自 律 神 経 て ん か ん の 臨 床 *
成 田 鉄 蔵** 鈴 木 昭 男*事* 後 藤 息 久***
い と ぐ ち
自律神経機能 の発 作的異常症 につ いては,約百 年 前の1868年にTrousauが上腹部圧迫感 ・噛吐。 め まい ・顔面蒼 白 とい う一過性 の症状が現れた症 例 を,1901年 には Gowersがvisceralauraにつ い て,1912年に Stillは てんか ん発 作の くくmanifesta‑ tion"としての腹痛 ・顔 面紅潮 お よび 瀕面蒼 白 を 生 じた 例 をそれぞれ 報告 した (これ を "rrlaSked epilepsy"と呼 んでい る)0 1921年 に Wnsonl)ち Gowersが くtvasovagal attack"と呼 んだ ものt/1属 す る発作につい て症 例を 報 告 し,1954年 に Pen‑
field2)は diencephalicautonomicseizure"につ い て述べ てい る。1944に Moore4)は 腹 痛 ・嘩 吐 や 腹部異常感覚 を くくrrlanifestation"とす るてんか ん を くくabdominalepnepsy"と云 う名称 で最 初に報告 し,その後 Klingman,Hoefer,Schaper,Livings‑ ton,12)Blumberg等 の 報 告 が あ る。 我 国 に も 1952年,吉 田15)を初 めに諸家 の16)17)報告が あ るo Millichap18)らほ小児 のいわゆ る周期 性 堪 吐 症 とてんか んの間闘 ま密接 な関係が あ ることを述べ てい る。1951年に Gibbs9)は反復性発作性 自律神 経 障害症 候 を呈す る視 床 ・視 床下部発 作 症 に 於 て.drowsinessstateに6 and 14S/Cの positive spiky waveとい う特 異 な異常波を 認 め, これを 間馴 こ起因す る もの として ttthalamicand hypo‑
thalamic epilepsy"を 提唱 してい る。 以来 , 自律 神経機能異常に よる症状群 と間階 性てんか ん との 相関性 を求 め る研 究6)7)19)が 進 め られ て 来 て い る。
L
e nnoxlO)は 自律神経 機能障害 を 主体 とす るて んか ん性障害を臨床脳波 の知 見 よ りてんか んの一 重型 であ る と して ttautorTOmicepilesy"と呼 んで い るが, この説 は全面 的 な賛 同を得 てい るわけで は ない よ うであ る。 てんかん発作には多かれ少か
*ClillicalSurveyofAutonomicEpilepsy
**助手 ***研修員
れ 自律神経機能 異常 を伴 うもので あ るが,唯単 に 発 作性 の 自律神経機能異常だけを示す ものだけが 存在す るか否か とい う点,即ち特 にその単独存在 の点で色 々 と問題が あ る と思われ る。
そ こで我 々は 自律神経機能異常だけを単独 に発 作性 に示す もの,即ち意識 障害や痩撃発作を伴 わ ない ものを選び出 し, これ を単独型 と呼び,他 の 発 作 (意識障害や痩撃発作) と混合 してい て, そ の発作 とは別に独立 して自律神経機能異常発作 を 示す ものを混合型 と呼び,それ らについ て種 々検 討してみた。次 にその主 な所見を報告す る。
なお,被検 者は昭和30年1月 よ り昭和38年7月 迄 の約8年7カ月間弘 前大学神経精神科 を訪れた 97例 の患者 (単独型54例 ・混合型43例)で あ る。
成 績
1.臨床所見一般
1)年令 :発病年令 と受診年令は第1図 ・第2 図 に示す通 りであ る。 即ち初診年令は4.‑44才 の 広 範囲に亘 ってい るが,単独型 では10‑14才が32
%で混合型 では6‑ 9才が28%で,一番 多 くな っ てい る。 発病年令は 6‑ 9才が両型 とも最高であ
年令 0 ・5 6 ・9 10 ・14 15・19 20・29 30・39
第1図 単独型における発病年令 と初診年令 り, しか も両型 ともに0‑14才は72%であ る。 こ
