経済産業省 御中
平成30年度製造基盤技術実態等調査事業
(日 ASEAN 化学産業労働安全・産業保安イニシアティブにおける
ASEAN 各国の動向に関する調査)
報告書
(公開用)
2019 年 3 月
エンヴィックス有限会社
目次
1. 調査概要 ... 1
1-1. 目的 ... 1 1-2. 調査内容 ... 2 1-3. 調査方法 ... 3 1-4. 調査結果要約 ... 42. 労働安全及び産業保安制度調査 ... 5
2-1. インドネシア ... 5 2-2. カンボジア ... 14 2-3. シンガポール ... 19 2-4. タイ ... 39 2-5. フィリピン ... 53 2-6. ブルネイ ... 70 2-7. ベトナム ... 82 2-8. マレーシア ... 91 2-9. ミャンマー ... 105 2-10. ラオス ... 1123. ワークショップ開催準備のための事前訪問及び現地ヒアリング ... 116
4. ワークショップ開催結果 ... 121
ラオス WS 開催結果 ... 121 カンボジア WS 開催結果 ... 125添付資料① Process Safety Metric(PSM)について ... 129
プロセス安全指標(Process Safety Metric, PSM)とは何か? ... 129
図表リスト 図表 1 インドネシアでの労働事故件数と死亡率の推移 ... 8 図表 2 化学分野安全管理者の資格を取得するために必要な講習カリキュラム ... 9 図表 3 主な化学品の製造量の推移(単位:トン) ... 10 図表 4 インドネシアにおける石油・化学プラントの分布 ... 11 図表 5 インドネシアにおける化学品の運輸・倉庫業者例 ... 11 図表 6 DK3N が実施している各種プログラム ... 13 図表 7 工業・手工芸省の組織図 ... 15 図表 8 カンボジア DTST による安全講習の修了者の数(月別、分野別) ... 16 図表 9 カンボジア DTST による安全講習修了者の数(年別、分野別) ... 18 図表 10 2017 年の事故報告件数(重度の傷害, Fatal Injuries) ... 24 図表 11 2017 年の事故報告割合(重度の傷害) ... 24 図表 12 2017 年の報告割合(職業病) ... 24 図表 13 2017 年の報告割合(職業病) ... 24 図表 14 2017 年の報告割合(主要な傷害, Major Injuries) ... 25 図表 15 2017 年の事故報告割合(主要な傷害) ... 25 図表 16 2017 年の報告割合(主要ではない傷害, Minor Injuries) ... 25 図表 17 2017 年の報告割合(主要ではない傷害) ... 26 図表 18 2016 年と 2017 年の傷害件数ならびに職業病報告件数の比較 ... 26 図表 19 労働安全衛生に関わる重要な指標 ... 26 図表 20 シンガポール標準産業分類―化学製品関連 ... 29
図表 21 化学品および化学製品(Chemicals & Chemical Products)製造施設数の推移 ... 32
図表 22 化学品および化学製品の製造施設の推移 ... 32
図表 23 Singapore Factory Locator Interactive Map ... 33
図表 24 化学産業の生産に関する月別指標(2015 年を 100 とした値) ... 34 図表 25 化学品の運輸・倉庫業者例 ... 35 図表 26 労働衛生セクターの WSQ プログラム例 ... 37 図表 27 2006~2017 年におけるタイの事故統計 ... 43 図表 28 2006~2017 年におけるタイの事故発生率と補償額の推移... 44 図表 29 タイでの事業所の規模別の事故発生件数(2017 年) ... 44 図表 30 タイでの事業種別の事故発生件数(2017 年) ... 45 図表 31 タイでの事故原因別の事故発生件数(2017 年) ... 46 図表 32 タイの産業別工場数(2016 年) ... 48 図表 33 タイのガス・パイプライン(左)と石油化学工業地帯が所在するラヨーン県の位置(右上)およ びマプトプット石油化学工業地帯を代表するタイ石油公社(PTT)のガス分離プラント(右下) ... 50
図表 34 タイでの化学品の運輸・倉庫業者例 ... 51 図表 35 フィリピンでの労働事故件数と労働事故による労働者の負傷件数 ... 59 図表 36 フィリピンでの 2013 年度労働事故による労働者の負傷件数 ... 59 図表 37 フィリピンでの 2015 年度労働事故による労働者の負傷件数 ... 60 図表 38 フィリピンでの 2015 年度労働事故による労働者の負傷件数(業種別) ... 60 図表 39 フィリピンでの化学品及び化学製品製造業における 2015 年度の労働者負傷件数 ... 61 図表 40 フィリピンでの化学品及び化学製品製造業における 2015 年度の負傷者の職業群別データ... 61 図表 41 フィリピンでの化学品および化学製品製造業における 2015 年度の負傷者の症状別データ... 62 図表 42 フィリピンでの化学品および化学製品製造業における 2015 年度の負傷者の負傷部位別データ ... 62 図表 43 フィリピンでの化学品および化学製品製造業における 2015 年度の負傷者の負傷原因別データ ... 63 図表 44 安全管理者の分類と OSH に関する規定トレーニング ... 64 図表 45 フィリピンにおける化学産業従事企業例(フィリピン企業・多国籍企業別) ... 65 図表 46 フィリピン国内における化学産業の施設数および平均従業員数 ... 66 図表 47 化学品の運輸・倉庫業者例 ... 67 図表 48 フィリピン OSHC 提供の OSH トレーニングの日程とコース内容... 68 図表 49 有害な作業場における安全管理者の配置人数 ... 69 図表 50 非有害な作業場における安全管理者の配置人数 ... 69 図表 51 死亡率の推移 ... 75 図表 52 産業セクター別の死亡者数割合 ... 75 図表 53 産業セクター別の死亡者数割合 ... 76 図表 54 産業部門における GDP 内訳(2017 年) ... 78 図表 55 産業部門における GDP 比内訳(2017 年) ... 79 図表 56 産業サイト分布図 ... 79 図表 57 化学品倉庫・輸送に関わる主な企業数(分野別) ... 80 図表 58 ベトナムでの労働災害件数の推移(2006 年~2015 年) ... 84 図表 59 ベトナムでの労働災害における死亡者数の推移(2006 年~2015 年) ... 85 図表 60 ベトナムでの労働災害における重大災害件数の推移(2006 年~2015 年) ... 85 図表 61 ベトナムにおける化学品の運輸・倉庫業者例 ... 88 図表 62 マレーシアでの 2018 年 10 月までの労働事故統計... 97 図表 63 マレーシアでの 2018 年 10 月までの労働事故統計(業種別、DOSH 調査結果) ... 98 図表 64 マレーシアでの化学品の運輸・倉庫事業者例 ... 102 図表 65 マレーシア NIOSHI 提供の労働安全衛生プログラム出席者数 ... 104 図表 66 ミャンマーFGLLID の組織図 ... 107 図表 67 ミャンマーにおける産業・年度別の事故統計 ... 108
図表 68 WS 開催のための事前訪問および現地ヒアリングのスケジュール ... 116 図表 69 ラオス WS 参加者リスト ... 122 図表 70 カンボジア WS 参加者リスト ... 126 図表 71 RCLG 推奨スケジュール ... 129 図表 72 GHS 閾値... 132 図表 73 プロセス安全事故判定フロー ... 133 図表 74 ICCA 内の組織図 ... 137
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1. 調査概要
1-1. 目的
