熊本大学教育学部紀要,人文科学 第54号,53-65,2()()5
接辞と連結辞の辞書記述について
西 川 盛 雄
LexicographicalDescription
of
AffixesandCombiningFormsinEnglish
MorioNishikawa
( R e c e i v e d O c t o b e r 3 , 2 0 0 5 )
Thispaperaimsatconductingalexicographicalsurveyofthedescriptionofaffixesandcombiningforms inEnglish.Firstweproposethetwo-foldstrategicaspectsforthemorphologicalstudyol、wordformation.
analytical/compositionalandsynthetic/Gestaltic.Wordsproducedinthecompositionalprocessofword i
℃ g a l e x i m b i n i n e d b y c o c t e r i z e c h a r a t i o n a r r m a c a l s t e m / r o o t a n d a f f i x e s / c o m b i n i n g f o r m s . C o n t r a s t i v e l y , t h e
processofsyntheticwordformationproducesawordfromaphrase/sentencebylexicalidiomatization.
Second,weclaimthatEnglishhasthreebasicelementsforwordf℃rmation、LF(lexicalform),CF(combining form)andAF(affixalform),althoughtheyaresometimesdifficulttomakeaclear-cutdistinctionfromeach other.Thenweproposeamatrixalmodelofpossiblecombinationsol,wordelementsofLF,CFandAF.This modelintegratestheninepossiblecombinationsofwordelements.Third,wewillmakeadetailedsurveyfoi thelexicographicaldescriptionofaffixesandcombiningforms.Welookup10authenticBritishandAmerican dictionaries,checkinghow139Englishprefixalwordelementsarelistedanddescribedineachdictionary,in otherwords,weinquireintowhethertheyarelistedasaffixorcombiningfbrm.Asai℃suit,weacknowledge thatthenumberweobtainedfromthisresearchissuggestivetodeterminewhetheragivenwordelementis affixorcombiningform.
Keywords:affixationcombiningformcompositionallexicalizationlexicography
l は じ め に
辞書(lexicon)は記憶された知的財・産として私たち人間の大脳皮衝に貯蔵されている語や語形成要素について
発音,意味,語源,成句さらには文法事項についての情報の総体である.そして具体的なコミュニケーション の発音,意味,語源,成句さらには文法事項についての情報の総体である.そして具体的なコミュニケーション
の場においては文法規則(grammaticalrules)とともにlexiconが承要な役割を果している.しかしこのlexiconの
中身は複雑である.語とは言いながら,単純語(simplexword)だけではなく接頭辞,接尾辞を付けることに
よって新たな語を生成する派生語(derivation)のような複雑語(complexword),さらに被合語(compound),混交語(blending),短縮語(clipping),頭字語(acronym),逆成語(back-formation),再分析(.℃analysis)など詔形成
過程の種類は多様である.さらにイディオム的に句(あるいは文)からも語業化によっても語が作られる.そし てあるまとまった言語形式は一定の習悩性と使用の頻度数が得られれば,辞書編集者の判断で辞書項目として記 ft(list)されることが可能になるのである.
辞書学は実証主我的な知的探求の方策(strategy)を用いる.言語使川における語法(collocation)において語や
語形成要素,さらに成句などの使われ方の実状を把握し,それをlexiconとして新たに記赦(list)し,必要に応 じて加筆修正していかなければならない.本稿は理想的な辞令!;:のあり方について,語形成要素(wordelement)で
ある語葉形式,主として接頭辞についての辞普の取り扱いを検証し,語形成過程のメカニズムについて新たな考 察を加えようとするものである.
( 5 3
)
54 1 4 " 川 感 鮒
2 語 形 成 の 複 眼 的 視 点
接辞(AF:affixes)は接頭辞,接尼辞を含む.英語に関しては接中辞の存在は怖灘である.少なくとも辞舎に
リストし得るように慣習化された接中辞は存在しない.それがギリシャ語系,ラテン語系,アングロ・サクソン 語系(古英語,中英語)の三つの流れを汲むものであるにしても,与えられた語形式が旧来の意味が稀薄になり、
第一強勢を取ることもない場合には接辞と考えることができる.派生によって/li成される語は基語(Base)とこ
の接辞(AF)との結合は柵成主我的(compositional)かつ分析的(analytic)な結合によって成立する複合形態をとる.
これに対して上記三つの語形成要素のいずれでもなく基本的には統語論に属する句(文)から語が形成される 場合がある.句(文)が語莱化あるいはイディオム化されて辞書にリストされている場合である.この場合の語 形成要素はケシュタルトとしてのイリ(文)全体である.したがってこの極の語の意味はケシュタルト的かつ総合
的(synthetic)なもので榊成要素に分割できない性質のものである.ここでは語形成には形態素の組み合わせによってなると考える分析的・構成主我的な視点と句(文)の語莱化 あるいはイディオム化によってなる総合的・ケシュタルト的な視点の二つがあるという複眼的視点を取っておき たい.どちらか一つを取って他を考慮しないことは語形成の相を貧弱にしてしまう.したがって本稿では語形成 における両者の複IIR的視点を取って形態論と辞普論との相関関係を考察していくことになる.
