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Correlation between nucleolar organlzer regions vlsualized by silver staining and thegrowth rate in lung adenocarclnoma

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 小 倉 滋 明

学 位 論 文 題 名

Correlation between nucleolar organlzer regions   vlsualized by silver staining and thegrowth       rate in lung adenocarclnoma

(肺腺癌における核小体形成部位と増殖速度の関係)

学位論文内容の要旨

I研究目的

  核小体の形態学的異常は,悪性細胞の特徴のーっである。核小体は,蛋白合成の場であるりボ ソ ― ム を合成す る細胞 内小器官 で,そ の内部に はりボ ソーム遺 伝子を内 包する 大きなDNAグ ル ー プ が存在し ている 。このDNAルー プが核小 体形成 部位と呼 ばれてい るが, 最近,こ の核 小体形成部位が転写される時に結合する蛋白に対し特異的に銀染色を施し,この部位を銀染色陽 性 顆 粒 ( 以 下AgNOR)と し て 光学 顕 微 鏡下 に 観 察で き る よう に な った 。 こ のAgNORは 癌 細 胞において増加することが認められており,増殖能との関連が示唆されている。肺腺癌の場合,

胸 部 レ 線学的に 腫瘍倍 加時間を 測定で きるため ,著者 はこの腫 瘍倍加時 間とAgNORとの間 の 関 連 を 解 析 し , AgNORが 増 殖 能 の 新 し い 指 標 と な り 得 る か を 検 討 し た 。

n対象と方法

  北海道大学医学部附属病院第一内科に入院し,原発性肺腺癌の診断にて手術治療をおこなった 58例を対象とした。58例の内訳は,分化度では高分化腺癌が18例,中分化腺癌が30例,低分化腺 癌 が10例 で あ っ た 。 臨 床 病 期 で はI期 が21例 ,H期 が8例 ,m期 が29例 で あ っ た 。   核 内AgNORの測 定は以 下のよう におこ なった。10%ホル マリンで48時間固 定し,パ ラフィ ンで包 埋した 組織より4肛mの切片を作製した。先ず最初にへマトキシリン.工オジン染色にて 病理組織学的に検討した後,同部位の組織標本の切片を使用した。

  対象切 片はキ シレン(各10分間,2回)で脱パラフィン後,100%,100%,90%,70%(各5 分間) で加水 処理し, 蒸留水( 各3分闇,3回)に て洗浄した。その後,50%硝酸銀溶液と2% ゲラチ ン含有1%蟻 酸溶液を 使用直 前に2対1の 比率で混和した染色液の中に暗所にて40分問静

(2)

置し,銀染色陽性顆粒を染色した。各症例にっき,核内に認めるこの銀染色陽性顆粒の個数を油 浸 レンズで1000倍にて 測定し ,腫瘍細 胞100個 の平均 値をもっ てその 症例のAgNOR数とした。

  胸部レ線学的腫瘍倍加時間の測定は,少なくとも3力月以上離れている最も期間の長く観察で き た 二 点 の 胸 部 単 純 写 真 を 用 い , そ れ ぞ れ の 腫 瘍 径 を 測 定し 下 記 の式 よ り 計算 し た 。   倍 加 時 間 = 観 測 期 間 xlog2 log( 最 終 計 測 時 体 積 / 初 回 計 測 時 体 積 )   体  積‑4/3xn((長径十短径)/4}3

m結  果

  正 常 気 管支 上 皮 細胞 のAgNORの 個数 は1個か ら2個で あ り,そ の平均お よびSDは1.2土0. 1で あった 。肺腺癌 症例のAgNOR数は1.8から6.3であり,その平均およびSDは4.0土0.8で正 常気管支上皮より明らかに増加していた(pくO. 01)。分化度では高分化腺癌で3.8土0.7,中分 化腺癌で4.2土0.9,低分化腺癌で3.8土0.4と,分化度による違いは認めなかった。臨床病期でtま,

I期 で3.8土0.6,II期で4.2土1.2,m期 で4.2土0.8と,病期による違いも認めなかった。

  胸部レ線学的腫瘍倍加時間を測定でき得た症例は13例であった。腫瘍倍加時間は,特に長かっ た760日の症例を除くと80日から420日であり,これらの値は従来の報告と大きな違いはなかった。

  こ の13例 に っ き 腫 瘍 倍 加 時 間 とAgNOR数 と の 相 関 関係 を 解 析 した と こ ろ, 相 関 係数r‑

―0. 911にて ほぼ直線 的に回 帰を認め ,腫瘍倍加時間とAgNOR数との間に有意な逆相関関係を 認めた。

  AgNOR数 が 全症 例 の 平 均値 より 多い群と 少ない 群の二群 に分け 予後を検 討したと ころ, 少 な い 群 で 予 後 良 好 の 傾 向 (P =0. 052)を 認め た が ,統 計 学 的 に有 意 差 を認 め な かっ た 。

IV考案ならびに結語

  肺腺癌はいまだ予後不良の疾患である。予後を推し量る指標としては,患者の全身状態,臨床 病期,腫瘍の分化度などがあるが,増殖能もまた腫瘍側の悪性度を表わすもののーっであろう。

