《資料〉
『消費者行動・流通システム・企業行動−国際比較』
−東京・霞が関/国際研究報告会議他概要−
「国際化政策研究」研究報告概要
梶原禎夫
目 次
はしがき
1.「国際化政策研究」研究報告会概要 2.研究報告会(東京・霞が関)概要
第1回研究報告会概要 第2回研究報告会概要 第3回研究報告会概要 第4回研究報告会概要 第5回研究報告会概要 第6回研究報告会概要
第7回研究報告会概要(国際会議)
第8回研究報告会概要 第9回研究報告会概要
はしがき
1974年(昭和49)年からスタートした東京・霞が関での研究報告会には,継続して,
一部上場企業本社,中央省庁,シンクタンクを中心に広範な領域からの参加をえてき
た 。
1974
年の第
l回研究報告会は,石油危機後の経済運営の政策形成に貢献したいとい う考えに基づくものであったが,回数を重ねるうちに,日頃の研究推進過程そのもの の中に東京での報告会の位置づけを行うようになり,霞が関での報告会を定常的に維 持するまでに至っている。大学における調査・研究がその成果について,ただ社会の 評価を受けるだけでなく,研究成果を通じて社会に直接貢献できる段階にまで推進す る必要があるという認識を強くもつようになったことが,その基盤となっている。最 近では各報告会後に,企業本社や中央省庁の最上層部を含む方々から,長崎の研究現 場の直接視察を受け,長崎大学の研究調査に敬意を表するというエールを送ってもら
ったり,研究についての意義深いレビューを受けたりしている。
また,これまでの海外を含む調査/研究についての報告に対し,次の各大学の研究 者が特別の関心を示し,レビューを寄せてきている。特に強い関心を寄せたところは,
University of Bradford
,
University of Washington,
Stanford University,
The Universi‑ ty of Utah,
University of Ca1ifornia,
The University of Texas at Austin,
The George Washington University,
The University of I1 l
inois at Chicago,
University of Nevada,
University of F1orida,
University of North Carolina,
The University of Kansas,
University of Oregon, University of Ok1ahoma, The Uiversity of North Caro1ina at Chape1 Hi 1 1 ,
Purdue University,
The University of Edinburgh,
O1d Dominion University,
The Ohio State Universiy,
University of Hawai,
The University of Texas,
lndiana U niversityなどで,すべてを合せると数十校にまでなっている。
1.
r 国際化政策研究」研究報告会概要
プロジェクト経緯:
1973"‑'1983(昭和
48‑58)年 消費者行動研究会(代表:梶原禎夫)
1984"‑'1985(昭和
59‑60)年 日本経済研究
l1986
(昭和
61)年一現在国際化政策研究 (
がプロジェクト予算:海外財団助成/特別配分各種研究国費/研究助成財団による研究助成
/政府交付金関連研究助成
プロジェクト刊行物:大蔵省印刷局より政府刊行物としての公刊と年次研究報告 研究報告会一覧:1.震が関第 1回研究報告会「インフレ下における消費者行動の変
化 」
1974
年1
2月1
9日,会場:東京都港区赤坂葵会館
2.
霞が関第
2回研究報告会「変化する消費者行動とマーケティン グの対応」
1981
年1
2月1
5日,会場:東京都千代田区霞が関 国立教育会館
3.霞が関第
3回研究報告会「流通システムにおけるメーカー・流
通企業関係の変化」
1984
年1
2月
3日,会場:東京都千代田区霞が関国立教育会館
4.震が関第
4回研究報告会「日本の流通・マーケティングシステ
ムと市場開放」
1990
年1
2月1
0日 ・
11日,会場:東京都千代田区霞が関 国立教 育会館
5.
霞が関第
5回研究報告会「競争メカニズム・企業行動・市場開 放 」
1991
年1
2月1
8日,会場:東京都千代田区霞が関 国立教育会館
6.第
6回研究報告会「産業開発,市場の国際化と交通・通信シス
テムの整備」
1992
年
8月2
1日,会場:ホリデイ・イン京都
CPurdueUniver‑ sity教授団参加)
7.
霞が関第
7回公開研究報告会「国際比較調査でみる消費者行動
‑流通・企業行動」
1993
年
3月2
6日,会場:東京都千代田区霞が関 国立教育会館
CUniversity of Bradfordカ 〉 ら
ProfessorPeter J Buckley, Pro‑ fessor John Sparkes, Senior Lecturer Hafiz MirzaらがGuest Speakersとして参加)8.
霞が関第
8回研究報告会「情報化の進展と消費者行動,競争過程
報 道 関
の変容とマーケティング」
1993
年
10月
29日 ・
30日,会場:東京都千代田区霞が関 国立教育 会館
9.
