覚書「エコノメトリックスの基本的性格とその方法
」 : ホーヴエルモー、コープマンス、ロバートソ ン、ルービンの系譜をたどりて
その他のタイトル A Note on the Characteristics and Methods of Econometrics
著者 高木 秀玄
雑誌名 關西大學經済論集
巻 1
号 1
ページ 32‑71
発行年 1950‑11‑30
URL http://hdl.handle.net/10112/15891
いひしもこの謂である︒
序
党書﹁エn
ノメ
トリ
ック
スの
基本
的性
格と
その
方法
﹂
を得るたらば︑
J
メトリックスの基本的性格とその方法﹂ー*'ヴ=だモ
9︑
覺 書
﹁ エ
コ
n
ープマンス︑
註︵ 一︶
計最経済学はしばしば去われる如く︱つの学派ではたい°経済学はそれ自体が計量的性格をもつ科学である︒
十九批紀初葉以来︑先験的認識の立場より公理の必然性︑確実性を貫き通した幾何学が経験論の立場より否定され ロペチェフスキー幾何学がュークリッド幾何学に代りし如く︑現象把握︑理論体系の樹立の様式が絶対箕実より確奉 性へと轄ぜしめられた︒理論と現実とは別の岸の存在ではありえたい︒両者は︑もと
l
\一のものである︒ただ︑嘩論が糠傍する精密性に応ナるには現実は余りにも混沌にすぎる︒しかるに︑理論と現実との間のギャップを計量する
このようたギャップを克服し得るのである︒エディントンが︑﹁我々は唯︑確率のみを観澗する﹂と
本稿は経済学の舞論と現実との間のギャップの分析︑かくすることによつて果される理論による予測を課題とする
高
木
秀
ロバ
Tトソン︑
だTビンの系譜をたど
9
てー
玄
註︵ 一︶
計最経済学の近時の動向をホーヴェルモー︑
コープマンス︑
経済学の確李論的体系を覚書風に纏めあげたものである︒
(L
ie
fm
an
n ,
Keil•
E l i s a b e t h ,
•• L e
i b n i
z u n d
ロバートソン︑ルービンの系譜をたどりつつ︑郁ち計量 リーフマン・カイル・エリザペートは一六五
0
年ー一七五0
年の間のいはゆる数学的世代よ
b
自然科学的世代への変換期 に際して畜いかなる必然性をもつて経済学が成立せるか︑経済生活の問題がどのようにして科学的問題領域に自已の位置 を獲保せるかを論じ•nペルニクスに影春されたヘルマン。.nッセン、確率論の適用を人間行為にまで拡大せるヤnプ・
ベルヌキー"ペッテイーとライプニッツとの交渉を脱き︒特にライプニッツによる﹁経済学の対象は元木︒牛ば数学的な ものである﹂との語の解繹ぃオーギュスクン・クールノーとその親友オーギュスト・ワをフス︒更にその子"オン・ワル ラスヘと憚承される近代経済学が確李論と共に展開され末った経過をとく︒
C ou r n ot , " Z e i t s c h r i f t
f i i r
Na
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on
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ok
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Bd,
I X
, 1
93 9,
S
.
5 0 5.)