2.1形態素から作られる語
構成主義的に接辞の連鎖・結合によってつくられる語は文法的カテゴリー(^m)や意味,従って機能を順次 変えることが可能である.例えば語internationalizationは[[inter-]+[nation]+[-al]+[-ize]+[-α"on]]となり,
基語を[nation]としてfiiji'j(internation)-形容詞(international)-動詞(internationalize)-抽象名詞
(internationalization)と品詞と意味を順次変えていく.〃"e′譜は名詞基語につく接頭辞で基語に来る名詞の間の双 方向的関係を表す.例えばinter-city、inter-collegeなどの例がある.指小辞(diminutives)の場合はく小ささ>
<可愛らしいさ〉〈親愛の気持〉などを特徴として全体の品詞は基語のそれと変らないながら話者の基語である名 詞に対する心的態度が反映されたものとなる.例えばJackに対してJack-v/-/V,duckに対してduck-""gのような
例がそれである.friend.v////;,brothei加o〔/などの接尾辞は具体名詞を抽象編Jにしているが,ここにも接辞の派生 機能が働いている.
さらに基語の動詞を名詞にする接尾辞-"Iど"/の場合,governノ"e"/はgovernから派生されたものではあるが前者
は単にgovernすること以上に特化された愈味をもっている.他に-ize,-("ハ'.<'〃はそれそ、れ基語である形容詞あるいは名詞を動詞にしてある行為荷が行為した結果・状態を表す'構文をつくる.
接辞に加えて連結辞と言われるものがある.auricultureのagノーはこれ自体で語として句(文)の中に表れるこ とは引用でもない限りまずおこりえない.これはαgro-として古来ギリシャ語で畑(field)を表す名詞であった.
しかしfieldという'古|有の意味を確実にもっていることに加えてagricultureとなると第一強勢はこのαg"-の部分
に置かれている.一般的に接辞は愈味が稀薄であり,第一強勢を取ることは少ないが,αgノ・j-のような連結辞では 第一強勢を取りながらも自立した語とは言い雌<,かつ機能性をもっぱら引き受ける接尾辞ともいい難く中間的
な存在であるといえる.他に副nthropologyの〔""/"opo-,aquariumのαQ'ィ〔,一等がその例である.いずれにしても接辞と連結辞の存在は分析的,榊成諭的な視点で形態素を基盤にした(morpheme-based)語形成過程の基盤をな
すものであるといえる.
2.2句(文)から作られる語
これに対して語形成過程にはイリが語拡化(イディオム化)されて語になる場合がある."onthespot"は形式的
には前置詞句である.しかしこれが榊堆化されて「即興に/の」の意味をもつ・つの語となる.さらに"stickin themud"は動詞句であるが「独創性がなくつまらない」という意味をもつ語となる.このような語形成過程は その構成要素の意味の総和は必ずしも全体の意味にはならない点,総合的・ケシュタルト的な側面をもっている 次の例をみていただきたい.
(
l
)
a
.
s
t
i
c
k
-
t
o
-
i
t
i
v
e
n
e
s
s
接辞と連結辞の辞普記述について 55
b.standoffishness
(la)は"sticktoit"というイリ(文)が接尾辞の-ハ,e,-"c“によって語菜化され,この句全休が語としての機能 を果している.(lb)は"standoff"という動詞句に接尾辞の-バノ;,-ncssが付力IIされ,ここでも動詞句から語への機 能変化が起っている.
この様に句から詔が作られるもっとも基本的なものが句が語雄化されてできる複合語である.この語莱化とは 語形成過程におけるある語の特災性(idiosyncrasy)が実現したものである.-.つの語形式の意味は必ずしもこ
れを構成している語形成要素の総和ではない.その意味で句(文)から語が作られていく過程はケシュタルト的 である.例えばblackboardは句では「黒い板」であるが,語では「黒板」である.句についてはこれをパラフ
レイズすることは可能であるが,語はもうこれ以上パラフレイズすることはできない.「黒板」はただの「黒い
板」ではない.ffi様に「温室」(greenhouse)はただの「緑の家」ではない.句(文)からケシュタルト的特徴をもった語はある一つの認知的まとまりをもって特化された意味をもつものなのである.
2.3語形成の認知的過程
語は形態素からも句からも作られる.この複IIR的二面性は語形成の主要な方策(strategy)として了解されて
いていい.形態素を基盤にした附成主義だけでは語形成は十分説明できないのと|司様にケシュタルト的な語莱化 あるいはイディオム化だけでも語形成を十分説|リIすることはできない.語形成には人間の思考を秩序づけ,拡張 するための複雑な認知的過程が深く関与しているからである.
語は人間のメンタルなプロセスがコミュニケーションの必要性によって作'9出される概念が形式化されたもの である.名詞は概ね命名性がはたらき,動詞はあるものの状態や動作過程を表す.形容詞,副詞はそれぞれ名詞,
動詞を下位範II聯化して修飾する.接続詞は別々の語や句(文)の概念を結び付け,前置詞は物/人の主動詞に対 する空間・時|ハ1,道具,行為巷.対象等の概念を定着させる.いずれにしても語形成過程は概念化つまり認知的 範鴫化のプロセスを引き受けるものに他ならない.
