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智山學報 第56 - 036齊藤 雅恵「『孝養集』と良忠撰『看病用心鈔』について : 臨終行儀をめぐって」

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(1)

NII-Electronic Library Service 『

っ て

N工工一Eleotronlo  Llbrary  Servloe

 

 

 

『孝養 集亅と良忠撰 『看 病用心 鈔』につ い て (齊藤 ) 一

 

                                 

 

 

 

 

        ( 1 )  

師 覚

作 と し て 伝 え ら れ て き た

に 『

』 が あ る 。 た だ し 『

養 集 』 は 、 現

は 偽

る の が 定 説 と な っ て お

、 研

対 象 と し て さ ほ ど

目 さ れ て は い な い 。   だ が 『

』 に は 臨

行 儀 に つ い て の 詳

な 記 載 が

ら れ 、 真 言

わ れ て き た 臨

行 儀 を

る 上 で 大 変 貴                                  

 

 

 

 

                                         

 

 

 

 

    ( 2 )

な 文

で あ る と

え る 。 同 じ

臨 終 行 儀 の

と し て は 、 浄 土

第 三 祖 ・ 記 主

師 良 忠 の 著 し た 『 看

心 鈔 』 が

名 で 、 宗 学 の み な ら

医 療

者 に も

や 見 取

の テ キ ス ト と し て 重 用 さ れ て い る 。   臨 終

に つ い て は 浄 土

を は じ め と し た

く の

者 に よ っ て 研 究 が さ れ て い る が 、 現

ま で 『

集 』 と 『 看 病 用 心

』 の 比 較 は な さ れ て は い な い 。 と こ ろ が

は こ の 両 書 に は 特 徴 的 な 行 儀 に お い て

の 類 似 性 が 認 め ら れ る の で あ る 。 共 に

立 年 は

明 だ が 、 両

ら か の

関 係 に あ る こ と は 十 分 に

で き る 。 し た が っ て 当

文 で は こ の 「 孝 養 集 』 と 良 忠 撰 『

用 心

』 の 臨

行 儀 を 比 較 し 、 こ の 両 書 に

響 関 係 が

る の か 、

(2)

智 山学報 第五十六輯 ま た あ る と す れ ば 、 ど の よ

な 形 で の

響 が

え ら れ る か 考 察 し て い く こ と と

る 。   両 書 の 比 較 に

立 ち 、 『 孝 養 集 』 に つ い て は 、

ず そ の 傾 向 を 真 言 宗 僧 侶 が

し た 臨

行 儀 書 に

め る こ と と し 、 『 看

用 心

』 は 良 息 の 真 撰 と 認 め ら れ て い る た め 、 良 忠 の 他 の 臨 終

儀 書 か ら そ の 傾 向 を

認 す る 。 二

 

 

言 宗 僧 に よ る 臨 終 行 儀

と し て は 、 興 福 寺 で 真 言 と 法 相 を 兼 学 し た 学 僧 ・

( 一 〇 六 七 〜

二 二 ) 撰 「 臨 終     〔 3 ) 行 儀 注 記 』 が 最 も 早 い と 思 わ れ る 。 そ の

、 興 福 寺 に て 湛 秀 と 交 流 が あ っ た 中 川

( 一 〇 八 八 ? 〜 = 四 四 ) は         ( 4 ) 「 病 中 修 行 記 』 を 著 し た 。 成 立 は 長 承 三 年 (

三 四 ) で あ る 。 歴 然 た る

臨 終 行 儀 と し て は 、 お そ ら く こ の                                                                                                       「 病 中 修 行 記 』 が 最 初 の も の で あ る 。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                                                                                    ’                                                                           ( 5 )   こ の 『 病 中 修 行 記 』 を 参 照 し て 著 さ れ た の が 、 興 教 大 師

鑁 撰 述 の 『 一

大 要 秘 密 集 』 で あ る 。 『 一 期 大 要 秘 密 集 』 は 『 病 中 修 行 記 』 か ら

く の 行 儀 を

し 、 月 輪

や 阿 字

を 取

入 れ る な ど 、 さ ら に

教 的 な 要 素 を 強 く し て い る 。 成 立 年 は 不 明 で あ る が 、 『

行 記 』 以 降 で あ る か ら 、 長 承 三

以 降 で あ る こ と は 間 違 い な い 。 『 一 期 大                                                                     〔 6 ) 要

密 集 』 の 成 立 は 、 『 往 生 要 集 』 の

穢 土 欣 求 浄 土 の 思 想 に 基 づ く 臨 終 行 儀 と は

の 、 即 身 成 仏 思 想 に 基 づ き 、 密

浄 土 、 特 に も 密 教 阿 弥 陀 浄 土 を 欣 求 す る ( 11 密 教 浄 土 教 ) 臨 終 行 儀 の

立 を 意 味 す る 。                                                       7V  

時 代 に 人 る と 、 貞 慶 (

五 五 〜 一 二 一 三 ) が 『 臨 終 之 用 意 』 を

し た 。 日 本 法 相 中 興 の 祖 と も 呼 ば れ る 貞 慶 は

秀 ・ 実 範 と 同

、 興 福

で 真 言 と

を 兼 学 し た 密 教 僧 で あ る 。 続 い て 、 高 野 山 正 智 院 の 学 匠 で 高 野 山 八                                                                                 ( 8 ) 傑 に も 数 え ら れ る 道

八 四 〜 一 二 五 二 ) に よ っ て 貞 応 二 年 ( 一 二 二 三 ) に 『 秘

念 仏 鈔 』 が ま と め ら れ た 。                 ( 9 ) そ の

の 「 臨 終 用 心

」 の 章 が

終 行 儀 に つ い て

さ れ た

所 で あ る 。

(3)

NII-Electronic Library Service 『孝養集』と良忠撰 「看病用心につ い て 儕 藤 )   ま た 、 道

と 同 時 代 か そ れ 以 降 の 成 立 と 考 え ら れ る 臨 終

に 『

養 集 』 が

げ ら れ る 。 『

』 に つ い て は 、

の 撰 述 と さ れ て き た が 、 近 年 で は 、 後 世 覚

の 名 に

託 し て

え ら れ た

作 で あ る と す る の が 定 説 で あ る 。                                                           ( 10V   江 戸 時 代 の も の と し て は 、 浄 空 ( 一 六 九 三 〜 一 七 七 五 ) 撰 『 成 仏 示 心 』 が

ら れ る 。 浄 空 は 、 宜 範 ・

な ど に 師

し 、 報 恩

流 と 安

流 の 伝 授 を 受 け 、 宝 暦 九

( 】 七 五 九 ) に

二 十 世 と な っ た 。 『 成 仏

心 』 は 、

和 三

( 一 七 六 六 ) 以 降 に

さ れ た と

ら れ 、 こ れ ま で に 挙 げ た 臨 終 行 儀 書 に 比 べ 大 き く 時 代 を

て お

、 平

期 か ら 鎌 倉

ま で に 広 く 流

し た 臨 終 行

が 、

世 ど の よ う に

容 さ れ て い っ た の か を

認 出 来 る

で あ る 。   こ れ ら の

献 に

づ き 、

言 宗

行 儀 の 特

と 考 え ら れ る も の を ま と め る と 次 の よ

に な る 。 た だ し 『 孝 養

』 は こ の

か ら は 除 く 。

A

 

本 尊 を

定 し な い          

 

密 教

弥 陀 仏 の 重

厳 浄 土 ( 特 に も 密 教 阿 弥 陀 浄 土 ) を 欣

る 。          

 