一︑﹁経済学の科学的性格を信奉する経済学者のいだ<擬高の野墜は︑彼が適当にわづかの変数で︑適当に少数の方
程式によつて経済の過程のすべての本質的な諸々の局面を可親的たらしめる単純なモデルを構成することに成功すれ
註︵一)
ば︑直ちに達成されるだろう﹂というシュムペーターの言葉に経済学の理論の有する課題は述べつくされているよう である︒郎ち理論を樹立するということは変数と方程式によるモデルの形成をいい︑
モデルけ現実との対応性を保つ
べきことを條件とすることによって︑嘩論と現実との結合を果すという関係にある︒ここで︑彼がいう経済学とは
﹁他の知識領城よりも寧しろ精密自然科学と縁が深い﹂経済学であり︑純粋経済学とも称せられるものである︒か4 党書﹁エnノメトリックKの基本的性格とその方法﹂
さて
P 側より見るかによつて区別されるだけのことである︒ 覚書﹁エn
ノメトリック
Kの某本的性格とその方法﹂
﹁相
互関
る精密自然科学的な経済学の理論は﹁事実に対するひとつの図式を檸成する︒この図式の目的は見渡し難き多くの事
実を簡潔に表現に齋し︑我々が理解と名づけるところの︑かの事実の精蓮を能ふ限
b
簡潔にして完全たる方法で獲得註︵ 二︶ すること﹂を課題とするものであった︒か
Lるシュムペークーの基本的態度は理論を事実の変形として把握し︑理論
の精密化︑力学化︑数式化という展睾の可能性と容易化をもつて理論経済学の本質を規定する態度と考えてもよいだ
註
︵ き
ろう︒彼のかよる態度はアメリカ経済学協会一九四八年度大会の席上における会長としての講演﹁科学とイデオロギ
ー﹂に於て更に明確に示されている︒郎ち︑経済学は純粋経済学であらねばたらたい︒ここでいう純粋とは彼によれ
ば経済以外のものを除去して科学的行為本来の過程たる﹁一連の現象の認識﹂に始まり﹁現象の概念化﹂︑
係の仮説あるいは命題として明確に規定された科学的モデルの構成で終る﹂順序をとることをいうのである︒即ち︑
現象ー理論ー科学的モデルの系列と、科学的モデルー理論ー現実の系列とは別のものではた<~︱つのものを何れの
﹁理論が正しいかどうか?という問の意味するものが何であるかについて考えてみよう0我々は︑ここで︑
その理論において輿えられる記述は完全であるかどうかという問と区別したければたらたい︒その区別の理由0
第一
の問︑郎ち理論の正否の判断の規準は︑その奥えられたる理論よりの需結と︑我々の現実的事実との間の一致の度合
において規定され︑ここでの現実的事実は一定の操作による実験と観測とにおいてとらえられる事実である︒第二の
註︵ 四︶
現論の完全性の規準は︑その理論と諸女の事実的要因間の対応性の度合によつて規定せられる﹂︒ここでは︑経済的諸
要因の規定が前提となる︒いま︑もし何等の攪乱たく︑故に必然性をもつて︑ある経済董の系を予測しうるときは︑
一 四
学を貫くものはかムる態度である︒ 墜され︑予測されるという関係におかれた°知るべきことは︑
一 五
﹁理論﹂そのものではたい0さればとて﹁現実﹂その か•4る経済量に対応的た経済的実在の一要因が存在するといいうる°計量経済学に於ける理論9現実との間に問いう
る関係はその第二のものである°恰も古典物理学で対象とたっている系のある物理最が︑それぞれの瞬間にこれこれ の値をとるというに対して︑量子力学に於ては︑ある瞬間に興えられた朕態にある系に対してその物理量を観測すれ ば︑これこれの値が得られるという表現をと
b
︑ここでは一定の固定値ではたく確奉的た値しかが考えられたい︒即ちある最が得られたる場合に他の量がある値で得られる確率が問題となるのである︒ここで確率とは一体︑如何たる ものをいうかを規定しておかたければたらたい︒けだし確李とは︑その量を観測すれば︑ある値で見出される確らし
﹁新物理学に於てさの謂であり︑事実は観測と不可分離的に︑いわゆる確率的分布をたすといつてもよいであろう︒
̀ ̀ ̀
は所謂︑確李添実在ーー物理的宇宙の根本的た要素ー│であることを示す°我々はそれら︵確率︶に就ての精密た知識
を持つ︒そし
C︑それらーー←てれに関する我々の知識は常に不確実でたければたらぬ︒ーの背後に他の実在を要請
註︵
五︶
することは逆行と思われCあろう﹂という
Hディントンの言葉に我々は近代科学の基調を伺いうるようである︒郁ち
近代科学は理論と現実との対応性に科学的論理の成立地盤を求める°更にいえば︑事実の観測において明確ならしめ た確率要素を理論と事実との中間項として挿入することに姦いて理論は現実にアプローチし︑現実は理論によつて展 ものの直感的︑又は直餓的把握による態様でもたい
0
むしろ︑か上るものは﹁狸論﹂叉は﹁現実﹂の名に値しないも のであり︑それぞれを媒介する中間項たる確李項にこそ訊ねるべき総てのものがふくまれているのである°計量経済
覚書﹁エn
ノメトリック
K
の基本的性格とその方法﹂
実との間に乗離が
a d
