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肢体不自由養護学校の自立活動の指導に関する研究

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Academic year: 2021

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(1)

肢体不自由養護学校の自立活動の指導に関する研究

一脳性麻癒児に対する新しい運動・動作の指導法(上回法)の有効性についてー

障害児教育専攻 輝 尾 明 人

1 . 問 題 と 目 的

肢体不自由養護学校における自立活動の指導 の中で,脳性麻癒児童 2名に対して上回法を実 施し,運動・動作の変容を事例研究により,東僚

の評価法に工夫を加え分析・検討する。

ll.上 回 法 に つ い て

文献より, 5つの基本手技について述べ,次い で事例で使用した補助手技について述べる。

m .

研究方法

1 .対象児および対照群

1)事例 A児の概要及び訓練のねらいと課題 男子。 11歳 6か月。脳性麻療(痘直型)。重症 心身障害児。右〉左。てんかん。右股関節脱臼。左 凸側奪。下肢では各関節に拘縮がある。全身に 痘性(縮)が強い。臥位から座位への姿勢変換直 後は全身が硬くなるが, 2~3 分で徐々に緩む。物 音に敏感で,身体が震えたり,痘撃を起こすこと もある。 A児の指導は,

r

生活Jの健康観察,体

力づくりの時間で、行った。訓練課題及び技法は,

頚周りの過緊張や全身の筋緊張の軽減に効果の ある頚部(N)法及び頚部II(N II)法と,全身の筋 緊張や股関節周囲筋の緊張の軽減に効果のある 肩・骨盤

( s ‑ p )

法を使用した。

2)事例 B児の概要及び訓練のねらいと課題 男子。 8歳4か月。脳性麻癒(産直型)重症心 身障害児。右〉左。てんかん。視力障害。体幹の抗 重力伸展活動が不十分で,介助座位で頚のコントロー ル持続が困難である。下肢は,伸展時に筋緊張が 強く,屈曲することが困難である。足関節尖足で ある。仰臥位から伏臥位への寝返りはできるが,

上肢のコントロールが困難である。

B児の指導は,

r

自立活動Jの時間を使った。

指導教官 橋 本 俊 顕

訓練課題及び技法は,全身の過緊張の軽減や股 関節周囲筋の緊張の軽減に効果のある膚・骨盤

( s ‑ p )

法及び股関節や下肢の筋緊張の軽減に効 果のある骨盤帯(p'O)法を使用した。

3)対 照 群 の 概 要 産 直 型 脳 性 麻 療 児 5名(I 名アテト

γ

型)で,重症心身障害児である。年齢・発 達レベルは対象児と同程度である。

2 .

訓練者筆者(大学院生:男)である。平成

4

年 8月初日に,上団法治療講習会(多職種)にお いて,認定訓練士を取得している。

3.期 間 ・ 場 所 平 成 14年 1月から 6月まで の6か月間, 1事例ずつ行った。

4.

手続き 自立活動の指導の中で,上回法を 実施する。 1回の訓練時聞は, 20分程度とし,計 15回実施する。訓練直後,下肢関節可動域の変化 を測定する。体温・脈拍数・呼吸数は,事前に測定 し,訓練期間中は,訓練直前毎に測定する。約4週 間司訓11練を中止後,訪訓11練を再開し同様に測定する。

対照群は

児に合わせ,測定の変化及び精度を確認認、する。

5 .

分析の視点 東僚の脳性麻庫股関節周囲 筋群の

f a s t s t r e t c h  ( F )

による

s p

ms

a n g l e ( s ‑ a )

測定法に,筆者による工夫を加え,測定誤差を少 なくして使用し, 3方法それぞれにおいて, 1肢 につき 30秒間隔で2回測定し,平均値を求め,以 下の視点で分析した。

1 )対照群の測定角度の精度及び経時的変化 筆者の測定精度を確認するために,対照群の 角度変化を測定する。

2)運動・動作の変容 (1)訓練前角度と訓 練中の角度変化 (2)訓練中止時の角度の影響

について (3)対照群から見た事例児の変化

n u  

n

つ 白

(2)