日本の化学産業はASEAN 各国にサプライチェーンを有しているが、化学プラントにお いて事故が発生するとこれらのサプライチェーンが分断されてしまう危険性がある。あら ゆる産業にとって必要不可欠であり、様々な機能を持つ素材の提供を行うという社会的責 任を全うするためには、サプライチェーンの安定的かつ持続可能な成長を促進していく必 要がある。 今後、国際化学工業協会協議会(以下、「ICCA」)による国際的な化学物質管理のための 戦略的アプローチ(SAICM)や国連による持続可能な開発目標(SDGs)の実行が求めら れる中、サプライチェーンの安定性確保及び安定性確保のための方策、現地工場周辺環境 の影響対策、化学工場の社会的理解の促進等について、ASEAN 諸国では十分な理解がな されていない。また、ASEAN 諸国はこれら共通した課題に対する認識を教え、伝え、ま た、指導できる人材や情報を有していない。 そのような中、2017 年 7 月に開催された日アセアン経済産業協力委員会化学産業 WG (ASEAN Economic Ministers-METI Economic and Industrial Cooperation Committee Working Group onChemical Industry)(以下、「AMEICC-WGCI」)において、化学産業 に不可欠な、労働安全、産業保安、環境保全の3 分野について、日本と ASEAN との間で 課題を抽出するとともに、化学産業の発展のための方策を策定するために、我が国より、 日アセアン化学産業労働安全・産業保安・環境保全改善イニシアティブを提案し、ASEAN 諸国から合意を得た。 また、2018 年 7 月に開催された AMEICC-WGCI において、昨年合意されたイニシアテ ィブをさらに促進するために、特に ASEAN 諸国の労働安全・産業保安に焦点を当ててレ ベル向上に貢献することを目的として、ワークプログラムを提案し、同様に ASEAN 諸国 から合意を得た。具体的には、化学工場の事故発生により、生産活動が滞り、事業費用の 負担が増えることから、自社の安全成績の相対的な評価を行い、それをプロセス安全の継 続的な改善に生かし、労働安全及び産業保安の向上を図ることが重要であることから、ワ ークプログラムの一つとして、事故統計(Process Safety Metric)(以下、「PSM」)を収集 し、AMEICC-WGCI にも報告することとしている。労働安全及び産業保安の重要性を認識 してもらうとともにPSM の収集結果に基づき効果的な対応策の策定・検討を通じて、我が 国化学産業のASEAN 諸国への進出をさらに加速化・発展させていくものである。 日本型の労働安全及び産業保安の取組をASEAN に普及させるために、ASEAN 諸国の 労働安全及び産業保安の制度や実施状況を把握する必要があることから本調査を実施した。5
2. 労働安全及び産業保安制度調査
2-1. インドネシア
①法体系(労働安全及び産業保安(保安防災)に関わる法令等に関する調査) 1)法体系調査(各国の労働安全及び産業保安に関する行政組織とその担当内容) 【法体系】 インドネシアでの労働安全及び産業保安に関する法律としては1970 年に制定された「労 働安全法」が基本法となっているが、そのほかにも2003 年の「労働法」の第 86 条および 第 87 条で労働安全衛生管理について言及されている。これらの 2 つの法律のもとで関連 する下位規則が制定されており、例えば労働大臣規則2018 年 5 号では、化学物質の曝露、 作業所での照明や騒音などの詳細な数値基準を明示している。いっぽうで労働安全衛生に 関する一般的な規制としては政令2012 年 50 号および労働大臣規則 2014 年 26 号があり、 これらは企業内での効率的な労働安全衛生管理の導入を目的とした規制であり、その具体 的な要件を定めている。 法律 労働安全法 http://jdih.pom.go.id/showpdf.php?u=z%2FLPFgE0PVY6z3B9PVsvFUZfaGBuTpATGIr 2G3mtTvI%3D 労働法 https://cdn.setneg.go.id/_multimedia/document/20110811/UU_no_13_th_2003.pdf 政令 労働安全衛生マネジメントシステムに関する政令2012 年 50 号 https://cdn.setneg.go.id/_multimedia/document/20120528/PP%20Nomor%2050%20Tahu n%202012.pdf 大臣規則 労働安全衛生管理システム導入の評価に関する労働大臣規則2014 年 26 号6 http://peraturan.go.id/search/download/11e502b12f3a314891b4313433393332.html 労働環境における労働安全衛生に関する労働大臣規則2018 年第 5 号 https://jdih.kemnaker.go.id/data_puu/Permen_5_2018.pdf 【労働安全及び産業保安に関する行政組織とその担当内容】 労働安全及び産業保安に関する主な行政組織は以下の通りとなっている。労働省所管の 労働監督開発及び労働安全衛生総局が主要な役割を担っている。 労働省 |_労働監督開発及び労働安全衛生総局 |_労働安全衛生基準監視局 |_労働基準監視および補償局 |_女性および児童労働基準監視局 |_法令執行開発局
労働省/Ministry of Manpower (MOM)
労働力、および生産性の競争力向上、労働者雇用、および労働機会拡大、労働者の労使 関係における役割向上、労働者監督、並びに労働安全衛生分野における政策の形成、決定、 および施行、労働省関連の全組織に対する、業務、行政指導、および行政支援の実施調整、 同省管轄になっている国家所有物/国家資産の管理、同省関連の業務実施における監督、 地方における同省業務の実施における技術指導、および監督、法規定に則った国際規模の 技術活動の実施、労働分野における計画、および研究開発の実施を行う。 このうち、労働安全および産業保安に関連が大きいと思われる部局を以下に取り上げ、 概説を設ける。 本調査に関連が大きい労働省内の組織 労働安全衛生基準監視局 インドネシア国内での労働安全衛生を所管している。労働安全衛生基準の監督指導 分野における指針、標準、基準、手順、および評価の形成、同分野における技術指導、 および評価の提供といった、労働監督指導分野における政策、および技術の標準化の 形成、および実施を行う。具体的には、製造工場での労働安全衛生分野の危険有害要 因の特定、訓練、教育といった分野についても担当している。
7 その他主な関係組織 国家労働安全衛生評議会(DK3N) https://dk3n.or.id/ インドネシア中央政府に対して労働安全衛生分野での推薦や助言を提供する第 3 者 機関で、様々な労働安全衛生組織のメンバーによって構成される。国家レベルおよび 各州レベルでの労働安全衛生に関する各種データを収集、分析することで労働省の業 務(州レベル労働安全衛生評議会の監視、各種調査、訓練・教育プログラムの提供) をサポートしている。これまでにDK3N がおこなってきた活動事例は以下の通り1。 労働法修正に対する提案 化学データシートに関する労働大臣決定の計画提案 労働安全衛生マネジメントシステムの運営に関する提案 労働安全衛生監査全国セミナー 工業分野の労働安全衛生全国セミナー共同スポンサー 工業における不測事態予防全国ワークショップ 2)労働安全衛生規制の今後の予定 新たな法令や制度の具体的な予定は確認できなかった。ただしインドネシアではいま、 労働安全衛生違反に対する制裁が非常に軽いという理由から、1970 年労働安全法の改正が 求められている。上述の労働安全法における罰則規定によると、「労働安全法の下位法令に 違反した場合には、最長3 か月の懲役または最高 10 万ルピア(約 800 円)の罰金が科せら れる」となっているが、これでは制裁内容が軽いために、事業者の間で法令順守が進まず、 結果として労働事故は依然として多いという状況であるという。このような背景から、今 後は労働安全法の改正と罰則強化に関する議論が進んでいく可能性は高い。 http://www.beritasatu.com/ekonomi/442073-pemerintah-dan-dpr-diminta-revisi-uu-k3. html 3)事故報告の規則及び実際の事故報告の実施状況調査 工業大臣決定1985 年 148 号によると、危険有害物質の取り扱いにおいて望ましくない事 1 https://www.jniosh.johas.go.jp/icpro/jicosh-old/japanese/country/indonesia/organization/dk3n.htm
11 石油化学産業はインドネシアにとって重要な産業であり、国際競争力を更につけるため にも、石油・ガスの精製所と石油化学産業を効率良く配置することを目的として、インド ネシア工業省は石油化学産業クラスター開発を行ってきた。特に中心的な場所としては、 ジャワ島にあるバンテン州・チレゴン、東ジャワ州・トゥバン、東カリマンタン州・ボン タンなどが挙げられている。最近では2018 年に韓国の大手化学メーカーであるロッテケミ カルが上述のチレゴンにてエチレンなどを生産する工場の起工式を開催した。2023 年に完 成する予定で、総投資額は35 億ドルにのぼると言われている。 図表 4 インドネシアにおける石油・化学プラントの分布 (出典:経済産業省 委託事業報告書) 2)化学品に関する倉庫数及び輸送状況 化学品の倉庫および物流に関するまとまったデータは確認できなかったが、日本企業の なかでは以下の企業がインドネシアで事業を展開している。 図表 5 インドネシアにおける化学品の運輸・倉庫業者例 種別 事業者名 輸送能力/倉庫規模 日系 企業 山九
