• 検索結果がありません。

【学位論文審査の要旨】

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "【学位論文審査の要旨】"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

【学位論文審査の要旨】

1 研究の目的

持続可能な社会の実現に向け,電力の発生と利用の双方に対して環境負荷の低減が求め られ,太陽光発電等の再生可能エネルギーや電気自動車の普及が急速に進むと予測されて いる。これらの普及に伴い半導体電力変換回路の使用台数が増加するため,その高信頼化 と高パワー密度化の重要性が高まっている。近年では,シリコン(Si)から炭化ケイ素(SiC) や窒化ガリウム(GaN)の材料を用いたパワーデバイスに置き換えることによって,電力変換 回路の高パワー密度化が実現されるようになってきた。

これらのSiCやGaNパワーデバイスの特性を活かした回路実装方式の開発も進められて おり,その一つにパワーデバイスの上下アーム対(以下,レグと呼ぶ)の直近にキャパシ タ接続するレグユニットと呼ばれる構造が開発されている。レグユニット構成の電力変換 回路はスイッチング時の過電圧を大幅に低減できる一方で,キャパシタとレグ間配線の寄 生インダクタンスで生じる共振現象によって過電流が生じることが知られている。しかし,

これまでに詳細な発生メカニズムや実用的な対策手法は議論されてこなかった。さらには,

三相インバータ構成の場合に生じる電流集中現象についても報告はされてこなかった。特 に,高速スイッチングの特性を利用してスイッチング周波数を向上した場合,この課題が より顕在化するおそれがある。その結果,レグユニット構成のキャパシタにはスイッチン グに起因する電流が増加し,電力変換器の信頼性の低下を招く。

以上の背景を踏まえ,本論文ではレグユニット構成の電力変換器を対象とした高信頼,

高パワー密度化を実現するために,キャパシタの電流増加・集中現象の解明およびその抑 制手法を提案し,その有用性を実験により検証することを目的とする。

2 研究の方法と結果

本研究の方法と結果は下記のように要約される。

(1) レグユニットを二つ用いた単相フルブリッジインバータを対象に,キャパシタと寄生イ ンダクタンスを含めた等価回路解析を行った。その結果,スイッチング周波数の奇数次高 調波と回路の共振周波数が近づくことによって,キャパシタ電流が大幅に増加することを 明らかにした。さらに,この電流増加現象を回避するための直流側回路の寄生インダクタ ンスとキャパシタの設計指針を明らかにし,300 V, 3.7 Aの単相フルブリッジインバータに より提案手法の妥当性を検証した。

(2) レグユニットを用いた三相インバータを対象に等価回路解析を行い,三相回路の中心相 に電流集中現象が起こることを明らかにした。特に,スイッチング周波数とレグ間回路の 共振周波数が近づくことによって最大 3.0 倍の電流集中現象が起こることを実験により明 らかにした。

(3) 以上の電流増加現象と集中現象を抑制する手法について3つ提案を行い,それぞれにつ いて検証を行った。まず,レグ間バスバーに抵抗率の大きいグラファイトを用いてその寄

(2)

生抵抗により共振を抑制する手法を提案した。次に,三相インバータを対象にして,レグ 間インピーダンスが均等になるようにデルタ結線手法を適用することによって電流集中を 回避する手法を提案した。これら 2 つの手法については,新たに直流側配線構造を設計・

製作し,提案手法の妥当性を明らかにした。さらに,バスバーの絶縁材として高誘電体で あるチタン酸バリウムを用いることで,キャパシタとレグ間バスバーを一体化構造にでき るキャパシタ内蔵バスバーの提案を行った。この構造は,レグユニット構成で生じる共振 現象を抑制できるだけでなく,装置全体を小形化可能となる回路実装技術であることを示 した。さらに,単相フルブリッジインバータを用いた実験により本提案手法の妥当性を明 らかにした。

3 審査の結果

本論文は,レグユニット構成の半導体電力変換回路において制約となっているキャパシ タの電流増加現象と電流集中現象の解明とその抑制手法について研究を行った。その結果,

これらの現象の発生要因については,寄生インダクタンスとレグユニットのキャパシタン ス間の共振現象によって決まるという極めて有益な知見を得ている。さらに,これらの二 つの対策手法として提案している,グラファイトを用いたバスバーとデルタ構造バスバー については,簡易な手法にも関わらず抑制効果が高いという点で工学的価値が非常に高い。

また,キャパシタ内蔵バスバーについては,将来の高パワー密度電力変換回路実装を実現 するための新しい概念を提案したという点で非常に価値が高い。

なお,本論文を構成する技術要素については,厳正な査読を経て権威ある学術雑誌に掲 載され,一般に公開されている。以上から,本論文は博士(工学)の学位を授与するに十 分価値あるものと認められる。

4 最終試験の結果

本学の学位規定,および電気電子工学専攻の申し合わせに従って論文審査会を開催して,

専門分野に関する筆答および口頭の試問を行うと共に,論文内容について慎重に審査を行 った。また,本論文に関する公開の発表会を開催し,学内外から多数の出席者を得て多角 的な質疑・討論を行った。専門分野および外国語に関して,筆答および口頭による試問を 行い十分な学力があることを確認した。以上の結果を総合的に考慮し,慎重に審議した結 果,合格と判定した。

参照

関連したドキュメント

笹川平和財団・海洋政策研究所では、持続可能な社会の実現に向けて必要な海洋政策に関する研究と して、2019 年度より

現状と課題.. 3R・適正処理の促進と「持続可能な資源利用」の推進 自然豊かで多様な生きものと 共生できる都市環境の継承 快適な大気環境、良質な土壌と 水循環の確保 環 境 施 策 の 横

環境への影響を最小にし、持続可能な発展に貢

Global warming of 1.5°C: An IPCC Special Report on the impacts of global warming of 1.5°C above pre-industrial levels and related global greenhouse gas

主な供給先: ECCS の MO 弁、 SLC ポンプ、 CRD ポンプ 常用.

 工学の目的は社会における課題の解決で す。現代社会の課題は複雑化し、柔軟、再構

を育成することを使命としており、その実現に向けて、すべての学生が卒業時に学部の区別なく共通に

を育成することを使命としており、その実現に向けて、すべての学生が卒業時に学部の区別なく共通に