m i
s s
i b
l e
である﹂とか︑ 党書﹁エnノメトリックスの基本的性格とその方法﹂
確李の科学的解釈と操作技術とを統計的類推の理論と技術とにぶきかへ︑
﹁計量経済学的研究の目的は橋桁の如く
註︵六︶
統計的類推の理論と技術とを使用して︑経済学の理論と現実の測定との結合的機能を目的とする﹂というホーヴェル モーの計最経済学の性格規定にはうたづけうる多くのことがふくまれている︒たほ︑か上る彼の規定は`
' S t o
c h a s
t i c
Eq
ua
ti
on
s V
er
su
s E
xa
ct
Eq
ua
ti
on
s"
へと発展し︑今日の種々の計量経済学的操作は︑すべておしたべてこの対
立の中に現実アプローチの道を開く鍵を求めんとするもの
e
ある
︒
現実的事実の複雑性︑即ち観測に伴う不確定性の存在は︑精密性︑確定性を本質とする理論︵既述のシュムペ︐'ク
ーの言葉を此処C追想し︶が一度び現実的事項の理解と説明とに立ち向うときの無力さを余儀なくせしめる︒その総 てが無力であるというわけではたい°理論は一面では切り得ても︑それが切り得ざる他の面をもつ双である︒元来︑
理論は現実理解のための﹁仮説﹂である︒この限
b
で仮説は棄却と認容の二つの運命をもつ︒かくして仮説はいわゆ る二律背反的た性格をもつといはれる︒このように考えることは﹁理論﹂と﹁現実﹂との間に断絶の斧を打ちこむ態 度であって︑我々はこれを執らない︒理論叉は仮説にある一定の幅を持たせること︑又は理論そのものに確李的性格 の二要因を附加することにおいて理論は現実をうつし出すことが可能とたるのである︒ホーヴェルモーが﹁理論と現 論的側面より判断せるものであって︑
﹁理論の仮定の下で実際に不可能である﹂というのは︑それ自体が嘩 これを確率的にいえば︑叉そうすることによつてのみ既述せる我
Kのいう科学
的論理に即応するをうるのであるがi•
P r
a c
t i
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とは
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T h
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b a
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・ 疇疇 の謂
であり︑たお︑ぶぶ
al
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を6:
Th
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' 疇という如く判断の様寸一を変換することが
H^
註︵七︶必要とされる°再びいへば︑科学的論碑とは︑確李的判断による論理である︒
二育オプザーぐ︿プルた硯象の群の中に︑ある一定の不変的規則性が認められるとき︑
一 七
これを数学的なモデル式で記
述する︒か上るモデルは操作的仮説の機能を果すものである︒又は﹁理論化﹂と称せられる行為の体化せるものであ
り︑経験との対応関係を保ちつつ︑あくまで︑更に検証の操作にかけられるべき︑いはば仮説的性格を有するもので
あっ
て︑
これはこれで一応存在碑由をもっ°けだし︑理論的定理より碑論的公狸が導かれうるからである︒例へば︑
三角形の内角の和は一八0度であるという命題より︑現実の測定を行わすして他の命題を誘導する基礎となりうるの
である︒かくして数学的モデルは観念的批界像を描写するものであり︑公理の操作により抽象的対象をとりあっかう
精密性又は﹁餌たる﹂ものをとりあっかうのに対して具体的な三角形の内角の和は必すしも一八
0
度ならすとする非ュークリッド幾何学と対立する︒もし︑﹁理論による確証的命題﹂と﹁現実的な経験的専実﹂とが一致するとき我々
は﹁数学的理論﹂と﹁現実的拙界の構造﹂との間に︱つの類似性が仔するといいうるのである︒
か4る﹁数学的理論﹂は︱つのイデアルな極限的なモデルであり`現実と対応せしめて虹正なる変数の値を求める
規準であり︑純粋理論的モデルともいいうるものである︒クラメールによれば︑数学的理論の通常の遮用の多くのも
のは記述︑分析︑予測の三区分がなされる︒まづ︑理論は純秤記述的目的のために用いられる︒即ち経験的資料の複
維性はコンデンスされた形で︑その資料で提せられし涸切なィンフォーメションを示す比較的にわづかの数の固有値
へ誘導される°第二に理論の帰結は観察される現象の科学的分析へ対する逍具として適用される︒ここにクラメール
は次ぎの如き一般的原理が存するという︒即ち﹁事実に一致したいようた理論はすべて修正されるべし﹂というのが
党 書
﹁
Hコ
ノメ
トリ
ック
スの
某本
的性
格と
その
方法
﹂
註︐
︵九
︶
fr.