PT. Sankyu Indonesia International 倉庫:3 万 9936m2 日本通運
Nippon Express (South Asia &
倉庫:1 万 4710m2、6896m2、4750m2 輸送:自動車229 台、荷役車両 62 台
12 Oceanina) Pte. Ltd.など計 3 社 伊藤忠ロジスティクス PT. ITOCHU LOGISTICS INDONESIA など計 2 社 倉庫:3 万 m2 三菱化学物流
PT. LINTAS BUANA KASEI など計 2 社 倉庫:6680m2 輸送:トラクター32 台、トレーラー49 台、ホッパーコンテナ41 基、ドライコ ンテナ15 基 (出典:ASEAN 進出化学企業ビジネスハンドブック) このほか、複数のインドネシア現地のローカル企業や外資企業も、化学品の保管倉庫や 物流事業を行っている。以下はその一例である。
Linc Group(本社:インドネシア) http://www.lincgrp.com/id
Dovechem Group(本社シンガポール)http://dovechem.com/
Agility Logistics(本社:クウェート)https://www.agility.com/en/homepage/
13 ③実施している労働安全や産業保安(保安防災)に関する教育、トレーニングの状況等 企業での労働安全衛生に関する意識の向上を目的として、産業医や看護師を対象とした 訓練、労働安全衛生委員会を対象とした訓練、化学物質の取り扱いを対象とした訓練、緊 急時対応に関する訓練などの様々な訓練をインドネシア政府は実施している。また、この ほかにも、国家労働安全衛生評議会(DK3N)が教育・普及活動を実施している。以下はそ の一例である。 図表 6 DK3N が実施している各種プログラム セミナー・ワークショップ 労働安全衛生監査全国セミナー 職業性疾病、労働災害による障害全国セミナー 建設分野の労働安全衛生全国セミナー 労働安全衛生監査ワークショップ 人的資源の育成および労働安全衛生教育訓練プログ ラム実施ワークショップ 出版 職業性疾病、労働災害による障害に関するガイドブッ ク・評価基準書 労働安全衛生監査ガイドブック 教育・訓練プログラムに関する情報書、リーフレット 教育・訓練プログラム 建設作業の安全 安全管理、労働衛生 監督者の安全 (出典:独立行政法人 国際協力機構(JICA)) 上記の訓練やセミナー以外のものとしては、労働省が毎年実施している「全国労働安全 衛生月間(毎年1 月~2 月)」や「無事故企業への労働安全衛生表彰」といったイベントが あり、このような取り組みを通して啓発活動を進めている。
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2-2. カンボジア
①法体系(労働安全及び産業保安(保安防災)に関わる法令等に関する調査) 1)法体系調査(各国の労働安全及び産業保安に関する行政組織とその担当内容) 【法体系】 カンボジアでは、包括的な国家開発枠組みとして、持続的な経済成長と貧困削減を開発 目標とした四辺形戦略(Royal Government Rectangular Strategy)が策定されている。 2018 年 9 月に発表された第四次四辺形戦略において、法整備等によって安全管理をより強 固なものにしていく方針が示されている。 労働安全衛生問題は、以前は労働省が「労働法(1997)」により管理していたが、人材の 能力不足もあり、現在は環境省や工業手工芸省もその責任範囲内における政令などを制定 し、労働安全衛生について監督している。労働法の下位省令は27 種存在し、その中には化 学物質関連の省令も存在する。 セクター別の労働安全に関する規定を含む法律としては、「農薬および肥料に関する法律 (2012)」、「工業手工芸の管理に関する法律(2006)」がある。下位法令として、「工業手工 芸の工業安全および技術に関する政令2017 年 206 号」や「化学品の分類およびラベル表示 の管理に関する政令2009 年第 180 号」が制定されている。 【労働安全及び産業保安に関する行政組織とその担当内容】 労働安全及び産業保安に関する主な行政組織は以下の通りとなっている。労働・職業訓練省(Ministry of Labor and Vocational Training) |_労働総局(General Directorate of Labor)
|_労働安全衛生局(Department of Occupational Health and Safety)
工業・手工芸省(Ministry of Industry and Handicraft) |_工業総局(General Department of Industry)
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労働・職業訓練省/Ministry of Labor and Vocational Training (MLVT)
労働職業訓練省は、総務を扱う General Directorate of Administration and Finance、 労働行政全般を管轄する General Directorate of Labor、同省管轄法規の監督検査を実施す る General Inspectorate などから構成される。
労働・職業訓練省の組織図は同省ウェブサイトにて閲覧できる。
http://mlvt.gov.kh/index.php?option=com_k2&view=item&layout=item&id=8&Itemid=2 00&lang=en
工業・手工芸省/Ministry of Industry and Handicraft (MIH)
工業手工芸省は、工業の発展・推進を担当する中央省庁である。2013 年に従来の鉱工業 エネルギー省が組織改編し、工業手工芸省および鉱業・エネルギー省の 2 省に分かれたこ とによって設立された。工業を監督する工業総局(General Department of Industry)、中 小企業等を監督する中小企業および手工芸総局(General Department of SMEs and Handicrafts)、工業規格等を担当するカンボジア基準機関(Institute of Standards of Cambodia)等から構成される。
図表 7 工業・手工芸省の組織図
(出典:同省の情報をもとにエンヴィックス作成)
本調査に関連が大きい工業省内の組織
工業総局科学技術局/Department of Techniques, Science and Technology(DTST) DTST は、民間企業の安全推進のために、トレーニングや関連サービスを提供すると ともに、関連政策・法令を立案する組織である。同時に、現場の査察や検査も実施、 民間企業を指導している。
16 2)労働安全衛生規制の今後の予定の調査 労働安全衛生についての今後の予定に関する情報は得られなかった。DTST は化学品の分 類および表示に関する世界調和システム(GHS)の推進に力を入れており、今後も訓練等 を実施していく方針である。 3)事故報告の規則及び実際の事故報告の実施状況調査 事故報告に係る包括的な統計は確認できなかった。ただし、DTST によると、ボイラーの 爆発が発生しているという。また、衣服や靴の製造工場で作業中の労働者が失神する事案 が多数報告されており、2016 年には 18 工場で 1160 人が、2017 年には 22 工場で 1603 人 が失神したと報告されている。 4)安全に関する従業員の資格調査及び資格保有者数等調査 DTST は、安全に係るトレーニングを実施、受講者に対して修了証を発行している。以下、 DTST が工場に対して実施した安全講習の修了証の発行数である。2017 年にのべ 5597 人 に対して、トレーニングが実施された。 図表 8 カンボジア DTST による安全講習の修了者の数(月別、分野別) (出典:DTST)
17 ②化学産業の実態調査
1)化学産業の種類、規模(工場規模)とその数及び分布状況
カンボジアの主要産業は農業および軽工業であり、化学産業というほどの化学工場はな い。また化学関連工場に関するデータも入手できなかった。
18 ③実施している労働安全や産業保安(保安防災)に関する教育、トレーニングの状況等 前述の通り、DTST は、安全に係るトレーニングを実施している。2018 年については 9 月までのデータになるが、安全講習受講者は、年々増加傾向にある。 図表 9 カンボジア DTST による安全講習修了者の数(年別、分野別) (出典:DTST)
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2-3. シンガポール
