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社会統計に附き纒う誤謬について(2)

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(1)

社会統計に附き纒う誤謬について(2)

その他のタイトル Errors of Social Statistics (II)

著者 高木 秀玄

雑誌名 關西大學經済論集

4

2

ページ 93‑123

発行年 1954‑05‑30

URL http://hdl.handle.net/10112/15803

(2)

93 

社会統計に附き纏う誤謬について︵高木︶

I

整理の物的誤謬

既述のーは統計値を整理し︑誘導統計値を求める場合の形式的誤謬であったのに対して︑此処で問題となる誤謬は︑

その物的あるいは結合される︑又は分離される統計値の背後の統計大量そのものによって支配される物的論理の不当

性より発生する誤謬であり︑むしろ︑

1

の形式的誤謬と比ぺて︑より重要な誤謬である

0

ワーゲマンはこれを次の如

く細分する︒

1

︑非有機的結合

a

︑時間的結合の誤謬

b

︑場所的結合の誤謬

C

︑塁的結合の誤謬

d︑質的結合の誤謬

2

︑統計大量の比較と結合の誤謬

祉會統計に附き纏う誤謬について

(3)

.

94 

a

︑外的公分母の非統一性B︑不当な内的公分母

b

︑異種大量の誤れる結合

a

︑虚偽の環境選択

以下︑この各々の誤謬についてのワーゲマンの見解を述べよう︒

a

︑時系列の構成をなすに当り︑その各項は時間の函数としてあらわれてくる0この際に独立変数としての時間

の間隔をどのようにとるかは︑重要な問題である

0

元来︑時系列は経済変動を運動形態に於て分割するものであり︑

この限りで﹁経済的運動の非常に無限の多様性は︑ある考察される時間的な区分原理に従って多くの根本的に異る連

動に分けられる﹂のである︒

( E .

Wagemann•

E i n f

i i h r

u

i n d i

e   k o

n j u n

k t u r

l e h r

e ,  

Q u e l

l e  

u .  

Me

ye

r,

 

Leipzig•

1 9

2 9

,  

s .  

3 5 )  

a

{ A

b

︑非連続的

B ︑

二︑周期的変動 しかも︑彼の景気の運動形態には︑次のものがある︒

ー ヽ

︑.無関係な大量の疑わしい結合B ︑使用し難い公分母の適用の許に於ける同種大量の結合

a

(4)

9 5  

で表現されることが︑

経済史の研究者が歴史の流れを世紀単位にとらえる如く︑

u b i l a u m s p r i n z i p  

非常に危険であるということである︒

=

経済動学ともいえる屎気変動論は︑経済的時系列を︑以上の形態によって︑なお︑その因果的︑相関的な関係によ

つて研究する一ケの科学である

0

重要なのは︑それが唯︑形式的に普通とられる五ケ年平均又は十ケ年平均曲線のみ

形式論的な平均の算出が甚だ危険であるという

経済的時系を

によって長期の単位期間で平掏することは︑その時系列のもつ意味を喪失せしめるのである°斯る長期の単位期間の

社会統計に附き纏う誤謬につい/て ^ b︑自由律動的︵狭義の景気変動︶

なお︑彼は周期的変動をその波長の長さによって次の如く分類する︒

ィ︑本来の景気循環:⁝.五年より九年

更に︑二時系列以上の変動の方向の関係より︑次の四運動を区分する︒

イ︑同一方向運動︵同一弛度で同一方向の運動︶

一︑長期動態波動⁝⁝

. . .  

‑ ︱

1

0   0

年より四

00

ハ︑短期構造的循環:⁝.一五0年より三

00

0年より六0

a

︑確定律動的︵季節変動︶

(5)

96 

意義しか有しない﹂ものである︒

u

m , 9 5   1 1 ,   M i i n c h e n ,  

S.134) 殊~るに、

他方︑卸売物価は異常に下降している︒

( K n e g s g e w m n l e r  

は第一次大戦後は上昇のトレンドを示している

0

ワーゲマンによれば︑

1 1 6 )

以上が彼のいう﹁度の過ぎた時間のかき集め﹂︵巳ぼ

r t r i e b e n e Z e i t r a f f u n g )

による誤謬である︒

次に︑時間的構成の誤謬の第二のものは︑上の逆の場合である

0

即ち︑期間を余りに短期にとり過ぎることより発

生する誤謬である

0

その一は時系列の変動の一種としての季節変動と景気変動とを混乱することの誤謬である

0

季節変動は一ケ年を単位期間としてとるとき︑季節的に一定の変動の型を示すものである

0

時系列の単位期間を余り

に短くとるとき︑これと普通の景気変動とを混同するようになるのである︒

( E .  

