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"てんかんの経過 と予後 〟

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"てんかんの経過 と予後 〟

Cowe r s ,W.R∴

てんかん と他 の慢性痩撃性疾患 :

そ の原 因、症状 、治療 第 9 章 て んかんの経過 第 1 2 章 予後

Wi l l i am R .Co we r s :Chapt e rI X.Cour s eofe pi l e ps y.

Chapt e rXI I .Pr o gnos i s .

I n:Epi l e ps yandot he rc hr oni cc o nvul s i vedi s e a s e s:t he i rc aus e s ,s ympt oms & t r e at ‑ me n t .Wi l l i am Woo da ndCompa ny,1 8 8 5 .

訳 :山鼻 康 弘 ( 十和 田済成会病 院 副院長)

イギ リスの神経学者 Wi l l i am R. Cowe r s( 1 8 4 5‑1 91 5 ) の著書 い Epi l e ps ya ndot he rc hmoni c c onvul s i vedi s e as e s:t he i rc aus e s ,s ympt oms & t r e at me nt ′ ′( 1 8 8 5 ) の復刻版 に よって、て んかんの経過 ( 第 9 章) と予後 ( 第 1 2 章) の 2 章 を特 に選 んだ。

佐藤教授 と福 島は、現代精神 医学体系 ( 1 9 7 7 ) に 「てんかんの経過 と予後」 につ いて執筆 し てい るが、その執 筆 にあた って 目を通 しえた著書 、文献 の うら、この著書 が と くに 目を引 いた。

それ は、単 に 、1 00 年 も以前 の文献 で あ る ととい うことだ けで はな く、その内容 において、今 日 なお新 しい ものがあ る とい う点 であ る。実際 、上述 の 「てんかんの経過 と予後」 の執筆 にあた ってほ、その記述項 目の一部 は この著書 か ら ヒン トを得 て い る。 この よ うな訳で、佐藤教授退 官記念 として、誠 にふ さわ しい著述 であ る と考 え、 この 2 章の訳 出を山鼻博士 にお願 い した訳

であ る。 ( 福 島)

第 9 章 てんかんの経過

て んかんの始 り方 には、 3 通 りがあ るよ うであ る。第一 一の型 は小型発作 ( mi no rs e i z ur e ) に よるもので、大発作 が起 る前の数 カ月か数年 間、それだ けがみ られ る。 小発作 ( pe t i tma l )は、

しば しば始 め は軽 く殆 ど気付 かぬ うちに起 るが、突然激 しいけいれ ん発作 が 出現す るまで、 さ らに発作頻度 が増加す る。患者や知人達 は、この異 な った二つ の けいれんを関係づ けないので、

患者 が始 めてのて んかん発作 が起 きた と考 える もの以前 に、小型発作 が生 じていないか、必ず 充分 、注 意 して調べ る必要 が あ る。例 えば、 あ る患者 に小型発作 が何年 間 も生 じて いて も、数

ヵ月間発作 があ った な どと述べた りす る こ とも、 よ くあ る こ とであ る0

第二 の型 は、小発作 の先 行 が全 く認 め られず 、短 い間隔で大発作 が繰 り返 し生ず る ものであ

(2)

る。 二 回 目の発作は最初 の発作後、数 日あ るいは数週間以内に生 じ、 短 い間隔で発作 を繰 り返す。

第三 の発作起始の型 は、単発の大発作 によるもので、数 カ月あるいは数年問 も他の発作やて んかんの徴候がみ られず、一旦次の発作が起 きると、通常その後、発作頻度 を増す。第二 と第 三 の型 の間には、初 回 と二 回 目の発作 の問 に様 々な発作間隔の場合が認め られ るO

初 回 と二E E ) ]目との発作間隔 ‑ もし、初めて、突然に、てんかん性 けいれんが起 り、しか も 中枢神経や末梢神経 に何 も原田が見出せ なか った とした ら、恐 らくそれは、てんかんの始 ま り であ る。それがてんかんであ るか否かほ、二回 目の発作が起 って始めて最終的 に決定 され る。

患者 と医師の双方 に とって、気掛 りな問題 は次の ことであ る。「もし、これがてんかんであるな らば、次の発作は何時生ず るのであろ うか ?」 「 発作抑制期間が どれ程続 くと、も う発作は生 じ ない もの と期待 して よいか ?」 こ うした疑問に対 して、的確 な回答を与 え得 ない現状であ る。

とい うの も、初 回 と二 回 目との発作間隔には、あ ま りに も変動があ りす ぎるとい うこと、 また 二回 目の発作を先 に延 ば した り予防 した りす る治療効果 の違 い、 さらには後発発作をみない単 発 てんかんの頻度 について、は っき りした ところが確かめ られている訳ではないためである。

表 1. 大発作を も つ1 6 0 例のてんかんにおける初 回 と二回 目との発作間隔

1 週以下 1 8

1 週 乃至 1 ヵ月 ・ ‑・ ‑‑‑‑ 3 7 1ヵ月 〟 3ヵ月 ‑‑‑‑‑‑ 1

3

3 ヵ 月 〟 6ヵ月 ‑

‑‑‑ ・21 6 ヵ 月 〟 1 年 ・ ‑

‑‑ 1 8 1 年 〟 2 年

2 年 〟 3年 3 年 〟 5 年 5 年以上

す なわ ち、

年 年 年 年 年 年 年 年 年 6 7 8 1 0 日

1

4 1 6 1 8 2 0 上 以 〃 〃 〃 〃

5 5 例 ( 1 ヵ月以下)