一 84‑
年令 0・5 6・9 10・14 15・19 20・29 30・39 40・45 第2図 混合型における発病年令 と初診年令 の ことか ら本症は特 に思春期 以前の疾 患 と い え る。
なお,20才以上に於け る発病者は,外傷後に発 生 した被検 者が両型 ともに多 くみ られた。発病 と 初診 との間の相関は他 のてんか ん性疾患の患者に 於 て も同様 に認 め られ る ことであ るが, 自律神経 機能異常発作のみを主訴 とす る場合は,小児科 ・ 内科 ・外科 系の疾 患 と間違 われ易い関係上,我 々 の外来を訪れ るまでに相当 の時間を必要 と した も の と考え られ る し,事実その よ うな症例が多い。
特 に乳幼時 の発病 に対 して初診が遅れ てい ること が注 目され る。
2)性別 :97例 の症例 を男女別に分校す る と, 単独型 では男性33名 ・女性21名で,その比は約3
:2であ る。 混合型 では男性22名 ・女性21名で, その比は約 1 :1であ る。 単独型 も外傷例 を除 く
と格別大差は ない模様 であ る。
3)既往歴 :第1蓑にみ られ る如 く,単独型 で 68.30/0,混合型 で53.5%に何等か の既 往歴を有 し てい ることが認 め られた。 この うち幼児期発熱が 単独型54例 中19例で35.2%を 占め混合型 で43例 中
第 1表 既 往 歴
%を 占め る事は注 目すべ きことであろ う。
ここで幼児期発熱の内容 を検討 してみ ると第2 表に示す如 くであ り,肺 炎が単独型 で36.8%の高 率 を示 し,原因不明の発熱が単独型 で15.8%,混 合型 で38.5%を 占めてい る。
肺 炎 僅 朋
第発 熱
2表 幼脳膜炎結核 脂
時 発 熱 の内 容 訓.和泉 一〇 旧懐陣 屋̲1
4)発作頻度 :これ らの発作頻度をみ る と,単 独型54例に於い ては第3蓑 の如 くであ る。 月数 回 の発作を有す るものが一番 多 くて33%を 占めてお り,次いで遇数 回の発作を有す るものが27.8%を
第3表 初診時年令と発作頻度(単独型) 計 0.‑5
6′・〉9 10.・}14 15.〉19 20.〉29 30.〉39
173L 一55512
21633一 2013531りJ1
一43211
計 llO(18%)!15(280,0 )118(330,0 )Ill(20% ) l
占めてい る。 日に数 回の発作 を有す るものは10‑
14才に多 く,次 いで15‑19才 であ り,他 の年令層 にはみ られ ない。 年に数回 の発作 を有 す る の ほ 20.4%で案外多い。
5)発作像 :第4蓑に示す如 く多伎にわた って い るが,単独型 ・混合型 ともに腹痛 ・頭痛 が主 な
遺 伝 ・ 早 産 出 生 時 障 害
単 独
混 合
1(1.8%) 3(7.0%)
2(3.7%) 1(2.3%)
1(1 ・8
% )
1(2.3%) 14例 で32.8%を 占めて最 も多 く,次 いで頭部外傷 がそれぞれ26.0% ・9.3%を 占めてい る。 単独型 で幼児期発熱 と頭部外傷を合せ る と過半数 の61.2
頭部外傷
1
4(26.0%) 4(9.3%)幼時発熱 計
19(35・2%) 14(32.4%)
37(68.3%) 23(53.5%)
もので,次いで 呼吸困難 ・め ま いが それ に続 い てい る。 これ ら の発作像はいず れの場合で も単 着虫に‑症だけが 発来す ることが少 な く,た とえば頭痛‑悪心‑堰 吐の如 く2‑ 3の臨床像が続発す る。 しか も発作 の持続時間は短か く数秒か ら数分 で消過 し易い。
‑‑85 ー
第4表 発
作
と してJ)自律神経機能異常症臨
暗 点 視
6)発 作 時 症 状 の 推 移 :第4蓑 に み られ た 発 作 中 の 臨 床 像 の推 移 を 分 類 す る と, 1)腹 痛 よ り始 ま る発 作 型 と,2)頭 痛 よ り始 ま る発 作 型 と,3) 発 作 中 に 呼 吸 困 難 を 伴 うもの とに 大 別 す る こ と が 出 来 る。 然 し他 の もの も考 慮 に 入 れ た 上 で , そ の発 作 中 の 臨 床 像 の移 動 の状 態 よ り, これ を5型 に 分 類 し得 る もの の如 くで あ る。 即 ち 第5蓑 の 如