W a g e m a n n ,   N a r r e n s p i e g e d l   e r   S t a t i s t i k ,   1 9 5 0 S . ,    

ワーゲマンは経済の構造変化と景気の発展との間に区別をつけることの困難さを指摘する

0

八九五年より一

j L

1

0 年の間に於けるアメリカ合衆国の工業生産活動と卸売物価とを対比してみるに︑ ubil 平均による統計をワーゲマンは

au

ms

st

at

is

ti

k

社会統計に附き錨う誤謬について︵高木︶

工業生産活動

アメリカこそ偉大なる﹁戦争成金﹂

( E .   W a g e m a . t 甘 ︑ B e r i i h m t e D e n k f e h l e r   d e r   N a t i o n a l o k o n o m i e ,   E i n   K r i t i s c h e s   R e p e t i t o r i

正しく単なるエピソード的な

( E .   W g e m a n n ,   N a r r e n s p i e g e l   d e r   S t a t i s t i k ,   S .  

1 1 8 )

工業生産物トレンドの上

昇は信用量の激しい拡大がもたらした巨大資本の蓄積︑その国の個有の経済力より雪崩れの如く成長し︑人口の広い

層にまで工業生産物の消費を許し︑大衆の奢俊にまで発展した所得額の増大によるものである︒

経済の驚異﹂

( a m e r i k a n i s c h e W i r t s c h a f t s w a n d e r n )

とも称せられる経済構造の変動によるものである

0

五年より一九二八年に至る期間の卸売物価の時系列の下降は︑戦時中の物価騰貴ーーーワーゲマンによれば︑

インフレーションーーーヘの逆作用であるに過ぎないのである

0

即ち︑前者が構造変動であるに対して︑後者は文字通り

(6)

97 

r つ ︒

社会統計に附き纏う誤膠について

の景気変動である

0

以上の事実を考慮せず︑両者を同一視することによる経済分析は︑

誤謬の一種とみなされるものである︒

b

︑場所的構成の誤謬

統計系列を場所的に構成することが如何なる意義を有し︑

の問題である︒ワーゲマンによれば︑経済学は

( K a r l   L a

e "

B

e u t e t M a s c h i n e n a u s f u h r  

以下︑ワーゲマンの説く所を述べよ これ又︑時間的構成の実体的

かつ︑それに如何なる誤謬が附き纏うか︑これが此処で

﹁世界経済的景気変動理論

( w e l t w i r t s c h a f t l i c h e K o n j u n k t u d e h r e )

︶の二部門より成つている

0

以上より地球上の諸国民

( ・ v o l k s w i r t s c h a f t l i c h e   R e g i o n a l f o r

費 " h u n g  

経済とその景気変動の諸類型を分類する可能性が生じてくるのである

0

故に場所的研究が不可鉄のものとなってく

0

然るに︑此の場合にも︑次の如き﹁道化鏡﹂

( D e r V e x i e r s p i e g e l )

を避けることが出来ない

0

域の恣意的綜合把握と︑与えられた場所的限界の誤れる解釈とがこれである︒

固経済的地域の恣意的綜合把握

カール・ランゲは一九三一年に機械輸出は︑国民経済的に何時︑如何なる場合に於ても有利であることを立証せん

一八九七年のオルデンベルグ及び彼に追縦するボーレー︑アドルフ・ワグナー︑ゾンベルト︑イギリスではバ

ルフォアー︑アッシュレー等が主張する﹁生産手段の輸出は︑国民経済的に自殺を意味する﹂という理念に反撃を加

えんとした︒この際に︑ランゲは諸国貿易高を次の如く比較したのである︒

a

︑経済的地

w i r t s c h a f t l i c h e n   S e l b s t m o r d

● 

W i r t s c

f t s d i e n s t , X V I .   J a h r g a n g ,   H .  

2 6

.  

6 .

  1

9 3

1 ,

S .  

  1 1 0 !  

