高等学校総合学科における人間形成と学校経営戦略 進路首哉の醸成と学力向上に焦点化してー
高度学校教育実践専攻 学校・学樹蚤営コース
田 上 裕 之
第 1
部 実 践 編1
課題設定今日の社会は急速に変化し,価値観の多樹じ も見られる。教育環境も変化し,受験競争の激 化,学校間格差の拡大,中途退学等の問題が見 られる。 2009年の高等学校等への進学率は 97.8%に達し,進学率の上昇に伴い多様な価値 観やニーズを持つ生徒が増加してきた。
第14期中央教育審議会答申(1991)では,新 しい特ヰ(現,総合特卜)の設置が提言された。
また高等学校教育の改革の推進に関する会 議」が設置され,第4次報告(1993)で総合学不十 の設置が提示された。総合学科は,普通教育と 専門教育を総合的に行う学科として, 1994年に 倉殿された。
本実践研究では,高等学校総合特壮研究対 象とし,以下の課題を設定した。
課題1 高等学校総合学科の特色を生かした教 育活動が,人間形成に及ぼす効果を進路意識の 蟻成と学力向上に焦点化して明らかにする。
課題2 課題1を踏まえ,高等学宅融合特ヰに おける人間形成を促すための学校経営鞠各につ いて提言寸る。
2 研究目的
総合学科の教育の特色として,生徒の将来の 職業選択を視野に入れ自己の進路への自覚を深
1
実習黄信教員
兼 松 儀 郎
実習指噂教員 久 我 直 人めさせるような学習を艶見し,そのために幅広 し、科目濁
R
,原則履修科目「産業祉会と人間」の履修,ガイダンス機能の充実,体脚力な学習 の劃見,単位制の導入等が挙げられる。
本実践研究では,このような教育の特色を備 えた高等学校総合特ヰにおける生徒の人間形成 について,進路意識の醸成と学力向上に焦点化 して,人間形成,進路意識の醸成,学力向上の 関連性について「人間としての在り方生き方J に関する教育を視野に入れながら諸国甘に究明 し,これらを促すための学校経営戦略について 提言することを目的とする。
3 先行研究
(1)総合学科の成果と課題
総合特ヰの成果としては,生徒は総合学科の 目的や「産業許主会と人間」を学ぶ意義を理解し ており,実際に学校では総合学桝の目的に応じ た教育活動が行われていること等が挙げられる。
総合学科の課題としては,今日総合学専ヰの独 自性が相対的に弱まりつつあり,進路指導・科 目選択等の指導の充実を求める生徒のニーズに 応えられていないこと等が挙げられる。
( 2 )
生徒の科目選択生徒は科目を選択するに当たって,系列を重 視して科目を溜尺しているのではなく,系列に こだわりなく自己の興味・関心に応じて科目を
i献している。特に,総合学専ヰへの進学を希望
した生徒にはそ川頃向が顕著である。
(3)
r
産業社会と人間」「産業社会と人間」の授業を受けて,科目選 択の仕方を理解し,自己の卒業後の進路につい て自覚を深めている。この授業のねらいを達成 している生徒ほど,職業に関する理解や人間と しての生き方に関する理解に深まりがみられる。
伺)進路意識の醸成
総合学科の生徒が高校卒業時にどのような進 路意識を形成しているかは,高等学校入朝寺に 有していた進路意識と関連している。高校入学 時に興味に基づく進路簡裁を有する生徒は,卒 業時まで興味を重視する。高校入朝寺に上級学 校進学をめざす生徒や進路意識があいまいな生 徒は,最糊句に興味に基づく進路首哉が形成さ れ に く 川
(5)学力
学力の要素には,
r
基礎的・基本的f
ぷ日識・技能J
r
知識・技能を活用して課題を解決する ために必要な思考力・判断力・表現力等Jr 主
体的に学習に取り組む態度」があり,新学習指 導要領ではこれらを育成することを劃見している。
特に,公民斜「倫理」では,課題探究を一層 劃見し,言語活動を充実させ,自己の生き方の 探究を促そうとしており,自己の生き方や人間 の存在価値について考えることが重要である。
( 6 )
