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日本大学大学院医学研究科博士課程 内科系循環器内科学専攻

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大動脈弓部における血管壁ずり応力のプラーク破綻 への影響について:血管内視鏡と数値流体力学解析に よる検討

日本大学大学院医学研究科博士課程 内科系循環器内科学専攻

小嶋 啓介

修了年 2020 年

指導教員 依田 俊一

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大動脈弓部における血管壁ずり応力のプラーク破綻 への影響について:血管内視鏡と数値流体力学解析に よる検討

日本大学大学院医学研究科博士課程 内科系循環器内科学専攻

小嶋 啓介

修了年 2020 年

指導教員 依田 俊一

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目次

① 概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1

② 諸言・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3

③ 目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17

④ 対象と方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18

⑤ 結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24

⑥ 考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26

⑦ 結論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32

⑧ 謝辞・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33

⑨ 表・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34

⑩ 図・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・41

⑪ 引用文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・55

⑫ 研究業績・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・67

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概要

背景:血管壁ずり応力(wall shear stress; WSS)は大動脈の動脈硬化の主な 規定因子として考えられてきたが、動脈硬化の進展にWSS がどのようにかか わっているのか、未だ十分に解明されていない。近年、血流維持型血管内視 鏡(non-obstructive general angioscopy; NOGA)による血管内観察法の発 展により、生体内における大動脈のプラーク破綻を含めた、動脈硬化の多様 な病態を可視化する事が出来るようになった。NOGAを用いることで、大動 脈の動脈硬化における形態や質を生体内で評価可能となり、WSSとの関係性 がより明らかにできる可能性がある。そこで我々は、NOGAによる大動脈の 動脈硬化性状とWSS の関係を検討することとした。

目的:大動脈弓部における、三次元CT 血管撮影法(three-dimensional computed tomography angiography; 3D-CT)に基づく数値流体力学解析

(computed fluid dynamics; CFD)にて算出された WSSと、NOGAで検出 したのプラーク破綻像との関係性を評価する。

対象と方法:冠動脈疾患を含む心血管疾患が疑われる胸部大動脈造影CT 撮 影と通常の心臓カテーテル検査ならびに冠動脈造影時にNOGA を施行した、

連続40 症例を検討した。WSSは大動脈弓部を三次元構築し、有限要素法に

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よるCFD解析を行うアプリケーションを用いて算出した。またNOGA によ り大動脈弓部の動脈硬化性状を評価し、プラーク破綻像を検出した。

結果:NOGAでは、すべての症例で大動脈弓部に動脈硬化プラークを認めて おり、そのうちプラーク破綻像を検出した症例は22 例であった。プラーク破 綻を有する群では有さない群に対して、WSSの平均値は有意差を認めなかっ たが、WSSの最大値が有意に高値であった(55.6±31.4 Pa vs 37.3±19.7 Pa,

p=0.038)。多変量ロジスティック回帰分析では、WSSの最大値が特定の値よ

りも高値である事は、大動脈弓部におけるプラーク破綻を予測する有意な因 子であった。

結論:大動脈弓部における、NOGAで検出された大動脈プラーク破綻は、

3D-CT を用いたCFD解析によるWSSの最大値に有意に関連していた。

WSSの最大値が大動脈のプラーク破綻に重要な役割を果たしている可能性が あると考えられた。

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諸言

動脈硬化性疾患による死亡は悪性新生物による死亡と匹敵するほどの位置 を占め、総死亡の約1/4 にも及ぶとされている1)。動脈硬化性疾患は、心筋 梗塞や狭心症などの冠動脈疾患、脳梗塞などの脳血管障害、腎硬化症に伴う 慢性腎臓病、末梢血管疾患、大動脈疾患など多岐にわたり、超高齢化社会を 迎えた本邦では、これらの疾患の基盤をなす動脈硬化の機序の解明、発症・

進展の予防、治療法の確立は、医学的のみならず社会的な緊急課題である。

その中で、大動脈の動脈硬化性疾患において重要な位置を占めるのは、一 つは急性大動脈症候群であり、もう一つは大動脈プラークを塞栓源とする動 脈硬化性塞栓症(Atheromatous embolization)である。これら二つの大動脈 動脈硬化性疾患の発症に「大動脈プラークの破綻」が関与していることが以 前から示唆されてきた2-5)。しかしながら、そのメカニズムについて十分解 明されていない。

大動脈プラークの破綻について6)(図1)

大動脈プラークの破綻は、大動脈粥状硬化によって大動脈内膜に形成され た粥腫の破綻が本態をなし、その部位での大動脈壁の脆弱化や構造崩壊の原 因となるだけでなく、破綻によりプラークの構成物質や内容物が飛散し、遠 隔臓器にも病的影響を及ぼしうる病態である5,7)。粥状動脈硬化はFatty

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streakと言われる初期変化から生じる。血圧や血流の変化や糖尿病などの全

身性疾患、あるいは種々の局所的な血管障害性因子により、血管内皮の障害 をきたし、血管内膜内に脂質が沈着していく。一方、血流内の単球

(monocyte)が内皮細胞の間隙から血管内膜に侵入し、あるいは表現型を変

えた平滑筋細胞が中膜から内膜へ遊走して、それぞれがマクロファージとな って、沈着した脂質を貪食することで泡沫細胞(Foam cell)化し血管壁内に 集簇する。さらに一部の泡沫細胞が死滅し脂質成分に富んだ壊死性コア

(Necrotic core)を形成するほか、炎症と共に膠原線維の増生もすすみ、内 膜が肥厚し粥腫が形成される。粥腫形成が進行すると、一部の粥腫は脆弱化 して破綻しやすい粥腫となる(不安定化)。この不安定化した粥腫

(Vulnerable plaque)はある日突然破綻し、粥腫の内容物が流出し、さらに 組織因子(Tissue factor)を含む破綻部分の内容が血液と接触し、血小板凝 集や凝固系の活性化をきたして、局所の血管内腔側に血栓が生じる。この現 象が冠動脈内で起こると、急性心筋梗塞や不安定狭心症といったいわゆる急 性冠症候群を来すわけであるが、大動脈においてもこのようなプラークの破 綻があることが示されていて、急性大動脈症候群やAtheromatous

embolizationを来たしうることが示唆されている5,7)。

急性大動脈症候群

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急性大動脈症候群は、突然発症する大動脈瘤破裂や急性大動脈解離を代表的 な疾患とする疾患群である。急性大動脈症候群は、死亡率 80%以上とも言われ る致死的で極めて重篤な疾患である 8)。その院内死亡率は 50~60%と極めて 高率であり、さらに予後不良であるばかりでなく、発症までは無症状であるこ とが多く、発症前の早期診断が極めて困難な疾患であるとされてきた 9,10)。 わが国の久山町研究によると、突然死のおよそ19%が大動脈解離もしくは大動 脈瘤を原因としており、これは心疾患の次に多く、脳卒中より頻度が高かった

11)。年間 3 万 4 千人の突然死が生じるとされており、6 千人以上が急性大動

脈症候群により命を落としていると推定されている。

急性大動脈症候群の一因は高度に進んだ動脈硬化であるといわれている。大 動脈解離は、大動脈壁が中膜のレベルで二層に剥離し、動脈走行に沿って、あ る長さを持ち二腔になった状態であり、大動脈壁内に血流もしくは血腫が存在 する動的な病態であると定義されている12,13)。発症メカニズムは未だ十分明 らかにされていないが、中膜の弾性線維の減少や嚢胞性中膜壊死による中膜の 脆弱化が知られる 14)。一方で、大動脈の動脈硬化性プラークが潰瘍化して血 管内腔表面から中膜にまで至ると解離を発症することがあると言われており、

