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上越教育大学研究紀要 第28巻 平成21年 2 月 Bull. Joetsu Univ. Educ., Vol. 28, Feb 小学校高学年における学校外での生活習慣の実態 性別 学年別の比較から 谷 詩 織 平成20年9月30日受付 平成20年11月4日受理 要 旨 本研究は 小学4

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1.問題・目的

 児童期後期から思春期にかけて,生活習慣は大きく変化する(1)。子どもたちが日常生活でどのようなことに時間を 割いているのかを把握することは,彼らの社会生活や環境,発達を知ることにつながる(2)。また,子どもの日常的な 生活習慣は,子どもの心理的な適応(3)や学力(4)(5)に影響を与える。  本研究では,子どもを取り巻く生活習慣や生活環境として,朝食や運動の習慣,読み書きなど活字への接触習慣, パソコンや携帯電話といった近年急速に普及されたメディアの利用習慣,学校外での学習の習慣や習い事をとり上げ る。  朝食摂取や運動の習慣について,教育実践の場では,朝食を食べずに学校に来る児童・生徒の実態や,子どもの運 動不足が問題とされている。欧米でも,経済格差の少ない社会では,セルフエスティームやボディイメージ,朝食摂 取の時間の有無など個人的要因によって朝食摂取に差が出ること(7),思春期の間に,日常でのスポーツの時間が減少 すること(6)が示されている。特に運動面では,時代とともにその習慣が減少するだけでなく,学年とともに,運動 する習慣が減少するといった,二重の運動不足の問題が存在する。文部科学省(8)は,「最近の子どもたちを見ると,『よ く体を動かし,よく食べ,よく眠る』という成長期の子どもにとって当たり前で必要不可欠な基本的生活習慣が大き く乱れています。こうした基本的生活習慣の乱れが,学習意欲や体力,気力の低下の要因の一つとして指摘されてい ます」とした。その上で,「早寝早起き朝ごはん」国民運動を推進することで,家庭,社会が一丸となって,子ども たちの基本的生活習慣を守るよう働きかけている。  活字への接触習慣について,近年の子どもたちの活字離れの問題が指摘されて久しい。PISA2000,2003,2006 の 国際比較の結果から,日本の子どもたちの読解力の低下が懸念されている(9)。そして,PISA の読解力で得点の高いフィ ンランドの教育的背景として,読書量の多さがあるとも考えられている。さらに,PISA2006 の読解力の成績結果から, 女子のほうが男子よりも読解力が高い傾向が示された(10)が,この背景にも,活字への接触習慣の差が存在すること が推測される。日常的に活字に触れる習慣は,読解力をはじめとする学力の向上に不可欠である(11)。子どもたちが,

小学校高学年における学校外での生活習慣の実態

―性別・学年別の比較から―

⻆ 谷 詩 織

* (平成20年9月30日受付;平成20年11月4日受理) 要   旨  本研究は,小学4∼6年生の基本的生活習慣を把握することを目的とする。基本的生活習慣として,朝食や運動の習慣, 活字への接触習慣,パソコンや携帯電話の利用習慣,学校外での学習の習慣や習い事をとりあげる。2007年7月,11月に, 小学4∼6年生1,515名を対象とした質問紙調査を実施した。分析の結果,90%以上の子どもが朝食を毎日摂る習慣があり, 男子はよく運動をし,パソコンや携帯電話は過半数があまり使用しない「子どもらしい」姿が見出された。性別,学年別に 比較した結果,運動の習慣は男子の方が多く,女子では,学年が上がるとともに減少することが示された。また,学年とと もに,新聞を読む傾向がみられるようになること,子ども自身の興味に基づいてインターネットを利用するようになること が示された。また,女子で携帯電話の利用率が高いことが示された。学習習慣は女子の方が早期からみられた。一方,女子 での運動の習慣,予習復習の習慣,読書の習慣は,個人差が大きく,これらが学力の差と関連する可能性が示された。また, 朝食を毎日摂らない子どもや,パソコン,携帯電話を毎日のように利用する子ども,塾にほとんど毎日通う子どもの割合が 10%程度おり,少数ではあるが,極端な生活習慣の子どもの課題が見出された。 KEY WORDS 小学生,基本的生活習慣,朝食,運動,活字,メディア,学習習慣

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どのような対象を通して活字への接触をしているのか,発達とともにその差がみられるのかを検討することで,発達 に応じた活字メディアの提供が可能となるだろう。  パソコンや携帯電話が急速に普及され,子どもたちの生活の文脈も,これらのメディア環境のもとで成り立ってい る。インターネットや携帯電話の使用が子どもの発達に与える影響について検討されてきているが,その結果の多く は,適度な使用が,子どもの学力や社会性の発達にポジティブな影響を与える一方,過度の使用は,それらにネガティ ブな影響を与えるというものである(12)(13)。近年では,学習のツールとしてもインターネットが用いられ,また,親 子の連絡手段や子ども同士のコミュニケーションツールとして携帯電話も用いられている。また,活字メディアとし てインターネットを用いる子どもも増えている(14)。現在,これらのメディアが,子どもの間でどの程度利用されて いるのかを把握することは,今後のメディア利用のありかたの指針を提供する第一歩となるだろう。  TIMSS2003 の調査では,日本の子どもたちの家庭学習の時間が世界の平均と比較したときに非常に少ないことも 明らかにされている。一方で,テレビ視聴時間は長い。アジアでは,思春期の時期に学業の時間が増加する(15)とさ れているが,これは,もはや 10 年以上も前の実態であり,また,学業の時間とは学校での授業時間も含まれている

ため,現在の子どもの家庭での学習時間を反映しているとは考えにくい。さらに,Fuligni & Stevenson (1995)(16)も,

中国とアメリカ間の子どもの学習時間に差を見出したが,日本とアメリカ間にはその差は見出さなかった。文部科学 省の「義務教育に関する意識調査」(2005)(17)からも,日本の子どもの家庭学習時間の少なさを読み取ることができる。 子どもの学習時間を把握することは,基本的生活習慣とともに,子どもの学力を捉える上で基本的な情報となる。欧 米では,経済,社会的地位,また,学力の格差と放課後の何らかのプログラムへの参加とが関連していることが示さ れている(18)。Shann (2001)(19)は,経済的に不利な環境のもとにおかれている中学生を対象に,放課後や休日の生活 習慣を調べた。その結果,大半の中学生は,課外活動に参加せず,テレビの視聴時間が長く,宿題の時間が短いこと が示された。テレビ視聴時間が長く宿題の時間が短い傾向は,日本の子どもの傾向と同様である。日本では,経済格 差は欧米と比較するとまだ小さいが,学力格差は大きな問題となっている。この格差は,基本的生活習慣の差と関連 している可能性もあるだろう。  子どもたちの基本的生活習慣は,子どもたちをとりまく規範や価値観の影響を受けているため,それらを反映した ものとなる(20)。また,子どもの性差を反映したものとなりやすく,スポーツや機械に関する活動は男子の方が,読書, 日記などは女子の方が携わる習慣がみられることも示されている(21)。本研究では,子どもの心身の適応のベースと なる基本的生活習慣の様相を,小学4年生∼6年生を対象として検討する。