霞が関第
9回研究報告会「価格競争と企業・消費者間関係の革新」
1995
年
3月
27日,会場:東京都千代田区霞が関 国立教育会館
※但し,第 4 ・ 5 回,第 7 回は長崎大学公開講座「現代経営一東 京会場」に含めて実施,第
8回は長崎大学公開講座│現代経営一 東京会場」の前日に実施,同講座にも研究報告を含めている。参 加者は,食品,繊維・衣料,電気・電子機器,輸送機械,流通業,
シンクタンク等の企業本社,中央省庁(総務庁,経企庁,通産省,
中小企業庁,農水省,公取委,他)から全報告会を合せて
860余 名 。
係 : 日 本 経 済 新 聞
1973年
10月
25日夕刊 日 本 工 業 新 聞
1974年
5月
13日 日 経 流 通 新 聞
1975年
1月
30日
NHK教育テレビ
1978年
6月
29日 ・
30日 電 波 新 聞
1982年
4月
14日
日 経 流 通 新 聞
1984年
12月
10日 日 経 流 通 新 聞
1990年
8月
4日 日 経 流 通 新 聞
1993年
10月
28日
等に研究報告関連の紹介(記事・放送)がみられる。
く研究成果・報告概要〉
1
.米国において,
1930年代のスーパーマーケット,
1950年代のディスカウントハウ ス等の革新的流通企業の発達が,流通過程でメーカーの計画しない価格競争を生み,
ブランドやストア選択について自由な消費者行動を発展させ,メーカーの流通支配
を後退させた過程を分析した。一方,この間のメーカーの製品計画システムの強化
と統合的マーケティングの展開による市場への適応システムを分析し,自由な流通 関係におけるマーケテイングの展開システムを展望した。また,価格競争下で,消 費者は価格に敏感になると同時に,製品の実質差=技術差にも反応的になることを 示し,価格競争と同時に進行する製品技術開発競争について分析した。この研究と の関連で,インフレ下においても消費者が価格に敏感になることから類似の競争過 程の展開がみられるという仮説を出したが,これは
1973年秋の石油危機に続くイン フレ下の調査でこの仮説を検証することになった。これらの研究成果は,
r需要流 動化と企業行動
J(単著,ミネルヴァ書房,京都,
1974年
4月)にまとめて公表し た 。
2. 1973
年秋の石油危機以降における消費者行動の変化と企業の適応行動について,
1974
年 ,
1975年 ,
1976年 ,
1979年 ,
1981年に首都閣を中心とする調査を行い,また
1976年からは流通企業行動調査も並行して行い,自由な消費者行動への傾向と企業の対 応についての分析結果をえた。それらの分析結果については,
1974年1
2月1
9日(会 場:葵会館),
1981年
12月1
5日 ,
1984年1
2月
3日(会場:霞が関国立教育会館)の 3回にわたって東京で報告会を開いている。同報告会は,公開で行われ,全
3回を 通じて,企業本社,調査研究機関,中央省庁,都庁他首都圏の県・市等からの参加 があった。また,全調査の分析結果は『消費者行動と企業制適応(行動).](単著,
新評論,東京,
1984年
4月)にまとめて公表した。同英文版は政府刊行物
WThe Characteristics of Consumer Behaviour and Marketing in ]apan J](Printing Bureau,
Ministry of Finance,
1985)となった。
1981年
5月2
7日
'"'‑'29日には, 日本商業学会 全国大会が,統一論題「マーケティング行動と流通構造」で,長崎大学経済学部で 開催され,全国の大学から,マーケティングと流通経済についての,大学勤務を中 心とする研究者2
50余名が参集した。
3. 1985
年代に入ってからは,全国的規模での消費者行動調査や企業行動調査を行い
ながら,日本における企業のマーケティング行動や流通機構の特質を,新製品を高
頻度・反復導入する企業行動を中心に国際比較を含めて解明し,産業における価格
競争と革新過程の維持,取引についてのパワーバランスの確保,消費者利益を重視
する企業行動へのシフトに関する政策について研究してきた。新製品の継続的理入
が市場を不透明にし,国際的に高いエントリー障壁を生み,資源の浪費をもたらし,
内外価格差を生んでいるメカニズムを対欧米比較により鮮明にした。さらに,現在 の日本の企業に特徴的にみられる,市場と流通への影響力拡大を目指す新製品行動 が,資源制的,環境保全,消費者行動の自立化等の条件下で限界に到着しつつある ことを明らかにしてきた。本研究の成果の一部は『経済のグローバル化と流通機構』
(大蔵省印刷局,
1990年
4月)で公表し,その概要は大型庖行動の問題を中心にし て再編成し,
1990年
8月4日付日経流通新聞に掲載された。また海外向けに,WChanging Pattem of Consumer Behaviour and Marketing in Japan
