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同志社大学所蔵黄島貝塚出土資料調査報告(第2報)

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同志社大学所蔵黄島貝塚出土資料調査報告(第2報)

吉野真如

はじめに

 前稿(吉野 2007)において、1964 年に行われた黄島貝塚の調査の概要と一部の資料(山形押型文 土器および山形押型文と楕円押型文を併用した土器)について検討を行った。今回はこれに続いて 同志社大学所蔵黄島貝塚出土資料の検討を行いたい。なお、図版番号は前稿からの続きとする。

1.資料の検討

 35 〜 88 は押型文土器である。35 〜 84 は楕円押型文、85 〜 88 は格子目押型文が施されている。

楕円押型文(図9〜 12、表3)

 35 〜 63 は口縁部破片である。35 の口縁端部は平坦に調整されており、口唇部は角頭状を呈する。

外面の横位の楕円文は上端から一定の間隔をあけて施文されている。内面は横位の楕円文を施した 後、上端付近をナデ消し、短い平行する沈線を施している。36 の外面と口縁端部は横方向のナデに より調整され、口唇部は丸くおさめられている。内面には横位の楕円文が施されている。37 はやや 粒の大きな楕円文が斜位に上端まで施文されている。内面には原体条痕が非常に深くしっかりと施 されている。焼成は不良である。38 は外面に両端の繋がった楕円文が横位に施文されている。内面 には端部のはっきりとわかる柵状文が斜位に施されている。39 は直線的に開く口縁部である。口唇 部は丸みを帯びているが、端部は平坦である。内外面とも上端まで横位に施文されている。外面は 上端を残しナデ消されている。内面は施文後に原体条痕が施されている。40 の口唇部はやや厚みを 増しており、形態は丸みを帯びている。外面には縦位の楕円文が施され、上端から一定の範囲はナ デ消されている。内面には柵状文が施されており、重複部がみられる。41 の口縁端部は欠損してい るが、丸くおさめられているものと推測される。外面には縦位の楕円文が施され、内面は非常に細 い沈線が施されている。内面の一部に煤が付着している。胎土中には一片のみであるが、赤色の鉱 物(チャート?)が混入している。42 は口唇部の外面側が角張った形をしている。外面は深く施文 され、凹凸が明瞭である。内面には原体条痕が施されている。43 の内面の原体条痕は上端に施され た後に、その下端に重ねて施されている。条痕は比較的深く幅が広い。44 は口縁端部がナデにより 平坦に仕上げられ、口唇部は角頭状を呈している。外面は楕円文が縦位に施されているが、器面の 剥落が著しく、痕跡から判別されるのみである。内面には施文後に原体条痕が施されている。この 原体条痕は上下二段に施されている。下部のものは突き上げるような方向で施され、鉱物の移動が 見られる。上部のものはこれに継ぎ足すように短く施されている。45 の口縁部はやや外反する。口 縁端部には横方向のナデが施され、平滑に仕上げられており、口唇部は明瞭な角頭状を呈する。外 面は縦位、内面は横位に施文されている。さらに内面は施文後に柵状文が施されている。この柵状 文は矩形の端部が明瞭である。46 の外面は口縁に沿って横位に施文している。それ以下の部分を縦 位、これに隣接して斜位に施文している。残存部位が少ないため全体の文様構成は判然としないが、

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35 36 37

38 39 40

41 42

44

43

45

46

48

49

51

52

53

0 10㎝ 

50

47

S=1/2 図 9 土器拓影図(4)

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あるいは縦位の施文部の間を斜位の施文により充填している可能性が考えられる。47 の内面の原体 条痕は細く、方向が一定しておらず、一部が重複している。胎土中には僅かに直径4 mm の赤色の 鉱物が観察される。48 は外面には縦位、内面には横位に楕円文が深く施文されている。内面の原体 条痕は長さ太さともバラツキが大きく、浅く施されている。49 はやや外反する口縁部である。内面 は上端まで横位に施文した後に、原体条痕を施している。50 は緩やかな波状口縁である。内面の施 文部以下は丁寧なナデ調整が施されている。焼成は良好で堅緻である。51 の口唇部はやや丸みを帯 びており、僅かに外反する。外面は横位に施文した後、これに重ねて縦位を中心に斜位にも施文し ている。口縁部全体では横位施文部を地とした縦位の帯状施文がなされている可能性も考えられる。

