コロナ禍での売上増加で影響も
英国デジタルサービス税
の
概要
と
日本企業
への
影響
デロイト トーマツ税理士法人溝口 史子
こ の 記 事 の エ ッ セ ン ス ●英国は2020年4月1日からソーシャルメディアサービス、インターネット検 索エンジン、オンラインマーケットプレイスから生じる2,500 万ポンドを超 える収益に対して2%のデジタルサービス税を導入した。 ●連結企業グループのデジタルサービス収益が5億ポンド、英国デジタル サービス収益が2,500 万ポンドを超える場合に課税される。 ●英国政府はOECD / G20の国際的な合意に従うことを再確認しており、 2025年までにレビューが行われる。 英 国 の デ ジ タ ル サ ー ビ ス 税 が、 2020年4月1日に導入され、同 日以降に稼得されるデジタルサービ ス収益に対して課税される。デジタ ルサービス税は、ソーシャルメディ アサービス、検索エンジン、または オンラインマーケットプレイスを英 国のユーザーに対して提供する大企 業の収益に対して2%を課税するも のである。英国政府はデジタルサー ビス税収として年間5億ポンドを見 込む。 以 下、 2 0 2 0 年 3 月 19日( お よ び3月 20日) に英国歳入税関庁 (HM R C )が 公 表 し た ガ イ ダ ン ス ⑴ を も とに内容を解説する。 ⑴ https://www.g ov.uk/hmr c-internal-manuals/ digital-servic es-tax英国デジタルサービス
税の概要
英国デジタルサービス税の概要を まとめると 図表1 のようになる。 (図表1) 英国デジタルサービス税の概要 概要 デジタルサービス税は、デジタルサービスを提供するグ ループ会社に適用され、デジタルサービス関連収益が年 間の閾値を超える場合、当該グループはデジタルサービ ス税申告を提出しデジタルサービス税の納付義務を負う。 デジタルサービス 活動の定義・ソーシャルメディアサービス(a social media service) ・ イン タ ー ネット 検 索 エンジ ン(an internet search
engine)
・オンラインマーケットプレイス(an online marketplace) 年間収益の閾値
・課税対象デジタルサービスからの全世界収益5億ポンド ・英国のユーザーに起因する当該収益が2,500万ポンドを
超える(UK digital service revenue。以下、「英国デジ タルサービス収益」という) 控除額 2,500万ポンドまでの英国デジタルサービス収益は控除される。 税率 控除額を超える英国デジタルサービス収益に対する2% 代替計算規定 利益率の低いビジネス、損失事業に関して個々の事業ご とに英国デジタルサービス収益に代わる代替課税標準を 選択することができる(例:検索エンジンとオンラインマー ケットプレイスに関してそれぞれに課税方法を選択可能)。 代替課税標準は英国の当該事業の営業利益に0.8を乗じて 計算する。 越境取引 二重課税防止のため、オンラインマーケットプレイスについては企業グループの申立てが認められた場合、収益の 50%のみを課税対象とすることができる。
ポイント
ポイント
解 説
ソ
ー
シ
ャ
ル
メ
デ
ィ
ア
サ
ー
ビ
ス
)
ー シ ャ ル メ デ ィ ア サ ー ビ ス と 収 集 さ れ た デ ー タ が プ ラ ッ ト ー ザ ー を サ ー ビ ス に 引 き 付 け、 「価値」 も含まれる。結果 ー シ ャ ル メ デ ィ ア の 定 義 は、 ルメディアサービスに該当する。 ・ サ ー ビ ス の 主 た る 目 的 ま た は 主 た る 目 的 の 1 つ が、 ユ ー ザ ー 間 の 対 話 (ユ ー ザ ー 間 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン お よ び ユ ー ザ ー が 作 成 し た コ ン テ ン ツ 間 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン )を 促 進することである。 ・ ユ ー ザ ー が 作 成 し た コ ン テ ン ツ を 他 の ユ ー ザ ー が 利 用 で き る よ う に す る こ と が 当 該 サ ー ビ ス の 重 要 な 特徴である。 