ー︶即ち︑彼は次の三グループに

(7)

98 

を唯︑統計的に証明するために︑恣意的に綜合することは︑

又 ︑

それが形式的に許されたとして

故に異る傾向を表すのであ

が属し︑更に第三グルー 第一グループには中国(‑九二八年度の統計によれば︑

高度工業化国

第一グループ

第ニグループ

第三グループ

ルク︶が属し︑第ニグループにはロシャ︵二五マルク︶及びニュージランド(‑四

0

0

プにはアメリカ合衆国︵三六〇マルク︶及びオランダ

(1

00

マルク︶が属する︒なお︑ランゲは各グループの平均を0

求め︑第一グループは第三ゲループの知にも足らず︑第ニグループは約桧であることを導き出した

0

同様に彼は第

︱‑︑三グループの機械輸入は同一水準を示し︑第一グループはその稀に過ぎないとの結論へ到達した︒これより︑発

展的工業化国の機械輸入は平均して︑外国貿易の国民一人当りの額を次第に高めるとの結論を導き出した

0

斯る傾向

は︑グループに属する諸国の平均についてのみ妥当するものであり︑その限りで形式的にのみ成立する結論である︒

然るに︑ワーゲマンによれば︑現実には︑斯る結論は何事をも語らざるものである

0

等の第ニグループに属する国をとりあげてみる︒これらの国々はオーストラリヤ及び=ュージラン等とその全体の経

済構造という点で全く異るのである

0

1ーグループよりオランダをとり出してみる

0

その外国貿易額を語る数

字は︑この国特有の﹁通過輸送﹂のため他と異る非類型的性格を有しているのである︒

0

斯くして︑ワーゲママンによれば︑ランゲの手続によると︑

れており︑外国貿易の変動の文字通りの全体的傾向を統計的に指摘するに過ぎないのである

0

即ち実体的に異る各国

甚だ危険であり︑ 発展的工業化国 初期工業化国 社会統計に附き纏う誤謬について︵高木︶

貿

及びアルゼンチン︵二五〇マ

以上のグループ分けは部分的には︑恣意的に形成さ

(8)

99 

社会統計に附き繍う誤謬について︵高木︶

適当なことであるからである

0

も︑実体的性格を無視する限り︑

b︑与えられた場所的限界の誤れる解釈

誤った綜合によるのみならず︑場所の分類が不充分に行われる時も︱つの﹁戯画﹂

(Z er bi ld )

が生じてくる︒

Wa ge ma nn ,  i b i i d .   a .   a .   o .   s .  

121)即ち政治的又は地理的に興えられた領域により形成される異る面積は︑常に必ずし

も直ちに相互に比較されない

0

ワーゲマンは︑輸出が国民所得のうちでいかほどのパーセントを占めるか

(E .  W ag em an n, t   S ru kt ur   un d  R hy th um us   de r  W e lt w i rt s c ha f t ,  B er l i n,  

1931); 

これによると︑第一︑次大戦後の合衆国の輸出高は︑国民所得高に則して測定すれば︑

トに過ぎない°更に︑同じ広さの経済地域を比較するために︑全ョーロッ.︿の外国貿易額の約六

O ' <

1

セントを占る

ヨーロッ︒^諸国の外国貿易額を除去して比較してみなければならない

0

斯くすることに依り︑合衆国と全ョーロッ︒^

が︑合衆国及びョーロッ︒^諸国が︑合衆国及びョーロッ︒︿以外の諸国との外国貿易額が国民所得に於て占める割合を埒

き出すことが可能であるという

0

斯る判断は果して正しいか

0

ワーゲマンによれば︑これこそ﹁与えられた場所的限

界の誤れる解釈﹂である︒けだし︑上述の如くョーロッ︒^を全体視すること︑更に︑世界市場を単一視することは不

ヨーロッ︒︿という地理的単位とアメリカ合衆国という国民経済的単位とを比較

一九一三年

0

一 ' ‑

一九二八年

二 ︱ ー ニ 六

I

を︑次の如く示す︒ 一種の誤謬と考えなければならないのである︒

︿

o ・

1

( E .

 

(9)