内面は上端まで二段にわたり施文されている。施文部以下は丁寧な横方向のナデが施されている。胎 土には多量の角閃石が含まれており、これは他のどの破片にもみられない。他地域(東九州)から 搬入されたものである可能性がある。52 は波状口縁の可能性がある。口唇部は形態・厚さともにバ ラツキが大きい。内外面とも方向の不規則なナデにより調整されているものの、全体に指頭圧痕が 残り、凹凸が著しい。両面とも一部に棒状工具によるものと推定される窪みがみられる。53 は口縁 部が全体として強く外反しており、端部に近づくにつれてその度合いは強まる。器壁は非常に薄い。

外面にはやや角張り、六角形に近い密集した楕円文が縦位に施されている。胎土中には大きめの鉱 物が多量に含まれる。54 は直口する口縁部である。外面の施文部の一部はナデ消されている。内面 の調整は横方向のナデにより丁寧に行われている。55 の口唇部は丸くおさめられ、外反する。内面 には指頭圧痕が残っており、広い範囲に煤が付着している。56 は全体に横方向のナデによる調整が 施されているが、口縁端部では特に丁寧である。外面は縦位に施文されているが、上端を残してナ デ消されている。内面には斜列状に連なる指頭圧痕が二箇所観察される。57 は外反する口縁部であ るが、口唇部付近でさらに強く外反している。口唇部は丸くおさめられるものと考えられる。外面 に縦位、内面に横位に施文されている。内面の原体条痕は浅く施されており、太さも不均一である。

58 は両面とも並列する粒の小さい楕円文が横位に施文されている。屈曲の程度から判断すると、法 量はあまり大きくない個体であるものと考えられる。焼成は良好で堅緻である。59 は内外両面に円 形に近い楕円文が横位に施文されている。施文は外面では深く、内面では浅い。60は外面に縦位、内 面に横位の楕円文が施されている。外面の楕円文は粒が小さく穀粒状であるのに対し、内面の楕円 文は比較的粒が大きく、円形に近い。このことから、同じ楕円文ながら外面と内面で異なる原体が 用いられていることがわかる。内面の施文部は重複し、比較的大きな段差ができている。61 の内外 両面の施文部は浅い。焼成は良好で堅緻である。62は外面に縦位、内面に横位に施文されている。胎 土中には一片のみだが、光沢を有する鉱物(金雲母?)が含まれている。63 の外面の施文部は切り 合い関係から右から左の順に施文されていることがわかる。

 64 〜 81 は胴部破片である。64 の外面は縦位に深く施文されている。胎土はやや粗い。65 の外面 は横位と斜位の楕円文が施されている。内外両面の一部に指頭圧痕が残る。胎土中の鉱物の混入は 多い。加えて、貝殻の砕片と考えられるものが混入していることが注目される。66 の外面は縦位に 施文されている。内面は横方向のナデにより調整されている。67 の胎土中にはやや大きめの鉱物が 含まれている。68 の外面には粒の大きな楕円文が縦位に深く施されている。胎土は緻密である。69

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54

59

62 63

64

67

68

69 70 71

65

66 60

61 55

56

57

58

0 10㎝ 

S=1/2 図 10 土器拓影図(5)

(5)

72 73

74

75

76

77

78 79

80 81

0 10㎝ 

S=1/2 図 11 土器拓影図(6)

(6)

の外面には指頭圧痕が多く残されている。胎土は緻密である。70 の外面は丸みの強い楕円文が縦位 に施される。内面には指頭圧痕が全体に残されている。71 の外面に縦位に施文されている楕円文は やや粒が小さい。72 の内面には指頭圧痕が数多く残されている。73 の胎土中には赤色の鉱物が僅か に含まれている。74 の外面には粒間の詰まった楕円文が横位を中心に斜位にも施されている。胎土 中には比較的大きな鉱物が多く含まれる。75 の内面は横方向のナデにより調整されているが、一部 に指頭圧痕が残る。焼成は良好である。76 は外面に不規則な方向で施文されており、施文の深さも バラツキがみられる。胎土は粗く、焼成は不良である。77の外面の施文部は一部が摩滅している。78 の内面には縦方向の列状に連なる深い指頭圧痕が残されており、胴部でも比較的上部に位置する破 片であることが推測される。79 〜 81 は底部に近い部分の胴部破片である。79 は外面には粒の小さい 円形の文様が横位を中心に浅く施されている。外面の一部に棒状工具による擦痕と、繊維によるも のと考えられる二カ所の線状の圧痕がみられる。注目されるのは、胎土中に貝殻片(カキ?)が含 まれていることである。80 は内外面とも横方向のナデにより丁寧に調整されている。胎土は全体的

