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r 建築請負人の債権担保に関する考察

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(1)

建築請負人の債権担保 に関す る考察

‑ ス イ ス 法 ・ ドイ ツ法 を手 掛 りに, 転 用 物

( ve r s oi nr e m) の 視 角 か ら‑ ( ≡ ) ( 完)

藤 原 正 則

目 次

一 . は じめ に

二 . スイス法 ( 以上 4 6 巻 2. 3 号)

≡ . ドイツ法 ( その‑)一 民法典 か ら GSB まで‑ ( 以上 4 6 巻 4 号) 四. . r 自 白 . r 目 白 ドイツ法 ( その二) ‑ I GSB の挫折 か ら BGB§ 6 4 8a まで‑

BGB§ 6 4 8 の抱 える問題 とその対処

BGBi 6 4 8a の立法一建築請負人の債権担保手段の土地か らの切 り離 しへ一 小指 と補論 ( 不 当利得)

おわ りに

スイス法 ・ドイツ法 の総括 わが法 の不動産工事の先取特権

若干の コメ ン ト ( 完)

四. ドイツ法 ( その=) 一一 一GSB の挫 折 か ら BGBi 64 8a まで」

( ‑)BGB§ 648 の抱 える問題 とその対 処

1. 三 の 冒頭 で もふれ た ように 、BGB§ 648 の建築 請負人保 全抵 当には種 々の欠 陥が あ り, しか もその こ とは ( 立法者 の決 断 に基 づ いて いた とはいえ問題 点 と

しては)既 に立法 時 か ら意識 され て いた1 ) 。 しか し, 同条 を建築 陪審等 の行政

1)この点につ き,特 に法改正を経た BGB§ 6 4 8a の視角か らも併せ見た BGB§ 6 4 8 の欠 陥について ,Fr a nkPe t e r s , St a udi nge r ‑ Komme nt a r , 1 3 .Anf l . , § 6 4 8 ,Rdz . 2 f f . が詳細である 。Gr o β, a. a. 0. , S. 1f f . も BGB§ 6 4 8 の問題性 に GSB との対比で歴 史的叙述を与えている。

〔 1 3 7 〕

(2)

1 38 47 巻 第 1 号

機関に よる建築資金の コン トロール を通 じて側面支援 しようとした GSB の私 法規定は,ついに施行 され るに至 らなかった。その結果,特 に第二次世界大戦後 の建 築 業 界 の分 業 化,例 え ば しば しば注 文 者 自身 で は な く建 築 責 任 者

( Baube t r e ue r ) が建築計画 を進めるという現実,多数の下請人 ( Nac hu云t e r ‑ ne hme r ) が建築 に従事す るなどの事情の下で ,BGB§ 64 8 の抱 える問題が一層顕 在化す るに至った 2) 。以下では,こうした背景の下での BGB§ 6 48 の枠 内での問 題解決の試み,及 び VOB の規定, GSB の公法規定の定め る建築金受領者の建 築金使用義務 ( Ve r wendungs pf l i c htγom Baugel d) を BGB§ 8 23Ⅰ Ⅰの保護法 規 ( ei nde nSc hut ze i nesande r e nbez we ckt esGes e t z ) と解 して請負人の保 護 をはか る判例 ・ 学説 を概観す る。即 ち, BGB§ 64 8a が立法 される以前か ら存 在 した請負人の債権担保の可能性 についてである。

2. ( 1) BGB§ 6 48 で まず問題 なのは,同条が強行規定ではな く任意規定だ とい う ことである3 ) 。その為建築市場下の力関係か らは,請負人は注文者か ら保全抵 当 請求権の放棄 を強い られ る恐れが高い と言える。だか ら, BGB§ 6 4 8 を排除 ・ 制 限す る合意の有効性 は,非常に厳格 に解 されている。まず,普通契約約款 による 保全抵 当の排除は, AGBG§9H Nr. 1 ( 法規の中心的な基本理念)に抵触す る と解 されている 。BGB§ 64 8 は,先履行義務 を負 った請負人の唯一の報酬請求の 担保手段だか らである。それ故,保全抵 当の放棄 にみあった充分 な担保供与が合 意 されている場合 にだけ,任意法規 ( BGB§ 6 4 8 ) か らの逸脱が有効 となるので