100 

此処での質的構成と︑後述する量的構成とが︑物的構成に統一されるものであるが︑

成のみが物的性格左有するのである︒<わしくいえば︑物的標識による総大量の部分大量への分類のクライテリオン

をなすものであり︑この限りで上述の概念の分類と一致する

0

故にそれに限き縄う誤謬は既述のそれと一致する°更

に︑総大量の物的分類は︑調査技術の性格に関聯する︒

して経営調査によって与えられるような質的分析は^住宅調査に基づく家屋営業をとり入れることによって︑補充さ

0

家屋営業という場合︑恰も商業が︑その商品を貯え︑かつ配給すると全く同様に﹁家屋を設営し︑かつ消費者

に配分するために︑家屋建築の生産物︑即ち住宅が払われる家屋所有および家屋の管理を理解する﹂との定義の許で

行われたドイツの経験によれば︑けだし︑人が居住するから︑その国民経済的機能は︑正しく私経済的な財産管理の

一部分と考えられる故に︑国民生産高の五︒^ーセントから一0︒^ーントまでの価値の創造を以て参加している

0

斯る

家屋の私経済的な財産管理は︑普通には副業として取扱われる故に︑その調査は非常に困難となつてくるのは当然で

ホテルや下宿業の調査に於ける如く間接的ではあるが︑経営調査に居住利用の設営が現れてくる場合には︑そ

れは︑経営活動の単なる一部分を示すに過ぎないのである

0

即ち︑等しく﹁家屋﹂といつても︑単なる居住用の家屋

する時の娯謬について述べたのである︒ することは許され難いことである

0

然るに︑この種の誤謬はしばしば見受けられるのである︒

C

︑質的構成の誤謬

われわれは︑既に﹁統計大量の誤れる形成﹂及び﹁統計大量の表現の誤謬﹂の筒処に於て︑大量が経験概念を反映

するものであること︑即ち統計大量の物的構造が論理的概念の分割と相関性を有することを述べ︑その相関性を欠如 社会統計に附き纏う誤謬について

( E .  

Wagemann•

ib

id

, 

a .   a .  

o .  

s .  

1 2 2 )

ワーゲマンによれば︑質的構

斯る試みと

(10)

I O I  

社会統計に附き纏う誤謬について d︑量的構成の誤謬

故に非営利的な家屋と経営調査の対象となる家屋とは︑質的には別の存在であり︑これを混同することは︑結果とし

ての統計そのものの誤謬を来すのである︒

既述の統計大量の表現の誤謬の第二のものである統計の解釈の誤謬のうち︑形式的分布および分散度の誤謬の箇所︑

故にわれわれの順序でいえば︑

A

加に於て既に量的標識に於て大量をとらえ︑かつ︑その構成を分析し︑綜合する

I

場合の誤謬についてのワーゲマンの見解の一端を述べておいた

0

此処では︑量的標識によって支えられる統計の利用

われわれは種々の量的標識によって︑総大量を種女の方向より分類し︑部分大塁を構成することが出来る

0

たとえ

ば︑租税統計によってとられると異る所得階級によって国民所得を階層別けするが如き場合がこれである

0

この際に

次の如き統計的な困難性又は誤謬の危険性がみられる

0

即ち︑ワーゲマンによれば︑

ランスは︑斯る誤用の例の宝庫を成すものであり︑公的予算案は更に一層豊富な宝庫である︒もし︑われわれがある

'一定の支出項目を出来るだけ小さくみえるようにしようとするときは︑そのううちの大きな部分を他の項目に加える

ことは︑容易なことである﹂

( E .

Wa

ge

ma

nn

̀  

ib

id

̀  

に総予算の質的分類であるが︑ に附き罷う誤謬を問題とする︒

a .   a .   o .   a .  

1 2 3 )

家﹂という﹁外套﹂を被せて堂女と誤魔化しをやつてのけるというのである

0

総予算そのものに問題があるばかりで

時間的構成︑場所的構成︑質的構成および量的構成の誤謬というのは︑ なく︑誤魔化しは各支出項目間のバランスにも存在するのである

0

尤も︑この際に注意すべきは︑各支出項目は明白

彼では

s a

c h

l i

c h

e

Gl

ie

de

ru

ng

という点に重点が置かれている

0

要するに︑既述の

いづれもその構成の原理の非論理性︑非現実

党政策上の目的に﹁国 ﹁正さしく︑あらゆる経済的べ

(11)

102 

B︑何等の関係もない大量の疑わしい比較 ⑪異種大量の誤った比較 固使用し難い公分母を適用しての同種大量の比較 ワーゲマンは︑これを次の如くに細分類する︒ 性に基づくような誤謬であり︑そのいづれも︑その構成が現実に即応せず︑納得出来ない原則又は標識によることの

2

︑統計大量の比較と組合せの誤謬

統計の利用の重要な段階は︑二つ又はそれ以上の統計大量の比較と組合せのそれである

0

なお︑斯る手続の結果を

して︑われわれは各種の統計的比率を得るのである

0

故に︑此処でわれわれが述べることの内容は︑統計的比率に附

き纏う一連の誤謬についてであり︑その意味で

I

1

︑⑮に於ける統計的平均値の誤謬に対応し︑両者を綜括するこ

とによって誘導統計値に附き纏う誤謬の体系を樹立することが出来るのである︒

a

︑外的公分母の非統一性B︑不当な内的公分粒

虚偽の環境選択

以下︑この各父についてワーゲマンの見解について︑彼の挙げる例によりつ4

まづ︑彼のいう﹁公分母﹂とは一体︑いかなる論理的意味を有するものであるか

0

彼によれば﹁われわれが統計大

量を相互に比較しようとする場合は︑われわれが結合さるべき諸数を共通の根拠へもたらして理解する場合にのみ︑ 社会統計に附き纏う誤謳について

1 0

 

