◇大 学 地 域 連 携 事 業 「
健 康 相 談 イ ベ ン ト」
[は じめ に] 近 年 、 医 療 ・介 護 ・福 祉 制 度 を 取 り巻 く状 況 は 大 き く変 容 し、 介 護 保 険 費 用 の 倍 増 や 、 居 宅 サ ー ビス 受 給 者 の 増 加 、 要 介 護 度2以 下 の 軽 度 者 の 増 加 等 に よ り、2008年 に は 障 害 報 酬 と 介 護 保 険 制 度 の 見 直 しが 行 わ れ 、 健 康 問 題 が 注 目 さ れ て い る。 特 に 、 脳 血 管 疾 患 や 認 知 症 に よ る 寝 た き りな どの 要 介 護 状 態 は 本 人 お よ び 介 護 の 人 に 多 大 の 犠 牲 を 伴 わ せ 、 ひ い て は 経 済 活 動 さ え も低 下 さ せ る 原 因 と な って い る 。 ま た 、 平 成22年 度 の 国 民 生 活 基 礎 調 査 に よ る と、 要 介 護 状 態 に 陥 る原 因 の 第1位 は 脳 血 管 疾 患 、 第2位 が 認 知 症 で あ る が 、 第4位 に骨 折 ・転 倒 と 第5位 に 関 節 疾 患 が 挙 げ ら れ て お り、 多 くの 高 齢 者 が 運 動 器 に 障 害 を 持 って い る こ と が わ か る。 中 で も特 に 重 要 な の は 骨 粗 懸 症 で あ る 。 2006年 に お け る わ が 国 の 骨 粗 籟 症 患 者 数 は 約780万 ∼1,100万 人 で あ る と 推 定 さ れ て い る 。 年 齢 と と も に 有 病 率 が 増 加 す る 骨 粗 懸 症 患 者 数 は 、 高 齢 化 が 進 ん で い る わ が 国 に お い て は 今 後 も増 加 す る こ とが 見 込 ま れ る 。 運 動 器 の 障 害 が 高 齢 者 のQOLを 著 し く障 害 して い る の は 明 ら か で あ り、 高 齢 者 のQOLの 維 持 増 進 や 健 康 寿 命 の 延 伸 、 医 療 費 の 低 減 の た め に は 、 運 動 器 障 害 の 予 防 が 緊 急 の 課 題 で あ る。 高 齢 者 で は 運 動 器 機 能 低 下 に よ る転 倒 の 際 の 反 応 速 度 の 遅 延 や 、 骨 粗 霧 症 に よ る骨 強 度 の 低 下 に よ り、 骨 折 リス ク が 高 ま っ て い る。 そ の 原 因 を 少 な くす る た め に も、 病 気 に 陥 らな い 一 次 予 防 は 大 き な 課 題 で あ る。 2006年 介 護 保 険 法 改 正 に 伴 い 、 「口 腔 機 能 向 上 支 援 」、 「運 動 器 の 機 能 向 上 支 援 」 を 含 む 介 護 予 防 重 視 型 施 策 が 実 施 さ れ る こ と に な り、 咀 噛 ・嚥 下 機 能 や 運 動 器 機 能 の 維 持 ・向 上 は 高 齢 者 の 重 要 な 健 康 問 題 と して 位 置 づ け ら れ て い る。 さ ら に、 高 齢 者 の 「食 」 の 問 題 は 多 岐 に わ た っ て お り、 調 理 ・食 事 内 容 の 充 実 と と も に 食 品 購 入 の 困 難 性 な ど、 高 齢 期 特 有 の 生 活 環 境 に 基 づ く問 題 が 内 在 し て い る と思 わ れ る 。 特 に 要 介 護 者 の 「食 」 は 、 家 族 や ヘ ル パ ー の 調 理 能 力 や 栄 養 の 知 識 に よ っ て 大 き く左 右 さ れ る た め 、 介 護 現 場 に お い て 、 調 理 を 含 む 栄 養 管 理 に 関 す る知 識 ・技 能 習 得 へ の ニ ー ズ は 相 当 に 高 い の が 現 状 で あ る。 ま た 、 高 齢 者 に と っ て 食 べ る こ と は健 康 の 維 持 だ け で な く、 生 活 の 中 の 楽 しみ の ひ と つ で あ る。 そ こ で 、 都 市 部 高 齢 地 域 社 会 で あ る 東 山 区 に お け る 「高 齢 期 の 食 の ケ ア 活 動 」 を 踏 ま え て 、 高 齢 者 の 「食 」 に 関 す る 相 談 や ケ ア を 実 施 し た 。 [実 施 内 容] 現 代 で は 、 家 族 以 外 の 高 齢 者 と接 す る 機 会 は ほ と ん ど な い た め、 高 齢 者 が 参 加 す る イ ベ ン ト に 一 緒 に 参 加 す る こ と で 、 高 齢 者 の 様 子 を 観 察 さ せ て い た だ き 、 高 齢 者 の 実 態 を 把 握 す る こ と と し た 。 