5 2 例 ( 1 ヵ月以上 1 年以下)

53例 (1年以上)

例 例 例 例 例 例 例 例 例 3 9 1 3 1 1 1 2 1

(3)

こ うした判 断 を下す うえに幾 許が寄 与す る ものが あ る とす れ ば、症例経過 におけ る初 回 と二 回 目との大発作 の発作間隔 の相対的 な頻度 を比較 す るこ とに よって得 られ るか も知 れ ない。僅 か 1 6 0 例 につ いてではあ るが、この点 に関す る正確 な実態 は確 かめ られた。その結果 は、以下 の蓑 に示 され る通 りであ る。

これ らの数値 に よれ ば、症例 の 1 / 3 が 1 ヵ月以 内 に二 回 目の発作 を生ず る。 さらに 1 / 3 で は、二 回 目の発 作 は 1 ヵ月以上 1 年末満 に延長 され、残 りの 1 / 3 は二 回 目の発 作 が生ず るまで に 1 年 以上 もかか る。 〔 ‑・ ‑‑〕ともあれ、 こ うした数値 は最初 の発作が生 じてか ら少 な くとも 1 2 ヵ月以内に二 回 目の発作 が起 る危険性 を示唆 してお り、 また、 こ うした危険性 は 2 年 目以降 急速 に低下 す るが、実際 には 1 0 年 た って もな くな らず 、1 4 年 、1 6 年 、1 8 年 、 あ るいは 2 0 年 とい った、 よ り一層長 い経過 の中で、二 回 目の発作 が起 る場合 があ る ことを示 してい る。

続発発作 間の発作 間隔 ‑ て んかん とい う病名が確定 され る と、大発作 の発作 間隔 は大 いに 変動 し、治療 効果 に よって、その変動 は なお一層大 き くなる。

発作 間隔の長短 につ いて、その割合 を確 かめ るため に 、7 5 5 例 の患者群 につ いて、初診時の 発作間隔 を比較検討 した。 大多数 の患者 は、 それ まで に全 く治療 を受 けていなか った。 い くつ かの症例 で は、発作間隔 は分類不能 なは ど不規則 であ ったが 、6 8 0 例 では、発作間隔 は概 ね一定 で あ り、次表 〔 略〕 の分類 にお さまる範 囲 にあ った。 多 くの患者 では、発作 が続 いた後 で間隔 をお くとい うよ うに、発作 は群発 して いた。 今 回の評価 では、発作間 または群発発作 問 の発作 間隔が検討 され、群発発作 の なかの発作 間隔 は考慮 され ていない。

こ うしてみ る と、症例 の 3 / 4 以上 ( 80%) で は、発作が ない期 間は 1 ヵ月以内で あ る。 発作 間隔が 2 週間 を超 えなか った ものが 57 % あ り、それが 1 週 間以内で あ った ものが 40% を 占めて いた。一方 、発作間隔が 1 日以 内 とい うものが 、1 2% あ った。 わずか 8% の症例 のみが、発作 間隔が 2 ヵ月以上 に及 び、それが 4 ヵ月以上 に達 した ものは僅 か 3% であ った。 こ うした比率 は、 Re ynol ds の結果 と殆 ど違 わ ない。 つ ま り、 Re ynol ds は 6 4 症例 を分析 し、発作間隔が 1 ヵ 月以 内の もの 51 例 ( 8 0% ) 、 1 日以内の もの11例 ( 1 5%) で あ り、 一万、 2 ヵ月以上 の ものは 5 例 ( 7. 8%) とい う結 果をみ てい る。

きわめて 多 くの患者 が、発作 は 1 週間 の間隔 ( 9 3 例)、 2 週 間の間隔 ( 7 2例) 、 1 ヵ月の間隔 ( 97 例)で生 じた と述べ てい る。 しか しなが ら、 この よ うな陳述 には、確実 で規則的 な周期性 の証拠 としては殆 ど信頼 性 に欠けていた。 これ らの患者達 が発 作 の 日付 を記録す る とか、病院 に入院 してい る場合 に、そ うした発作間隔 は正確 に 1 週 間 を表す ものではない こ とがわか った。

これ らの陳述 は、ただ単 におお よその もので あ る〔 ‑‑‑ ・ 〕。 きわ だ った月 1 回の周期性 は、時 にみ られ るよ うな、月経 時 にのみ発作 が生ず る とい う婦人患者 の場合 を除 いては、稀 に しかみ

られ る もので はない。

多 くの患 者 は、 上記 の蓑 〔 略〕 に記載 された範 圃を超 える種 々様 々な間隔で発作 を起す。 そ の よ うな症例 は 7 5 名 であ ったが、 その全症例 の11%に発作頻度 を確認 しえた。 これ ら不規則症 例 で は、最 も長 い発作間隔 は、最 も短 い間隔 の 5 倍 か ら 40 倍 であ った。後者 の場合 、その発作 間隔 は 1日か ら 3 週 間 まで と多様 であ ったが、一方 、 長い発作 間隔 を持つ症例 の場 合 も、症例 に よって、その間隔 は 2 週 間 か ら 2 ヵ月であ った。 半数以上 の症例 ( 4 5 例) で は最短 の間隔 は