不 動

王 の

護 … … … 本 尊 の 他 に 臨 終 正 念 を

け る 尊

を 必 要 と す る 。          

 

弥 勒

薩 、

法 大

へ の 信 仰

B

( 三

行 )   身 密 … 契

( 特 に も 本 尊 根 本 印 )   口 密 … 念 仏 、 真 言 ( 特 に も 大 日 ・ 尊 勝 ・ 光 明 ・ 弥 陀 ) 、 弘

大 師 の 要 文   意 密 …

i

阿 字 観 … 臨 終 行 儀 と し て の 阿

観 は 、 覚 鑁 に よ っ て

立 。 阿 息 観 の 展 開 と し て                  

を 呈 し た 。         苴

輪 観 同 範 が 吽 字 一

615

一 N工工一Eleotronlo  Llbrary  

(4)

智山学報 第五 十 六

C

 

 

病 気 に な っ た と し て も む や み に 命 を 捨 て よ

と せ ず 、 積 極 的 に 病 気 を 治 療 し て い く と い う

姿

婆             即 浄 土             さ ほ ど 行 儀 の 遵

ら な い … 「 随 宜 に 随

べ し 」 「 添 削 存

意 に

す 」   こ の よ

に 真 言

臨 終 行 儀 は 、 そ の 信 仰 を

て も

を 見 て も ま た 行 儀 を 見 て も 、 い わ ゆ る 『 往 生 要

』 系 の 臨

と は 異 な る 視 点 を

つ 。 そ れ は 、

身 成 仏 思

に 基 づ く た め で つ ま り 真 言

臨 終 行

と は 密 教 浄 土 教 の 臨 終 行

な の で

る 。

 

  『 看 病 用 心

』 の 選 者 で あ る 良 忠 (

九 九 〜 = 一 八 七 ) は 、 浄 土

の 第 三 祖 で あ

、 然 阿 と 号 し た 。 諡 号 は 記 主 禅 師 と い う 。   法

( = 三 二 〜 一 二 一 二 ) か ら 良

に 至 る ま で の 臨

行 儀 は 、 真 言 宗 の よ う な 文 献 を 通 し て の

響 の み で は な く 、 法 然 か ら 聖 光 ( 誕 生 年 不 詳 〜 一 二 三 八 ) 、 聖 光 か ら 良 忠 と い

師 弟 問 で の 相

が あ っ た こ と に 大 き な 特 徴 が あ る 。                                             ( 11 )                                             ( 12 )   法 然 の 臨 終

儀 書 と し て は

詳 の 『 臨 終

儀 』 ( 『 臨 終 講 式 』 ) が あ る 。 ま た 『

』 に も 臨

に お

                                                        ( 13 )                   ( 14 ) る 法 然 の 思 想 が 明 か さ れ て い る 。 聖

の も の と し て は 、 『 浄 土 宗 要 集 』 『 浄 土 宗

目 問

』 等 に 臨

儀 が

か れ て い る 。 た だ し 、

然 も 聖 光 も 極 楽 往 生 の た め の 臨

儀 を 重

視 せ ず 平 生 の 念 仏 の

に よ り 往 生 出 来 る と い

立 場 を 採 っ た こ と は 周 知 の 通 り で あ る 。 法 然 の

え る 臨 終 正 念 と 往 生 の 関 係 は 、 ” 臨 終 ↓ 来 迎 ↓ 正 念 ↓ 往 生 ” で

る こ れ は 『

生 要

』 以 来 の ” 臨

正 念 ↓ 来 迎

往 生 ” と い

思 想 と は 異 な る も の で 、 行 儀 を 重 ん じ な か っ た 理 由 も こ こ に 関

す る と

え ら れ る 。

(5)

NII-Electronic Library Service 『孝 養集 亅と良忠撰 『看病用 心鈔 』につ いて (齊藤 )   こ の 流 れ を 汲 み な が ら も 、 良 忠 に は 臨

儀 に 関 す る 著

が 非 常 に

く 、 そ の 中 で も 『 看 病

』 『 浄 土 大   ( 15 )                     ( 16 ) 意

』 『

生 要

巻 中

記 』 に は

派 に

係 な

く の 臨 終 行 儀 書 が 引 用 さ れ て お り 、 良 忠 が 広 く 臨 終 行 儀 を

ん で い た こ と を

わ せ る 。 こ の 両 書 を

認 し た 限 り 、 良 忠 は 臨

を 大 変 に 重 要 視 し て い る し 、 善

識 の 担

も 大 き い と

え て い る 。 た だ し そ の 目 的 は ひ た す ら に 念 仏 を

め る こ と に あ る 。 つ ま り 、

知 識 の

け に よ っ て 正

を 得 る の で は な く 、 善 知 識 の 助 け に よ っ て 念 仏 を し 続 け る こ と が 出 来 る た め 、 極

往 生 が 出 来 る と い

図 式 で あ る 。 し た が っ て 、 行 儀 を 重 視 す る 姿 勢 は 法

と 異 な る も の の ” 臨 終 ↓ 来 迎 ↓ 正

↓ 往 生 ” と い

思 想 は 受 け

い で い る と

え ら れ る 。

 

1

 

 

 

 

                                         

 

( 17 )             ( 18 )

 

』 は

鑁 の

作 と し て 伝

ら れ て き た が 、 中 野

慧 氏 、 櫛 田 良 洪 氏 ら

く の 先 徳 の

に よ

、 偽 撰 と す る の が

説 と な っ て い る 。 そ の 主 た る

拠 は 『 一 期

要 秘

集 』 の 引 用 と 、 浄 土 往 生 や 秘

念 仏 等 の 思 想 の

違 に あ る 。

 

思 想 の 相

に 関 し て は 、

に も 阿 弥 陀 思 想 の 相 違 、

人 往 生 思 想 の

違 等

く の 問 題

が 指 摘 さ れ て い る 。 こ の

生 思 想 に 関 し て 、 松

氏 は 「

か ら 更 に 諸

融 合 的

人 往 生 思 想 へ と 進 ん だ 鎌

仏 教 以 降 の 思 想

 

 

 

 

                            ( 19 ) と も

え る こ と が で き る 。 」 と 指 摘 し て い る 。 ま た 、 阿 息 観 に 関 し て 、 櫛 田 氏 か ら 「 臨 終 に 六

を 唱 え る こ と の 出 来 な い

は 阿 を 唱 え る

を 主 唱 し た

え 方 は 高 野 の 道

毫 寺

足 等 の 思

に 近 い

が す る 。 従 っ て 一 617 一 N工工一Eleotronlo  Llbrary  

(6)

智山学報 第五 十 六輯 本 書 の 著 作

代 を 推 測 す れ ば

で は な く 、 鎌 倉

期 に 近 い 思 想 的 傾 向 を も っ て い る

で あ る 。 」 と の

( 20 ) る 。   こ の よ う に 『

集 』 と 『 一 期 大 要 秘 密 集 』 問 の 矛

や 、 覚 鑁 の 思 想 と の 明 ら か な 相 違 を 見 る に 、 『 孝 養

』 を 覚 鑁 の 真 撰 と す る の は や は

困 難 で あ ろ

。 た だ し 、 こ れ ら の 根 拠 は 『

集 』 と

鑁 の 関 係 を 否

る も の で は な い 。 全 体 を 通 し て

鑁 か ら の 影 響 が 認 め ら れ る し 、 『 十 住 心 論 』 の 多 用 や 諸 真 言 の 使 用 か ら 、

言 僧 の

で あ る こ と は 間 違 い な い と

え る の が 通 説 で あ る 。 伊 原 照 蓮 氏 も 、

鑁 の

と し て 伝 え ら れ た こ と を

え る に 、 『

                                                              ( 21 )