2.方  法

 調査方法:質問紙調査を実施した。個人情報の保護を明記した調査方法説明書と質問紙を調査協力校へ郵送し,学 級担任の指示のもとでの実施を依頼した。  調査対象:首都圏及び地方の小学4∼6年生 1,515 名 (回収率 97.12%)。そのうち,性別と学年に回答があったも のを本研究の分析対象とした。分析対象となったのは 1,485 名であった (表1)。  調査時期:2007 年7月7∼ 21 日。なお,東京都 A 小学校の児童 259 名は,2007 年 11 月 14 ∼ 26 日に実施した。  調査内容: フェイス・シートの他,以下の項目を作成した。朝食摂取,スポーツ,日常的言語活動,携帯電話・ インターネット接触状況,予習復習状況,通塾等について,16 項目を尋ねた。これらは,角谷(2005,2007)(22)(23) の生活習慣に関する項目を用いるとともに,「新聞を読む」,「マンガ以外の本を読む」などの日常的言語活動に関す る項目を追加したものである。生活習慣に関する項目は,「1.したことがない」∼「5.ほとんど毎日する」の5 件法による回答を求めた。具体的質問項目及び回答方法を付表1に記載した。  なお,氏名の記入欄を設けたが,差支えない範囲での記入でよいこと,個人のプライバシーの保護ならびに調査結 果と学校の成績とは無関係であることを明記した。統計ソフトは,SPSS ver.16.0 を用いた。 表1 分析対象者内訳(人) 4年生 5年生 6年生 計 男 278 239 247 764 女 253 243 225 721 計 531 482 472 1,485

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3.結果・考察

 各項目について,性別,学年別に回答の割合を算出した(表2)。また,その割合に性差,学年差を検討するため に,各項目について,⒜男女別に学年×各項目の回答分類,⒝学年別に性別×各項目の回答分類の 二乗検定を行っ た。 3−1.朝食摂取(図1),運動の習慣(図2)  朝食の摂取状況について,度数分布の偏りを最小限にするために,「(朝食摂取を)したことがない」∼「3∼4日 くらいする」の群と,「ほとんど毎日する」の群の2群にわけ, 二乗検定を行った。分析の結果,性差,学年差と もに有意差がみられず,90%以上が,朝食をほとんど毎日摂取していることが示された。  運動習慣について,男子では 45%程度が「ほとんど毎日する」いる一方,女子では「ほとんどやらない」∼「ほ とんど毎日する」がそれぞれ 20%前後ずつに分散した。  続いて度数の極端に少ない「したことがない」と「ほとんどやらない」をまとめてから分析を行った。男女別に 二乗検定を行った結果,女子において学年の有意差がみられた( 2 (6)= 17.02, < .01)。残差分析の結果,4年生 において「1∼2日くらいする」が少なく「ほとんど毎日する」が多かった。また,6年生において「1∼2日くら いする」が多く「ほとんど毎日する」が少なかった。男子では有意差はみられなかった。  学年別に 二乗検定を行った。分析の結果,いずれの学年においても有意な性差がみられた(4年生; 2 (3)= 24.13, < .001,5年生; 2 (3)= 41.90, < .001,6年生; 2(3)= 73.83, < .001,)。残差分析の結果,4年生では, 男子で「3∼4日くらいする」が少なく「ほとんど毎日する」が多い一方,女子で「3∼4日くらいする」が多く「ほ とんど毎日する」が少なかった。5年生では,男子で「ほとんどしない」,「1∼2日くらいする」が少なく「ほとん ど毎日する」が多い一方,女子で「ほとんどしない」,「1∼2日くらいする」が多く「ほとんど毎日する」が少なかっ た。6年生でも5年生と同様の結果が得られた。  以上の結果から,いずれの学年においても男子の方が毎日運動する傾向があり,女子の日常的な運動の習慣は,男 子ほど多くなく,学年が上がるにつれて少なくなることが示された。 3−2.日常的な活字への接触(図3∼5)  パソコン以外の活字への接触状況を捉えた。  「新聞を読む」(図3)について,男女いずれの学年においても,「ほとんどやらない」が 30 ∼ 50%程度で最も多かっ た。  男女別に 二乗検定を行った。分析の結果,男女とも学年の有意差がみられた(男子; 2 (8)= 27.10, < .01,女子; 2 (8)= 24.43, < .01)。残差分析の結果,男子では,4年生において「したことがない」が多く「ほとんどやらない」 が少なかった。5年生において「ほとんどやらない」が多かった。6年生において「したことがない」が少なかった。 女子では,4年生は男子と同様に「したことがない」が多く「ほとんどやらない」が少なかった。5年生では「3∼ 4日くらいする」が少なかった。6年生では「したことがない」が少なく「ほとんど毎日する」が多かった。  続いて,学年別に 二乗検定を行った。分析の結果,4年生において有意な性差がみられた( 2 (4)= 13.87, < 男子4年 男子5年 男子6年 女子4年 女子5年 女子6年 100.00 80.00 60.00 40.00 20.00 .00 た こ と が な い ほ と ん ど や ら な い 1 日 ∼ 2 日 く ら い す る 3 日 ∼ 4 日 く ら い す る ほ と ん ど 毎 日 す る 図1 朝ごはんを食べる(%) 男子4年 男子5年 男子6年 女子4年 女子5年 女子6年 100.00 80.00 60.00 40.00 20.00 .00 た こ と が な い ほ と ん ど や ら な い 1 日 ∼ 2 日 く ら い す る 3 日 ∼ 4 日 く ら い す る ほ と ん ど 毎 日 す る 図2 外でスポーツをして遊ぶ(%)