くで あ る。
同素 に よ って もわ か る こ と と思 わ れ るが , 初 発 症 が 頭 痛 或 い は 腹 痛 で あ って も, これ に続 く第 二 症 の 移 動 に は個 人 差 が 多 く, 多 彩 な発 作 像 が み ら れ た 。 第 Ⅱ型 の頭 痛 ‑ め まい‑ 悪 心 を来 た す のが
単独 型13例 ・混 合 型6例 で , この型 が 最 も多 くみ られ , そ れ 以 外 は 同一 様 式 の臨 床 像 を 示 す 例 は 少 なか った 。
7)混 合 型 発 作 :疫 撃 発 作 群 との混 合 が 最 も多 くて33例 (770/a), 他 は 何 れ も少 ない。 即 ち 痩 撃 発 作 ・精 神 運 動 発 作 との混 合 が4例 , 精 神 運 動 発 作 との そ れ が5例 , 小 発 作 (absence)との そ れ が1例 で あ る。 合 算 す れ ば 精 神 運 動 発 作 との混 合 は21%とな る。 以 上 の事 か ら, 疫 撃 発 作 群 と本 症 の 間 に 密 接 な 関 連 が あ る と推 定 され る。
8)本 症 の 発 生 率 :本 調 査 中扱 った て んかん患 者995例 に於 け る本 症 の 発 現 率10)23)を み て み る と 第3図 の 如 くで あ る。 即 ち 自律 神 経 発 作 を有 す る もの が97例 で9.8%を 占め てい る (単 独 型 が5.4%
混 合 型 が4・4%)。 換 言 す れ ば て んか ん者 の約 一 割で あ り, そ の うち 単 独 型 が 半 数 即 ち5%とみ ら
第5表 自律神経発作像 の推移 による分類
Ⅰ型 :腹痛発作に関す るもの (34例) 1)腹痛発作のみ
2)腹痛‑めまい
3)腹痛‑めまい‑見えな くな る 4)腹痛 ‑悪心一喝吐
5)腹痛‑頭痛 6)腹痛‑顔面蒼 白 7)腹痛‑悪心一眼痛一喝吐 8)腹痛‑便意うめまい 9)腹痛‑尿意 10)腹痛一流濫
Ⅱ型 :頭痛発作 に関す るもの (36例 )
1)頭痛発作 のみ 2)頭痛‑めまい‑悪心 3)頭痛うめまいう咳一睡滴 4)頭痛う腹痛う悪心 5)顔面蒼 白‑頭痛一喝吐 6)頭痛‑発熱‑発汗 7)頭痛‑顔面蒼 白‑冷感 8)頭痛‑複視‑胸部圧迫感 9)頭痛‑めまいう耳鳴
10)胸部不快 ‑頭重感‑気分が落 付 か ない
11)頭痛‑顔面紅潮 12)流産 ‑頭痛‑悪心
Ⅲ型 :呼吸困難 に関す るもの (10例) 1)呼吸困難のみ
2)顔面紅潮う呼吸困難
3)胸 内苫悶‑呼吸困難一心惇先進 4)心惇克進一呼吸困疑
5)胸部不快感‑呼吸困難 6)呼吸困難う尿意 7)呼吸困疑う流誕
nT型 :めまい発作 に関す るもの(9例 ) 1)めまいのみ
2)めまい‑悪心 3)めまいう悪心う嘔吐 4)めまい‑ 目の前が暗 くな る 5)発熱‑めまい一喝吐
Ⅴ型 :その他の発作 (8例) 1)
2) 3)
目感目感
の前が暗 くな り‑頭重感‑冷 がぼんや り‑全身熱感‑頭重 感‑めまい‑悪心
心惇先進‑顔面紅潮 4)胸部不快感 のみ 5)発熱‑顔面紅潮
‑ 86‑̲
単独型 混合型 3 10
1 0
1 0
5 1
1 5 1 1 1 0 1 1
0 1
0 1
計(14) (20) 23113211101 00 160000001111
計(25) (ll)
lH̲t計 ))ワ一l11l107111104 ヽノ10001013(()11l104lH̲t計 FJ一g400015001214
れ よ うO この数 は我 国 の てんか ん者の petitmal absenceのそれを上廻 る。
t例数 ) 例数
413 319 11
77
24 19 8‑
30
74 20 136
16 97
5004(X)300 20 1(X) 0 ロ 単独型
』■ 混合型 I.大発作
Ⅱ.焦点性発作
孤 Jackson発作
Ⅳ.筋結滞発作
Ⅴ∴欠神発作
Ⅵ.‑失立発作 Vm 小発作 自動症