穿通性動脈硬化性潰瘍(Penetrate atherosclerotic ulcer)として知られている 2,3)。一方、大動脈瘤は大動脈の一部の壁が、全周性または局所性に拡大また は突出した状態と定義されている 14)。発症メカニズムには、大動脈壁の脆弱

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化が大きく関与しており,粥状動脈硬化4,15)や炎症、Marfan 症候群などの先 天性結合組織異常疾患等による壁の構造異常や破壊によって瘤化するといわ れている 14)。このように大動脈の破綻に寄与する動脈硬化は、炎症や線維組 織の増生、石灰化などによる動脈壁の弾力性の低下から血管機能の障害をもた らす変化であり 16)、大動脈プラークの破綻もこの大動脈瘤形成になんらかの 関与をしていると推測されている4)。

動脈硬化性塞栓症(Atheromatous embolization)

大動脈プラークの破綻が末梢臓器に及ぼす影響も重要な病態である。心臓か ら拍出された血液は大動脈を介して全身へ供給され、大動脈における粥状硬化 病変およびプラーク破綻により放出されるプラーク内容物(主としてコレステ ロール結晶を含む脂質)やそれを含有する動脈硬化性血栓は、血液が供給され る全身の臓器に飛散し塞栓症をきたす恐れがある17)。

大動脈に由来する動脈硬化性塞栓症の重要な病態として脳卒中が挙げられ る。日本では脳卒中が死因の第 4 位(およそ年間 10 万人)である。このうち 虚血性脳卒中は75%を占めている 18)。虚血性脳卒中の原因はアテローム性脳 梗塞(25%)、ラクナ梗塞(25%)、心原性脳塞栓症(20%)の順であり、その 他の塞栓源不明の脳塞栓症(Embolic Stroke of Undetermined Source: ESUS)

が25%含まれている19)。正確な割合は把握されていないものの、大動脈原性

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脳塞栓症はESUSに一定数含まれていることが知られている。

大動脈プラークの破綻は、眼では網膜動脈にコレステロール結晶が塞栓する Hollenhorst plaqueという所見が知られ、消化器系、腎(急性/亜急性/慢性腎 臓病、腎梗塞)、末梢動脈、皮膚(Blue toe、網状皮斑)をはじめとするあら ゆる末梢臓器にも塞栓を生じうると考えられている5)。下肢閉塞性末梢動脈疾 患に関しては、重症下肢虚血のため下肢切断術が施行された検体を病理学的に 解析したところ、49%の症例には下腿の動脈閉塞病変に動脈硬化性変化を認め ず、大動脈原性塞栓症によるものであるとされている20)。

従来大動脈の粥状硬化プラークの破綻によりコレステロール結晶や血栓が 飛散するのはカテーテルなどの手技によるなど医原性によるものが多いと考 えられてきた 7,21,22)。 しかしながら最近の大動脈内視鏡による研究では大 動脈の粥状硬化病変は、手技によらずとも自発的かつ高頻度に破綻し塞栓子を 血 中 に 飛 散 さ せ て い る こ と が 分 か っ て き た 17,23,24)。 こ の よ う な Atheromatous embolizationにおいて、比較的大きな塞栓子が飛散した場合は 脳梗塞を生じたり、急性腎障害や急性末梢動脈狭窄・閉塞などの急性の病態と して認識される。しかしながら大動脈プラークから飛散する塞栓子のうち最小 単位であるコレステロール結晶だけが飛散していく場合は、そのサイズが 30-

40 µmと非常に小さく、それ単独では臨床的な急性塞栓症としては認識されな

い可能性がある 17)。さらにコレステロール塞栓を生じた部位では炎症細胞浸

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潤を生じ、サイトカインなどのケミカルメディエーターが放出されて、塞栓先 の臓器を徐々に障害していくことが知られている 7,22)。このように、プラー ク破綻部位から絶えず飛散しているコレステロール結晶が1つ1つは微細な 塞栓であっても、それが徐々に慢性的な腎機能低下や血管性認知機能低下、下 肢末梢動脈灌流に影響することが懸念されている11,17)。

大動脈の画像診断

大動脈疾患に関する画像診断は、従来は血管造影、CT、Magnetic resonance

imaging(MRI)、血管内超音波(IVUS)、経食道超音波などが用いられてきた

25)。血管造影は経カテーテル的にヨード造影剤を注入して行われることが一 般的で、大動脈の形態や分枝血管の走行と病変の有無を評価することに使用さ れる。古くは解離の診断にも使用されていたが近年では非侵襲的な画像診断が 推奨されており、あまり多く施行されていない。現在では血管内治療や大動脈 弁閉鎖不全症の評価のために使用されることが主であり、局所の動脈硬化病変 や血栓の評価には不適格である。

CT は、急性大動脈症候群や大動脈瘤診断のGolden standardとされヨード 造影剤を用いて評価を行う事が一般的である14)。動脈硬化の診断においても、

内腔や大動脈壁性状あるいは石灰化の定量的評価が可能である。CT による大 動脈の動脈硬化の程度と、心血管、脳血管イベントとの関連性を報告している

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論文が多数みられる 26,27)。Shaggy aorta や動脈硬化による内膜の潰瘍性病 変も描出可能であるが、空間分解能以下の大きさであるプラーク破綻やプラー クに付着した血栓を描出することは容易ではなく、かつ静止画であるため(内 容物の飛散や可動性内膜の有無といった)プラーク破綻部のダイナミックな病 態を含めた粥状硬化病変性状を詳細に検討することには限界がある。

MRIは、大動脈瘤や解離の診断に関して、日本医学放射線学会画像診断ガイ ドライン 2016 年度版でCT に次ぐ推奨度となっている28)。MRI はヨード過 敏症でも使用可能であり、また被ばくを伴わず侵襲度が低いため、繰り返し施 行する場合に適している。一方で撮像に時間がかかるため、血行動態が不安定 な、急性大動脈症候群には使用が困難である。またガドリニウム造影をした方 が診断能は高くなるといわれているが、eGFR 30 ml/min/1.73m2以下の腎機能 低下例では腎性全身性線維性発症のリスクが高くなるため推奨されていない。

大動脈壁のプラーク診断においてはCT と同様に、心血管イベントを予測する 因子として、多くの臨床研究がなされている 25)。しかしながら解像度は CT に劣り、プラーク破綻などの微細な形態評価には不適である。また大動脈プラ ークの質的診断をMRIと病理比較した研究では、Fibrocalcific plaque以外は 十分な正診率を得られなかったとされている29)。

IVUSは超音波を用いて経カテーテル的に血管壁性状を評価することが出来 る血管内イメージングモダリティーの一つである。Color mappingによる組織

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性状が可能であり、プラークの質的評価が可能であるが、そのシステムが現在 主に冠動脈に用いられている 40-60MHz のシステムでは、冠動脈に比して大 径である大動脈では深達度が不十分であり大動脈壁までエコーが届かない。一 方、末梢動脈用に使用されている10MHzのシステムでは、より解像度がお膣 ばかりでなく、組織性状を評価する機能に乏しく、結局大動脈壁の評価に関し てはおよそCT と同等と考えられる23)。