①法体系(労働安全及び産業保安(保安防災)に関わる法令等に関する調査) 1)法体系調査(各国の労働安全及び産業保安に関する行政組織とその担当内容) 【法体系】 シンガポールにおける労働安全及び産業保安に関する法令の中心に位置づけられるもの は「労働場所の安全と健康に関する法律(Workplace Safety and Health Act)」である。同 法は、2006 年 3 月に施行され、調査時点における改正履歴では 2018 年 4 月 1 日の改正が 最新のものとなる。同法は、それまで関連規定を設けていた「工場法(Factories Act)」に 取って代わるものである。同法の第 4 部では、施設の所有者、雇用者、作業者などの全般的な義務が規定されてお り、例えば、第15 条作業者の義務(Duties of persons at work)3A 項では、「自身または 他者の安全あるいは健康を脅かすあらゆる行為を故意に、または無謀に、合理的な理由も なしに行った者は、罰則の対象となり、3 万ドルを超えない範囲の罰金、または 2 年を超え ない範囲の禁固刑が科される」と規定されている。 同法は労働場所における安全と健康に関する全般的な規定を設けるものであり、業種別、 作業別、異なる焦点の詳細については、同法のもと、規則等で別途規定されている。以下 に同法およびその下位法令を記す。 法律 労働場所の安全と健康に関する法律 Workplace Safety and Health Act https://sso.agc.gov.sg/Act/WSHA2006 規則
労働場所の安全と健康(一般条項)規則
Workplace Safety and Health (General Provisions) Regulations https://sso.agc.gov.sg/SL/WSHA2006-RG1?DocDate=20110909 労働場所の安全と健康(事故報告)規則
Workplace Safety and Health (Incident Reporting) Regulations https://sso.agc.gov.sg/SL/WSHA2006-RG3?DocDate=20140102
20 労働場所の安全と健康(リスクマネジメント)規則
Workplace Safety and Health (Risk Management) Regulations https://sso.agc.gov.sg/SL/WSHA1920-RG8?DocDate=20071001 労働場所の安全と健康(労働場所の安全と健康オフィサー)規則
Workplace Safety and Health (Workplace Safety and Health Officers) Regulations https://sso.agc.gov.sg/SL/WSHA1920-RG9?DocDate=20071001
命令
工場(安全トレーニングコース)命令 Factories (Safety Training Courses) Order
https://sso.agc.gov.sg/SL/WSHA2006-OR12?DocDate=20030601 【労働安全及び産業保安に関する行政組織とその担当内容】 労働安全及び産業保安に関する主な行政組織は以下の通りとなっている。労働省所管の 労働安全衛生局が主要な役割を担っており、行政関係者に加え、企業や専門家などの様々 なステークホルダーが参画する職場安全衛生評議会も設けられている。 労働省 |_労働安全衛生局 |_OSH 政策、情報および企業サービス部 |_OSH 査察当局 |_OSH 専門家部 |_業務傷害補償部 |_主要ハザード部 |_労働場所安全健康研究所 職場安全衛生評議会
労働省/Ministry of Manpower (MOM)
“A Great Workforce. A Great Workplace.”というヴィジョンを掲げ、生産性を有する人材 開発や先進的且つ漸進的な労働場所の発展を図り、よりよい仕事と確実な退職制度の確保 に向けて様々な取組みを行っている。シンガポール国内の企業によりよい仕事の創出を働 きかけ、それらの仕事に就けるようシンガポール国内の人材の就職支援を行い、熟練技能
21 を持つ外国人人材の受け入れ、維持によりそれらの補完を図っている。 労働省所轄組織の一覧は以下のURL より確認が可能である。 https://www.mom.gov.sg/about-us/divisions-and-statutory-boards このうち、労働安全および産業保安に関連が大きいと思われる部局を以下に取り上げ、 概説を設ける。 本調査に関連が大きい労働省内の組織
労働安全衛生局/Occupational Safety and Health Division (OSHD)
国家レベルで労働場所の安全と健康の促進についての取組みを行っている。雇用者、 従業員ならびに他のステークホルダーとも協力しながら、死亡事故、傷害事故および 病気をなくすために、労働場所の安全と健康に関わるリスクの特定、評価および管理 に取り組んでいる。国家戦略WHS2018 の更新に伴い、2018 年は作業員 10 万人あた り1.8 人未満の死亡率まで減じることを目標としていた。 OSHD 内には以下に示す 6 つの部局がある。
OSH 政策、情報および企業サービス部/OSH Policy, Information and Corporate Services Department (PICS)
労働場所の安全と健康に関する運用政策の策定と見直し、OSHD 内の戦略策定とガ バナンスなどを通じて、労働場所の安全と健康に関わる基準の改善業務に取り組んで いる。
OSH 査察当局/OSH Inspectorate
戦略的な査察を通じた取り締まりの調査および深化の拡大、労働場所の監視・調査 などを行い、規制枠組みの有効性をモニターし、労働場所での安全および健康リスク を低減することに焦点を置いている。
OSH 専門家部/OSH specialist Department (SPECS)
工学的な安全、労働衛生(Occupational Hygiene)および職業医学(Occupational Medicine)の分野における専門家を派遣し、WSH 基準およびベストプラクティスの発 展や、工学機器、健康有害性に関連するばく露および職業病の発生を含む、複雑な事 故の調査、各種調査業務、特定のWSH 有害性および産業に関する戦略やプログラムの 策定と実施などを行っている。さらには世界保健機関(WHO)や国際労働機関(ILO) といった国際機関と協同の取組みを行い、情報交換およびトレーニングに取り組んで いる。
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業務傷害補償部/Work Injury Compensation Department
業務傷害補償制度(work injury compensation system)を管理・運用し、従業員お よびその家族が適切に補償を受けられるようにしている。
主要ハザード部/Major Hazard Department (MHD)
主要有害設備(major hazard installations)について、リスクを防止、低減するの に 必 要 な あ ら ゆ る 措 置 を 講 じ て い る か 評 価 を 行 う 。 ま た 、 プ ロ セ ス 関 連 事 故 (process-related incidents)を調査し、主な事故ハザードの管理において、核となる 過失を特定する。
労働場所安全健康研究所/Workplace Safety and Health Institute
起こり得る労働場所の安全と健康に関する困難に対応するため、先見的で、エビデ ンス・ベースの知見を提供する能力を強化するために設けられた組織となる。データ 分析等を通じて、新たな、あるいは最近の傾向から起こり得るリスクを予期し、関連 する政策策定および戦略について、労働省、WSH 協議会ならびにステークホルダーに エビデンス・ベースの情報を提供する。 その他主な関係組織 職場安全衛生評議会/WSH Council https://www.wshc.sg/wps/portal/!ut/p/a1/jY89D4IwEIZ_iwMrd3yIxq0xRqIYB1Chiw GDBYO0aSv9-yKTg6K3vZfnyd0LFFKgbd7VLNc1b_PmlWlwjva-75IYt-swcZC4Ow yTmefEq6AHsu_A8uj95-OXIfjLPwEdQ4YPBmDkxAYoa3gx1M1IW3hzBlSW11KW 0n7Ifl1pLdTCQguNMbZR1cVWrA9CWSi41J_ViisN6ZsB4n5I8TZtuohMnt1CTtU!/ dl5/d5/L2dBISEvZ0FBIS9nQSEh/ 2008 年 4 月 1 日に設立された組織で、主要産業セクター(建設、製造、海洋産業、 石油化学、物流等)、政府、雇用者から選出されたメンバー、ならびに学界も含めた専 門家などで構成されている。評議会は労働省(MOM)を中心とした政府組織、産業界、 専門家と緊密に連携しており、シンガポールにおける同分野の戦略策定などに取り組 んでいる。主な目的には、産業界がWSH のより良い管理を行うためのキャパシティ・ ビルディングの支援・促進、優良事例の認識などが挙げられている。