f .
f(x)の積分に近迫するといつてもよい︒ 統計的類推とは未知の母域集団の分布の型を規定する平均値︐礫準偏差︵︒^ラメター︶をその緑城集団より抽出せる標本値の分布の型を規定する平均値︑標準偏差より類推することをいい︑前者は正規分布型なる理念型をとり︑棚本値はその母城集団の型を想定し︑職又は︑理論と事実との対応性の検定されると考へられる︒ここで既逃の理論による記述と事実的要因との対応性度のもつ意義が追考されなければたらない︒削ち一定の分布函数︑︹
d.
f•
F(x))を有する確率変数の観察値の集合
は
d.
f•
F(x)を有する拙城集団よりの任意抽出標本とみなされる︒ここで数学的確率の意味するところを逃ぺてお
< くことが便利である0
観察可能たる間隔に落ちる標本値の個数を考える°個々の間隔はーーの高さの矩形の底辺に
nh
対応する0但し
h
は間隔の長さ︑V
は間隔に婦する棚本値の個数である︒部分的た矩形の面積はその階級の度数た
る
I
に等しく︑分母たるn
が大とたるにつれて近似的に観察値がその間隔に落ちる確李に近迫する︒帥ち間隔上の
< n
かくして︑現実に観察せる模本値の分布献態より得たる度数分布図の周囲絲は確率函数の統計的ィンメーヂたりと きかえる︒
A
n覚書﹁エノメドリックKの基本的性格とその方法﹂註C
九︶
これである︒第一ーーに恰も幾何学や力学の理論をもつて天文学者が日蝕の日を予澗する如く︑理論と事実との間の一致
註︵八︶が勝来の事象にも鎖たりと期待しうる原理の適用がこれである︒
三︑上違せるところは︑新しき科学的論理が理論と現実との間の幅.抑ち﹁攪乱項﹂を科学的に分析することの論 理であることの説明である︒か
4る﹁攪乱項﹂を﹁確率項﹂におきかへる︒別言せば︑これを統計的類推の問題へと
一定のプランの下で行われる実瞼操作の一段階と解することによって︑理論と実
一八
とき
は︑
( K ; ;
; ; l )
︒一 九
nが大たるときは、標本値の分布函数、〔d.f•
F(
x)
*〕は母城集団の分布函数〔d.f•
F(
x)
)
に近似的に等しくなる°更に度数分布の段階函数
(S
te
p, f
un
ct
io
n)
CF * ︵
x)
)
のグラフ
y 1 1
F(
x)
* う°毎回の実験結果はレアルた数であるも凡
. . . . .
. S A
を奥える︒ は標本値の﹁総
和多角形﹂を示すものであり︑その値が大となるときは︑
y1
1F
(x
)*は曲線
g1
1 . F (
i c )
1 !
