名古屋大学大学院多元数理科学研究科 2002年度前期課程入学試験問題
数学専門
問題は全部で14問である
.
このうちから4問を選んで解答せよ 選択した問題の番号を答案用紙の所定の欄に記入せよ. .
1 V を複素数体 C
上の 4
次元線型空間とし, F : V −→ V
を線型変換とする.
の階
数
F (rank F )
が1
であるとき,
以下の問に答えよ.
(1) V
の基底を適当にとれば,それに関するF
の表現行列は
α 1 0 0 0 α 2 0 0 0 α 3 0 0 0 α 4 0 0 0
の形になることを示せ.
(2)
のジョルダン標準形を求めよ.(2001年8月1日) (次ページあり)
F
2
実数を成分とする3
次正則行列全体のなす群をG
とし,
に含まれる上三角行列全 体のなす部分集合をG H
とする.
このとき,
以下の問に答えよ. (1) H
はG
の部分群であることを示せ.
(2) G
に含まれる対角行列全体のなす部分群をK
とする. H
の正規部分群N
で 剰余群,
H/ N
がK
と同型となるものを1
つ求めよ.
また,
そのN
に対して,
H/ N
がK
と同型であることを示せ.
3
体K
上の1
変数多項式環をR = K [X ]
とし, X 3 − 2
によって生成される のイデ アルをR I
とする.
剰余環R = R/ I
について,
以下の問に答えよ.
(1) K
上の線型空間としてのR
の基底を1
組求めよ.
また それが基底であること を示せ, .
(2) K
が有理数体Q
であるとき, R
は体であることを示せ.
(3) K
が実数体R
であるとき, R
はR
とC
の直積環R ×
と環として同型であ ることを示せC .
ただし, C
は複素数体である(2001年8月1日) (次ページあり)
.
4
多項式X 4 − X 2 + 1
の有理数体Q
上の最小分解体をK
とするとき 以下の問に答 えよ, .
(1) Q
上の線型空間としてのK
の基底を1
組求めよ. (2 )
ガロア群Gal(K/ Q )
の構造を決定せよ.
(3) K / Q
の中間体をすべて求めよ.
5
以下の問に答えよ.
(1 )
位相空間X
がコンパクトであることの定義を,
開被覆を用いて述べよ. (2 )
実直線R (
通常の位相を入れたもの)
の次の部分集合を考える.
(a )
閉区間[0, 1]
(b )
半開区間[0, 1
これらの部分集合がコンパクトか否かを答えよ
)
.
また コンパクトである場合に はその理由を簡潔に述べよ,
.
一方,
コンパクトでない場合には,
その理由を(1
で与えた定義に基づいて説明せよ) .
(3 )
位相空間X
から位相空間Y
への写像f : X −→
が連続であることの定義を 述べよY .
(4) (1 )
および( 3)
で与えた定義に基づいて,
次の事実を証明せよ.
X, Y
を位相空間, f : X −→ Y
を全射な連続写像とする.
もし がコ ンパクトならばX , Y
もコンパクトである(2001年8月1日) (次ページあり)
.
6
実数a
に対し,
空間R 3
内の曲面S a = { (x, y, z) ∈ R 3 : f a (x, y, z) = 3a +
を考える3 } .
ただしf a (x, y, z) = ( x y z )
a + 1 a a
a a + 1 a
a a a + 1
x y z
= (a + 1)(x 2 + y 2 + z 2 ) + 2a(xy + yz + zx
とする)
以下の問に答えよ. .
(1 )
行列
a + 1 a a
a a + 1 a
a a a + 1
の固有値を求めよ .
(2) 3
次直交行列P
で,
次の条件( ∗ )
をみたすものをひとつ求めよ. ( ∗ )
座標変換( X Y Z ) = ( x y z ) P
によって,
曲面S a
の方程式がAX 2 + BY 2 + CZ 2 = 3a + 3 (A, B, C
は実定数)
という形となる.
(3 )
曲面S a
が連結であるための必要十分条件を, a
を用いて表せ.
(4 )
曲面S a
がコンパクトであるための必要十分条件を, a
を用いて表せ.