,
1988J1を公刊
Ltこ。
4. I
消費者行動とマーケティングシステムに関する国際比較調査」を
1992‑1993年 に日本で,
1992‑1994年に米国で実施した。また,
1992年には「日本経済の国際化 に伴う企業行動調査一製品輸入調査」を実施した。
く研究成果概要〉
・欧米に比べ日本社会は移動の少ない安定した構造にあったが近年における情報化の 進展は,この日本社会を変革に導きつつある。長期継続的な社会関係が崩れ,社会 構造が流動化に向かいつつある。マーケティング・流通システムの変化もこのよう な社会構造変革の大きな流れの中にあり,自由な流通・取引関係の進展により,企 業は市場との広範な接触を実現することと併せて,情報化の進展のもとで聡明さを 高める消費者の自由な評価に耐える製品とサービスの供給を通じて,市場へ対応し,
社会的価値の高い革新に向けて努力を傾けざるをえなくなりつつある。継続的新製
品導入と流通系列化は,相互補完的にメーカーの基幹マーケティング戦略となって
きたが,ここ数年間における情報化社会の進展の下で,分析力・判断力・行動力を
強化している消費者は,この戦略に抵抗し,代って,企業と消費者の聞の交流シス
テムの形成に期待をかけるようになっている。今後は,企業一消費者間システムの
構造化が,マーケティングの基幹戦略となろう。この壮大なシステムを通じて開発
される,製品と販売力が2
1世紀の消費者要求に応えるものとなる。ここでは,企業
と消費者の聞の取引関係を革新してゆく販売システムの開発が,新製品開発システ
ムに匹敵する重要性をもつことになる。
く最近の研究報告の概要〉
成果は,
1990‑1993年の間での,第
4回,第
5回,第
7回,第
8回東京報告で発表し てきたしまた,
~The G1oba1ization of Economy,
Internationalization of Market and Changing Distribution in ]apan,
1994~ , ~消費者行動・競争メカニズムとマーケティング~ ( 1
993年政府刊行物)等も公刊している。なお,この刊行物は,季刊「普及一 政府刊行物
J,1
994年陽春,第3
2号で,政府刊行物普及協会より,重点普及の対象と されている。
く国際化政策研究経緯〉
. 1973
年1
0月『消費者行動研究会』を編成し,調査・研究活動に入る。
長崎大学学園だより
No.83 (
1
984年
1月2
0日)で紹介
. 1984
年1
0月『日本経済研究』に再編成し,調査・研究/成果報告活動に入る。
. 1986
年1
0月『国際化政策研究プロジェクト』に改編し,調査・研究/成果報告活動 に入る。
長崎大学学園だより
No. 112
( 1
991年
4月1
1日)で紹介
II.研究報告会(東京・霞が関)概要
1973
(昭和
48)年秋に石油危機が起こり,日本の経済は混乱の様相を示し,経済運営の新しい基本政策が模索されるようになったとき,私どもは政策提案の必要を感じ,
1974
年1
2月1
9日(赤坂,葵会館),
1981年1
2月1
5日(霞が関,国立教育会館),
1984年1
2月
3日(同,国立教育会館)と3回にわたり東京で研究報告会を組織した。そこでは,
「消費者行動の構造的変化と相互作用する市場・流通関係の確立」について段階的に
研究成果を報告し,レビューを受けることができた。
私どものこの最初の報告から2
0年近くも経った
1990年代に入って,海外,特に米国 からの批判を受けたことや,革新的政策形成への効果についての期待もあってようや く,自由で創造的な市場・流通関係形成への認識が一般化した。全
3回の研究会には,
自動車・家電・時計・衣料・食品などのメーカー,総合商社,百貨庖,スーパー,広 告代理屈,新聞,放送,調査研究機関,経済企画庁,総理府統計局,公正取引委員会,
通商産業省,特許庁,中小企業庁,大蔵省,農林水産省,国民生活センター,中小企 業事業団,東京都庁,神奈川県庁,埼玉県庁,横浜・千葉・浦和・川崎の各市役所な どの官庁,などから参加があった。
1985年からは,私どもは,日本経済の国際化に伴 う企業行動の問題を探求してきたが,この過程で,企業の新製品行動・製品差別化と 関連して,日本における流通システムの特性を鮮明にし,第
4回研究報告会を1
990年
12月1
0・
11日に東京・霞が関の国立教育会館で長崎大学公開講座「現代経営」の一部 として開いた。ここでの参加者は,電器機械・電子機器・輸送機械・光学精密機器・
繊維衣料・食品のメーカー,流通業,証券,金融機関,シンクタンク,経済企画庁,
公正取引委員会,通商産業省,農水省,厚生省などの各省庁からなり,広範な領域の 方々の参加をえることができた。ひきつづき,第
5回研究報告会を
1991年1
2月1
8・
