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固体の比熱測定法(改良混合法)

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Academic year: 2021

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25

固体の比熱測定法(改良混合法)

機械工学教室 宮 部 喜代二    〃   勝  原  哲  治

九州歯科大学第1補綴学教室

 細 川 貞 雄    〃      坪 根 皓 二

AMeasurement of Specific Heat for Solids.

     (Modified Mixing Method)

Kiyoji MIYABE Tetsuji KATSUHARA Sadao HOSOKAWA K6ji TSUBONE

  In this paper, it is reported a modified mixing method of specific heat for solids.

This method are abstracted next:(1)the apparatus have two adial)atic boxes with a Jewer bottle respectively.(2)Specific heat of materials are measured by temperature difference between the temperature of water in the two bottles, weight of water and specimen,

and initial temperature of water and specimen.

  It is the characteristic of this method, that any heat losses are need not to consider and it is available for smaller capacity of specimen.

  It is shown that the specific heat of coppor, porcelain, glass porcelain, acrol1(plastic)

and teeth are O.0952,0.188,0.162,0.42 and O.24 respectively.

 1・はしがき      著者らが比熱測定に着手したのは,つぎのよう  固体の比熱測定法として良く知られているのは  な理由による。すなわち・人間歯および歯科材料 混合法である。混合法で測定精度を上げようとす  の熱的性質を解明しようとするにあたって・形状 れば,試料投入による断熱容器中の液体の温度上  が小さく不定形の試料を対象とする熱的性質の測 昇を正確に測定すること,熱量損失(水当量をふ   定方法を求めること・そのためには・直接熱伝導 くむ)を正確に知ることなどである。しかしなが 率を測定することはきわめて困難であるので・比 ら,少量の試料を用いた場合,上述の精度を必要   較測定その他の方法3)・4)によって・まず温度伝 なまでに高めることは,かなりの困難をともな  導率を求め・ついで比熱および比重を測定して・

う。      熱伝導率を算定する方法が適当であると考えたか  ここで示す改良混合法は,基本的な考えとして  らである。

は既に鞍叉ている一・二の方法1) 2)と同様 2.混合法および改良混合法 のものであるが,その特長としては,少量の試料

       2.1.混合法 の場合でも,かんたんな実験装置と操作によっ

て,かなりの測定精度をうることができる点にあ    まず,混合法についてかんたんに説明する。断 る。       、      熱容器中に重量G叩,温度τ。,。°C,比熱C初の

(2)

水が入っており,同容器中に測定しようとする試   物理実験でよく行なわれる金属球の比熱測定の 料Gエσ, τ灘゜C,Cオのものが投入され,水温が  場合には,容器中の水温は,試料投入後1分以内 ち。。になったとする。      で一定温度に落着き,測定に要する時間が短いの  一般に混合法では,τ、,。を常温,ちを高温とす  で,@。,。一τ川)の変化量は小さく,したがっ る実験が多く,また水以外の材料による交換熱量 て,(ん。−rψのがかなり大きな値であれば,前 を水当量として式を導入することが多い。しか  者の温度差の値は無視しても,測定比熱にさ程影

し,ここでは改良混合法説明の関係もあり,ん・  響を与えないであろう。

を高温,九を常温とし,容器中の水温の変化は・   しかしながら,たとえばぴω。一τ。のが1°C以下 水以外の材料と試料投入とによる交換熱量および   で試料投入後の容器内の水温が一定値に落着くの 外部への損失熱量であるが,試料以外の関係熱量   に数分以上を要するような場合には,αω。一ん、)

を損失熱量と考える。       の影響を無視することは出来ない。すなわち損失  このような場合,容器内の水の失なった熱量  熱量は(ρ,,。一∫,,のの値の大小とはほとんど無関

●,,,と試料のえた熱量仇および容器より外部への  係であるから,(彦四一τω山が小さい値となるにつ 損失熱量危との間にはつぎの関係が成立する。   れて,比熱測定の精度に大きく影響するようにな    仇=仇+σ,       (1)   るのである。