ソーシャルメディアサービスに該 当する例として、ソーシャルおよび プロフェッショナルネットワーキン グサイト、マイクロブログプラット フォーム、ビデオ/画像共有プラッ トフォーム、オンライン出会い系サ イト、およびユーザーレビューを共 有するためのプラットフォームが挙 げ ら れ て い る。 テ レ コ ミ ュ ニ ケ ー ションネットワークやプライベート コミュニケーションプラットフォー ム(例:メールサービスなど) は、大 枠 で ソ ー シ ャ ル メ デ ィ ア プ ラ ッ ト フォームと高度に統合されていない 限 り 含 ま れ な い。 メ デ ィ ア( 映 画 や 音 楽 な ど )の ス ト リ ー ミ ン グ、 放 送 事業は、範囲から除外される。オン ラインフォーラムや一部のオンライ ンゲームなどのサービスは定義を満 たす場合があるとされており、これ は各サービスの内容に大きく依存す る。考慮する必要があるオンライン ゲームの機能に関する具体的なガイ ダンスが示されている。 オンラインゲームのなかに対戦型 ゲ ー ム な ど ユ ー ザ ー 間 の コ ミ ュ ニ ケーションが前提となっているもの がある。オンラインゲームは多種多 様 で あ り、 ユ ー ザ ー 間 ま た は ユ ー ザ ー が 創 出 す る コ ン テ ン ツ 間 の コ ミュニケーションの重要性もさまざ まである。 このため、ガイダンスでは、 (現実 的 で あ る か ど う か は 別 と し て )ゲ ー ム単位でソーシャルメディアサービ スに該当するかの判断が原則として 必 要 で あ る と し て い る。 マ ル チ プ レーヤー機能が具備されているとい うだけで必ずしもソーシャルメディ アサービスに該当するというわけで はなく、コミュニケーションが補助 的な特徴であり、ユーザーの娯楽が 主としてゲームとソフトウェアの質 に よ っ て 決 定 さ れ る 場 合 に は ソ ー シャルメディアサービスには該当し ないとしている。 多 人 数 参 加 型 オ ン ラ イ ン ゲ ー ム ( massiv ely multipla yer online games 、通称 「MMO」 という )は単 なるオンライン型マルチプレーヤー 機 能 を 超 え て、 ソ ー シ ャ ル メ デ ィ ア の 定 義 に 近 し い も の で あ る と す る。他人と対戦するということがよ りゲームエクスペリエンスの中核的 な位置を占め、他のユーザーがいる ということがゲームの価値を高める ような場合、ゲームがソーシャルメ ディアサービスとしての要件を充足 するとする。MMOは、ソーシャル メディアと同様ユーザー同士が創出 するネットワーク効果に期待し、継 続的に関与するより大きなユーザー 集団を構築する事業戦略をとってい るため、ゲーム自体は無料であるも のの、広告料収入やゲーム中での購 入によって収益を獲得するものも多 い。 このようなゲームにおいては、他 のユーザーとの交流や他のユーザー が作り出すコンテンツとの交流が主 たる娯楽となっている。このような ゲームの特徴として、ユーザーはA Iではなく主に他のユーザーと対戦 する、ユーザーはすべてのユーザー が参加する仮想世界と仮想環境を構 築 で き る、 ユ ー ザ ー は 課 題 と ミ ッ シ ョ ン を 作 成 で き る、 ユ ー ザ ー はゲーム内で他のユーザーと物品を交 換できる、ユーザーは他のユーザー と(テキストや音声などで) コミュニ ケーションできる、他のユーザーと の や り 取 り が、 ゲ ー ム 内 で の 当 該 ユーザーの前進や競争力を高めると いったことが参考として列挙されて いる。 通 常、 多 く の M MO が こ う い っ た 条 件 を 満 た す た め 、 ソ ー シ ャ ル メ デ ィ ア サ ー ビ ス の 2 つ 目 の 要 件 で あ る 「 ユ ー ザ ー が 作 成 し た コ ン テ ン ツ を 他 の ユ ー ザ ー が 利 用 で き る よ う に す る こ と が 当 該 サ ー ビ ス の 重 要 な 特 徴 で あ る 」と い う 点 に つ い て の 判 断 が 、 M M O が ソ ー シ ャ ル メ デ ィ ア サ ー ビ ス に 該 当 す る か ど う か の 分 岐 点 と な る。 こ の 際、 ユ ー ザ ー が 作 成 し た コ ン テ ン ツ と は 何 か が 問 題 で あ り、 こ の 点 に つ い て H M R C は 事 業 者 が 提 供 す る コ ン テ ン ツ と 峻 別 し 得 る も の で な け れ ば なら ず 、 ゲ ー ム 環 境 や 他 の ユ ー ザ ー の ゲ ー ム 体 験 に あ る 程 度 継 続 的な 影 響 を 与え て い る こ と が 必 要で あ る と 述 べ て い る。 単 な る ゲ ー ム へ の 参 加 は 、 コ ン テ ン ツ の 作 成 に は 当 た ら な い と し て い る。