1 週 間以 内であ り、略 々 3 / 4 の症例 ( 51 例)で は最 長の発作間隔 は 1 ヵ月以上 であ った。

(4)

群発発作 ‑ 既 に述べた ごとく、発作 には単発 の もの と群発す るもの とがあ る。前者 は通常 よ くみ られ るが、後者 も稀 な らず認 め られ る。発作 の期間は 1週間か ら数 カ月 まで様 々であ る が、ほんの数時間、時には 1日程度 の問をおいて、発作 が群発す るO発作 回数 は 2‑ 3 回か ら 20 回、あ るいはそれ以上 に も及ぶOた とえば、あ る患者 は 5日ご とに1 5 回ない し1 7 回の連続す る発作 を認め、 また、あ る患者 では、 1 ,2日間 にわた って 7,8 回の発作が起 り、その後 1 週 間は発作がみ られ なか った。 それぞれのシ リーズ ( 連続)中に起 る発作 の回数 は、同一患者 に おいて多 くの場合 かな り多様 であ る。従 って、あ る患者 は、 1 週間の間隔で、時 には 2回だけ、

時 には1 6 回 もの発作が起 る。 また別 の患者では、 4 週 に 5 回か ら6回の発作があ ったが、その 1 /3ほ、 5日間の発作間隔で1 7 回の シ リーズ発作 を認めた。1/ 4 の症例では、 2 週 間にわた っ て連 日数回の発作 を生 じ、次の群発発作が起 るまでに数 カ月を要 したO

発作重延状態 ‑ 上述の症例では、 患者 は大抵 の場合、 発作 と発作 の合間 に意識 を回復す る。

稀 な例 としては、 シ リーズ発作 の合間 に意識 を回復せず、発作後 の睡眠中に次 の発作 を起す こ ともあ る。 この よ うな場合 は、発作重延状態 (フランス語 では、てんかん発作状態) と命名 さ れてお り、容 易な らぬ状態で もあ る. Bo u r ne vi l l e が極め

際重 に検討 した最 も重篤 な例 では、

発作間隔は一層狭 ま り、昏睡 も深 くな り脈縛や呼吸 も激 し くなる。体温 は上昇 し、1 04C( 40o C) か ら 1 05O 、 さらには 1 0 7 8に まで上昇す ることがあ る。 こ うした状態が数 日間続 いた後 、時 に 片麻痔 がみ られ る。患者 は虚脱状態 に陥 り死 に至 ることもあ る。死 は明 らかに殆 ど間断な き激 しいけいれ んに由来す るものであ る。 また、発作 が治 った後、せ ん妄状態 とか、裾盾 が急速 に 形成 され髄膜炎 の症状 を現わ し、 この段階で死ぬ こともあ る。 どの段階 において も、症状が改 善 し、患者 が回復す る ことがあ る。 しか しなが ら大部分の症例 は、最終的 には死亡す る。幸 い に も、重篤度の高 い発作重延 状態 は極 めて稀 であ り、 ともあれ精神病者 の収容施設 とは無縁 の ものであ る。筆者 の場合 は多 くの軽症例 をみて きてい るのであ るが、 これ までに診察 して きた 限 りで、死亡例 は皆無 であ り、患者 は回復 している。

小型発作 ‑ 大発作 を伴 ってい よ うといまい と、小型発作 に罷 ってい る患者 は、大発作だけ の患者 よ りも数 は少 ない。 この点 に関す る筆者 の知見 は、検討 した症例群 の数値 として これを 示す こ とは 出来 な い の で あ るが、小型 発 作 を有 す る症 例 は全 体 例 の半 数 以 下 で あ る との Re yno l ds の所説 を支持す る ものであ る。小型発作 はそれのみでお き うる し、それは独 自の病気

〔てんかん〕 を構 成 してい る。 また、小型発作 は大発作 と共 に発症 し うる し、時折 ヒステ リー 性 けいれん発作 と併発す ることもあ る。小型発作 を有す る250 例 におけ る、この よ うな組 合せ の 発作頻度 は以下 の ご とくであ る。

小発作 と大発作の合併例 小発作 のみ

1 74 例 または70%

53 例 〟 21%

小発作 と偶発的 ヒステ リー 生発作 との合併例 ‑‑‑ 23 例 〟 9%

‑ 1 9‑

(5)

小型発作 の発作 間隔 ‑ 小型発作 は一般的 に再発が きわめて多 い。発作間隔が厳密 に確 かめ られてい る1 00 症例 の再発 に関 し、次表 に示す ごとく症例 の半数以上 に連 日発作をみ る。

〔 略〕

同一症例 については、大方 の症例 で小型発作 の方が大発作 よ りも、かな り高頻度 に再発す る。

軽 い発作の頻度 は、時には非常 に高 い ことがある。筆者 は 1日に200 回 も起す例 を経験 している。

よ りしば しば、〔 小型発作 は 〕1 日 2‑3 回起 り、大発作 は 1‑2 週間の間隔で起 る。時折、小 型発作 は連 日起 るが、大発作 の発作間隔はかな り長 く、 2‑ 3ヵ月に も及ぶ。 小型発作を伴 う 1 6 例 ( 1 6%)についてみ ると、小型発作が連 日生 じて も大発作 はいつで も起 る とは限 らないの であ る。