19日に,前年同様,霞が関の国立教育会館で長崎大学公開講座「現代経営」の一部とし て開設し,企業,調査研究機関,中央省庁からの参加をえた。なお,文部省経費によ る霞が関での大学公開講座の開催は全国の大学でも初めてとなった。
1992年
7月には 第
6回研究報告会として,京都で米国
PurdueU niversityの教授と産業システム・企 業行動について研究会を聞き,その後
CornellUniversity,
University of Edinburgh他多数の欧米の大学の教授からレビューを受ける機会をもつことができた。さらに,
第
7回研究報告会を公開講座の中ではなく,再び独立して,
1993年
3月2
6日に,国立
教育会館で開催し,これまで同様,企業本社,中央省庁からの参加をうることができ
た。なお,ここでの報告は,企業のマーケティング行動に対する消費者の反応を構造
的に捉え,流通関連を含めての競争過程・メカニズムの変容を分析し,流動化を高め
る市場・流通関係の中での製品差別化政策や競争価格政策の評価等,今後のマーケテ
ィング戦略の方向について展望することを主な内容とした。関連して日本市場へのア
クセス改善の課題もとりあげ,英国
University of Bradfordの
ProfessorofManagerial Economics Peter J Buc
k 1
ey,
Professor of Business Economics John R Sparkes,
Senior Lecturer of International Business Hafiz Mirzaからなる
Manage‑ment Center
教授団を
GuestSpeakersに迎えることができた。
私どもは,最近では
1973年秋の石油危機直後の「研究調査を基礎に政策提案を行う」
という目的より,研究過程の一段階として関心ある方面への研究成果の公表は必須と 考え,一連の報告会の開催を継続してきた。全 9回を通じて
860余の方々の参加がえ られたことは特記すべきことと考える。なお,私どもの地元である長崎では,
1974年
「不況下の企業経営
Jのテーマで公開講座「現代経営」を開設して以来,現在までに ほぼ各年度
l回,全部で
9講座を開設し,企業関係者を中心に
1,
000余名の参加をえ ている。この講座においては,政策形成やシステム革新など企業経営現場との関連の 深い分析フレームの設定を行い,その中で、研究成果の概要報告を行ってきた。なお,
これらの講座への参加者の所属は,造船,機械,建設,情報,漁業,食品,交通・運 輸,商業など,ほとんどすべての業種にわたっている。
震が関第
1回研究報告会
(消費者行動研究会で実施)
課題:インフレ下における消費者行動の変化
報 告 者 : 梶 原 禎 夫 ( 1 名 で 実 施 )
日 時:
1974年
12月
19日 午 後
1: 00"‑' 3 : 00会 場:東京都港区赤坂葵会館
参加者:キッコーマン醤油,日清食品,明治製菓,キューピー,雪印アンデス食品,
所属機関 雪印乳業,カルピス食品工業,味の素,明治乳業,丸大食品,東レ,帝人,
東芝,日本電気,日立製作所,富士電気,目立家電,松下電器,日商岩井,
三菱商事,三井物産,大丸百貨庖,小田急百貨庖,東武ストア,西武百貨 庖,ダイエー,ジャスコ,イトーヨーカ堂,商工中金,中小企業金融公庫,
三井信託銀行,宮士銀行,協和銀行,日本百貨店協会,日本セルフサービ
ス協会,日本新聞協会,博報堂,三菱総合研究所,日本経済研究センター,
日本リサーチセンター,世論科学協会,日本経済新聞社,東京都内の大学1
0校 ,
経済企業庁,公正取引委員会,東京都庁,東京都消費者センター,中小企 業庁,中小企業振興事業団
報告概要:高度成長期を通じて,わが国の消費者の多くは,製品差別化と大量広告に よく反応し,製造業は,継続的に生産する新製品について大量需要を創造 することができた。実質所得の上昇に自信をえた消費者の価格への抵抗は 弱く,わずかの製品特徴や便宜性に刺激されて製品を買い替え,新製品が 導入される度により高い価格を受け入れることが多かった。価格への消費 者の抵抗は弱かったが,企業は独占的な高価格政策をとるより,競争価格 による再購買の促進と市場占有率の向上を目指していた。しかし,消費者 の製品の基本機能への関心は薄らぎ,企業は場合によっては耐久性や信頼 性を犠牲にしてまでも原価削減を行い,競争価格政策をとりながらもより 多くの利潤を獲得することができた。また,製造企業は製品差別化と全国 広告で最終需要を創造し,流通企業に対し販売機会の保証と引き換えにそ の行動を統制してきた。製造企業による流通企業支配は流通過程の合理化 や効率化を可能にし,価格水準の引上げを伴なっている,制御された競争 価格政策の実行と利潤の拡大を可能にしてきた。しかし企業のマーケティ ング行動に無抵抗で,大量市場を構成してきた消費者層は,石油危機後の 物価高騰の下で急速に縮小する運命にあった。かつて,新しい製品差別化 の導入と同時に行われた価格引上げには無抵抗であった消費者も,生活必 需品を含む広範な製品領域で,製品変更を伴わない価格引上げに直面し,