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表2  「1週間で何日くらい次のことをしますか?」に対する回答(%) 男子 女子 男子 女子 4年 ( = 278) 5年 ( = 239) 6年 ( = 247) 4年 ( = 253) 5年 ( = 243) 6年 ( = 225) 4年 ( = 278) 5年 ( = 239) 6年 ( = 247) 4年 ( = 253) 5年 ( = 243) 6年 ( = 225) 朝ごはんを 食べる したことがない 1.08 .00 .41 .40 .00 .00 イ ン タ ー ネットで興 味の あ る ページを読 む したことがない 45.09 29.49 28.05 44.80 35.83 23.66 ほとんどやらない 2.52 .84 1.22 1.58 2.07 1.33 ほとんどやらない 22.55 26.92 23.58 27.60 28.33 30.80 1日∼2日くらいする 2.88 1.26 .81 .79 .41 .89 1日∼2日くらいする 13.09 21.79 21.95 14.00 17.08 22.32 3日∼4日くらいする 2.88 3.35 3.66 4.35 1.65 4.89 3日∼4日くらいする 9.82 8.97 10.16 6.00 10.00 13.84 ほとんど毎日する 90.65 94.56 93.90 92.89 95.87 92.89 ほとんど毎日する 9.45 12.82 16.26 7.60 8.75 9.38 外でスポー ツをして遊 ぶ したことがない 1.10 .85 .41 1.19 .41 .45 イ ン タ ー ネットで学 校の勉強に 関係 す る ページを読 む したことがない 52.73 39.15 41.63 41.20 26.56 26.79 ほとんどやらない 13.24 13.14 7.35 19.05 22.82 26.58 ほとんどやらない 24.00 35.32 31.43 31.20 34.85 42.86 1日∼2日くらいする 21.32 16.53 21.63 26.19 30.71 37.39 1日∼2日くらいする 14.91 14.89 13.06 14.00 24.48 19.64 3日∼4日くらいする 19.49 24.58 26.12 28.97 27.39 22.07 3日∼4日くらいする 5.09 5.53 6.53 9.60 9.96 7.14 ほとんど毎日する 44.85 44.92 44.49 24.60 18.67 13.51 ほとんど毎日する 3.27 5.11 7.35 4.00 4.15 3.57 新聞を読む したことがない 25.09 14.35 11.16 18.58 12.13 7.14 ブログを書 く( ミ ク シィなども 含む) したことがない 87.18 90.56 89.34 85.94 87.18 89.64 ほとんどやらない 32.36 45.15 37.19 38.74 48.54 44.20 ほとんどやらない 7.69 6.87 7.38 8.43 11.11 7.66 1日∼2日くらいする 19.27 18.14 23.55 22.53 23.43 20.98 1日∼2日くらいする 3.30 2.15 2.05 1.20 .43 1.35 3日∼4日くらいする 9.09 10.97 13.64 13.44 9.21 15.63 3日∼4日くらいする 1.10 .43 .41 2.41 .43 .90 ほとんど毎日する 14.18 11.39 14.46 6.72 6.69 12.05 ほとんど毎日する .73 .00 .82 2.01 .85 .45 マンガを読 む したことがない 6.18 7.53 6.12 5.95 6.22 3.57 ブログ以外 の日記を書 く(パソコ ンを使わな くて も よ い) したことがない 51.46 60.00 61.54 39.27 49.79 49.78 ほとんどやらない 15.64 22.18 18.37 25.00 29.88 29.02 ほとんどやらない 21.53 21.70 18.22 21.05 21.89 27.35 1日∼2日くらいする 21.45 17.57 17.55 30.16 29.46 25.89 1日∼2日くらいする 13.14 5.11 3.64 13.36 9.87 3.59 3日∼4日くらいする 21.82 21.76 23.67 20.63 19.50 19.64 3日∼4日くらいする 2.92 2.55 2.43 10.93 4.29 1.35 ほとんど毎日する 34.91 30.96 34.29 18.25 14.94 21.88 ほとんど毎日する 10.95 10.64 14.17 15.38 14.16 17.94 マンガ以外 の本を読む したことがない 6.59 8.94 9.35 2.01 4.15 1.78 予習をする したことがない 19.34 15.32 13.82 10.32 5.39 11.11 ほとんどやらない 24.54 20.85 30.08 14.86 25.31 22.22 ほとんどやらない 28.83 29.79 30.89 28.97 35.27 33.33 1日∼2日くらいする 26.01 29.79 26.42 20.08 29.05 28.00 1日∼2日くらいする 24.09 29.79 26.83 26.19 32.78 25.78 3日∼4日くらいする 21.98 20.85 17.48 25.30 24.90 24.00 3日∼4日くらいする 12.04 12.34 16.26 16.27 15.35 12.44 ほとんど毎日する 20.88 19.57 16.67 37.75 16.60 24.00 ほとんど毎日する 15.69 12.77 12.20 18.25 11.20 17.33 友だちと電 話で 20 分 以上話をす る したことがない 77.82 76.62 73.88 62.95 53.97 43.56 復習をする したことがない 17.52 12.66 11.79 7.11 4.17 9.46 ほとんどやらない 16.00 15.15 17.96 23.51 34.31 36.89 ほとんどやらない 28.83 28.27 30.89 23.72 22.92 26.58 1日∼2日くらいする 2.18 3.90 6.12 6.77 7.53 11.56 1日∼2日くらいする 22.63 30.38 28.46 28.46 36.67 28.83 3日∼4日くらいする 1.45 1.30 .82 3.98 2.93 4.44 3日∼4日くらいする 12.04 13.50 15.85 20.95 21.67 20.72 ほとんど毎日する 2.55 3.03 1.22 2.79 1.26 3.56 ほとんど毎日する 18.98 15.19 13.01 19.76 14.58 14.41 携帯電話で チャットや メールをす る したことがない 73.19 73.50 72.87 53.17 53.78 45.95 塾に行く したことがない 60.95 58.12 52.03 48.21 53.53 54.71 ほとんどやらない 13.04 11.54 8.50 15.08 15.97 16.67 ほとんどやらない 5.47 6.41 5.28 7.97 7.88 4.93 1日∼2日くらいする 3.26 4.27 5.26 9.92 10.08 6.76 1日∼2日くらいする 13.50 19.66 20.33 21.91 19.09 22.87 3日∼4日くらいする 3.62 4.27 4.45 9.92 10.50 8.56 3日∼4日くらいする 6.93 5.56 9.35 6.77 7.47 9.87 ほとんど毎日する 6.88 6.41 8.91 11.90 9.66 22.07 ほとんど毎日する 13.14 10.26 13.01 15.14 12.03 7.62 パソコンで チャットや メールをす る したことがない 82.55 81.36 71.54 84.00 74.90 66.22 塾以外のな らいごとに 行 く( ス ポーツクラ ブも ふ く む) したことがない 21.38 17.65 19.51 23.20 11.57 21.88 ほとんどやらない 13.09 12.71 15.04 10.00 14.40 18.22 ほとんどやらない 5.43 5.04 7.72 5.20 5.37 11.16 1日∼2日くらいする 1.82 1.69 5.69 1.20 2.06 4.44 1日∼2日くらいする 26.09 22.27 19.92 32.40 32.23 28.57 3日∼4日くらいする 1.82 2.12 4.07 1.60 6.17 4.44 3日∼4日くらいする 13.77 21.43 19.11 14.00 22.31 19.20 ほとんど毎日する .73 2.12 3.66 3.20 2.47 6.67 ほとんど毎日する 33.33 33.61 33.74 25.20 28.51 19.20