近.追するという関係にあ
る︒このよう芹
n
の数が大となるにつれて近迫する理論と事実の関係に統計的類推の根元が存するのである︒次ぎに便宜上︑若干の予備的概念を述べる︒第一に同一條件の下で多数回反覆される任意に選ばれし実験
Eを行
k
次 元 の 空 間 恥 に そ れ に 対 応 す る 変 数 点
(yhヽごて•↑IItご…•••2か)をとる。この場合に、どをK次元の確率変数という。Sをもつて
RK
空間内の点集合をあらはす︒Eの毎回の試行に於て生起するか︑又は生起せざる事象を考える︒郎ちどは
S
の部分集合である︒( e
S
^
)︒ こ
のようた事象た一定の確率
P
を有すると仮定する︑しかるとき確率
P
はSにおいて規定されるop
11
p(
S)
11
p(
g^
S)
は︑このことを示す︒もし事象が必然的に生起するものであるときは︑即ちEの試行に於て常に生起する事象である
p1
11
となり︑逆に
p1
11
たるときは︑その事象の生起は確実であるとされる︒既述のホーヴェルモーの見 解を見ょ︒これを一般に示せば
P
は1ーEV
PW
1
たる関係にある︒但しEは1より小なる数である︒
第二に函数
p(
S)
はp
11
(R
E)
11
1
の如きk次空間中の正の附加的集合の函数である︒
P(
S)
は恥に於ける分布を規定
する︒これを確李変数
( e )
の確李分布という︒もし
K = l
.¢ :
§
ると
きは
︑
P(
S)
に対応する点函数
F(
x)
1 1
F ( x 1
, ・ ・
・ ・ ・ , x . K )
は
E
の分布函数である°故に集合函数か点函数において分布は一様に決定される︒第三に本稿で特に重要なものとしての同時的又は結合的変数の場合に進む°確李的実験
EとFとが一文元的確率変
党書﹁エコノメトリック
Kの某本的性格とその方法﹂ 註
2
0 )
考へられる︒あるいは︑
わす︒かくして我女は次式をうる︒
p ( T ^
T ) = P 2 ( T ) ,
⁝⁝⁝
( 1 )
覚書﹁エnノメトリックスの.某本的性格とその方法﹂
P
を結合的変数こ( e
1 )
の確李函数とする︒
数ど
︑
7とそれぞれ結合されるとする°然るとき団の結果はEたる量でFの結果はりなる量で示される︒同時的実験
( E ,
F)
を行い︑両者の結果を同時的に観察しよう︒たとえば︑二個の骰子を投下し︑
時的に観察しよう︒これは︑その座楓軸が実臓
Eと
F
との結果であるE
と7である可変点(f 97 )
とを観察すること
を意味する︒更に点念二
7)
は§と刀において決定される結合的変数
(C
on
bi
ne
d
v a r i
a : > l
1 1
1 )
分布を有し︐
En
. 確 李 的 実 験
が
(K
19
⁝⁝
⁝︑
Kn )
次元の確率変数
我女は凡ての5の空間の全~1ュ十…·:+K口)次元的積空間内の一点で示される結合的変数(6ご…•••96a)をうる。こ
のことについてクラメールの第三公理は
q註
︱一
︶ か︶もまた確率変数である︒﹂たお︑彼によれば︑かよる結合的変数は
その表われた二面の目を同
と称せられる二次元
﹁も
し
6ビ⁝⁝⁝かが確李変数なるとき︑すべての結合的変数︑︵e
ビ :
. . . .
︑
K1
十⁝
・:
+kn吹空間内にユニークた確奉・
この分布は変数
e1
9⁝⁝6nの﹁同時的分布﹂
(S
im
ul
ta
ne
ou
s
D i
s t
r i
b u
t i
o n
)
と称せられるものである︒
k l とし次の確李変数§とりをとり︑瓦と瓦とを6及び7の確李函数︑
Sをもつてどの空間中の集合の記号とし`p︵
T ^
S)は変数
( 8 )
が1の値と無関係にS
に属する確李を表はす︒同
様に
T
をもつてりの空間中の集合の記号とする°然るとき
p ( 7 ^ T )
はりが
5
の値と無関係にT
に属する確李を表は
p ( g ^ s ) 1 1 P 1( S) ,
~1,
,
E19·
…………•,
. . . . . , ⁝
9 的変数を示すものと考えられる︒これを一般化しよう︒ 阻〇
経済学で風女︑利用せられるものであり︑特に我々が本稿で述べんとするコープマンスの同時方程式法の基礎をたす ものである°再びクラメールによれば﹁結合的分布での質彙がその構成的変数のひとつの部分集合の上へ写像される
註
2 ‑ D
とき︑かくして得られたる限界的分布は常に対応する変数の分布と一致するだろう﹂とされる°給合的変数の確率分 標本値の分布の場合には椀本モーメント回儒係数が計算されるのが常逍である︒
以上︑我々は計量経済学の基礎問題のひとったる理論と事実との対応性を統計的類推の意味︐その中間項たる確李 の意義について述べたのであるが︑去ひうることは︑計量経済学の基本的性格を規定するものを形式的な方法論や従 来の認識論に求めるとき︑何事をも輿へられない°我女はこれに応する新しい科学的論狸の存すること︑しかも︑
れを量子物理学の方法に求めるとき︱つの逍が開かれることを信するのである︒
註︵ 二︶ 註 (‑ ︱ 一 ︶
註G
四︶ 註︵ 五︶
四
(K 1+ K2 )
次結合的分布の﹁限界的分布﹂
M a r g i n a l D i s t r i b u t i o n を示すものである︒この式は今日の計量 註︵
一︶
J.