これが典型的に表れるのは指小辞である.Jackに対してJackv//('は基語Jackに対する話者の心的態度が反映さ
れている.この接辞は小ささ,親愛さ,可愛さ,そして恐らくはプラスの評{llllを引き受けている.特徴として
は[-Kittitudinal],[+hypocoristic],[+evalualive]な特徴(features)を備えているといえよう.その中身はこの接辞(指小辞)に|乳lしては[+smallness],[+cordial],[+positive]である.aunty,doggy,mummy,piggy,puppyなどそ
の例は多い.ここでも基語に対して接辞は話粁の主観的な態度や気持が糸||み込まれているといえるのである.
ここには次のような認知的スキームがはたらいていると考えられる.
(2)馬亜~面更】+腰評而『雨
ここで基語が紹制の場合,接辞はこの基語に|乳lって話者の主伽'|りな心的態度あるいは認知的,評fllll的視点が反映
されているといえるのである.
他の例でもこのことが言える.bookはある「本」と称されるものの命名,つまり認知的純時化の結果として付 与された象徴(シンボル)としての形式である.しかしbookishとなれば接尾辞をつけることによって話者の認 )-ll的拡張がおこる.-ishは基語を形容詞に変容させ,屈性・特徴を表す派生語になる.ここには話者の主観'''9な 態度(attitudinal)や判断・評{llli(evaluative)が接辞に反映されているといえるのである.
さらに,beautyという基語に対.してbeauli/v//,beauteo/wとそれぞれ形容詞形成の接尾辞をつけて派生させた場合,
』I鼎に対する心的な趣が号/"/,-()".vに込められているといえる.前者はアングロ・サクソン語のfull(of)に由来し,
後荷はラテン語系の「特徴を備えた」という愈味を表す接尾辞-(,"sに由来しているが,両者を使い分けること によって互いにニュアンス(話背の認知的態度)が微妙に異なって表出されるのである.
3語形成要素の種類と語形成マトリックス 3.1語形成要素の三種類
語の構成要素は3種類の災素が考.えられる.諮雄形式LF(lexicalform),連結辞形式CF(combiningform),接
56 | 脚 川 盛 鮒
辞形式AF(affixalform)である.LFは概ね,語形成上において自立した機能をもち,単独で文中で用いられ,よ
り内容指示性と自立性が商い.AFはその逆で接辞性が高<,単独では文中で)IJいられることはな<,内容指示性 が低く自立性も低く,基本的に節一強勢をとることはない.CFは内容指示性は存在するが自立性は低<,時に第
一強勢を取る場合もあり,LFとAFの'I'I.".J的なものであるといえよう.AFは機能性が向<,第一強勢を取ることは極めてまれにしかない.この三つの諸形成要素を内容指示性,自立性の商いものから順に並べれば,概ね次
のような順序になる.
(3)LF>CF>AF
これは文法化の概念に特徴的なある方向性をもって通時的に変化してい<sdineを示唆しているといえる.つま り現在は接辞(AF)として川いられている語形成要素は通時的,歴史的にはかつて自立した語(LF)であった
ことがあり,文法化現象として永い年月を経て機能性を増し,本来の意味内容も稀薄になり機能的にも文法カテ
ゴリー的にも変容を来していったと考えられる十分な理由があるのである.
3.2語形成要素間の境界と特徴
語といってもこのようにその形成要素は3種類あるがこの境界は思いの他複雑である.LFは旧来自由形態素と いわれ,それ単独で文(句)中で|芸I立した語としての機能を果たすものである.句が語棄化した場合もこの中に 含めることができる.CFとAFは拘叫〔形態素としての機能をもつが,両者は必ずしも同じではない.
CFの多くはMarchand(1969)ではsemi-affixesとよばれ,Bauer(1983)ではneo-classicalcompoundsともよ
ばれ,多くは借用語/外来語であるギリシヤ語,あるいはラテン語に語源的な由来をもつものである.したがっ て本来意味論的に内容指示性が商いものであった.例えば,αgro-はギリシャ語αg'rノ.wでfield.α"dio-はラテン語で
α"d"ででhear,cノ"ひ"o-はギリシャ語でkノ"Yノ"“でtimeを表すといった具合である.韮準を(i)内容指示的である
かどうか,(ii)文法機能として自立性があるかどうか,Oii)第一強勢をとり得るかどうか,(vi)語根あるいは
語幹たりえるかどうか,(v)それぞれの要素|司志の結合による複合語,複合連結辞,複合接辞が可能かどうか等 を特徴基準にして表にすると概ね次のようになる.
『血ble1
第一噺電薮 a / 語 幹 複 合 埼 付 力 [
AFの複合付加は-ivity(-ハr+-(/)/v),-mental(-meノ"+-α/),-izaIion(一睡十一〔"ど+-i(ノ")等のことをさしている.
さらにこの三つの組み合わせの可能性を前提にすればLF+LF,LF+CF,LF+AF,CF+LF,CF+CF,CF+AF,AF+LF,
AF+CF,AF+AFの九つの糸II.み合わせが可能になる.Sapir(l92l)はすでに語形成の単位として(i)Aタイプ(ヌー トカ語の/1α"wtでいっさい変化なし),(ii)A+ttタイプ(英語のsing,boneなど潜在的に接辞を取り得るもの),
(iii)A+(b)タイプ(singing,bonesなど),(iv)(A)+(b)タイプ(ラテン語のhortusでhort-は語幹でこのまま実際に用いられない)とmつに分けている.本稿でいうLFはA,CFは(A)に相当すると考えられる.