◎ これに反 して、 1日以上 の間隔で小型発作 を起す48 例 の うち、 1 例 を除 く全例 に大発作 も生 じた.ただ一つの除外例 は、 3日間の発作間隔で小型発作 を起す症例であ ったが、患者 自身 は 他 に大発作 を持 ってい ることに気付かなか った。つ ま り、小型発作だけが生ず る場合 には、通 常、頻度が高 く、連 日発作が生ず る一方、小型発作 の頻度 が少 なけれ ば、殆 ど必ず大発作 を合 併す る。

小型発作が大発作 よ りも頻度 が高 い とい う規律性 は、発作間隔が 2週間以下の小型発作 の症 例全例 についていえる ことであ る。しか し、い くつかの症例 では、時に大発作 の方が高頻度で、

例 えば 2日、 3日、 4日、 または 7日とい った間隔で発作が起 り、小型発作 は造 かに長 い間隔 で しか起 らない とい う例 もあ る。 しか しなが ら、 この よ うな症例 は稀であ り、小型発作を有す る症例 の 7% を越 える ことはない。

◎時に、軽 い発作 と大発作 との間には関係がみ られ ることがある。軽 い発作 が大発作の前 、数 日間 に限 って起 る とか、造 かに少 ない例ではあ るが、大発作 の後、数 日間に これが生ず る とい った例 であ る。 この よ うな症例 では、大発作 の発作間隔 は通常、数週間であ る。既 に述べた よ うに、てんかんの発病期 には小型発作だけが起 り、数 カ月か数年 間、軽 い発作 が続 いた後 に大 発作が起 る ことがあ る。同様 に、大発作が治療 に よって抑制 されて、軽 い発作が続 くことも度 々 あ る。

量 と夜 の発作頻度 ‑ 注意すべ きも う一つの問題 点 は、 発作が 日中に生ず るのか夜間 に生ず るのか、い うなれば、睡眠中に起 るのか覚醒中に起 るのか とい った、相対的 な頻度 であ る。840 例 の こ うした問題点の研究か ら、以下 の結論 を得 た。す なわ ち、発作 は夜間だけ、 または殆 ど 夜間だけに限 られ るものが 1 / 5( 2 1 %) :日中のみ、 または殆 ど日中のみの ものが 2 / 5 強 ( 4 3

%) 。 日中おみ び夜間の双方 に生ず る ものが 2 / 5 弱 ( 3 7 %) 。発作 は部分的 にせ よ夜間のみにせ よ、全症例 の うちの半数 よ りはやや多い数で ( 5 7 %) 夜間 に発作が起 っている :部分的 にせ よ、

それのみにせ よ、全症例 の 4 / 5 ( 80%)で 日中に発作が生 じてい る。 1%の もので発作が入眠 時 にのみ起 り、睡眠か らの起 きがけにのみ発作 を生 じた ものは 1 /2 %であ った 。5% の もので、

発作 は早朝 にのみ発生 した。初 回発作が早朝 に起 った ものは、 さらに多数 にみ られたが、 これ らの患者 の多 くは早起 きの習慣 があ った。 てんかんの素因のあ るものに とっては、早起 きの習 慣 は注意 を要す るものであ る。 〔

・ ・

・ ・ ・ ・ ‑〕

初 回の発作が 日中に生 じた時、その半数では、次 の発作 も 日中にだけ生ず る。そ して、1 / 7 は

(6)

夜間 にのみ 、1 / 3 は夜間 も 日中 も生ず る。初 回の発作 が夜間 に生 じた時 は、症例 の約 2 / 5 は、

その後 の発作 が夜間 に限 ってみ られ、症例 の約 2 / 5 で は昼 も夜 も、そ して、昼 のみの発作 は 1 / 6 の例 で認め られ る。 〔‑‑‑‑〕

しば らくの間、睡眠時 とか覚醒時 とか、あ るいはその両者 とい った よ うに、一定の状況下 で 繰 り返す高頻度 の発作 も、 しば しばその時間帯 を変 える ものであ る。 この よ うな発作 に対す る 結論 は、次 の ご と くであ る。

( 1 ) 夜間 に限 って起 していた発作 が 日中に も発作 を認 め るよ うにな った場合 、通常 は夜間 の 発作 も引 き続 き起 る。

( 2 ) 日中だ けに起 していた発作 が、夜間 に も発作 をみ るよ うにな った時 は、一般 に 日中の発 作 はみ られ な くな る。

( 3) 昼 で も夜 で も起 る発作は、 しば しば 日中ではみ られ な くな り、夜間 に発作 が続 く。 しか し、極 めて稀 には、夜 の発作 はやみ、 日中の発作 が続 くことがあ る。

