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中央学術研究所紀要 第18号 L50深田伊佐夫「土地利用と地すべり・斜面崩壊についての考察(3)-ネパール森林破壊のもたらす諸影響」

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Academic year: 2021

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(1)

土地利用と地すべり・斜面崩壊についての考察〔Ⅱ正

− ネ パ ー ル に お け る 森 林 破 壊 の も た ら す 諸 影 響 一

深 田 伊 佐 夫

は じ め に 前報(本紀要・第17号掲載)では、ネパールにおける地すべり・斜面 崩壊の発生問題について、主として同国の国土条件と土地利用の両面か ら考察した。 そこでは、同国における上記の問題を緩和し、解決していくための条 件を、以下の3点にまとめて提示した。 すなわち、①同国の国土条件と土地利用状況の把握、②国土全体の土 地利用計画の適正化による土地利用秩序の回復、③、①と②にたずさわ る人材の育成、がそれである。’) その中で、同国の地すべり・斜面崩壊発生の原因のひとつとして、同 国の森林政策の不備と、地域住民の生活習慣を事由とする森林破壊の問 題が大きく関与していることが判明してきた。 本報では、前報での考察課題を継続して、ネパールにおける地すべり。 斜面崩壊の問題を、森林破壊との関連から検討してみたい。 考察は、同国の森林破壊の発生機構と、それによってもたらされる諸 影響について、地すべり・斜面崩壊との関連性の上でのべることにする。 (5a

(2)

土地利用と地すべり・斜面崩壊についての考察[Ill) 1 . ネ パ ー ル の 森 林 の 概 況 (1)概況

同国の森林の状態や破壊の現状については、正確な資料が存在してい

ないのが実情である。

ただ、同国の森林概況を把握するために、比較的信頼性が高い文献資

料によって検討してみる。 資料は、いずれもネパール政府関係官庁の統計により作成されたもの で、同国の土地利用状況の一環として森林状況を示している。 表−1は、1970年と1975年、表-2は、1985年の国内土地利用状況を示 したものである。2)3) 表 - 1 土 地 利 用 の 変 せ ん l970 HectarePercent l975 Hectare 踏 垣 並 Area Total Ofthis-LandUnder Perpetualsnow WasteLand Water Residential AreaandRoad Pasture ForestArea CultivatedArea 1,40,80,000100.00141,05.900100.00 2112,100 25,66,000 400,000 1500 18.24 284 21,12,100 2629,100 4,00,000 1497 1864 283 3000() 25,17,700 44,73,000 1980000 ﹃一QU00万 QJ○門︶ワInU nUワI11川詮 11QJ11 30,000 17,85700 48,23,000 23,26,000 021 1266 3420 1649 Source:1.AgriculturalStatisticsofNepal,Deptt.ofFoodandAgricul turalMarketingServices,1977 2.AgriculturalStatisticsofNepal,MinistryofFoodandAgricul ture,1972 "NepalTheLandQuestion"(1985)P2より (51>

(3)

表 − 2 土 地 利 用 状 況 図 (000sha.) GrassForetedShrubOtherTotal LandLandLandLand Culti-vated Land Noncd-tivated hTI画(H棺 Physiographic Region 33496 29590 44445 18851 1110.2 ハu﹀庁二JI戸、﹀、証迎勺一 .○J・川詮、U“川孟戸0 9J.川ま戸0ワI11

9白リム−上

りム 一侭U一勾毛哩一竺唖︵一J昂41 ●

61911

6803

14

−9﹄○一︾一︽h﹀?|u

4920980924

852

155.2 1631.5 1794三 14447 591.3 HighHimal HighMt MidMt Siwaliks Tarai ワー4詮ワムQU4宝 ︲川宝○ムEJQJ の乙ワム9白のム ー 1 Q﹀、ム4−⑪○一一 ● ﹁ILワIFnU反Jワー 、川武︿hU兵J﹃’八 ﹁1入ハhU割1入 68992729614748.5 4.718.5100.0 986.91757.156168 6 . 7 1 1 9 3 8 . 1 Total Percent 2968胃 2(): Soures:LandResourcemappingProject,1985 MultiplelandusewillbeeffectiveinNepalduetothelowconstitutents ofthelandarea.Mostofthetime,muchmorearearemainsbanjofallow Landneedsproperhands.Skill "GeoraphyofNepal"(1987)P236より