購買行動の再検討を始めた。消費者は実質所得の低下による消費の節約だ けでなく,自主的で慎重な購買行動をとるようになった。消費者の購買行 動の企業支配からの脱却,つまり消費者の自立化への傾向が現れ始めた。
本報告では,
1974年に実施した消費者行動についての全国調査結果に基
づいて,石油危機を契機としたインフレ昂進は,消費者の購買行動の自立
化を一挙に進め,企業のマーケティング政策に無抵抗であった消費者行動 が基本的に変わったことを明らかにした。消費者は,製品の実質的内容と 価格への反応を強めながら,製品差別化への反応を低下させ,また選択対 象とする庖舗の範囲を拡大したことを示した。
関連調査:
1974年度消費者行動調査 調査期間:
1974年
8'"'‑'9月
調査対象:東京,名古屋,大阪,仙台,福岡,北九州,長崎の主婦 回 収 数 :1 ,
093調査品目:加工食品,衣料,家庭電気製品
調査事項:価格,製品差別化,広告に対する消費者の反応,消費者の庖舗 選択行動
概 要 : 米国において,
1930年代のスーパーマーケット,
1950年代のディスカウ ントハウス等の革新的流通企業の発達が,流通過程でメーカーの計画しな い価格競争を導入し,ブランドやストアの選択について自由な消費者行動 を発展させ,メーカ→の流通支配を後退させた過程を分析した。この間の メーカーの製品計画システムの強化と,それを基軸とするマーケティング
・ミクス構成による市場への適応過程と,自立し,創造的に行動する流通
企業をネットワークするマーケティングシステムの展開に向けての企業努
力の過程とを追跡した。ここで,インフレ下でも,価格競争下でみられる
のと同様の消費者行動の変化がありうるという仮説を出していたが,石油
危機に続くインフレは,日本全土をこれを検証する一大実験市場と化した
という認識の下で,全国調査をスタートし,その分析成果をもって第 1 回
の東京霞が関研究報告会を組織した。
霞が関第
2回研究報告会
(消費者行動研究会で実施) 課 題:変化する消費者行動とマーケティングの対応
報 告 書 : 梶 原 禎 夫 ( 基 調 報 告 )
他に,都内の大学の教授
3名による関連テーマでの特別報告 日 時:
1981年
12月
15日 午 後
1: 00'"'‑' 5 : 00会 場:東京都千代田区霞が関国立教育会館
参加者:東京芝浦電気,日立製作所,三菱電機,新日本電気,三洋電機,松下電器,
所属機関 ゼネラル,日産自動車,いす父自動車,三菱自動車,東洋工業,ダイハツ
工業,ブリジストンタイヤ,オリンパス光学工業,キャノン,日本光学工 業,ミノルタ,リコー,リズム時計工業,東レ,東京スタイル,樫山,岡 本,花咲,雪印乳業,明治乳業,不二屋,味の素,キューピー,プリマハ ム,日本水産,日魯漁業,サッポロビール,三井物産,高島屋,三越,松 坂屋,大丸,西武百貨庖,ダイエー,ジャスコ,さいか屋,電通,博報堂,
三幸社,第一広告社,オリオン
sP ,インターナショナル宣伝,朝日案内,
日本経済新聞,共同通信社,日本新聞協会など。他に,東京都内の大学
10校 ,
総理府統計局,経済企画庁,大蔵省,中小企業庁,国民生活センター,東 京都庁,横浜・千葉・浦和・川崎の各市役所
関連調査:
1975年度消費者行動調査 調査期間:
1975年
8'"'‑'9月
調査対象:千葉,東京,横浜,川崎,名古屋,神戸,北九州,長崎の主婦 回 収 数 :1 ,
330調査品目:加工食品,衣料,家庭電気製品,合成洗剤
1976
年度消費者行動調査 調査期間:
1976年
8‑‑‑‑‑9月
調査対象:東京,船橋,所沢,大阪,豊中,福岡,長崎の主婦 回 収 数 :1 . 3
22調査品目:加工食品,衣料,家庭電気製品,合成洗剤
1978
年度マーケティング・流通に関するヒアリング調査 調査期間:
1978年
3‑‑‑‑‑6月
調査対象:加工食品,衣料,家庭電気製品のメーカー
36社(本社),チェー ンストア
20社(本社),消費者センター1
0(国民生活センター,東京都消費者センター,埼玉県大宮消費生活センター,京都府 消費生活相談所,京都市消費者センター,大阪府立消費生活セ ンター,大阪市消費者センター,兵庫県立神戸生活科学セン ター,福岡県消費生活センター,長崎県消費生活センター),
消費者団体 1 (東京),生活協同組合 1 (東京) 調査品目:加工食品,衣料,家庭電気製品
調査事項:流通企業からメーカーへの情報の流れ
1979
年度消費者行動調査 調査期間:
1979年
6‑‑‑‑‑8月
調査対象:東京,船橋,京都,大阪,神戸,福岡,熊本の主婦 回 収 数 :1 .
538調査品目:加工食品,衣料,家庭電気製品,合成洗剤
1981
年度消費者行動調査
調査期間:
1981年
11月
調査対象:東京,千葉の主婦
回収数:1.