7
以下の問に答えよ.
(1 )
平面R 2
内のC
∞ 級曲線γ(s) = (x(s), y(s)) (0 < s < 1)
に対し,
その曲率κ(s
の定義を述べよ) .
ただし, s
は弧長パラメータ,
すなわち,
すべての に対して ベクトルs γ
(s) =
dx
ds (s), dy
ds (s)
の長さがであるようなパラメータとする
1 .
(2 )
曲線γ(s) = 1 2 s 2 , 1
2 s √
1 − s 2 + 1
2 Arcsin s
(0 < s <
の曲率
1) κ(s )
はκ(s) = − 1
√ 1 − s
で与えられることを確かめよ2
.
ただしArcsin s
はsin t 0 < t < π
2
の逆関数とする
.
(3) γ(s) (0 < s < 1 )
を,
弧長s
でパラメータ付けられた平面R 2
内のC
級曲線 とする∞
.
もしγ(s )
の曲率κ(s )
がs
に依らず一定ならば,
曲線γ(s
は円の一部 または直線の一部であることを証明せよ)
(2001年8月1日) (次ページあり)
.
8 xy -
平面R 2
上の微分形式λ = x dy, ω = dx ∧
を考えるdy .
一方,
ϕ : R 2 −→ R 2 , ϕ(x, y) = (f(x, y), g(x, y)
を全単射な)
C
∞ 級写像とし, ω
を保つ,
すなわちϕ
∗ω = ω
をみたすものとする この とき.
以下の問に答えよ, .
(1 )
点(x, y) ∈ R 2
におけるϕ
のヤコビ行列をJ = J(x, y )
で表す.
すなわちJ(x, y) =
∂f
∂x (x, y) ∂f
∂y (x, y)
∂g
∂x (x, y) ∂g
∂y (x, y)
である
.
このとき, t J Ω J
を計算せよ.
ただし, Ω =
0 1
− 1 0
とし, t J
は の 転置行列を表すJ .
(2) η = λ − ϕ
∗λ
に対し, dη = 0
を示せ.
ただし, dη
はη
の外微分である.
(3) D
をR 2
内の領域とし,
その境界c = ∂ D
はC
∞ 級の単純閉曲線であるとする このとき.
,
c
λ =
ϕ(c)
が成り立つことを示せ
λ
.
ただし,
には反時計回りに向きが与えられているもの としc
, ϕ(c )
にはc
の向きから によって誘導された向きがついているものと するϕ
.
9
複素関数f (z) = 1
z e
1z(z =
を考える0) .
(1) f
の0 < | z | < ∞
におけるローラン展開を求めよ.
また 原点と無限遠点はそ れぞれどのような種類の特異点であるかを答えよ, .
(2 )
線積分|z|=1
f(z)
を求めよdz
ただし積分路は反時計回りに向きづけられているものとする
. .
(3) (2 )
を利用して定積分2π
0
e cos θ cos(sin θ)d
を求めよθ
(2001年8月1日) (次ページあり)
.
10 実直線 R
上の関数f n (n = 1, 2, · · · )
と f
はルベーグ可積分であり,
以下では常に, f n
はR
上ほとんどいたるところ に収束している
と仮定する
f
.
このとき,
以下の問に答えよ.
ただし, R
上のルベーグ可積分関数 に対 してg ,
g =
R
| g(x) |
とおくdx .
(1 )
次が成り立つことを示せ.
n→∞ lim
R
| f n (x) | − | f n (x) − f (x) | − | f(x) | dx = 0
(2 )
さらにlim
n→∞ f n = f
が成り立つとき, lim
n→∞ f n − f = 0
を示せ.
(3) f n
がf
に収束しないとき, f n − f
が0
に収束しないようなf n
と の例 を挙げよf
.
11 閉区間 [0, 1]
上定義された連続関数全体のなす集合を X
とし, f ∈
に対してそのノ
ルム
X f 1 , f 2
をf 1 =
1
0 | f (x) | dx, f 2 = max
x∈[0,1] | f(x)
によって定義する| .
