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(1)

医療における耐性菌の現状

2017年11月27日 ワンヘルスに関するシンポジウム

長崎大学大学院 病態解析・診断学

(臨床検査医学)

同病院検査部

栁原克紀

(2)

薬剤耐性菌とは?

重要な薬剤耐性菌

(3)

薬剤耐性菌とは?

重要な薬剤耐性菌

(4)

薬剤耐性とは?

薬剤耐性(やくざいたいせい)と

は、微生物が、自分に対して何ら

かの作用を持った薬剤に対して抵

抗性を持ち、これらの薬剤が効か

ない、あるいは効きにくくなった現

象のこと。薬剤抵抗性とも呼ばれ

る。

(5)

薬剤耐性菌の検出

寒天前面に菌液を塗り、 抗菌薬入りディスクを置いて 一晩培養

耐性

感性

寒天内を抗菌薬が拡散 一定の大きさ以上の発育阻止円が見られる 抗菌薬入りディスク

(6)

緑膿菌 感受性菌 多剤耐性緑膿菌 (臨床分離株) IPM CPFX AMK IPM CPFX AMK

感受性菌と多剤耐性菌

(7)

薬剤感受性検査

①微量液体希釈法(=標準法)

②機械による自動測定

(8)

①微量液体希釈法(=標準法)

- + 100 50 25 12.5 6.25 3.13 1.56 μg/mL 対照 0.78 0.39 0.20 0.10 0.05 0.025

(9)

②機械による自動測定

・LED による可視光線、UV光源からの紫外線によりパネ

ル内の各ウェルの濁度、色調の変化を測定したものをアル

ゴリズム解析

・微量液体希釈法は、菌の発育性を濁度で判定するが、

自動機器の場合、濁度と酸化還元電位による色調の変

化で判定するため、菌の発育性に関して、微量液体希釈

法より、感度が高い。

(10)

抗菌薬に対する耐性メカニズム

外膜 内膜 ①抗菌薬の不活化 抗菌薬 ②作用点の変異 抗菌薬 抗菌薬 ③薬剤の排出(Efflux機構)

(11)

耐性菌の伝播、定着および増殖のメカニズム

正常細菌フローラ 正常細菌フローラの破綻、 感染防御能の低下 外部からの耐性菌の侵入・定着、 患者体内での耐性の伝達や 突然変異による耐性、 これらの耐性菌の増殖 耐性菌の選択的増加や 高度耐性菌の出現 医療従事者や患者・家族の不潔な 手指や医療器具などを介した 他の患者への耐性菌の伝播 抗菌薬の投与 免疫抑制剤投与など 患者周囲の 耐性菌 抗菌薬の長期投与

(12)

薬剤耐性菌とは?

重要な薬剤耐性菌

(13)

重要な薬剤耐性菌

メチシリン耐性黄色ブドウ球(MRSA)

多剤耐性緑膿菌(MDRP)

ESBL産生菌

(14)
(15)

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌

(methicillin-resistant Staphylococcus

aureus:MRSA)

1961年に初めて英国より報告され、

日本国内においては、1980年代より

各医療施設での分離が急増、社会的

な問題となった。

その後も新たな抗MRSA薬の開発や院内感染対策

などの取り組みが行われるが、今なお、臨床的に重

要で、院内感染対策上も苦慮することが多い感染症

の原因菌の一つである。

(16)

黄色ブドウ球菌薬剤耐性化の歴史

1940 1950 1960 1970 1980 1990 2000 2010 ペニシリン 広域ペニシリン メチシリン セフェム系薬 リネゾリド ダプトマイシン バンコマイシン ペニシリナーゼ産生 黄色ブドウ球菌 メチシリン耐性 黄色ブドウ球菌 (MRSA) MRSAの蔓延 バンコマイシン耐性 黄色ブドウ球菌 (VRSA) バンコマイシン耐 性腸球菌 (VRE) 市中感染型 MRSA

(17)

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)

• メチシリンのMICが4μg/ml以上

• ヒトの鼻腔などに常在しやすく、除菌困

難なグラム陽性球菌

• 国内の多くの施設で、黄色ブドウ球菌

の40-50%前後を占める 。

• 院内感染症の重要な原因菌

• 接触感染で伝播

• 五類感染症ー定点把握疾患

(18)