23 2)労働安全衛生規制の今後の予定の調査 シンガポール議会に提案された法案の中に労働場所の安全と健康に関する法律に関わる 改正案、規則案などは確認されなかった。 シンガポール議会――Bills Introduced https://www.parliament.gov.sg/parliamentary-business/bills-introduced 労働省(MOM)のプレスリリースによると、労働省は現在、労働災害補償法(Work Injury Compensation Act)の見直しを行っているという。傷害を負った従業員に対する事故後の 迅速な補償の内容を拡大する内容が検討されている。2019 年 1 月 31 日から 2 月 25 日まで、 改正案について公開協議が設けられた。低所得の従業員に優先順位を置いた義務的な保険 の補償の拡充、範囲や上限の見直しに加え、プロセスの迅速化なども内容に含まれている。 労働災害補償法の改正案の詳細はこちらの公開協議用文書から確認できる。 https://www.mom.gov.sg/newsroom/press-releases/2019/0131-public-consultation-on-pro posed-amendments-to-the-work-injury-compensation-act 3)事故報告の規則及び実際の事故報告の実施状況調査
同国の「労働場所の安全と健康に関する法律(Workplace Safety and Health Act)」、第 6 部のタイトルは「アクシデント、危険な事故および職業病の調査、問い合わせおよび報告」 となっており、第24 条から第 27B 条にかけて、関連規定が設けられている。中でも本調査 に関連が大きい事故の報告制度については第27 条から第 27B 条に定められており、所轄大 臣は、同法のもとで規則を定めることにより、雇用者、施設の所有者、登録された医師な どに職場でのアクシデント、危険な事故または職業病について、通知または報告書の提出 を求めることができるとしている。 第27 条に基づいて労働場所の安全と健康(事故報告)規則が 2006 年に制定されており、 事故報告に関する詳細が規定されている。同規則では「死亡に繋がる事故(accident leading to death)」、「危険な事故(dangerous occurrence)」、「傷害に繋がる事故(accident)」、「職 業病(Occupational disease)」の 4 つに分けて通知・報告義務を規定している。
事故報告の実施状況調査に関する報告として、労働省が公表している年次報告書より、 上記の報告制度に基づいて集計されたと思われる統計情報を整理し、以下に記す。
24 図表 10 2017 年の事故報告件数(重度の傷害, Fatal Injuries) 分野 建設 輸送・貯蔵 製造 海洋 その他 件数 12 7 7 2 14 図表 11 2017 年の事故報告割合(重度の傷害) (出典:MOM2017 年年次報告書) 図表 12 2017 年の報告割合(職業病) 症状 皮膚疾患 減圧症 被毒 筋骨格疾患 騒音性難聴 その他 件数 78 15 18 337 329 22 図表 13 2017 年の報告割合(職業病) (出典:MOM2017 年年次報告書)
25 図表 14 2017 年の報告割合(主要な傷害, Major Injuries) 分野 製造 建設 輸送・貯蔵 宿泊・飲食 海洋 その他 件数 124 110 60 41 22 217 図表 15 2017 年の事故報告割合(主要な傷害) (出典:MOM2017 年年次報告書) 図表 16 2017 年の報告割合(主要ではない傷害, Minor Injuries) 分野 製造 建設 宿泊・飲食 輸送・貯蔵 海洋 その他 件数 2,413 1,774 1,118 1,025 271 5,281
26 図表 17 2017 年の報告割合(主要ではない傷害) (出典:MOM2017 年年次報告書) 図表 18 2016 年と 2017 年の傷害件数ならびに職業病報告件数の比較 2016 年 2017 年 傷害件数(全体) 13,014 12,498 ――Fatal 66 42 ――Major 594 574 ――Minor 12,354 11,882 職業病 732 799 (出典:MOM2017 年年次報告書) 図表 19 労働安全衛生に関わる重要な指標 2016 年 2017 年 傷害率 382 369 ――Fatal 1.9 1.2 ――Major 17.4 16.9 ――Minor 363 351 事故頻度率 1.6 1.6 事故強度率 86 69 職業病発生率 21.5 23.6 (出典:MOM2017 年年次報告書)
27 傷害率(Workplace Injury Rate)
(傷害率)=(重度の障害および重度ではない傷害の数)
(従業員の数) × 100,000
事故頻度率(Accident Frequency Rate, AFR)
(事故頻度率) = (職場での事故の報告件数)
(労働時間(𝑁𝑜. 𝑜𝑓 𝑀𝑎𝑛 − ℎ𝑜𝑢𝑟𝑠 𝑊𝑜𝑟𝑘𝑒𝑑))× 100,000
事故強度率(Accident Severity Rate, ASR)
(事故強度率)=(職場での事故に費やした日数(𝑁𝑜. 𝑜𝑓 𝑀𝑎𝑛 𝐷𝑎𝑦𝑠 𝐿𝑜𝑠𝑡 𝑡𝑜 𝑊𝑜𝑟𝑘𝑝𝑙𝑎𝑐𝑒 𝐴𝑐𝑐𝑖𝑑𝑒𝑛𝑡𝑠))
(労働時間(𝑁𝑜. 𝑜𝑓 𝑀𝑎𝑛 − ℎ𝑜𝑢𝑟𝑠 𝑊𝑜𝑟𝑘𝑑))
× 100,000
職業病発生率(Occupational Disease Incidence Rate) (職業病発生率) =(職業病件数)
(従業員数) × 100,000
(出典:MOM2017 年年次報告書を参考に EnviX 作成)
中でも、事故頻度率(AFR)の算出式は、PSM の文脈におけるプロセス安全事故率(Process Safety Event Rate, PSER)の算出式と類似している。
PSER = (𝑇𝑜𝑡𝑎𝑙 𝐸𝑣𝑒𝑛𝑡𝑠 𝑇𝑜𝑡𝑎𝑙 𝐻𝑜𝑢𝑟𝑠) × 200,000 (出典:ICCA ガイダンス7) 4)安全に関する従業員の資格調査及び資格保有者数等調査 労働省(MOM)の刊行物、WSQ プログラムのトレーニングコース提供機関の情報、シ ンガポール職場安全衛生評議会(WSH Council)の情報等を確認したが、本調査範囲にお いて、資格保有者数のまとまったデータは確認されなかった。
7 ICCA “Guidance for Reporting on the ICCA Globally Harmonized Process Safety Metric" (201
28
関連資格については「③実施している労働安全や産業保安(保安防災)に関する教育、 トレーニングの状況等」の調査報告を参照のこと。
29 ②化学産業の実態調査 1)化学産業の種類、規模(工場規模)とその数及び分布状況 化学産業の種類 シンガポール統計局では、化学品および化学製品について製造施設の数の統計を整備し ている(次項)。産業の分類はシンガポール標準産業分類(SSIC)2015(Singapore Standard Industrial Classification (SSIC) 2015)に基づいており、化学品および化学製品の分類の 詳細項目は以下のようになっている。
SSIC は国際標準産業分類(International Standards Industrial Classification, ISIC) の基本的な枠組みを採用して策定されたものである。国際基準の変更を反映する方向で更 新および改訂がなされている。
図表 20 シンガポール標準産業分類―化学製品関連
コード
20 化学品および化学製品の製造
MANUFACTURE OF CHEMICALS AND CHEMICAL PRODUCTS
201 基本化学品、肥料および窒素化合物、基本形状のプラスチックおよび合成ゴム
MANUFACTURE OF BASIC CHEMICALS, FERTILISERS AND NITROGEN COMPOUNDS, PLASTICS AND SYTHETIC RUBBER IN PRIMARY FORMS
2011 基本化学品の製造
Manufacture of Basic Chemicals
20111 産業ガスおよびドライアイスの製造
Manufacture of industrial gases and dry ice
20112 基本的な産業用の酸およびアルカリの製造
Manufacture of basic industrial acids and alkalis
20113 肥料および窒素を除く基本化学品の製造
Manufacture of basic chemicals except fertilisers and nitrogen
20114 溶媒の製造
Manufacture of solvents
20119 他に分類されない基本化学品
Manufacture of basic chemicals n.e.c.