』 が 高 野 山 で

さ れ た の は 確 実 で 、 そ れ を 疑

理 由 は 無 い と し て い る 。   い ず れ に せ よ 『

養 集 』 を

鑁 の 真 撰 で あ る と す る の は 大

困 難 で あ り 、 当

文 に お い て も 『 孝

』 を

鑁 の

と し て 扱

こ と と す る 。 た だ し 、 現 在 の と こ ろ

鑁 以 外 の 著

た る 人 物 も 、 候 補 た る 人 物 も 不 明 の ま ま で あ る   ま た 『

養 集 』 は 成 立

も 明 ら か に さ れ て い な い 。 定 説 に

い 、 『 孝

』 が 後 世 覚 鑁 に

託 し て 伝 え ら れ た も の だ と す る な ら ば 、 最 も

く て 平 安 末 期 の 成 立 と な る 。 た だ し 、 先 の 松

氏 ・

田 氏 の 指 摘 を

す る と 、 成 立 は

て も

倉 期 に 入 っ て か ら と

え る べ き だ ろ

。 と こ ろ で 、 櫛 田 氏 の

摘 の

拠 に は 道 範 と の 思

的 類 似 が 挙 げ ら れ て い た が 、 道 範 が 『 秘 密 念 仏 鈔 』 を 著 し た の は

応 二

( 一 ニ ニ 三 ) の こ と で あ り 、 没 し た の は 建 長 四 年 ( 一 二 五 二 ) で あ る 。 し た が っ て

範 の 思

慮 す る な ら ば 、

期 と い う よ り も 、

か ら

期 の 思 想 に 近 い と い う ほ

当 で は な い だ ろ

か 。 も っ と も

よ り 以

の 覚 鑁 の 思 想 に お い て も = 期 大 要 秘

』 な ど に 同                   ( 22 )

の 思 想 が 認 め ら れ る 。   写 本 を

る と 、 現 在 最 も 古 い と さ れ る の は 室 町 期 の も の で あ り 、 つ ま り 写 本 を 見 る 限 り で は 、 遅 く と も 室 町 初 期 に は 「 孝

集 』 は 成 立 し て い た と 考 え ら れ る 。 し た が っ て 現 在

え ら れ る 成 立 年 代 は 、 鎌

・ 中 期

2

二 三 〇 年 頃 ) 〜 室 町 初 期 ( 一 四 〇 〇 年 頃 ) と い

こ と に な る 。

(7)

NII-Electronic Library Service  

成 に つ い て

て い く 。 当

で は 『 興 教 大 師 全 集 』 下 に 収 録 さ れ る

に 刊 行 さ れ た 『 孝

集 』 の 版 本 に

る 。 ま た 、 本 論 で は

儀 の み を 対 象 と す る た め 、 以 下

別 な 断 り が

い 限 り 、 『

』 と は 、 『 孝 養

下 「 臨 終 正 念 往 生

楽 の

を 明 か

」 の み を

も の と す る 。 本 文 は 、

の 次 に 十 条 の 項 目 の 表 題 が 掲 げ ら れ 、 そ れ に 続 い て 十

に 渡 っ て 臨 終 行 儀 が 説 か れ る 。 ま た 、 表 題 の 直

に 「

の 事 あ ら ば 、 第 七 を 引 て 見 る べ し 、

人 に は

八 を 読 で 聞 せ よ 。 」 と の 注 意 が あ る こ と か ら 、 こ の 二 条 が こ の 臨

の 最 重 要

と い

こ と に な る 。

N工工一Eleotronlo  Llbrary  Servloe

『孝養 集』 と良忠撰 『看病 用心鈔 』につ いて (齊 藤)

2

用 心

  良

記 は 、

慧 撰 『 然 阿 上 人

に 見 る こ と が 出 来 る が 、 そ れ ら の 著 述 目

に は 『

病 用 心

』 は 記 さ れ て い な い 。 そ の た め こ の 『

病 用 心

』 を 良 忠 の 作 と す る

に つ い て は 、

く の

が 真 疑 を 論 じ て き た と こ ろ で あ る が 、

は 良 忠 の

撰 で あ る と す る の が

説 で あ る 。

さ れ て い な い が 、 お そ ら く 良 忠 四 〇 歳 頃 ( 一 二 四 〇 年 頃 ) の 成 立 で あ ろ う と さ れ て い る 。   『

用 心

』 に は 大 き く 分 け て 三 種 の 写 本 が 伝 え ら れ て い る 。

土 浄

蔵 『 看

用 心 』 、 宇 治 常

蔵                    

 

 

 

 

                                         

 

 

 

 

                    ( 23 ) 『

用 心

』 、 金

蔵 『 看 病 用 心 鈔 』 で あ る 。 こ れ ら 三

の 写 本 は 、

尾 教

に よ っ て 紹

さ れ た 常

本                    

 

 

 

 

  ( 24 )                             ( 25 ) を 始 り と し て 、 玉 山 成 元 氏 が 浄 厳

を 、 関 根

氏 が 金 沢 文

本 を 紹 介 し て い る 。   次 に 、

成 に つ い て 見 て い く 。

文 に お い て は 、 『 日 本 浄 土 教

研 究 』 収 録 版 で あ る 、 伊 藤 真 徹 氏 に よ る 翻 刻 を

と す る 。 ( 浄 厳 院 本 は 表 題 が 『 看 病 御 用 心 』 と な っ て い る の だ が 、 こ こ で は 先 徳 の 表 記 に 随 い 、 便 宜 上 『 看 病 用 心 鈔 』 と 呼 ぶ こ と と す る 。 )   本 文 は 、 前 書 ・

九 条 に 渡 る 用 心 ・ 後

・ 極

誓 願 の 祈 願

と 続 く 。 こ れ に 続 い て

書 が あ り 、 そ の 後 に 「 魔 の 一

619

(8)

智 山学報 第五 十六輯 来 迎 と 仏 の 来 迎 と を 知 る 事 」 、 『

生 要

』 の 「 十 楽 」 が 記 載 さ れ て い る 。 た だ し 、 今 回 考

す る 範 囲 は 極 楽 誓 願 の 祈 願 文 ま で と

る 。   用 心 は 十 九

け て 説 か れ て い る が 、 特 に 条 毎 の 表 題 は 付 け ら れ て い な い 。 そ の 内 容 を 見 る に 、 病 者 本 人 に

す る 注 意 は 極 め て

な い 。 全 体 と し て

識 ・ 看 病 人 に 対 す る 注

が 多 く 臨 終

儀 書 と い

性 格 に

え 、

病 の 指 南 書 と し て の

も 備 え て い る と 言 え る 。 ま た そ の 対 象 は 出 家

と い

家 者 に あ り 、 病 者 に 対 す る 柔 軟 な

応 が 見 ら れ る 。                

3

 

」 と 『

』 の 比

 