MRSAの定義

mecA 遺伝子を保有するStaphylococcus aureus

およびオキサシリン(oxacillin)のMIC≧4μg/ml

※ mecA遺伝子とは

β-ラクタム系抗菌薬に親和性が低いペニシリン結合

タンパク 2’ (Penicillin Binding Protein 2 prime: PBP2’ )の産生に関与する遺伝子のこと

⇒PBP2’が産生されることにより、β-ラクタム系抗菌薬 存在下でも、MRSAの細胞壁合成が阻害 されず、 MRSAは増殖できる

(19)

mecA遺伝子の存在領域

MSSA MRSA mecA mecA SCCmec ・ 挿入に関与する組み換え遺伝子

ccr(chromosomal cassette recombinase)遺伝子

・ トランスポゾンTn554

erythromycin耐性遺伝子などを保有

これらが存在する染色体DNAの領域

SCCmec(Staphylococcus cassette chromosome mec)

(20)

15 28 17 42 55 66 70 68 63 62 64 66 62 63 62 64 61 57 61 60 56 57 48 55 58 53 54 51 47 43 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 M R S A 分 離 率 ( % )

長崎大学病院における

黄色ブドウ球菌中のMRSAの割合

(21)

耐性菌の推定患者数と死亡者数

(米国、2013)

菌名 推定患者数 推定死亡者数

MRSA

80,000

11,000

耐性肺炎球菌 1,200,000 7,000 ESBL産生菌 26,000 1,700 VRE 20,000 1,300 CRE 9,300 610 多剤耐性アシネトバクター 7,300 500 MDRP 6,700 440

CDC, ANTIBIOTIC RESISTANCE THREATS in the United States, 2013を基に作 成

(22)

Staphylococcus aureus (2006~2012)

MSSA: Oxacillin susceptible Staphylococcus aureus, MIC of Oxacillin ≦2 μg/mL

MRSA: Oxacillin resistant Staphylococcus aureus, MIC of Oxacillin ≧4 μg/mL

Total CAP(community-acquired pneumonia)

HAP (hospital-acquired pneumonia)

AECRD

(acute exacerbations of chronic respiratory diseases)

2006 (n=205) 2007 (n=226) 2008 (n=189) 2009 (n=130) 2010 (n=206) 2012 (n=232) 47.1 62.3 53.3 66.7 66.0 51.6 52.9 37.7 46.7 33.3 34.0 48.4 0% 20% 40% 60% 80% 100% 27.6 24.4 24.5 26.9 32.1 31.1 72.4 75.6 75.5 73.1 68.7 68.9 0% 20% 40% 60% 80% 100% 57.1 53.6 80.8 58.3 83.3 74.1 42.9 46.4 19.2 41.7 16.7 25.9 0% 20% 40% 60% 80% 100% 2006 (n=51) 2007 (n=61) 2008 (n=45) 2009 (n=27) 2010 (n=47) 2012 (n=62) 2006 (n=116) 2007 (n=119) 2008 (n=102) 2009 (n=67) 2010 (n=106) 2012 (n=90) 2006 (n=28) 2007 (n=28) 2008 (n=26) 2009 (n=12) 2010 (n=18) 2012 (n=27) 三学会合同抗菌薬感受性サーベイランス(呼吸器感染症)

(23)

Total CAP: Community-acquired pneumonia

HAP: Hospital-acquired pneumonia AECRD: Acute exacerbation of chronic respiratory diseases

MSSA: methicillin-susceptible Staphylococcus aureus MRSA: methicillin-resistant Staphylococcus aureus

Staphylococcus aureus (2006~2014)

三学会合同抗菌薬感受性サーベイランス(呼吸器感染症)

(24)

厚生労働科学研究費補助金 新興・再興感染症および予防接種政策推進研究事業

「医療機関等における薬剤耐性菌の感染制御に関

する研究(28140301)」

研究代表者:栁原 克紀(長崎大学) 研究分担者:大石 和徳(国立感染症研究所) 賀来 満夫(東北大学) 三鴨 廣繁(愛知医科大学) 山本 善裕(富山大学) 泉川 公一(長崎大学) 大曲 貴夫(国立国際医療研究センター)

(25)

S. aureusにおけるMRSAの割

40.5 34.7 35.1 34.2 33.1 0 10 20 30 40 50 60 2012年度 2013年度 2014年度 2015年度 2016年度 A病院 B病院 C病院 D病院 E病院 全体 (%) 厚労科研「医療機関等における薬剤耐性菌の感染制御に関する研究 (28140301)」

(26)

MRSAは院内感染だけではない!