(12)

103 

社会統計に附き纏う誤謬について ワーゲマンが再三︑

尺度単位と統計単位とは混同されてはならない︒たとえば︑

2

︑各異種大獄は次の如く組合される︒ ⑮内的公分母 固外的公分母

比較が達成される︒同種大撒を取扱うのであるか︑異種大量を取扱うのであるかによって︑そこへ通ずる道は異る﹂

(E .W a g e m a n n ,  

ib

id

, 

a .   a .  

o .  

s .  

1 2 3 )

次の各場合を列挙する︒

1︑各同種大量は︑それぞれに共通の経験的︑具体的な尺度単位である公分掲によって比較される

0

即ち︑それによ

つて大量が把握される﹁奥行き﹂

(T

ie

fe

)

に従つて︑次のものがある︒

固ある大獄を他の大量の尺度単位へ換元することによる︒

⑮共通の抽象的な︑無名数による尺度単位︵たとえば︑指数の某準︶による︒

元来︑公分侃というのは﹁︱つの抽象的な大きさ﹂であり︑異る分数の分母の最小公倍数である︒この際︑注意すべ

調ある一国の

面積は一定の数で︑しかも尺度単位で表現されるし︑又︑表現されているのである

0

人口も数字で表現される

0

も統計大量という形をとつて表現される︒この際に面積の場合は平方キロメートル︑又はヘクタールという表現がと

られる

0

即ち面積はこの尺度単位で測定される

0

併るに︑人口は測定されるのではない︑数えられるのである︒この

場合一人一人が統計単位をなすのであり︑これに対して︑面積単位は任意に決定される技術的単位であり︑

積は各地方に分割され︑それぞれの地方の面積は統計単位を形成する

0

けだし︑それが平方キロメートルによつて測

定され︑尺度単位に分たれ︑個Kの地方に使用される︱つの公分母に結合される°各大量に共通な経験的︑具体的尺

(13)

1 0 ‑ 4  

1 0 0  

J I  

J ] 

1 0 0  

S ̲ i j

 

94 

4H 

94 

たとえば︑次のような価格の時系列を考える

0 .

統計学的には︑相異る部分大量を︱つの総大量に組立てることにより成る

0

なお︑次にワーゲマンによる外的公分母

と内的公分母との区別について述べよう

0

上述の上位概念を﹁類概念﹂公ぶ

t t u n g s b e g r i f f e )

t

日 '

§ g l e i c h e

  Ma  m 器

n )

と称し︑同一の内的公分母を有する大量を﹁種同大量﹂

( a r t g l e i c h e ・ M a s 器 n )

( E . W a g e , 

ー•

i b i d

̀ 

 

a .   a .  

o .  

s .  

1 2 4 )

これだけの予備概念の許で上述の細分類の説明へ進むことにする︒

a

︑即ち外的公分母が非統一的なる場合であり︑たとえば︑生産者価格を卸売価格ですりかえるような場合であ

﹁公分母を以てする誤れる遊戯﹂

( F a l s c h e s S p i e l   m i t   d e

g  m   G 

e r a l n e n n e r )

が行われるようになる

0

ることより成立する統計的誤謬﹂である

( E .

W~gemann,

i b i d ,   a .   a .  

o .  

s .  

1 3 0 )

政府統計に於ても︑この統一的な尺度

の統一性が保れず︑トンと二百斤

( E

点 邑 器

n g

e r ) .  

が混乱して使用されたり総重量と純重量とが混同されたりするこ

とさえあるのである︒このような公分母の混乱と混同の例をワーゲマンは価格統計と生産統計とよりとる︒

価格統計よりの例 ﹁たとえ︑それが︑現実にそうでないにも拘らず︑一見して統一的な尺度によって︑相異る諸大量を同種のものとす

a

( A r t b e g r i f f e )  

5A 

94 

一、二月•

10

0 Xであった価格が︑三月より九四へと下降した然るに︑三月には商品のカルテルが行われ︑より

0

度単位は︑相異る概念を︱つの上位概念に結合する︑

社会統計に附き纏う誤膠について

︵ 高 木 ︶

それに下位的に このような公分母を導入するに際してとられる論理的手続は︑

(14)