経食道超音波は、急性大動脈症候群では造影 CTが撮像困難な場合などの補 助的診断として使用することが推奨されている 25)。隔壁や解離のエントリー の診断能にたけ、大動脈瘤では瘤径や内部の血栓・粥腫の有無を評価すること が可能である。大動脈壁の動脈硬化性状診断における胸部下行大動脈での感 度・特異度は高く、同部位のプラーク厚が4mm以上であると脳梗塞発症リス クが高いという報告がある 30)。また CT、MRI と異なりリアルタイムで観察 できるため、プラークの可動性が評価できる。しかしながら、本法では大動脈 基部から食道位接合部レベルまでの胸部下行大動脈のみ評価可能であるもの の、気管内の空気により上行から弓部にかけては観察できないことが多い。

このような従来の画像診断装置の弱点である動的なリアルタイムの画像取 得をえる目的で、近年、血流維持型一般血管内視鏡(Non-obstructive general angioscopy: NOGA)による大動脈観察法が開発された。NOGAは、大動脈壁 内腔の動脈硬化性変化を動的にかつリアルタイムで評価する新しい画像診断

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法として期待されている17,23,24,31)。

NOGA は日本で開発された経カテーテル的に血管内腔の状態や動脈硬化の 程度あるいは動脈壁性状を内視鏡的に直接観察するデバイスである。血流維持 型血管内視鏡は、20 年ほど前に、全身の動脈を評価する機器として保険適用と なり、以後主に冠動脈の動脈硬化を評価して発展してきた。2015 年に大動脈 へ応用する方法が新しく考案され23,31)、大動脈壁の性状をリアルタイムで観 察する方法として、近年注目されている。NOGAのシステムは、血流維持型血 管内視鏡を用いて冠動脈を観察する場合とほぼ同等であり、6Frガイドカテー

テルと4.2Frのプロービングカテーテル、血流維持型血管内視鏡カテーテルを

用いて、大動脈の壁面近傍に合わせ、低分子デキストラン溶液を先端から注入 することにより血球除去をして視野を得る23,31)(図 2,3)。血球除去にはプロ ービングカテーテルからのみではなく、ガイドカテーテルからも低分子デキス トランを注入するDual infusion 法を用いる方がよりクリアな画像が得られる ことから推奨されている 32)。ガイドカテーテルを回転させながら大動脈壁を 網羅的に観察することが可能であるイメージングカテーテルは弱拡大の顕微 鏡の様に拡大して描出され、0.75mmφのカテーテル内に約 6000 本の高精細 型光ファイバーを内含していて、画像の空間分解能が高く、リアルタイムでの 観察が可能である23,31)。従来冠動脈に対する評価で用いられてきた黄色度に よるプラークの不安定性の評価にとどまらず、破綻プラークからプラーク内容

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物が血流に乗って飛散する「Puff rupture」像をはじめとした大動脈の多様な 動脈硬化性変化が報告されている17,31)。Komatsuらは、NOGAが心血管疾 患患者の大動脈プラークの破綻や、破綻腔からのコレステロール結晶の飛散を 検出できることを報告しており、これらの病理学的な現象が動脈硬化性塞栓症 や、大動脈瘤および大動脈解離の形成にさえ関連している可能性を示唆してい る23)。

血管壁ずり応力について

上記のような大動脈プラーク破綻の病態と血管壁ずり応力(Wall shear

stress: 以下 WSS)との関係は過去にあまり検討されていない。WSS は血流

が血管内膜表面に及ぼす血流方向の応力であり、血管に働く血行力学的な応力 の代表的な一つである33,34) (図 4)。WSSは以下の様な式で定義される。

WSS τ(y) = µ(∂u /∂y)、

(µ=粘性係数、∂u=血流速ベクトル、∂y=壁面からの距離)34)(図4,5)。 ずり応力はせん断応力ともよばれ、物体内部のある面と平行に、その面に滑 らせるように作用する応力のことであり、自然界において河川の水流が時間を かけて川岸を浸食し、河川の蛇行を形成していくような力が例として知られて いる。

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WSSと動脈硬化

WSSは血管内皮機能に重要な影響を及ぼし、動脈硬化の進展に関与してい ることが指摘されている33,34)。冠動脈に関して言えば、WSSは血管壁局所 におけるプラークの形成や組織性状35,36)、ならびにその破綻37)に関与し、

将来の心血管イベントに影響することが示唆されてきた38-40)。加えていく つかの先行研究ではWSSは動脈瘤や動脈解離の形成機序にも関与することが 詳細に報告されてきた41-43)。ほかに脳動脈領域44,45)でもWSSと血管イベ ントとの関係性が検討されている。

冠動脈での動脈硬化の進展、プラークの不安定化およびその破綻といった プロセスが臨床的なイベントに強く関与することや、冠動脈領域では血管内 イメージングモダリティが発展しているため生体内でのプラーク性状とWSS の関連を検討することが可能であることから、動脈硬化の進展とWSSの関係 に関しては冠動脈領域の研究を中心に発展してきた。先行研究によると、低 WSSが将来の心血管イベントに関連することが報告されている37,38)。しか しながら、低WSSであるプラークが進展して不安定化し、さらにはプラーク 破綻に至ってイベントを発生するまでの各時点において、プラークへ悪影響 を及ぼすWSSは一定ではないと考えられている。光干渉断層法を用いて経時 的な変化を観察した研究では、ベースラインにおいて低WSSだが不安定では ないプラークが、経時的にプラークを覆う線維性被膜が菲薄化し不安定化す

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ることが報告されており、プラークが不安定化する機序として低WSSの関与 が示唆されている36)。一方でACSを発症した患者における不安定プラークの WSSを検討した研究では、不安定ではないプラークに比較してWSSが高値で あった35)。さらに血管内超音波を用いてプラーク破綻部位のWSSを検討した 研究では、既にプラーク破綻が生じた局所に一致して、WSSが高値であった ことも知られている37)。これらの結果から局所に影響を及ぼすWSSはプラー クの進展段階に応じて変化する可能性が示唆されており、低WSSがプラーク を進展・不安定化させ、不安定化したプラークの破綻には高WSSが影響する と考えられている。

大動脈領域では従来、動脈瘤や大動脈解離といった大動脈に生じる大きな 形態変化を伴う病態とWSSの関係が主に検討されてきた。動脈瘤と非動脈瘤 症例では有意にWSS値が異なり、大動脈瘤の端にかかるWSSが高値であるこ とが瘤径の拡大スピードを促進し46)、破裂間際の動脈瘤ではWSSの最大値が 高値であることが報告されている47)。また大動脈解離においても、WSSの最 大値が存在する部位と大動脈解離のEntryが多くの場合で一致することが報告 されている48)。しかしながら、大動脈における局所の動脈硬化プラーク性状 とWSSの関係は未だ十分に検討されていない。前述の冠動脈における動脈硬 化性状とWSSの関係から、大動脈においてもプラークの進展にWSSが関与す ると考えられる。

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WSS は血管の部位ごとに異なるが、このことは以前から動脈内での部位に よって、例えば血管屈曲部の大弯側・小弯側や血管分岐部の内側・外側などの 間で、動脈硬化の進展度が異なることの一因として認識されてきた。動物実験 モデルによる研究では、高WSS環境下では血管内皮からのNO の分泌が動脈 硬化進展を抑制するように働く一方で、低 WSS 環境下では、血管内皮細胞に 対し各種メディエーターを誘導し、炎症や血管新生、石灰化、マトリックスの 退縮を促進し、動脈硬化を促進することが示されている 46)。しかしながら、

