Title
緑豆もやしの調理によるビタミンCの損失
Author(s)
川村, 信一郎; 翁長, 君代; 新垣, 博子; 外間, ゆき; 尚, 弘子;
友利, 知子
Citation
琉球大学農家政工学部学術報告 = The science bulletin of
the Division of Agriculture, Home Economics & Engineering,
University of the Ryukyus(9): 322-326
Issue Date
1962-12-01
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12000/23152
川村信一郎*翁長君代**新垣博子** 外間ゆき**尚弘子**友利知子** ShinichiroKAwAMuRA,KimiyoONAGA,HirokoARAKAKI, YukiHoKAMA,HirokoSHoandTomokoToMoRI: LossofVitaminCinMungBeanSproutsbyCooking. もやしの調理によるビタミンC(V、C)損失については,多数の報告がある4兆,)。沖縄において,夏ま たは台風期の野菜不足の時,VC給源としての緑豆もやしは栄養上重要であるので,調理による損失が いかばかりか,検討してみた。なお,市販緑豆もやしを用い,おいしく食べられる調理上の条件を求め たが,調理された緑豆もやしの歯ざわり,色,嗅いで判定した。今回は[ゆでる],[妙める]の調理 にとどめ,最良と判定されたものについて,VCを測定したので報告する。 実験方法 1.実験試料の調製 材料:緑豆はバンコックより輸入のもの,もやしは那覇市開南で市販のもの 器具:ステンレス製鍋(径18cm,深さ5.5cm) ステンレス製フライパン(径20cm,深さ3.5cm) 熱源:電気ヒーター(1.5kW) 調理の種類:[水からゆでる],[沸騰水でゆでる],[沸騰食塩水でゆでる],[妙める] 判定の規準:(1)歯ざわりのよい方から,1,2,3とした。 (2)色があざやかで,黒みがかったり,焦げ目のついていないものを良とした。 (3)青嗅みの有無の程度を+,-で区別した。 調理の種類別によい調理条件を求めるために,調理時間,水量,食塩量をかえて調理し,判定した結 果は第1表の通りである。なお,第1表の中から,よい結果のものを第2表にまとめ,これらのものを V、C測定試料とした。但し,第2表の調理時間で,0.5~1.0分になっているものでは,0.5分調理の ものを試料とした。 2.V.C測定方法 インドフェノール・ホルマリン法2)'0)により還元型V、Cと総VCとを定量した。第3表にはホル ーマリン処理前と処理後の値を示したが,ホルマリン処理前の値はインドフェノール法、で測定された。 V、0値は新鮮物重量に換算された値である。 実験結果ならびに考察 調理された緑豆もやし中のV、C値は第3表に示し,その残存率(ホルマリン処理法による)を第1 図に示した。 *香川大学農学部農芸化学科 **琉球大学農家政工学部家政学科
323 緑豆もやしの調理によるビタミンCの損失 第1表
雫。c苧’
嗅い|嫌
時間|水量ざ雲り|色
備考 調理の種類 (分) (倍) 材料の 10 〃 〃 〃 〃 〃 殆んど生に近い 〃 〃 000005-505 ●●●●●●一●●● 957826-807 566799-997 3.0 3.5悪〃〃良〃〃一良〃悪一良〃〃〃〃〃一良〃〃〃〃〃
る 良〃〃〃〃〃〃〃良〃〃げ〃 焦に
|’
++++11I
234-321’123456 213-213’123456 水からゆでる ゆですぎ ---■----------- ̄-, ̄ ̄■ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄与 歯ざわり劣る 6.016lijf
+|+
I 生に近い 505055-005502 ●CG●●●韓●●●●●● 256777-232646 999999-999999 00-505050’50505050 ●●』●●●●●●」●●●●●●●● 47-010101’01010101 〃〃-6〃、〃咽〃|m〃〃〃〃〃〃〃’0〃〃〃〃 沸騰水でゆでる 2 +}’
}2
}3
|Ⅲ