82

83

84

85

86

88

87

0 10㎝ 

S=1/2 図 12 土器拓影図(7)

(7)

に鉱物の混入が少ない。81 の外面には僅かにズレるが、ほぼ並行するやや潰れた楕円文が横位に施 されている。浅い施文で凹凸は不明瞭である。内面の調整は不規則な方向のナデによって丁寧に調 整されている。

 82 〜 84 は底部破片である。82 はやや尖り気味だが大きく開く底部に復原される。外面に横位の楕 円文が施されている。内面は平滑に調整されている。胎土中に含まれる鉱物の量は少ない。83 は丸 底に近い尖底に復原される。両面とも摩滅が著しい。焼成は不良である。84 は開きの弱い尖底に復 原される。外面に施されている楕円文は粒が小さく、間が詰まっている。

格子目押型文(図 12、表3)

 正確には、凹部が正方形や長方形となる格子目文とは異なる。平行し、連結するややつぶれた楕 円の間を区画するように直線が切り込まれ、凹部は凹レンズのような形となる格子目に類似した文 様である。85・86 は口縁部破片で同一個体である。どちらも縦に並ぶ楕円の間に直線が刻まれてい る。この直線部は原体への文様の彫刻に際して、割り付けの役割を果たしたものと考えられる。外 面は縦位、内面は横位に深く施文されている。85 の内面の施文部以下は丁寧なナデによって調整さ れている。86 の内面は二段にわたって施文されているが、下の段は浅い施文で大半はナデ消されて おり、僅かに段を残している部分が殆どである。胎土中には一片のみだが、赤色の鉱物(チャート?)

が含まれている。87・88 は胴部破片で同一個体である。外面には 85・86 のものと比べて幅広く扁平 な斜めに平行して並ぶ楕円の間に、その配列に対応する斜めの直線が刻まれている格子目文が横位 に施されている。おそらく、この斜めの直線部が文様の割り付けの役目を果たしたものと推測され る。87 の胎土中には非常に大きな鉱物が数片含まれている。88 の内面には指頭圧痕が多数残されて おり、凹凸が明瞭である。

無文土器(図 13 〜 16、表4)

 89 〜 125 は無文土器である。調整などの違いにより二群に大別することができる。一つは、横方 向を中心としたナデによって調整され、器面が平滑に仕上げられているものである。この一群の全 体としては器壁が比較的薄手のものが殆どで、法量も小さいと推定されるものが多いという傾向が みられる。もう一つは、器面の調整は粗雑で、指頭圧痕が多数残されており凹凸が著しいものであ る。こちらは器壁が厚手で、推定される法量も大きいという傾向がある。胎土については、後者に 鉱物の混入の著しいものが多い。

Ⅰ群

 89 〜 100 は口縁部破片である。89 は口唇部でやや外反する。内外両面ともは横方向の丁寧なナデ 調整である。90は直線的に開く口縁部であるが、口唇部は外面が肥厚し、丸くおさめられている。91 の口唇部は角頭状を呈する。口唇部内面に線状に連なる窪みがみられる。92 の口唇部外面の一部に 僅かな円形の盛り上がりがみられる。これが瘤状突起と関連するかどうかは不明である。内面には 溝状に連なる指頭圧痕が二箇所ほどみられる。93 は尖り気味に丸くおさめられる口唇部が強く外反 している。94 の口縁部は直口するものと考えられる。口唇部は外面で肥厚し、強く折れ曲がって外 反しているかのようにみえる。95 の口唇部は強く外反しており、ヘラ状工具によるものと思われる 刻み目が連続して深く施されている。96 は直口する口縁部である。口唇部は丸みを帯びた角頭状を

(8)