過剰な高 WSS 環境下では、むしろ内皮細胞の損傷とそれに引き続いて起こる 血小板凝集反応が起こると言われている49)。従って、血管壁に適度のWSSが かかっていることが血管の恒常性を保つともいわれているが、至適な値につい てはは未だ一定の見解が得られていない。

しかしながら、生体内でWSSを直接実測定する方法は確立しておらず、CT や血管造影により描出された血管を3D に構築した管腔内に、血液の条件に見 立てた液体を流し、有限要素法を用いた Computational Fluid Dynamics

(CFD)によるシミュレーションを施行し、仮想的に求めたWSS値を算出す る方法が考案された。この方法により、さまざまな病態を考察した研究が多数 報告されている33,35,42,46)。

しかしながら当初解析にはスーパーコンピュータに類するハイスペックな コンピュータを用いる必要があり、かつ計算に膨大な時間を要したため、動脈

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硬化性状との精細な検討は十分にされていなかった。近年、コンピュータの性 能が著しく向上し、CFD を行う事が出来るソフトウェアの開発によりパーソ ナルコンピュータのレベルで WSS のシミュレーションができる時代になりつ つある。

我々の研究室では2012年から数値流体力学解析ソフト「PHOENICS」を導 入して数値流体力学解析を開始し、冠動脈において血管壁ずり応力と不安定プ ラーク進展の関係性を検討してきた。冠動脈の WSS シミュレーションモデル の作成に成功し、CT による高リスクプラークが高 WSS と関係することを報 告している35)。

有限要素法

有限要素法とは、工学の分野で主に活用される数値解析法、シミュレーシ ョン法であり、構造力学、流体力学解析、電子状態計算、電磁場解析の分野 などで広く使われている手法である。

複雑な形態構造を持つ物体内部各所にかかる応力を求めることは、難解な 微分方程式を解く必要があり実用的ではない。このため有限要素法では、複 雑な形態構造を単純な形状の小さな要素の集合体として扱う事で、難解な方 程式を解く代わりに、その要素間での単純な力学的方程式を想定し、すべて の要素間でその方程式を解く計算を繰り返し行い、物体内部にかかる応力の

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分布を求める。そのために、まず対象となる複雑な形態構造を、一つ一つが 単純で小さな要素の集合体として構成されたメッシュとして表す。要素の頂 点は節点と呼ばれ、節点での物理量を求めると要素内の全ての点における物 理量が一意的に決定されるように要素の性質が定められる。図6は赤血球表 面の立体構造をメッシュ化した例であるが、赤血球の様な楕円形で丸みを帯 び、中心が窪んでいる複雑な形態であっても、メッシュとして表すことで単 純な要素(図では三角形)の集合体として表現する事が出来る50)。この単位 要素として、曲面に対しては三角形や四角形、立体については四面体や六面 体などが用いられる。

目的

大動脈プラークの破綻は上述のように、極めて臨床意義が高い病態である が、発症するリスクが高い病変や発症メカニズムに関する研究は、未だ十分 にはなされていない。上述の冠動脈におけるWSS とプラーク破綻の関係か ら、大動脈においてもプラーク破綻には高WSS が関与している仮説が立てら れる。しかしながらWSS が生体内における局所の大動脈プラーク破綻にどの ように関与しているかについて過去に報告はない。

そこで本研究では大動脈CT 画像から大動脈弓部の三次元画像を用いて有 限要素法に基づき流体力学的解析を行い、大動脈壁各部のWSS を計測し、

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NOGAで描出された大動脈プラーク破綻を認める大動脈弓部と認めない弓部 を比較することで、WSSと大動脈プラーク破綻の関係性を明らかにする。

対象と方法

本研究は 2015年3月から 2019年6月までに日本大学医学部附属板橋病院 において、冠動脈疾患を有する、もしくは疑われて心臓カテーテル検査を受 け、合わせて大動脈弓部におけるNOGA の観察と3D-CTを施行した、連続 40 症例を対象とした単施設後ろ向き観察研究である。

除外基準として、急性冠症候群、心原性ショック、急性大動脈症候群、胸 部径6 cmもしくは腹部径5cmを超える大きな大動脈瘤、脳梗塞・脳出血を 含む脳卒中急性期、血液透析、コントロールされていない高血圧、造影剤ア レルギー、妊娠を有する患者を除外した。また血流除去が十分でなく、もし くは重度の大動脈や動脈の蛇行・屈曲のためにカテーテルの挿入が十分でき なかった症例や、大動脈弓部全体で良好な画像を得られなかった症例も除外 した。NOGAは日本の健康保険制度で使用が認められているが、本研究は被 検者に対し十分な説明と同意を得て施行した。また本研究は日本大学医学部 附属板橋病院、臨床研究倫理審査委員会の審査によりその施行が認可され

(RK-180710-18)、かつヘルシンキ宣言に則って施行したものである。

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動脈硬化性リスク因子

高血圧症は、血圧が140/90 mmHg 以上、もしくは降圧薬の使用と定義し た。脂質異常症は、総コレステロール値が220 mg/dL以上、もしくは LDL コレステロール値が140 mg/dL以上、HDLコレステロール値が 40 mg/dL以 下、中性脂肪値が150 mg/dL 以上、脂質改善薬の使用と定義した。糖尿病 は、空腹時血糖126 mg/dL 以上、かつHbA1c値 >6.5%、もしくは経口血糖 降下薬かインスリンの使用と定義した。

3D-CT による大動脈弓部の撮像および計測(図7)

大動脈のCT 撮像には320列面検出器 CT(Aquilion ONE Vision

edition、キャノンメディカルシステムズ、東京)を使用した。撮影条件とし てはコリメーション 1.0 mm、ガントリー回転時間 0.5 sec、管電圧

120kV、線量は自動露出機構(Auto Exposure Control)にて計算を行った。

造影剤はイオメプロール(ブラッコ・エーザイ社、東京)400 mg Iodine/ kg を使用し、オートインジェクターにておよそ10 秒で注入した。造影剤投与後 の撮影タイミングはReal Prep Technique(キャノンメディカルシステムズ、

東京)を用いて決定した。撮像範囲は頚部から腎動脈分岐レベルまでとし た。上記CT 撮像方法にて得られた大動脈CT画像を用いて、3次元画像構築

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ソフトであるINTAGE Volume Editor™(ver 1.2; Cybernet Systems社、東 京)を使用して、大動脈3D-CT の構築を行った。

本研究で検討した大動脈弓部の測定項目として、肺動脈分岐部と同一平面 上の、上行大動脈の水平断(P平面)と下行大動脈の水平断(D平面)をま ず定義した(図7)。大動脈弓部の幾何学的特性を評価するために図 7に示す ように、P平面と D平面における大動脈断面の直径、大動脈の各部位におけ る短軸断面での内腔の重心(A’, B’など)を長軸方向に結んだ長さ(center line length: CLL)、Pおよび D平面と同じ平面での大動脈の内側の曲率半径

(radius of inner curvature: R-inc)、大動脈弓屈曲度指数(= CLL / R-inc)、 および大動脈弓部の最大直径(E-F)を計測した 51)。

WSSの計算とカラーマッピング(図 8)

本研究におけるWSS のカラーマッピングは過去に報告されている方法を改 良して行った52)。大動脈内腔の三次元再構成は、INTAGE Volume Editor™