(5)

.01)。残差分析の結果,男子で「ほとんど毎日する」が多い一方,女子で「ほとんど毎日する」が少なかった。5,6 年生では有意な性差はみられなかった。  以上の結果から,新聞はほとんど読まないが,学年とともに新聞を読む習慣が増える傾向が示された。  「マンガを読む」(図4)について,男子はいずれの学年も「ほとんど毎日する」が 30 ∼ 35%で最も多いが,女子は, 過半数が「ほとんどやらない」あるいは「1∼2日くらいする」だった。  男女別に 二乗検定を行った。分析の結果,男女とも学年の有意差はみられず,50%程度の子どもは一週間に数日 の割合でマンガを読んでいることが示された。  続いて,学年別に 二乗検定を行った。分析の結果,いずれの学年においても有意な性差がみられた(4年生; 2 (4)= 23.26, < .001,5年生; 2(4)= 23.98, < .001,6年生; 2(4)= 18.22, < .01)。残差分析の結果,4年 生では,男子で「ほとんどやらない」,「1∼2日くらいする」が少なく「ほとんど毎日する」が多い一方,女子で「ほ とんどやらない」,「1∼2日くらいする」が多く「ほとんど毎日する」が少なかった。5年生では,男子で「1∼2 日くらいする」が少なく「ほとんど毎日する」が多い一方,女子で「1∼2日くらいする」が多く「ほとんど毎日す る」が少なかった。6年生でも4年生と同様に,男子で「ほとんどやらない」,「1∼2日くらいする」が少なく「ほ とんど毎日する」が多い一方,女子で「ほとんどやらない」,「1∼2日くらいする」が多く「ほとんど毎日する」が 少なかった。  以上の結果から,男子のほうがマンガをよく読む傾向にあり,小学校4∼6年生では,その頻度に差が見られない ことが示された。  「マンガ以外の本を読む」(図5)について,男女とも,「ほとんどやらない」∼「ほとんど毎日する」いずれも 15 ∼ 30%で,マンガ以外の本を読む習慣についてはばらつきがみられた。  男女別に 二乗検定を行った。分析の結果,女子において有意な学年差がみられた( 2 (8)= 36.07, < .001)。残 差分析の結果,4年生では「ほとんどやらない」,「1日∼2日くらいする」が少なく,「ほとんど毎日する」が多かっ た。5年生では,「ほとんどやらない」が多く,「ほとんど毎日する」が少なかった。  続いて,学年別に 二乗検定を行った。分析の結果,4年生と6年生で有意な性差がみられた(4年生; 2 (4)= 27.74, < .001,6年生; 2 (4)= 20.18, < .001)。残差分析の結果,4年生では,男子で「したことがない」,「ほ とんどやらない」が多く,「ほとんど毎日する」が少ない一方,女子で「したことがない」,「ほとんどやらない」が 少なく,「ほとんど毎日する」が多かった。6年生では,男子で「したことがない」が多く「ほとんど毎日する」が 少ない一方,女子で「したことがない」が少なく「ほとんど毎日する」が多かった。  以上の結果から,個人差がみられるものの,学年が低いほど,また,男子よりも女子のほうがマンガ以外の本を読 む傾向があることが示された。  これらの結果を総合的に考察すると,個人差はあるものの,低学年は本を読む習慣が,高学年では新聞を読む習慣 がみられるようになると判断できる。さらに,マンガを読む習慣は,女子よりも男子に頻繁にみられると判断できる。 3−3.パソコン・携帯電話等でのコミュニケーション(図6∼8)  コミュニケーションツールとして,電話,携帯電話,パソコンを用いる習慣について調べた。  「友だちと電話で 20 分以上話をする」(図6)について,男子では,70 ∼ 80%程度が,女子では,40 ∼ 65%程度 男子4年 男子5年 男子6年 女子4年 女子5年 女子6年 100.00 80.00 60.00 40.00 20.00 .00 た こ と が な い ほ と ん ど や ら な い 1 日 ∼ 2 日 く ら い す る 3 日 ∼ 4 日 く ら い す る ほ と ん ど 毎 日 す る 図3 新聞を読む(%) 男子4年 男子5年 男子6年 女子4年 女子5年 女子6年 100.00 80.00 60.00 40.00 20.00 .00 し た こ と が な い ほ と ん ど や ら な い 1 日 ∼ 2 日 く ら い す る 3 日 ∼ 4 日 く ら い す る ほ と ん ど 毎 日 す る 図4 マンガを読む(%) 男子4年 男子5年 男子6年 女子4年 女子5年 女子6年 100.00 80.00 60.00 40.00 20.00 .00 た こ と が な い ほ と ん ど や ら な い 1 日 ∼ 2 日 く ら い す る 3 日 ∼ 4 日 く ら い す る ほ と ん ど 毎 日 す る 図5 マンガ以外の本を読む(%)