また,
Y = { g ∈ X : | g(x) − g(y) | ≤ | x − y | (x, y ∈ [0, 1])
とおく} .
(1) X
の関数列{ f n }
∞n =1
を,
f n (x) =
nx, x ∈ 0, 1
n
,
− n x − 1 n
+ 1, x ∈ 1 n , 2
n
,
0, x ∈ 2
n , 1
- 6
O
x
1 n
2
n 1
y 1
y = f n (x
によって定める
)
.
このとき, lim
n→∞ f n 1 = 0, lim
n→∞ f n 2 = 0
を示せ. (2) g ∈ Y
とする. 0 < ε < 1
2
に対して, g 2 > ε
ならばg 1 > ε 2
となることを
示せ
2
.
(3) Y
の関数列{ g n }
∞n= 1
に対して, lim
n→∞ g n 1 = 0
ならば, lim
n→∞ g n 2 =
となるこ とを示せ0
(2001年8月1日) (次ページあり)
.
12 微分方程式
d dt
x y z
=
0 − c b c 0 − a
− b a 0
x y z
の解
( x(t) , y(t) , z(t) ) (t ∈ R )
について,
以下の問に答えよ.
ただし, a, b, c
はa 2 + b 2 + c 2 = 1
を満たす実定数とする.
(1) p(t) =
x(t) y(t) z(t)
, Ω =
a b c
とするとき ,
p(t) 2 , Ω, p(t) ,
dp(t) dt
はいずれも
2
に依らないことを示せ
t .
ここで, p =
p 1 p 2 p 3
, q =
q 1 q 2 q 3
に対し
p, q = p 1 q 1 + p 2 q 2 + p 3 q 3 , p 2 = p, p
である.
(2) R 3
の点p(t )
の運動( t
を時間変数とみなす)
を詳しく記述せよ.
13 実数 t
の関数q(t )
に対する2
階常微分方程式
d 2 q
dt 2 (t) = − dV dq (q(t)) (
および
∗ )
,
実数t
の関数の組(q(t), p(t) )
に対する常微分方程式系
dq
dt (t) = ∂H
∂p (q(t), p(t)), dp
dt (t) = − ∂H
∂q (q(t), p(t)) (
を考える
∗∗ )
.
ただし, V (q )
はq ∈ R
のC
∞ 級関数であり, H (q, p )
は(q, p) ∈ R 2
のC
級関数である∞
.
このとき,
以下の問に答えよ.
(1 )
方程式系( ∗∗ )
の解(q(t), p(t) )
に対し, H(q(t), p(t) )
はt
に依らないことを示せ. (2) q(t )
を方程式( ∗ )
の解とするとき,
p(t) = dq
dt (t), H(q, p) = 1
2 p 2 + V (q
とおけば) , (q(t), p(t) )
は( ∗∗ )
の解であることを示せ 以降. ,
とくにV (q) = − 1
4 (q 4 − 2q 2 ), q ∈ R
とする, .
(3 )
関数H(q, p) = 1
2 p 2 + V (q) = 1 2 p 2 − 1
4 (q 4 − 2q 2
の臨界点)
すなわち, ∂H
∂q (q, p) = ∂H
∂p (q, p) = 0
なる点(q, p)
をすべて求めよまた
.
各臨界点の十分小さな近傍での, H(q, p)
の等高線の様子を図示せよ. (4 )
初期条件(q(0), dq
dt (0)) = (a, b )
の下での方程式( ∗ )
の解q(t) (t ∈ R
が周期解 であるような)
(a, b)
の範囲を求め,
それを図示せよ.
また なぜそのような結果 が得られたか,
簡潔に説明せよ,
(2001年8月1日) (次ページあり)
.
14 確率空間(Ω, F , P )
上の確率変数列 X k (k = 1, 2, . . . )
は独立同分布であり, X
の分
布は
1
P (X 1 = − 1) = 2
3 , P (X 1 = 2) = 1
で与えられているものとする3
. n = 1, 2, . . .
に対して確率変数Y n
をY n = 1
√ n
X 1 + X 2 + · · · + X n
によって定義する