117調査品目:加工食品,衣料,家庭電気製品,合成洗剤
報告概要:石油危機後急速に進行したインフレを経験した消費者は,価格と製品の実 質的内容への反応を強め,意味の少ない製品差別化や広舗差別化,大量反 復広告などへの反応を低下させている。特定のブランドや庖舗に執着する 消費者は減少し,自由なブランド選択,自由な庖舗選択への傾向がみられ る。つまり,消費者は,企業の消費者支配をめざすマーケティング行動に 抵抗する,自主的行動の展開がみられるようになった。自由なブランド選 択と自由な庖舗選択への傾向は,これまでのメーカー支配の流通経路に修 正を迫ることになる。メーカーは製品差別化と大量広告による消費者支配 が困難になり,流通支配の基盤が揺らぎ始めている。メーカーは消費者の 自由な評価に耐える技術競争と価格競争をせざるをえない条件下に追い込 まれ,販売機会の減少と小売商の不満を覚倍しない限り,小売商の品揃え や価格行動に干渉しにくい状態に置かれることになった。つまりメーカー にとり小売市場に向けて調整し,統合された,マーケティング政策の実行 は危険になり,マーケティング過程の一部を小売商の自主的行動に依存せ ざるをえない場合が生じてきている。小売商は競争ブランドの品揃えと競 争価格の採用が必須となり,市場現場に応じた創造的行動が必要になって いる。
インフレを契機とする,消費者行動の変化への企業の対応をみると,
1974
年以降の需要の停滞や減退に直面して,企業によっては製品の基本機 能の強化,過剰機能の排除,信頼性や安全性の向上,競争価格の採用等で 消費者の新しい要求に応えようとするものも現れた。しかし全般的にみて,
企業が供給している製品やその販売方法は,必ずしも自主性を回復しつつ
ある消費者の評価に耐えうるものとはいえない状態にある場合が多い。企
業の価格競争の取り組み方にも問題がある。
1974年に入ると異常な物価上
昇により耐久消費財を中心に需要は減退するが,この期間企業は減産を強
化し,価格の維持が図られた。
1974年 ,
1975年の不況下での消費者需要の
低迷期に,プライスリーダーシップの失敗などもみられたように,企業は 消費者の価格抵抗に会い,競争価格政策をとらざるをえない条件下に追い 込まれていた。しかし
1975年末から需要回復の傾向が顕著になり始める と,再び価格引上げが行われるようになった。むろん,多くの企業がその 主要製品についてコスト割れの状態にあり,製品価格の引上げをしなけれ ば,稼働率の上昇だけではコスト割れは解消できなかったかもしれない。
また,工程合理化や減量経営にも限界があったかもしれない。しかし,価 格競争への取り組みに基本的問題が残されていた。
1976年度を通じても競 争条件は厳しく,好況業種でも賃金や原材料のコスト上昇分を価格へ転嫁 することはむずかしい状況下にあり,企業は合理化や減量経営で収益の改 善を図らざるをえない条件下に置かれていた。
また, 1977~1978年に円の対ドル為替レートは急上昇し,輸出関連企業 は輸出価格を中心とする対応を迫られた。
1977年 ,
1978年を通じ全般的に 企業は現場部門の人員の削減を中心とする減量経営を行い,一方部品点数 の圧縮,組立ての出動化等も積極的に行い,製造工程の効率化を進めた。
圏内市場における厳しい需要条件と円高傾向は企業に競争価格政策の維持 を迫っていたにもかかわらず,合理化や減量経営の効果は,価格競争力の 強化というより,企業の利益率を高める効果の方が大きかった。
1975~1977年は企業が新しい製品差別化の方向を探った年でもあった。
企業はどこまでも価格競争と技術競争を進めることができない以上,製品 差別化は価格競争と技術競争への歯止めとして企業存続のため必要な政策 であり,一方生活に個性,うるおい,変化を求める消費者にとっても必要 なものである。さらに,差別化競争を通じて技術競争が誘発される場合も 多い。しかし,日本の企業は,製品差別化に期待をかけ過ぎている。
消費者の自由な庖舗選択への傾向も定着しつつあるにもかからわず,小 売商の庖舗差別化政策はこの事実が必ずしも考慮されているようにはみえ ない。消費停滞の期間を通じて,庖舗の拡張,改装,新設が続いていたが,
庖舗の差別化で,特別豪華な庖舗の場合ほどではなくても,消費者の反応
が十分考慮されているとはいえず,差別化投資のかなりの部分が所期の効 果をあげていないと思われる。買い物を楽しくする条件を整備することは 消費者の要求に応ずることでもあり,単純に資源の浪費ときめつけること もできないが,消費者が反発する差別化はそれを行う小売商にとっても浪 費でしかない。特別豪華な庖舗の場合に限らず,消費者操縦を目指す庖舗 の差別化のほとんどはその効果を十分発揮できなくなっている。また,消 費者により評価される庖舗差別化でも,競争ブランドの品揃え,競争価格 の採用,情報提供,苦情処理など消費者に実質的利益を与える活動が強化 されない限り,顧客吸引の効果を発揮することはできなくなりつつある。
