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植物性自然毒による食中毒対策の 基盤整備のための研究

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Academic year: 2021

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I. 総括研究報告

植物性自然毒による食中毒対策の 基盤整備のための研究

登田美桜

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令和元年度厚生労働科学研究費補助金 食品の安全確保推進研究事業

植物性自然毒による食中毒対策の基盤整備のための研究 総括研究報告書

研究代表者 登田美桜 国立医薬品食品衛生研究所安全情報部 第三室長

研究分担者 近藤一成 国立医薬品食品衛生研究所生化学部 部長

研究分担者 南谷臣昭 岐阜県保健環境研究所 食品安全検査センター

専門研究員

研究概要

厚生労働省に届出された食中毒事件において、全体の発生件数及び患者数に占 める割合は数%と少ないが、重篤化しやすく死亡事例の主な原因とされるのが「自 然毒」である。本厚生労働科学研究では、自然毒のうち「植物性自然毒」による食 中毒に焦点をあて、その発生予防と、発生時の原因究明に役立つ研究成果を出すこ とを目的に、下記3つの研究課題について研究を行っている。

研究課題1. 植物性自然毒の多成分同時分析法の開発

研究課題2. 食中毒の病因植物種の遺伝子解析による同定法の開発及びデータ ベースの作製

研究課題3. 植物性自然毒による食中毒事件に関する情報研究

研究課題 1 及び 2 は、食中毒の発生時に植物性自然毒が原因として疑われた場 合に、中毒残品に含まれる植物種/毒成分を迅速に同定するための分析法の開発に 関する研究である。研究課題 1 では、全国の地方衛生研究所に設置されている LC-

MS/MS を用いた多成分同時同定法の開発に取り組んでおり、今年度は、これまでに選

定した有毒植物44成分、有毒キノコ12成分について調理済み食品への適用条件を検討 した。研究課題2では遺伝子解析リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法やLoop- Mediated Isothermal AmplificationLAMP)法を応用した植物種の同定法の開発に取 り組んでおり、今年度は有毒植物5種とそれと誤認しやすい植物の同定へのLAMP

の利用を検討した。さらに、これまでに開発した遺伝子検査法の情報を提供する新たな

植物性自然毒データベースMushPlantを構築した。研究課題 3では今後の食中毒 の重点的な予防策の検討に資する情報研究に取り組んでおり、今年度は国と全国自 治体が植物性自然毒についてどのような情報提供を行っているのか現状を調査し た。

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3 研究協力者

畝山智香子 国立医薬品食品衛生研究所 與那覇ひとみ 国立医薬品食品衛生研究所 坂田こずえ 国立医薬品食品衛生研究所 菅野陽平 北海道立衛生研究所 鈴木智宏 北海道立衛生研究所 青塚圭二 北海道立衛生研究所 谷口 賢 名古屋市衛生研究所 友澤潤子 滋賀県衛生科学センター

A.研究目的

厚 生 労 働 省 に 届 出 さ れ た 食 中 毒 事 件 に お い て 、全 体 の 発 生 件 数 及 び 患 者 数 に 占 め る 割 合 が 数%と 少 な い も の の 、 症 状 が 重 篤 化 し や す く 死 亡 者 が 報 告 さ れ て い る の が「 自 然 毒 」を 原 因 と す る 食 中 毒 で あ る 。本 研 究 で は 、自 然 毒 の う ち「 植 物 性 自 然 毒 」に 焦 点 を あ て 、 そ れ を 原 因 と す る 食 中 毒 事 件 の 発 生 予 防 と 原 因 究 明 に 役 立 て る こ と を 目 的 と し て 、次 の よ う な2 つ の ア プ ロ ー チ で 研 究 を 計 画 し た 。

食 中 毒 事 件 の 発 生 時 に 植 物 性 自 然 毒 が 疑 わ れ た 場 合 に は 、当 該 地 域 の 地 方 衛 生 研 究 所( 以 下 、地 研 )が 中 毒 残 品 の 化 学 的 分 析 と 遺 伝 子 解 析 に よ り 原 因 と な っ た 植 物 種/毒 成 分 の 同 定 を 行 う 。し か し 現 状 で は 分 析・解 析 法 が 十 分 に 整 備 さ れ て い る と は 言 え な い 。 そ の よ う な こ と か ら 、本 研 究 で は 植 物 性 自 然 毒 に よ る 食 中 毒 の 迅 速 な 原 因

