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思い出の図書館

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Academic year: 2021

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(1)287 2015・. 思い出の図書館. 駒沢 とみ子. 思い出の中に三つの図書館がある。. 音を立てた。しかし蔵書は図書館の見識. しい場所だった。. の感じられる良書が揃って、私には好ま. 木造のほの暗い建物は、階段がギシギシ. で、スチームが入っているのが先生方自. 二つ目は小学校の図書室。校舎は新築 慢のたいそう明るい一室だった。ルパン. 勇気やユーモアや品性を教えてもらった。. 士の麓に、バートンの絵本「ちいさいお. 「人間性」について調べる機会があり、. 一つ目は「すその文庫」。私の育った富 うち」の表紙そっくりな建物が、子供達. やレ・ミゼラブルなど子供向きリライト. え だ が、 彼 は こ う 書 い て い る。「 私 た ち. に解放されていた。地元の老婦人が、子. は人間性というものを良きもの、理性あ. 迷った私に司書さんが渡してくれた中の. 五年生のある日、書棚の足元の段から. るものと思っているがそうだろうか。こ. 一冊が武田泰淳の評論集だった。うろ覚. 白い大型の本を取り上げた。素っ気ない. の上なく崇高な自己犠牲も、人肉を食う. 本が並び、読書好きの友達と一週間で何. 高度成長期にあって新しいもの、速いも. 黒い文字で「原爆の長崎」とタイトルが. (それも正気で)行為も、どちらもあなた. 冊読めるか競争した覚えがある。. の、新開発の素材がもてはやされ、じっ. 入 っ て い た。 長 机 に 置 い て 中 を の ぞ い. 供達に良い本をという長年の夢を実現さ. くりと本当に良いものを求めるには何も. た私は動けなくなった。モノクロの写真. せた小さな児童図書館だ。社会は経済の. かもが急ぎ過ぎていた時代だった。しか. ナルニア国で悪と戦う子供達や、長崎. しそこにあった一千冊程の本は、そうい. の写真その他多くのものが心に押し寄せ. 方普通の人間の為し得る、『人間的』な行. でもない呆然とした表情。生命が蒸発し. て き た。 本 の 中 だ け れ ど 私 が 既 に 知 っ. 集だった。黒く炭化した人間の体の数々、. てしまった爆心地の荒涼と剥き出しの死. て い た バ ラ バ ラ な 物 が、 収 束 し て 一 つ. うものに流されることなく、吟味して選. にも一切説明なく、撮影の時と場所だけ. になった気がした。想像力を持ちながら、. 動なのだ。人間性は全ての人間の善悪の. が 記 さ れ て い た。 恐 ろ し く て た ま ら な. しかし人間をありのままに見つめよ、そ. 中にこそある」と。. かったのに、最後まで見た私は、友達に. してともかく現実を生きてみるのだ、と. 一瞬の閃光にコンクリートに焼付いた人. 私はここで岩波の子供の本、ドリトル. も家族にもなぜか言えなかった。残酷だ. 体の影、火傷を負った子を抱く母の泣く. 先生、ナルニア国物語、ケストナー全集. とか、戦争は嫌だとか思うようになった. 思った。私の青臭い、悩み多い時代の話. ばれていた。. などに出合い、本の楽しさ、美しさを知り、. のは後のことで、眠る時も何も考えない. である。.  こ まざわ とみこ 本学教授(ピアノ) . 出となった時にまた。. 会いが数多くあるが、それはここが思い. 国立の図書館にも心に残る音楽との出. ようにきつく目をつむった。本は静かに、 そこにあっただけなのに、呼ばれたよう な気が今はする。 三つ目。大学生の私が足繁く通ったの は下宿していた町の図書館の分室。古い. 1.

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