Ⅷ .精神運動発作(proper)
Ⅸ.ToniO・arrest 'x.OraJautomatism
XI. 自動 症
Ⅹm自覚発作
ⅩⅡ, 自律神経発作 第3図 てんかん者995例の発作分類 2.脳波所見
全症例 につい で 悩波検査 を施 行 してあ るが, そ の成績 は第6表 の如 く,単独型 では正常2・境界 異常2・異常50であ り,混 合型 では正常2・境界 異常1・異常40であ った。
第6表 脳波綜ノ合判完成績
\ 6㌧l判 定 発作型 \
寸混
令
■
2 1 40
第7表 基 本 波 A
脳 波 欄 独 型 !混 合 Alphawavesteady
Irregular Dysrhythmia Lowvoltagefastw.
0103212 8685313
8589︼l1
様 に,混合型 では58%が異常 傾 向を示 し,dysrhy‑
thmiaが 出現 した のは42%であ った。 この 数値は てんか ん全体 のそれ にみ られ るも の よ り低 値23)
であ り,特 に正常 alpha律動が 多 い の が 注 目 さ れ る。
これ らに更に諸種斌 活を試 み,そ の変化 の状 態 か らてんか ん性 揚性脳波所 見がみ られた率 (即ち 有効率) を求 めてみ る と第8表 の通 りであ る。 過
第8表 各種脳波誘発法による陽性所見出現率
賦 活 ≡発作型]施行例数l有効例数
睡 眠 は 芸 ら 1;)
lノ06
3636
1ノ66
Metrazol及 び MetrazoL Megimide(MM)
単 独 室 混 1jJ.
MH‖nu5843 Ru706589
呼吸 では睡眠 とともに低 値 であ るが,metrazol及 び MM ‑13)賦 活 では高値 で あ る。 また単独型 は賦 活有効率 が混合型 よ り劣 る。 即ち過呼吸 ・睡眠 ・ metrazolの各法 の順序 でのべ る と,単独型 では凡 そ3 :3 :9で あ るのに,混合型 では5 :7 :10 であ る。 また混合型 てんか ん一般 のそれ の値 に準 ず るが,単独型 ではそれ よ り劣 ることも, ここで
10 20
焦点性
中心脳性
第4図 間敵性てんかん波の分布差
基本渡 同様 に認 め られ る。 なお,単独 型 で 6例 に,混 合型 で5例 に就 活に よるてんか ん性痘撃発 作 を生 じた。
これ を安静時覚醒 時 の基本渡 よ りみ る と第7蓑 97名の症例 中, 間敵 性 てんか ん波 (paroxysmal の如 く,単独型 では63%が異常傾 向 を 示 して お epilepticdischarge)を示 した ものが単 独 型54名
り,dysrhythIpiaを示 した のは37%であ った。 同 車50名で,混 合型43名車41名であ った。 これ を分 一一 87‑
単 独型 では40.6%が 中心 脳 性 (Cen仕enceplllic type*)で あ り,焦 点性 を 示 した のが29.6%を 占 め てい る。 混合 型 では逆 に 焦 点 性 を示す ものが 多 く53.50/Oを 占め, 中 心 脳 性 の ものは32.5%を
第9表 出現 した間敵性てんかん波 発 作 波 単 独 型 混 合 型 H.V.S
Spikewaves Sp‑W‑C* Sharpwave Sh・W・c Spikywaves
35(64 %) 6(ll.0%) 23(42.0%) 7(13.0%) 0
2(3.7%)
21(49 %) 10(23・0%) 22(51.7%) 6(14.0%) 3(7.0%) 1(2.3%)
*rhythmicのものはabsenceの1例のみ, 他はすべてirregular,synchronousのもの
であるO
占め てい る。 即 ち主所 見が運転 してい る。 ま た てんか ん波 では両型 ともに HVSが 多 く,
特 に 単 独 型 に 於 て 極 め て 優 勢 で あ る。 然 し両型 ともに spike,sharpwaveが 少 ない。
更 に単 独型 の間歓性 てんか ん波 を年令 との相関 に於 てみ る と第5図 に示す 如 くで あ る。 即 ち高 電
は各型 に わた って分布 してい る。