究 明 に つ な げ る た め 、全 国 の 地 研 に 設 置 さ れ て い る 分 析 機 器 を 考 慮 し 、ど こ の 地 研 で も 利 用 可 能 な 分 析・解 析 法 に つ い て 化 学 的 分 析 と 遺 伝 子 解 析 の 両 面 か ら 検 討 す る こ と に し た 。

研 究 課 題1「 植 物 性 自 然 毒 の 多 成 分 同 時 分 析 法 の 開 発 」で は 、化 学 的 分 析 と し て 、農 薬 の ポ ジ テ ィ ブ リ ス ト 制 度 の 導 入 等 を 受 け て 全 国 地 研 で 設 置 さ れ た液 体 ク ロ マ ト グ ラ フ タ ン デ ム 質 量 分 析 計 (LC-MS/MS) を 用 い た 、 有 毒 植 物 と キ ノ コ の 多 成 分 同 時 分 析 法 の 確 立 を 目 的 と し て い る 。

昨 年 度 の 研 究 で は 、過 去 の 文 献 等 と 市 販 品 の 有 無 を 参 考 に 対 象 成 分 の 候 補 と し て 有 毒 植 物 44 成 分 、 有 毒 キ ノ 12成 分 を 選 定 し 、LC-MS/MSの 分 析 条 件 の 最 適 化 と 調 理 済 み 残 品 の 分 析 可 能 な 前 処 理 法 を 検 討 し た 。今 年 度 は 、さ ま ざ ま な 食 品 に よ る 食 中 毒 に 利 用 で き る よ う に す る た め 、カ レ ー や 餃

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4 子 と い っ た 分 析 を 妨 害 す る マ ト リ ッ ク ス が 多 い 調 理 済 み 残 品 へ の 適 用 性 を 検 証 す る こ と に し た 。

研 究 課 題 2「 食 中 毒 の 病 因 植 物 種 の 遺 伝 子 解 析 に よ る 同 定 法 及 び デ ー タ ベ ー ス の 作 成 」で は 、遺 伝 子 解 析 リ ア ル タ イ ム ポ リ メ ラ ー ゼ 連 鎖 反 応(PCR 法 や Loop-Mediated Isothermal AmplificationLAMP)法 を 応 用 し た 植 物 種 の 同 定 法 の 開 発 を 目 的 と し て い る 。

本 課 題 で は こ れ ま で 、有 毒 植 物 の 同 定 に リ ア ル タ イ ム PCR の 応 用 が 可 能 で あ る こ と を 確 認 す る と と も に 、 LAMP 法 の 利 用 に よ り 食 中 毒 の 原 因 と な る キ ノ コ を 野 外 で 短 時 間 に 鑑 別 可 能 な 方 法 を 構 築 し た 。今 年 度 は 、有 毒 植 物 5 (ス イセ ン、バ イケ イソ ウ 、 イ ヌ サ フ ラ ン 、 チ ョ ウ セ ン ア サ ガ オ 、 ト リ カ ブ ト ) と そ れ と 誤 認 し や す い 食 用 可 能 な 植 物 種 を 検 出 で き LAMP 法 を 用 い た同定法 の開 発を 目 的 と し た 。 さ ら に 、 こ れ ま で に 確 立 し た 同 定 法 の 利 用 拡 大 を 目 指 し 、 そ れ ら の プ ロ ト コ ル や プ ラ イ マ ー 情 報 等 の 関 連 情 報 を 紹 介 す る デ ー タ ベ ースを 作製 するこ とも 目的と した 。

一方、研 究 課 題 3「 植 物 性 自 然 毒 に よ る 食 中 毒 事 件 に 関 す る 情 報 研 究 」で は 、植 物 性 自 然 毒 を 原 因 と す る 食 中 毒 事 件 に 関 す る 既 存 情 報 を 調 査・集 約 し て 解 析 し 、重 点 的 に 予 防 す べ き こ と を

助 言 す る と と も に 、今 後 の 食 中 毒 事 件 の 調 査 方 法 や 情 報 の 共 有 、消 費 者 へ の 注 意 喚 起 の や り 方 に つ い て 検 討 す る こ と を 目 的 と し て い る 。