3.3語形成の円形マトリックス
以上のような語形成の多様性を次頁[Fiszurel]のような語形成の円形|ソ冒型(マトリックス)で説明すること
が可能であると思われる.まずLF,CF,AFを[I冊を三等分する三つの極として置<.便宜的にLFを頂におい
て考えてみる.結果として[Fimucl]でみるようにLF-CF,LF-AFの二つのラインができる.この両ライン
は語形成のプロセスにおいては接尾形成のラインとなり,さらにLFの対極にLF'を世<とLF-LF'ラインとして
複合語形成のラインとなる.LF'はもう一つ別のLFという意味合いで実際にはLF+LFの結合タイプである.こ
こでは便宜的にLFを頂点においてみた.
接辞と連結辞の辞書記述について 戸 戸O/
L F
C F A F
L F
[ F i g u r e l ]
同様にCFの対極にCF',AFの対極にAF'をおいてCFとAFを結んでみる.それぞれCF-CF'、AF-AF'の結
合タイプによる複合語が成立している.これらを統一して明示的に表すのに次のような語形成上の図式モデルを 考えることができる.
L F
一一一●一日●一一一一
C
L F
[ F i g u r e 2 ]
この図に従えば,AFを極にした場合,AF-LF,AF-CFのラインは接頭形成のラインである.さらにCFを 極にした場合それぞれCF-LFは接頭形成,CF-AFは接尾形成のラインと考えることができる.LFのところで 述べたように,CF,AFそれそ、れの対極にあって描かれる直径を表す直線ラインはCF-CF',AF-AF'の組み合
わせによる新たな複合語のラインである.そして極の位置にあるLF,CF,AFを結ぶラインは語形成上の母型と して中核的な三角形を形成しているといえる.
この三角形の各辺が示すつながりは双方向的なものである.ここで左InlりにLF-CF,CF-AF,AF-LFとい く三つの方向に対して右lniりにLF-AF,AF-CF,CF-LFの三つの方向があり,合計六つの方向性が示されて
いる.これに対極同士が繋がって複合語を形成するラインを加えると九つの語形成ラインがすべてここに表され ていることになる.これに例を添えてまとめると次のようになる.
( 4 ) L F + C F I d u t y - l i
℃proofundlire-outh-boes
CF+AF!psychicsocialanthropologybibliophile AF+LF'.insaneendangerdishonestdecompose LF+AF'.agreementfriendlyhappilyactivebeautiハilchildhood AF+CF:consisti℃ceivepermitconductconvinceprovideexpect
induceimpose CF+LF'.archdukeagriculturehydroplane
LF+LF!steamboatrainbowblueprintgreenhouse CF+CF!sociologythermometertelegramaquifer AF+AF!ultraismunifymultitudesuperable
ここで複合語は通常LF同志の結合として考えられてきているが,この図式モデルにしたがって,CF+CFタイ
58 西 I l l 嘘 鮒
プとAF+AFタイプの二つの襖合研タイプを新たに提案したいと思う.
3.4三種類の複合語
複合語は元来語と語の結合によって形成されるもう一つの語のことであるが,11哩本的なことは複合
(compound)である限'),結合り災素はI""J等のステイタスをもっているものと考えられる.一般的にはLF同士のsteamboat,greenhouse,handout、underwear、tabletennis,などは複合語と認められているが,CF,AFの場合もLF
の場合と同様,CF+CF,AF+AFもそれぞれ語として成立しておればこの極の結合も複合語として考えられない 理由はない.事実多くの冊,とくに!、m川語や学術用語はCF+CFによって作られている.例えば以下のような
ものがある.
(5)astronom,
写s o c i o l o g y
cardiogramdiametergeographymonologuepentagonpsychologysociogram telephonethermometer
ここでsocio-も-()ノogyも独立した語ではない.しかしそれぞれが内容をもった語形成要素である.後者の第一母
音には強勢すら置かれている.socioszramの場合は強勢は前者の”(《ノーの部分である.これら二つはCFであると 考えられよう.
AF+AFも数はそれほど多いとはいえないが.以1、今のようなものが例として考えられる.
(6)ultraismunifymultitude
おそらくこの組み合わせを襖合誰とする談論はこれまであまりなかったであろう.しかし語形成を考えるときに 無視できない組み合わせのタイプであるに違いない.筆巷はこの極のCF+CF,AF+AFのタイプの語結合も複合語
として考えておきたい.
4 い く つ か の 問 題 提 起
4.1辞書記述上の矛盾点
本稿の考察は一つの矛1両点の指摘から出発している.LDCE*では連結辞の記述・説|リjのあと,例としてA"glo- がとられている.次にこのAnglo-をliil・辞苦:で調べると接頭辞(Prel、)として出ている.AngUノーはこの辞書では
連結辞でもありかつ接辞でもあるというわけである.同様にAHD,ではCFの概念説|リjのところでeノピc"汐ノ"αg"どl
のelectt℃-,geeノchピノ"加耐のgeeノーが例示されている.しかしこれを同一辞沓:で引くと接頭辞(Pref)になっている.