spikeと irregular slow spike‑and‑wave complex が第 Ⅱ型 の頭 痛 を主 とす る臨床像 に 多 く発 来 して い る他 は発作型 と他 の臨 床像 との相関は ない よ う にみ られ る。
次 に焦 点所 見 を示 した単独型16名及び混 合型22 名につ い て, そ の焦 点領野 をみ る と第6図 の如 く
第6図 焦 点 原 野
であ る。 単 独型 では16名車10名 (62%)が側頭 葉 に賢 魚を有 し,臨床 像 との間 の関係 では ,第 Ⅱ型
脊 葉頁 年 令 発 作 像
0‑5 6‑9 10.1415.1920‑2g30.39 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ spike
● ● ● ● ● ● ● ● ● ●
irr.sp‑W‑C ●●●●
● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ●● ●
●● ●●●●●
●●●●●●● ● ● ● ● ● ● ● ● ●
H.V.S.
● ●
●●
●●
●●●●●●●●■●●●●●● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ●
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ● ● ● ● ● ● ● ●
●●●●sharp
●
●● ● ●● ●● ● ● ● ● ● ●
sh‑W‑C
第5図 異常波 と年令(左)・発作像(右)との相関 位 徐波 は全 年令 層 にわた って認 め られ る。15才 以 下 に主 と してみ られ るのは3Sノ/Cよ りお そ い irre‑ gularspike‑and‑wave complexであ り, それ と逆 に15才 以上 では3.5C/Sよ りも早 い irregularspike‑
and‑wave complexが 比較 的 に多 く認 め られ た。
また,spikywaveが2例 にみ られた。
以上 の間敵 性てんか ん波 と発作症状 型 との関係 をみ る と, 同図 の右欄 の如 くで あ り,高 電位徐波
(頭 痛) と第 Ⅲ型 (呼 吸困難) の10 名 中8名 (80%)の ご と くに高率 で あ った。 この事 を混合型 と比較 して み る と,22名 中18名 (82%)が 側頭 葉 に焦 点を有 し,や は り第 Ⅱ型 と第
Ⅲ型 の10名 (55%)とい う過 半数が 含 まれ ていた。 これ に反 して,第Ⅰ 壁 (腹痛) では単独型2名 ・混合型
4名 で,第 Ⅱ ・第 Ⅲ型 に比 して焦 点 形成 が 少 ない もの と考え られ る。
3.治療成績
被検 者 の うち,薬 剤治療 を充分 に行 い且つ そaJ効T 果 を確認 出来 た のは単 独型54名車37名 で あ る。 同 様 に混合型 では43名 中40名で あ った 。
治療効 果は第10表 の如 くで あ る。 即 ち両型 で83
‑90% の薬 物効 果 をみ てい る。 然 し効 果 の不変 な ものは単独型16.1%・混合型7.5%であ る。 また 不変 ・徴効 を入れ る と単 独型 で'第 る。これ らの こ と
よ り自律神経 発作 は必ず しも難 治性 の もので ない 半 この判定は各所見の総合によって為されたものである。若干の局所 々且を一時呈 していても全経過中にそれ
が消過 してsynchronousdiffuseとなる場合 もこれに含まれている。
ー 88q
症例2:初診時,16才,T,(現在22才)∩
初診 :昭和32年12月2711。
家族歴 :特記すべ きことがな
い 。
既往歴 :8才時,橋 で遊んでいる時に頭頂部に外傷を 受 けた二約2cmの裂傷があ ったが,耳出血 ・意識障害は
脳波検査では,基本波は10C/Sであるが 不規則 な傾向 を示 し,metrazol賦活では150mgで左右同期性 に高電位
徐波 とspike‑and‑wavecomplexが出現 したo