105 

する生産統計より労仇者一人当りの年生産高を次の如く算出する︒ 低廉な生産費で生産される劣等品質の商品が販売されたとする

0

然る場合︑われわれは斯る品質の変化を価格系列よ

り除去しなければならない

0

もし︑そうしなければ︑五ケ月の公分母たる性格を失うのである

0

にも︑三︑四︑五月同様の劣等品質の価格を持つて来なければならない

0

その結果︑次の如き数値を得る︒

これより︑カルテルは価格を低廉としたのでなはく︑むしろ騰貴せしめたのである︒

生産統計よりの例

次に︑公分母の﹁すりかえ﹂は︑総生産高と純生産高とをとりかえることにより生ずる

0

ワーグマンはソ聯の発表

綿

機械工業

化学工業

0

九、000~

―-、四00~

00

ゾ聯に於ける工業生産力は︑

1

00より二二三に上昇したという計算

結果が公表されたが︑現実には僅か一四六にまで上昇したに過ぎないのであるという

0

然るに︑上述の高い生産活動

の輝しい発展は一体︑いかなる根拠より出現したのであるか?ワーゲマンによれば︑それは﹁あらゆる型の比較的高

い総生産高を有する産業部門への工業活動の伸張は︑高められた純生産高︑故に︑改善された労佑力の証明に役立つ

に相違がない﹂からである︑

( E .

W a g e m a n n ,   i

bi

d,

 a .   a .  

o .   s .  

131)

そこで︑上述の各部門別の労仇者一人当りの生産力

社会統計に附き纏う誤膠について

J . I  

88 

2 J . 1  

88 

94  3~

4 J . I  

94 

94  5~

(15)

106 

(E . 

Wa

ge

ma

nn

,  i

b i d .

  a .  

a .   o .   s .  

127) 

価格関係は奴用量の間接的な尺度に過ぎない︒ を表より理解される通り︑化学工業と機械工業とがソ聯の綜合経済内に於て重要なものとなつているが︑なるほど︑平均生産力は統計的には高くなつているが︑斯る結論は﹁すりかえられた公分母﹂によつて導かれたものであり﹁外的には識別し難い尺度単位の混同﹂によるものである

0

即ち他の二産業と比して化学工業︑機械工業では︑二重計算

が行われ易いからである

0

斯る部門へ経済政策の重点を置き︑かつ︑二重計算を行ったがための結論であるに過ぎな

いというのである︒

(E .

Wa

ge

ma

nn

,  i

b i d

.   a .  

a .   o .   s .  

1 3 1 )  

B不当な内的公分母

ヽ ノ

カロリーを栄養価値単位としてとるが如き誤謬である

0

此処でワーゲマンの﹁食糧餓饉の法則﹂

(D

as

G e s e

t z  

d e r  

L e b e

n s m i

t t e l

t e u e

r u n g

)

について述べよう

0

食糧経済の領域での統計的研究を行う場合にはカロリー

が栄養単位として︑即ち炊用量の単位としてとられる

0

然るに︑ワーゲマンはカロリーを内的公分母とすることに次

の如き理由で反対する︒

﹁単に︑その生理学的な燃焼価値のみが︑ある食糧の栄養価値に決定的な意義を有するもの

ではなく︑それに含まれる鉱塩やビク

t

ンが計算に入れられておらず︑かつ︑その中の蛋白質が現れてこないからで

( E .

Wa

ge

ma

nn

.  i

b i d .

  a .  

a .   o s .

127)

然るに︑戦時中にはカロリー計算が特に重要となつて来る︒ 

( E .

Wa

ge

ma

  , 

g , 

D i e  

L e b e

s m i t

t e l s

t e u e

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s e t z

m a B i

g g k e

i t e ,

  I n  

S c l m

i o l l

e r s   J a

h r b u

c h ,  

1 9 1 9  

̀  s .  