Sc hu mp et er , T he De ca de of T he
Twenties•
19 46 . P.
3.
木村
シ ュ ム ペ ー ク ー
` 訳
﹁ 理 論 経 済 学 の 本 質 と 主 要 内 容
﹂ 一 九
︱
‑
五l
年︒
9 ' ‑
︱︱ 九頁
安井
d i t t o ,
"
Sc ie nc e a nd Ideology,
m A er ic an Ec on om ic Re vi ew , M ar ch ,
19 49 .
同講演は雑誌﹁思想﹂︑一九四九年︒九月号に訳出されている︒
アインシュクイン~武谷訳「量子力学に於ける搬測に就て」哲学研研究~一九――一七年.二五l号"1ハ八頁
大滝武訳︒
A. Eddington,
h T e P hi lo so ph y o f p hy s i ca l c i s e n c e , C am br id ge ,
19 39
・
九四 一一 年︒
︱︱
︱七 頁
覚書﹁エn
ノメトリックスの某本的性格とその方法﹂
﹁物珊学の哲学﹂創元科学創書.
c : :
布を示すためにP(S)~る記号をとる︒かよる分布には母城集団ではモーメント回滞係数︑相関係数が計算され︑ 上式は
註︵ 一
0 )
註︵ 一プ
︶ 註(
‑︱ 一︶
註︵ 九︶
註︵ 八︶
註G
七 ︶ 註︵ 六︶
H. Cr am er ,
0 p .
C i t . , p .
p .
327ー
32 8.
党書﹁エコノメトリックスの基本的性格とその方法﹂
という循環性を排除し他方﹁等しく起り得るや否や﹂につ
T•
Haavelmo•
Th e P r ob a l i b i t y A pp ro ac ih n E c o no m e tr i c s, E co n o ne t c a r i , V o l . ,
12 , Su pp le me nt ̀ J u l y ,
19 44 .
D i t t o , i b i d , I nt r o du c t io n .
フリッシュ`ホーヴHルモー・コープマンス︑
べる諸点で共通的である︒ マルシャック.
筆者が本稿に述べるところは畜 ぞ︑ス等の北歌学派及びシカゴ学派の某本的態度は以下述
英米の統計的類推の科学と佛露の純粋数学としての確率論とを
結合し近代統計学の数理的方法の支配的位置を占めるストックホルム大学のハロ
J Vド・クラメール
0
I . Cr am er )
に数へ
られる所大なるものがある︒
(M at he ma ti ca l Me th od s
o f
S t a t i s t i c s , P ri n c et o n U n i v. P r e s s ,
1 9‑ J . .6 .)
ここでの確率定器はJ•
Ne ym an , M . F re ch et
`A•
Ko lm og or of f
等によって体系化された逍感的.
による︒ラプラース的古典的定義における﹁等しく起り得る﹂
いて何等の主観性をも入れない点でミーゼス流の頻度誤とも異る︒
もつて確率と考えるのである︒
H. Cra me r,
0
p . C i t . , p .
15
5.
H. Cr am er , o p . C i t . , p .
15
6.
公理主義的アプローチ
即ち客体のl定の集合中の一定の属性の相対的度数を 一
︑ ホ ー ヴ
H
ル モ ー は 変 数 を 理 論 的 変 数
︑ 餌 正 的 変 数
︑ 観 察 的 変 数 (T he or et ic al aV ri ab le s, Tr ue ly Va ri ab le s, Ob se rv at io na l Va ri ab le s) に 区 分 す る
︒ 國 民 所 得
︑ 商 品 生 産 高
︑ 及 び 輸 出 入 高 等 は 最 的 な も の で あ り
︑ そ の 限 り で
I nt r o du c t io n .
四
去し引いて求めたる値が鎖の館空中の落体の速度とたりうる︒
c h o i c e
"
, M .