また,仇,色および9・はそれぞれ次式で示すこ   また,温度測定の方法も測定精度に大きな影響 とができる。       を示す。いま, 鵬,τ四,んおよびτ川の時間    4ω=G初 Cωぴ・・,・一τ・∂      (2)   的変化といった4種の温度をそれぞれ単独に測定    4・=G・ , α ・(Zμ・o−]チω1)     (3)   し,その結果を用いてそれらの温度差を算出する    仇=GいC・(㍍一1の       (4)   とすれば,温度計器の誤差が大きく影響する場合     =σω一σ・      がある。たとえば熱電対を用いて,その起電力を     =Gω C〃,@…一τ・・)     (5)   mV計に記録させる方法を用いたとする。τ脚≧

 ここにZ川は試料を投入しないで,熱量損失の  70。Cとしフルスケール4mVで記録測定させる みによる同一時間経過後の水温である。したがつ  と一般にこのような計器はフルスケールで0.5〜

て・損失熱量のない装置では㍍・=ん・となる。   1%の誤差をともなうから,温度にして0.6〜1.

 測定試料の比熱は・上記関係式を用いて次式で   2。Cの誤差は止むをえない。ところで, (ん。一 示される。      τ脚)≡1°Cとすると,上述の4mV(約120°C)

C−G・ CYピ当宍≡鎚(6・)フルスヶ一ルでんの∫一を測定しても・それぞ

一鑑漂許  (6b)㌶晶睦㍍警跳訂

  (6a)式右辺分子において, (ん。一∫ωのの  orderの値であるため・このような測定は不適当 値に対してぴ脚一τ四)が極めて小さく無視でき  であるということになる。まして損失熱量の推定

る場合は,損失熱量を考慮しないで良いが,両者  のためのτ咀の時間的変化の測定は一層の困難 が同じorderの値あるいはそれに近い値の場合  さを増す。

には無視することができない。       このような場合は・むしろ棒状寒暖計で測定す  また,ん、は時間的に変化する値であるから,  る方が,測定精度の点からはまだ適当であると言

装置で予め測定しておく必要があり,それぞれの  える。

装置に特有な関連数値ということになる。比熱を   しかしながら,mV計を用いる場合に適当な 測定する場合,測定時間に応じて装置の特性値と  方法はあるのであって,温度差ぴω・一τ蹴)ある

して1川を時間の関数として定めておく必要が  いはぴω、一τ脚)を測定するようにすれば良いの あるわけである。      である。すなわちmV計の測定範囲を変えるな

(3)

らば,50μVフルスケール(約1.2°C)範囲にし   装置の概略を第1図に示す。図の①および② て,上述温度差を測定すれば良い。ただし,この  は全く同一構造の断熱容器および附属装置からで 場合τ励,τ四,ち。。いずれも同一容器中の水温で  きている。これらの構造説明図が第2図で,その あるから,直接それらの温度差を測定することは  主な部分を説明するとつぎのとおりである。すな 不可能である。次項で述べる改良混合法は,この  わち,①のジュアーびんは内容積約500ccで,

ような場合に測定可能な方法である。     その口径は約50mmあり,ゴム栓④を用いて  2.2.改良混合法      ふたをする。④のゴム栓は図に示すように・撹       絆器⑦熱電対保護管⑤,試料投入口用孔とそ  以下に述べる改良混合法は・前項の混合法のも  のゴム栓などが設けられている。撹拝器用モ_タ つ欠点を除き・試料が少量でかつ投入によって生   は直径12mmの模型用最小型を用い,電池に接

じる水温の温度差が小さい場合でも・かなりの精  続される。熱電対保護管⑤は3mm径のアル 度で比熱測定を行ないうる方法である。       ミパイプで,中に挿入された熱電対のパイプ両端        露出部分を接着剤でふさぎ,毛細管現象        による水の流出を防ぎ,温度測定の正確        さを保つよう配慮されている。撹絆器の        辺を網状にかこっているのは,試片と撹拝器の        ロペラとが接触しないよう保護するために設け        τる。