1 2

1 £

£ )

一九一四年よ

り一八年に至る食糧封鎖されたドイツでは︑食糧品価格は﹁栄養価値に従う価格相殺の法則﹂によって支配されたこ

とを指摘する

0

即ち︑餓餓が高まるにつれて︑食糧品価格はカロリーによって表された

0

何故なれば︑消費者は最小

の貨幣支出で以て最大の栄養価値を得んとするからである

0

極端にいえば︑最も重要な含水炭素である馬鈴薯︑.穀粉︑ 社会統計に附き纏う誤謬について︵高木︶

一 四

(16)

107 

社会統計に附き継う誤謬について

⑮異種大撼の誤れる結合

五人家族の余り豊でない労仇者の世帯では︑一九一四年四月では︑

︵姫川博士︑統計利用に於ける某本問題︶

ヒ ︑

1 0

0   0

カロリーについて一七ペー=ッ 食糧品の物価指数は︑ 砂糖はカロリーに従って同一の価格をとる結果になる別の例として︑戦前では︑最も安価な豚肉の価格が最も高価

0

となるのである

0

なお︑彼はこのカロリ1計算が経済関係を説明するのにいかに価値あるものであるかを次例で明ら

一九一四年より一八年の期間以前にドイツでの食糧支出は一六

0

億マルクであった︒これは大体︑

0

兆カローリ

の食糧消費に値する︒これによると一

000

カロリーの値は︑二

0

0

戦争餓餓によって︑食糧支出

は 一 ︱

‑ 0

0

億マルクヘと増大し︑同時に︑使用し得る食糧は約六五兆カロリーヘと減少した︒これより一0

00

ーの値が四六ペー=一ッヒとなった

0

直接の価格調査によっても︑この推論結果を保証することが可能である

0

一九一四年四月より一九一八年=︳一月までに亘り︑二倍となっている

0

即ち戦時経済の配給に基

一九一八年三月では三七ペー=一ッヒとなつていた︒

(E . W a g e m a n n ,  

ib

id

. a .   a .  

o .  

s .  

127  ,  s .  

1 2 8 )

即ち︑カロリーは

決して適切な栄養価単位ということは出来ないのである

0

むしろ︑困窮状態の許での食糧品価格こそ︑

を考應に入れての内的公分母としての性格を有しているのである︒

a

︑虚偽の環境選択

統計的比率の一種である非構成的︑異種統計比率のうちでの非構成的︑因果的統計比率は︑異種の統計値を関聯を

して求められる統計的比率であり︑

明確になる。•この実質的な関係のうち、根本的なものは、因果関係である。 あらゆる条件

﹁実質的に関聯せしめられる意味を問う﹂ことによってのみ︑その理論的根拠が

(17)

108 

8 .

  1 2 9 )

の誤謬というのは︑ お︑その他に相関関係があるが︑それについては既述の通りである︒

なものとなる︒

異種的統計比率のうちで因果的︑

統計比率について吟味すべき実質的な意味とは︑

が比率である限り︑分数の形態をとるのであるが︑その分母集体と分子集団との間の因果性の吟味をいうのである︒

因果性の欠如する集団間の︑更にそれが不明確なものは︑結果としての統計的比率そのものを無意味なもの︑不明確

選択することの誤謬をいうのである

0

即ち︑当該の分子集団を発生せしめることの明確な環境たる分母集団を選択せ

ざることより発生する誤謬をいうのである︒

( F e l i x K l e z l

N

o r b e r g

` と

l g e m e i n e M e t h o d   g 

I e h r e   d e r   S t a t i s t i k  

̀  W i e 1 ; 1 ,  

1 9

4 6

.  

化学実験室に於て種六の元素を勝手に混合するような無目的な盲目的実験に伴う誤謬に類するも

( E . W a g e m a n n , i b i d ,   a .   a .   o•

D .   1

3 1

' B

.  

1 3 2 )

又︑それは一国の労仇強度を表現し︑更にその資本強度と密接

に関係のある人口密度を求める場合のように高い認識価値に即応するように選ばれたものでなければならないのであ

( E . W a g e m a n n

︑ S t r u k t

目 u l d

R y t h h u m u s   d e r i   W r t s c

t t ,

1 9

4 1

.  

, 円 h

3 ng d 

V o l k e r s c h i c k

器 l︑ 1 9 4 8 )

ベラの花が一人一人の美しい処女に割り当てられるかというようなものであってはならない︒

ワーゲマンによれば︑環境集団又は分母集団の選択の誤謬より発生する異種的集団間の因果的統計比率の誤謬及び

虚偽には︑次の二種のものが存在するという

0

即ちその一はたとえば総人口を分母とし莫の消費高を分子集団として

求めた人ロ一人当りの莫消費高を求める﹁莫をふかす赤ん坊﹂

( D e r Z i g a r 1 1  

r a u c h  

g  d e

  S a u g l i

品︶という奇妙な人口群

までを分埒集団へ入れることよりの誤謬であり︑ワーゲマンによれば﹁関係数量の誤れる構成と限定に於て﹂︵甘

e

e r f a l s c h e n   G i e d e r u n g

n   u d   A b g r e n z u n g

e   d r   B e z u g s g r f , B e )