これらをもとに同国の森林が国土全体の面積に占める割合をみれば、

増加傾向にある。

1970年と1985年の森林面積を単純比較してみれば、15年間で約1.25倍

の増加という結果がでる。

しかし、1980年に発表された国連食糧農業機関(FAO)の調査結果に

よれば、ネパールの森林は、年4%の割合で減少しており、世界有数の

森林減少率を示すとされている4)。

このような、正反対の結果が報告されるところに、ネパールの森林問

題の深刻さが存在している。

これは、同国の森林の現状が、「植林・育林による名目上の森林面積の

拡大化」と「無秩序な樹木伐採による実際的な森林面積の減少化」とv

う矛盾した要素の上に成り立っている結果からくるものと考えられる。

(52}

(4)

上地利用と地すべり・斜面崩壊についての考察cm) 写真−1牧草の植えつけを行う現地の植林普及貝 "UNDP"(1985)P.41より なお、以上にあげたような、同国の森林をとりまく諸事情については、 後述する。 (2)森林破壊の現状と特性 1)熱帯林の破壊をとりまく諸問題 ネパールの森林破壊の問題をとりあげる前提として、熱帯林の破壊に つ い て ふ れ て お く 。 熱帯林が存在する地域は、アジア・アフリカ・ラテンアメリカ等の諸 地域である。 同時に、これらの地域の大部分は開発途上諸国によってしめられてレ る。 このため、熱帯林の現状自体が開発途卜国のもつ、特殊な国情そのも のによって大きな影響をうけていると考えられる。 換言すれば、熱帯林の破壊進行の主な原因が、開発途上諸国のかかえ (53;

(5)

る諸問題のひとつのあらわれであるということになる。 ここに、一般的な視点から、それらの諸問題を整理してみることにし たい5)。 ① 人 口 増 加 開発途上諸国における入口増加の問題には、深刻なものがある。 開発途上諸国の人口増加率は年平均で、約22%の上昇をみている‐ 先進諸国のそれと比べたとき、先進諸国の人口増加率が年平均で約 07%程度であるのに対して高い割合を示している。 こうした高い人口増加率が、人間の生活・居住空間の拡大を招き、 森林破壊を進行させる要因となっている。 ② 土 地 利 用 計 画 の 不 備

土地利用計画の体系化とその実施は、開発途上諸国はもとより、先

進国においても重要な課題である。 特に発展途上国では、上述の人口増加問題を主要因として、土地利 用計画の体系化とその実施が困難な状況下におかれている。 ③ 換 金 作 物 栽 培 と 環 境 破 壊 開発途上諸国の多くでは、外貨獲得のために換金作物の栽培が盛ん に行われている。 しかし、換金作物の栽培が、過度の経済価値追求の手段として先行

し、国土条件に不適合な型ですすみ、自然環境の破壊を招く例も存在

する。 ④ 商 業 目 的 に よ る 過 度 の 森 林 伐 採

③の換金作物と同様の問題であり、経済価追求の手段として、過度

の森林伐採が行われることを意味する。 そこには、森林木材の消費者である先進諸国側の「安価な木材の確

保」と、生産者である開発途上諸国側の「外貨獲得のための手段」と

(54)

(6)

土地利用と地すべり・斜面崩壊についての考察〔ⅡI蛍 写真一2ネパールの主要な生活燃料は薪である。 "UNDP"(1985)P.31より いう、2つの利益関係が、深く結びついている。 ⑤ 伝 統 的 要 因 に よ る 森 林 破 壊 ここでいう伝統的要因とは、熱帯林の存在する地域での「焼畑農業主 「放牧」「生活用薪材採取」等のことを示す。 これらの行為は、過去から長期間にわたり、関連地域住民の生活の 一環として、ある程度の秩序をもって営まれてきた。 しかし、①∼④にあげたような諸問題が動機となり、近年では焼畑・ 放牧・薪材採取等が無秩序な拡大をみて、熱帯林破壊の主要因となり つつある。 ⑥ そ の 他 の 要 因 その他の要因としては、道路開発・ダム建設・観光開発・工業建設 等、各種の人為的開発行為による森林減少があげられる。 近年、熱帯林が存在する地域では、「国土の近代化」を指向して、こ (55}

(7)

の種の開発行為が活発に行われる傾向にある。

こうした人的開発行為が、国土条件・自然環境条件に対して不適当

な型で進行する場合も多く、結果的には環境破壊や森林破壊を招くこ

とになる。 以上、熱帯林の破壊をとりまく諸問題について検討した。 ここにあげた諸問題の性格をみれば、2つの要素が浮上してくる。

ひとつは、「南北問題」の一角としての「先進諸国」と「開発途上諸国」

の経済的不均衡の要素。

もうひとつは、開発途上諸国自身に内在する伝統的価値観の要素であ

る。 この、ふたつの要素が交錯するところに、熱帯林破壊発生の原因があ ると考えられる。 2)現状と特性 つぎに、ネパールの森林破壊の現状と特性についてのくることにした い。