ある4 ) 0

さらに,個別の合意による制限 も,一義的かつ明確 であることが必要 とされ る5 ) 。例 えば,グロスの挙 げる例では,「 受注者 は予め発注者の同意 を得ない とき は,その債権 を抵 当権で担保す る権利 はない」 と合意 されて も, BGB§ 6 4 8 の

2)BT‑ Dr 1 2 /1 3 8 6 , S.5f. には,その概観が要領良 くまとめられている。

3)Fr ankPe t e r s ,a. a. 0. , Rdz . 4 2 ,Soe r ge l , M㌫l C he ne r ‑ Ko mme nt e r , 2.Auf l . , § 6 4 8 , Rdz . 2. 等。

4)Fr a nkPe t e r s , a. a. 0. , Rdz . 4 3 ,I n ge ns t a u/Ko r bi o n, YOB‑ Komme n t a r , 1 2 . Auf l . ,B! 1 6 , 6 , Rd nr AO 3 f f . ,So e r ge l ,a.a. 0. , Rdz . 2 30

5)Fr a nkPe t e r s ,a. a. 0 リRdz . 4 2 , Gr o β, a.a. 0. ,S. 8 等。

(3)

建築請負人の債権担保に関する考察 1 3 9 保全抵 当の請求権が排除 されたこ とにはな らない とされている。土地所有者の 同意 は同条のみな らず抵 当権 の登記一般 に必要であ り,右 の合意 は明示的 に保 全抵 当権 と関係づ け られてはいな い か らである6 ) 。又,保全抵 当権 の請求権 を放 棄す る合意 も,注文者の資力が悪化すれば無効 とな ると解 されている ( BGB§

24 2 信義則乃至 BGB§ 1 57 信義則 による契約の解釈, BGB§ 321 不安の抗弁権 を 根拠 とす る) 。請負代金の分割払いの一回分 を遅滞 した ときも同様 である,等7 ) 。 以上 の ように 、BGB§ 6 4 8 が任意規定であるに もかかわ らず,それ と異なった合 意の有効性が厳格 に解 され るのは,同条の保護 している建築請負人の債権 担保 の必要性の重大 さの故 に他 な らない8 ) 0

( 2) BGB§ 6 4 8 の解釈でスイス法 と対照的なのは,建築物 に対 して物質的ではな く精神的給付 を行 った建築家 ( Ar c hi t e kt ) の報酬請求 ( Honor ar a ns pr uc h) の 担保可能性である。 当初判例 は,建築家は建築 に物質的給付 を した訳で はない ( RGZ63, 31 2, 31 6 ) とか,建築家契約 ( Ar c hi t ekt ve r t r a g) が設計だけにとど まらず建築現場での監督 を伴 うものであって も, その契約 の性質 は雇用であっ て請負ではない ( RGZ87, 7 5 等)として,建築家 を保全抵 当の請求権者か ら除い ていた 9) 。 しか し,( 具体的事案で BGB§ 6 48 の適用 を肯定 した訳ではないが) 痩 築家契約の主なる性質が雇用ではな く請負 とす る BGH の判例一一一 建築家 は確 かに有形の建築の義務 を負 ってはいないが,建築物 を設計通 り戦痕 な く完成 さ せ る義務 を負 う 。BGB§ 64 8 に言 う請負人 に関 して問題 なのは注文者 との法律関 係 であって,建築物の作成への技術的・ 経済的関係 ではない ( BGHZ3 2, 2 0 6, 207

‑ が転機 とな り,現在 では判例 ・ 学説 とも建築家が保全抵 当権の請求権者 とな 6)Gr o β,a. a. 0. ,S. 8.

7) Fr a nkPe t e r s , a̲ a. 0. , Rdz A2 ,I n ge n s t au/ Ko r bi on, a. a. 0. , Rdn r AO 2 ,So e r ge l , a.a. 0. ,Rdz . 2.

