複 数 の個 別合 意か ら基 本合 意を 推認 する 長期 間に わた る入 札談 合規 制で はな いが

、事 後的 な情 報交 換活 動に 着目 して

、 相互 に秘 密情 報を 披歴 しあ う状 況か ら情 報交 換合 意を 認定 する こと で、 本件 のよ うな 事件 を解 決す るこ とも 考え ら れる

(19)

さら に、 本件 排除 措置 命令 の結 果、 交渉 内容 の披 歴を やめ

、独 自に 当該 運賃 を自 主的 に決 定す るこ とを 徹底 させ たと して も、 後日

、所 属協 会が 前記 のよ うな 競争 上重 要な 戦略 情報 を詳 細に 分類 して 配信 した り、 ある いは

、コ メ ント を付 記し たり する こと があ る場 合に は、 統計 目的 の範 囲を 逸脱 し、 構成 事業 者の 個別 行動 を相 互に 監視 する 効 果が 生じ る。 その 場合 には

、協 会等 の事 業者 団体 には 八条 一号 ある いは 四号 を適 用し

、ま た、 構成 事業 者に も不 当 な取 引制 限を 適用 する こと にな る。 情報 交換 活動 に着 目す る意 義は

、寡 占規 制を 強化 する 側面 だけ に限 られ ない

。す なわ ち、 法令 を遵 守す る事 業者 や事 業者 団体 にと って は、 いか なる 情報 交換 活動 であ れば 適法 な活 動で ある のか

、把 握す るこ とが 重要 な関 心事 項 であ るこ とか ら、 言い 換え れば

、規 制当 局に は、 より 明確 なガ イド ライ ンを 策定 する こと も求 めら れて

( )

いる

37

⑶ 最後 に、 欧米 競争 法に おけ る規 制法 理と 本件 にお ける 競争 制限 の推 認手 法の 相違 につ いて 付言 して おき た い。 国際 航空 貨物 運賃 カル テル 事件 では

、協 調的 行動 を導 いた 秘密 情報 の披 歴等 の情 報交 換活 動に つい て、

﹁自 由 な競 争が 行わ れて いた とす れば

、到 底あ り得 ない

﹂行 為で ある と評 価す る。 その よう な評 価に 異論 はな いが

、そ う する と、 当該 情報 交換 合意 から もた らさ れる 競争 制限 効果 を具 体的 に立 証す るの は、 違反 行為 を主 張す る公 取委 の 側と

( )

なる

38

他方

、欧 米競 争法 にお ける 規制 法理

、と りわ けE U競 争法 は、 実際 に生 じて いる 現実 的な 競争 制限 を立 証す るこ とに 代え て、 反事 実的 仮定 方法

、す なわ ち情 報交 換合 意が なけ れば 生じ たで あろ う競 争状 態と 比較 する こと で当 該 合意 がも たら す競 争制 限効 果を 推認

( )

する

。こ の場 合、 競争 制限 効果 が生 じな いこ と、 ある いは

、仮 に生 じて いた と

39

して も補 って なお 余り ある だけ の消 費者 厚生 の増 大を 示す のは

、違 反行 為者 であ る名 宛人 の方 であ る。 この よう に、 競争 制限 効果 に関 わる 立証 方法 につ いて

、似 て非 なる アプ ロー チが ある こと を指 摘す るこ とが でき る。 勿論

、E U競 争法 も、 事業 者間 の接 触や あら ゆる 情報 交換 活動 に対 して

、反 事実 的仮 定方 法に よる 推認 を採 っ

(20)

てい るわ けで はな い。 前述 のよ うに

、価 格引 上げ につ いて は、 反ト ラス ト法 も、 規制 法理 を厳 格に 適用 し、

﹁独 自 に行 動し た可 能性

﹂が ある かど うか

、違 反行 為を 主張 する 原告 側の 立証 を求 める 傾向 にあ るこ とに も留 意し てお く 必要 があ る。 お わ り に 本稿 では

、欧 米競 争法 にお ける 情報 交換 活動 規制 法理 の適 用可 能性 につ いて

、国 際航 空貨 物運 賃カ ルテ ル事 件を 素材 とし て検 討し てき た。 具体 の事 件に つい て仮 定的 状況 を想 定し て議 論す るこ とは

、判 例研 究の 埒外 であ るが

、 他方

、外 国法 研究 の意 義は

、自 国に おい て解 決が 困難 な課 題を 検討 する ため に、 海外 の判 例法 理や 執行 状況 を参 照 し、 適用 可能 性を 吟味 する こと にあ る。 勿論

、国 際航 空貨 物運 賃カ ルテ ル事 件で は、 審決 は、 現行 の運 用例 や解 釈 論に よっ て適 切か つ妥 当な 結論 を無 理な く導 き出 して おり

、本 稿に おい て過 不足 をあ げつ らお うと する もの では な い。 それ どこ ろか

、こ れま でカ ルテ ル規 制の 主流 であ る価 格引 上げ では なく

、価 格競 争回 避と いう 協調 的行 動を 捉 えた 本件 の判 断に 対し て、 むし ろ肯 定的 な評 価こ そ与 えら れる べき であ る。 ただ し、 複雑 かつ 多様 なカ ルテ ルに 対す る規 制が 困難 にな りつ つあ り、 他方

、国 際競 争力 の確 保に よる 合従 連衡 を通 じて 進行 する 寡占 化に 直面 して いる 今日

、欧 米競 争法 が示 した 法理 は、 合意 と競 争制 限の 立証 問題 や意 識的 並 行行 為の 問題 を考 察す る上 で有 益で あ

( )

ろう

。実 のと ころ

、欧 米競 争法 にお いて も、 情報 交換 活動 規制 法理 を用 いた

40

事例 は必 ずし も多 くは ない が、 その こと は違 法性 判断 基準 を明 確に した 判例 やガ イド ライ ンを 通じ て、 法令 を遵 守 する 事業 者ら に有 効に 機能 して いる 現れ であ ると すれ ば、 現時 点に おい て、 具体 的な 事件 を素 材に して 規制 法理 の 適用 可能 性を ある 程度 明確 な形 で示 そう と試 みた 本稿 に何 がし かの 意義 を見 出す こと がで きる かも しれ ない

。 もっ とも

、本 稿は

、欧 米競 争法 にお ける 法理 の適 用可 能性 を模 索し たに 過ぎ ず、 価格 引上 げや カル テル 全般 にお

参照

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