博士(獣 医学) クラロニ エゴス ミンガラ
学位論文題名
Comparative immuno ―epidemiological assessment of swamp and riverme type water buffaloes
(Swamp 種および Riverine 種水牛の比較免疫学解析および 感染症分子疫学調査)
学位論文 内容の要旨
ー 725ー
があ ることが示された。また、遺 伝子多型およぴ異なる転写活性貴皀が認められたこ とか ら、今後の品種問における疾 患感受性解析に寄与する情報を得たと考えられた。
ー726一
学 位論文審査の要旨
主 査
教 授大 橋 和 彦 副 査
教 授
木 村 和 弘
副 査 准 教授 今内 副査 名誉教授 小沼
覚 操
学位論文題名
Comparative unmuno ―epidemiological assessment of swamp and riverine type water buffaloes
(Swamp 種およびRiverine 種水牛の比較免疫学解析および 感染症分子疫学調査)
水 牛 は フ ィ リ ピ ン の 代 表 的 な 家 畜 の ー っ で あ り 、 外 来 種 のRiverine種 や 土 着 種 のSwamp種 な ど が 分 布 す る が 、 水 牛 の感 染 症 の 疫 学調 査 は 少 な く 、ど の よ う な 感染 症 が 問 題 とぬ っ て い る かは 不 明 で あ る 。 ま た 、Swamp種 は 他 種 に 比 ぺ 疾 患 抵 抗 性 を 示 すと い わ れ て いる が 、 そ の 詳細 ぬ 機 構 も 不 明 で あ る 。 そ こ で 本 研 究 で は 、 フ ィ リ ピ ン の 水 牛 に 韜 け る 病 原 体 の 分 子 疫 学 調 査 を 行 い 、 Riverineお よぴSwrunp種の 比較免 疫学的 解析を 行っ た。
フア リ ピ ン ・ ルソ ン 島 韜 よ ぴミ ン ダ ナ オ 島 にお い て水牛572頭 から血 液を採 取し 、牛ウ イルス 性下 痢 症 ウ イ ル ス(BVDV)、 牛 自血 病 ウ イ ル ス(BI^v) 、 ん 卿 ぬ け 地所n瑠 む 瑠 ぬお よ びBロ ぬm地B肌m4 に っ いてPCR法 によ る 検 出 を 試み た 。 そ の 結果 、BVDVは75% 、BlWは21.2ゲ 。、A.館 搬瑠 む蛾ぬ は 16.8ワ。 、B.みな ¢mむ岨は5Jワ。 の感染 率であ った。 フィ リピンに総いて初めてBVDVが検出きれたの で 、 そ の 遺 伝 子 型 を 解 析 し た 結 果 、BVDVlb型 で あ っ た 。 ま た 、Swamp種 よ りRiv甜ne種 の 方 が 高いBVDVおよ ぴBLV感染率 を示し た。
サ イ ト カ イ ン は 疾 病 の進 行 に 密 接 に関 与 し て い る が、 水 牛 の サ イト カ イ ン 遺 伝子 は 同 定 さ れて い な ぃ 。そ こで、Swampお よびRiv蠹ne種のイ ンタ ーロイ キン(IL)−la、凡‐lD、Iし2、IL‐4、IL名、
IL一10、Iし12p35、IL.12p40、インターフェロン(IFN).Y船よび腫瘍壊死因子くTNF_a)の遺伝子クロ ーニ 二二ン グを行 い、 その塩 基配歹IJを決 定した。予想されるアミノ酸を水牛の品種聞で比較した結果、
高 い 相 同 性 が 示 さ れ 、ま た 牛 と も 高い 相 同 性 を 示 した 。 次 に 、 水牛 の サ イ 卜 カイ ンmRNAの 定 量 で き るReal一 虹mePCR法を 樹 立 し て 、不 活 化 口 蹄 疫(FMD) ウイ ル ス ワ ク チン を接種 した水 牛での サイ ト カ イン の 推 移 を 解 析し た 。 そ の 結果 、FMDワ ク チ ン 接 種 後2週 日 か ら 、Thlサイ トカイ ン(IL・2、 IL一12p40お よ ぴIFN‐Y) の 上昇 が 認 め ら れ た。 ま た 、 本 法をBVDV、BIN、A. 脚 瑠i朋ぬ 翁 よ ぴB. み 塘 ¢肌 む 墟 野 外 感 染水 牛 のサ イトカ イン 発現解 析にも 応用し 、本 法が水 牛のサ イトカ イン定 量解 析 に有 効であ ること を示 した。
さ ら にSw跚p紿 よ ぴRiverine種 問 の サ イ ト カ イ ン 発 現 能 の 差 に つ い てReal‐timePCR法 を 用 い て 解 析 し た 結 果 、mvedne種 に 比 べ て 、Swamp種 がIFN_Yお よ びTNF屯 を よ り高 く 発 現 し てい た 。 両 品 種 聞 でlFNイ お よ ぴTNF‐a遺 伝 子 の 転 写 制 御 配 列 に 遺 伝 子 多 型 が 認 め ら れ た の で 、 ル シ フ ェ ラ ーゼ レ ポ ー タ ー アッ セ イ 法 に より 同 配 列 の 転写 活 性 を 比 較し た 。 そ の結果 、Rivc轟ne種に比 べ てSwamp種 の 同 配 列 は 高 いlFNーYお よ ぴTNFIaの 転 写 活 性 を 持 つ こ と が 明 ら か と ぬ っ た 。
‑ 727 ‑
以上より、フアリピンの水牛が種々の病原体に感染していることが明らかにぬった。またSwampお よぴRiverine種問で転写制御配列における遺伝子参型に起因するサイトカイン発現量の差が示さ れ、両種聞の疾患感受性に関与している可能性が示唆された。
本研 究により 、フアリピンに生息する水牛に感染する病原体種が同定され、水牛の免疫応答や疾 患感受性を解析するための有用な情報が提供された。よって、審査委員一同は、クラロ・ニエゴス・
ミン ガラ君の 博士論 文結、 北海道 大学大 学院獣 医学研 究科規 程第6条 の規定に よる本 研究科の 行う博士論文の審査等に合格と認めた。
‑ 728ー