儀 面 を 確 認 す る に あ た り 、 両 書 の 比

表 ( 後 掲 ) を 用 い る こ と と す る 。 尚 網 掛 け 箇

要 と

え ら れ る

儀 で あ る 。 以 下 そ れ ぞ れ の 項 目 に つ い て 考

を 加 え て い く 。 た だ し ” 本

・ 信 仰 対

” お よ び ” 観

・ 行 の 内 容 ” に つ い て は 、

い が あ っ て 然 る 項 目 で あ る か ら 、 こ こ で 改 め て

上 げ る こ と は し な い 。 ・

に な っ て か ら

べ き

  『 孝 養

』 は む や み に 命 を 捨 て よ

と せ ず 医

等 を 加 え る こ と を 説 い て い る 。 こ れ は 一

す る と

言 宗 臨 終 行 儀 と し て は 当 然 の こ と の よ う だ が 、 そ の 日

に 「 念 仏 の

を 積 て 」 と あ る こ と に 注 意 し な け れ ば な ら な い 。

宗 の 臨

行 儀

で あ る 『

中 修 行 記 』 『 一

大 要 秘 密 集 』 に お い て は 「 唯 、

の 結 縁 を 厚

せ む と 欲

る の み な り 。 」 と あ り 、 「 念 仏 の 功 」 と い う

現 は 『

養 集 』 以 外 に は 見 ら れ な い 。 こ れ は 『 孝

』 が 十 念 を 繰 り 返 し

く こ と と 関 連 す る と 考 え ら れ る が 行 儀 面 で の 『 一 期 大 要 秘

集 』 の

響 を

慮 す る と 、 こ こ で あ え て 「

の 結 縁 」 等 の

現 を 用 い ず 「

の 功 」 と し た の は 興 味 深 い 問 題 で あ る 。   . 方 『

病 用 心

』 は 治

や 祈 り 等 は む や み に 希 望 し な い ほ

が よ い と 説 く 。 こ れ も 浄 土 宗

行 儀 と し て

(9)

NII-Electronic Library Service 『孝 養集 』と良忠撰 「看病用 心鈔 』につ い て (齊藤) は 当 然 の こ と だ が 、 こ こ に 続

記 述 に は 注 目 す る 必 要 が あ る 。 「 苦 痛 を 止 め て 念

を す る た め に は 医

も 必 要 だ と す る

え が あ る が 、 そ れ は 実

に は

命 に

着 す る 気 持 ち か ら 医

め て い る の だ 」 と い う 意 味 の 件 が

、 こ れ は 明 か に 真 言 宗 の

終 行 儀 を 想 定 し て 述 べ ら れ た 文 だ と

え ら れ る 。 た だ し 先 に 確 認 し た 通 り 、

通 真

の 臨 終

で 医 療 を 加 え る こ と を

の は

の た め で は な

長 ら え た

で さ ら に 密 教 ・

宗 の 行 法 を 修

る た め で あ る 。 良 忠 が 「 念 仏 せ し め ん た め に 」 と し た の は

故 だ ろ う か 。   想

で き る 可 能 性 と し て は 三 つ

げ ら れ る 。 第 一 に 、

は 専 修 念 仏 た る 浄 土

の 僧 で あ り 、 そ の 立 場 か ら 往 生 の 為 の

法 を 据 え る

、 そ れ は

仏 に 他 な ら な い た め 。 第 二 に 、 当 時 は 往 生 行 ( 念 仏 を 含 め る ) の た め に 医 療 を 加 え る こ と が 一 般 論 と な っ て い て 、 そ れ を

め て い る た め 。 た だ し こ の 場 合 は 、

え ら れ て い る 以 上 に

言 宗 流 の

儀 が 普 及 し て い た と い

こ と に な る 。 そ し て 第 三 に 、 こ こ で 想 定 さ れ て い る 行 儀 が 『

』 の そ れ で あ る た め で あ る 。 ・ 場 所 (

場 )   『 看 病 用 心 鈔 』 『

養 集 』

に さ ほ ど 特 徴 的 な 記 述 は 無 い が 適 当 な 場 所 が

い 場

の 注 意 と し て 、 『 看 病 用 心

』 に 「 本

」 と

、 『 孝

』 に 「 僧 坊 」 と

る 点 は 面 白 い 。

道 場 に つ い て は 『 往 生 要 集 』 の

に 則 り ” 無 常 院 ” な ど が

げ ら れ る が 、

れ の 臨

儀 書 も 、 無 常 院 を 用 意 出 来 な い

の ( 看 病 し 臨 終 を 向 え る ) 部 屋 の 用 意 に 関

る 記

が 見 ら れ る 。 そ の 場 合 は 仏

を 安 置 し 、 病 者 に 拝 ま せ る 等 の

が あ る の だ が 、 こ の 両 書 の よ

に 具 体 的 に 「 本

」 「 僧

」 と あ る の は 珍 し い の で あ る 。 ・ 設

の ポ イ ン ト   こ の

目 は 共 通 す る

儀 が

い が 、 先 に 『 孝

』 に の み 挙 げ ら れ る も の に つ い て

認 し て い く 。 ま

浄 衣 に 着 替 え る こ と と 、 沐 浴 の

備 に つ い て 記 載 が あ る こ と に 注 目 し た い 。 こ の 二 つ の 行 儀 は 『 往 生 要 集 』 の 臨

行 儀 が 広

621

N工工一Eleotronlo  Llbrary  

(10)

智山学 報 第五十 六輯 ま る 以 前 か ら

に 際 し て 重 要 視 さ れ て い た も の で あ る 。 そ の 理 由 と し て は 、

終 行 儀 に 限 ら ず 行 に 入 る

に は 身 を

め る の が 当 然 の 作 法 で あ っ た と い

側 面 も あ る が 、 仏 の 来 迎 を 受 け 、 極 楽 に 向 う に 相 応 し く 威 儀 を 正 す と い う

も あ っ た で あ ろ う 。 だ が 、 こ の 二 つ の 行

終 行 儀 書 に

上 げ ら れ る こ と は ほ と ん ど な い 。 設 営 に 関 し て は 、 脇

, 楾 ・

い 紙 の 準 備 と い っ た 極 め て 実 践 的 な こ と に

注 意 が 及 ん で い る 。 し か し 、 こ れ ら も 臨

行 儀 と し て 示 さ れ る 例 は ほ と ん ど な い 。   ま た 『 孝 養 集 』 に は 臨 終 時 の 姿 勢 に つ い て も 注 意 が さ れ て い る 。 こ れ は

坐 し ( 阿 弥 陀 の 浄 土 を 想 い ) 西 を 向 く 、 も し く は ( 釈 迦 の 入 滅 に 準 じ て ) 頭 北 面 西 で 臥 す と い う 一 般 的 な も の で あ る 。 さ ら に 、 病 人 に

巻 を

た せ る と い

も あ る 。 『

養 集 』 の 思 想 か ら み て 、 こ の 経 巻 は 『 法 華 経 』 を 指 す と

え て 間 違 い な い だ ろ

。   さ て こ こ ま で に 挙

た 行 儀 は 、 全 て そ れ 自 体 は 珍 し い も の で は な い 。 そ れ ぞ れ 『 日 本

生 極

記 』 に も 見 ら れ る                                                                 26 ) 行

で あ り 「 往 生 要 集 』 以 前 か ら

わ れ て い た 極 め て 一 般 的 な も の で あ る 。 こ の よ う に 臨 終 行

り 上 げ ら れ る こ と は 無 く と も 、 一 般 的 に は 当 た り

に 行 わ れ て い る で あ ろ

儀 に 関 す る 記 述 が

い の も 『 孝

』 の

徴 で あ る 。   以 下 、 両 書 に 共 通

る も の を 挙 げ て い く 。 ま

と 病 者 を 五 色 の 糸 で 繋 ぐ 作

そ し て 香 を 焚 く ・

を 散 ら す ( 供 え る ) と い

が あ る 。 仏 像 に 関 し て は 『

』 は も ち ろ ん

尊 の 指

を し て い な い 。 た だ し 「 三 尺 の 立 像                                                                                             ( 27 ) の 阿 弥 陀 如 来 を 用 よ 。 」 と い う 記 述 が 見 ら れ る 。 こ の 三 尺 と は 湛 秀 撰 『 臨 終 行 儀 注 記 』 に 見 ら れ る も の で あ る 。 こ れ に 関 し て 『