発作 と月経 との関係 ‑ 女性 におけ る月経 と発作 との関係 は、諸説紛 々た る主題 の一 つであ る。筆者 が提供 すべ き事実 は狭 い分野 に限 られ、問題点 は82例 につ いてのみ詳細 に充分 な検討 が な され てい る。 その 1 / 1 2 (7 例)では、 月経時 に発作 は全 く起 らなか った 。1 / 3( 2 9 例) で は、発作頻 度 は月経時 に も変 りはなか った。半数以上 ( 4 6 例 ) につ いては、 月に 1 回の月経 時 に発作 の増悪 がみ られた。 月経時が始 まる前 に発作 が増悪 した ものが最 も多か った ( 1 7 例 ) 。次 に多か ったのは、 月経期 を通 じて発作 が増悪 した もの ( 1 5 例)で、比較 的少 なか ったのは、 月 経期 の後 に発作増悪 をみた ケースであ る( 4 例 ) 。1 0 例 については、発作増悪 の時期 が まち まち であ り、 月経期 の前 に発作 を起 した り、 月経期 間 内に起 した り、あ るいは月経 が終 ってか ら発 作 を生 じた りした。 2 例 では、発作 が起 ったす ぐ後 の月経時 に発作 が増悪す る とい うことがみ られたが、過去数年 間 にはその よ うな ことはなか った。他 の 2 例 では、 月経が規則的 に起 って い る間 は発作 は全 くみ られず 、不規則 にな った時 に発作 が認 め られた。

‑ 2 1‑

(7)

第 1 2 章 てんかんの予後

てんかんの予後 には、い くつかの異 な った問題点が含 まれ る。( 1 ) 生命への危険 : ( 2) てんかん の 自然治癒‑の見込 : ( 3) 治療 に よ りてんかんが 、 (a) 直 るのか、あ るいは (b)発作が抑制 さ れ るのか、 とい った将来 の問題 も挙げ られ よ う。

( 1 ) 生命 への危険 はてんかんでは大 き くはない。患者が意識 を失 い、土気色で、 はれぼ った く ゆがんだ顔貌 を呈 して倒 れてい る時 には、重症 なてんかん発作 と思われ ‑ また、生命への危 機が差 し迫 っているよ うにみ える。発作に よ り殆 ど窒息 しかけてい る患者 は いあたか も 目に見 えぬ暗殺者の手 にかか って絞 め られている (ラ ドク リフ :英 国の小説家)′ ′よ うに も見 えるが、

実際 に発作中 に患者 が死 の転帰を とるのは極 めて稀 であ る。発作 で死 ぬ危険の主 な ものは、偶 発的 な窒息を起 しやすい傾 向であ り、食事中に発作が生 じて、食物 が気道を塞 ぐとか、発作後 の喧吐 に よ り同 じ結果が生 じた場合、 またベ ッ ド上 の患者が発作後 に うつ伏せ にな り、無意識 の うちに窒息 して しま う場合であ る。 この よ うな訳で、生命‑ の危機 は、身体 の他 の部分 に比 して顔面 に集約 され る傾 向がは るかに高 い。

また、発作が様 々な種類の事故 を呼 び、患者 を死の危険 に さらす場合 もあ る。下層階級 のて んかん者では、前触れ もな しに発作 を起す場合、時 には火の上 に倒 れ火傷す る ものがあ り、そ の火傷 は時 に重篤で危険 な状態 に至 る。 しか し、てんかんに よる不慮 の死で最 も一般的 な もの は溺死であ る。発作で水中に倒 れ込 む とい うことだけでな く、発作のため、 うま く脱 出す る こ とが出来ず、 また、 しば しば、発作 が救助 の企 てを妨げて しま う。 このために、てんかん者 は 場合 に よっては、排水溝 の よ うな非常 に水の浅 い ところで も溺 れて しま う。

疑 う余地 もな く、 この よ うな事故死 の危険 は、発作の重篤度 その ものか らくる死 の危険 よ り も大 きい。後者 は極 めて稀であ り、大発作 の頻度 とい うことを考 えに入れた場合 は特 にその事 が言 える。 しか しなが ら、非常 に稀 ではあ るが、てんかん者が 、 、 てんかん発作重延状態〟 とい われ る状態 に陥 ることがあ る。その場合、大発作 は高頻度で繰 り返 し生 じ、前の発作 か らす っ か り回復 しない うちに、 また次の発作が起 って くる。 この状態 は、かな り危険 な ものの一つで あ るが、 はなはだ稀であ り、発作重延状態 に陥 る傾 向はむ しろ少 ないので、 この疾病 によって 死の危険が明 らかに増大す る とみ なす ことは出来 ない。

( 2 ) てんかんの 自然治癒 への見込 とは どんなことか ?‑ てんかんそれ 自体の傾 向 もまた、自

己維持 に他 な らない。 それぞれの発作 は、神経要素 の不安定性 を増幅す ることに よって、容易

に次 の発作 を惹起 させ る。 それ故 に、てんかんの 自然治癒 は偶発的 な出来事であ り、あま りに

も稀 なため、 どの症例 について も多 くを期待す るわ けにはいかない。 しか しなが ら、時 には幼

時期 のけいれ ん発作が、発作の原因が消滅 したあ とに も続 き、 4‑5 才頃 に 自然 に終畑、 す るこ

とがあ る。時 には、その後、発作が再発 しない こともあ るが、永久歯の発生期 または思春期の

頃 に発釆す ることも極めて多い。以前 か らの発作が、思春期 まで続 いた場合 には、その時期で

発作 が終 る とい うことは稀であ る。堅 く一般社会 に信 じられていることであ るが、月経が始 ま

る前 に生 じた発作が月経開始 とともに治 って しま うとい った期待 は、事実 に照合す る と道理 に

あわ ないのであ る。この点 に関す る私 自身の観察 は 、He r pi n の所説 に完全 に一致す るものであ

(8)