昨 年 度 は 、昭 和 30 年 ~平 成 30 に 国 内 で 発 生 し 厚 生 労 働 省 に 届 出 さ れ た 有 毒 植 物 に よ る 食 中 毒 事 件 に つ い て 調 査 ・ 収 集 し 、 原 因 植 物 の 経 時 的 な 傾 向 、 発 生 に 至 っ た 経 緯 、 原 因 施 設 ご と の 傾 向 を 解 析 し た 。 そ の 結 果 か ら 、 有 毒 植 物 に よ る 食 中 毒 の 発 生 予 防 に は 消 費 者 へ の 知 識 普 及 や 注 意 喚 起 が 必 須 で あ る こ と が 示 唆 さ れ た 。 し か し 、 実 際 に 消 費 者 へ 広 く 周 知 す る の は 難 し く 十 分 に は で き て い な い の が 現 状 で あ る 。 そ の た め 今 年 度は、信 頼性の 高い 情 報源と して 国・

地 方 自 治 体 が 有 毒 植 物 に よ る 食 中 毒 に つ い て 消 費 者 に 向 け て ど の よ う な 情 報 提 供 を 行 っ て い る の か を 調 査 し 、 課 題 を 検 討 す る こ と を 目 的 と し た 。 さ ら に 、 全 国 自 治 体 関 係 者 の 意 見 を 聴取し つつ、将来的 な 活用に 向け て、

食 中 毒 に 関 す る 情 報 の 収 集 、 蓄 積 及 び 提 供 の 方 法 を 探 る こ と も 目 的 と し た。

B.研究方法/結果及び考察

各 研 究 課 題 の 分 担 報 告 書 か ら 研 究 要 旨 を 以 下 に 抜 粋 す る 。詳 し い 研 究 方 法 及 び 結 果 、 並 び に 考 察 に つ い て は 、 そ れ ぞ れ の 分 担 報 告 書 を 必 ず 確 認 し

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5 て い た だ き た い 。

研 究 課 題 1 「 植 物 性 自 然 毒 の 多 成 分 同 時分 析 法 の開 発 」 要 旨 より

食 中 毒 事 件 発 生 時 の 検 査 を 担 当 す る 地 研 が 広 く 利 用 で き 、 調 理 済 み 中 毒 残 品 に も 適 用 可 能 な 方 法 と し て 、LC- MS/MSを 用 い た 簡 易・迅 速 な 手 法 の 開 発 を 行 っ た 。昨 年 度( 平 成30年 度 )の 研 究 は 、 わ が 国 に お い て 過 去 に 発 生 し た 中 毒 事 例 か ら 、 発 生 頻 度 や 症 状 の 重 篤 度 を 考 慮 し て 分 析 対 象 化 合 物 の 毒 成 分 と し て 高 等 植 物 の44成 分 と 毒 キ ノ コ の12成 分 を 選 定 し 、LC-MS/MSの 分 析 条 件 を 最 適 化 し た 。

令 和 元 年 度 は 、 調 理 済 み 食 品 中 の 毒 成 分 を 定 量 す る た め の 前 処 理 法 と し て 、 抽 出 時 に ト リ ク ロ ロ 酢 酸 溶 液 を 加 え て 除 タ ン パ ク 処 理 を 行 い 、 脂 質 除 去 機 能 を 有 す る 精 製 カ ー ト リ ッ ジ を 通 液 し た 後 、 希 釈 す る と い う 簡 易 な 操 作 フ ロ ー を 構 築 し た 。高 等 植 物 の42成 分 を 対 象 と し 、 内 部 標 準 物 質 と し て カ フ ェ イ ン -d9、 レ セ ル ピ ン-d9を 測 定 時 の シ リ ン ジ ス パ イ ク 、ジ ゴ キ シ ン-d3を サ ロ ゲ ー ト と し て 用 い 、 ホ ウ レ ン ソ ウ 、 ギ ョ ウ ザ 、 カ レ ー の3種 類 の 食 品 に お け る1 μg/gの 添 加 回 収 試 験 を 実 施 し た と こ ろ 、 ジ ギ ト キ シ ン 、 ジ オ ス シ ン 、 ジ オ ス ゲ ニ ン を 除 く 、39成 分 で 真 度 が75 116%、併 行 精 度(RSD%)が21%以 内 と 概 ね 良 好 な 結 果 と な っ た 。 本 法 は 高

等 植 物 を 原 因 と す る 調 理 済 み 中 毒 残 品 中 の 毒 成 分 を 同 定 、 定 量 す る 試 験 法 と し て 有 用 で あ る と 考 え ら れ た 。