⑵
イ
ン
タ
ー
ネ
ッ
ト
検
索
エ
ン
ジ
ン
(
an internet search engine
)
原則としてインターネット全体を 機 能 す る 検 索 エ ン ジ ン の 提 供 で あ り、 ユーザーがそのWebサイト (お よ び 密 接 に 関 連 す る W e b サ イ ト ) で「単語」 を検索できるようにする単 一サイト上の検索機能の提供は、範 囲外となっている。ウェブサイト上 に外部のウェブサイトからの結果を 表示するための 「検索ボックス」 があ る場合、諸条件を勘案してウェブサ イトの所有者または検索ボックスの 背後でテクノロジーを提供している 第三者のいずれが課税対象となるイ ンターネット検索エンジンの提供者 であるかを判断するが、原則として ウェブサイトの所有者ではなく当該 検索ボックスに対してテクノロジー を提供している第三者が、デジタル サービスの提供者とみなされる。⑶
オ
ン
ラ
イ
ン
マ
ー
ケ
ッ
ト
プ
レ
イ
ス(
an online marketplace
)
オンラインマーケットプレイスと は、商品、サービス、不動産関連役 務 の オ ン ラ イ ン マ ー ケ ッ ト を 提 供 す る サ ー ビ ス で あ る。 し た が っ て、 独立第三者であるユーザー間の商品 やサービスの交換の仲介がオンライ ンサービスの中心的な目的であるか ど う か を テ ス ト す る。 オ ン ラ イ ン マーケットプレイスの提供の定義に 該当するには次の2つの基準が両方 充足されなければならない。 ・ サ ー ビ ス 利 用 者 は プ ラ ッ ト フ ォ ー ム 上 で 資 産 等 を 他 の ユ ー ザ ー に 販 売(ま た は レ ン タ ル )、 宣 伝 ま た は そ の 他 の 方 法 で 提 供 す る こ と が で き る(条件A) 。 ・ サ ー ビ ス 利 用 者 が 提 供 す る 資 産 等 の 販 売(ま た は レ ン タ ル )を 促 進 ( facilitate )す る こ と が サ ー ビ ス の 主 た る 目 的、 ま た は 主 た る 目 的 の 1つである (条件B) 。 前記の基準は、条件Aが事実関係 についての基準であり、実際にユー ザーが宣伝、提供、販売する機能を 備えているということであり、条件 Bは促進がサービスの主たる目的で あるかどうかを意味している。 ガイダンスでは、マーケットプレ イスの出店者や小売業者/オンライ ン事業者自身が行う販売はオンライ ンマーケットプレイスの対象外であ り、プラットフォーム上での販売者 が1社の場合はマーケットプレイス には該当しない。販売が最終小売り 段階 (B2C) であるか、卸売り段階 (B2B) であるか、取引が市場自体 で行われるか、プラットフォームの 外部で行われるかは関係ない。 また、 プラットフォーム運営者が何らかの 付 加 価 値 を 付 け て い る 必 要 は な く、 積極的に取引に関与しているかにか かわらず、また条件Aで 「宣伝」 して いるだけでも足りるため、いわゆる 掲示板機能しか持たない場合であっ ても該当する。条件Bは主たる目的 テストであり、仮にユーザーが資産 等を広告販売する機能を具備してい たとしても、それがサービスにとっ て付随的なものであるか、重要では ないケースを除外するための基準と なっている。 例示として、園芸雑誌のウェブサ イトで園芸関連雑貨の広告の掲載が 可能でそこから広告収入を得ている 場合が非該当のケースとして挙げら れている。主たる目的の判断基準と して、自身が会計上販売者としての 売上を計上している場合はマーケッ ト プ レ イ ス で は な い 可 能 性 が 高 く、 プラットフォーム上で多数の販売者 を 集 め る こ と を 目 的 と し て い る( た だし特殊な物品を販売している限り においては少数であっても該当し得ポイント解説