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が「したことがない」だった。  極端に度数の少ない群ができないように,「したことがない」,「ほとんどやらない」,「1∼2日くらいする∼ほと んど毎日する」の3群に分類した。まず,男女別に 二乗検定を行った。分析の結果,女子において有意な学年差が みられた( 2 (4)= 21.32, < .001)。残差分析の結果,4年生では「したことがない」が多かった。6年生では「し たことがない」が少なく,「ほとんどやらない」,「1∼2日くらいする∼ほとんど毎日する」が多かった。  続いて,学年別に 二乗検定を行った。分析の結果,いずれの学年においても有意な性差がみられた(4年生; 2 (2) = 15.22, < .001,5年生; 2 (2)= 28.01, < .001,6年生;2(2)= 44.90, < .001)。残差分析の結果,4年生では, 男子で「したことがない」が多く,「ほとんどやらない」,「1∼2日くらいする∼ほとんど毎日する」が少ない一方, 女子で「したことがない」が少なく,「ほとんどやらない」,「1∼2日くらいする∼ほとんど毎日する」が多かった。 5年生では,男子で「したことがない」が多く,「ほとんどやらない」が少ない一方,女子で「したことがない」が 少なく,「ほとんどやらない」が多かった。6年生では,4年生と同様に,男子で「したことがない」が多く,「ほと んどやらない」,「1∼2日くらいする∼ほとんど毎日する」が少ない一方,女子で「したことがない」が少なく,「ほ とんどやらない」,「1∼2日くらいする∼ほとんど毎日する」が多かった。  以上の結果から,電話での 20 分以上の話は,ほとんどなされないが,女子の高学年になるほど,友だちと電話で 話をする習慣がみられることが示された。  「携帯電話でチャットやメールをする」(図7)について,男子では 70%以上が,女子では 45 ∼ 55%程度が「した ことがない」だった。一方,10%前後は「ほとんど毎日する」と回答した。  極端に度数の少ない群ができないように,「したことがない」,「ほとんどやらない」,「1∼2日くらいする∼3・ 4日くらいする」,「ほとんど毎日する」の4群に分類した。まず,男女別に 二乗検定を行った。分析の結果,女子 において有意な学年差がみられた( 2 (6)= 17.82, < .01)。残差分析の結果,5年生で「ほとんど毎日する」が少 なく,6年生で「ほとんど毎日する」が多かった。  続いて,学年別に 二乗検定を行った。分析の結果,いずれの学年においても有意な性差がみられた(4年生; 2 (3) = 29.18, < .001,5年生; 2 (3)= 22.16, < .001,6年生;2(3)= 36.75, < .001)。残差分析の結果,4年生では, 男子で「したことがない」が多く,「1∼2日くらいする∼3・4日くらいする」,「ほとんど毎日する」が少ない一方, 女子で「したことがない」が少なく,「1∼2日くらいする∼3・4日くらいする」,「ほとんど毎日する」が多かった。 5年生では,男子で「したことがない」が多く,「1∼2日くらいする∼3・4日くらいする」が少ない一方,女子 で「したことがない」が少なく,「1∼2日くらいする∼3・4日くらいする」が多かった。6年生では,男子で「し たことがない」が多く,「ほとんどやらない」,「ほとんど毎日する」が少ない一方,女子で「したことがない」が少 なく,「ほとんどやらない」,「ほとんど毎日する」が多かった。  以上の結果から,携帯電話でのメールやチャットはほとんどされないが,女子の特に高学年になるほどよくする傾 向が示された。また,いずれの学年でも,10%程度はほとんど毎日携帯電話でコミュニケーションをとっていること が明らかとなった。  「パソコンでチャットやメールをする」(図8)について,男女とも 60 ∼ 80%が「したことがない」だった。 男子4年 男子5年 男子6年 女子4年 女子5年 女子6年 100.00 80.00 60.00 40.00 20.00 .00 た こ と が な い ほ と ん ど や ら な い 1 日 ∼ 2 日 く ら い す る 3 日 ∼ 4 日 く ら い す る ほ と ん ど 毎 日 す る 図6 友だちと電話で 20 分以上話を する(%) 男子4年 男子5年 男子6年 女子4年 女子5年 女子6年 100.00 80.00 60.00 40.00 20.00 .00 た こ と が な い ほ と ん ど や ら な い 1 日 ∼ 2 日 く ら い す る 3 日 ∼ 4 日 く ら い す る ほ と ん ど 毎 日 す る 図7 携帯電話でチャットやメールを する(%) 男子4年 男子5年 男子6年 女子4年 女子5年 女子6年 100.00 80.00 60.00 40.00 20.00 .00 た こ と が な い ほ と ん ど や ら な い 1 日 ∼ 2 日 く ら い す る 3 日 ∼ 4 日 く ら い す る ほ と ん ど 毎 日 す る 図8 パソコンでチャットやメールを する(%)

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極端に度数の少ない群ができないように,「したことがない」,「ほとんどやらない」,「1∼2日くらいする∼ほとん ど毎日する」の3群に分類した。まず,男女別に 二乗検定を行った。分析の結果,男女ともに有意な学年差がみら れた(男子; 2 (4)= 18.07, < .01,女子; 2(4)= 20.92, < .001)。残差分析の結果,男子では,4年生で「した ことがない」が多く「1∼2日くらいする∼ほとんど毎日する」が少なかった。6年生で「したことがない」が少な く「1∼2日くらいする∼ほとんど毎日する」が多かった。女子も男子と同様の結果が得られた。  続いて,学年別に 二乗検定を行った。分析の結果,いずれの学年においても有意な性差はみられなかった。  以上の結果から,パソコンでチャットやメールをする頻度は男女ともにほとんどない中で,学年とともに高まるこ とが示された。 3−4.パソコン利用習慣 (図9∼12)  パソコンを用いて調べものをしたり日記(ブログ)を書いたりする習慣について調べた。ブログと比較するために, パソコンを用いない日記の習慣も併せて検討した。  「インターネットで興味のあるページを読む」(図9)について,「したことがない」あるいは「ほとんどやらない」 が過半数を占めた。一方,10%前後の子どもは「ほとんど毎日する」と回答した。  男女別に 二乗検定を行った。分析の結果,男女ともに有意な学年差がみられた(男子; 2 (8)= 26.73, < .01, 女子; 2 (8)= 28.09, < .001)。残差分析の結果,男子では,4年生で「したことがない」が多く「1日∼2日くら いする」,「ほとんど毎日する」が少なかった。5,6年生で「したことがない」が少なく,6年生はさらに「ほとん ど毎日する」が多かった。女子では,4年生で「したことがない」が多く「3日∼4日くらいする」が少なかった。 6年生で「したことがない」が少なく「3日∼4日くらいする」が多かった。  続いて,学年別に 二乗検定を行った。分析の結果,いずれの学年においても有意な性差はみられなかった。 男子4年 男子5年 男子6年 女子4年 女子5年 女子6年 100.00 80.00 60.00 40.00 20.00 .00 た こ と が な い ほ と ん ど や ら な い 1 日 ∼ 2 日 く ら い す る 3 日 ∼ 4 日 く ら い す る ほ と ん ど 毎 日 す る 図9 インターネットで興味のある ページを読む(%) 男子4年 男子5年 男子6年 女子4年 女子5年 女子6年 100.00 80.00 60.00 40.00 20.00 .00 た こ と が な い ほ と ん ど や ら な い 1 日 ∼ 2 日 く ら い す る 3 日 ∼ 4 日 く ら い す る ほ と ん ど 毎 日 す る 図 10 インターネットで学校の勉強 に関係するページを読む(%) 男子4年 男子5年 男子6年 女子4年 女子5年 女子6年 100.00 80.00 60.00 40.00 20.00 .00 た こ と が な い ほ と ん ど や ら な い 1 日 ∼ 2 日 く ら い す る 3 日 ∼ 4 日 く ら い す る ほ と ん ど 毎 日 す る 図 11 ブログを書く(ミクシィなど も含む)(%) 男子4年 男子5年 男子6年 女子4年 女子5年 女子6年 100.00 80.00 60.00 40.00 20.00 .00 た こ と が な い ほ と ん ど や ら な い 1 日 ∼ 2 日 く ら い す る 3 日 ∼ 4 日 く ら い す る ほ と ん ど 毎 日 す る 図 12 ブログ以外の日記を書く(パソ コンを使わなくてもよい)(%)