研 究 課 題 2 「 食 中 毒 の 病 因 植 物 種 の 遺 伝 子 解 析 に よ る 同 定 法 、 お よ び デ ー タベ ー ス の作 製 」 要 旨 より

遺 伝 子 配 列 に 基 づ く 特 異 的 な 検 出 同 定 法 を 、中 毒 事 例 が 多 い き の こ 2種 、植 5 種 に つ い て 簡 易 法 と 確 定 法 の そ れ ぞ れ の 検 出 法 を 確 立 し て き た 。こ れ ら の 検 出 法 を 広 く 使 用 し て も ら う た め 、さ ら に 、こ れ を 基 本 に し て 、新 た な 標 的 に 対 す る 試 験 法 を 自 ら 作 成 で き る よ う に す る 目 的 で 、試 験 法 プ ロ ト コ ル 、プ ラ イ マ ー 情 報 、関 連 す る 遺 伝 子 配 列 情 報 、中 毒 統 計 情 報 を ま と め て 整 理 し た 自 然 毒 デ ー タ ベ ー ス MushPlantを 作 製 し て 公 開 し た 。

野 外 で 実 施 可 能 な LAMP 法 を 用 い た 有 毒 植 物 5 種 に 対 す る 検 査 法 の 開 発 を 行 っ た 。

各 有 毒 植 物 特 異 的 な LAMP 法 用 の プ ラ イ マ ー を 設 計 し 、そ の 性 能 確 認 を し た 。 標 的 と す る 有 毒 植 物 で 増 幅 を 示 し た プ ラ イ マ ー に つ い て 、さ ら に 増 幅 反 応 時 間 の 短 縮 と 検 出 感 度 の 向 上 の た め に 追 加 ル ー プ プ ラ イ マ ー を 設 計 し て 検 討 し た 。 ま た 、多 数 の 植 物 間 で の 交 差 性 を 確 認 し 、 標 的 と な る 有 毒 植 物 と 特 異 性 の 高 い プ ラ イ マ ー セ ッ ト を 選 出 し た 。ス イ セ ン を 除 く 有 毒 植 物 4 種 に つ い て 、 食 用 植 物

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6 20 種 と も 交 差 反 応 し な い 検 出 系 を 確 立 で き た 。

研 究 課 題 3 「 植 物 性 自 然 毒 に よ る 食 中 毒 事 件 に 関 す る 情 報 研 究 」 要 旨 よ

有 毒 植 物 に よ る 食 中 毒 の 発 生 予 防 と 原 因 究 明 に 役 立 つ こ と を 研 究 目 的 にして いる 。昨 年度 の 研究で 、過去の 食 中 毒 事 件 に つ い て 原 因 施 設 ご と の 発生原 因を まとめ た 。その結 果 、飲食 店 や 旅 館 が 原 因 施 設 と し て 報 告 さ れ た 事 件 で はプ ロ の 料 理 人 で あ る に も か か わ ら ず 有 毒 植 物 と 気 付 か ず に 誤 っ て 調 理 ・ 提 供 し て い た 。 こ れ ら の 事 例 は 、 見 た 目 が 酷 似 し て い る 場 合 に は 、普 段 か ら 食 材 を 扱 っ て い る 人 で も 疑 う こ と が な い と い う 状 況 を よ く 示 し て お り 、農 産 物 直 売 所 に 納 入 さ れ た 農 産 品 に 有 毒 植 物 が 混 入 し た 事 件 で も 同 様 の こ と が考え られ た。ま た家 庭で起 きた 事件 では、食用 にでき る植 物と間 違い 易い 有 毒 植 物 が あ る こ と を 知 ら な か っ た という 報告 もあっ た。そのよ うな こと から、有毒 植物に よる 食中毒 の発 生予 防 に は 消 費 者 へ の 徹 底 し た 知 識 普 及 や 注 意 喚 起 が 必 要 で あ る こ と が 示 唆 された こと から、今後 の情報 提供 の参 考資料 とす るため に 、今年度 は 、国や 都道府 県、政令指 定都 市が有 毒植 物を 原 因 と す る 食 中 毒 に つ い て ど の よ う な 情 報 を 提 供 し て い る の か を 調 査 し

