実施: 2019年6月24日(月) 10:50-12:20, 4-203室
2019 年度 前 期 中 間 試 験 ( 問題
兼解答用紙 )
開講学部 評点小計理工学部
問題枚数 両面印刷 別紙解答用紙 試験時間 試 験 科 目 名 出 題 者
1/2 有 なし 80分 線 形 代 数 3 月曜教科書2: Original時限, 大 西 良 博
持込許可物件 所属学部 所属学科 学年 クラス 学 籍 番 号 (9桁) 氏 名
なし 理工学部 学科 年
評 点
注意1. 最終的な答に至る途中の説明をできるだけ詳しく書くこと.最終結果だけでは得点できない. 注意2.学生証,記名用のペン,鉛筆またはシャープペンシル,消しゴム以外は机の上に置かないこと.
注意3. 試験場の静粛を保つために,退出は開始60分後の時点の一回限りとする.
1 (15点) 線形写像T:R5→R3,T(x) =
[ 1 −5 2 1 4
−2 10 5 −1 11 3 −15 −1 3 −2
]
xについて, 次 を求めよ.
(1) Ker(T)の 1組の基とnull(T), (2) Im(T)の 1組の基とrank(T).
2 (15点) xは不定元とする. R[x]3 の元
f1(x) = 2 +x−3x2 −x3, f2(x) = 1 −x −x2−2x3, f3(x) = −4−5x+ 7x2 −x3, f4(x) = 3 + 2x2 −x3, f5(x) =−11 + 2x+ 2x2+ 9x3
について,これらのvectorsがなす組の中で 1次独立な最大個数 rを求めよ. また,r個 の1次独立な組を,前の方を優先して選び出し,他のvectorsをそれらの1次結合で表せ.
3 (15点) A=
[ 5 2
−8 −3
]について答へよ. (1)Aの固有多項式φA(t)を求めよ. (2)f(t) = 4t5−3t3−2t2−6t+ 5 をφA(t)で割つたときの余りを求めよ. (3)f(A)を求めよ.
4 (15点) 線形変換 T : R[x]2→R[x]2, T(f(x)) = 2f′(x)(x+ 1)−f(−1)x2−f(2) について, R[x]2 の基{1−2x, 1−x2, x+x2} 関する表現行列B を求めよ.
5 (15点) 線形変換 T : R[x]2−→R[x]2, T( f(x))
= 2f′(x)(x+ 1)−f(−1)x2−f(2) について (i)固有多項式φT(t), (ii)T の固有値, (iii)T の各固有値λに属するW(λ, T) を求めよ.
学籍番号
6 (20点) A=
[ −9 4 −8
−8 3 −8 8 −4 7
]
について
(1)Aの固有多項式φA(t)を求めよ.
(2)AはR上で対角化可能か. 不可能な場合は理由を述べ,可能である場合は対角化せよ.
(即ちB=P−1AP が対角行列となる様なP ∈GL(n,R)を求めよ. ) (3)An を,その各成分をnの式で表して記せ.
7 (5 点) V を R の n 次元 vector 空間とせよ. T を V の線形変換とし Tn = O, Tn−1 ̸= O とする. さらに u ∈ V が存在して Tn−1(u) ̸= 0 であるとする. このとき
B={Tn−1(u), · · ·, T(u), u}が V の基であることを示し, この基に関するT の表現行列を求めよ.
(Hint : c1Tn−1(u) +c2Tn−2(u) +· · ·+cn−1T(u) +cnu=0として,これをTn−1,· · ·,T で写してみると…)
記号N…自然数全体,Z…整数全体のなす環,Q…有理数全体のなす体,R…実数全体のなす体,C…複素数全体のなす体,K…一般の体,I…単位行列,
Mat(m,n,K)…m×n行列,Mat(n,K)…n次正方行列,GL(n,K)…n次正則行列.
既習事項のまとめ
(1)行列の主成分とは,各行における0でない最も左にある成分のことである.従つて主成分が存在しない行もあり得る.
(2)簡約行列とは右下りの優しい階段状の行列であつて,主成分がすべて1で,主成分のある列は主成分以外はすべて0である様なもののこと.
(3)どんな行列も基本変形(掃き出し法)により簡約行列に変形(簡約化)でき,結果は一意的である.それにより,連立1次方程式を解くことができる.
(4)Vector空間Vの部分集合Xについて,その中にr個のvectorsからなる1次独立な組があり,しかもXのどんなr+1個のvectorsも1次従属であるとき,rをXの最大1次独立数と呼ぶ.
(5)Vector空間Vの最大1次独立数を与へる集合BをVの基または基底といふ.rをVの次元と呼んでdim(V)またはdimVと記す.
(6)K上のvector空間UからK上のvector空間Vへの写像Tは,任意のa,b∈Kと任意のu1,
u2∈Uに対しT(au1+bu2)=aT(u1)+bT(u2)を満たすとき線形写像と呼ばれる.
(7)Vector空間Vからそれ自身への線形写像を線形変換といふ.
(8)K上のvector空間Uの基{u1,···,un}とvector空間Vの基{v1,···,vm},および線形写像 T:U→Vが与へられたとき, (T(u1),···,T(un) )=(v1,···,vm)AなるA∈Mat(m,n,K)をTのこれらの基に関する表現行列と呼ぶ.
(9)線形写像T:U→Vについて
Ker(T)={u∈U|T(u)=0V}をTの核,null(T)=dim (Ker(T) )をTの退化次数, Im(T)={T(u)|u∈U}をTの像,rank(T)=dim (Im(T) )をTの階数といふ.
⋆以下Vはvector空間,{u1,···,un}はVの基,TはVの線形変換であるとする.⋆Aはn次正方行列とする.
(10)φA(t)=|tI−A|をAの固有多項式と称する.
(11)Au=λu(あるいはT(u)=λu)となるscalarλとu̸=0が存在するとき,それぞれをAの(あるいはTの)固有値,固有値λに対する固有vectorと称する.
(12)W(λ,A)={u|Au=λu}をλに対するAの固有空間と称する.
(13)W(λ,T)={u|T(u)=λu}をλに対するTの固有空間と称する.
(14)λがAの固有値であるためにはφA(λ)=0であることが必要十分. (15)Vector空間V線形変換TのVの適当な基に関する表現行列Aに対しφT(t)=φA(t)と定め,これをTの固有多項式と呼ぶ.φT(t)はVの基の選び方に依存しない.
(16)Cayley-Hamiltonの定理:φA(A)=O,φT(T)=O. (17)ある正則行列Pが存在してB=P −1APとなるとき,AとBは相似であるといはれる. (18)正則行列Pが存在してP −1APが対角行列になるとき,AはPにより対角化されるといふ.またこのとき,Aは対角化可能であるといはれる.Tの表現行列Aが対角化可能であるとき,Tは対角化可能であるといはれる.
(19)Aが対角化可能⇐⇒ ∑
λdimW(λ,A)=n.但し,和はAの固有値λのすべてに渡る.
(20)Tが対角化可能⇐⇒ ∑
λdimW(λ,T)=dimV.但し,和はTの固有値λのすべてに渡る.