により3D-CT から行い(図8A、B)、CFD解析を施行するために網目状のポ

リゴン構造(図8C)を定義して使用した。CFD解析は、事前に流入口と流 出口を初期条件として設定(図8D)する有限要素法に基づいた解析ソフトで あるPHOENICS-CFD Works™ (ver 4.3.6.1.; Concentration Heat and

Momentum社、ロンドン)を用いて、大動脈弓部の内腔内の WSSの3次元

(24)

21

的な分布を計算し、表示した(図8E)。最小単位の空間分解能はおよそ0.01 mm2であった。大動脈内腔構造は、自動的に三角形の集合体としてメッシュ 化される。大動脈壁は、中央の内腔線最上部の水平接線を含む水平面によっ て、上部と下部の2つの領域に分割し、それぞれ大弯側と小弯側領域として 定義した。これらの有限要素法に基づくCFD解析を用いた大動脈腔のWSS 解析は、いくつかの先行研究でも報告されている33,46,47)。

本解析においては、レイノルズ数も算出した。レイノルズ数は流体力学に よって規定される管腔内の乱流と層流を推し量るパラメータであり、動脈硬 化の進展との関係が報告されている54)。 レイノルズ数は、血流速度×直径×

密度÷粘度で計算される55)。

本解析は、計算前の初期条件として以下の仮定して行った。大動脈自身は 本来弾性体であり、心拍動に依存して若干の伸縮を伴うが、本研究では後述 のように血流に伴う変形を無視できるものとし、剛体として扱った。血流は

Krijgerらなどにより広く用いられている条件から、定常な層流で、血流は

60 cm/sの一定速度で流入することとし、流出口では圧抵抗なく、血管壁に摩

擦によるエネルギー損失は考慮しないものとした。また、血液は非圧縮性で 均一とし密度1,050 kg /m3 ,粘性度0.003 Pas のニュートン物性を有するも のと仮定した53,56,57)。

(25)

22

心臓カテーテル検査および血管内視鏡システム

心臓カテーテル検査は大腿動脈から6Fr シースを留置して、造影カテーテ ルを使用した標準的な手技で行った。NOGAによる大動脈観察は過去に報告 されているように行い、ビジブルイメージングカテーテルTM(インターテッ クメディカルズ、大阪)とコンソールを用いたイメージングシステムにて施 行した。観察を行う前に色調補正を行い、内視鏡動画を検査後にオフライン で解析するためデジタルビデオレコーダに記録した。NOGAは過去に報告さ れている安全かつ標準的な方法に準じて行い、視野はdual-infusion 法にて低 分子デキストラン液を注入することで血流を除去して得られた。6Frガイド カテーテルと4Fr プロービングカテーテル、イメージングカテーテルの先端 を合わせ、上行大動脈から胸部大動脈までらせんを描きつつ引き戻しなが ら、大動脈壁を漏らさず観察した17,23,24,31)。

NOGAによる全大動脈壁の観察

大動脈弓部において、アテローム性プラークおよびプラーク破綻像、黄色 プラーク像、血栓像の有無、さらに最大黄色度をNOGA を用いて評価した。

プラーク破綻像、黄色プラーク像、血栓像は1症例当たりに大動脈弓部で観 察された個数(中央値[四分位範囲])をカウントした。プラーク破綻像は、

Komatsuらが最初に報告し 23)、のちにConsensus standard で定義されて

(26)

23

いるように31)、内膜が破綻しプラーク内容物がパフの様に血流にまき散らさ れている「Puff rupture」と「Puff-chandelier rupture」と定義した。黄色度 は「0から3」の4-point scale を用い31)、黄色度の高い2度と3度を黄色プ ラークと定義した。プラークの位置は、異なる 2方向からの透視を行い、椎 体や気管支分岐、動脈の分枝などを参照して特定し、WSSのためにカラーマ ッピングされた3D-CT の大動脈弓部像と注意深く一致させた。本解析は患者 背景を盲検化して、2人の熟練した血管内視鏡の専門家によって行われた。

統計解析

連続変数は、正規分布しているものを平均±標準偏差、非正規分布を中央値

(四分位範囲)で表記し、前者の比較はt 検定、後者はマンホイットニーU 検定を行った。カテゴリー変数にはカイ二乗検定もしくはFisher の正確確率 検定を用いて比較した。症例をプラーク破綻像の有無で2群に分け、2群間 で患者背景、併存疾患、血液・生化学・尿検査データ、薬物治療、CT 解析値 およびCFD解析値を比較した。NOGA所見と WSSの最大値及び平均値の相

関関係をSpearman の相関係数を用いて評価した。ROC曲線はプラーク破綻

像の存在を予測するWSS の最大値として、カットオフ値、AUC値、感度、

特異度を解析した。ロジスティック回帰解析では、プラーク破綻の存在を予 測する因子を単変量解析で検索し、多変量解析を用いて有意な予測因子を、

(27)

24

先行研究で大動脈破綻プラークの予測因子として示されている年齢で補正し た。すべての統計解析は、統計ソフトJMP(version 12.2.0、SAS、Cary、 United States)を用いて検定しP<0.05を統計学的有意と判定した。

結果

NOGA所見および患者背景(表 1,2)

本研究で登録された症例は 40例であり、平均年齢は69±10 歳(45 から86 歳)であった。全ての症例で大動脈弓部にアテローム性プラークが検出さ れ、プラーク破綻像、黄色プラーク像、血栓像はそれぞれ、22 例(55%)、

22 例(55%)、26例(65%)で観察され、1症例当たりの観察個数は1 [0- 2]、2 [1-4]、1 [0-2]であった。併存疾患は、糖尿病は15例(38%)、脂質異 常症30 例(75%)、高血圧26 例(65%)、冠動脈疾患24例(60%)、陳旧性 脳梗塞12 例(30%)、末梢動脈疾患6例(15%)であり、LDLコレステロー

ル値は107±35 mg/dlであった。またスタチン内服例、アスピリン内服例は

ともに28 例(70%)であった。プラーク破綻像を有する群と有さない群で、

年齢、性別、動脈硬化リスク因子、併存疾患、脂質プロファイル、炎症マー カー、腎機能および内服薬に統計学的な有意差は認めなかった。

CT 計測およびCFD解析結果(表3)

(28)

25

大動脈弓部の形態的な特性を表したCT パラメータについては、大動脈プ ラーク破綻の有無で差を認めなかった。CFD解析では血流速度および、レイ ノルズ数に差を認めなかった。WSSの平均値は 2群間に有意差を認めなかっ たが(2.7 ± 0.7 Pa vs. 2.5 ± 0.6 Pa, P=0.26)、WSSの最大値はプラーク破綻 像を有していた群で高値であった(55.6 ± 31.4 Pa vs. 37.3 ± 19.7 Pa, P =

0.038)。加えて大弯側、小弯側毎に検討すると、同様にWSS の平均値は差を

認めなかった(大弯側: P = 0.072, 小弯側: P = 0.27)が、WSS の最大値は大 弯側、小弯側それぞれについて、どちら側においてもプラーク破綻を有する 群で有意に高値であった(大弯側: P = 0.013, 小弯側: P = 0.011)(表4、図 8)。図10に代表症例を1例示す。

大動脈弓部におけるプラーク所見とWSS の相関関係(表5)