2012 肥料および窒素化合物の製造
Manufacture of Fertilisers and Nitrogen Compounds
20120 肥料および窒素化合物の製造
30
2013 石油化学製品、基本形状のプラスチックおよび合成ゴムの製造
Manufacture of Petrochemicals; Plastic and Synthetic Rubber in Primary Forms
20131 石油化学一次製品(オレフィン、芳香族、基本となる構成要素など)の製造
Manufacture of petrochemical primary products (e.g. olefins, aromatics, basic building blocks)
20132 基本構成要素(アセチル体、アクリル体、オキソ物質、Styrenirs、フェノー ル体、エチレンオキシド誘導体およびポリマーなど)から生産される誘導体お よび中間体の製造
Manufacture of derivatives and intermediates produced from basic building blocks (e.g. acetyls, acrylics, oxochemicals, styrenirs, phenolics, ethylene oxide derivatives and polymers)
20133 合成ゴムの製造
Manufacture of synthetic rubber
202 他の化学製品の製造
MANUFACTURE OF OTHER CHEMICAL PRODUCTS
2021 殺虫剤および他の農業用化学製品の製造
Manufacture of Pesticides and Other Agro-Chemical Products
20210 殺虫剤および他の農業用化学製品の製造(殺虫剤、除草剤、殺菌剤を含む)
Manufacture of Pesticides and Other Agro-Chemical Products (including insecticides, herbicides and disinfectants)
2022 塗料、ワニおよび類似コーティング、印刷用インクおよびマスチックの製造
Manufacture of Paints, Varnishes and Similar Coatings, Printing Ink and Mastics
20221 塗料の製造
Manufacture of paints
20222 ワニスおよびラッカー(エナメルを含む)の製造
Manufacture of varnishes and lacquers (including enamels)
20229 他の塗料、ワニおよび類似コーティング、マスチックの製造
Manufacture of paints, varnishes and similar coatings and mastics n.e.c.
2023 石鹸・洗剤、洗浄・研磨用調剤、芳香およびトイレ用調剤の製造
Manufacture of Soap and Detergents, Cleaning and Polishing Preparations, Perfumes and Toilet Preparations
20231 石鹸、洗剤、洗浄および他の洗浄調剤の製造
Manufacture of soap, detergents, washing and other cleaning preparations
20232 芳香剤およびフレグランスの製造
Manufacture of perfumes and fragrances
20233 化粧品および洗面用製品の製造
31 20234 ワックス、研磨および脱臭用調剤の製造
Manufacture of waxes and polishes and deodorising preparations
2024 添加剤の製造
Manufacture of Additives
20241 食品用化学品および添加物(香料、保存料および着色剤など)の製造
Manufacture of food chemicals and additives (e.g. flavours, preservatives and colourings)
20242 鉱物油(潤滑剤および燃料添加剤など)に関する添加剤の製造
Manufacture of additives for mineral oil (e.g. lubricant and fuel additives)
20249 その他添加剤の製造
Manufacture of additives n.e.c.
2029 その他の化学製品の製造
Manufacture of Other Chemical Products n.e.c.
20291 エポキシ成型化合物およびフェノール樹脂成形化合物の製造
Manufacture of epoxy moulding compounds and phenolic moulding compounds
20292 超高純度電気電子用化学品、材料およびラミネートの製造
Manufacture of ultrapure electronic chemicals, materials and laminates
20293 水処理、廃棄物処理および油田化学品の製造
Manufacture of water treatment, waste treatment and oilfield chemicals
20294 インク、染料、顔料およびカーボンブラックの製造
Manufacture of inks, dyestuffs, pigments and carbon black
20295 写真用フィルム、用紙、プレートおよび化学品の製造
Manufacture of photographic film, paper, plate and chemicals
20296 接着剤および封止剤の製造
Manufacture of adhesives and sealants
20297 触媒および触媒再生の製造
Manufacture of catalysts and catalyst regeneration
20298 バイオ燃料の製造
Manufacture of biofuels
20299 他の化学製品の製造(ゼラチンおよび誘導体、laundry blue、爆発物、processed salts、産業用のり、香料、線香、camphor products)
Manufacture of other chemical products n.e.c. (e.g. gelatin and derivatives, laundry blue, explosives, processed salts, industrial starch, incense and joss sticks, camphor products)
203 化学繊維の製造
MANUFACTURE OF MAN-MADE FIBRES
32
Manufacture of Man-Made Fibres
20300 ガラスを除く化学繊維の製造
Manufacture of man-made fibres except glass
21 薬剤および生物学的製剤の製造 (以下、省略)
(出典:シンガポール標準産業分類8)
化学産業の規模(工場規模)とその数
製造施設の数の統計(Manufacturing Establishments)
図表 21 化学品および化学製品(Chemicals & Chemical Products)製造施設数の推移
1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 142 151 152 151 153 164 166 175 188 188 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 265 279 272 278 298 284 273 264 282 279 (出典:シンガポール統計局9) 備考:2002 年以降のデータは、従業員 10 人未満の施設を含んでいる。2002 年より前のデ ータは従業員10 人以上の施設の数を表している。産業の分類は、シンガポール標準産業分 類(SSIC)2015 に基づいている。 シンガポール標準産業分類(SSIC) https://www.singstat.gov.sg/standards/standards-and-classifications/ssic 図表 22 化学品および化学製品の製造施設の推移 (出典:シンガポール統計局) 8 https://www.singstat.gov.sg/standards/standards-and-classifications/ssic 9 https://www.singstat.gov.sg/find-data/search-by-theme?type=all
33 化学産業の分布状況
本調査範囲において、調査対象とした政府が公表している資料には、化学産業の分布に 関して整理された情報は確認されていない。以下には、調査過程で確認されたその他関連 情報を記すものとする。
Singapore Factory Locator Interactive Map(DPS)
DPS 社が公表している下記の図では、主に薬剤関係の化学品関連施設が整理されている が、分布を俯瞰すると同国の南西部および南部に分布の偏りが見られる。
図表 23 Singapore Factory Locator Interactive Map
(出典:DPS 社10)
シンガポール化学産業協議会(Singapore Chemical Industry Council)
同協議会の会員企業の所在地を俯瞰すると、同国の南西部および南部、特に沿岸エリア への分布の偏りが見られる。 会員企業の一覧はこちらから。 https://scic.sg/index.php/join-us/membership-directory なお、シンガポール経済開発庁でも製造業に関連する各種データを公表しており、産業 クラスター別の月毎の産業生産指標をまとめている。以下に化学産業についてのデータを 10 http://dpseng.com.sg/pharmaceutical-industry/singapore-pharmaceutical-factory-locator/
34 引用し、整理した表を記す。
図表 24 化学産業の生産に関する月別指標(2015 年を 100 とした値)
時期 Chemicals
Total Petroleum Petro-chemicals Specialties Others 2016 Nov 101.1 102.7 96.3 97.1 114.3 Dec 97.1 114.8 98.9 99.9 89.4 2017 Jan 95.9 120.0 99.1 101.8 81.3 Feb 95.2 100.7 89.3 97.4 100.0 Mar 104.1 108.9 93.6 114.8 101.4 Apr 98.5 104.4 82.0 106.8 107.8 May 104.9 107.3 97.1 113.0 102.6 Jun 109.9 108.2 97.3 110.5 126.8 Jul 106.6 117.5 99.5 107.2 115.4 Aug 104.9 114.4 104.6 100.0 113.2 Sep 110.0 116.1 107.1 97.9 134.1 Oct 112.3 122.8 112.3 107.8 119.4 Nov 108.7 120.1 112.7 101.0 115.7 Dec 110.9 121.6 118.2 101.0 116.6 2018 Jan 109.4 121.2 113.4 112.9 97.8 Feb 102.7 108.5 104.5 104.0 98.1 Mar 112.9 115.9 112.9 117.2 105.8 Apr 110.8 112.2 104.5 110.9 119.6 May 114.0 117.6 116.3 111.5 114.6 Jun 111.8 113.8 111.3 107.6 119.2 Jul 114.7 113.3 107.4 109.7 133.3 Aug 111.0 109.0 102.2 114.3 118.1 Sep 102.3 97.9 92.2 105.3 111.5 Oct 111.1 110.9 95.9 108.4 136.8 Nov* 112.5 113.7 100.4 107.7 137.3 (出典:シンガポール経済開発庁11) 11 https://www.edb.gov.sg/en/news-and-resources/resources.html
35 2)化学品に関する倉庫数及び輸送状況 本調査範囲において、公開情報から化学品に関する倉庫数に関する情報は確認されてい ない。また、化学品の輸送状況についても直接的な統計データは確認されていない。 参考までにシンガポールで事業を展開している化学品運輸・倉庫業者の例を以下に記載 する。 図表 25 化学品の運輸・倉庫業者例 種別 事業者名 輸送能力/倉庫規模 日系 企業 山九
Sankyu (Singapore) Pte. Ltd. 倉庫:9 万 1001m2 日陸
NRS LOGISTICS PTE.