従ってピノピCtlてノーや“(ノーはこの辞i'rでは連結辞でありかつ接辞でもあるということになる.ここに両辞書における 記述上の矛盾あるいは'|愛味さがイバI:するといえる.それではelec"わ-^geeノーにしても接頭辞なのか,連結辞なの かどちらなのかという'川胆が/kじてくる.LDCE;やAHD3はこの揺れに対.してCFの概念を認めない立場を取<).
すべて接辞(この場合は接頭辞)として記救・分類している.他の辞沓:はCFを認める立場をとっており,辞普 によって接辞の概念をどのように規定しているかについてばらつきのあることはII味深いことである.
4.2接頭辞の辞書記述の分布
それでは'可じ接頭辞でありながら辞沓:によってどのような取り扱いをうけているのであろうか.この間の事惟 をそれぞれのauthenticな辞l'l'がどのように取り扱っているかを洲べていくとそのばらつきの多様さと傾向がオつ
かる.本稿では英米それぞれの10巾剛Iの職Ij:で語頭の接頭辞と連結辞を含む語形成要素139項目についてそれ ぞれのCFがどのように記述されているかを調査してみた.以下はその結果である.使用した辞書は以下の通り
である.OED2-OxfordEnglishDictionary(SecondEdition) O A L D
』 ‐ ‐ - - ) n 〕 o h 【 t i x v i O I d ( E 1 A 〔 h ( c r t r n c u l o 〔 F e y ( L § r l 、 a 。 n e I o m t i l c i D C E D 3
- o Ⅱ C n s E I 唱 i y ( I 1 i l l D i c l i o l i s h ) i l i o n h i r d E d T
接辞と連結辞の辞沓:記述について 59
L D C E
‐ l l a g m l l L o - - - D i c I i o n
&
' 1
. o r m p t e n C o l 、 o y a r y E n s l i s h ( T h i r d E d i t i o n )
RHD‐--‐RandomH()uscDicli()n“y AHD、‐---AmericaI1HerimgeDicIional・y(ThirdEdi〔ion)
WED‐--‐WCbsteI・'sThirdNewIlltemaIionalDictionary
W F W o r d F i n d e r
ODE'OxfordDictionaryofEnglish(SecondEdition) C
B D
; ・ § m c l L c a ‐ c e d v a n r A d y f b n a r ( I i o ‐ D i c - - i S h I 1 ) n g l l i o l d E d E d i b u i i I ・ s C o T h l i n C o l
なお次の表中に出てくるokはaffixとして辞苫記載のあるもの,CFはcombiningfrom,‘は辞書記載されてい ないことを表している.さらに数は少ないが,combはincombination,compはcompound,ouicはoftenusedir
combinationとして辞沓:記救されていることを示している.
ひ
O
吹唖小曲皿唖巾伽巾叱唖叱”叱蛎叱師印印止血皿”恥の唖唖唖ゆゆOOOO 宕避。、可K1K‐K bppp 幽叱のの噸巾唖改の仰仰伽叱、曲の伽即”師吐血”仰曲即巾のmmmj叱巾血 唖一止即政、巾、唖伽伽曲伽叱師叱ゆ印伽唖、止曲、柳曲、”止血仰師血叱止血 b 、叱巾の止血血叱り曲り血止血止巾叱曲の血止血止血血止血巾血止血止血止血
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C緬一叱巾叱即巾、巾師の柳切止師叱り柳、唖唖改印噸仰止めの政、伽伽即吐血印 呼一叱巾叱師の函巾唖ゆ柳師山、血mmmm師改、唖仰叱即の山師仰仰叱叱止血 唖一曲ゆゆ止血止血ゆゆ・血ゆゆ止巾止血,のo改吹ゆ曲ゆのの。ゆゆ・巾叱・巾
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接辞と連結辞の辞書記述について 61
r ”一唖吹曲り”函伽曲曲四m永”仰仰、血・油・吋仰伽仰巾即唖噸伽曲曲曲唖唖噸止j伽止血止血仰師巾止止血 梱一mm吹巾印の師巾の画面血も伽叱噸巾止血仰吹仰の”唖唖仰曲曲止”画廊噸叱”止血唖血仰唖血叱止血 唖一血町政巾柳の伽伽止唖唖叱師伽巾叩の止吹唖曲柳止即唖印伽叱曲止画廊印唖、柳吹止即改伽仰伽止血政
皿、止血曲ゅ曲巾曲止血吹止叱りゆり血の止血止血曲巾の止血止血叱叱吐血止血小曲吐血止血止血血吐血血 皿一m醗叱,”巾伽仰即師印叱り仰巾印・止血唖叱仰吐唖画廊”曲止血甑唖””伽”止血w曲り柳吹叱止血 》一曲止血巾止の止血止血止血叱吹の改巾叱止止血曲叱叱止血血山吹血止血止血曲止血止血血。曲止血止血