当 該 販 売 者 間 で の 競 争 を 促 進 「場所」 を提供し サ イ ド マ ー ケ ッ ト プ レ イ ス も、オンラインマーケットプレイス の定義を満たすことができる。 オンラインマーケットプレイスは 複数の当事者が関与し、それぞれに 対価を支払うことが一般的であるた め、課税対象収益の判定でも多面的 な考慮が必要となることに留意しな ければならない。 図表2 に、いくつ かの例を挙げる。
関連オンライン広告
サービス
(
associated
online advertising
service
)
オンライン広告収入は、前記3つ の課税対象となるデジタルサービス に含まれていないが、前記3つの課 税対象となる活動はオンライン広告 の掲載料で便益を得ていることが多 い。 前 記 3 つ の 課 税 対 象 と な る 活 動 と リ ン ク さ せ る こ と に と っ てオ ン ラ イ ン 広 告 が 重 要 な 利 得( significant benefit )を 得 て お り、 英 国 の ユ ー ザ ー に よ っ て 閲 覧 ま た は 利 用 さ れ て い る 場 合、 当 該 オ ン ラ イ ン 広 告 収 入 は マ ー ケ ッ ト プ レ イ ス 、 検 索 エ ン ジ ン 、 ソ ー シ ャル メ デ ィ ア か ら 稼 得 さ れ る 課 税 対 象 収 益 に 含 ま れ る。 マ ー ケ ッ ト プ レ イ ス 、 検索 エ ン ジ ン 、 ソ ー シ ャ ル メ デ ィ ア は ユ ー ザ ー の 膨 大 な デ ー タ を 保 有 し、 効 果 的 な 広 告 を 可 能 に する こ と を 実 施 し て お り、 オ ン ラ イ ン 広 告 は 課 税 対 象 と な る デ ジ タ ル サ ー ビ ス の 延 長 線 上 で 資 金 化 の た め に 行 わ れ て い る と位置 づ け ら れ る。 オンライン広告市場は高度に成熟 しており、必ずしも自社ウェブサイ トに広告を掲載するのみならず、業 態として関連会社や第三者のウェブ サイトを斡旋する、といったサービ ス も み ら れ る。 ど の 程 度 の 関 連 性 ( association )が 求 め ら れ る か に つ いて法は定義をしていないが、ガイ ダンスのなかでは、関係または連携 ( relationship or connection )がオ ンライン広告活動とデジタルサービ スの間に認められる場合には関連が あると述べるにとどまっており、関 連性の強さは求められていない。重 要な便益とは何かについては特に基 準はなく、あくまでも前記のデジタ ルサービスから何の便益も得ていな い場合やわずかである場合を排除す るために設けられた基準にすぎない ため、認識できる何らかの便益があ り、この便益によってオンライン広 告の価値が高められているのであれ ば、関連オンライン広告サービスに 該 当 す る で あ ろ う と し て い る( 図 表 3 参照) 。デジタルサービス税の
収益認識基準と
英国ユーザーの定義
デ ジ タ ル サ ー ビ ス 税 の 課 税 計 算 上、収益認識は国際的に認められた 会 計 基 準( I F R S、 日 本 の G A A P )に 従 い、 連 結 グ ル ー プ が 課 税 対 象 と な る デ ジ タ ル サ ー ビ ス を 英 国 ユーザーに対して提供することから 生じる収益に対して課税される。 ユーザーとは個人、法人等すべて の利用者であり、法人間取引も含ま れる。ただし、自社の従業員やデジ タルサービスプロバイダーと同じグ ループのメンバーは、ユーザーとは 【事例1】 英国のユーザーが(出店者または消費者として)取引の当事者であるすべて の収益は、相手方の所在地に関係なく、英国のデジタルサービス収益と なる。これには、手数料と配送料を含む。 【事例2】 土地または資産に関連する取引を促進するオンラインマーケットプレイス では、所有者または出店者の場所ではなく、土地の場所が考慮される。 英国の宿泊施設、土地、建物に関連する取引は、常に英国のデジタルサー ビス収益となる。取引に英国以外の宿泊施設、土地、または建物が含ま れる場合、その取引からの収益は、消費者が英国のユーザーである場合 にのみ、英国のデジタルサービス収益として扱われる。 (図表3) オンライン広告サービスの例 英国のユーザーが閲覧またはその他の方 法で消費した広告に関するオンライン広 告収入の判定において、広告の対価を支 払う事業者または広告代理店の所在地は 考慮されない。