人間形成人間形成は,他者からのはたらきかけによっ て促されるとともに,自己による自己自身への はたらきかけによっても促される。
学習との関連から,人間は自ら学習し,学習 によって自己形成しうる存在であり,学習する こと,学力が向上することと人間形成が結びつ いていると言える。
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4 研究方法
(1)高校生活意識調査の実施
高等学閥色合学科における人間形成,進路意 識¢醸成,学力向上について調査する。
‑意識調査1(平成 22 年 1~2 月)
・意識調座II(平成22年10
月)
(の「産業社会と人間」の授業への参加と意識 調査の実施
ガイダンスやインターンシッフ。の終了後に 意識調査を実施し,進路意識の醸成や人間形 成に尭付る効果を検証する。
‑進路ガイダンス(平成22年5月) -科目選択ガイダンス(宅成 22 年 5~6 月)
・インターンシップ(平成22年11月)
・インターンシッフ溌表会(平成22年12月) (め公民科「倫理』の授業実践と意識調査の実
施
授業実践を行い
r
人間としての在り方生き方」への関心や人間形成への効果,生徒の 意識の変容を検証する。
‑授業実践1(平成22年5月)
・授業実践II(平成22年10月)
5 研究のまとめ
(1)高校生活意識調査の実施
①高校生活意識調査
I
多くの生徒は,高等学校総合特ヰの教育に満 足していた。「産業社会と人間Jの授業により,
生徒は自己の進路への自覚を深めており,特に
1
年次生での学習効果が高いことが明らかにな った。生徒は,自己の進路や興味・関心に応じ て科目i劃宍をしており,総合学年ヰの教育の特色 を生かしている。また,学習の意義や必要性を理解しているが,
学習行動に移せている生徒は少ない。生徒の人
間形成に対する意識は,高いことが明らかにな った。
rz:高校生活意識調査 E
同じ生徒集団の
1年次の結果と
2年次の結果 を比較したが,大きな意識の変化は見られなか った。 2年次からは進路について考える時聞は,
「産業社会と人間
Jからホームノトーム活動の時 間へ中心が移っている。しかし. 1年次に実施 したインターンシップの学習効果は
2年次に 至っても高い水準を維持していた。
授業内容を瑚平できていると回答した生徒は 減少しており,家庭での学習習慣や考査前の勉 強も十分とは言えない。
校則を守って学校生活を過ごせたと思う生徒 同増加しており
1年次に比べ規範意識は高ま っている。
また,同じ生徒集団の
2年次の結果と
3年次 の結果を比較した。
3年次になると,学佼生活 の充実度は大幅に上昇した。仕事をしている自 己の姿を具体的に考えることができた生徒が増 えており
3年次になると進路意識はさらに醸 成されている。
3年次生の約半数は,自己の進 路を 2年次に考え始めていることが明らかにな った。
基礎的・基本的な知識が身に付いたと考える 生徒が増え,考査前の勉強をしている生徒が増 加している。
人間形成に対する意識は,あらゆる項目につ いて 2年次の時と比べて大きく高まっているこ
とが明らかとなった。
位) r 産業社会と人間』への参加と意識調査の 実施
CDi往路ガイダンス
進路ガイダンスは,職業瑚平に役立っており 自己の進路を考えるきっかけになっているが,
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まだ具併号に捉えることは難しし、
生徒は,進路ガイダンスを通して学習の意義 や必要性を理解している。
進路ガイダンスは,人
l問形成に対する意識を 高め,自己の生き方を考えるきっかけになって いる。
G 滞ヰ回選択ガイダンス
科目墾択を考えることで,自己の進路への自 覚を深め,積極力な科目献を行おうとしてい る。科目選択に際し,授業見学することは,科 目選択に対する意識を高めるのに有効である。
一方,安易な科目選択や偏った選択にならな いような揖期