Dbp 晒噸・叱恥”の仰仰切師師曲唖吹の”巾叱・吋伽叱仰叱印唖”仰叱血止”画切師伽伽止血師吐皿仰伽血止血 b 呼一、仰吹巾師の仰伽”唖唖止伽伽j唖巾止血柳仰伽止””仰伽止血吹曲切函唖伽甑改面、叱皿唖伽止曲山 恥一血止血ゆ止改曲の巾改止血。j血ゆゆ此止血ゆりゆゆ改巾叱叱止改止叱曲ゆ曲の吹止曲曲り曲・吹吹ゆ
b 蛎一、唖山,、の仰仰噸即醗叱伽噸の噸の叱り唖止伽止”函柳伽叱吹叱四mm””仰山”函叱皿伽唖吹町政
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唖
睡蹄恥跡軸蝿N』恥恥睡眠睡吋吋崎恥睡》睦恥恥》肋恥浄恥恥軸》Q伽跡畦睡誹》睡跡卿弛》》
岬唾睡62 西 川 盛 雄
恥一の止巾の止血叱叱止血ゆゆ血
呼一止唖印画、叱印止血曲”叱伽
EC
、止血止血吐血止血止血止血曲 唖一山の止血止血吹曲止血止血曲 此’”唖唖吹伽仰止吹師止仰
止wmm唖止血止血・削改・吐血恥一噸”師の”曲止血止血切血山 b 岬一叱噸mmm血止血止血唖小皿 唖一叱唖”””曲”止血止唖師噸 ”の伽唖”、曲叱叱止血”止仰
華唖睡恥
》睡迩咋恥唖吋助睡
4.3接頭辞記述分布
ここで接辞と判断されるokの数をA,連結辞あるいはそれに近い連結語であるCF/combの数をB,辞書に記載 されていないことを示すめの数をCとすると,A/B/Cの数が自動的に分かる.例えば,α-は10/0/0,ac′ひ-は1/4/5.
α〔ノーは7/0/3といった具合である.数字の合計はつねに調査した辞書の数である10になる.この結果を接頭辞記 述分布表にすると以下のようになる.
接頭辞記述分布表:
A-:
1aaC
卓》“
Ad-:
7/0/3
Aero*:
3 / 7 / 0
A 瞳 2/1/7
A g r
<
3 / 7 /
(
■
A l l - : 3/1/6
肋岬 Ambi
4/2/4
1
1
Amp
5 / 3 / 2
h i -
:
A n g l e
3/7/0
G d
。 Ante-
9/〃1
A n t h r o p o - :
2/7/1
Anti-:
1〃0/(
Aqua-:
1 / 4 / 5
A I 制;-1
5/5/0
Astro- 4 / 6 /
(
Aud l / 7 /
:
O
‐
●●
草地和
Be- 1 0 /
Ⅳ(
Bi-:
6/4/0
Biblio- 2/7/1
B i ( o ) -
3 / 7 /(
町 - :
6/3/1
C a r d i C o ) - :
2/5/3
C a r p o -
2 / 4 / 4
Cata-:
6/1/3
C e n t d ) - :
3/6/1
Chi℃no- 2 / 6 /
2 1/6/3
Circum-:
6/2/2
Co- 1 0 / 0 /
(
Con-:
8/2/0
Contra-:
8 / 1 /
]
Counter:
7/3/0
Cross-: ■ 1 / 7 / 2
C r y p t ( o ) - :
3/7/0
De-:
1α0/(
Deca-:
3/5/2
Ded-:
3 / 6 /
]
Demi- 8 / 1 /
]
Demo- 0/4/6 Dei・mo-:
1/4/5
Di- 7 / 2 /
]
,
。過秘
Dis-1αα0
Down- 2/α8
■『-ご馳調
Electro-:
3/7/0
En-:
1 0 / 0 /
(
E q u i - :
2/7/1
Ever:
1/〃9
Ex-:
1 0 / 0 /
〔
Extra- 9/1A Fore-:
7/2/1
Foster 1 / 2 / 5
Geo-:
3/7/0
G o n ( o )
2/32
P Gran
l/3/6
●
■
●
伽郵
Ⅱ
mワ写
恥麺
韮wHaHe-:
1 / 5 / 4
Hetero- 2 / 7 /
]
Han⑤‐
2 / 7 / 1
Hydro
2/7/1
● ー
●
接辞と連結辞の辞普記述について 63
この結果みえてきたことのいくつかを次に問題提起してみたい
4.4接辞性の度合い
上記の表のokが10の場合は接辞性がもっとも高く,完全な接辞といってもよい.
上記の表のokが10の場合は接辞性がもっとも高く,完全な接辞といってもよい.しかしむしろこれは少数派 である.逆にめの数が多いということは未だ辞書に接頭辞として取り上げかねているということである.例えば αルノ砦は元来OE,ME系の言語で前置詞,接続詞として自立して用いられている.しかしqβe""α/h,afteノ抑CO",
aftei伽ノノ,a伽℃〔"でなど語の前に来て接頭辞的に用いられる場合も多い.しかし10のうち6つの辞書が取り上げ
ていないことはafterのもつ接辞性が弱いことを物語っている.上記の表にもとづいて整理してみると次のよう なことが分かる.