呈する。外面にみられる横方向の線状の窪みは調整の境目に段ができたために生じたものである。97 の口縁部は全体として強い屈曲を示している。一度、内彎した後、厚みを減じつつ口唇部付近で強 く外反している。内面は縦方向、外面は横方向のナデで調整されている。98 の内面には溝状に並ぶ 指頭圧痕が二列確認できる。溝状の部分は口縁端部までは伸びず、外反する箇所で終わっている。99

89 90

91

92

93 94

95

96

97

98 99

100

101

102 103

0 10㎝ 

S=1/2

図 13 土器拓影図(8)

(9)

は直行する口縁部。屈曲度から推定すると、口径は比較的大きなものと考えられる。口唇部外面に は、太さのまばらな線状の窪みが数条みられる。これについては、条痕とするにはあまりに太く、棒 状工具などによる調整によるものと思われる。100 の口唇部は丸くおさめられ、やや外反している。

特筆されることとして、口唇部内面には原体条痕に類似した棒状工具による短い沈線が深く施され ている。この沈線の存在から押型文土器の無文部である可能性も考えられるが、無文部とするには あまりに間が空き過ぎているため、無文土器と考えることが妥当と思われる。胎土中の鉱物の混入 は殆どみられない。

 101、102 は胴部破片である。101 は内面に比べて外面の調整が丁寧である。102 の外面の一部には ススが付着している。

 103は底部破片である。丸底ではなく潰れたような尖りの弱い尖底となるものと考えられる。胎土 中には鉱物が多く混入されている。

Ⅱ群

 104 〜 120 は口縁部破片である。104 は直口する口縁部である。口唇部は尖り気味に丸くおさめら れる。同一個体の資料も含めて推定すると、口径は 50cm になる。105 も直口の口縁で、復原口径は 36cm である。口唇部はやや内削ぎ気味に丸くおさめられている。外面は縦方向、内面は不規則な方 向の擦痕状の調整が施されている。106 の復原口径は 34cm である。口縁端部は平坦に成形され、形 状は外面に突出した角頭状を呈している。調整は丁寧である。107 は復原口径が 50cm を測る。ゆる やかな波状口縁である。口唇部は丸くおさめられている。内面口唇部に成形時の粘土のハミ出しが 残されている。108 は口唇部付近でやや外反するものの、口縁部は全体として直口している。口唇部 外面は一部で成形時の粘土のハミ出しが残っている。他の同一個体の破片も加えて推定すると、口 径は 54cm になる。109 は復原口径が 38cm であり、口唇部は角頭に近い形状を呈している。全体が 大きく外反し、緩やかな波状態の口縁部である。器面調整は両面とも丁寧である。110 は口唇部がや や外反するが、直口する口縁部である。外面には山形文のような部分がみられるが、調整時に口縁 端部から粘土を調整のため粘土をナデ下ろしたことにより偶発的に生じたものである。111やや内傾 する口縁部である。口唇部はやや尖り気味に丸くおさめられる。内面に指頭圧痕が多数残る。112 の 内面には指頭圧痕が多数残る。一部では接合痕が線状にはっきりと観察される。113の器面の調整は 粗く、擦痕状の線がみられる。胎土中には鉱物が多く含まれる。114 の調整は内外両面とも比較的丁 寧である。115 はやや外反する口縁部である。外面の調整は丁寧で器面は平滑である一方、内面には 指頭圧痕が多数観察される。116 の口唇部は肥厚し、やや外反する。内外両面ともに指頭圧痕が全面 に残されており、凹凸が著しい。117 はやや強く外反する波状口縁である。口唇部は外面が肥厚して いる。118 は波状口縁である。口唇部は角頭状に近い形状を呈し、強く外反している。内面には口縁 端部まで溝状に連なる斜方向の指頭圧痕の列が並んでいる。119 の口縁端部には凹凸がみられるが、

波状口縁にはならないものと思われる。内面には指頭圧痕が多く残されている。120は全体的に強く 外反する口縁部である。口唇部は丸くおさめられている。胎土中にはやや粒子の大きめな鉱物が非 常に多く含まれている。焼成は不良で、器面の剥落が激しい。

 121 〜 124 は胴部破片である。121 の外面の調整は比較的丁寧である。122 は胴部でも下半の部分

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の一部に煤が付着している。124 は表裏ともに器面全体に指頭圧痕が観察され、調整は粗い。