大動脈弓部における黄色プラーク数および最大黄色度は、WSSの最大値、

平均値の両者とも有意な相関関係を認めなかった。一方で、プラーク破綻と 血栓像の数は、WSSの平均値との間に有意な相関関係を認めなかったが、

WSSの最大値との間には有意な相関関係を認めており、WSS の最大値が高 いほど大動脈弓部にプラーク破綻像及び血栓像が多く観察されていた(プラ ーク破綻数とWSS の最大値:r=0.43, P=0.005; 血栓数とWSS の最大値:

r=0.38, P=0.015)。

(29)

26

大動脈弓部におけるプラーク破綻の規定因子

プラーク破綻像の有無を目的変数としてWSS の最大値でROC曲線を描出 した結果(図11)、AUC 値は0.77であった。カットオフ値は 42.2 Paであ り、この値より高値であることがプラーク破綻を予測する上で、感度87%、

特異度63%であった。単変量ロジスティック回帰分析(表6)を行うと、

WSSの最大値が 42.2より高値であることは、プラーク破綻像の存在を予測 する有意な因子であった(Odds 比 4.29、95%信頼区間 1.18-17.27、

P=0.027)。年齢とWSS の最大値が42.2より高値であることを説明変数とし て、多変量ロジスティック回帰解析(表6)を行うと、両者は大動脈弓部のプ ラーク破綻を予測する独立した因子であった(年齢: Odds比 1.09、95%信頼 区間 1.01-1.20、P = 0.021; WSSの最大値>42.2: Odds比 7.22、95%信頼区 間 1.67-40.54、P = 0.007)。

考察

本研究では、NOGA により検出された大動脈弓部内のプラーク破綻像を有 する患者は、3D-CT を基にするCFD解析によるWSSの最大値が、大動脈弓 部全体においても、弓部大弯側および小弯側だけで限定しても、WSSの区間 内最大値が有意に高値であったことが示された。さらにWSS の最大値が高い

(30)

27

ほどプラーク破綻数は多く観察されていた。またWSS の最大値が特定の値よ りも高値であることは、大動脈弓部にプラーク破綻像を有する有意な決定因 子になる可能性があることが多変量解析で示唆された。我々の見解では本研 究はWSS と大動脈プラーク破綻の関係を報告した初めてのものであると思わ れる。

大動脈プラーク破綻に対するWSS の意義

動脈硬化性プラーク破綻は、高血圧,糖尿病,喫煙,家族歴,高コレステ ロール血症などが発症のリスク因子とされる。これらのリスク因子が脂質プ ールを増大させ、線維性被膜を菲薄化させることで動脈硬化性プラークは不 安定化し破綻に至る。本研究でもこれらのリスク因子が管理目標値に達成し ていない患者を認めており、プラーク破綻を促進させた可能性がある。一方 で、プラーク破綻は血管壁にかかる様々な応力が関与するダイナミックなプ ロセスであるとも説明できる。動脈硬化プラークの形成および不安定化に影 響するWSS と、不安定化したプラークの破綻に影響するWSSでは、概念が ことなり、低WSS は動脈硬化を進展させ不安定化させることに寄与し、不安 定化したプラークに対して過剰に高いWSS はプラーク破綻の規定因子となる ことがよく知られている43,47)。したがって本研究は、高WSSと大動脈弓 部レベルでのプラーク破綻の関連性を支持する、従来の動脈硬化とWSS の関

(31)

28

係性の見解に矛盾しない結果であり、本研究の仮説にも一致する結果であっ たといえる。一方で、従来の冠動脈の研究からすると、低WSS 部位にプラー ク形成やプラークが進展していることが予測された36,38,39)が、WSSと黄 色グレード、黄色プラーク数には有意な関係性を認めていなかった。これは 既にプラーク破綻を有しているような高度に不安定化した状態に進行してい る大動脈弓部の症例が多くみられていたからかもしれない。

Fukumotoらは冠動脈において、局所の高 WSSがプラークの線維性被膜を

破綻させるきっかけとなる可能性を示している43)。彼らはずり応力の局所で の上昇が、内皮障害の顕著な偏りを引き起こし、プラークを破綻させるカタ ストロフィックなカスケード反応を誘導すると推定している。従来から言わ れる物質が崩壊するメカニズムによると、物質の崩壊はしばしば応力が集中 する特定の一点から始まることとされている。これはすなわち応力の局所的 な上昇により生じた小さな亀裂が、連鎖反応のようにより大きな破壊を導く ことを指す。血流によるWSS は通常血圧により血管壁にかかるひっぱり応力 よりもかなり小さいが、WSSの最大値が高値であることは大動脈壁内腔表面 の局所に、大動脈プラークの大きな破綻を導く小さな亀裂を生じるのかもし れない。我々の結果ではWSS の最大値がプラーク破綻に関連したが、WSS の平均値との関連性は認めなかった。したがって、WSSは大動脈弓部全体へ 平均的にかかる力よりもむしろ、大動脈壁の特定の一部分へ極めて強い力が

(32)

29

かかる方が、プラーク破綻に影響しうる事を示唆していると考えらえる。高 WSSと大動脈プラーク破綻の関連性は組織学的にも説明しすることができ る。過去の病理学的な研究では、血管内皮は血流の方向に依存した血管内腔 表面で生じる血流動態的なずり応力に高い感受性を有し、高WSS がプラーク の不安定を進行させ破綻を誘発することが示されてきた43)。高WSSは血管 内皮増殖因子の発現を促進し58,59)、内皮一酸化窒素合成酵素や内皮一酸化 窒素が媒介するWSS 誘導血管新生を導く60,61)。プラーク内新生血管は、

プラーク内へ赤血球や炎症細胞、脂質やリポ蛋白の蓄積を促進させ62,63)、

引き続きプラーク内出血や壊死性コア、プラーク量の増大を促し64)、プラー クをより破綻しやすい不安定な状態にする。したがって、これらメカニズム から、より高いWSS を有する血管領域にはプラーク破綻を有する可能性が高 いことが示唆される。

大動脈弓部のWSS が上昇するメカニズム

WSSは血管表面周囲の血流プロフィールの違い(中心流や辺縁流の速度分 布の違い)や、血管径や屈曲、血管分岐などの解剖学的な特徴に基づいた血 管内腔表面の幾何学的特徴の違いによって規定される34)。しかしながら本研

究での3D-CT から得た、血管径や屈曲、大動脈弓部の簡易的な幾何学的パタ

ーンはプラーク破綻の有無と有意な関係を認めなかった。加えて代表症例を

(33)

30

見ても容易に分かるように、プラークが大弯側もしくは小弯側に位置してい るかどうかで、WSS値の高低が単純に決まるわけではなかった。したがって より詳細な、特異的な因子がWSS の最大値を決定しているかもしれない。少

なくとも3D-CT による大動脈の幾何学的な形態の一般的な解析では大動脈プ

ラーク破綻の起こりやすさを想定することは難しく、むしろ今回行ったCFD の方がその予測に役立つ可能性があることを示唆する本研究の結果であっ た。

本研究の臨床的意義

大動脈プラークから生じるAtheromatous embolization は虚血性脳卒中や 腎不全、末梢動脈疾患の原因の一つとして知られてきた。Dresslerらは経食 道心エコーを用いた研究で、可動性のある大動脈の粥腫が観察された全身性 の塞栓症患者には、虚血性脳卒中を含めた血管イベントの再発が高率に生じ ることを示した65)。Desaiらは腎機能不全の原因の一つとして腎動脈への動 脈硬化性血栓の無数の塞栓症が挙げられることを明らかにした66)。加えて重 症下肢虚血のために切断された下肢に対する病理組織学的研究では膝窩動脈 閉塞の機序が閉塞部位に形成された血栓によるものよりもむしろ塞栓症によ り起こっていた可能性があることを報告した20)。Komatsuらは、本研究の 定義と同様に、NOGA で観察された「Puff rupture」と「Puff-chandelier