Aleviatin0.2g投与を 開始 し,その後約1年発作の消 失 をみていたが,昭和33年の幕に1度発作があ り,その
、州 .、.̲ 後発作はないC昭和34年 4月の噺 皮検査では
附図3 症例2の安静時脳波
附図4 症例2の賦活噺皮 (Metrazol法) なか ったO
現病歴 :14才時に学校 で授業中,急に物が見えな くな り,眼を閉 じると閃光がみえ,頭全体が痛 くな り,めま い ・悪心が起 き,唱吐 した らその症状が消礎 した と い うO このような発作が年7‑8回あ り,多い時は 1日に 3回起 きた こともあるC発作時間は20‑40分位であ り, その間意識不明になった り,療撃を起す ことはない。授 業中に発作が起 きても,我慢 出来 るとい う。発作中,閃 光が次第 に大 きくな り,物が見えな くなるとい うが, ど カビカ閃光す る時間は2‑ 3秒で,その後 に頭痛 ・めま い ・悪心 ・顔面蒼 白・喝吐 と臨床像が移動す るO
学業成績は中位.性格は凡帳面 ・内向的である。頭部 単純撮影で異常な く,神経病学的検査で も特 に異常は認 め られなか った.。
附図 3の如 く,安静時脳波は正 常 で あ り, metrazol賦活で徐波 (theta沌)が 附図4の 如 くみ られたのみであ る。
その後 も掩癖を続け,昭和37年10月の帖 史 検査では異常所見は全 く認め られな く,臨床 像 に於いても発作は完全に消過 をみているO なお この症例は単独型の第 11型及び第Ⅴ型に 属す るものである。
症例3 :11才,女。
初診 :昭和33年 8月 6R。
家族歴 :兄 と妹が幼時疫撃発作 を起 した こ とがあ る。
既往歴 :3才時 に年 に 2度,痩撃発作を起 した ことがある他 は特記す ることはない。
現病歴 :昭和33年1月に2回,5月に1回 と大発作 を起 してお り,昭和33年1月よ り週 に1‑ 2回頭痛‑めまい一腹痛 とい う臨床像 の転移 をもった 自律神経発作がみ られ るよ う になった。 この発 作は数分で自然に消過 し, その間に疫撃発作や意識障害はなか ったo
学業成績は中の下,性格はル 帳面 ・短気で
…・W 怒 りぼ く,粘着性であ る。神経学的には異常
Y‑‑‑‑・・ は認め られないO
脳波検査では附図 5の如 く,安静時記録で 芯「 は9C/Sの高振 巾波がみ られ,sporadicに高電 位徐波 を伴 っていた。附図 6の如 く,MM賦 活12ccに於いて左右同期性のspikearKl‑wavecomplex
が出現 した。
そ こでAleviatin 0.2gの 投 与後3カ月間大発作は消 失 したが, なお頭痛一腸痛発作は消越せず, Mysoline O・2gを付加 した。それか ら1カ月間に於いては頭痛発作 が軽 くな り,発 作持続時間 も短か くな り,1‑2分で直 ぐよくなるよ うになった。そ こでDiamox125mg付加 し て約1年投 与 したが,その間,大発作は完全に消失 し, 頭痛発作 も1年間に2度あ っただけであ った。昭和36年 に入 り発作の完全消失をみて, Diamoxを除 き,Ale‑ viatin 0.2g・Mysoline0.1gを投与 して現在に至 ってい
るが,大発作 も自律神経発作 も完全 に消磁をみている。
なお,患者 に対 して.33年以来,毎年脳波検査 を施行 し てい るが,脳波の改善はな くて異常所見が同 じように認
‑ 90【
附図5 症例3の安静時脳波
二 二 三 十 三 ∴
一̲‑̲ フ
附図6 症例3の賦活脳波 (MM法) められ る。
なお, この症例は大発作に自律神経発作が伴 った混合 型の例であ り.第 Ⅱ型に属す るものである。
症例4:20才,男。
初診 :昭和36年4月17日。
家族歴 :特記すべ きことがない。
既往歴 :3才時 に丹毒症に雁患 し,4才時に肺炎に碓 患 し,高熱 (39‑40亡C)を出 したO
現病歴 :8才時 よ り,月に2‑ 3回,顔面を左側に向 反 し,続いて上肢の強直性痘撃よ り全身の間代性痘撃に 入るfocal ceginningの発作を有 していた。一時的に治 療を受けるだけで,規則正 しく抗てんかん剤の治療を受 けていなか った。昭和36年に入 り,発作が増加 し月に5