3)パイタルサインの変化 事例児の体温・

脈拍数・呼吸数について,訓練前と訓練期間中の 経時的変化を比較検討する。

4)担当(任)教師の評価事例研究実施後,

各対象児の担当(任)教師に,運動・動作の変化に ついてアンケ}ト調査を実施した。

IV. 結果

1 .対照群の測定角度の精度について 経時 的に差をつけた 3種類の測定を行い,最もばら つきの多い標準偏差を角度変化の判定基準とし た。これにより, 3標準偏差以上の角度変化があ れば,有意な角度変化であると判定した。

2.事例A・B児の結果 訓練前と訓練中の 角度差を変化値とした。訓練開始後では, 3方法 いずれも角度が増加した。訓練中止 4週間後で は, 3方法いずれも角度が減少した。訓練再開後 では 3方法いずれも訓練最大角度までほぼ増 加した。

変化値と対照群による判定基準とした標準偏 差との比較では, 3方法いずれも, 3標準偏差を 大きく超えた。同様に,変化率と対照群の平均変 化率の標準偏差との比較でも 3標準偏差を大 きく超えた。また,変化値と対照群の測定差の標 準偏差との比較においても 3標準偏差を大き

く超えた。これらのことから有意な測定角度の 変化があると判定した。

ハ守イタルサインの分析では体温・脈拍数・呼吸数と も有意な変化はなかった。担当(任)教師の評価 では,学校生活場面で,緊張が軽減し表情が穏や かになり,覚醒時聞が増加した。また,姿勢変換時 の身体の硬さが変わってきた。

v .

考察

対照群による測定角度の精度は,測定環境を 統ーしても,経時的な差により,測定精度に差が 出ることが示された。また,東僚の測定法に筆者 が工夫を加えることで,測定差の少ない測定法 であることが確認された。対照群から見た事例 児の角度変化は,事例児の変化値と対照群のい くつかの標準偏差の比較から有意な角度変化が

あり,上田法の訓練効果が示唆された。訓練中止 時では,筋緊張が再度出現し,訓練前角度まで減 少することが推測できた。訓練再開時では,筋緊 張が再度軽減することから訓練回数を調節す ることで筋緊張をコントロールすることが可能である ことが推測できる。ハ守イタルサインの変化は,事例児の 平生の数値が規定範囲内であるため,体温・脈拍 数・呼吸数のいずれも訓練による有意差はなか ったが,先行研究や担当(任)教師の評価から,異 常なハ守イタルサインが改善されることや口腔機能・便 通に効果があることが推測される。

VI. 全体考察

脳性麻療児2名に,東僚のFによるシa測定法 を使って,上回法の訓練効果を検討した結果 2 事例とも有意な角度変化が見られ,上回法の有 効性が示唆された。また東僚の Fによる s‑a測 定法に,筆者が工夫を加えることで,より測定差 の少ない測定法であることが確認された。担当 (任)教師の評価では,学校生活場面で,筋緊張が 軽減し,表情が穏やかになり覚醒時間が増加し た。さらに,姿勢変換時に身体の硬さが変わって きた。これらのことから,肢体不自由養護学校の 自立活動の指導内容として,上回法を活用する 意義はあると思われる。自立活動の指導の「身 体の動きjでは,上回法のように運動・動作の指 導に有効であると思われる方法を選択・工夫し て活用することが大切であると思われる。上回 法で姿勢や運動・動作,あるいは生活リズムが改 善されれば,児童の障害に基づく種々の困難の 改善・克服のための意欲を向上させる結果につ ながっていくことが考えられる。

最後に,本研究を基に上回法を学校現場で活 用できるように環境を整えていきたい。肢体不 自由養護学校教員の専門性はまだまだ確立さ れているとはいえないが,様々な分野について 専門的な知識・技能を有する教師が協力して,学 校現場での自立活動全般にわたる力量を向上さ せていく手助けが少しでもできればと考えてい

る。

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参照

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