3必要である。
③インターンシップ
インターンシップによる学習効果は非常に大 きく,生徒の進路意識を高めるのに有効であり,
貴重な体験になっていた。特に,自己の仕事を する姿を具体的に考えることができた生徒が増 加していた。
学ぶ意義や必要性を理解する機会になってお り,基材甘生活習慣,言葉づかい,規範意識に 対する意識も大きく高まっている。
( 3 ) r 倫理』の授業実践と意識調査の実施
「倫理」の授業は,生き方の参考になると考 えている生徒が多く. r 人間としての在り方生 き方」への関心を持っていることが明らかにな った。
生徒は人間としての在り方生き方
jにつ いて幅広く瑚草していたが、学習を積み重ねる ことにより,具 f 柏甘に他者との関わりで捉える 傾向が見られた。
「人間としての在り方生き方」を考えること
は,特に人間形成への効果が大きいことが明ら
かになった。
( 4 )
学力向上約7
害
JIo::生徒は,授業持朝の学習タイムを通 して基礎的・基本的な学力は向上したと考えて いる。また,約4割の生徒は以前と比べて学習 宮欲が高まったと考えている。一方,学習の必 要性を理解しているものの,家庭での学習習慣 が定着しているとは言い難い。学力に関する調査結果キ総合学科研究協議会 の協議において,学力と進路意識,人間形成の 相互関係が示されている。この相互作用を捉え ながら,学習意欲を高める工夫も必要である。
( 5 )
学校経営戦略への提言①進路粛哉の醸成について
総合学科は,将来の職業選択を視野に入れ,
自己の進路への自覚を深めさせる教育を行うこ とが覇見されるが,そのためには「産業社会と 人間」を出発点として他の学習と連携した3年 間を通した進路意識の醸成が重要であり,総合 学卒卜の学校経営戦略を考える上で重要な課題と なる。
②学力向上について
基礎的・基本的な知識・技能の習得や思考力・
判断力・表現力等の育成を図るとともに,学習 宮欲を喚起させるような授業内容・方法の検討,
進路意識や人間形成との相互作用が成り立つよ うな仕草Eみづくりが必要である。
③人間形成について
3年次になると人間形成に対する意識が高ま ること,インターンシップは人間形成への効果 が高いことが明らかになった。また,倫理の学
、習は
r
人間としての在り方生き方」への関心 を高め,人間形成への効果があることが明らか になった。 3年間を通した人間形成を図る車断涜 的な指導や体験活動が必要である。lV
@総合特ヰの在り方について
今後,総合判ヰの教育¢特色を生かすために は,学校の裁量性を十分に発揮し,基礎的・基 本的な学力を向上させるような学校設定科目の 設定や地域との連携の深化を図ることが必要に
なる。
また,多様な学習を確保するためには,施設
・設備の充実が必要になる。高等学校単独での 改善は望むことはできなしゅで,再編・統合を 行う際に適正規模の確保,教員数の確保,施設
.設備の充実を図ることが必要である。
何)今後の課題
第 1
に,今後研究の対象を広げていくことで ある。本実践研究は,調査対象を総合学料高校 に焦点化した。さらに,普通科高校や専門高校 においても調査を期首し,比較検討すすもば,人 間形成や学佼経営戦略について,総合特ヰの独自性がより具嗣包になるだろう。
第 2
に,耕哉員の意見を十分に反映させるこ とである。本実践研究は,生徒への取り組みを 中心とした。制哉員の生徒に対する豊かな経験 に基づくより幅広い意見や考えを取り入れるこ とによって,人間形成と学校経営戦略について より構造的に見ることができる。第 2部 省 察 編
欄最大朝涜での学びについて,その成果をま とめた。
r
教育的人間力Jr
教育実践指導力」「学校改善指導力Jの3領域から,筆者が身に 付けたことや成長したことを振り返った。特に,
学校教育を全榊甘,多角的に見る視点を養えた。
4月からは,樹齢立学院での学びを実践に役立 て,さらに砂噛を積みたい。