‑ 6回もあ り,当科を訪れて来た。
初診時 .発作の前兆 として,腰部不快感よ F川平‑r牧田酢 を感ず る事がわか った‑前兆の後必ず上述 0)如 く痔撃究 作を起 しているとい う。釧 本的にまた神経 学 的 に 特に
異常所見は認められなか った。
脳波検査では,附図7の如 く,安静時脳波 で基本波は律動異常を示 し,sporadicに左側 頭 葉部位に頼波を伴 っていた。附図8の如 く MM賦活法では,右側頭葉部位にも棟波が出 現 し,側頭葉てんかんの診断がされた。
AleviatinO・2g.Mysoline0.2gを1カ月間 投与 したが ,発作の改善をみず,Chloroquine lOOmg・Diamox125mg・Phenobarbital0.1g を付加 して約5カ月間授与 し,疫撃発作の半 滅をみたが,腹部不快感‑呼吸困難 とい う発 作前兆のみの無塵撃発作が月に2‑ 3回みら れ るようになった。 この前兆だけの発作は極 めて短時間で5‑10秒で終 るものであった。
治療開始後2年で疫撃発作は完全に消麗 し, 現在,月に平均1‑2回の前兆のみを発作に 変 って来ている。
なお,この症例は混合型の第Ⅱ 型 に 属 す る。
考 接
われ われ は 自律 神経 発 作 を有 す る も のを単 独型 と混 合型 に大 別 して検 討 を 加 え て来 た。 単独 型 とは意 識 障 害 や疫 撃 発 作 を伴 なわ ない 発 作 例 で あ る。 混 合型 とは意 識 障 害 や痘 撃 発 作 を有 して い るが , そ の発作 とは別 に独 立 して発 作 性 障害 を示 す 例 で あ る。 単独 型 と混 合 型 を合せ る と97例 で あ り,過 去 8年 間に訪れ た てんか ん患 者総 数 の約1割 に相 当 す る。
下田6)は普 通 の て んか ん疫 撃 を伴 わ ない一 次 性 間脳 視 床 下部 発 作症 と して547例 とい う 多数 の症 例 につ い て報告 してい るが , そ の数 には些 か疑 義 が あ る。
われ わ れ の症 例 でみ られ た 自律 神経 発 作 の臨床 像 は ,頑 痛 あ るい は 腹痛 を も って始 ま る一 連 の 自 律 神 経機 能 障害 で あ って,発 来 す る発 作症 状 は短 時 間 に 消越 し,大 体 同 じ形 で く りか え し現れ た も の で あ る。
と ころで てんか ん の診 断 につ い て考 え て み る と,1)てんか ん発 作 を繰 り返 し有す る こ と,2) 脳 波 に間歌性 て んか ん波 が発 来 す る こ と,3)玩 て /Lか ん剤 に よ く反 応 して発 作症 状 が改 善 され る こ と,以上3条件 が撒 う場 合 は除 外的 診断 を経 て , 消極 的 なが らて んか ん と診断 され よ う。 これ らの 1 91‑
条件 よ りわれ われ の被検例 をみ る と, 症状 とい う 点 では全例 7/1条件 が揃 ってお り, 脳波所見では単 独型92%・混 合型93%に間敵 性異常茨 の出現 をみ た し,治療 の面 では単独型83.9%・混合型90%に改 善 をみ てい る。 これ らの諸成績か らわれ われ の被 検 例 の80%以上が,少 な くともてんか んの 範噂 に 入 るもの と判 じ得 よ う。
附図7 症例4の安静時脳波
発 作 につ い て間脳の機 能異常が先ず考え られ なけ れ ば な ら ない。Penfield2)のい うくtcentrencepha‑ 1icepilepsy"の所 見を呈 した のが,われわれ の症 例 では単独型22名 (41%)・混 合型14(32%)で あ った。 一方 ,焦 点性 を示 した のが単独型16名 ・ 混 合型22名で あ り, その うち側頭 葉焦 点 の ものが 単独型10名 ・混 合型18名で,前頭 葉焦 点 の ものが 単独型 で1名 ・混合型 で2名 であ り, 中心、回転 部焦 点 を示 した のが両型 とも
F 1 1 ー ‑
ーTI
ど̲' ー‑
二上よこー 一〇. . I ‑ 一 ′
L ̲ヨー.