消費者の自由なブランド選択,自由な庖舗選択への傾向は,メーカーに 流通系列政策の再検討を迫っている。メーカーの制限的流通経路政策その ものがメーカーの販売機会を制限することが多くなったことが,その基本 的背景であるが,さらに,メーカーによる系列小売商の競争ブランド品揃 えの規制や再販売価格等系列小売商の市場行動の規制も小売商の顧客吸引 力の低下を通じてメーカーにとっても不利になりつつある。
本報告では,
1974年 ,
1975年 ,
1976年 ,
1979年 ,
1981年の全
5回にわた る消費者行動調査,及び1
978年の企業行動調査等に基づいて,石油危機の インフレを経験した消費者は,価格と製品内容への反応を強め,過剰な製 品差別化と情報量の少ない大量広告への反応を低下させていることを改め て確認するとともに,メーカーはマーケティングについて小売商の創造的 市場行動への依存度を高め,メーカーによる流通支配が後退し,小売商の 幅広い自由行動が容認される流通システムに変化する条件が整いつつある
ことについて報告した。
霞が関第
3回研究報告会
「日本経済研究」として実施 課 題:流通システムにおけるメーカー・流通企業関係の変化
報 告 者 : 梶 原 禎 夫 ( 基 本 報 告 )
他に,都内の大学の教授 2 名,九州地区の大学教授による関連テーマでの 報告
日 時:
1984年
12月
3日 午 後
1: 20'"'‑' 4 : 50会 場:東京都千代田区霞が関国立教育会館
参加者:トヨタ・マツダ・日産・いすど・スズキの各自動車,東芝,日立製作所,
所属機関 三菱電機,日本電気ホームエレクトロニクス,ゼネラル,キャノン,東レ,
内外編物,東京スタイル,樫山,山崎製パン,プリマハム,大洋漁業,オ ルンパス光学,キューピー,丸大食品,キリンビール,アサヒビール,イ トーヨーカ堂,西武百貨庖,阪急百貨庖,東急ストア,日本経済新聞,共 同通信社,富士経済,日本リサーチセンター,ビデオリサーチ,国際アピー ル,オリオン
Sp,朝日案内,第一広告社,
AS 1マーケットリサーチ,
日本コンサルタントグループ,都内の大学
8校 ,
通商産業省,中小企業庁,経済企画庁,農林水産省,国民生活センター,
中小企業事業団,中小企業大学校,東京都庁,東京都商工指導所,神奈川 県川崎,横浜の各市役所,県政総合センター,神奈川商工指導所
関連調査:
1984年度「メーカーと流通企業の関係に関する全国調査」
調査期間:
1984年
7月
'"'‑'8月 ,
1985年
1月
'"'‑'3月
調査対象:化粧品,家電製品,自動車の各販売庖(首都圏を含む全国) 回 収 数 : 化 粧 品 庖
81,衣料品庖
70,家電製品販売庖
140(いずれも大型
広を含まない),自動車販売庖
82報告概要:
1973年秋の石油危機を契機とする消費者行動変化の影響は,流通過程にお
けるメーカーを中核とする支配構造を基本的に変更するまでには至らなか った。自主的消費者行動の発展は,流通企業の創造的市場行動の機会を拡 大するものでもあったが,流通業のこの新しい市場機会への適応は遅れた。
石油危機に続くインフレの収束,景気回復,所得上昇による消費支出拡大 のもとで消費者行動は自由な行動の延長線上で個性化,多様化,高級化す るが,主要メーカーは研究開発の強化,多様な製品機能の開発,製造と物 流の効率化,競争価格政策の実施などを推進し,流通企業の市場対応を支 援しながら新しい消費者行動に適応し,メーカー中心の流通機構を新しい 次元で維持しつづけることとなった。
本報告は,
1974年から
1981年に至る全
6回の消費者行動調査結果を総括 するものであり,また,
1984年に実施した,メーカーと流通企業の関係に 関する全国調査に基づく分析である。最近の消費者行動は,メーカーによ る流通支配の後退を追っているが,しかし,寡占産業ではメーカーの流通 過程への影響力が強く,価格競争が小売商の犠牲のもとで行われている傾 向がみられ,小売レベルでの価格競争がメーカーによりコントロールされ ている場合がある。主要消費財のメーカーは、消費者抵抗にもかかわらず,
消費者の新しい要求にも応じながら新製品の継続的な市場導入を基幹戦略 に,流通業の創造的市場行動の機会を極小化し,流通のリーダーシップを 維持しつづけることに成功している。
霞が関第
4回研究報告会(国際化政策研究)
第 1 回長崎大学現代経営公開講座ー東京会場一
本報告は,
r長崎大学公開講座現代経営一東京会場一第 1回
Jとして実施した。
