分布電極による圧電フィルムの形状制御
知能材料学研究室 西森賢
1. 諸言
分極方向を互いに逆にした圧電フィルムを貼り合わせる ことで,曲げ変形を生じるバイモルフアクチュエータが開発 されている.一般に,このアクチュエータは位置制御や振動 制御に用いられているが,本研究では分布電極を配置し,電 極間で位相をずらして駆動することで擬似的に波のように 動く変形を生じさせることを考える.この場合,アクチュエ ータは,大きな曲げ変形を生じずに推進力を生むことが可能 ではないかと考えた.本研究では,分布電極の配置方法とそ れによって生じる変形について理論的に考察する.
2. バイモルフアクチュエータの変形
厚さ
h
のバイモルフアクチュエータが V
の電位差を負荷 され,曲率半径
の変形が生じている場合を考える. このと き,サン・ブナンの仮定の下でモーメントのつり合い式を解 くと, 以下の式が得られる.2
1 3d V
C h
(1)
ここで,dは長手方向の圧電ひずみ定数,Cは曲率である.
図
1
に,本研究で考えるバイモルフアクチュエータのユニ ットセルを示す.ユニットセルにはn
枚の電極があり,電極 長さをw
E,電極間隔をw
Sとする.また,セルの左右の端で 負荷電圧の位相差が2πとなるように,電圧を加える.すな
わち,i
番目の電極に加えらえる電位差は
i amp
Cos
iV V t
,2
i
i n
(2)
である.ここで,
V
ampは振幅,
は角周波数である.よって,i
番目の電極による曲率は
2 2
3 3
amp
Cos
i
i i
d V dV
C t
h h
(3)
となる.はり理論より,
i
番目の電極によるたわみをY
i(x)とすると,
以下の式から得られる.
20 0 0 0
1 0
2 2
w
EY x C x x y x
(4)
1 0 0 1 1 0 1
1 1 1
, ,
2 C w
Ex 2 w
Ew
Sy Y 2 w
Ew
S
(5)
1
2
i
2
i i i i i i i EY x C x x x x y x x x w (6)
1 1
1 1
i i E i
,
i i E Si i i E S i
C w x x w w
y Y x w w
(7)
1
2
2 2
E
n n n n n n n n
Y x C x x x x y x x x w (8)
3. 電極配置と変形
電極枚数が変形に与える影響を調べるために,厚み
0.2mm,
ユニットセル長さ
30mm
にn
枚の電極(wE:w
S=10:1)を配置
し,Vamp=10V, =1,t=0,
π/2, πの電位を与えた時の変形 を計算した.その結果を,n =2,3のそれぞれの場合につい て図2,3
に示す.図2
より,n=2の場合は,疑似的な波と なっておらず,振動しているだけであることが分かる.一方,図
3,より,n
が3
の場合は,左に移動する疑似的な波形を再現できていることが分かる.
n
が増えれば増えるほど波形 は正弦波に近づき,時間経過による波形の崩れは小さくなる.図
4
に,n =2,3,4,5,10のそれぞれの場合について,時間経過に対する振幅の大きさを示す.図より,
n =2
の場合 はある時間で振幅が0
になることが分かるが,これは振動変 形しているためである.n=3では時間経過とともに振幅が変 化するが,それほど大きくない.また,n=4の方が,n=3よ りも振幅の変化は大きい.nが5
以上ではn
の増加とともに 振幅の変化は小さくなり,正弦波に近づいていることが分か る.よって,nを5
以上とすることで,正弦波と同様の駆動 力を期待する事が出来る.Fig.1 Unit cell of bimorph actuator with multiple electrodes
Fig.2 Deformation of bimorph actuator (n=2)
Fig.3 Deformation of bimorph actuator (n=3)
Fig.4 Amplitude of deformation of actuator as function of time
-8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8
0 0.01 0.02 0.03
A m pl itu de [μ m ]
Location x [m]
t=0 t=π/2 t=π
-6 -4 -2 0 2 4 6
0 0.01 0.02 0.03
A mp lit ud e[ μm]
Location x [m]
t=0 t=π/2 t=π
0 1 2 3 4 5 6 7
0 2 4 6 8
Am pl itu de [μ m ]
Time [s]
n=2 n=3 n=4 n=5 n=10