34’25361748 05000505 ●●●●●●●● 13362535 99999999 15263748’31245 + 0.1% + 0.3% 沸騰食塩水でゆでる + 0.5% + 0.7% ’ 生に近い 2134 1,l 升十一一一 0.5#’
妙ぬる(材得の霧蕊ド)
第2表
調理"鮒トやlhs重量|水(..)&
温度 (。C)調(菅)料|時(分)間
水からゆでる 沸騰水でゆでる 沸騰食塩水でゆでる 妙める 50 〃 〃 〃 500 〃 〃 0 92.0 92.0~95.0 92.0~95.0 550 ●●● 00221 ド 塩一塩 食う食 -1k 6 0.5~1.0 0.5~1.0 1.0~1.5 第3表調理された緑豆もやし中のVC量(m9%) ホルマリン処理前 ホルマリン処理後 試 料 酸化型 V、0IiiiiH掌’
還元型 VC V・C総 有効VC 22.22 還元型 VC VC総 有効VC!熟}'1
8.1528.14 (22:78) 1.5117.37 (8:92) 6.5817.77 (27:73) 14.5213.60 (52:48) 11.957.00 (63:37) 17.0810.89 (61:39) 10.0410.32 (49:51) 36.29 18.88 24.35 28.12 18.95馳而朋一ⅢⅢ一期町
983-83-03 1 ● ● 1-11-21 ● 生 水からゆでる(6分) 沸騰水でゆでる(0.5分) 10.20 15.49 21.32 15.45 6.2414.81 (30:70) 12.6711.68 (52:48) 10.565.09 (67:33) 24.35 15.65 24.98 17.83 生 沸騰食塩水でゆでる (0.5分,0.5%食塩)』:;i菫:i;:’
川7|…
20.36115.20 生 妙める(1分) ()値は還元型と酸化型との比 有効V、C=還元型VC+1/2酸化型V、0 第1図調理された緑豆もやしの総VCと有効V、C残存率 (%) 0102030405060708090100 試料 4 51 水からゆでる 45 19.5 65 沸騰水でゆでる 70 43 64 沸騰食塩水でゆでる 71 38 73 |妙める 66菱麗子::}
ホルマリン処理一一有効V・C325 緑豆もやしの調理によるビタミンCの損失 調理条件を検討した結果,歯ざわりは短時間調理の方がよく,添加食塩量は少ない方がよかった。嗅 いは90°C以上で調理しないと青嗅みが抜けにくく,色は温度が低いほど悪かった。 普通に[ゆでる]場合は沸騰水でゆでるが,当地ではもやしは水からゆでた方が歯ざわりがよいとい って,しばしば水からゆでているので試料にとりあげたが,第1図でわかるように,総V、Oの値から は[妙める],[沸騰水でゆでる],または[沸騰食塩水でゆでる][水からゆでる]の順に残存率が低く なっている。しかし,有効v、0値からは[沸騰食塩水でゆでる],[沸騰水でゆでる],[妙める],[水 からゆでる]の1,項になる。これは常法に従い有効V・C(還元型VC+1/2酸化型V、C)によって計算 したので,両型の割合のちがいによって生じた差である。 食塩添加でV、C残存率が高くなると考えられているが,津田,門倉,道'1)氏らは1M以上の濃度で 始めてv、c酸化酵素の活性は抑制されると報告している。本実験で行なったような低食塩濃度では, 無添加のものとvc残存率の上で著しい差がみられなかったので,やはり低濃度ではV、C残存率を 高めるということは考えられない。 市販緑豆もやしでのび過ぎた感じのするものは還元型より酸化型が多く含有されていた。 他の文献中にみられる調理されたもやしのV、0残存率は,大豆もやし7)では沸騰水中に2分間ゆで たものが50%を示し,緑豆もやし8)では同じく2分間ゆでたものが70%を示し,妙めたものでは, 2.5分間で80%の残存率を示している。その他の文献5)のでも油を使って妙める場合が残存率は高く, 本実験もほぼ同じ傾向がみられた。 ホルマリン処理によるV、C定量の実験からもやし中にもレグクトン類の存在することが推定される。 なお,郷氏8)の研究によるとグルタチオンはホルマリンに対して,V、Cと同様な態度をとるという。ま た,緑豆および緑豆もやしにも多量のグルタチオンが存在すると報告されているので,ホルマリン処理 だけでは満足な値は得られない。従ってグルタチオンの影響を除く定量:法を用いなければならない。