Japanese Physical Therapy Association
NII-Electronic Library Service Japanese Physioal Therapy Assooiation
理 学 療 法 学 第
23
巻第3
号122〜 125
頁 (1996年 )第
1
分科 会 (
脳卒 中) 「
高 次脳 機能 障 害」
認 知 障害
の
評 価
と
ア
プ
ロー
チ
*大
槻
利
夫
* * は じ め に 私 達 ヒ トの祖 先が何一
1
億 年もの はる か昔,
生 命 体と し て地 球に誕 牛し た時か ら,
地球の引 力 (重 力 )に対 し,
どのように身 体を支え た ら動いて い け る の か, ま た ど う した ら周 囲の環 境 変 化を的 確に把 握 し適 応 してい け るの か とい うこ と は,
いっ の時 代におい て も最 重 要 課 題で あっ た し, 進化の歴史そ の もの で あっ た。
脳 洫[管 障 害に よ る片麻痺は,
こ の進 化の過 穉で ヒ トが獲 得して き た機 能や,
遺伝情報に基づき人間として成熟させてきた 様々 な機 能を瞬 時に奪い取り,
代わ り に かっ て経 験した こと のない身 体 状 況と,
環境 把握能 力の困難 性, 異常 性を作 り出す。
こ の ような新 しい状 況 及び環 境を 確 認で き ず 混 乱 して いる急 腔 期の症 例 と,
発症後4
年を経過,
寝た き り になっ てい る慢 性 期の症 例の評 価 と治 療 を通 じて片 麻 痺と 認知障害にっ い て考えて みた い。
症 例 紹介
1.
症 例 1 (図 1)63
歳の男 性,
右 被 殻 出血による左 片 麻 痺,
1994 年12
月 23H 発 症,
同 年 t2月 26 日血 腫 除 去 術,
同年 12 月28
日理学療法開始,
1995年 1月5口作 業 療 法 開 始,
同 年 1月 17H 言語療 法 開 始,
同 年6月30 日自 宅 退 院,
現 在は ホー
ムヘ ル パー
及 び訪悶 看 護が週 2回,
訪 問リハ ビ リ (理 学 療 法 )が月 1回行わ れて い る 2.
症例 2 (図 2) 78 歳の 男性,
左 脳梗塞に よる右 片 麻 痺,
1995年9月 17H 発 症,
同年9
月 19H
よ り理 学 療 法,
作 業 療 法並 び に言 語 療法開始,
現 在も入院, 治 療 継 続 中’
Assessrnenしand Therapeutic Approach for Perceptual
Disorder in Adu[t Hemiplegia
’
“
諏 訪 赤 卜字病 院 (〒 392長 野 県諏訪 市小 和 田上9
−
5) Toshio Otsuki,
RPT :Suwa Red Cro$s Hespitalキ
ー
ワー
ド:片 麻 痺,
認 知 障 害,
評 価と治療 〈症例 1.
2.
に おける特 徴 的な現 象と開 題 点 >D
覚醒障害と意 識の混 乱一
日巾ほ とん ど目を閉じて い る。 寝て い る の か とお も え ば名前の呼び か け や挨拶に は応 答 する。 開 眼 すると 視 野に入っ た ヒ モ類や動きのあ る物を執拗にっ か み に い くec
1
図2
N工 工一
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豐
ホ
憲嚢
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蠶
韈襲
畿 慧 殫 認 知 障 害の評 価とア プロー
チ蠶 鑼
a b 図3123
昼間は お と な しいが夜間騒いだ り,
体動 も激しい。 そ んな時でもナー
ス ステー
シ ョ ン に くると安 心 し たり,
寝こん で し ま う 家 族やス タッ フに対 し,
暴 力 的 行 為 や,.