ま た 、 簡 便 に測 定 す る こ と が で き る ヘ モ グ ロ ビ ン値 と骨 密 度 の 測 定 を 行 う こ と で 、 高 齢 者 の 身 体 状 況 に つ い て 現 状 を 把 握 し、 支 援 方 法 の 検 討 を 行 う こ と を 目的 と した 。 一29一◇ 第 1 回 ① 実 施 日:2011年2月24日 9:00∼12:00 ② 開 催 場 所:東 山 区 粟 田 地 区 地 域 包 括 支 援 セ ン タ ー ③ 対 象:粟 田 地 区 の 高 齢 者 約20名 ④ 内 容:貧 血 検 査 、 骨 密 度 検 査 、 健 康 相 談 ◇ 第 2 回 ① 実 施 日:2011年4月21日 9:00∼12:00 ② 開 催 場 所:京 都 市 立 弥 栄 中 学 校 ③ 対 象:弥 栄 学 区 健 康 す ご や か 学 級 参 加 の 高 齢 者 約40名 ④ 内 容:貧 血 検 査 、 骨 密 度 検 査 、 健 康 相 談 ◇ 第 3 回 ① 実 施 日:2011年11月3日 10:00∼16:00 ② 開 催 場 所:京 都 女 子 大 学 ③ 対 象:京 都 女 子 大 学 藤 花 祭 健 康 相 談 イ ベ ン ト参 加 者 約270名 ④ 内 容:貧 血 検 査 、 骨 密 度 検 査 、 健 康 相 談 ◇ 第 4 回 ① 実 施 日:2011年11月21日 9:30∼13:30 ② 開 催 場 所:京 都 市 立 弥 栄 中 学 校 ③ 対 象:弥 栄 学 区 健 康 す ご や か 学 級 参 加 者 の 高 齢 者 約30名 ④ 内 容:貧 血 検 査 、 骨 密 度 検 査 、 健 康 相 談
栄養相談
参加者
30[健 康 相 談] 栄 養 ク リニ ッ ク 指 導 教 員 が 相 談 を 受 け 、 測 定 は 毎 回 学 生 ボ ラ ン テ ィ ア 各4名 が 担 当 した 。 貧 血 検 査 や 骨 密 度 検 査 の 結 果 に つ い て 説 明 し、 貧 一血 と 判 定 さ れ た 方 に は 「貧 血 改 善 の 食 事 」、 骨 密 度 が 低 か っ た 方 に は 「骨 元 気 の レ シ ピ集(財 団 法 人 骨 粗 懸 症 財 団)」 を 配 布 す る こ と で 、 食 生 活 の 支 援 を 行 っ た 。 女 性 の 参 加 者 が 多 か っ た こ と も あ り、 レ シ ピ の 配 布 は 喜 ば れ た 。 ま た 第4回 目 の 健 康 相 談 イ ベ ン トで は、 「高 齢 者 の 食 事 レ シ ピ集 」 を 配 布 した 。 [考 察] 今 回 の イ ベ ン トで は、 早 め に 開 催 場 所 に 行 っ た が 、 貧 血 検 査 や 骨 密 度 検 査 が で き る と楽 しみ に して お られ る 方 が す で に た く さ ん 待 って お られ た 。 そ の た め 、 今 回 の よ う に 簡 便 に 自分 の 身 体 状 況 を 測 定 で き て 、 健 康 相 談 もで き る イ ベ ン トを 開 催 す る こ と は と て も 良 か っ た よ う に 思 わ れ る。 しか し、 参 加 者 は 圧 倒 的 に 女 性 が 多 く、 男 性 は2∼3名 程 度 で あ っ た の で 、 女 性 の 方 々 が 活 動 的 だ と い う こ と も あ る が 、 男 性 も参 加 して み た い と 思 わ れ る よ う な イ ベ ン トを 開 催 す る こ と も大 切 だ と考 え られ る。 ま た 、 高 齢 者 は 人 と の 会 話 を と て も楽 しみ に して お られ た の で 、 高 齢 者 と接 す る 際 は 、 話 を し っ か り と 聞 い て あ げ る こ とが とて も大 切 だ と 感 じた 。 測 定 の 結 果 、 大 部 分 の 方 は 骨 密 度 がYAM(若 年 成 人 平 均 値)よ り もか な り低 か っ た 。 骨 密 度 の 低 下 は 骨 折 、 さ ら に は 寝 た き りの 原 因 と な っ て し ま う の で 、 管 理 栄 養 士 と して は、 骨 密 度 を 高 め る た め に カ ル シ ウ ム の 摂 取 を 高 め る食 生 活 の 支 援 が 必 要 だ と考 え られ た 。 そ こ で 、4回 目 の 時 に は 栄 養 ク リニ ッ ク編 集 の 「高 齢 者 の 食 事 レ シ ピ集 」 を 作 成 し、 配 布 した 。 毎 年 続 け て ほ しい と言 う要 望 が 多 くあ っ た 。 (宮 崎 由 子) 一31一