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 以上の結果から,多数の子どもはあまりインターネットを用いないが,男女ともに,学年とともにパソコンで興味 のあることを調べる頻度が高まることが示された。また,10%程度の子どもはほとんど毎日インターネットを利用し ていることが明らかとなった。  「インターネットで学校の勉強に関係するページを読む」(図 10)について,70%程度が「したことがない」ある いは「ほとんどやらない」だった。一方,10%程度は「ほとんど毎日する」と回答した。  男女別に 二乗検定を行った。分析の結果,男女ともに有意な学年差がみられた(男子; 2 (8)= 16.81, < .05, 女子; 2 (8)= 23.74, < .01)。残差分析の結果,男子では,4年生で「したことがない」が多く「ほとんどやらない」 が少なかった。5年生で「したことがない」が少なく「ほとんどやらない」が多かった。女子では,4年生で「した ことがない」が多く「ほとんどやらない」,「1日∼2日くらいする」が少なかった。5年生で「したことがない」が 少なく,6年生で「ほとんどやらない」が多かった。  続いて,学年別に 二乗検定を行った。分析の結果,いずれの学年においても有意な性差がみられた(4年生; 2 (4) = 10.10, < .05,5年生; 2 (4)= 14.54, < .01,6年生; 2(4)= 17.81, < .01)。残差分析の結果,4年生では, 男子で「したことがない」が多く「3日∼4日くらいする」が少なかった。女子では,「したことがない」が少なく「3 日∼4日くらいする」が多かった。5年生では,男子で「したことがない」が多く「1日∼2日くらいする」が少な かった。女子では,「したことがない」が少なく「1日∼2日くらいする」が多かった。6年生では,男子で「した ことがない」が多く「ほとんどやらない」が少なかった。女子では,「したことがない」が少なく「ほとんどやならい」 が多かった。  以上の結果から,インターネットで学校の勉強に関する調べものをする頻度はあまり高くないが,学年とともに少 しずつ増加し,男子よりも女子の方が頻度が高いことが示された。しかし,頻繁に使用する者の割合は学年による差 がみられなかった。10%程度の子どもはほとんど毎日インターネットを利用していることが明らかとなった。  「ブログを書く(ミクシィなども含む)」(図 11)について,約 90%が「したことがない」だった。  極端に度数の少ない群ができないように,「したことがない」,「ほとんどやらない」,「1∼2日くらいする∼ほと んど毎日する」の3群に分類した。まず,男女別に 二乗検定を行った。分析の結果,男女ともに有意な学年差はみ られなかった。  続いて,学年別に 二乗検定を行った。分析の結果,いずれの学年においても有意な性差はみられなかった。  以上の結果から,パソコンでブログを書く習慣は,小学生においてはほとんどないことが示された。  「ブログ以外の日記を書く(パソコンを使わなくてもよい)」(図 12)について,男子では 50 ∼ 60%,女子では 40 ∼ 50%が「したことがない」だった。  極端に度数の少ない群ができないように,「したことがない」,「ほとんどやらない」,「1∼2日くらいする」,「3 ∼4日くらいする∼ほとんど毎日する」の4群に分類した。まず,男女別に 二乗検定を行った。分析の結果,男女 ともに有意な学年差がみられた(男子; 2 (6)= 22.94, < .01,女子; 2(6)= 22.85, < .01)。残差分析の結果,男 子では,4年生で「したことがない」が少なく「1∼2日くらいする」が多かった。6年生で「1∼2日くらいする」 が少なかった。女子では,4年生で「したことがない」が少なく,「1∼2日くらいする」,「3∼4日くらいする∼ ほとんど毎日する」が多かった。6年生で「1∼2日くらいする」が少なかった。  続いて,学年別に 二乗検定を行った。分析の結果,4年生で有意な性差がみられた( 2 (3)= 14.42, < .05)。 4年生の男子では「したことがない」が多く「3∼4日くらいする∼ほとんど毎日する」が少なかった。女子では「し たことがない」が少なく「3∼4日くらいする∼ほとんど毎日する」が多かった。  以上の結果から,4年生では日記をまったく書かない者が少なく,特に,女子でよく書く習慣があることがしめさ れた。 3−5.予習復習,習い事(図13∼16)  普段の学習習慣について調べた。  「予習をする」(図 13)について,「ほとんどやらない」∼「ほとんど毎日する」のいずれも 20 ∼ 30%程度の割合 を占めた。また,「したことがない」も 10%いた。  男女別に 二乗検定を行った。分析の結果,男女ともに有意な学年差はみられなかった。  続いて,学年別に 二乗検定を行った。分析の結果,4,5年生において有意な性差がみられた(4年生; 2 (4)= 9.53, < .05,5年生; 2 (4)= 13.85, < .01)。残差分析の結果,4,5年生ともに,男子で「したことがない」が多く女 子で「したことがない」が少なかった。  以上の結果から,4,5年生では,女子の方が予習をする習慣が多少はあることが示された。  「復習をする」(図 14)について,「ほとんどやらない」∼「ほとんど毎日する」のいずれも 20 ∼ 30%程度の割合