(i)okが10の場合はどの辞書も例外なく接頭辞と認めているもので典型を接頭辞の典型を表すものであると い え よ う . 例 え ば ピ y p h , , x - e - , n ノ e - , s α i , d - d e 毛 , α - ノ で , c o 花 フ - , , m ノ - - - , り h e i n t ノ , , o s ノ フ - p , " " 箔 , - ノ m - で m , ノ , - s - - . I b " u , ノ , s -
trans-,un-などできわめて卑近な接頭辞である.
(ii)アングロ・サクソン語系で古英語,中英語と伝えられてきている副詞的小辞や副詞あるいは名詞が接頭辞 として機能している場合,辞香に取上げられている度合いが一般的に非常に小さいことが分かる.ひUt;
over-,undeノ砦を例外として〃'te′砦,down-,e¥ノelも,foster-.ルαゲ,"'"cノ'-,Qが,o"-,等を接頭辞として取上げている辞
書の比較的少ないことは指摘しておかなければならない.
(iii)概ね互いに反意接頭辞でありながら"ノ>(7/2/1)と伽wn-(2/1/7)の取り扱いのギャップも興味深い.こ
れは生産性(productivity)に加えて頻度数からくるのであろう.さらにon-(2/0/8)toff-(2/1/7)の取り扱いを見てみるとこれらはまだまだ多くの辞書が接頭辞として認知していないことが分かる.
Hyper:
10/0/0
In- 1 0 / 0 /
(
I n f r a - 5/4/1
Inter:
1αα0
T n t r a - :
9/〃1
I s o- 2 / 7 /
]
。●一1皿蜘
Macro- 3 / 7 /
(
q○皿州
M e 騨
3/7/0
Metro-:
1/4/5
Micrc 3/7/0
■
皿調
Milli 5/5/0
Mini- 5/4/1
Mis-:
10/α0
Mock-:
0/1/9
Mono-:
3 / 7 /
( Much-
1/1/8
Multi-:
3 / 7 /
(
Nanc 3/5/2
■
睡呼
■ Neo-:
3/7/0
Neuro- 3 / 7 /
( Non-
10/α0
Nona 1 / 5 / 4
Octo- 2 / 6 / :
O任:
2/1/7
Omni-:
2/7/1
On-:
1 / a
( Out-:
9 / 1 /
(
Over 6 / 2 / 2
Pan-:
3 / 7 / (
Para-:
7魁/1
Penta-:
2 / 7 /
]
睦岬
P h i l o - : 1/7/2
Photo-:
3 / 7 /
〔
P h y s i o - :
2 / 7 /
:
P o l y -
3/7/0
Post-:
10/0/0
P i
℃‐ 1 0 / 0 /
( Pro
10/0/0
Proto- 2 / 7 /
]
Pseudo- 3 / 7 / (
P s y c h o - :
3/7/0
Q u a d r i -
3/6/1
Q u a s i -
4 / 5 /
] Radio-
2 / 7
/
Ee-:
1 0 / 0 /
〔
RetiD-l 8 / 2 /
(
Self:
4/6/0
Semi-:
9/1/0
She- 1 / 6 / そ S
o c i o - : 3 / 7 / I
qq
画蜘“
Sub- 1αα0
Sup e r
8/2/0
S u p r a - :
9/0/1
Syn-
7 / 1 / 2 TMun
2/6/2
I :-elefT
2/7/1
伽坤
Thermo-:
3/7/0
Trans-:
10/0/0
T r i - 7
好/(
Ultra 9/1/0
、
■
■ Un-:
1α0/〔
Under 9/1/0
C●.1m” ●①詔■OB四町ね
Ⅵ“‐
5 / 5 /
(
64 西 川 盛 雄
(iv)CFの数が他のokやゆに比して多い場合はギリシヤ,ラテン語に由来する連結辞であることがわかる.し
たがって拘束形態素ではあるが内容指示性が大きく,時に第一強勢をとる可能性があることが予測される.
(v)seゲやdeci-のように5/5/0の場合は典型的な接頭辞と連結辞の桔抗状態でどちらか一方に決め難いものも あるが,これは両者の中間的なものであると理解しておきたい.
(vi)10種類の辞書のうち,とLDCE'とAHD'だけはまったくCFの概念を採用していないことがわかる.こ れは辞書編纂者の辞書制作の方針(ポリシー)と相侯って注目しておかなければならない.
総じてここで得られた数をどう読むかは興味深い問題であるが,筆者は接辞と連結辞の合計が5以上(従って 調べた辞書の半分以上)の場合は拘束形態素としてのステイタスを認め,のが6以上の場合は接辞でも,連結辞 でもなく自立性が高く,むしろLFとして認知しておきたいと思う.したがって"伽宅,α"-,down-,ever-.ノvstej雀,
half-,muc/'-.off-,on-.などは接辞あるいは連結辞への途上にあると考えておきたい.
接辞と連結辞との境界はやはり数字の大きい方をとるのが順当であろうと思われる.したがってα-,“-,
〔,e-nt,ai-ph""
αα-,""℃'ーなルどは接辞,αな-io′udc,ao-tras,どo-op℃αhr-,""ro,cago--,glronはae,A,o--"連結辞という
ことになる.いずれにしても数字の信頼性の問題として適応できる数字は全体10の半数(したがって5)以上で なければならないことを原則としておきたい.