       これらの写真を第3図aおよびbに示す。実験        定にあたっては,第1図に示すように同一装置        二個製作して用いる。

       すなわち,理想的には全く同一・構造に製作され

    ○   ◎   た断熱容器①および②を用い・そ提れのジユ

      アーびん中に同一重量Gωσ,同一温度ん,°Cの       第1図 実験装置略図      水を入れる。両者に挿入された熱電対によって,

⑤    }一⑥

、         ⑦

      \       〃

       .      1       第3図(o)実験装置部品写真        8

     /  〆

       両水温の温度差を測定記録できるように,同図

①ジユアびん②外箱③断熱材④ゴム栓 に示すような醜で識測定を行なう・酪壁中

⑤熱電対保護管⑥熱電対 ⑦撹絆器⑧撹絆     の水温は実験初期には等温であり・熱量損失が等 器用保護網 ⑨試料⑩水       しければ,熱電対に熱起電力は生じないから・時     第2図 断熱容器説明図        間経過しても記録紙は0点を記録するはずであ

(4)

第3図  (b)     。山 ⊇   .

る。しかしながら,こ  の時間的変化を示している。試料投入と共に曲線 れは理想的な場合であ  が急激な変化を示しやがて数分後に,また安定し って,実際には両断熱  た左下りの勾配となる。この急激に変化した部分 容器の外部への熱損失   が試料の比熱による熱交換量を示すことになり,

は等しくなく,その差   未知材料の比熱を求めることができる。

だけの両水温の時間的

変化が記録紙に示され   3・実験その他

る。 本実験装置での   上述改良混合法による比熱測定には,試料とし 両水温の差は約2/100  て(1)市販の銅材(2)歯科材料の陶材A(高溶ポ

゜C/minである。実験   一セレン)(3)歯科材料の陶材B(グラスポーセ 測定の記録の一例を第   レン)(4)商品名アクロンと称するアクリル系重

4図に示す。同図は人   合樹脂(透明)(5)1年以上経過した抜歯人間歯 間歯の比熱測定例で,   の5種について行なった。

抜歯後一年以上自然放    実験開始前に,まず試料を直視天びんで重量測 置した試料6ケ・重量  定し,ついで,2ケのジュアーびんを皿天びんに 9・8419のものの実験   のせて,バランスさせ,さらに等量,等温の水を 例である。時間は右か  両者につぎ分けてバランスさせ,断熱箱中に設定 ら左へと移行し・試料   する。直ちに両容器の水温の温度差を記録させ 投入別も記録曲線が左   る。適当な時間経過後,一方の容器の小さなゴム 下りの勾配となっていることが・両水温の温度差   栓を外して試料を投入し直ちにゴム栓をとじる。

O        この開閉操作を早く行なわないと温度差の記録曲 線に乱れが現われるので注意を要する。

 なお,投入前の試料は,安定した大気中に放置 して,その大気温度を試料の初期温度Z,とし,

それぞれの容器中の水温とともに別の熱電対によ って測定記録させてある。これらの温度測定に は,いずれも検定ずみの0.3mm径の銅一コン スタンタン素線熱電対を用いた。

 測定結果の一例は第4図に示したとおりであ る。試料投入前および,試料投入後安定した後の 曲線はほぼ直線とみなされるので,試料投入直後 の時間における両直線の起電力の差を第一近似の α川一んのとする。 ((6)b式参照)より正確な 値を求めるには,つぎのようにすれば良い。両曲 線は一般に平行でないので試料投入直後の時間点 での両曲線の延長線の交点A,B(第4図)のい ずれかの点,図ではA点から,試料投入後の曲線

交点Dと投入前の曲線の延長直線Eとの平均点F         試料投人      を求め,F−Cの値を熱起電力の差として用い

第4図 記録紙測定例       る。

(5)

29

第1表 温度範囲20〜70°Cでえられた諸材料の比熱

試料名1銅(市販)1陶材討陶材引ア,。引燗歯・

1Gω、,g 已3.5 3・6.5 329.5 i285.7 13・・.7

G勒,gl,路.3i3。6.2{33。.31285.31298.5

鋤一・眠℃i・.33−・.291i・.・43

   ・   17・.。9・i59.643 64.83

       70.8    、 59.4     64.2       1       [

Gκ, g        l 21.10 τκ, °C       19.6

τz〃κ, OC       ; 67.1

螂一τ・,°ci47.5

C克, Ca1/g°C    O.0952

葺あ一比熱値「。.。96(5)