8) 古 くは, Pa ulOe r t me 禦I n・Ko mme n t a rz um Bur ge r l i c he nGe s e t z buc he・Da s Re c htde rSc bul dve r hal t ni s s e , 1 9 0 6 , S.6 6 2 が,又 Gr o β, a. a. 0. , S. 8 も,本来 同条は強行法規 とさるべ きだった,と言っている。

9) 但 し,かつても Oe r t ma nn, a. a. 0. , S. 6 6 1 は,建築家にも保全抵当権請求権が帰属

すると説いていた。エル トマンのこういった立場は,ドイツ民法典が請負契約の項目

に請負人の保全抵当権を置いたことに拘束された判例 とは別に,広範な転用物の視

角から問題を考えていたことに由来するのであろう。

(4)

1 40 4 7 巻 第 1 号

ることで一致 している。但 し,その前提 は,建築家の設計が現実に建物 に具体化 されていることである 10) 。 さらに,同様 の理は狭義の建築家 ( Ar chi t ekt ) のみ な らず,精神的給付 を与 える他の専門家 ( Fachl eut e) に もあてはまると解 され ている 11 ) 。 こう した判例 ・ 学説の態度 は, BGB§ 648 の基礎 をとなっている請負 人の先履行義務,付合 による材料所有権 の喪失 に対す る保護 とい う思想 とは必 ず しもお りあわない。しか し,現在の分業化 された建築工事が各種の専門家の精 神的給付 な くしては進め られない 12) とい う現実 に鑑 れば, ドイツ法 の方向性 は

こういった現実の変化 に即応 しているとも評 し得 よう 1 3 ) 0

( 3 ) ところで,BGB§ 648 に関 して学説上最 も議論 され判例 も多いのは,注文者 と土地所有者が異 なる場合の保全抵 当権 の成否 である。 ドイツ法 の保全抵 当の 請求権 はスイス法 の ように物的債務 といった性質 を持 たない,請負人の契約相 手方たる注文者 に対す る純粋 に債権的な請求権 にす ぎない。だか ら,請負契約締 結時 に土地所有者が注文者であって も,保全抵 当の ( 仮)登記請求以前 に土地が 第三者 に売却 されて しまえば保全抵 当の登記請求 は挫折す る。但 し,反対 に注文 者が建物完成後 に土地 を取得すれば,登記請求が可能 となる。要す るに決定的な のは登記請求時の注文者 と土地所有者 との同一性 である1 4 ) 。しか し,夫が妻所有 の土地‑の建築 を注文 した り,合名会社 の無 限責任社員が合名会社の土地 に建 築委託 した ときの ように,注文者 と土地所有者 とが経済 的 に一体 だ とみな され るような状況で保全抵 当の請求が土地所有者 に対 して行 なえない とい うのは, 確 かに衡平感 には反 している 1 5 ) 。現 に施行 には至 らなかった とは といえ ,GSB§

1 0 )Fr ankPe t e r s , a. a. 0. , Rdz . 1 5 ,Cr o p , a. a. 0. , S. 2 3 f f "Soe r ge l , a. a. 0 "Rdz. 6.

ll ) Soe r ge l ,a.a. 0. ,Rdz. 7f f . ,Gr o β,S. 2 9 f f . 等.具体的には ,I nge ni e ur( 技師) , Ve r me s s ungs i nge ni e ur ( 測量技師) ,St at i ke r ‑Tr ac kwe r ks pl a ne r ( 基礎工事の 技術者)等.さらに,Baul e i t e r ( 建築責任者) ,Ba ut r age r ( 工務店)のように建築 の監督,全体のプラン作 りをする,狭義の技師ではない者 も保全抵当請求権を持つと 解されている。

1 2 )Soe r ge l ,a.a. 0. ,Rdz. 6.

1 3 )Zo bl ,a.a. 0. ,S. 6 5 f f . では,精神的給付が法定抵当の保護を受けるか否かにつき, 各国法の鳥観がなされている。 ドイツ法についても詳細な記述がある。

1 4 )Fr ankPe t e r s ,a. a. 0. ,Rdz. 1 9 ,Gr oβ,a.a. 0. ,S. 5 6 f f . 等。

1 5 )Fr ankPe t e r s ,a.a. 0. ,Rdz . 2 0 .

(5)

建築請負人の債権担保に関する考察 1 4 1 1 8 Ⅰは土地所有者の建築‑の同意 を要件 として建築抵 当の請求 を可能 としてい

たO もちろん多数の判例 ・ 学孟 鋸も BGB§ 648 の文言 に忠実 に保全抵 当の成立 に 注文者 と土地所有者の法的人格の同一性 を要求す るが, これ を克服せ ん とす る 試み も存在 しない訳ではない。

その際に,注文者が合名会社,合資会社で土地所有者がその無 限責任社員であ るとい うケースでは,請負人は社員 に対 して保全抵 当権 の登記請求が可能だ と 解 されている。HGB§§ 1 2 8, 1 61 は会社債務 につ き社員の個人責任 を肯定 してい