働 がみ られ る ベ ッ ト柵を手で しっ かり握り込んでい たり,
脚を乗 せて い たり,
時に は柵の隙 間に顔まで突っ 込ん で い る 促さ れ る と食事な ど始め る が長続きせず,
すぐ や め て しま う 場所,
時な どに関する見 当識の 障害が顕著 2) 重 度な運 動障害と感 覚障害 麻痺側の低 筋 緊 張ある い は,
急 性 期か らの過剰 筋 緊 張を 基 盤と した運 動 障 害 健側と いわ れて い る非 麻 輝 側の過 剰 筋 緊 張と過 活 動,
具体 的には頭 頸 部の過 仲 展,
肩 甲帯の引 き込 み,
骨 盤 及 び体幹の動きの減少と硬さ,
股 関 節の過 剰 固 定 と ト肢の 床 面に対す る蹴り (図3a ,
b
) 感 覚 入力の 欠 如, 低’
ド及 び偏り に よ る麻痺側空聞の 無視と非 麻痺 側 空 間へ の過 剰 反応 セ ラ ピス ト に よ る姿勢コ ン トロー
ルや運 動の誘導に 対 する強い抵抗 全か無かの行動パ ター
ンを示す。 行 動は突然始ま り,
全 身 を使っ てパ ワ フル であ り,
しか も周 囲の環境と か姿 勢な ど考 慮せず 目的に向か う 3.
症f
歹「上3
G
叉i4
) 83 歳の男 性,
右 脳 梗 塞による左片 麻 痺, 1991
年 5月 15日発 症,
同年5
月16
日当院 入 院,
理 学療法 開始, 同 年8月20 口退 院,
老健 施 設 人 所 1992年4月退所,
身 体 障 害 者 用 住 宅へ 夫婦で入 居,
現在ホー
ムヘ ル パー
が週2
回訪 問してい る。 入 浴介助が困難との ことで同行 訪問。 〈現象と問題点〉 (図5 −
a,
b
) 身 体 全体が硬 く可 動 域 制 限 も顕 著であり,
ベ ッ ト での 端 坐 位 保持は後 方へ 倒れて し まい不 可。 何 事に対して も 受 け身 的であり,
自身か ら動い て い くこと は ほ と ん ど み ら れず,
身辺 ADL も金介助。
入 浴介助はヘ ルパー
さ ん 2名で行っ て いる が,
麻 痺 側の股 関 節,
膝 関 節の屈 曲が 困難で,
足 部の底 屈 も顕 著なため,
浴 槽に沈むことが で きず,
塀な どに用いる ブロ ッ クを お尻の ドに重ね,
か ろ う じて坐 位を保っ て い たが, 足 先が浴 槽の壁を押 してお り痛みを訴 えて いた。 〈治療に お け る基本的な考え と実 際の場面> 1)いか な る姿勢も リラ ッ ク スしてお らず,
背 臥 位と いえ ど も安定し た姿勢で は ない。 周 囲の環境を認 識して い くた めの触 (圧) 覚を考 慮し た ポジシ ョ ニ ン グの トニ夫 や視 覚 入 力 (整 理ベ ッ ト構や点 滴チ ュー
ブの位 置)の.
Tl 夫 を,
左 右 両 側の筋 緊 張の改 善 と共に 早朋よ り行っ てい く (1Stl
6−
a) 図4
N工 工一
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124
理学療 法学 第23
巻第3
号 a b 図5 図6
2 )運動を開姶する ため対 称的かっ 中間 的な姿勢を作 る。 重 力に抗して動い てい く ため に は動 的 な対 称 性が必 要 条件であり, 動きの幅を持っ た中闇的 な姿勢は運動を 知 覚し な が ら動い て いけ る (図6−
b)3
)動き を感 ずる ための刻 象と して,
セ ラ ピス ト の身 体やいろん な小 道 具の触 (圧 ) 覚,
抵 抗 をう まく使う (図6−
c) 4 )患者さん の操作, 誘導はゆっ くり と ].
寧に行い,
麻痺 側の身 体や空間を認識するチ ャ ン ス, タイ ミングを 計っ て いく (図 6−
d)5
)目的 活 動 (結果 がで る課題)を操作,
かで自律 反 応 として の姿 勢 反 応 を 引 き 出し,
能の改 善にっ なげてい く (図6e ) 結 果 誘 導するな 菖 次 神 経 機 症 例 1は坐位 保 持な ど起 居 動 作の 自 立.
に は い た ら な N工 工一
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認 知 障 害の評価とアブ m