る。 か よ うな場合 、月経 に よって何 らかの差 が あ る とい うことは極 めて稀 で あ る。20 才を過 ぎ る と、時 に 自然治癒 がみ られ、年長 にな るほ どその頻 度 を増す。 この こ とは、通常 てんかんに 関す る執筆者 が認 めてい る以上 に多 い と思わ れ るが、予後 を定 め る 目安 とす るには、十分 に普 遍 的で あ る とは云 い難 い。

結婚 は、概 して、どのてんか ん者 に とって も変 りはない。発作頻 度 は結婚後 も以前 と変 らず 、 重篤度 も同様 であ る。 あ る患者 には、妊娠 中 に発作 がみ られ な くな るが、通常 は妊娠期間が終 る と、発作 は再燃す る。

( 3 ) 治療 に よる治癒、 また は抑制 の可能性 ‑ て んかんの 自然抑制 の可能 性 は非常 に少 ない が、次 の質 問は極 めて重 要であ る。治療 に よるてんかんの治癒 の見込 とか、発作 の抑制 とは ど ん な こ とか ? てんかんの 、 、 治癒〟 に関す る事実 は、 自信 を もって治癒 した とい えるほ ど長期 間観察 されてい る症例 が非常 に僅 かであ るが故 に、極 め て乏 しい とい え よ う。 しか しなが ら知 る限 りでは、治癒へ の唯一 の方法 は、 かな りの期 間、発作 を抑制 す る ことであ る。 それ故 、第 二の疑 問点へ の答 が、事実上全体 に対す る答 とな る。

どの よ うな症例 で も、治療 に よ り発作 を抑制 す る見通 しが あ る とす れ ば、それ は何 なのか ? 予後 の指標 は、抗 てんかん薬 として ブ ロマ イ ド ( 臭化物) が導 入 され るにお よび、著 しい変 革 をみた。 ブ ロマイ ドは従前薬 に比べ て、 は るかに高率 に発作 を抑制す るばか りか、 この種 の 抗 てんかん薬 が導 入 され る以前 の経験 に よれ ば、全 く期待 され ていなか った多 くの症例 に対 し て も、大 いに効果 を もた らしたのであ る。従 って、 ブ ロマイ ドの使用 に よ り、予後 の条件 が本 質的 に変 って しま った。個 々の症例 に とって、てんかんの多彩 な症状 が、 どこまで治療 に対す る効果的 な指標 として採択 で きるかを確 かめ るため に、筆者 は、その後 の再発例 は除 き、筆者 自身の観察下 にあ った期 間中 に発作 が抑制 され ていた1 00 症例 と、 如何 な る治療 法 に よって も改 善 が認 め られ なか った43症例 とを比較 してみた。症例 の数 こそ多 くはないが、結論 は個 々の症 例 の観察 で得 ていた 印象 と一致す るものであ ったO

予後 に関す る問題 点 と してほ、① 性 ;②初発年齢 ;③ 発病期間 ;① 遺伝傾 向 :⑤ 発生国 :⑥ 発作頻 度 ;⑦ 発作時 の患者 の状態 ;⑧ 前兆 の有無 ;⑨精 神症状 ;⑲ 発作 の性状 、が挙 げ られ る。

性 ‑‑ 非 改善例 には、女性例 が多 か った (てんかん全症例 で分析 された よ うに)。 治療 で発 作 が消失 した例 では、性差 はなか った。 このため、全体例 との比較 で、発作消失 例 は男性例 に 多 く、女性 に少 なか った。 つ ま り、予後 は女性 よ りも男性 の方 がやや 良好 と云 え よ う。

年齢 ‑ 次 の表 は、年齢 が予後 に著 しい影響 を及 ぼす こ とを示す。全体 に対す る非 改善例 の 百分率 は30%であ る( 43:1 43::3 0:1 0 0) 。発作消失 と非改善両群 につ いて、発作初発年齢 の 百分率 を示 したが、括弧 内 には発作消失群 、非 改善群 につ いて、各年齢群 での、全体群 にた い す る割合 の超過 分 を示 してあ る。全体 ではそれぞれ30% と 7 0%であ る。

この よ うに、20 才以 下で発病 した症例 の うち発作抑制 が得 られた ものの割合 は、2 0 才以上 で 発病 した症例 のそれ よ りもか な り少 ない。両者 の相違 は実質上 お よそ1 3%であ る。 てんかんが 発症 す る人生 の最初 の20 年間 には殆 ど影響 はないが、予後 に関 しては1 0 才 か ら20 才 まで に発病 した症例 よ りも、1 0 才以 下で発病 した症例 の方 が僅 かなが ら良好 であ り、発作抑制 も、 よ り多 い。 女性 で第二 の厄年 〔 1 4 才〕に生ず る発作 は、特別 に とい うほ どではないが、 なお りに くい。

‑ 2 3‑

(9)

症 例 百 分 率 ( %)

非 改善 抑 制 非 改善 抑 制

1 0 才以下 1 4 2 9 3 2. 5( +2. 5 ) 6 7. 5 1 0‑1 9 才 2 3 4 5 3 4 ( +4 ) 6 6

2 0 才以上 6 2 6 1 9 8 1 ( +l l )