用 心 鈔 』 に は 記 載 は

い の だ が 、 『 往 生 要 集 巻

記 』 に 「 湛 秀 の 臨

記 に 云

」 と し て こ の 三                         ( 28 ) 尺 の 阿 弥 陀 立 像 を

し て い る 。   こ の 仏 像 の

置 に つ い て 、 両 書 は 同

の 注 意 を し て い る 。 高 さ に つ い て は 共 に 臥 し な が ら 仏 像 を 見 ら れ る よ

に と い

配 慮 に よ る も の で あ

、 仏 像 と の 距 離 に つ い て は 、 表 現 こ そ 違

も の の そ の 意 図 す る と こ ろ は 同 じ で あ る

(11)

NII-Electronic Library Service 『孝 養集』と良忠撰 『看病 用心鈔 』につ いて (齊藤) と み て

い だ ろ う 。  

間 の 注 意 と し て 、 『

用 心 鈔 』 に は 「 日 も く れ ハ

火 を あ き ら か に 灯 し て 仏 を も

に 拝 ま せ て 、 病

の 気 色 を も よ

御 覧 す へ く 候 。 」 と あ り 、 『 孝 養 集 』 に は 「

に な ら ば 仏 の

前 に も 、 又

者 の 前 に

に 火 を と ぼ せ 。 其 故 は 仏 を

者 に 明 ら か に 見 せ 、

識 も 病 者 の 息 の 出 入 、 眼 の 気 色 を 明 ら か に

ん が 為 な り 。 」 と あ る 。 両

と も 夜 間 は 仏

と 病 者 を 明 り で 灯 す よ

に 言 う 。 そ の 理

は 、 病 者 に 仏 像 を は っ き り

せ 、 看 病 人 ・

識 が 病 者 の 様 子 を

る よ

に で あ る 。   ま た

の 使 用 も 共 通 し て い る 。 『 看 病 用 心 鈔 』 に 「

子 て い の

を か ま へ て 、 大 小

便

の 不 浄 と き ハ 仏 前 の 隔 て と さ せ

へ 。 」 、 『

』 に 「 屏 風 是 は 見 苦 し き 折 折 、 病 者 の 起 臥

し め ん が 為 な り 。 」 と あ る 通

で あ る 。 『 孝 養

』 の 「 見 苦 し き 折 折 」 と は 排 泄 時 の こ と で あ ろ

か ら 、 こ の 箇

に つ い て も 両

は 同 じ 行

で あ る 。   以 上 が 設 営 に 関

る 行 儀 に つ い て で あ る が 、 そ の

仏 像 の 安 置 ・ 夜 間 の 注 意 ・

風 の 使 用 に つ い て は 、 お そ ら く

の 臨

行 儀 書 に は 見 ら れ な い

儀 で あ る 。 し か も こ れ ら 三 つ の 行 儀 は 言 い 回 し こ そ 違

も の の 、 注 意 ・ 理 由 共 に 同 じ で あ る と 言 え る 。 ・ 見

い 人 お よ び 、

・ 伴

・ 子

・ 親 類   一

的 に

舞 い

に 関 す る

儀 と し て 最 も

視 さ れ る も の は 酒 肉 五 辛 を

し た 人 を 近 づ け な い と い

行 儀 で あ る が 、 そ れ は 『

用 心

』 に も

か れ て い る 。 た だ し こ の 記 載 は 『 孝 養 集 』 に は 無 い 。 こ れ は 『 孝

集 』 は 善 知 識 ・

病 人 以 外 の 人 間 の 一 切 の 面

を 禁 止 し て い る た め で あ る 。 そ の た め 家 族 に つ い て の 記

も 全 く

ら れ な い 。   一

『 看

用 心

』 に は 「 況 や 妻 子 な む と は 、 ゆ め ゆ め 近

け 給 ふ ま し く 候 。 」 と あ る よ

妻 子 が

に 近 づ く こ と が

止 さ れ て い る 。 こ れ は 、 三

愛 の 一 つ で あ る

界 愛 ( 家 族 や 財 産 等 の 残 し て い く も の に 対 す る 執 着 ) を 離 れ る と い

意 味 が

ま れ て い る と 考 え ら れ る 。 『

用 心 鈔 』 に は 三

に つ い て 具 体 的 な 記 述 は 見 ら れ な い の だ

623

一 N工工一Eleotronlo  Llbrary  

(12)

智 山学報 第五 十六輯                                                     ( 29 ) が 、 『 往 生

巻 中 義

』 に は 三 種 愛 に つ い て 詳

な 記 載 が あ る 。 ま た 『

養 集 』 に も 詳 し く 説 か れ て い る 。   ま た 、 『

用 心 鈔 』 に は 「 自

か ら

ら ひ 来 た る 人 あ り と も 、 外 よ り あ ひ し ら ひ て 帰 し て 、 内 ヘ ハ 入 ら る べ か ら ず 。

も 見

し く 候 、 病

の 申 置 き た る 旨 な り と 候 へ 。 」 と い

注 意 も あ る 。 こ れ は 見 舞 い に 来 た 人 は 家 の

手 を し 、 家 の 中 に は 入 れ な い よ

に し 、 そ の 時 に は 「 病 気 で 見

し い 状 態 で あ る か ら ( 会 う の は 控 え た い 。 ) 」 と

か ら

け ら れ て い る と 説 明 す れ ば よ い 、 と い う 意 味 で あ る が 、 こ の

は 、 お そ ら く

慶 撰 『 臨 終 用 意

』 ( 『 真 言 宗 安 心 全 書 」 収 録 版 ) に 依 る も の で あ る 。                                                                           ( 30 )   『 臨 終 用 意