測定試片の個数13

12.658 19.803 i9.{姐

2。.3ト2。.2122.、

…88i・・162;・…81・・24・

       (6)1  (7)

       0.35     10.15〜0.2

       匝35(8)

※陶材A:高溶ポーセレン

 陶材B :グラスポーセレソ

  アクロン : アクリル系重合樹脂(商品名)

 前述5種の試料についての測定結果を第1表に  前の水温の温度差との和が必要精度の目盛範囲に 示す。表中のGω、,Gω2はそれぞれ容器①,  おさまることが必要である。

②中の水量を示す。なお表中には参考のために各    本実験の場合,試料投入による温度降下は0.3 文献に示されている比熱値をも示しておいた。   〜0,5°C程度で,計器の測定範囲は1.2°Cのも  っぎに,本改良混合法による実験結果からえら  のを用いたから,他の温度降下および水温差は れた,実験上注意すべき点につき,二,三述べ   〔1.2−(0.3〜0.5)〕°Cの範囲内におさまるよう る。      にしなければならない。このためには,測定開始  前にも述べたように,本方法によれば,理想的   前の両容器の水温差をできるだけ少なくし,装置 には両断熱容器の外部への熱量損失は等しいはず  を十分注意して断熱容器としての目的を果しうる であるが,実際にはその損失に相異があり,水量   よう製作する必要がある。

300cc程度の場合,両者の温度差の時間的変化は    温度伝導率の小さい試料の場合は,試片個々の 約2/100°C/min程度を示す。この値は両容器の  大きさをできるだけ小さくする必要がある。その 熱量損失差が約6cal/min程度であると推定でき  理由は,試料投入による温度変化がゆるやかにな

る。したがって,測定にあたっては,両容器の水   る恐れがあるからで,第1表の材料中では,アク 温の温度差が大きくならない中に試料を投入しな   ロンがその例で,1個の重量約0.89のものを いと,測定計器の目盛範囲を大きくせざるをえ  11ケ用いて測定した。

ず,それだけ測定精度が悪くなることになる。し   試料投入口の不完全な場合,あるいは,撹絆器 かしながら,試料投入前後の記録紙の曲線もかな   モータの回転が不規則な場合,記録紙の曲線に乱

り描かせる必要があるので,測定時間は約10分  れを生じ,きれいな曲線がえられないことがあ 前後を必要とし,この間に熱量損失による温度降   る。また測定計器の目盛はフルスケールで50μV 下と,試料投入による温度降下および実験開始直   というきわめて小さい範囲での測定のため,原因

(6)

不明の電磁場を拾うことがあり,その場合も記録     文  献

曲線に乱れを生じる。このような現象をできるだ    1)van der Waals, J. H. and J.J.Hermann:

けさける意味で,装置中の金属類は,第3図bに     Rect. trav. chim.,69,947(1950)

示すように絶縁白色塗料をぬってある。       2)Evaus, D. F. and R. E. Richard:

       J.Chem. Soc.,(1952),3932.

 4・むすび        3)坪根:近く発表予定

 本実験は混合法を改良し,外部への熱量損失を    4)宮部・豊田・坪根:九州工大研究報告(工学)・

考慮することなく,比熱測定を行ないうる方法で     18号昭43年3月

ある.また,試料が蝿の場合にも,かなりの精 5)日本蹴学会編:竺工学資料。

臨力つかんたん噸を用いて測定しうる特 ll欝嶽邊還㌃;;㌻一、4

長があると考える・測定離は±3%以下と推定 8)平野、鯨酬大学市川学報V。1.2,N。.・

され,本改良混合法による測定例として5種の材 料に対する結果を示した。なお,本実験に際して 原田孝二君および本学々生松尾栄人君の協力に感 謝の意を表する。

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