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を占めた。また,「したことがない」も 10%いた。  男女別に 二乗検定を行った。分析の結果,男女ともに有意な学年差はみられなかった。  続いて,学年別に 二乗検定を行った。分析の結果,4,5年生において有意な性差がみられた(4年生; 2 (4)= 20.87 < .001,5年生; 2 (4)= 17.54, < .01)。残差分析の結果,4,5年生ともに,男子で「したことがない」が 多く「3∼4日くらいする」が少なかった。女子で「したことがない」が少なく「3∼4日くらいする」が多かった。  以上の結果から,4,5年生では,女子の方が復習をする習慣があることが示された。  「塾に行く」(図 15)について,過半数が「したことがない」であるが,10%程度は「ほとんど毎日する」であった。  男女別に 二乗検定を行った。分析の結果,男女ともに有意な学年差はみられなかった。  続いて,学年別に 二乗検定を行った。分析の結果,4年生において有意な性差がみられた( 2 (4)= 10.76, < .05,)。残差分析の結果,男子で「したことがない」が多く「1∼2日くらいする」が少なかった。女子では「した ことがない」が少なく「1∼2日くらいする」が多かった。  以上の結果から,4年生では女子の方が塾に行く習慣があることが示された。  「塾以外のならいごとに行く(スポーツクラブもふくむ)」(図 16)について,「したことがない」か,数日∼毎日 通う子どもがそれぞれ 20 ∼ 30%前後と分散した。  男女別に 二乗検定を行った。分析の結果,女子において有意な学年差がみられた( 2 (8)= 27.49, < .01)。残 差分析の結果,4年生で「したことがない」が多く「3∼4日くらいする」が少なかった。5年生では「したことが ない」が少なかった。6年生では「ほとんどやらない」が多く「ほとんど毎日する」が少なかった。  続いて,学年別に 二乗検定を行った。分析の結果,6年生において有意な性差がみられた( 2 (4)= 14.70, < .01)。残差分析の結果,6年生男子では「1∼2日くらいする」が少なく「ほとんど毎日する」が多かった。女子で は「1∼2日くらいする」が多く「ほとんど毎日する」が少なかった。 男子4年 男子5年 男子6年 女子4年 女子5年 女子6年 100.00 80.00 60.00 40.00 20.00 .00 た こ と が な い ほ と ん ど や ら な い 1 日 ∼ 2 日 く ら い す る 3 日 ∼ 4 日 く ら い す る ほ と ん ど 毎 日 す る 図 13 予習をする(%) 男子4年 男子5年 男子6年 女子4年 女子5年 女子6年 100.00 80.00 60.00 40.00 20.00 .00 た こ と が な い ほ と ん ど や ら な い 1 日 ∼ 2 日 く ら い す る 3 日 ∼ 4 日 く ら い す る ほ と ん ど 毎 日 す る 図 14 復習をする(%) 男子4年 男子5年 男子6年 女子4年 女子5年 女子6年 100.00 80.00 60.00 40.00 20.00 .00 た こ と が な い ほ と ん ど や ら な い 1 日 ∼ 2 日 く ら い す る 3 日 ∼ 4 日 く ら い す る ほ と ん ど 毎 日 す る 図 15 塾に行く(%) 男子4年 男子5年 男子6年 女子4年 女子5年 女子6年 100.00 80.00 60.00 40.00 20.00 .00 た こ と が な い ほ と ん ど や ら な い 1 日 ∼ 2 日 く ら い す る 3 日 ∼ 4 日 く ら い す る ほ と ん ど 毎 日 す る 図 16 塾以外のならいごとに行く(ス ポーツクラブもふくむ)(%)

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 以上の結果から,塾以外の習い事は,4年生では未経験者が多く,6年生では頻度が少なくなることが示された。 また,6年生では女子で特に塾以外の習い事に通う頻度が少ないことが示された。

4.総合的考察

 本研究から,小学4∼6年生の基本的な生活習慣として,以下の特性が見出された。  分析の結果,90%以上の子どもが朝食を毎日摂る習慣があり,男子はよく運動をし,パソコンや携帯電話は過半数 があまり使用しない「子どもらしい」姿が見出された。一方,予習復習の習慣,読書の習慣,女子での運動の習慣は, 個人差が大きく,これらが学力や体力の差と関連する可能性も推測される。また,朝食を毎日摂らない子どもや,パ ソコン,携帯電話を毎日のように利用する子ども,塾にほとんど毎日通う子どもは,いずれも 10%程度いた。これ らは,割合としては少数ではあるが,教育実践の場において 10 人に1人の割合で極端な生活習慣の子どもが存在す ることを示唆している。これらの子どもに対するケアが求められるだろう。以下,各項目について考察を進める。  まず,90%以上が,朝食をほぼ毎日摂取していることが示された。貧困などの深刻な経済格差のない社会での朝食 摂取の習慣は,個人的要因に起因する(24)とされているが,日本では,ほぼ毎日朝食を摂取する習慣をもつことがで きていると推測される。しかし,10%弱の子どもたちには,朝食を毎日摂る習慣が身についていないことが推測され る。小学生の時期の朝食摂取の習慣は,子ども自身というよりもむしろ家庭の要因を反映したものである可能性が高 い。これは,栄養面での問題以外にも,様々な家庭環境の問題が背後に潜んでいる可能性を示唆している。  運動の習慣に関しては,男子の方が毎日運動する傾向があり,女子の日常的な運動の習慣は,学年が上がるにつれ

て少なくなることが示された。これは,Kirshnit, Ham, & Richards (1989)(25), Rekers, et al. (2001)(26)の研究と一

貫した結果である。文部科学省でも,体力向上を働きかけているが,とくに高学年の女子において,意識的な運動の 習慣の導入が必要とされるだろう。  活字への接触状況であるが,4年生では新聞はほとんど読まないが,学年とともに新聞を読む習慣が増える傾向が 示された。一方で,学年が低いほど,マンガ以外の本を読む習慣があることが示された。また,男子の方が低学年か ら新聞を読む傾向がみられ,マンガもまた,男子の方がよく読むことが示された。日常的に活字に親しむ習慣は,学 力にポジティブな影響を与えるとともに,一生涯の活字への接触状況に影響を与える(27)。読むことの習慣は女子の 方が多く見られる(28)とされているが,新聞など,男子の興味に沿う内容の活字メディアを提供することが,男子の 活字接触の習慣を促すことにつながると期待できる。女子の方が読解力が高いという傾向がみられるが,その背景に 読書量が存在するのかどうかは,本研究からは見出すことができないが,活字を読む習慣だけでなく,日記など,文 章を書く習慣が女子に多いことから,読む活動だけではなく各活動も重要であることが推測される。  携帯電話や電話の利用は,女子で,また,学年があがるほど,多くなることが示された。一方,パソコンの利用に 関しては性差が見られず,男女とも学年とともに利用が多くなることが示された。そして,学年とともに利用が増加 するのは,学校の勉強ではなく,メールやチャット,興味のあることを調べるという活動であった。これは,与えら れた課題ではなく,自分の興味関心を中心とした利用目的でパソコンを利用するということであり,より自由度の高 いパソコンやインターネットの利用となる。早期から,利用上のモラルや危険性などを十分に子どもに伝える必要が あると考えられる。  日常の学習習慣として,4,5年生では,女子の方が予習復習をする習慣があることが示された。また,4年生では, 女子の方が塾に通う習慣があることが示された。女子の方が早期から学習の習慣がみられるという結果になった。学 力調査結果などの性差には,このような背景も存在するものと考えられる。  本研究から,小学4年生∼6年生の日常的な基本的生活習慣を把握することができた。これらの習慣は,子どもの 学力や適応に影響を与える要因である。今後は,これらの習慣が,どのようにして学力や適応に影響を与えているの かを検討することが求められる。 注) 本論文は,科学研究費若手研究(B)課題番号 19730405 の助成を受けた研究成果の一部である。

引用文献

⑴ Larson, R. W., Richards, M. H., Sims, B., & Dworkin, J. (2001). How urban African American young adolescents spend their time: Time budgets for locations, activities, and companionship.