』 に は 「 人 を 門 に 置 て 問 ひ 来 た る 人 を あ ひ し ら は す べ し 。 礼

な れ ば … 」 と い

が あ る 。 こ の 「 礼 儀 な れ ば 」 を 良 忠 が 「 病 も 見 苦 し く 候 病 者 の 申 置 き た る

な り と 候 へ 。 」 と い

に 理 解 し た と 考 え れ ば 、 こ の 両

は そ の 言 い 回 し も ほ ぼ 同 じ で あ る と 言 え る 。 『 看 病 用 心 鈔 』 に は こ の

『 臨

用 意

』 に 依 る と 思 わ れ る

が あ る が 、 そ れ は

述 す る こ と と し た い 。 ・ 看

人 ・ 善 知 識   「 孝 養

』 の 善 知 識 の 用 意 に は 『 一 期 大 要 秘 密

』 か ら の 影 響 が

え る 。 詳 細 は

く が 両 書 は

の 表 現 は 違

も の の 、 役 割 も 座 る 場 所 も ほ ぼ 同 じ で あ る 。 こ れ に 対 し 『 看 病 用 心 鈔 』 は

は 三 人 が 良 い と す る が 、 具 体 的 な

割 を

え ら れ て い る の は 一 人 だ け で 、 そ の 一 人 の

識 は

元 に 座

鐘 を 叩 い て 念 仏 を

め 、 他 の 一 人 は 雑

を 受 け 持 つ と あ る 。 た だ し 病 気 が 長 く な り そ

な 時 は 、

代 要 員 を 含 め 四 、 五 人 で

良 い と も あ る 。   さ ら に 『 看

用 心 鈔 』 『 孝 養 集 』 共 に こ の 基 本

の 他 に 知 識 が 一 人 の 場 合 の 役

に つ い て も 記 述 が あ る 。 『

養 集 』 に は 「 若 し 一 人 あ ら ば 、 病 人 の

に 居 て 、

て 金 を

せ よ 。 一 . 人 あ ら ば 、 一 人 は 後 に 居 て

め よ 。 ( 中 略 ) 後 に あ ら ん 人 は 、 南 無 大 聖 不 動 明 王 と 念 じ 奉 る べ き 。 」 と あ り 、 『

病 用 心 鈔 』 に は 「 も し ま た 知 識 一 人

お ハ し ま さ ハ 、 常 に

者 の 眼 の 気 色 、 息 の 出 と 入 に 目 を 離 た ず し て 鐘 を 打 ち て 念 仏 を 勧 め 給 ふ へ し 。 」 と あ る 。

(13)

NII-Electronic Library Service 『孝養 集』と良忠撰 『看病 用心 鈔』につ い て (齊藤)   と こ ろ で 、 『

用 心

』 の こ の 「 常 に 病 者 の 眼 の 気 色 息 の 出 と 入 に 目 を 離 た ず し て 」 と い

現 は 、 設 営 の ポ イ ン ト で 見 た 『 孝

集 』 の 「

に な ら ば 仏 の 御 前 に も 、 又 病 者 の

に も

に 火 を と ぼ せ 。

は 仏 を

に 明 ら か に

せ 、 知

も 病

の 出 入 、 眼 の 気

を 明 ら か に 見 ん が 為 な り 。 」 と い

注 意 と 大 変 よ く 似 て い る よ

に 思 わ れ る 。   ま た 両 書 と も 看 病 人 の 条

に 大 変 興 味 深 い 注 意 が あ る 。 『 看

用 心 鈔 』 に は 「 こ の

識 の ほ か の こ る 二 人 は こ こ ろ え た る 物 ハ 誰 に て も 候 へ し 。 不 心 得 の 者 を ハ 、 ゆ め ゆ め 寄 す べ か ら ず 。 」 と あ り 、 『 孝 養

』 に は 「 設 ひ 僧 な り と

心 得 ず 、

し か ら ん は

か る べ し 。 若 し 心 得 た ら ば 、 俗 に て も き ら は

。 」 と あ る 。 つ ま り 両

と も 一 人 は 善 知 識 た る 僧 侶 で な け れ ば な ら な い の だ が 、 他 は 看

を 心

た 人

な ら

侶 で な

と も 良 い ( 俗 人 で も 良 い ) と い

こ と で

る 。   こ れ は 僧 侶 で あ る と い

こ と よ り も

の 作 法 に 通 じ て い る と い う こ と の

を 重 要 視 し て い る と い

こ と に な り 、

変 に 珍 し い 記 述 で あ る と 言 え る 。 特 に 『 孝

』 は そ の 臨

儀 と し て 『 一 期 大 要 秘

集 』 を テ キ ス ト と し 、 し か も 善 知 識 の

割 に つ い て は 、 ほ ぼ 同 様 の 注 意 を 呈 し て い る 。 『 一 期 大 要 秘 密 集 』 が 善 知 識 以 外 の 人 が 病 者 と 同 室 す る こ と を

く 禁 止 し て い る こ と を 考 慮 す る と 、 や は り 特 異 で

る と い

は 否 め な い 。 ・

・ 世 話 、

病 人 の 心

  ま

は 看 病 人 の 休 憩 に つ い て

認 す る 。 こ れ も 他 の 臨

行 儀 書 に は 見 ら れ な い

儀 で あ る 。 両 書 と も

香 に よ っ て 時 間 を 計 り 、 交 代 で 休 憩 を

る よ

に 注

が あ る 。 そ の 際 休 む べ き 場

は 『

用 心 鈔 』 に 「 病 者 の あ た り 遠 か ら

、 息 つ き の き こ ゆ る 程 に や

ま せ 給 ふ べ し 。 」 と あ り 、 『

』 に 「

者 の

の 聞 ゆ る 程 に

め よ 。 」 と あ る よ

に 、 病 者 の

ぐ 近 く で な け れ ば な ら な い 。 息 継 ぎ の 聞 え る 距

も 、

の 聞

る 距

が 違 う だ け で 同 じ

味 で

ろ う が 、 こ の よ

意 は お そ ら く こ の 両 書 以 前 に は 見 ら れ な い も の で あ る 。 一 625 一 N工工一Eleotronlo  Llbrary  

(14)

智山学報 第五 十 六   次 に 病 者 に

え る

べ 物 に つ い て の 注

を 見 て い く 。 酒 肉 五

に つ い て は 、 当 然 両

共 に

止 し て い る 。 こ れ は 日 本 の 臨 終 行

で 最 も 浸 透 し て い る 行 儀 の 一 つ で あ り 、 ほ と ん ど の 臨 終 行 儀 書 に 記 述 が あ る 。 た だ し 、 酒 肉 五

の よ

な 穢 ら わ し い と さ れ る 食 物 を 病 者 が 求 め た 場 合 の 対 応 の 仕

に ま で 言 及 さ れ た も の は 、 こ の 両 書 以

に は 無 い と 思 わ れ る 。   『 孝 養

』 に は 「

有 て 、 此

を 願 ふ 事 あ ら ば 、

心 安

ん 由 を 答 へ て 、 さ て

に 似 て 、 然 も こ と な ら ん 物 を 与 て 、 心 を

か し て 後 心

て 云 べ し 。

ら れ し

は 、 臨 終 の 行 儀 に 障 り 也 と 申 す と 言 へ 。 」 と あ る 。 つ ま り 、 ま ず は 病 者 の

し 出 を 承 諾 し 「 彼 に 似 て 、

も こ と な ら ん 物 」 を

え 、 心 を 落 ち

か せ て か ら 、 そ れ が 臨 終 時 に

り と な る 物 で

る と 諭 せ と い

事 で あ る 。 ま た こ こ に 続 い て 「 其 な ら ぬ 物 を 食 ば と て 、 あ く ほ ど に は 食 せ ざ れ 。 又 食 す と も 色 色

に し て

へ て 食

を 得 さ せ よ 。 是 則

を 失 せ じ が

な り 。 」 と 注 意 が 加 え ら れ る 。 つ ま り 、 与 え る に し て も

量 で 、 与 え る 理 由 は 病

を 保 た せ る た め で あ る と い う 。   『

病 用 心 鈔 』 に は 「 病 者

物 を 欣 ひ

め て ( 中 略 ) 魚 な む と に て も 食 は す へ く 候 か 。 又 平 生 の

ら 誡 あ る

な り 。 況 や 臨

に 臨 む て ハ

更 二 仏 の 制 止 給 へ る

也 と 、 言 ひ こ し ら へ て こ こ ろ を と

て の ち 、 そ の 欲 心 を 改 め な さ る へ く 候 。 」 と

る 。 平 生 の

で さ え 慎 む べ き も の で

る か ら 臨 終 に は 尚 更 で あ る と な だ め よ と い

で あ る が 、 こ れ は

に 病 者 の

め に 応 じ な い と い

わ け で は な い 。 病 者 が

固 地 に な っ て い る 場 合 の 注 意 と し て 、 「 病

に を き て ね ん ご ろ に 思 ふ 心 さ し を し ら せ 、

悪 に つ け て 毎 々 に し た か ふ よ し を ミ せ

へ 。 」 と い

対 応 が 示 さ れ て い る 。 よ っ て 『

養 集 』 と 同 様 に ま

諾 し て 、 病 者 の

子 を 見 な が ら

々 に な だ め て い く と い

で あ ろ

。 た だ し 「 彼 に 似 て 然 も こ と な ら ん 物 」 を

え る と い

事 は し な い 。   臨 終 行

は 元 々 は 出 家 者 を 対

と し て い た た め 、

止 し た

に 対 し そ れ に

わ な い 場 合 を 想 定

る こ と は ほ と ん ど 無 い 。 そ れ に も 関 わ ら ず 同 じ 状 況 を 想 定 し 、 し か も そ の 対 応 が ほ ぼ 同 じ で あ る と い う の は 大 変 に 珍 し い 。 単 な