市中  麻薬の使用  地域原住民  刑務所  男性同性愛者  接触の多いスポーツ競技  小児  HIV感染者  学校、託児所 医療介護関連  血液透析  外来点滴治療  外来小手術  体内植え込み型カテーテル  ナーシングホーム  リハビリテーションセンター  長期療養施設  入院の既往 病院

MRSA感染症の病態は複雑化

1. Otter JA, French GL. Lancet Infect Dis. 2010;10:227-239. 2. Popovich KJ, Weinstein RA. Infect Control Hosp Epidemiol.

(27)

HA-MRSAとCA-MRSAの違いは?

◆ 院内感染型

・・・従来より医療施設にて分離されていた

(Hospital-associated MRSA : HA-MRSA)

◆ 市中感染型

・・・入院歴のない健常人の間で広まった

(Community-acquired MRSA : CA-MRSA)

HA-MRSAとCA-MRSAでは・・・

・白血球破壊毒素(Panton-Valentine leukocidin:PVL)の産生 ・ブドウ球菌カセット染色体mec

(Staphylococcus cassette chromosome mec:SCCmec)タイプ に違いがある!

(28)

院内感染型および市中感染型の特徴

院内感染型 市中感染型 主な SCCmec の 遺伝子型 type Ⅱ (Ⅰ, Ⅲ) type Ⅳ 薬剤感受性 多剤耐性 オキサシリンには耐性 他の多くの抗菌薬に感性 主なクローン New York/Japan USA300 (主に米国)

毒素 TSST-1など

種々の毒素 PVL、表皮剥離毒素(ET)

(29)

白血球の中でも主に好中球に作用し、 低濃度ではアポトーシスを、高濃度で はネクローシスを誘導する。 このようにしてPVLは、細菌の除去に 重要な好中球を破壊するため、PVL 陽性MRSA感染患者は重症化し、 予後不良なことが多いとされている。

(Boyle-Vavra S et al. Lab Invest 87:3-9, 2007.) MRSA LukS-PV LukF-PV PVL 好中球 ミトコンドリア PVL低濃度 PVL高濃度 アポトーシス ネクローシス

PVL(Panton-Valentine-leukocidin)

白血球溶解毒素のことで、2つのタンパクLukSとLukFが 協同して作用する2成分性毒素。(6~8量体) これらのタンパクの遺伝子lukS , lukF は溶原化ファージ のゲノム上にコードされていると報告されている。

(30)

(Yanagihara K, et al Diagn Microbiol Infect Dis 72,2012 )

国内の16施設にて分離されたMRSA

期間:2008年~2009年 対象:MRSA 857株 73.6% 20.0% Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ SCC mec type 0.5% 2.3% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 全体 SCCmecⅣ 陰性 陽性 lukS/F-PV

(31)

MRSAのSCCmec typeの変化

0% 20% 40% 60% 80% 100% Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Per cent age of SCC mec ty pe 2003-07 2008-11 2012-15 P<0.001 P<0.05 P<0.001 P<0.01 P<0.01

2003-07: Yamada, et al. Tohoku J Exp Med. 2011: 61-7. 2008-11: Kaku N, et al. J Infect Chemother. 2014: 350-5.

長崎大学病院で血液培養から検出されたMRSAの解析では、従来の院内感染型 MRSAであるSCCmec IIが減少し、市中感染型であるSCCmec IVが増加してい た。

(32)

市中MRSAの現状は?

• 2010年から2012年まで24都道府県内の107施設

において、

SSTI患者

から分離されたMRSA 625 株を

解析した。

• SCCmec types IVは266 株 (43%)

、Vは114

株 (18%)であった。

• Panton-Valentine leukocidin (PVL) 遺伝子

保有株 (57 strains,

9%

), exfoliative toxin

(ET) 保有株 (179 strains, 29%)であった。

Yamaguchi T, Matsumoto T et al. Molecular Characterization of Community-Associated Methicillin-Resistant Staphylococcus aureus Isolated from Skin and Pus Samples of Outpatients in Japan.2015 Aug;21(4):441-7

(33)

海外におけるSCCmec typeの

変化

HA-MRSA CA-MRSA Total 海外でも、菌血症を起こしたMRSAにおいて CA-MRSAが占める割合が増加している。

(34)

家畜からヒトへのMRSAの伝播

Ferber D. Science. 329: 1010-1, 2010 • 家畜からヒトへのMRSAの伝播については、まだ一定の 見解は得られていない。また、食肉からの感染事例も 報告はされていない。 • ただし、オランダなどではブタ由来のMRSA(MLST CC398)が養豚業従事者から検出されている事例の報 告もあり、注意が必要である。

(35)