同国の森林破壊の原因も、前項でとりあげたような熱帯林破壊の一般

論的な要素と基本的には同様とみてよい。 しかし、一般論的な要素以外の同国における特殊な要素もいくつか存 在している。 ここでは、ネパールの森林破壊について近年報告された諸資料に基づ いて考察する。6)7)8)

同国の森林破壊の進行について考えていく上で、同国の森林政策の施

行が大きく関与していることが、特質としてあげられる。 ネパールは、1950年に「開国」した。これにともない、対外経済政策 もいくつか試みられた。 そのひとつに、森林資源の利用による外貨獲得も意図された。 具体的には、1957年より全国の森林の国有化実施、換金樹木の造林、 (56》

(8)

土地利用と地すべり・斜面崩壊についての考察〔Ⅲ〕 森林の民間所有不許、国有林への一般住民の立入禁止等の諸措置がとら れた。 このため地域住民によってつみ重ねられてきた、従来の森林利用秩序 にも重大な変化がもたらされるようになってきた。 以下、ネパールの森林破壊の現状と特性について述べる。 ① 人 口 増 加 と 定 住 型 農 耕 ネパールでは、年平均29%の人口増加がみられる。 同時に、同国の人口分布をみれば、人口の過半数以上が、農耕地面 積の少ない山地・丘陵地域に集中している。(表−3,表−4参照) さらに、同国の農耕形態が定住型農耕であることから、限られた森 林資源を多くの生活財(薪材・家蓄飼糧等)として利用しなければな らない状況下にある。 表 − 3 地 域 別 ・ 農 耕 地 人 口 分 布 状 況 Region Hills Tarai Nepa 1964-t PopulationCultivatedPopulatio AreaPerHect 5 7 6 8 4 7 7 1 2 . 0 (579)(27.8) 4 1 9 4 1 2 3 9 3 . 4 (42.1)(72.2) 9 9 5 8 1 7 1 6 5 . 8 (100.0)(100.0) Population'000 CultivatedArea'000hect. 1976-7 PopulationCultivatedPopulatio AreaPerHec 7 6 6 1 8 4 7 9 . 0 (61.3)(34.9) 4 8 4 5 1 5 7 9 3 . 1 (38.7)(65.1) 1 2 5 0 6 2 4 2 6 5 . 2 (100.0)(1000) Figureinbracketgivespercentages. i.For1964-65datavidePantY.P.andJainS.C.,AgriculturalDevelop-mentinNepal,Vora,SecondEdition1979,p.ll ii・For1976-77,compiledfromdataavailablefromCentralBureauof Statistics(Population)andDepartmentofFoodandAgricultural MarketingServices(CultivatedArea) "NepalTheLandQuestion"(1985)P.3より (57;

(9)

表 − 4 年 次 別 人 口 分 布 状 況 PopulationDensity PerForestArea YearPopulationDensity PerTotalArea PopulationDensity PerCultivatedLand 一寺房貴︺n×︺一隈︼長|一寺ご りムRJ川生宅Iユ八×︺︽hU

867185038262

333445

一︵×︺辛一詐勇置逐一津三 川宝R︺ワInVRuRu ︿ⅡUワI○一J︵ⅡU︿uゾ〃坐 ︿uJ︿Ⅱ﹀勺﹃﹄戸、﹀nx︶ワム ーュ○白リムワムQJQJ 二一一屠逢﹃|毎︼﹁△︽吟U ︽畠Uへ必U局J1ウノ0︵︺○Oハ︶ n吋﹀︿uJ︿uゾnw﹀︵u﹀n︺﹀ 1入﹃14イーェ﹃1土1入11

409880677891

764443

丘−8雪曇一︽c−暑縁琴 1 SourceNepalTheFifthPlaninBrief,1975-80 "NepalTheLandQuestion"(1985)P.3より 写真一3ネパールの主要都市や集落は、標高の高い丘陵地帯に集中している。 中部丘陵地域ナガルコット近郊にて(1975年) (写真提供・中央学術研究所北原秀樹氏) こ の こ と が 、 同 国 の 森 林 資 源 破 壊 を 進 行 さ せ る 要 因 と な っ て い る 。 ② 住 民 の 森 林 利 用 秩 序 の 変 化 前項①にあげた人口増加と農耕形態の問題とともに、政府の森林政 (58;