4.5「連結辞(CF)の概念を用いない」ということについて CFとはBauer(1983:213)がneo-classicalcompoundsとして議論しているものに近いが,LDCE'とAHDjは
CFによる分類はせず,他の辞普でCFと記述しているものもすべてAFとしている.これは拘束形態素の機能的 側面に重点を置き,CFとAFとの差異を認めない立場である.この結果として4.1で述べたようにA"gノo-や
elec"℃-のような記述上の矛盾をもたらす.さらに語形成要素をすっきりとAFであるか自立のLFであるかを二 項対立的に|唆別してしまうところに疑問が残る.たとえばin-,ノ)'で-,-lyのような機能性の高いAFとαg'り-,α"1ノ)hi-,
-(oノノogyなどの意味内容性が高く第一強勢の来得るものを同様に一つに括ってく接辞>としてしまえるかどうか
という問題が残る.したがって連結辞の概念を用いて辞書記述を行った方が説明力があるように思われる.
4.6「連結辞の記述・説明のばらつき」について
次にそれぞれの辞書には連結辞の記述・説明にはずいぶんのばらつきがあり,使用者がとまどう場合が多い.
例えば,
(a)同じ語形成要素であってもαgIひ-,neuro-,さらに-ecto"ハ'はある辞書(OED¥OALD¥CED¥RHD)では連 結辞であるが,別の辞書(LDCE¥AHD')では接辞である.
(b)-α′℃/1VはAHD¥LDCE'では接尾辞であるが,OALD',CED¥WEDでは連結辞である.
(c)he-goat,she-got"の〃e-,she-はLDCEjでは接辞であるが他の辞書では連結辞であったり複合語の一部であっ
たり,listしていなかったりして取り扱いが多様である.ここではノte-,she-は男性,女性の文法的性を表す
マーカーである.
(d)同じラテン語に根をもつ“I"""-とCO""w-においてもRHDでは前者を連結辞,後者を接辞として取り 扱っている.
(e)かつて欽定訳聖書のころには自立語として用いられていたwiseは現在ではclockwise,ノe"gthwiseのように
概ね語尾の拘束形態素として生き残っているが,このwiseはOALD¥AHD¥RHDでは接辞,CED¥WED では連結辞としてlistされているが,LDCE'ではlistされていない.
5 ま と め
本稿では語形成過程の中で分析的・構成主義的方略と総合的・ゲシュタルト的方略の二つが複眼的な相補性に おいて英語の語葉を豊かにしていることについて述べた.その上で語形成要素についてはLF,CF,AFの三種類
に大別され,それぞれの要素の結合様式において9種類の結合様式のあることを述べ,これを包括的に説明する 図式的モデルとして円形マトリックスを提唱してみた.
次にCFとAFの境界が定かではなく,辞書によって記載(list)の有無を含めて実に様々な様相を呈している
接辞と連結辞の辞沓:記述について 65
ためにこの実際の姿を明らかにするために接頭の位置をしめる130項目のそれぞれの語頭辞について10種類の 信頼性のある辞書に当って記載の有無,記載されているとすればCFかAFかについて調べて表にしてみた.ま たそれぞれの項目について10の辞書のうち記載情況の分布を調べてその数を網羅的に記載した.その結果,あ る接頭辞項目がCFであるか,AFであるかが比較的公平,客観的に言えることを主張してみた.さらにラテン語
「'1来動詞に焦点を当ててその接頭辞と基語(Base)との関係を表にしてその作られ方を英語との関係で表にして
みた.次に上記の知見を基礎資料(データベース)にして辞吾:論を展開した.さまざまな辞菩がある中でも一つだけ
の辞書を見ていては気がつかない事象が多くあることがわかる.例えば,①|司じ語形成要素であってもα8'℃-,"e"'℃-,さらに-ectomyはある辞書(OED-,OALD¥CED¥RHD)では連結辞であるが,別の辞書(LDCE',AHD')
では接辞であること,②-‘"で/vはAHD',LDCE'では接尾辞であるが,OALD*、CED',WEDでは連結辞である こと,(3)he-goat,sノle-got"のhe-,she-はLDCE'では接辞であるが他の辞書では連結辞であったり複合語の一部で
あったり,listしていなかったりして取り扱いが多様であること,④同じラテン語に根をもつcounter-とCO""てI‐
においてもRHDでは前者を連結辞,後者を接辞として取り扱っていること,⑤かつて欽定訳聖書のころには自
立語として用いられていたwiseは現在ではclockwise,lengthwiseのように概ね語尾の拘束形態素として生き残っているが,このwiseはOALD'、AHD',RHDでは接辞,CED',WEDでは連結辞としてlistされているが,LDCE' ではlistされていないことなどである.
接辞と連結辞との関係を詳しく調査していけば辞書論の根幹にぶつかってまだ未解決の問題は多いことが分か る.理想的な辞書とはこれら現実の英語の姿を捉え,記述・説明をすることが期待される.また,英語の語形成 要素の共時的な側面に加えて,その品詞や意味や機能の変化といった迦時的m面をも妥当性をもって過不足なく 記述・説明しているものでなければならないと思われる.
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