緑膿菌

「緑膿菌」という和名は、本菌が傷口

に感染したときに、しばしば緑色の膿

が見られることから名付けられた。

Pseudomonas aeruginosaの

aeruginosaも「緑青に満ちた」を意

味するギリシア語に由来している。

(36)
(37)

78.9 76.1 75.1 83 84.3 79.8 71 67.5 67.8 82.5 73.9 74.1 99 99.3 98.9 80.3 77.8 77.4 7.0 9.5 9.1 3.4 8.4 4.3 9.7 5.9 4.3 3.8 4.5 4.1 0.5 0.2 0.5 6.1 3 5 14.2 14.4 15.8 13.5 7.3 15.9 19.2 26.6 27.9 13.7 21.7 21.8 0.5 0.5 0.7 13.5 19 17.7 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0 100.0 13 14 15 13 14 15 13 14 15 13 14 15 13 14 15 13 14 15 PIPC CAZ IPM MEPM AMK CPFX

R I S ≦16 32-64 ≧128 ≦8 16 ≧32 ≦2 4 ≧8 4 ≦16 32 ≧64 ≦1 2 ≧4

緑膿菌の感受性成績

(%) ≦2 ≧8 (CLSI:M100-S24,2014)

(38)

MDRPの耐性基準

アミカシン

イミペネム

≧16

ディスク阻止円

直径(mm)

薬剤

シプロフロキサシン

≧32

≧4

≦13

≦14

≦15

MIC

(µg/mL)

(39)

多剤耐性緑膿菌(

5類感染症/定点把握疾患)

(Muti-Drug Resistant Pseudomonas aeruginosa )

カルバペネム系(IPM:≧16µg/ml)、フルオロキノロン系(CPFX:≧4µg/ml)、 アミノ配糖体系(AMK:≧32µg/ml)の3系統の薬剤に対し、すべて耐性と判定さ れた緑膿菌。とくにメタロ-β-ラクタマーゼ(MBL)産生株はほぼすべての薬剤 に高度耐性を示す。 ATCC株(感受性) 多剤耐性株 CPFX CPFX IPM AMK IPM AMK

ディスク法 緑膿菌(ATCC株) 多剤耐性緑膿菌(メタロ型) CPFX IPM AMK CAZ+SMA

(40)

MDRP分離状況

2109 1928 1872 2388 2059 1822 2.8 2.7 2.4 2.4 2.0 1.7 0 5 10 0 500 1000 1500 2000 2500 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年

(Japan Nosocomial Infection Surveillance;JANIS 2013)

P. aeruginosaに 占めるMDRPの割合 (%)

(41)

年度 病院 事例 2004年 大阪大学 心臓血管外科・小児外科術後,経食道エコープ コープローブ 2004年 京都大学 血液内科,尿道留置カテーテル事例 2004年 埼玉医科大学 複数病棟,尿道留置カテーテル,気管内吸引 引装置 2005年 長崎大学 採尿カップ,複数病棟 2006年 高知大学 簡易トイレの洗浄ブラシ 2006年 東京医科大学 汚染処理室シンク 2007年 大阪大学 気管支鏡 2008年 札幌医科大学 高度救命救急センター,熱傷患者,シャワー浴

本邦のMDRPのアウトブレイク

(化学療法の領域,2011 27:1640-1646)

(42)
(43)

肺炎桿菌

大腸菌

基質拡張型βラクタマーゼ

(ESBL)産生菌

(44)

ESBL産生グラム陰性桿菌

• ESBL=基質特異性拡張型βラクタマーゼ

(Extended-spectrum

β-lactamase)

• ペニシリン系、第3、4世代を含む全てのセ

ファロスポリン系やモノバクタム系抗菌薬を分

解可能なβラクタマーゼ

• ニューキノロン系にも耐性となっていることがあ

る 。

(45)

ESBLの作用

ペニシリナーゼから ESBLへ ペニシリン 第3世代セファロスポリン ESBL ESBL ESBL セファマイシン カルバペネム ESBL ESBL ESBL ペニシリナーゼ ペニシリナーゼ

(46)

ESBLとは?

• 基質特異性拡張型b-ラクタマーゼ

Extended Spectrum Beta-Lactamase

ペニシリン系 セフェム系 カルバペネム系

ESBL

Type A β-ラクタマーゼ

(47)

0 5 10 15 20 25 30 35 40 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 % ESBL Year E.coli Klebsiella spp.