発病期間 ‑ 同様 に検討 された罷病期間 につ いては、次表 に示す。

発病期間 非 改善 症 例 抑 制 非 改善 百 分 率 ( %) 抑 制

1 年未満 4 1 9 1 7 8 3( +1 3 ) 1‑4 年 1 4 3 7 2 7 7 3( + 3 ) 5‑9 年 9 2 0 3 1( + 1 ) 6 9 1 0 年 以上 1 6 2 4 4 0( +1 0 ) 6 0

この結果 は この問題 につ いて報告 している全 ての著者 の結論 と一致 してお り、予後 の良否 は 羅病期間 に反比例す る。発作が抑制 されてい る症例 の百分率をみ る と、発作期間が 1年未満 の 症例 ( 平均 よ り 1 3 % 上廻 ってい る)では 8 3 % で、以下次第 に減少 し 、1 0 年以上発作が持続 した 症例 では 6 0 % に低下 し、平均値 を 1 0 % も下廻 っている。それ故 、予後 は発病 して 1 年末満 の症 例 においては断然 良好 といえよ う。治療 が、てんかん発作 を果 して抑制す るのか、あ るいは全 く効果 を もた らさないのか とい った可能性 に限 って言及すれば、 もしも発作 の持続 が 5 年 以内 に とどまった とすれば、発作抑制 の可能性はあ るが、発作が 5 年以上持続す る と、完全 な発作 抑制 はお ろか、全 く効果 が期待 されない可能性が大 きい。 〔‑‑‑〕

遺伝 負因は、発作抑制 の可能性 を低下 させ、予後 に とって好 ま し くない影響 があ る と考 え ら

れ るのは無理 か らぬ ことであろ う。ところが 、He r pi n が最初 に指摘 した ごと く、実際 はその よ

(10)

うな ものではない。個 々の症例 の観察 か ら得 た ところに よる と、遺伝 負因を認 め る症例 では、

治療 に よる効果 が極 めて よ く、その頻度 も高 い こ とが強 く印象づ け られた ので あ る。 こ うした 事実 は症例 の比較検討 に よって明 らか に されてい る。治療 に よって改善 のみ られ ない 3 3 症例 の うち、遺伝 負因を有す るのほ僅 か 1 0 例 で 3 0 % にす ぎない。他方、治療 に よ り発 作抑制 の得 られ た 1 0 0 症例 の うち、遺伝 負因を有す る ものは 4 5 例 で、他群 〔 非改善群〕よ りも 1 5 % も多 い。 この よ うに、遺伝傾 向はか え って発作 の抑制 を、一層容易 に してい るか にみ える。 こ うした遺伝 負 因を有す る症例 には、軽度 の刺激 がか え って効果的 であ り、 また括抗作用 を もた らしやす い と い う説 明がな され よ う。 こ うした症例 に、恒久的 な治癒 が、い とも容易 に獲得 され る とは勿論 考 え られ ない。発作 の抑制 が迅速 であれ ばあ るほ ど、再発傾 向 も促進 され、措抗 を保 つ か も知 れ ない。似た よ うな事実が、精神障害者 に も観察 されてい る :遺伝 は、 あ る発作 か らの回復 の 可能性 を減 じない。

〔 略〕

発 生国 ‑ てんか んの発生因 を知 る こと、す なわ ち初発発作 の原 因は、ほ とん ど予後 には影 響 を与 えない。 この よ うな原 因 は、発作 が抑制 され る症例 と、治療 に よって効果 のみ られ ない 症例 とに、ほぼ 同 じ比 率 で見 出 され る。追跡調査 を した症例で は、発 生国の特徴 を捉 えるまで には至 らなか った。

発作頻度 ‑ 治療 開始前 の発作頻 度 は 、1 0 0 症例 で構 成 され る次表 に示す よ うに、期待 され る効果 に関 して重要 な情報 を提供 して くれ る。

これ に よれ ば、 もしも大発作 が連 日生 じる と、発作完全抑制 の見込 は極 めて乏 し くな る。 ま た、発作 が 1 ヵ月以上 の長 い間隔で生 じた場合 には、見通 しは最 も明 る くなる。しか しなが ら、

1 ヵ月間 に規則的 な間隔で起 る発作 は、 よ り短 い間隔で生ず る発作 よ りも抑制 され に くい一面 があ り、発 作間隔 と予後 との関連 は単純 ではない。

発作 の発 生条件 として、覚醒時であ るか、睡眠時であ るか、 またその両方 であ るか とい うこ とも、重要 な意義 を もつ。 残念 なが ら、発作改善 のみ られ なか った症例 につ いては、 この点 に つ いて検討 されたのは1 9 例 にす ぎなか ったが、それで も、その数字 を見 る限 り大変示唆 に富む ものが あ った。発作 は睡眠時 にのみ生ず るのが 4 例 、覚醒時 に限 るのが 4 例 、 さらに睡眠 お よ び覚醒時 の両方 に発作 を生ず るのが 1 1 例認 め られた。す なわ ち、覚醒 と睡眠 の両方 に生ず るも のが、 いずれか一方 の もの よ りも多 く見 られ、その比率 はお よそ 3 対 2 で あ る。他方 、発作 が 抑制 された 1 0 0 例 では、発作 が覚醒 時 にのみ生ず るものは 4 5 例、睡眠時 に限 って生ず る ものは 31 例であ り、覚醒 、睡眠 いずれで も発作が生ず る ものは 2 4 例 にす ぎなか った。 つ ま り、覚醒 と睡 眠 の何れの状態 で も発作 を生ず る例 に くらべ、何れか一方 の状態 でだ け発作 を生ず る ものは 3 倍多 か った訳であ る。 それ故、 この結果 か ら見 る限 り、睡眠 お よび覚醒 の双方 に発作 が生ず る