つまり、日本の広告代理 店と日本の事業者間の契約であっても、 オンライン広告の閲覧者が英国に所在す る場合、広告料収入はデジタルサービス 税の課税対象となり得る。みなされない。英国デジタルサービ ス 収 益 の 計 算 に お い て、 英 国 ユ ー ザーの特定が重要である。英国ユー ザーは、通常英国に居住または設立 さ れ て い る と 推 測 す る こ と が 合 理 的 で あ る ユ ー ザ ー( a user who it is reasonable to assume is either an indiv idua l nor mally loca ted in the UK o r, for bu si nes ses , established in the UK )、と規定さ れている。 合 理 性 の 判 断 に は 、「 mor e lik ely than not 」の 基 準 を 適 用 す る 。 こ の 居 住 性 と 設 立 の 意 味 合 い に つ い て は 居 住 性 、 固 定 的 施 設( fix ed establishment )、 恒 久 的 施 設 ( permanent establishment ) と は 異 な る と 述 べ て い る 。 デ ジ タ ル サ ー ビ ス プ ロ バ イ ダ ー は 、 端 的 に 事 業 者 で あ る 利 用 者 の「 所 在 地 」を 判 定 し な け れ ば な ら ず 、 独 立 第 三 者 で あ る 事 業 者 ユ ー ザ ー の( 税 務 上 の )居 住 性 の 判 定 を 求 め る こ と は か え っ て 困 難 で あ る と さ れ る 。 企 業 は 、 利 用 可 能 な 情 報 に 基 づ い て 、 所 在 地 が 英 国 で あ る こ と が 合 理 的 に 推 測 さ れ る ユ ー ザー を 見 極 め る こ と と な る が 、 こ の 合 理 的 に 推 測 す る 方 法 は 、 コ ン プ ラ イ ア ン ス 負 担 の 軽 減 の た め の 基 準 で あ る こ と か ら 、 企 業 に 、 通 常 の 商 業 活 動 で 必 要 と な る 情 報 以 上 の 追 加 的 な 情 報 収 集 を 求 め な い こ と を 趣 旨 と し て い る 。 英国ユーザーの判定に用いること ができる証拠として次のエビデンス が例示されている。相互に矛盾する ( た と え ば 請 求 先 登 録 上 の 住 所 は 日 本であるが、配送先は英国である場 合 )、 最 も 適 切 な エ ビ デ ン ス に 依 拠 すべきとされている。 ・ 配達先 ( Delivery address ) ・ 請求先住所 ( Payment details ) ・ IPアドレス ( IP address ) ・ 契 約 で 判 断 す る 広 告 の エ リ ア ( In te n d e d d e s ti n a ti o n of advertising based on contractual evidence ) ・ 賃 貸 の 対 象 と な る 資 産 の 所 在 地 ( The address of property or lo cat ion o f good s whic h are rented out ) マーケットプレイスを介して行わ れる資産の譲渡それ自体でなくその 仲 介 手 数 料( 通 常 売 上 の 30% と い わ れ る )を 課 税 対 象 と し て い る が、 商 品の配送先が基準となり得る。 また、 広告料収入の課税には広告エリアを 基準とし、旅行の斡旋にはホテルの 所在地が基準となる。なお、宿泊施 設を提供するオンラインマーケット プレイスの 「英国のユーザー」 の定義 が立法段階で修正されており、取引 に英国以外の宿泊施設または土地が 含まれる場合、その取引からの収益 は、消費者が英国のユーザーである 場合に限り、英国のユーザーから生 じた収益となる。 したがって、英国単独の旅行パッ ケージは課税対象収益となるが、英 国を含む欧州周遊パッケージの日本 人旅行者に対するマーケットプレイ スでの斡旋は、 課税対象とならない。
デジタルサービス税の
計算方法および納付方
法