ものである°併るに新しき兼子物理学ではマイク
Pた物質の波動性と粒子性による観測の不確定性をもっ
て理論の﹁導きの絲﹂とし因果の逍が一義的たらすとし︑郁ち従来の古典理論の物理的枇界の決定綸的立場に対し
註
2)
て︑近代物瑯学では︑我々は﹁偶然の批界﹂に住むに至ったのである°理論と鍋察との乗離こそ最的科学の運命であ
り︑これを単たる﹁偶然﹂で片附けす科学的︵実験的︶に処碑するところに近代科学の特徴が発見されるのである︒
さて
︑
それはそれとして︑理胎的変数として﹁餌空中の落体の速力﹂を︑観察的変数として﹁空氣中の落体の速力﹂を
例としておる0
前者は直ちに観測し雛きものであり︑後者は具体的た観測可能た︑しかも`誤差の附着するという意 で我々の住む批界に於てある変数である︒しかるとき︑興正的変数とは何であるか
0ホーヴェルモーによれば︑理論
註
︵ 二
︶
的変数と観察的変数とが一致するが如き変数であり︑理論的変数がこれの考慮によつて体系づけられる変数である︒
いま︑もし空氣抵抗たしとせば︑
この両変数は直ちに等しきものとなる︒現実は然らナ︑宰氣抵抗力を観察結果より 経済学の碑論によって構成された式︑郎ち構成的モデル式︑例えばある一定時点に於ける経済量間に存すると仮定
党書﹁エn
ノメトリック
Kの基本的性格とその方法﹂ ツの古典的電磁力学の如くその系は`
' C o m p l e t e l y d e t e r m i n i s t i c "
に
し て
誤差たしに澗定しうるものであると観念的には規定しうる︒いはば理論的に︑叉は観念的に規定しうる量である°併 るに︑同一の観察方法で二人の観察者が同一の経済量を調査しても︑得たる結果は相異る︒同一の三角形の肉角の和 を分度器で反覆的に洞定せる結果は必ナしも一致したい
0
観察︑観測のかよる相違は︑それに附きまとう小諜差又は
攪乱の幅だけ存するとされる︒理論は無攪乱的︑恒常的なものであり︑
︱︱
ユー
トン
カ学
`
"
L e a v e
四
n o r o o m f o r e f f e c t i v e
マックスウH
ル ︑
ローレン
とす
る︒
y 1
1
X 1
1
C1 a. 2
ー
S
a1 a1 2 b.
ー
a .2
b1
b,
C2‑b2 C
1 a1 b2
ー
a2 b1
l
l l
abc
党書﹁エnノメトリック
Kの基本的性格とその方法﹂
される関係を鳥廠説的にとらえ︑かつ︑その同時的操作を考察しよう
0
例えば一商品の需要の法則を論する場合に︑
それだけでは︑すべてがつくされない︒他方︑供給の法則を論する場合にも然りである︒両者を同時的に考察する時 のみ市場の完全なる機構は明らかになる︒このことは他の諸々の科学に於ける如く経済学に於て何故に個別的方程式
註(
‑き
︶ よりも方程式系を取扱うを常とするかについての理由である︒簡単た例として方程式数は二だけ︑しかも直線的なり
yは
倒格
︑
}………
•••(1)
a1x +
b1 Y
+
C1 1 10
⁝
⁝
⁝ (a ) a2 X
+ b2Y
+ e
円1 10
⁝⁝・:︵b)
Xは需要撮︑供給最︑知
5
臼は遮当なる常数︵係数︶であり︑幾何的に︑所謂﹁均衡債格は方程 式を示す二直線の交点において確証される﹂という
0
未知数
xy
につ
いて
︑
(a
1 b2ー
a2 b1
) + b2 C1‑b1 C, c
2 11 0
⁝
⁝
⁝
・ :
︵ 2 )
………
•••(3) (a
1 b
2ー
a2 b1
) + y
C2
a1ーS
a2 110
………
•••(4)
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
( 5 )
この同時式を解けばょぃ︒
x︑y
の値の分母は相等しい︒その理由︒第一式の
X
の係数にそれぞれ他式の
yの係数を乗じ︑その積の差が分母と
たつている0次ぎに分舟の︑い︑直と︐
a s
5
を代置し︑匹︑5
︑で匹︑いを代置し分子をうる︒かよる根拠で︑行列に
四四
C1 C2
I
‑ :
a1 a2
‑5
b2
かくして︑8の結果はnケの変数のn
ケの非同次的直線式の総ての系にあてはまる°併るに︑これは理論的変数よ
b
成る碑論的モデル式とその解である°再び一さはう0我々の住むのは偶然の支配する批界である︒ッサーチ︒ワーカー
にとり理論的モデル式は皐なる仮説である°仮説はそれのみでのレーゾン︒デートルを有しない︒それは現実との対 応において棄却されるか︑許容されるかの何れかである︒ここに実瞼の登場する﹁場﹂が開かれる︒リサーチ
0ワ
ー カーとは︑かよる場にて現象の再生産をたすものである︒まづ︑彼の組立てるものは理論的モデル式を確率的に修正
党書﹁エn
ノメ
トリ
ック
スの
基本
的性
格と
その
方法
﹂
Y =
X11C1
a2
ー
C2 a1 a1
2 1 b
a2 b1
b ,. C 2
ー
b2
C1
. a1
2ー b
a2 b1
この操作を第三︑五式に応用しよう︒
b1
b1
I
C1 C2
旦
1 1 iA211 C C1a2
‑c 2a 1 1 1
I
a1
C1
‑ ー
I
a1 C2 a2 .