(34)

31

rupture」をプラーク破綻と定義し、プラーク破綻像からは、頻繁にコレステ

ロール結晶やフィブリン、マクロファージ、石灰化成分を含む動脈硬化性成 分の飛散が生じていることを示した17,23)。これらの知見は、末梢臓器虚血 を誘発する可能性があることに加えて、無症候性の動脈硬化性塞栓症は血管 性認知症を含む末梢臓器機能の緩徐な障害の原因にもなる可能性があると述 べられている67,68)。したがって我々の行った大動脈弓部のCFD解析は、

Atheromatous embolizationの塞栓源となるプラークの発生や進展、ならび にそれによる将来の心血管イベントを予測することに役立つ可能性があると 考えている。

本研究の限界

本研究は単施設の限られた症例で行った後ろ向き研究であった。また、心 血管疾患患者に対して3D-CT を施行し、心臓カテーテル検査時にNOGAを 施行している患者のみを対象としており、心血管疾患の無い患者を対象とし ていないことや、腎機能障害を有するために造影CT が行われなかった患者 が含まれていないことは、選択バイアスを含んでいた可能性がある。本研究 では、プラーク破綻を大動脈内視鏡で検出し、WSSの解析は CTで行った。

解剖学的特徴を指標にして、両者の位置は注意深く両者を合わせたが、2つの 異なる画像検査にて検出した病変を合わせている以上、完全には一致してい

(35)

32

ない可能性がある。両者をより精度高く合わせることが可能であれば、高 WSS値を示した部位とプラーク破綻部位の一致率を検討し両者の関係性をよ り精細に評価することが可能である。しかしながら現状では大動脈のプラー ク破綻は血管内視鏡を用いてのみ生体内で評価可能であるため、イメージン グモダリティーさらなる進歩に期待される。他の限界として、臨床的に実際 のWSS 値は実測する事が出来ないため、CFD解析を施行するためのいくつ かの仮定を使用した。このため心機能の違いによるWSS への影響が解析困難 であった。しかしながらその限界があったとしても、WSSの最大値のカット オフ値が大動脈プラーク破綻像を有することを推定するのに有用であったこ とは特筆すべきことである。

結論

3D-CT 立体画像を用いてCFDにより求めた大動脈弓部のWSSの最大値が

高値であることは、NOGAで検出された大動脈プラーク破綻に関連してい た。CFD解析に基づくWSS の算定は、大動脈弓部のプラーク破綻の予測因 子となり得ることを示し、ひいては将来の大動脈イベントもしくは動脈硬化 性塞栓症(Atheromatous embolization)を原因とする心血管イベントを予測 する方法になりうるかもしれない。

(36)

33

謝辞

稿を終えるに臨み、研究に際しご指導受け賜りました平山篤志教授ならび に奥村恭男教授に深く謝意を表すとともに、本研究を進めるにあたりし直接 ご指導いただきました廣高史客員教授、高山忠輝教授、依田俊一准教授、そ の他教室の諸兄に心より感謝の意を表します。

(37)

34

表1: 大動脈弓部におけるNOGA所見

数値は中央値[四分位範囲]で示す。( )内は%を表す。

NOGA findings

No. of ruptured plaques 1 [0-2]

No. of yellow plaques 2 [1-4]

No. of thrombi 1 [0-2]

Max yellow plaque grade 2 [2-3]

Presence of atheromatous plaques 40 (100) Presence of ruptured plaques 22 (55) Presence of yellow plaques 22 (55)

Presence of thrombi 26 (65)

(38)

35

表2: 患者背景

All patients N=40

Presence of Ruptured plaques

N=22

Absence of Ruptured plaques

N=18

P value

Age (yrs) 69±10 71±9 66±11 0.093

Gender(male) 37 (93) 19 (86) 18 (100) 0.10

BSA (m2) 1.68±0.18 1.66±0.19 1.71±0.16 0.39

BMI 23.4±3.3 23.3±3.4 23.4±3.2 0.97

Systolic BP (mmHg) 130±24 127±25 134±21 0.44

Diastolic BP (mmHg) 68±12 65±11 72±24 0.15

Atherosclerotic risk factors

Diabetes Mellitus 15 (38) 9 (41) 6 (33) 0.62

Dyslipidemia 30 (75) 17 (77) 13 (72) 0.71

Hypertension 26 (65) 14 (64) 12 (67) 0.84

Smoking 23 (58) 10 (46) 13 (72) 0.085

Chronic kidney disease 10 (25) 6 (27) 4 (22) 0.79

Comorbidities

Coronary artery disease 24 (60) 13 (59) 11 (61) 0.90

Old myocardial infarction 12 (30) 6 (27) 6 (33) 0.68

Stroke 12 (30) 5 (23) 7 (39) 0.27

Peripheral artery disease 6 (15) 4 (18) 2 (11) 0.53

Heart failure 4 (10) 1 (5) 3 (17) 0.20

Laboratory data

Creatinine (mg/dl) 0.84 [0.77-0.94] 0.85 [0.79-0.95] 0.83 [0.66-0.97] 0.38

eGFR (ml/min/1.73m2) 71.9±22.6 67.2±21.6 78.09±22.9 0.14

HbA1c (%) 6.5±1.1 6.3±0.9 6.8±1.3 0.14

Total-Cholesterol (mg/dl) 179±45 176±46 182±46 0.71

HDL-Cholesterol (mg/dl) 41±12 40±13 43±12 0.54

LDL-Cholesterol (mg/dl) 107±35 108±37 106±33 0.86

Triglyceride (mg/dl) 160±98 141±72 186±122 0.16

hs-CRP (mg/dl) 0.14 [0.06-0.39] 0.18 [0.05-0.44] 0.13 [0.06-0.35] 0.26

Uremic Acid (mg/dl) 5.8±1.2 5.7±0.9 6.1±1.5 0.28

NT-pro BNP (pg/dl) 156 [63-549] 195 [66-542] 128 [57-1138] 0.78 Medications

Statin 28 (70) 15 (68) 13 (72) 0.78

Aspirin 28 (70) 16 (73) 12 (67) 0.68

Dual anti-platelets 21 (53) 11 (50) 10 (56) 0.73

Oral anticoaglants 8 (20) 3 (14) 5 (28) 0.27

RAS-inhibitors 22 (55) 12 (55) 10 (56) 0.95

Ca-Blocker 13 (33) 9 (41) 4 (22) 0.20

Diuretics 4 (10) 1 (5) 3 (17) 0.20

Beta-blocker 15 (38) 8 (36) 7 (39) 0.87

Oral hypoglycemic agents 14 (35) 6 (27) 8 (44) 0.26

(39)

36

数値は平均値±標準偏差、もしくは中央値[四分位範囲]で示す。( )内 は%を表す。

BMI, body mass index; BP, blood pressure; BSA, body surface area; Ca, calcium; eGFR, estimated glomerular filtration rate; HDL, high-density lipoprotein; hs-CRP, high sensitive-c reactive protein; LDL, low-density lipoprotein; NT-pro BNP, N-terminal pro-brain natriuretic peptide; RAS, renin angiotensin system.