よ りも、 どち らか一方 の状態 に生ず る方が、予後 は良好 で あ る。

前 兆 ‑ 明 らか な前 兆 の発 生は、予後 をやや 良好 にす る。難治 な症例 では、前兆 が見 られ る もの 1 3 例 、み られ なか った ものは28例で あ った。 つ ま り、前 兆 のみ られ ない場合 がみ られ るも のの 2 倍 とな る。発作抑制例 では 、5 3 例 に前兆がみ られず 、前兆 が出現 したの ほ4 9 例 であ った。

この よ うに、前兆 の出現 と欠如は、 ほぼ同 じ頻度 であ った。 前兆 の内容 は若干 の例外 を除 いて

‑ 2 5‑

(11)

ほ、予後 にほ とん ど影響 を与 えない。つ ま り、め まい とか視覚症状 とか‑側末梢性の前兆で は、

む しろ、やや予後 に良い傾 向があ った。

知能障害 ‑ 明 らかな知能障害 の存在 は、予後を不 良にす る。しか しなが ら、一寸 した記憶 の障害程度では、殆 ど有意性 はみ られ ない。発作が治療 に よ り抑制 され るな らば、それ 〔 記憶 障害〕 は回復 の可能性があ ろ う。

発作 の性状 ‑ 発作 の性状 の予後 に対す る影響 に関 して、大発作 ( maj orat t ac k) は小型発 作 よ りも造 かに よ く、治療 に反応す ることに注 目すべ きである。前者 は、後者 が著 し く減少す る前 に、 しば しば発作が抑制 されて しま う。 さらに、大発作 は完全 に抑制 され るが、小型発作 は治療 に もかかわ らず 、なお存続 しつづ ける場合が稀 な らず認め られ る。

特発性 てんかんにおいて、予後指標 を要約 してみ よ う。患者 が女性 な ら幾分予後 は良好であ り、 また 1 0 才か ら 2 0 才 まで に発病す るもの よ りも 、2 0 才を過 ぎて発病す るものの方が、明 らか に予後 は良好 であ る。羅病期間の短 い ものの方が予後 は良い し、遺伝 が存在す る場合 は遺伝負 因の認め られ ない もの よ りも予後 は良い。大発作 では発作間隔が長 い ものほ ど予後 は良好 であ り、発作 が毎 日生ず るよ うな症例 では最 も悪 い。発作 が睡眠時か覚醒時 に限 られてい る場合 は、

その両方 で生ず るもの よ りも予後 は良好 であ る。 また、著 しい知能障害がみ られ ない方 が予後 が良 く、小型発作 よ りも、様 々な程度 の強 い発作の方 が予後 は良い。前兆 な しに発作 が生ず る 場合 よ りも、前兆が発作 に先行す る場合の方が、予後 は良好 であ る。

片麻痔後 てんかん ‑ てんかん発作が片麻痔後 に生ず る症例 では、 特発性 てんかん よ りも予 後 は芳 し くない。 片麻痔後 てんかん も、正 に特発性てんかん型 にみ られ るごと く、罷病期間 と 発作間隔 に よって影響 を受 け るが、期待 され るほ ど治療上 の成果 はあが らず、治療 を行 って も、

最 も治癒 Lがた い症例 とな ってゆ く。

類 ヒステ リー発作 ‑ 煩 ヒステ 1 )‑発作の予後 は、純粋 なてんかん発作 よ りも概 して よい。

しか しなが ら、類 ヒステ リー発作が単独で生 じたのか、小型 のてんかん発作 に連続 して起 った ものなのかを確 かめ ることが大変重要 であ る。 た とえ前者 の方が抑制 された として も、後者 の 方 は持続す る可能性があ る。純粋 な類 ヒステ リー発作 の予後 については、一部 には、脳 におけ る深遠 な感情 を示唆す るごとく、直接 、 予後 をい ささか台無 しにす る明 白な ヒステ リーの特徴 が存在 してい る ことに もよるであろ うし、 また一部 には、患者 が不健全 な家庭環境 か ら離脱で きるか ど うかに もよるであろ う。患者 が病院で生活 してい る問、全 く発作がみ られ な くなるこ とが、 しば しば認め られ るが、家庭 で不快感 にか られた り、気分を妨 げ られた りす る と、た ち まち発作 をぶ り返す。 ヒステ リーの予後 は、一 見軽 くみ える発作 よ りも、重篤 にみ える発作の 方が予後 は良 く、〔 ‑・ ・ ・ ・ ・ ・ 〕、発作が ヒステ リー とてんかん との混合型、あ るいは両者 の中間型 の症例では、殆 ど予後不良であ り、治療 は ヒステ リーやてんかんに対 して直接的 な ものであろ

うとなか ろ うと、 しば しは無効であ る。

純粋 な類 ヒステ リー発作 の症例 におけ る根本的 な予後 は、殆 ど常 に良好 であ る。通常、発作

はあ る期間で終蔦す る。

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