 125は底部破片である。全体的に開きの強い砲弾状に近い尖底に復原できると思われる。底の厚さ は2 cm を超すものと考えられる。

撚糸文土器(図 16、表4)

 126 〜 128 は撚糸文土器である。126 は口縁部破片である。内面には横位、外面には縦位のlの撚 糸文が施文されている。口縁端部に 1.3cm の間隔で刻み目が施されている。胎土中には赤色の鉱物 が含まれる。127 は口縁部破片と考えられる。外面は縦、内面は斜めの方向にlの撚糸文が深く施さ れている。撚糸は太く、目は粗い。撚糸の間隔は狭い。焼成は不良でもろい。128 は胴部破片である。

外面に撚りの比較的強く、目が細かいrの撚糸文が縦方向に施されている。撚糸間の幅は広く、棒 状工具への巻き付けは緩やかな原体であるものと考えられる。胎土中に貝殻が混入している。

条痕文土器(図 16、表4)

 129 〜 132 は条痕文土器であり、いずれも胴部破片である。129 に施されている条痕は太さが均一 で間隔も一定している。内面の条痕は辛うじて観察できる程度で浅い。130の外面には細く密集した 条痕が横方向に浅く施されている。条痕の境界部分に段が形成されている。内面は条痕が施されて いるのかどうか判然としない。131 は、内外両面とも斜めの粗い条痕がみられる。132 の外面の縦横 に交錯する直線状の凹凸は条痕によるものと考えられる。内面は丁寧な横方向のナデにより調整さ れている。胎土中に含まれる鉱物はごく僅かである。

石器(図 17、表5)

 サヌカイト製のスクレイパーである。石質は緻密で、斑晶は殆どみられない。風化が進行してお り、器面は明灰色を呈する。横長の剥片を素材とし、打面は礫面打面である。腹面から調整加工を 縁辺に施し、刃部を作出している。

おわりに

 最後に簡単に資料の特徴について概観してみたい。まず、土器については、表6に押型文土器と 無文土器について口縁部破片数、全破片数、重量の観点からその比率を示した(註1)。抽出する要素 により、比率が変動する可能性はあるものの、点数からは押型文土器と無文土器はほぼ同数程度、重 量では無文土器の比率がやや高いことがわかる。また、これまで図示したように全形を復元できる 個体は得られていない。石器に関しては、サヌカイトの剥片は数多く見られるものの、製品は図示 した1点のみであった。このほか、骨角貝製品が全く検出されていないことも特筆される。こうし た特徴の大半は報告されている限りでは、他の調査地点でも共通しており、今後黄島式土器の標識 遺跡である黄島貝塚の遺跡としての性格を考えるうえで重要な要素となるものと思われる。

1…撚糸文土器、条痕文土器については出土点数が少なく、構成比に反映できないため除外した。

(11)

104

105

106

107

108

0 10 20㎝ 

S=1/4 図 14 土器拓影図(9)

(12)

109

110 111

112

113

114

115

116

117

118

119

120

0 10㎝ 

109 S=1/4  その他 S=1/2

0 10 20㎝ 

図 15 土器拓影図(10)

(13)

121

122

123

124

125 126

127

128

129

130 131 132

0 10㎝ 

S=1/2

図 16 土器拓影図(11)

(14)
(15)

表 4 土器観察表②

表 5 石器観察表

0 5㎝ 

S=4/5

図 17 石器実測図

(16)

参考文献

吉野真如 2007「同志社大学所蔵黄島貝塚出土資料調査報告(第1報)『同志社大学歴史資料館館報』第 10 号

謝辞

 本稿ならびに前稿(吉野 2007)の作成にあたり、掲載を快諾して下さいました松藤和人先生、辰巳和弘先生をはじめ、次の方々の ご協力を頂きました。若林邦彦氏、中井美知子氏、小島孝修氏、河森一浩氏、森川 実氏、森川美香氏、遠部 慎氏。末筆ながら記 して感謝申し上げます。

追記

 前稿作成後、1964 年の発掘調査の調査日誌ならびに写真を見学する機会を得た。本稿においては、そこから得られた情報を極力反 映できるよう努めた。前稿の記述に関しては、とりわけ各調査区の層位関係や出土状況について追加または変更すべきものがあるこ とが分かった。これについては、機会を改めて発表したい。

表 4 土器観察表②

参照

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