長崎大学病院における

ESBL産生株の年次推移

(48)

ESBL産生菌の割合

8.9 9.7 11.5 11.9 12.7 0 5 10 15 20 25 30 2012年度 2013年度 2014年度 2015年度 2016年度 A病院 B病院 C病院 D病院 E病院 全体

(%) E. coli, K. pneumoniae, K. oxytoca, P. mirabilisの合計

厚労科研「医療機関等における薬剤耐性菌の感染制御に関する研究 (28140301)」

(49)

なぜESBLが増えているのか?

腸内細菌 ESBLプラスミド ESBL 産生菌 抗菌薬による選択圧 環境 クローン性拡散

(50)

ESBL産生菌の問題点

• ESBL産生菌は日本だけでなく世界的に増加傾向にあ る。 • ESBL産生菌は従来の院内感染症の原因微生物としてだ けでなく、市中感染の原因微生物としても拡散してい る。 • 健常成人においても腸内細菌の保有率が6.4%と高かっ たことが報告されている。 • 市中での拡散については、旅行者による渡航先からの持 ち込みや1)、家禽肉の汚染が指摘されているが2)、どの ような経路で拡散しているのかは特定されていない。

Ben-Ami R, et al. Clin Infect Dis. 49: 682-90, 2009

Luvsansharav UO, et al. J Infect Chemother. 17: 722-5, 2011

1)Kumarasamy K, et al. Lancet Infect Dis. 10: 597-602, 2010 2)Warren RE, et al. J Antimicrob Chemother. 61: 504-8, 2008.

(51)

カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)とは?

・カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)は、米国疾病予

防センター(CDC)や感染症専門医も危機感を強めてお

り、マスコミでは

「悪魔の耐性菌」

として注目されている。

・腸内細菌は、ヒトの腸管内に生息し、敗血症、腹膜炎、尿

路感染症、呼吸器感染症、術後感染の原因菌であり、そ

の特効薬である

カルバペネム系抗菌薬に耐性を示す菌が

CREである。

・CREの耐性機序は、カルバペネム系抗菌薬分解酵素であ

る各種かる

カルバペネマーゼの産生、AmpC・ESBLの過

剰産生、膜透過性(ポーリン)

の低下などがある。

(52)
(53)

耐性菌4人感染、うち死亡2人に影響か

福岡・東筑病院

北九州市八幡西区の東筑病院は10日、入院患者4人から、ほ とんどの抗生物質が効かないとされるカルバペネム耐性腸内細菌科 細菌(CRE)を検出したと発表した。3人が肺炎で死亡し、う ち2人はCREの影響が否定できないという。院内感染防止のた め感染者を個室に移し、入院患者全員の検査を進めている。 病院の説明によると、昨年10月に90代の女性から菌を検 出。7月に肺炎で死亡したが、CREが原因ではないという。今年 6~7月には80~90代の男性患者3人から菌を検出。うち 2人が肺炎で死亡しており、病院は「因果関係は不明だが、感染 が影響を与えた可能性がある」としている。残る1人は入院中だ が、命に別条はないという。 2017年8月10日 (木)配信朝日新聞

(54)

CREとCPE

カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(Carbapenem-resistant Enterobacteriaceae; CRE)

• カルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌

(Carbapenemase-producing

Enterobacteriaceae; CPE) 耐性がカルバペネマー

ゼの産生によるものである。CPEは必ずしもカルバペネムに

耐性を示さないものの、院内感染対策上は検出することが

望ましい。CPEを検出する方法として、カルバペネマーゼ遺

伝子検出や阻害剤ディスクを利用した方法などが提唱され

ているが、これらをすべての菌株に実施するのは難しい。

(55)

カルバペネム耐性(+) カルバペネマーゼ産生(+) カルバペネム耐性(+) カルバペネマーゼ産生(-)

CRE(カルバペネム耐性腸内細菌科細菌) と

CPE(カルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌)

カルバペネム耐性(-) カルバペネマーゼ産生(+) (日本化学療法学会雑誌 Vol.63 No.2 2015より引用・改変) カルバペネム 耐性 腸内細菌科細菌 (日本のCRE の定義) カルバペネマーゼ 産生 腸内細菌科細菌 (CPE

(56)

CPEの分布

CPE non-CPE

2

CRE

(57)

長崎大学病院での検出状況

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 E. coli - CRE 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 Klebsiella spp. - CRE 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 Enterobacter spp. - CRE (件) (件) (件) 菌種(属)別の分離状況(同一患者を含む) ■ metallo(+)、■ metallo(-)

(58)

薬剤耐性菌とは?

重要な薬剤耐性菌

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