た。その 結果 、自 治体 によっ て提 供す る 情 報 の 質 、 量 と も に 大 き く 異 な り 、 東 日 本 に 位 置 す る 自 治 体 の 方 が 充 実 してい た。中には 独自 に注意 喚起 のた め の リ ー フ レ ッ ト/パ ン フ レ ッ ト を 作 製して いる 自治体 もあ った。それ らは 今後、自治 体に関 係な く広く 利用 でき る リ ー フ レ ッ ト/パ ン フ レ ッ ト を 作 成 する際 に参 考とな る 。さらに 、有毒植 物 が 原 因 と 疑 わ れ る 食 中 毒 発 生 時 の 迅速な 原因 究明に つな げるた め、食中 毒 の 原 因 特 定 の 最 前 線 に 位 置 づ け ら れ る 全 国 地 研 の 研 究 者 等 の 意 見 を も と に 原 因 究 明 を 行 う 上 で の 現 状 と 問 題点に つい て調査 し、改善の ため の方 策を検 討し ている 。

D.結 論

植 物 性 自 然 毒 に よ る 食 中 毒 に つ い て 、 発 生 時 の 迅 速 な 原 因 究 明 に 役 立 つ 病 因 植 物 種/毒 成 分 の 同 定 法 の 開 発 研 究 ( 研 究 課 題 12) 及 び 発 生 の 予 防 策 の 検 討 に 資 す る 情 報 研 究( 研 究 課 題 3)を 昨 年 度 に 継 続 し て 実 施 し た 。

今 年 度 は 、化 学 的 分 析 の 課 題 で はLC- MS/MS を 用 い た 多 成 分 同 時 同 定 法 に つ い て 調 理 済 み 食 品 へ の 適 用 条 件 を 検 討 し た 。 有 毒 キ ノ コ の 成 分 分 析 で は い く つ か 解 決 す べ き 課 題 が 残 さ れ た が 、 有 毒 植 物 の 成 分 分 析 に つ い て は 概 ね 良 好 な 結 果 が 得 ら れ た 。今 後 、試 験 室 間 共 同 試 験 を 実 施 し て 全 国 地 研 が 広 く 導 入 で き る よ う な 標 準 法 に す る こ と を 目 指

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7 す 。

遺 伝 子 解 析 の 課 題 で は 、LAMP 法 を 有 毒 植 物 5 種 と そ れ と 誤 認 し や す い 植 物 に も 利 用 で き る よ う 同 定 法 の 開 発 に 取 り 組 み 、 特 異 的 な プ ラ イ マ ー の 設 計 と そ の 性 能 確 認 を 行 っ た 。 今 年 度 に 得 ら れ た 解 決 す べ き 問 題 点 に つ い て は さ ら に 検 討 し 、改 良 す る 計 画 で あ る 。さ ら に 、 こ れ ま で に 開 発 し た 遺 伝 子 検 査 法 の 情 報 を 提 供 す る新 た な 植 物 性 自 然 毒デー タベ ース MushPlant を構築 し た。今後 、広 く意 見を 聞きつ つ掲 載内 容をよ り充 実させ てい く。

化学的 分析 と遺伝 子解 析とも に、 終 的 に 、 地 研 で 広 く 利 用 可 能 な 病 因 植 物 種/毒 成 分 を マ ル チ に 同 定 で き る 標 準 法 が 確 立 さ れ れ ば 、 散 発 的 に 発 生 す る た め 対 応 に 混 乱 が 生 じ や す い 植 物 性 自 然 毒 に よ る 食 中 毒 に 対 し て 、 地 研 の 検 査 技 術 を 一 定 の 水 準 に 保 つ こ と が で き 、 発 生 時 の 迅 速 な 原 因 究 明 に つ な が る こ と が 期 待 さ れ る 。

情報研 究の 課題で は、国と全 国自 治 体 が 植 物 性 自 然 毒 に つ い て 消 費 者 に ど の よ う な 情 報 提 供 を 行 っ て い る の か現状 を調 査した 。そ の結果 は、将来 的 に 国 や 自 治 体 関 係 者 も 広 く 利 用 可 能 な 植 物 性 自 然 毒 に 関 す る 注 意 喚 起 や 情 報 提 供 の リ ー フ レ ッ ト 又 は パ ン フ レ ッ ト を 作 成 す る 際 に 良 い 参 考 と なる 。さら に 、食 中毒 発生時 の迅 速な 原因特 定に つなげ るた め、関係 者の 意

見 を 伺 い つ つ 全 国 地 研 を つ な ぐ ネ ッ ト ワ ー ク の シ ス テ ム 構 築 の 検 討 を 開 始した 。

今 年 度 は 3 年 計 画 の 2 年 目 で あ る た め 本 研 究 報 告 は 途 中 段 階 で の 報 告 で あ る が 、 各 課 題 で 設 定 し た 目 的 に 向 か っ て 着 実 に 結 果 を 出 し つ つ あ る 。 次 年 度 は 最 終 年 度 と な る た め 、 各 研 究 課 題 の 完 了 を 目 指 す 。