倉庫:4147m2
輸送:自社トラック(10 トン)1 両ほか 日本石油輸送
Japan Oil Transportation Co., Ltd. ISO タンクコンテナ 25KL×1050 基 日本通運
Nippon Express (South Asia & Oceanina) Pte. Ltd.ほか
倉庫:95,189m2、1,943m2 輸送:自動車108 台、荷役車両 73 台 三菱化学物流
MCL Logistics Asia Pte Ltd. 倉庫:2 箇所
36 ③実施している労働安全や産業保安(保安防災)に関する教育、トレーニングの状況等 労働省所轄の労働安全衛生局では、継続的専門能力開発(CPD)プログラムと題する教 育・トレーニングコースに関わる要件を規定している。同局が公表しているガイドライン にしたがって承認される活動は、公式な学習コース、レクチャー、会議、ワークショップ およびセミナー、組織内トレーニングとなっている。これらの規定のもと、次項のWSQ プ ログラムが整備されている。 ガイドライン:
Guidelines for the administration of safety development units (SDU) applications http://www.siso.org.sg/images/CPDApplicationGuidelinesForm2016.pdf
シンガポール労働省/Ministry of Manpower (MOM)
|_労働安全衛生局/Occupational Safety and Health Division |_OSH 専門家部/OSH specialist Department
労働安全衛生トレーニング(Workplace safety and health training)
https://www.mom.gov.sg/workplace-safety-and-health/workplace-safety-and-health-trai ning
|_継続的専門能力開発(CPD)プログラム(Continuing Professional Development Program)
https://www.mom.gov.sg/workplace-safety-and-health/workplace-safety-and-health-trai ning/apply-cpd-points
上記の枠組みのもと、シンガポール教育省の所轄組織である Skills Future Singapore (SSG)では、労働衛生(Occupational Hygiene)分野に Workforce Skills Qualification、 通称WSQ プログラムと呼ばれる政府助成プログラムを適用している。
シンガポール教育省/Ministry of Education (MOE) |_SkillsFuture Singapore (SSG) WSQ プログラム 国が主導するプログラムであり、従業員の訓練、能力開発、専門スキルの認証などを行 うものである。継続的な教育・訓練(CET)制度により、WSQ は SSG の目標(従業員の 能力開発、専門性向上、それらの認証、ひいてはその先にある生産性向上、競争力の向上、 経済発展等)に寄与する取組みとなっている。その主な特徴は以下の通り。
37 関連性:職種および業務に特有の技術や能力に合わせてデザインされた制度設計。 アクセスの容易さ:エントリーするために学歴や職歴、経歴などを必要とせず、 小さな単位のトレーニングモジュールを可能としているため、各人のペースで学 べる。 前進性:各セクターに関する枠組み(Skills Framework)に沿った能力および資 格の習得経路を利用可能。 当局:修了書および資格は、SSG などにより保証され、評価される資格となる。 枠組み(Skills Framework)が設けられているセクター一覧はこちらのページ下部より 確認が可能となっている。 http://www.ssg.gov.sg/wsq.html?_ga=2.123821706.187374538.1548745716-2115361867. 1548745716 この中で本業務に関連が大きいセクターとして「労働衛生(Occupational Hygiene)」が 挙げられる。当該セクターのWSQ 枠組みにおけるトレーニングには、例えば以下の内容が 含まれる。 図表 26 労働衛生セクターの WSQ プログラム例 能力カテゴリー 能力単位 全般 基本的な職場健康のための取組みの解釈 物理有害性 騒音および振動のモニター 騒音および振動の管理 化学的・生物学的有害性 有害物質のばく露測定およびリスク評価 有害物質の健康影響評価 有害物質の管理 人的ファクター 人間工学関連有害性の評価 非専門スキル 専門レポートの構成 (出典:労働衛生セクターのWSQ に関するパンフレット12) 以上の例はコア単位と呼ばれ、トレーニングの必修要素となっている。このほか選択可 能な単位からいくつかを修めなければならないなど、トレーニングの修了のための要件が 別途定められている。 トレーニングはSSG に認定を受けた機関が提供しているため、それらの機関に申請する 必要がある。労働衛生分野の認定機関(通称CET Centre)は以下の機関となっている。
NTUC LearningHub Pte Ltd.
12 http://www.ssg.gov.sg/content/dam/ssg-wsg/wsq/ssg/documents/OccupationalHygiene/WDA%20O
38 https://www.ntuclearninghub.com/ Ngee Ann Polytechnic
https://www.np.edu.sg/Pages/default.aspx Singapore Polytechnic https://www.sp.edu.sg/ トレーニング受講のための資格要件、修了証(WSQ Specialist Diploma)を受領するた めの要件、コース所要時間、評価、受講内容(コア単位および選択単位)、申請方法などの 詳細はこちらを参照のこと。他方、価格などの情報は上記各認定機関のウェブサイトを参 照する必要がある。 SkillsFuture SG http://www.ssg.gov.sg/wsq/Industry-and-Occupational-Skills/Occupational-Hygiene-Prof essionals-WSQ.html
Brochure for the Occupational Hygiene Professionals WSQ Framework
http://www.ssg.gov.sg/content/dam/ssg-wsg/wsq/ssg/documents/OccupationalHygiene/W DA%20OH%20brochure%20FA.pdf
39
2-4. タイ
①法体系(労働安全及び産業保安(保安防災)に関わる法令等に関する調査) 1)法体系調査(各国の労働安全及び産業保安に関する行政組織とその担当内容) 【法体系】 労働安全衛生に関する法律として、タイでは1998 年労働保護法および 2011 年労働安全 衛生環境法が制定されている。化学物質管理について規制しているのは後者であり、2011 年以降、労働安全衛生環境法の下で化学物質関連の下位法令の整備が進んでいる。 タイでは、1932 年に同国として初めての労働および社会福祉に関する政策が発表された。 これは、同国の政治形態が絶対君主制から立法君主制に転換を迎えた年であった。翌1933 年、雇用法が公布され、法の執行のために雇用サービスに関する部署が立ち上げられた。 同部署はさらに翌1934 年には労働課と名称が変更、経済省商務部の下部組織として組織改 編された。 最近では、1998 年に労働保護法が制定されている。同法には安全衛生に関する規定が盛 り込まれており、同法のもとで安全衛生に関連する省令およびその他の下位法令も整備さ れてきた。しかし、労働安全衛生に関する法律を整備して管理を強化することの重要性が 認識され、2011 年に労働安全衛生環境法(OSHEA)が制定された。行政府、雇用者およ び被雇用者の責任を定める同法は比較的新しい法律であり、現在もその下位法令の整備が 続けられている。また、労働保護法の下で2011 年以前に制定された安全衛生関連法令は引 き続き運用されているが、順次、OSHEA に基づくものとして改められる予定となっている。 化学物質管理について、2013 年に、OSHEA の下位法令として有害化学物質に関連する 労働環境の監督、管理、安全、労働衛生基準について定める省令が公布された。この省令 が公布された背景は、1972 年に制定された革命委員会告示第 103 号にまで遡ることができ る。告示第 103 号は、内務省に対して被雇用者の労働安全衛生について定める権限を与え ており、その後、“内務省告示:仏歴2534 年(1991 年)有害化学物質に関する作業におけ る安全”が公布されるに至った。1993 年に労働省が設立されると労働省が労働安全衛生問 題を主導する体制となり、1998 年には労働安全衛生に関する規定が盛り込まれた労働保護 法が制定された。