(10)

土地利用と地すべり・斜面崩壊についての考察CIII) 策 の 施 行 に よ り 一 般 住 民 が 、 日 常 生 活 上 に 必 要 な 森 林 面 積 が 極 度 に 減 少 し て き て い る 。 このため従来からあった森林利用秩序の限度をこえた、過度な利用 が一般化した。 ③ 政 府 と 住 民 の 森 林 に 対 す る 意 識 の 差 異 ; 政 府 と 森 林 政 策 の 一 環 と し て 造 林 さ れ た の は 、 マ ツ 等 の 換 金 価 値 の 高い樹木である。 し か し 、 一 般 住 民 が 必 要 と し て い る 樹 木 が 、 果 実 木 や 家 畜 飼 糧 ・ 薪 材 に 利 用 で き る 常 緑 樹 で あ る に も か か わ ら ず 、 全 国 一 律 に 換 金 樹 木 の 造林がすすめられた。 このため住民たちは、日常生活の上での支障をきたすにいたった。 さらに、極端な例としては政府の森林政策に反発する住民の一部は、 国 有 林 へ の 放 火 、 大 量 の 盗 木 に は し る 例 も で て い る 。 このように、政府と住民の森林に対する意識の差異が拡大している。 以 上 み て き た よ う に 、 ネ パ ー ル の 森 林 破 壊 の 特 性 は 、 人 口 増 加 を 主 要 因としながらも、政府の森林政策の不備を動機に破壊が拡大化している 傾向がある。 また、一般的に熱帯林破壊の要素にあげられている「焼畑農業による 森林破壊」は、ネパールではほとんどあてはまらない。 これは、同国の農耕形態が原始的な焼畑による移動農業の段階を経て、 定住型になっているためであると考える。 2 . 森 林 破 壊 と 地 す べ り ・ 斜 面 崩 壊 の 関 連 性 (1)地すべり・斜面崩壊の崩壊の発生機構 地すべり・斜面崩壊については本紀要・第16号でのべているが、 で ふ た た び ま と め て み る 。 地すべり・斜面崩壊では、その発生形態に差異が認められる。 一一 ー 一 (59

(11)

しかし、その発生機構についてみれば、つぎのような素因と誘因があ げられる。 まず、素因としては地形。地質等の自然環境条件、誘因としては気象 条件・地震があげられる。 そして、誘因と密接な関係をもつ素因としては地表水・地下水の状態、 植生、人為的要素があげられる9。 これらの素因と誘因が複合するところに、地すべり・斜面崩壊の発生 がみられる。 (2)両者の関連性 つぎに、森林破壊が、地すべり・斜面崩壊の発生にどのように関与し て い る か に つ い て 考 え る こ と に し た い 。 前述した地すべり・斜面崩壊の発生機構の素因や誘因と、森林破壊と の関連性をみるために、森林破壊のもたらす諸影響についてつぎにのべ る。'0)'1) ① 地 表 水 ・ 地 下 水 の 状 態 へ の 影 響 一般的にみて、森林破壊による樹木の減少は、地表水・地下水の状 態に変化をもたらす。 地表水の流路変化、土壌の保水能力低下、地下水の量的減少等があ げられる。 こ れ ら の 状 態 は 、 例 え ば 降 雨 時 な ど で は 、 地 表 に 降 っ た 雨 水 の 土 壌 中への保存が困難となり、地層土壌流失や、流水量調整不能等を招く。 ② 土 地 へ の 影 響 森林破壊は土地にも影響をあたえる。 上記①にあげた「水」に関する影響と深い関係をもち、表層土壌流 失・表層地質の構造的破壊の進行を示す。 この結果、土地生産性の低下、有効的利用が可能な土地の減少、地 すべり・斜面崩壊発生の原因形成等の事態を招く結果となる‐ (6();

(12)

土地利用と地すべり・斜面崩壊についての考察IⅡ》 ③ 植 生 へ の 影 響

植生とは、ある場所に生育する植物の群落のことを指す。植生への

影響とは、森林破壊の進行により当該地域の各種の植生が変化するこ

とを意味する。

とくに、現地の本来的な植生が破壊される可能性が考えられる。

④ 気 象 条 件 へ の 影 響

森林破壊は、当該地域の気象条件にも変化をあたえる。

主に、気温の上昇や降雨量の変化が発生し、土壌流失・表層地質の

風化促進等の誘因を形成すると考えられる。 以上、森林破壊のもたらす諸影響についてのべた。

これらの諸影響と、地すべり・斜面崩壊の発生機構の関連性をみれば

誘因として深く関わると考えられる。

したがって、森林破壊は地すべり・斜面崩壊発生の主要因のひとつと

して位置づけることが可能である。 3 . 総 括 ① 森 林 破 壊 へ の 対 応 策

これまでに、ネパールにおける森林破壊と地すべり・斜面崩壊の関連

について考察した。

つぎに、これまでの考察を基盤に、同国における森林破壊、およびそ

れを契機として発生する地すべり・斜面崩壊への対応策をまとめてみる'2)。

① 森 林 政 策 の 改 善 ;