(11)

⑵ 前掲⑴

⑶ McHale, S. M., Crouter, A. C., & Tucker, C. J.(2001). Free-time activities in middle childhood: Links with adjustment

in early adolescence. , 72, 1764-1778.

⑷ Fuligni, A., & Stevenson, H.(1995). Time use and mathematics achievement among American, Chinese, and

Japanese high school students. , 66, 830-842.

⑸ Leone, C. M., & Richards, M. H. (1989). Classwork and homework in early adolescence: The ecology of achievement. , 18, 531-548.

⑹ Kirshnit, C.E., Ham, M., & Richards, M. H.(1989). The sporting life: Athletic activities during early adolescence. , 18, 601-615.

⑺ Shaw, M. E. (1998). Adolescent breakfast skipping: An Australian study. Adolescence, 33, 851-861.

⑻ 文部科学省 .(2008).「早寝早起き朝ごはん」国民運動の推進について http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/ asagohan/index.htm (2008 年9月 27 日引用)

⑼ OECD生徒の学習到達度調査 Programme for International Student Asessment(PISA)∼ 2006 年調査国際結果 の要約∼ http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakuryoku-chousa/sonota/071205/001.pdf (2008 年9月 27 日引 用)

⑽ 前掲⑼

⑾ Sanacore, J. (2002). Struggling literacy learniers benefit from lifetime literacy efforts. , 23, 67-86.

⑿ Straker, L. M., Pollock, C. M., Zubrick, S. R., & Kurinczuk, J. J. (2006). The association between information and communication technology exposure and physical activity, musculoskeletal and visual symptoms and socio-economic

status in 5-year-olds. Child Care, , 32, 343-351.

⒀ Willoughby, T. (2008). A short-term longitudinal study of Internet and computer game use by adolescent boys and

girls: Prevalence, Frequency of use, and psychosocial predictors. , 44, 195-204.

⒁ Alvermann, D. E., Hagood, M. C., Hruby, A. H., Hughes, P., Williams, K. B., & Yoon, J. C. (2007). Telling themselves

who they are: What one out-of-school time study revealed about underachieving readers. , 28,

31-50. ⒂ 前掲⑷ ⒃ 前掲⑷

⒄ ベネッセコーポレーション .(2005). 平成 16・17 年度文部科学省委嘱調査報告書「義務教育に関する意識調査」報告書 http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/17/11/05112502/houkoku.pdf 2008 年 9 月 29 日参照)

⒅ Shann, M. H.(2001). Students use of time outside of school: A case for after school program for urban middle school

youth. , 33, 339-356.

⒆ 前掲⒅ ⒇ 前掲⑴

 Rekers, G. A., Sanders, J. A., Rasbury, W. C., Strauss, C. C., & Morey, S. M. (2001). Differentiation of adolescent

activity participation. , 150, 323-335.  ⻆谷詩織 .(2005). 小・中学生の知的関心の発達と理科教育での問題解決経験とのかかわり . 科学研究費補助金「特定 領域研究」(平成 14 ∼ 18 年度)新世紀型理数科系教育の展開研究 平成 16 年度 A05 班研究成果中間報告書 pp. 77-114.  ⻆谷詩織 .(2007). 小・中学生にとってのインターネットを用いた課題解決学習の意義と課題 . 科学研究費補助金「特 定領域研究」(平成 14 ∼ 18 年度)新世紀型理数科系教育の展開研究 A05 班研究成果最終報告書 pp. 101-140.  前掲⑺  前掲⑹  前掲  前掲⑾  前掲

(12)

付表1 本研究で分析に用いた項目(質問紙抜粋) 〈A〉 1週間で何日くらい次のことをしますか?あてはまる数字に,それぞれ1つ○をつけてください。 5 4 3 2 1 ほ とんど毎日する 3日∼ 4 日くらいする 1 日∼ 2 日くらいする ほ とんどやらない したことがない 〈1〉 朝ごはんを食べる。 5 4 3 2 1 〈2〉 外でスポーツをして遊ぶ。 5 4 3 2 1 〈3〉 新聞を読む。 5 4 3 2 1 〈4〉 マンガを読む。 5 4 3 2 1 〈5〉 マンガ以外の本を読む。 5 4 3 2 1 〈6〉 パソコンでチャットやメールをする。 5 4 3 2 1 〈7〉 携帯電話でチャットやメールをする。 5 4 3 2 1 〈8〉 友だちと電話で 20 分以上話をする。 5 4 3 2 1 〈9〉 インターネットで興味のあるページを読む。 5 4 3 2 1 〈10〉 インターネットで学校の勉強に関係するページを読む。 5 4 3 2 1 〈11〉 ブログを書く(ミクシィなどもふくむ)。 5 4 3 2 1 〈12〉 ブログ以外の日記を書く。(パソコンを使わなくてもよい。) 5 4 3 2 1 〈13〉 予習をする。 5 4 3 2 1 〈14〉 復習をする。 5 4 3 2 1 〈15〉 塾に行く。 5 4 3 2 1 〈16〉 塾 以外のならいごとに行く。(スポーツクラブもふくむ) 5 4 3 2 1

(13)

The Life Style of Late Childhood

Shiori S

UMIYA*

ABSTRACT

This study examined the life habits of 4th to 6th graders. The frequency of having breakfast, doing sports, reading, writing, using computers and mobile phones, homework were examined. The questionnaires were conducted in July and November 2007, and 1,515 students participated in them. As the results, more than 90% children had breakfast every day. Boys did sports more than girls, and lower graders did more than senior students. Lower graders read books, and senior students read newspapers more. Senior students used computers based on their own interests. Girls used mobile phones more than boys. Girls did homework more than boys, especially in lower grades.

KEW WORDS

elementary school students, life style habits, breakfast, sports, literature, media, studying habits

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