長崎大学教育学部自然科学研究報告第25号21‑25 (1974)
ZnO板状結晶の偏極性
久保為久麿・富山哲之
長崎大学教育学部物理学教室 (昭和48年10月51日受理)
Polarity of ZnO Crystal Platelet
Ikumaro KUBO and Noriyuki TOMIYAMA
Dep. of Phys., Fac. of Educ, Nagasaki Univ., Nagasaki
(Received October 31 , 1973)
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Abstract
The present paper reports a result of observations of chemical etching patterns on surfaces of ZnO crystal platelets by using a scanning electron microscope. It has been confirmed that a stepped plane and its opposite smooth one of a platelet are (0001) and (0001) surfaces, respectively.
緒言
ZnO結晶の{0001}の偏極性の判定は(1)化学腐蝕(2)X線解析2), (3)圧電気効果3¥ (4) 形態的観察蝣*) (5)イオン衝撃5)等の方法によって行なわれた。われわれは(1)の方法を用いて
110†0〉面に生ずる腐蝕像の形態を確認して針状のZnO結晶内部にある積層欠陥としての2 種類の反転境界を調べたOそしてZnO針状結晶の110†0)に観察される腐蝕像の反転境界は OとZnの積み重ねの順序について‑0‑Zn‑と‑Zn‑0‑の向い合うcoherentな境界と,
‑Zn‑0‑と‑0‑Zn‑の向い合うincoherentな境界とに対応し,前者はtwin boundaryで あることを報告した。 6)
板状のZnO結晶のpolarityについての報告7)によれば,化学腐蝕前後の結晶の{0001}
に見られる模様を比べた場合,階段状に発達した端面(以後step面と呼ぶ)は常に均一に腐 蝕されるが,平滑な瑞面(以後smooth面と呼ぶ)は表面に条のついた部分が優先的に腐蝕
* I. Kubo and N. Tomiyama :第54回応用物理学会学術講演会で昭和48年10月19日講演
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される。このことからstep面はO原子面でありsmooth面はZn原子面であることを指摘 している。これはわれわれのこれ迄のZnO結晶についての実験によ、り得られた情報と矛盾す る。そこでわれわれはこの点を明確にするために,改めてZnO板状結晶の化学腐蝕表面の走 査電子顕微鏡的観察を行なった。本報告ではその観察によって得られたことについて述べる。
観 察
ZnO板状結晶は久保の方法8)によって作成した。その外貌は六角形であり,その大きさは 0.8〜7.Omm2,厚さは150μ・》450μである。化学腐蝕前の板状結晶の厚いものと化学腐蝕後 の薄いものの例をそれそれFig,1およびFig.2に示す。一般に厚い板状結晶の錐面はよく発 達するが{1010}は幅が狭くなっている。また薄い板状結晶は余り錐面は発達していない。こ れらの結晶の{0001}を走査電子顕微鏡で観察するとFig.1のように左側面の起伏のある面 は貝殻状で,その反対側の面は平らな鏡面から成っていることがわかる。前者の面がstep面 に,また後者の面がsmooth面に対応する。
板状結晶を弗化水素酸(〔・46%,室温中!で約20分問表面腐蝕をする。そのあと蒸溜水でこ れを繰り返し洗演する。ついで乾燥し,試料表面に導電性物質,Au,を数百オングストローム 位の厚さに真空蒸着して走査電子顕微鏡(JSM−U5型)を用いて結晶表面よりの2次電子像 による撮影を行なった。
ZnO結晶の偏極面のZn面と0面は{1010}の三角形状の腐蝕痕の尖端と底辺の向きに対 応する1)。この試料の{1010}はFig.2に示す結晶の下半部にあたる,この面にはいくらかの 三角形状の腐蝕痕が生じているのが見られる。 これらの腐蝕痕は{0001}に垂直に配列して いる。腐蝕痕の尖端はstep面に向いている。同じくその底辺はsmooth面に向いてい
る。厚い板状結晶の腐蝕後の表面のステレオ写真をFig.5(a)および(b),に示す。{1010}
は左側中央部分から右側下方に伸びた黒味がかった幅の狭い部分に該当し,その上部は錐面 で下部はsmooth面である。また{1010}に見られる三角形状の腐蝕痕の尖端は上方に向 い底辺は下の側にある。写真については錐面の幅は{10TO}の幅に比べかなり大きいことが わかる。Fig.4(a)はstep面の腐蝕像で,この面の中央部分を水平方向にトレースしたライ ンフ。ロファイルをFig.4(b)に示す。 またFig.5(a)はsmooth面の腐蝕像で,そのライ ンプロファィルをFig.5(b)に示す。これらのラィンプロファィルに見られる波形によ り2次電子によってトレースされた面の起伏の状態を読み取ることができる。つまりFig・4
(b)とFig.5(b)の波形を比較すると前者より後者の方が腐蝕面の起伏がはなはだしいこと
ω
×0
6工
sf6PPed surfoce
smoofh surfoce
Fig.6.ZnO板状結晶のC軸に平行な断面図
ZnO板状結晶の偏極性 25
が知られる。Fig.6に板状結晶の模式図を示す。 この図は{0001}の中央部分からc軸に 平行な断面図である。 階段状のstep面および平滑なsmooth面はC軸に垂直な面であり
{10io}はC軸に平行な側面である。C軸に対して傾斜した面は錐面である。
結 語
板状のZnO結晶の化学腐蝕面の走査電子顕微鏡的観察により{1010}面に生じた三角形状 の腐蝕痕はC軸に平行で,その尖端をstep面に,底辺をsmooth面に向けて配列しているこ とを確認した。今後,板状結晶の{1併0}に屡々見られる三角形状の腐蝕痕の配列の異常性に ついて検討したい。
付 記
本実験に使用した走査電子顕微鏡は長崎大学教育学部,工学部および教養部の共同利用施設 である。
References
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Fig,1. ×100
化学腐蝕処理前の厚い板状結品
左側の起伏のある而はstep而,巾央のやや
/晒棚錐面である・その面に沿一て)
幅の狭い{10101がある。
Fig.2. ×500
化学腐蝕処理後の薄い板状結晶
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Fig.5./a) ×5,000 Fig.5.(b/
llO10}而方向から見た腐蝕像のステレオ写真
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×5,000
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