しかしながら労働安全衛生に特化した法律を新たに制定し、法律レベル で労働安全衛生問題を管理することの重要性が認識されるに至り、2011 年、労働安全衛生 環境法が制定された。現在、労働省は2013 年に定められた労働省令を実施するための下位 法令の整備を進めており、すでに一部は公布されている。40 同法は労働場所における安全と健康に関する全般的な規定を設けるものであり、詳細な 要求事項については、別途下位法令にて規定されている。以下に同法およびその主な下位 法令を記す。 法律 労働安全衛生環境法 http://www.ratchakitcha.soc.go.th/DATA/PDF/2554/A/004/5.PDF 労働省令 労働省令:仏歴 2549 年 (2006 年)労働安全衛生及び作業環境の運営及び管理に関する基 準 http://www.ratchakitcha.soc.go.th/DATA/PDF/2549/00191080.PDF 労働省令:仏暦2556 年(2013 年)有害化学物質に関連する労働環境の監督、管理、安全、 労働衛生基準について http://www.ratchakitcha.soc.go.th/DATA/PDF/2556/A/113/9.PDF 労働省令:仏暦 2555 年(2012 年)火災予防・抑止に関する労働安全・衛生・環境面の管 理・処置・運用基準の規定 http://www.ratchakitcha.soc.go.th/DATA/PDF/2556/A/002/24.PDF 労働省告示 労働省告示:仏暦2552 年(2009 年)雇用者に被雇用者の健康診断実施を義務付ける有害 化学物質について http://www.ratchakitcha.soc.go.th/DATA/PDF/2552/E/050/37.PDF 労働保護福祉局告示 労働保護福祉局告示:安全管理者の届出および疾病、死傷事案の報告に係る基準および手 続き http://www.ratchakitcha.soc.go.th/DATA/PDF/2549/D/116/54.PDF
41 労働保護福祉局告示:社会保障局への労働事故および労働疾病の通知の電子媒体手段によ る書式及び方法 http://www.ratchakitcha.soc.go.th/DATA/PDF/2559/E/224/12.PDF 労働保護福祉局告示:仏暦2549 年(2006 年)安全管理者に対する訓練の基準及び方法 http://www.ratchakitcha.soc.go.th/DATA/PDF/2549/D/111/11.PDF 労働保護福祉局告示:経営者、監督者及び被雇用者に対する労働安全・衛生・環境面の訓 練の基準、方法及び条件 http://www.ratchakitcha.soc.go.th/DATA/PDF/2555/E/074/31.PDF 労働保護福祉局告示:有害化学物質リスト http://www.ratchakitcha.soc.go.th/DATA/PDF/2556/E/185/41.PDF 労働保護福祉局告示:有害化学物質リストおよび有害化学物質の安全性データの詳細 http://www.ratchakitcha.soc.go.th/DATA/PDF/2556/E/185/42.PDF 【労働安全及び産業保安に関する行政組織とその担当内容】 労働安全及び産業保安に関する主な行政組織は以下の通りとなっている。労働省の労働 保護福祉局が主要な役割を担っている。 労働省 |_労働保護福祉局 |_労働安全衛生課 タイ労働安全衛生環境推進研究所(公的機関) 労働安全衛生促進協会
労働省/Ministry of Labor (MoL)
労働省は、労働に係る事項を管轄するために 1993 年に設立された中央政府機関である。 社会および経済の発展に伴い、内務省労働局(当時)は、その活動を強化拡大させてきて いた。国内面および国際面において機能拡大に向けたニーズが高まってきたことを受けて、 タイ政府は1982 年から労働部を省に格上げすることの検討を開始した。タイは 1919 年の 国際労働機関(ILO)設立時からの加盟国であり、あわせて ILO アジア太平洋地域本部の ホスト国となったことなどの事情も考慮され、1992 年にタイ政府は労働社会福祉省の設置
42 を決めた。2002 年、社会福祉の担当部門は切り離され、より労働問題に特化する形で労働 省と改称された。 労働省組織図は以下のURL より確認が可能である。 http://www.mol.go.th/anonymouse/Structural_units このうち、労働安全および産業保安に関連が大きいと思われる部局を以下に取り上げ、 概説を設ける。 本調査に関連が大きい労働省内の組織
労働保護福祉局/Department of Labour Protection and Welfare (DLPW)
労働者の保護や労働問題を担当する局である。労働安全を推進するとともに、国際 レベルの労働管理システム構築を目指して政策立案や関連法令の執行、関連情報デー タベースの整備、労働者の意識啓発活動等を行っている。この労働保護福祉局のなか に、後述する「労働安全衛生課」が含まれる。 DLPW の組織図は以下の URL より確認が可能である。 https://www.labour.go.th/th/index.php?option=com_wrapper&view=wrapper&Itemi d=102
労働安全衛生課/Occupational Safety and Health Division (OSHD)
本課の役割は、大きく分けて①労働安全に関する法令の運用、②労働安全の徹底の ための指導・教育、情報展開、③安全管理者の登録・評価の 3 点である。本部の人員 体制は100 名超、また地方のオフィスにも人員を配置している。 OSHD の組織図は以下の URL より確認が可能である。 http://www.oshthai.org/index.php?option=com_content&view=article&id=11&Itemi d=182 関連組織 タイ労働安全衛生環境推進研究所(公的機関) 労働安全衛生環境法に基づき2015 年 5 月に設立された、労働安全衛生問題の研究機 関。労働省が監督する公的機関であるが、まだ設立まもない準備段階であり、完全に 機能するまでにはあと数年がかかるとみられている。 労働安全衛生環境促進協会 1986 年に、当時の労働局によって設立された協会。当初、国家安全週間の取りまと め役として設立されたが、現在では各種トレーニングやコンサルティング、作業環境
43 測定等のサービスを提供している。なお、本協会はDLPW と同じ場所に所在している。 2)労働安全衛生規制の今後の予定の調査 労働省労働保護福祉局労働安全衛生課にヒアリングしたところによると、現在は全く新 しい法令を制定して新制度を構築するより、既存の法令を改正する形で既存のシステムを よりよい方向にもっていく方向で、政策策定に注力しているとのことである。 3)事故報告の規則及び実際の事故報告の実施状況調査 「労働安全衛生環境法」第 34 条は、「火災、爆発、化学物質漏洩、またはその他の重大 な事故により事業所が被害を受けた、もしくは生産を中止しなければならなくなった、ま たは事業所内の者が危険もしくは被害を受けた場合、使用者は電話、ファクシミリ、また はその他の方法で直ちに安全検査官に通知し、事故発生日から 7 日以内に書面にて原因、 解決策及び再発防止方法について報告すること」と定めている。 労働省が 2018 年に発行した労働災害に関する報告書より、統計情報を以下に紹介する。 本統計によると、2017 年に発生した事故の件数は 8 万 6278 件であった。2006 年からの推 移をみると、事故発生率は減少傾向にあることがわかる。 図表 27 2006~2017 年におけるタイの事故統計
47 (13) 上記(1)~(12)までの業種の支援 (14) その他労働省が告示にて定める事業 安全管理者には以下の 5 レベルがあり、資格要件や職責が異なる。必要な安全管理者の レベルと人数は、事業者の業種や規模によって異なる。なお、カッコ内の数値は、タイ国 内の有資格者数を示す(2018 年 5 月時点)。 主任級の安全管理者(34 万 6679 名) 技術級の安全管理者(3672 名) 上級技術級の安全管理者(864 名) 専門安全管理者(1 万 822 名) 管理級の安全管理者(12 万 181 名) 安全管理者に加えて、50 名以上の従業員を擁する事業所は、雇用者や被雇用者の代表者 から構成される労働安全衛生環境委員会を設立しなければならない。また、上述の14 事業 のうちの(1)の事業所で 2 名以上の労働者を有する使用者、および(2)~(5)に該当する事業者 で200 名以上の労働者を有する事業所については、以下の要求が課される。 使用者は、代表直轄の安全部門(Safety Department)を設置しなければならない。 使用者は、安全部門の会議録を事業所内に 2 年か以上保管し、労働調査官の調査 に供しなければならない。
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※タイの工場法では、工場を以下のように3 分類するよう定めている。 第1 種指定工場:操業の要望があれば、直ちに操業開始できる工場 第2 種指定工場:操業前に届出が必要な工場