‑一
A〜ー● r l
̲̲J 叫′▲巾 ′′ー■.人.‑ー■附図8 症例4の賦活脳波 (MM法) Gastautは てんか ん発 作 を分類 して, 1)皮質 悼 ,2)側頭 葉,3)問脳性 一 視床下部 の3発 作 症 としてい る。 下 田は3)を更 に分類 して, 自律 神 経発 作 ・意識 維持機 構性発 作 ・感情 性 情 緒性発 作 としてお り, これ らに発 作性異常波が 伴 うこ と を述 べ てい る。 更 に また,1951年 に Gibbsesが thalamic and hypothalamicepilepsyの特徴 と し て,14and6C/S9)の陽性棟波 を述 べ て い る が, われわれ の症例 では殆 どみ られ な く大 きな 意義 を 見 出せ なか った。 然 しそ うは云 って も, 自律 神経
に2名 であ った。 この こ とは ど う考え るべ きか ,Mulder8)の研 究に よれ ば, 1807年 の Fritschll)に始 まる脳電気 刺 激 に よ り自律神経症状 を現わす部位 は 1)前側頭葉部 ,2)前頭葉 内側部 を 含むいわ ゆ る mid‑frontalparasagital regionの二つ に分け てい る,またPenf‑ ieldに よれ は知覚発 作 の うち,身体知 覚性 の ものは後 中心 回転 部,視覚性 の ものは Vogtの area18・19, 聴覚性 及び臨章 性 の ものは上側頭 回転 後部 , 胃腸 性 の ものは島附 近 に発 作 誘 発 部 位が存在す る とい う。 これ らの知見 よ
りみれ ば,われ われ の症例 の焦点性脳 波所見 もあ る程度理解 出来 る で あ ろ
う。
自律神経 てんか んの臨床像は多岐に わた ってい る。 われ わが追求 した とこ ろでは,5型 に分け得たが ,相互 間に 移行が あ る。 然 しわれわれ のい う第Ⅱ 型 の頭痛発 作 を主 体 とす る臨症 像 と本 来 の偏頭 痛 とは充分 に鑑 別 され なけれ ば な らない。 てんか ん と偏頭痛 に関 し て,Jewesburg20)の よ うに両疾患 の共 存 を肯定 してい る人 もあ り,W allis21)らは偏頭痛 のなかに てんか ん波 が高率 にみ られ る と述 べ てい る, また Mooreは偏頭痛 の原因 として血管撃縮 を述 べ てい るが, てんか ん と偏頭痛が共存す るか 否か につ い ては今 日なお問題が あ る。 われわれ は 被検例 を選 ぶに当 って,偏頭痛 と充 分に鑑 別 し, 疑 わ しい ものはすべ て除外 した。
単独型 と混合型 との間 の臨床像 の差 異につ い て は特 別 な変 りは ない。 然 し単独型 に於 い て,何故 疫撃発作 ・意識 障害 を伴わ ないか, その理 由につ
‑ 92‑