成立する誤謬であり︑第二のものは︑いわゆる統計によれば︑ 社会統計に附き纏う誤謬について

一 六

何本の J

(18)

109 

社会統計に附き線う誤謬について

それは社会厚生施設が改善され︑

﹁高い癌の死亡率は︑寿命が延びたことの結 医学が発達したため老令者が多くなり︑平均寿命が延びたのであり︑勢 死亡者総数を分母集団とし︑ベッド上の死亡者数を分子集団として︑その比率が大であるからとて︑此の世に於てベッドの上ほど危険な場所は存しないという結論︑すなわち︑﹁生命に危険なるペッド﹂

( d a s l e b e n s g e f l i h l i c h

tt)

e

る考え方である

0

ワーゲマンによれば斯る誤謬は﹁統計的前提よりの誤れる結論に依存するものであり︑本来︑統計

的性格を有しないものである﹂という︒

(E .

W a g e m a u n

̀ 

 

i b i d ,   a .   a .  

o .  

s .  

133)

即ち︑第一の誤謬は︑分母集団たる環

境を余りに広くとり過ぎたために起る誤謬である

0

乳児や幼児は決して蔑をふかしたり︑常客用の食卓に坐つて︑・ア

ルコールを摂ることはないのであつて︑斯る総人口と享楽財の消費高との組合せより誘導せる比率は意味のないものー

である

0

第二の誤謬は分母集団と分子集団との組合せ自体が

. . . . . .  

即ちワーゲマンのいう統計前提そのものが非論理的

な許され難いものである

0

この種の誤謬の他の例として﹁高い癌の死亡率は寿命が延びたことの結果である﹂との判

断に於てもみられる

0

事実︑癌の死亡率が高くなったのは︑従来︑死因不明とされたものの中に癌によるものが多く

あったが︑診断技術が発達し癌の死亡者と判定される数が増大した結果ばかりではなく︑事実上︑増大したのである

い老人病である癌の罹病率︑死亡率が高くなったのである

0

果である﹂との判断が生じて来る

0

併し斯る判断は必ずしも正しくはない

0

その理由は︑ワーゲマンによれば﹁おど

けた問に対するおどけた答であるに過ぎない﹂︒なるほど︑六

0

オ以上の老令者の増大は︑全人口の拙死亡率を高め

るが︑それ以下の年令の人口群にまでこれを及ぽせしめることは許され難いのである

0

次にワーゲマンは︑婚姻が寿

命の延長に作用するか?という問題を掲げる

0

その際に彼はウエスクゴードより次の如き統計を籍りる

0

即ち︑スウ

エーデンの一八八一年より九

0

年に亘る平均に於けるニニオー︳︱‑六オまでの年令群の男子の死亡率を示す︒

(19)

1 1 0  

未婚者

0

有配偶者

0

然るに︑配偶状態に応じて︑同一の年令群の死亡率を算出すると次のようになる︒

三ニオ—三六才

両部分集団ともに年令が上昇するにつれて︑その死亡率は増大している

0

配偶状態により部分集団を構成せざる場合

には︑次第に減少したものが︑同一の統計によっても逆の姿を現すのである0その理由として︑ワーゲマンは﹁その絶

対的な大きさに於て相互にずれのある統計大量に関係のある割合が問題とされる故に︑計算上だけ可能である﹂とい

う°即ち︑全体に於ける変動と部分に於ける変動とは必ずしも一致しないのである︒

人間の健康と生命には都合よく影響を与えるとの結論を導き出すが︑ワーゲマンによれば︑

はそれ自体が婚姻の肉体的︑精神的︑社会的前提を欠如し︑斯る望ましからざる生活関係が同時に高い死亡率と同様

この両者に恵まれた者が有に結婚の機会を失わしめるのである

0

故に結婚が健康と生命とに都合がよいのではなく︑

配偶者集団に年令が高まると共に加.わってくるのである︒

(E .W a g e m a n n ,  

ib

id

, 

a .   a .  

o .  

s .  

136) 

次に環境の選択の誤謬を明白にせんとして︑ワーゲマンは﹁土地の所有が子供の数を増大するか﹂という問を掲げ

る︒その問に答

x

るため︑家族状態を夫婦の婚姻継続期間︑子供数及びその他の多様な人口政策的見地によって分類

社会統計に附き縫う誤謬について

むしろ逆であり︑未婚者 ウエスクゴードによれば︑結婚

一 八

参照

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ケース③