デジタルサービス税は、次の2つ の基準を充足する企業グループに課 税される。 ・ 企 業 グ ル ー プ の 会 計 期 間( DST accounting period )の 課 税 対 象 デ ジ タ ル サ ー ビ ス 収 益 が 5 億 ポ ン ドを超える。 ・ 企 業 グ ル ー プ の 会 計 期 間 の 英 国 の ユ ー ザ ー が 関 与 す る 課 税 対 象 デ ジ タ ル サ ー ビ ス 収 益(英 国 デ ジ タ ル サ ー ビ ス 収 益 )が 2、 5 0 0 万 ポ ン ドを超える。 なお、会計期間が 12カ月より短い 場 合 は、 前 記 の 基 準 額 を 按 分 す る。 複数のデジタルサービスを同一企業 グループ内で実施している場合、す べてのデジタルサービス収益の合計 額を前記の基準額と照合する。 デ ジ タ ル サ ー ビ ス 税 が 適 用 さ れ る 最 初 の 会 計 期 間 は、 2 0 2 0 年 4 月 1 日 以 降 に 開 始 す る 会 計 期 間 で あ る。 税 率 は 2 % で あ り、 2、 5 0 0 万 ポ ン ド が 基 礎 控 除( DST allo w anc e )さ れ る。 複 数 の デ ジ タ ルサービスを提供しており、そのう ちいくつかが後述する代替計算規定 ( Alternativ e Char ge Pr ovision )を 選択する場合には、基礎控除額をデ ジタルサービス収益に応じて按分計 算し、配賦控除する。 デジタルサービス税は企業グルー プ全体の収益に対して計算されるも のの、デジタルサービス税の納税義 務はグループ企業各社が負う。企業 グループ全体の英国のデジタルサー ビス収益に占める各社の収益の割合 に応じて、英国および英国以外の居 住者であるグループメンバーに納税 額を割り当てる。二重課税の防止のポイント解説
た め、 他 の 国 で も 同 様 の デ ジ タ ル サービス税の対象となるマーケット プレイスからの収益に関して英国デ ジ タ ル サ ー ビ ス 収 益 の 50% を 削 減 す る 請 求 を 行 う こ と が で き る( cr oss bor der relief claim )。 請 求 の 対 象 となる取引とは、次の場合である。 ・ 外 国 の ユ ー ザ ー が 参 加 す る マ ー ケットプレイス上の取引である。 ・ 取 引 と 関 連 し て 生 じ る 収 入 の 全 額 ま た は 一 部 が 外 国 の デ ジ タ ル サ ー ビ ス 税 の 課 税 を 受 け る、 ま た は 受 け ると考えられる。 「受けると考えられる」 の意味につ いては、諸外国で導入または検討さ れているデジタルサービス税のなか には、取引を特定せずユーザー数に よって帰属課税収益を計算するもの があり、正確には当該取引が外国の デ ジ タ ル サ ー ビ ス 税 の 課 税 対 象 と なっていることが特定できない場合 があり、そのような場合を請求の対 象に含める趣旨である。 今後HMRCは類似の税リストを 公表予定である。 利 益 率 の 低 い 事 業 お よ び 損 失 事 業 の た め、 収 益 に 代 わ る 代 替 計 算 規 定 の 選 択 権 が 認 め ら れ て い る ( Alternativ e Char ge Pr ovision )。 企業グループが行うデジタルサービ ス活動ごとに選択権を行使すること ができる。選択権を行使すると、英 国の当該事業活動固有の営業利益率 (正当かつ合理的な基準で計算) を計 算し、収益に営業利益率を乗じて算 出 す る 営 業 利 益 の 0 ・ 8 が 課 税 標 準 と さ れ る( 税 額 は こ れ に 2 % を 乗 じ て 計 算 す る )。 代 替 計 算 規 定 の 選 択 権 の 行 使 は 毎 会 計 期 間、 申 告 書 に よって行う必要がある。 閾値を超える企業は、最初の関連 する会計期間の終了から 90日以内に HMRCに通知する必要がある。デ ジタルサービス税は英国の法人税申 告書に従い、会計期間の終了後 12カ 月以内に企業グループが選出する一 社が提出する英国のデジタルサービ ス税申告書で申告納税を行う。納付 期限は会計期間終了から9カ月後の 翌日である。デジタルサービス税は 英国の法人税の目的で税額控除が可 能(ただし還付は不可) であるが、英 国が現在締結している租税条約の対 象には含まれていない。今後、夏ま でに王立承認を受ける。