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中学生のよさや可能性を伸ばす生徒指導の在り方

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Academic year: 2021

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中学生のよさや可能性を伸ばす生徒指導の在り方

学 校 教 育 専 攻

教育臨床コース 石 田 匡 志

1 研究の背景と目的

生徒の人格形成全般にわたる教育的働きかけ として,戦後,アメリカのガイダンスの理論に 基づく生活指導が,文部省を中心に生徒指導と して確立された。その後,時代とともに個性伸 長,よさや可能性を伸ばすことが強調されてき た。その一方で、は,大人たちは子どもたちに対 して,責任を取らせることや耐性を育てること をおろそかにしてきたと思われる。さらに,近 年の青少年犯罪の凶悪化,不登校やいじめの問 題の深刻化,いわゆる学級崩壊といった新しい タイプの荒れなどに対して 生徒指導は早急な 対応を常に迫られ,消極的・対症療法的な後追 いの指導になりがちとなっている。

加えて筆者は,日々の教育活動の中で,生徒 たちが「どうせ」という言葉を口にすることな どから,自尊感情の低下が気になっている。

このような状況に対して ガイダンス機能の 充実が強調され,スクールカウンセラ一等の心 理に関する専門家との連携も重視されるように なった。それは ガイダンスの父性とカウンセ リングの母性を相互補完させながら,バランス のとれた生徒指導の展開をねらってすすめられ るものである。

また,生徒を理解したり指導したりしようと するとき,教師は心の利き手と言われるような 固有のものの見方や判断の仕方の影響を受ける。

このようなことから筆者は,発達段階を踏ま

指 導 教 官 聾 枝 博

えた生徒指導の実践的な方法として,よさや可 能性を伸ばすことを通して,生徒が自分自身を かけがえのない存在だと思い,自分を高めよう と行動するような生徒指導の在り方を追究する。

研究の基礎となる考え方 ( 1 )  生徒指導

ガイダンスの理念は,当該生徒の代わりに問 題を解決するのではなく,当該生徒が問題を解 決をすることを援助することである。

今日,生徒指導は,教育課程のすべての領域 .指導内容に作用する統合的な活動であるとす る機能概念に基づいており,学習指導と並ぶ学 校教育の二大機能として,生徒に対して特に意 欲の面からアブローチをする。

(2)  自己指導能力

生徒指導は,生徒が「自主的に判断,行動し 積極的に自己を生かしていく」ような,自己指 導能力を育成することを目指している。

かつて,自己指導能力は,人間観や哲学的な 面から考えられる傾向があり,実践的な研究は 十分とは言えなかった。しかし,今日では心理 学の分野で自己統制や自己制御といった用語を 使いつつ,自己指導能力に類似した内容の研究 が深められている。

(3)  発達段階・発達課題

中学生のよさや可能性を伸ばす手立てとして,

友達を中心とした他者とのかかわりの中で,一 人一人の生徒を他律から自律ヘ教え導くという

U

ρh v 

(2)

よりも,生徒自らに気付かせるような支援を基 本とし,生徒一人一人の発達段階に応じた教育 活動を展開することが重要である。

(4)  個性・よさ・可能性

個性とは、他者とのかかわりの中で,本人が 感じたり,思ったり,考えたりすることや,他 者から評価されたことのうち,主に肯定的に受 け止められる個人の特性である。その中でも,

個人内評価によってとらえられた肯定的な側面 がよさであり,それには表面的なよさから一生 をかけて見いだされる真のよさまでがある。さ らに,まだ見いだされていないものの中で、将 来よさになるかもしれないものが可能性という

ことになる。しかし,よさは本人と他者との人 間関係を通して見いだされるものであり,実態 があってないようなものと言える。

学校は,子どもに対して学力保障と成長保障 を同時に実現しなければならないが,そのうち の成長保障のーっとして,個性・よさや可能性 を伸ばすことがあると考える。

生徒への質問紙による聞査研究

中学生にとって,自分の本質的なよさを見い だすことは難しく,回答の内容は日常生活の表 面的な傾向を述べていると思われる。生徒が,

「これが自分のよさであるJとするとき,他者 から言われたことが大きく影響する。ょいとこ ろがある生徒は,自己存在感を感得しやすく,

それがやる気にもつながっていく。さらに,生 徒一人一人の指導・助言等の受け止め方は,か かわる相手との人間関係によって,肯定的にも 否定的にもその方向が大きく変化する。

このようなことに対

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て,生徒によさとは何 か,なぜ必要かを教えることと,自分のよさに ついて自ら気付かせること。そのために,個人 内評価の視点をもたせることや,お互いを認め

あえる人間関係を構築させるようにすること。

それらを通して,他者に認められたいという気 持ちを満たさせながら,自信や意欲へとつなげ させていくことや,生徒と教師の人間関係を構 築させること,が指導上重要である。

4 教師への個別面接による聞査研究

教師は,生徒のよさや可能性を伸ばすことを 教育における要諦ととらえているし,生徒のよ さを個人内評価で内面的なものの中からとらえ ようとしている。また,それを生徒に伝えたり,

伸ばしたりするための手立てとして「褒める」

を挙げ,一対ーの状態で,具体的によかった点 を,確認させることを目的としている。

教師が考えるよさや可能性を伸ばすことによ る生徒の変容は,自分に自信をもてるようにな る等の段階を経て,自己指導能力の育成や自己 実現の段階へと発展していくというものである。

5 研究のまとめと今後の標題

よさや可能性を伸ばすための方法に求められ るところは,単に褒めることではなく,生徒の 認められたいという気持ちを満たすこと。そし て,自信をもたせたり,それにつながるものに 気付かせたりすることに重点をおくこと,であ る。また,指導に際して,心の利き手(含む教育 観等)による影響を踏まえておく必要がある。

今後の課題としては,よさや可能性を伸ばし てもらえる生徒指導といった生徒の側からの視 点に置き換えての追究,併せて自分の行動の結 果に対して責任をとらせることや,共感的な人 間関係をはぐくませることの追究が必要である。

また,生徒一人一人により適切な対応をして いくためには,教師の心理学的な知識やそれに 基づくアプローチの力量の形成の面,大きくは 資質の向上,が鍵となることから,それをどの ように展開させるのかが課題である。

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参照

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