(15)

NII-Electronic Library Service 『孝養 集』と良忠 撰 『看 病用心鈔 』につ い て (齊藤 ) る 偶

と は 考

い 問 題 で あ る 。   同 じ

病 者 に

え る 物 に つ い て 『

養 集 』 に は 、 諸 の 苦 く な い ( 飲 み や す い ) 良 く 効 く 薬 や 、

物 を 常 備 し 、 常 に

え 食 べ さ せ る と い

記 載 が あ る 。 こ れ は 、 病 中 は 、 普 段 は さ ほ ど 欲 し い と 思 わ な い 物 を

め た り

る が 、 こ れ ら の

を 与

て お け ば 意 識 が こ れ ら に

ま る た め 良 く な い

( 酒 肉 五 辛 な ど ) を 求 め な い で

む 、 と い

か ら の 注 意 で あ る 。   先 の 「

に 似 て 、 然 も こ と な ら ん 物 」 を 与 え る 事 や 、 好 物 を 常 に

え る

は 、

者 の 心 を 穏 や か に

つ と い

こ と が 優

さ れ る か ら こ そ 成 り 立 つ 行 儀 で あ る が 、 こ の よ

な 柔 軟 な

姿

勢 は 、 真 言

の 臨 終 行 儀 の

徴 の 一 つ で あ る 。 ・ 死

の 作 法   両

に 死

に 騒 が し く す る こ と を 諌 め 、 静 か に 死 後 の

法 を

る こ と を 説

。 そ の 修

は そ れ ぞ れ 異 な る が 、 「

集 』 で は 、

知 識 は

々 、 仏 眼 と

日 の

を 唱 え る 。 特 に 有 験 の 人 は 油 断 な く 念 力 を 致 し て 病 者 ( 死 者 ) を 守 り 、 死 後 も 二

間 か ら 四 時 間 は 立 ち 去 っ て は な ら な い と あ る 。 阿 弥 陀 の 合 殺 を す る 場 合 は こ の 二 人 以 外 の

に さ せ る と あ り 、

の 人 が 立 ち 去 る 時 に は 部 屋 に 不

明 王 ・ 烏 瑟

明 王 の 画 像 を 懸 け る と さ れ る 。   さ て 、 こ こ で 特 に

験 の 人 に 「 油 断 す る

な か れ 。 殊 に 念 力 を

し て

る べ き な り 。 」 と 注 意 が

る の は 何 故 だ ろ

か 。

一 人 目 の

が あ る 善 知 識 で は な く 、 不 動 明 王 ・ 慈

の 呪 を 唱 え る

験 の 人 こ そ 心 を 込 め て 真 言 を 唱 え る 必

が あ る と い

こ と は 、 お そ ら く

動 明 王 の

護 と 関 係 が あ る の だ ろ う 。 死 後 も す

に は 立 ち 去 ら な い と す る の も 、 追 修 供

験 の 人 が

す る こ と に よ っ て 、 不 動 明 王 の

が 加 え ら れ る と い う

だ ろ う か 。   全

に 『

』 は

の 真

宗 臨 終 行 儀 に 比 べ 、 不 動 明 王 の

を 憑 み に す る 思 想 が 強 い と い う

象 を

け る 。 善 知 識 の

で も 有

の 人 に 関 す る 記 述 が 最 も

い 。   ま た

験 の 人 が 立 ち 去 る 時 に は 、 部 屋 に 不

明 王 ・ 烏 瑟 紗 摩 明 王 の 画 像 を 懸 け る と い

も あ る 。 不 動 明 王 は 一

627

一 N工工一Eleotronlo  Llbrary  

(16)

智山学報 第五 十六輯 と

か く 、

瑟 紗

明 王 と い う の は 珍 し い 。 烏 瑟

王 は

言 宗 の 行 法 の 中 で は さ ほ ど 重 要 視 さ れ な い

格 で あ る 。

瑟 紗 摩 明 王 は む し ろ

密 で 多 く 用 い ら れ る 。

こ こ で

密 の 要 素 が 見 ら れ る の か 興 味 深 い 問 題 で あ る 。   『 看 病 用 心 鈔 』 に は 死 後 の

法 と し て 「 念 仏 を

さ せ

ひ て 、 一 二 時 の 程 も 過 さ せ 給 へ 。 又 こ の 功 を も て 中 有 よ り も

生 を 遂

よ と 心 を い た し て 廻 向 し ま し ま す へ

。 」 と あ る 。 つ ま り 、 こ の 功 徳 に よ っ て 中 有 よ

往 生 を 遂 げ よ と 念 じ つ つ 、 二

間 か ら 四 時 間 念 仏 を せ よ 、 と い

事 で あ る 。 こ の 件 は 、 貞 慶 撰 『

用 意

』 の 「 既 に

て 後 一 時 計 り も

に 唱 へ 入 る べ き な り 。 上 は 死 す る 様 な れ ど も 底 に は 心 あ り 。 或 は 魂 去 る よ

に し て 死 人 の あ た り                                                                                   〔 31 ) に 有 て 、 称 名 を

き ぬ れ ば 、

れ 悪 道 に 入 る べ き 者 な れ ど も 中 有 よ り

め て 浄 土 に 生 ず る 故 な り 。 」 に 依 る も の と

え ら れ る 。 ・ 『

養 集 』 独 自 の 問 題 ( * 比 較 表 中 に は 「 特 記 」 と し た 箇 所 )   こ こ で は 『 孝 養 集 』 に つ い て 、 ま ず は 糸 縒 り 作 法 に つ い て 取 り 上 げ る 。 糸 縒

法 に つ い て は 『 一 期 大 要 秘 密                           ( 32 )

』 に も 割 注 と し て 記 載 が あ る が 、 『 孝 養 集 』 の 記 載 は よ り

で あ る 。     五 色 の 糸 を ば 、 十 歳 よ り

の 女 人 に 精 進 せ さ せ て 、

所 に 置 て 清 麻 を う ま せ て 五 に 分 て 染 よ 。 一 を ば 青 く 一     を ば 黄 に 、 . を ば

く 、 一 を ば 白 く 元 の 色 、 一 を ば 黒 く 染 め る べ し 。 已 上 五 色 な り 。 是 如

色 色 に 染 ん 事 は     聖 な ん ど に せ さ せ て 灌 頂

く る 人 の

へ 送 り よ ら せ て 受 よ 。 是 を ば 世 間 の 人 に 普

せ 知 ら せ ぬ

。 糸 の     長 さ は . 丈 二 尺 に 経 て 、 九 尺 に よ ら せ よ 。 長 く よ る

も あ り 。   こ の 詳 細 な 指 示 が 何 に 依 る も の な の か は 不 明 で あ る が 、 十 歳 以 下 の 女 児 に 精

さ せ る

の 記 述 が あ る の は 、 こ の よ

な 臨

行 儀

と し て は 異 質 な 感 が あ る 。 あ る い は 民 間 信 仰 や 風 習 の よ

な も の か ら 影

け て い る の だ ろ う か 。   同 じ く 『 孝 養 集 』 の 行 儀 の う ち 特 記 す べ き も の と し て 、 第 十

の 「 浄 土 に 生 じ

婆 に 帰 り 縁 有 る 人 諸 衆 生 を 浄 土

(17)