E. 研究 発 表 1. 論 文 発 表

1 近 藤 一 成 、 坂 田 こ ず え 、 加 藤 怜

子 、 菅 野 陽 平 、 武 内 伸 治 、 佐 藤 正 幸 : 有 毒 ク サ ウ ラ ベ ニ タ ケ 近 縁 種 の リ ア ル タ イ ム PCR法 に よ る 同 定 .食品衛 生学衛誌, 60(5), 144- 150, 2019

2 Narushima, J., Kimata, S., Soga,

K., Sugano, Y., Kishine, M., Takabatake, R., Mano, J., Kitta, K., Kanamaru, S., Shirakawa, N., Kondo, K., Nakamura, K.:

Rapid DNA template preparation directly from a rice sample

without purification for loop- mediated isothermal

amplification (LAMP) of rice genes. Biosci. Biotechnol.

Biochem., 84, 670-677, 2020 2. 学 会 発 表

1成 島 純 平 、 中 村 公 亮 、 木 俣 真 弥 、 曽 我 慶 介 、 菅 野 陽 平 、 岸 根 雅 宏 、 高畠令 王奈、真野 潤一 、橘田 和美 、 金丸俊 介、 白川七 海、 近藤一 成:

コ メ 由 来 遺 伝 子 の 高 精 度 検 査 を 可能に する 簡易法 の開 発.日本 食 品衛生 学会第 115 回学術講 演会 、

(8)

8 東京、2019 10

2) 菅野陽 平:LAMP法( ループ 介在 等温増 幅法)による 自 然毒の 遺伝 子検査 への アプロ ーチ .第 56 全 国 衛 生 化 学 技 術 協 議 会 年 会 門別研 究会 食 品部門 、広島 、2019 12

3坂田こ ずえ、加藤怜 子 、近藤一 成:

自 然 毒 デ ー タ ベ ー ス の 改 定 に つ いて. 第 56 回全国 衛 生化学 技術 協議会 年会 、広島 、2019 12

4 Kondo, K., Sakata, K., Kato, R,

Noguch, A.: Identification of toxic plants that cause severe food poisoning using real-time PCR.

Recent Advances in Food Analysis Prague, Czech Republic, Nov.5-8 (2019)

5) 谷口賢、南谷 臣昭 、友澤潤 子、登 田美桜:植物 性自然 毒 の多成 分同 時分析 法の 開発:高等 植物 、令和 元 年 度 地 方 衛 生 研 究 所 全 国 協 議 会、広 島市 、201912

6) 友澤潤 子、谷 口賢、南 谷臣昭 、登 田美桜:植物 性自然 毒 の多成 分同 時分析 法の 開発:キノ コ、令和元 年 度 地 方 衛 生 研 究 所 全 国 協 議 会 、 広島市 、2019 12

3. 行 政 関 係 者 向 け 説 明 会

1) 登 田 美 桜 :「 自 然 毒 に 関 す る 最 近 の 話 題 」 令 和 元 年 度 地 方 衛 生 研 究 所 全 国 協 議 会 近 畿 支 部 自 然 毒 部 会 、 2019 11月 、 地 方 衛 生 研 究 所 全 国 協 議 会 近 畿 支 部

2) 登 田 美 桜 : 「 国 内 に お け る 最 近 の 自 然 毒 に よ る 食 中 毒 関 連 情 報 に つ い て 」 令 和 元 年 度 地 方 衛 生 研 究 所 全 国 協 議 会 東 海 ・ 北 陸 ブ ロ ッ ク 会 議 (2019.12

3) 登 田 美 桜, 「 国 内 に お け る 有 毒 植 物 に よ る 食 中 毒 に つ い て 」 令 和 元 年 度 岐 阜 県 食 品 衛 生 監 視 員 研 修 会

2020.1

4) 登 田 美 桜, 「 食 中 毒 の 原 因 と な る 自 然 毒 に つ い て 」 令 和 元 年 度 地 方 衛 生 研 究 所 全 国 協 議 会 衛 生 理 化 学 分 野 研 修 会 (2020.2

F. 知的 財 産 権 の出 願 ・ 登録 状 況 特に なし

参照

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