(40)

37

表3: CTならびに CFD解析値の比較

数値は平均値±標準偏差で示す。

CFD, computational fluid dynamics; CT, computed tomography; WSS, wall shear stress.

All patients N=40

Presence of Ruptured plaques

N=22

Absence of Ruptured plaques

N=18

P value CT findings

Radius of arch curvature (mm) 30.7±4.4 31.7±5.0 29.5±3.3 0.19

Aortic arch center lumen line length (mm) 149.8±17.9 154.7±20.0 143.7±13.3 0.10

Aortic arch tortuosity index 1.73±0.21 1.73±0.20 1.73±0.24 0.99

Diameter of proximal aortic arch (mm) 33.8±6.2 33.8±5.8 33.8±6.7 0.99 Diameter of distal aortic arch (mm) 26.7±4.0 26.8±3.5 26.7±4.7 0.93 Maximum diameter of aortic arch (mm) 34.5±6.1 34.7±6.3 34.4±6.0 0.91 CFD findings

Velocity (cm/sec) 83.9±20.8 85.3±15.4 82.4±26.7 0.79

Reynolds number 86.2±26.2 90.9±23.6 80.9±29.6 0.45

Maximum WSS (Pa) 47.4±28.0 55.6±31.4 37.3±19.7 0.038

Mean WSS (Pa) 2.6±0.7 2.7±0.7 2.5±0.6 0.26

(41)

38

表4: 大弯側、小弯側でのWSS値の比較

数値は平均値±標準偏差で示す。

WSS, wall shear stress.

Presence of Ruptured plaques

Absence of

Ruptured plaques P value max WSS

the whole aortic arch 55.6±31.4 37.3±19.7 0.038

at the greater curvature 53.6±38.2 31.3±15.4 0.013 at the lesser curvature 54.6±31.5 33.6±17.2 0.011 mean WSS

the whole aortic arch 2.7±0.7 2.5±0.6 0.26

at the greater curvature 2.8±0.8 2.4±0.5 0.072

at the lesser curvature 3.0±0.8 2.6±1.0 0.27

(42)

39

表5: 大動脈弓部のNOGA 所見とWSS の相関関係

No., number; WSS, wall shear stress.

r p value r p value

No. of ruptured plaques 0.43 0.005 0.18 0.27

No. of yellow plaques -0.12 0.46 0.2 0.21

No. of thrombi 0.38 0.015 0.08 0.62

Max yellow plaque grade 0.07 0.69 0.14 0.36

correlation with Max WSS correlation with Mean WSS

(43)

40

表 6: 大動脈弓部のプラーク破綻の規定因子に関するロジスティック回帰分析 の結果

BMI, body mass index; Ca, calcium; CI, confidence interval; HDL, high- density lipoprotein; hs-CRP, high sensitive- c reactive protein; LDL, low- density lipoprotein;. WSS, wall shear stress.

Variable Odds ratio 95% CI P value

Univariate logistic regression analysis

Age 1.06 0.99-1.14 0.085

BMI 0.996 0.82-1.21 0.97

Diabetes mellitus 1.38 0.38-5.26 0.62

Dyslipidemia 1.31 0.30-5.66 0.71

Hypertension 0.88 0.23-3.24 0.84

Smoke 0.32 0.08-1.17 0.085

Chronic kidney disease 1.22 0.29-5.65 0.79

Coronary artery disease 0.92 0.25-3.29 0.9

Stroke 0.46 0.11-1.81 0.27

hs CRP 1.83 0.79-12.00 0.19

LDL-Cholesterol 1 0.98-1.03 0.85

HDL-Cholesterol 0.98 0.93-1.04 0.3

Statin 0.83 0.20-3.22 0.78

Aspirin 1.33 0.34-5.30 0.68

Ca-bloker 2.42 0.62-10.77 0.2

Radius of arch curvature 1.07 0.97-1.19 0.17

Aortic arch tortusity index 1.02 0.03-39.33 0.99

Velocity (cm/sec) 2.02 0.02-318.8 0.77

Reynolds number 1.02 0.98-1.07 0.41

Maximum WSS (Pa; continuous variable) 1.03 1.00-1.07 0.028 Maximum WSS (> 42.2 Pa; categorical variables) 4.29 1.18-17.27 0.027

Mean WSS (Pa) 1.77 0.70-5.23 0.24

Multivariate logistic regression analysis

Age 1.09 1.01-1.20 0.021

Maximum WSS (> 42.2 Pa; categorical variables) 7.22 1.67-40.54 0.007

(44)

41

図1

アテローム性動脈硬化の開始と進行(文献6)

血管内腔の単球(monocyte)が内皮細胞の間隙から血管内膜に侵入し、マク ロファージとなって、沈着した脂質を貪食することで泡沫細胞(Foam cell)

化し血管壁内に集簇する。さらに一部の泡沫細胞が死滅し脂質成分に富んだ 壊死性コア(Necrotic core)を形成するほか、炎症と共に膠原線維の増生も すすみ、内膜が肥厚し粥腫が形成される。粥腫形成が進行すると、一部の粥 腫は脆弱化して破綻しやすい粥腫となる(不安定化)。この不安定化した粥腫

(Vulnerable plaque)はある日突然破綻し、粥腫の内容物が流出し、さらに 組織因子(Tissue factor)を含む破綻部分の内容が血液と接触し、血小板凝 集や凝固系の活性化をきたして、局所の血管内腔側に血栓が生じる。この現

(45)

42

象が冠動脈内で起こると、急性心筋梗塞や不安定狭心症といったいわゆる急 性冠症候群を来す。

(46)

43

図2

NOGAによる観察原理(文献 31を改変)

カテーテル先端を壁面に近づけ、低分子デキストランを注入すると、カテ ーテル先端と壁面の間にある赤血球が除去され、視野が得られる。

血管壁 血管内腔

観察域

(47)

44

図3

NOGAシステム(文献 23より)

6Frガイドカテーテルに 4.2Frのプロービングカテーテルを内挿し、イメ ージングカテーテルを内側へ入れ、先端位置を揃えて観察に臨む。ガイドカ テーテルとプロービングカテーテルには、どちらにも低分子デキストランを 注入することで、大動脈のような高流量な血管内でも十分に血液が除去さ れ、視野が得られる。

(48)

45

図4

WSSとは

血流が血管内皮に対する接線方向の応力がWSS である。黒矢印の方向へ血 流が生じているときに、血管内皮は同方向に引っ張られるような力(WSS:

赤矢印)が発生する。

(49)

46

図5

血管内での血流とWSS の関係(文献34 を改変)

流入口から血流が接線方向に加わる応力で、血管からの距離(y)、流体の密 度(µ)、血流速度(u)で計算される。

(50)

47

図6

有限要素法による赤血球像(文献50 より)

赤血球の様な楕円状で中心が落ち込んでいる複雑な形態であったとしても、

有限要素法により単純な図形に細分化したメッシュに表現することで、力学 的な計算を簡略化する事ができる。

(51)

48

図7

表 3: CT ならびに CFD 解析値の比較
表 4:  大弯側、小弯側での WSS 値の比較
表 5:  大動脈弓部の NOGA 所見と WSS の相関関係
表 6:  大動脈弓部のプラーク破綻の規定因子に関するロジスティック回帰分析 の結果

参照

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