NII-Electronic Library Service 『孝 養集』と良忠撰 『看 病用心鈔』につ いて 儕 藤) に

」 が あ る が 、 こ れ も 『 ] 期 大 要 秘

』 に 依 っ た も の で あ る と 考 え ら れ る 。 『 一

大 要 秘 密

』 の 没 後 追 修 の 用 心 門 は 、 三 悪 道 に 堕 ち た

合 の 相 と 、 そ れ ぞ れ の 悪

の た め の 追 修 供 養 が 示 さ れ て い る 。 そ の 最

に 「

力 努

、 遺 言 に 違 ふ こ と な か れ 。

を 済 つ て

を 成 ぜ し む れ ば 還 つ て 必

か ん 。 普 賢 の

を 行 じ て 、 同 じ             ( 33 ) く

上 道 を 証 せ ん 。 」 と い

が あ る 。 『 孝

』 に お け る 『 一 期 大

秘 密 集 」 の 影 響 を 見 る に 、

十 条 は 、 こ の 覚 鑁 の

願 を 基 と し て い る と 見 て

違 い な い だ ろ う 。   た だ し 『 一 期 大 要 秘 密

』 の

響 が こ の よ

に 別 項 目 を 設 け る 形 で 現 れ て い る の は 、

所 に は 無 い 。 『 孝 養 集 』 の 著 者 は 何 故 に こ の

願 を 重 要

し た の だ ろ

か 。 大

興 味 深 い 問 題 で あ る 。   さ ら に 『 一

大 要 秘

集 』 の 没 後 追 修 の

心 門 に お け る

述 は 、 こ の

の 重 要 な 特 徴 で 、 こ の 他 に 同

法 が                             ( 34 ) 示 さ れ た 臨 終

儀 書 は お そ ら

無 い 。 『

養 集 』 に

ら れ る 善 知 識 ( 有 験 の 人 等 も 含 む ) の 選 任 や

が 『 一 期 大 要 秘

』 に 準 じ て い る こ と は

実 で あ る が 、 そ の

知 識 の

法 に 関 わ る 没 後 追 修 に つ い て 記

が 無 い の は 少 々 気 に 掛 か る 問 題 で あ る 。

 

  以 上 を

て き た よ

に 、 『

病 用 心

』 と 『

』 に は 共 通 す る 行 儀 が 大 変

い 。 し か も 特 徴 的 な 、 そ れ 以

に は

ら れ な い 事 柄 に 類 似 性 が 強

認 め ら れ る の で あ る 。 も ち ろ ん 江 戸 期 な ど 、 明 ら か に

世 の

立 の

行 儀 書 に は

ら れ る よ う に な る 行 儀 も あ る が そ れ も 良 忠 や

鑁 の 説 と し て 登 場 す る も の で あ る 。 や は り こ の 両

が 全 く の

係 に 成 立 し た も の だ と は 考 え づ ら い 。

に 注 目 す べ き は 、 悪 し き

め た

の 対 応 で あ る 。 先 述 し た 通 り 、 臨

は 僧

の 律 を

本 と し て 成 立 し

629

一 N工工一Eleotronlo  Llbrary  

(18)

智山学報 第五 十 六輯 て き た た め 、

本 的 に は そ の 行 儀 を 守 ら な い 場 合 と い

の は 想

さ れ な い 。 も ち ろ ん 対

が 出

者 だ け で な く

家 者 に も 広 が っ て く る と 状 況 に 応 じ た 柔

な 姿

が 求 め ら れ る よ う に な り 、 必 ず し も 行 儀 に 拘 ら な く と も 良 い と い う

が 特 に

を 中 心 と し て 成 立 し て き た 。 だ が 、

者 の ( 意 固 地 に な り が ち な ) 性

を 踏 ま え て の

応 と い

の は 、

の 臨

儀 書 に は 見 ら れ な い の で あ る 。   こ の

徴 的 な

儀 に お い て 、 そ の 対 応 ま で が 同 じ と い

の は

を 意 味 す る だ ろ

か 。 全 く の 偶 然 で あ る と は 考 え

い 。 こ れ ら の 行

は 『 看

用 心 鈔 』 と 『

養 集 』 が 密

な 関 係 に あ る こ と を

測 さ せ る に は 十 分 で あ ろ

。 密

な 関 係 と は つ ま

こ の 両

に 何 ら か の 影

関 係 が

在 す る と い

こ と で あ る 。 で は そ の 影

関 係 は ど の よ

な 形 で 存 在 し た の だ ろ

か 。 残

な が ら 現

点 で は そ れ を 明

に 示 す

拠 は 見 当 た ら な い 。 さ ら に 『 孝 養 集 』 に 関 し て は 、 そ の 下 巻 の み を

察 の 対

と し て い る た め と て も 明

な 結 論 を 示 せ る 状 態 に は な い 。   し か し な が ら 、 あ え て 愚 見 を 述 べ る と 、 そ の 影 響 関 係 は 極 め て

接 的 な も の で

っ た と 思 わ れ る 。 こ の 根 拠 は い く つ か あ る の だ が 、

一 に 言 え る こ と は 、 こ の 両 書 が 持 つ 特 徴 に

に は 無 い と い

こ と で あ る 。 も し 何 か し ら の 媒 体 ( 著 作 物 や 一 般 へ の 普 及 ) を 経 て こ の 両

響 関

が 生 じ た の で あ れ ば 、 こ の 両

で あ る 鎌

・ 室 町 期 の 臨

儀 書 に も 、 先 に

認 し た よ う な

徴 的 な 行 儀 へ の 言 及 が あ っ て 然 る べ き で あ る 。 し か し な が ら 、

見 の 限 り そ れ ら に 言 及 し た も の は 見 出 せ な い 。   ま た こ の 問 題 は 『

養 集 』 の

者 を 探 る 上 で も 大

に 重

な テ ー マ で あ る 。 『

』 は 覚 鑁 と の 関 係 で 論 じ ら れ る も の を 除 い て は 、 今 現 在 さ ほ ど 研 究 が 進 ん で い る と は

え な い 状 況 で あ る が 、 『

集 』 の

立 に 関 し て 、 真 言

の 著 し た も の で あ る と い

こ と と 、 高 野 山 で 著 さ れ た も の で あ る と い

こ と は 疑 い な い と さ れ て い る 。   し か し な が ら こ れ は 『 孝 養

』 の 持 つ 根 本 的 な 問 題 に

わ る こ と で あ る が 、 こ の 高 野 山 成 立 説 は

く の 問 題 を 孕 ん で い る よ う に 思 わ れ る 。 ま

、 全 体 を 通 し て 『 往 生

』 や

河 の 僧 都 ( 源 信 ) へ の 言 及 が

い 点 が

に か か

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