腫瘍自体のもつ悪性度をより客観的に評価できるなら,予後の推定に役立っばかりでなく,新た なる治療法の確立にも有益である。肺腫瘍では臨床的には増殖能の指標として胸部レ線学的腫瘍 倍加時間があるが,実際に測定できる症例は少ない。

  一方,核小体は,蛋白合成の場であるりボソームを合成する細胞内小器官であるため,細胞の 増殖能と密接に関連しているとされていた。そこではりボソーム遺伝子がループ状に存在し,必 要 に 応 じ て り ボ ソ ー ムRNAが 転 写さ れ て いる が , このDNAル ー プ が核 小 体 形成 部 位(NOR) と 呼 ばれ て い る。NORが 転 写 さ れる た め には こ の 部位 にRNAポ リ メラ ー ゼIな ど のNOR関 連

(3)

蛋 白が結合することが必要である。本研究の銀 染色で染色されてくるのはこのNOR関連蛋白で あ るから,転写活性をもつNORを銀染色陽性顆粒として観察している。癌細 胞は増殖能が高い た め細胞の蛋白合成が亢進していてより多くの りボソームを必要とする。そのため,NORの転 写 活性 は亢 進し ,そ の結 果AgNOR数 は増 加す る。 著者 の予備検討では,正 常気管支上皮細胞 のAgNOR数 は1な い し2個 で ある のに 対し ,肺 腺癌 では 明ら かに 増加 して いた 。さ ら に, 著 者 は胸 部レ 線学 的腫 瘍倍 加時 間とAgNOR数と の間 には ,高 い寄 与 率(r2=0. 811) をもって 逆 相関 関係 を認 め,AgNOR数を 腫瘍 倍加 時間 の代 わり に増殖能を示す指標 として用い得るこ とを示した。

  これ まで にも 増殖 能の 指標 として病理学的には,3Hサイミジンやブ口モ デオキシウリジン (BrdU)の 取 り 込 み 率 ,Ki―67やPCNAに よ る 免 疫 組織 学的 検討 など がな され てい る 。し か し,これらの多く は新鮮標本や特別な前処置を施さなければならず,臨床的には利用が限られて い た。 一方 ,AgNOR数 によ る検 討は 従来 のホ ルマ リン 固定法による病理組 織標本を用いて比 較 的簡 便に 染色 する こと がで きるため,臨床材料一般に利用可能である。 それ故に,著者が AgNOR数 を 増 殖 能 の 指 標 と し て 用 い 得 る こ と を 示し た こと によ り,AgNOR数 は肺 腺 癌の も つ 悪 性 度 の 客 観 的 は 指 標 の ー っ と し て 今 後 臨 床 的 に 広 く 利 用 で き る で あ ろ う 。

学 位 論 文 審 査 の要 旨

    主査  教授  川上義和     副査  教授  阿部和厚     副査  教授  長嶋和郎

目的:本論文は,人肺腺癌における核小体形成部位と腫瘍の増殖速度の関連を解析し,核小体     形成部位の発現個数が増殖能の指標となり得るかを検討したものである。核小体形成部位     はone・step silver染色 法に て特 異的 に染 色さ れる 銀染 色 陽性 顆粒(AgNOR)とし て     観察し,その個数を測定した。また,腫瘍の増殖速度として胸部レ線学的腫瘍倍加時間を     計測し,AgNOR数との相関関係を解析した。

結果 :肺 腺癌 で はAgNOR数が 正常 気管 支上 皮 より 有意 に増加していた。しかし,分化度や     臨床 病期 に よる 違い は認 めな かっ た。 腫瘍 倍加 時間とAgNOR数との関係は,相関係数     r‑―O. 911に てほ ぼ直 線的に回帰を認める有意な逆相関関係を認めた。AgNOR数と予     ‑ 107 ‑−

(4)

    後と の 関係 はAgNOR数が 平均 値よ り 少な い群が多い群より予後良好の傾向を認め た。

結論 :AgNOR数 と胸 部レ 線学 的腫 瘍倍 加 時間 との間には,高い寄与率をもって逆相関 関係     を認 め たた め,AgNOR数 を腫 瘍倍 加 時間 の代わりに増殖能を示す指標として用い 得る     こと を 示し た。 口頭 発表 にあ たり ,阿 部(和)教授 よりAgNOR数と従来の核小体 との     関係 や 核異 型と の関 連に っい て, 長嶋 教授よりAgNOR数の測定方法や浸潤転移能 との     関連にっいて,細川教授より抗癌剤への感受性との関連にっいて質問があり,申請者は概     ね妥当に答えたと思う。

    また,長嶋教授,阿部(和) 教授より個別に審査を受け,合格との御返事をいただいて     いる。

    これ ま でにAgNOR数 と胸 部レ 線学 的 腫瘍 倍加時間との関係は明らかにされておら ず,

    AgNOR数が 増殖 能の 指標 とな るこ と を示 したことは意義あるものと考えられ,よ って     本論文は博士(医学)に相当 するものと認めた。

参照

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