次 回は他の調理法についても検当し,更にグルタチオンを除くに適したmodifiedindophenol-xyleneex-traction法'2)を用いて再検討する。 約 要 1.緑豆もやしを調理する場合[ゆでる],[妙める]という方法があるが,歯ざわり,色,嗅いをよ くするためにはどういう調理条件がよいかを調べた。[ゆでる]場合は水量を材料の10倍にするとよ い。[水からゆでる]場合の調理時間は6分,[沸騰水でゆでる]場合は0.5分がよかった。食塩はなる べく少ない方が歯ざわりをよくした。[妙める]場合の時間は1分がよかった。 2.第2表に示した試料について,V,Cを測定した結果,VC残存率は総V、Cについてみると[妙 める],[沸騰水または沸騰食塩水でゆでる],[水からゆでる]の順に低くなり,有効VC値について は[沸騰食塩水または沸騰水でゆでる],[妙める],[水からゆでる]の順になった。 3.緑豆もやし中にもレグクトン類が存在することが推定される。 参考文献 1)藤田秋治1955ビタミン定量法,542-558. 2)郷千枝子1950醗酵工学雑誌,28:271-277. 3)郷千枝子1950醗酵工学雑誌,28:110-116. 4)門倉芳枝,寺田和子,道喜美代1958日本女子大紀要,5. 5)金沢千賀子,児島明子,万福ツルミ,津崎和美,上山精子1959岡山栄養短大紀要,3.
6)児 玉二郎, 中川 豊 1943衛 生化 学,15:209-212.
7) Lee,F.A.,Whitcombe,J.1945 J.Am.DieteticAssoc.21:6961697.
8)松 川九 二堆,森 本喜 代,相 川治子 1958栄養学雑誌,16:31-33.
9)森本喜代 1962 栄発学雑 誌,20:15-47.
10)野村 男次,福谷 敬 三 1959 農産加 工技術研究会 誌,6:163-167.
ll)津 田は るみ, 門 倉芳 枝, 道書美代 1958栄養 と食糧,ll:90-93.
12) Weakley,F.B.,Mckinney,L.L.1958 J.Am.OilChemistS'Soc.,35:281-283.
Summary
l. Someofthemethodsofrtcnusedincooking mungbeansproutsareboilingandfrying
quicklyin ahotpan.
Inthisstudyweconductedan experimenttodeterminethebestcookingconditionsconcer
n-ingtexture,colorand触vorofmungbeansprouts. Thedesirableamountofwaterusedin
boiling mungbean SprOutSWastentimesoftheingredients. RegardingtheeLrectoftimd.in
boiling,thebestresultwasobtainedby 6minutescooking from cold waterand 1/2minute
cookinginboilngwai ter. Infrying,oneminuteofcookingshowedthebestintexture.Itwas
foundthatSmallertheamountofSaltaddedinboiling,bettertheresultsintextllre.
2. ThevitaminCcontentsofsamplesshownonthetable2weredetermined. Theaverage
retentionoftotl via taminCofthesampleswerefoundtobe,indecreasingorder,aSfollows:
fryingquicklyinahotpan ;CookinginboilingwaterwithorwithoutSaltadded;andcooking
fromcoldwater. TheavailablevitaminCcontentofthesampleswerefoundtobe,in decrea8
-1ngOrder,aSfollows:cookinginboilingwaterwithorwithoutSaltadded;fryingquicklyina
hotpan;andcookingfrom coldwater.