課 題:日本の流通・マーケティングシステムと市場開放 報 告 者 : 梶 原 禎 夫 ( 基 調 報 告 )
他に,都内の大学の教授 l名による関連テーマでの報告
日 時 :
1990年
12月
10日 ,
11日
午前
10: OO~午後 8 : 00(公開講座としての実施のため,後半の時間には 学内の教授による報告が含まれている)
1991
年
1月
25日 午 後
6: OO~午後 8 : 00会 場:東京都千代田区霞が関国立教育会館
参加者:日本電気,三信電気, トキメック,レック,ダイハツ工業,キャノン,サ 所属機関 ッポロビール,森永乳業,日本水産,ニチレイ,ニチロ,中村屋,オンワー
ド樫山,西友,安田信託銀行,水戸証券,日本長期信用銀行,住友生命総 合研究所,企業活力研究所,日本経済研究所,平和経済計画会議,賛光宝 飾工業,
通商産業省,経済企画庁,公正取引委員会,厚生省
関連調査:
1985年「日本経済の国際化に伴う企業行動調査
J調査期間:
1985年 7~8 月調査対象:一部上場企業本社 回 収 数 :
1251987
年「メーカーと流通企業の関係に関する全国調査」
調査期間:
1988年 7~8 月調査対象:化粧品,衣料,家電製品,自動車の販売庖
回収数:化粧品販売庖
37,衣料品販売庖
73,家庭電気製品販売庖
176( い ずれも大型庖を含まない)自動車販売庖
101( 1
985,
1987年実 施分を併せると回収数は約この倍になる。合計回収数でみても 結果に大差はない。ここでの回収数は
1988年度のものである)
報告概要:日本と比較して,欧米ではメーカーと流通企業の関係が自由で,価格競争
維持の条件が整っており,価格競争の過程で過剰な製品差別化が進むこと
なく,新技術に基づく製品開発が進展するのに対し,日本では,企業は新
しい製品差別化を継続的に導入し,この差別化競争が牽引する,技術競争 が展開され,製品開発がより強力に推進される。消費者は価格よりも,差 別化に反応し,製品と流通経路における高度差別化が進行する。高度に差 別化されたマーケティングの展開は市場を不透明にし,製品差別化の開発 により創出された技術差と共にエントリーを困難にする。また,日本市場 と欧米市場の間での価格差を生む市場・流通機構を形成することにもなっ f
こ。本報告では,日本市場における競争過程・メカニズムの展開とその市場 成果について分析し,消費者利益の重視,市場アクセス改善,資源・環境 の保全等に関する諸政策の効果を高める基盤をなすとみられる,企業の高 度差別化行動についての社会的制御システムの構成について吟味した。ま た,日本の小売競争の特徴と流通規制緩和について分析した。
霞が関第
5回研究報告会(国際化政策研究)
第
2回長崎大学現代経営公開講座一東京会場一
本報告は,
I長崎大学公開講座現代経営一東京会場一第 2 回」として実施した。
課 題:競争メカニズム・企業行動・市場開放 報 告 者 : 梶 原 禎 夫
日 時 :1
991年
12月1
8日 午後
1 : 00"‑'午後
4 : 00公開講座としての実施のた め,他に学内の教授による報告が午後
7 : 30"‑' 9 : 00,及び翌1
9日午後
7 : 30"‑' 9 : 00に行われた。
会 場:東京都千代田区霞が関国立教育会館
参加者:目立総合研究所,日興リサーチセンター,ビデオリサーチ,凸版印刷,帝 所属機関 人,シキボウ,大正製薬,ライオン,いすど自動車,三菱電機,国際電気,
古野電気,日本コロムビア,オトフジ,森永製菓,森永乳業,明治製菓,
雪印乳業,永谷国本舗,ホーネン,ニチメンアピエーション,中村屋,和
光堂,カネボウ化粧品,東急百貨庖,ジャスコ,西華産業,三井物産,東 洋建設,住宅都市整備公団,大和証券,明光証券,プリジストン,国際情 報戦略フォーラム,公認会計士,弁護士事務所,
通商産業省,経済企画庁
報告概要1.情報化と消費者行動の変化
1985
年秋の円/ドル為替レートでの円急騰,その後の円高基調のもとで も解消しない日本の経営収支不均衡のもとで,日本市場の開放についての 世界的要求が高まるが,この過程でしだいに日本の競争的でない経済シス テムの特徴が鮮明にされてくる。公的規制や,供給源に対し反応的でない 日本の流通システムにより価格競争の機会が制限され,内外価格差が発生 し,その内外価格差情報が広範に流された。さらに,高頻度で反復される 新製品導入が高く関わる資源浪費や環境破壊が批判されるようになった。
消費者のインテリジェンスの高まりと共に,自己の経験からえられた情報 ばかりでなく,各種の媒介を通じてえられる広範囲な情報を利用する消費 者層が拡大した。この傾向はここ数か年間で顕著にみられるようになり,
消費者行動の変化となって現れている。
2.