同国の森林破壊進行の一因として、国の森林政策の不備があげられ

る。

今後の課題として、造林時の樹種選定にあたっては、地域特性の適

合した型ですすめていくことが求められる。

(61》

(13)

とくに、地域住民の日常生活に有用な樹木の造林を中心に、森林資

源の利用秩序を回復することが課題である。

具体的には、地域住民の居住空間周辺には、薪材・家畜飼糧に活用

可能な常緑樹や食用の果樹等の植樹を推進することがのぞまれる。

また、経済的な面から考えた場合、換金樹木の造林も否定できない

面も存在するが、造林箇所の国土条件との適合性判定、長期的視野に

立脚した育林・更新計画を体系的に構築しなければならないと考えら

れる。 ② 人 口 政 策 の 充 実 化

人口増加は森林破壊を増幅させる大きな要因である。

国民に対する家族計画の意義の啓蒙と、産児計画の実施が必要であ

る。 ③土地利用計画の体系化;

前報で指摘した土地利用計画の体系化も早急にとりくまれるべき課

題である。

土地利用計画の体系化の基本は、当該地域住民の意志を主体に、国

土条件に適合した土地利用計画を立てることである。

ネパールにおける土地利用計画の体系化は、森林政策・人口政策・

災害防止対策・食糧生産等の要素をも含めた、国土の有効的な利用が

図られるものでなければならない。 (2)まとめ

本報では、ネパールにおける地すべり・斜面崩壊の問題を、森林破壊

との関連性から考察した。

考察の結果、前報でとりあげた土地利用上の諸問題ときわめて密接な

関連性をもつ意味で森林破壊の問題が浮上した。

まとめとしては、地すべり・斜面崩壊防止および、森林破壊により発

(62)

(14)

上地利用と地すべり・斜面崩壊についての考察111) 生する諸問題への対応策は、適切な土地利用計画の確立が、有効な方法 になるということになる。 なお、土地利用計画の確立に関わる技術論的・各論的なことがらにつ いては、別の機会に報告したいと考える。 謝 辞 本報の作成にあたり、終始ご指導を賜わった日本大学農獣医学部教授・ 井東澄雄先生、現地(ネパール・チトワン)にて種々お 世話頂いた、寺 田 好 男 ・ 迫 子 ご 夫 妻 、 現 地 農 場 職 員 の 方 々 、 各 種 資 料 を 提 出 し て 下 さ っ た 、 新 日 本 宗 教 団 体 連 合 会 事 務 局 は じ め 各 官 公 庁 に 対 し ま し て 、 深 く 感 謝申しあげます。 文 献 1)深田伊佐夫(1988)土地利用と地すべり・斜面崩壊についての考察in 中央学術研究所紀要第17号;P32 2)S.CJain(1985)NepalTheLandQuestion;DevelopmentPublishers (India)¥P.P.1∼7,P.P58∼61 3)R.K.Pandag(1987)IGeologyofNepal;HimalayanBookCenter;P P.236∼237 4)渡辺柱(1984)ネパール…森林破壊と表土流亡世界1984年2月号岩波 書店;P.P.76∼79 5)金井弘夫(1973);ネパールの自然破壊自然科学と博物館1973年第2号 国立自然博物館PP89∼93 6)沼田真(1981)崩壊しつつあるヒマラヤ自然保護1981年12月号;日本自 然保護協会;PP.i4∼15 7 ) 渡 辺 柱 前 掲 書 P 7 6 8)米合衆国特別調査報告(1981);西暦2000年の地球第2部家の光協会P (63

(15)

P.118∼124

9)井東澄雄(1984);斜面の表層地質崩壊予知に関する推計学的研究;P.P

18∼20.学術刊行物

10)立正佼成会東京布教区平和推進委員会(1986);報告書・地球の砂漠化と緑

化運動;P.15 11)石弘之(1988):地球環境報告岩波書店P.P95∼128 化運動;P.15 11)石弘之(1988):地球 1 2 渡 辺 柱 前 掲 書 P 7 8 (“

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