……·…••(5)、
ド
4
f>I~
( 3 )︑
—·…………
••(8) C. 2 a. 2
ー
1 1
I b
1 Ci
ら1ー
b1 C2
ー
b2 C1
(') C'
"'"'
I I
口"ブ
" ' , . ,
‑ ・ ⁝ ⁝
⁝ ・ ・ ・
・ ・
( 7 )
C1
C .1 1
a ' l
A11
a1 b2
1
a2 1 b
1 1
I
b1
C'II)
. . . .
I I
.. I‑'
-·…………
••(6)
b1 b2
四五
よつてこれを求めうるのである
0
郎ち方程式の常数︵係数︶より成る平方陣を行列式
( D
叉は△︶で示す︒
た変移
( S )
を導入する︒かくして次の式をうる︒ 党書﹁エn
ノメトリック
Kの基本的性格とその方法﹂
せる実験的モデル式である︒
二︑実験的モデル式は﹁予測変数﹂
(P
re
di
ct
an
t)
と﹁観測変数﹂
(p gdictor)
との函数式のみでは不充分であり︑
﹁残差項﹂を附加することが必要である︒ホーヴHルモーは
式 ︑ y"
f( X1
︑X
2,
⁝
⁝ ,
X
n) + s
をもつて実験的モデル式を表わす
on
個の家計より成る一集団を考える︒その集団内
︑
で奥えられたる一定の商品
A
の消費量︵需要量︶の大きさと︑その変異を説明するとしよう︒元来︑﹁説明する﹂とは各家計の消費行動に同一の方同で︑同一の強度で作用するものと仮定する0
故に
︑
ことでの可測的要因は商品債格︑
註︵四︶家計所得︑家計構成員の平均年令等である︒消費量をyとする°然るときは次式が成立する︒既述の第二︑四式
y* 11 f( Xi , X2,
`x……已•…………••(9)
一般
的
y* 11
£C x1 ,x 2,
⁝
⁝
9X n)
をもつて理論的モデル
﹁一定の可測的要因を抽出すること﹂であり︑変異は
では
︑ a1 1 1 x f( b1 Y1 1 C )
又は
b2 Y= f( a2 X1 2 C )
とたる︒現実は︑かく簡皐たものではない︒特定の・1番目の家計に
ついて考える︒それは必すしも
( f )
が如何たるものであれ︑第九式と一致的な消費量をその集団に姦いて消費した
い・︒同一の家計にあっても︑時点を異にすれば︑ァと異るyを消費するのである︒このことを説明する要因を考えた
ければならない°郎ち︑*yの代りにyを用いる場合︑アとyとの間の乗離を考慮しなければたらたい︒いま︑
Y= f( x1 , X 2,
·…••
, X
n)
+
s .
⁝
⁝
⁝
⁝
(1
0)
S
は変数Xの債値の個女の集合にとつて︑零の平均値を有する一定の確率的分布をたす確李変数である︒故に実験的 いかたることをいうのであろうか0ホーヴェルモーによれば︑ とれに四六