るか らである( 反対 に注文者が社員で土地所有者が会社の ときは,もちろんその 理 が あ て は ま る訳 で は な い) 16) .そ の 他 で も,例 え ば OLG Mt i nc hen

( N J W 1 975, 220 ) は,注文者た る有限会社が二つの合資会社の唯一の無限責任 社員であ り,かつ建物が建築 された土地 をこの二つの合資会社 と共有 してい る

とい うケースで,注文者 と土地所有者の人格の同一性 は法形式的 ( f or mal j ur

i

s

t i s c h) ではな く経済的に ( wi r t s c haf t l i c h) 判断 さるべ きであるとして,請負人

の保全抵 当権 の ( 仮)登記請求 を容認 してい る。同判決 を支持す る判例 ・ 学説 も あるが,注文者 ・ 土地所有者の経済的同一性 ( wi r t s chaf t l i c hel dent i t at )がそ れだ けで は法 的評価 の基準 と して一般化 で きる もので はないの は当然 で あろ う 17) 0 BGH ( BGHZ1 02, 95 ) は,BGB§ 6 48 の保全抵 当の請求が成立す るに は,注文者 と所有者 との法人格が同一 なのが原則 であ り,場合 に よって信義的 ( BGB§ 242 ) か ら土地所有者 に対す る直接請求が基礎づ けられ るにす ぎない。

その際,土地所有者が建築 を知 ってい るか又 は承認 しただけでは足 りず,請負契 約 に よ る給付 の経済 的 結果 か ら利 益 を受 け る可 能性 が あ った 点 が決 定 的 だ 1 8 ) , としている。 しか もこの判例が強調す るのは,BGB§ 648 の文言,及び注 1 6 )Fr ankPe t e r s ,a.a. 0 . ,Rdz . 2 0 ,Gr o β,a.a. 0 リS. 5 9f.

1 7 )こういった判例 ・学説の状況については,Gr o β,a.a. 0 リS. 6 2 f f . が詳細である.

1 8 )この事件では,土地所有者Y はその母親 と Mとともに注文者A 合資会社の資本のほ とんどを保有する無限責任社員 ( A の資本の内,Y が1 9, 4 0 0 DM , M が6 0 0 DM で総 て) であった 。Mは土地に役権を持ち, Aに土地を賃貸。A が請負人Ⅹに建築工事を 委託する以前に, Mは死亡して役権は消滅。A のY ‑の建築委託は,B に土地・ 建物

を転貸する目的であったが ,Aは破産O判決は,Aは一人会社ではないにしてもYが

Aのほほ完全な支配権を持つ点とともに,Ⅹの工事により土地が増価 LYが高額の

(6)

1 4 2 47 巻 第 1 号

文者が土地所有者ではない場合の保全抵 当権 の成立 を明示的 に否定す る民法典 の立法者意思,又 GSB § 1 8 Ⅰが却 ってこの理 を確認 させ るという事情であ り, BGB§ 6 48 自体の解釈か らは保全抵 当権 は成立 しない,と判示 している。だか ら そこで説かれているのは, いわば法人格否認の法理 ( ges el l s c haf t l i c heDur ch gr i f f s haf t ung) の請負人の保全抵 当権 に即 しての具体化 であ り,注文者が土地所 有者ではない場合一般 を捕捉す る契機 は存在 しないのである1 9 ) 0

本間に対 して最 もはっきりとした解釈学上 の提言 を行 っている学説 は, 7ェ ール ( Nor be r tFe h l )である。 フェ‑ル は,土地所 有者が注文者に対 して建築 への同意 を与 えた ときは,注文者が 自分 の名前で契約 して も BGB§1 85( 処分授 権 ,Ver f agungs er m昌cht i gung) の準用 によ り保全抵 当の請求権 が成立すると説 く。確かに,ここでは保全抵 当の対象 たる土地が処分 されている訳では もちろん な く,問題 となってい るのは保全抵 当権 の登記請求 に服す る とい う債権的義務 にす ぎない。又, ドイツ法では債務負担授権 ( Ver pf l i c ht ungs e r macht i gung) の制度 は認め られていない。 しか し, ここでの授権者 たる ( べ き)土地所有者の 負担 は保全抵 当の対象 となる土地の物的範 囲 に限定 されてお り,際限のない責 任 を負担す る可能性が ある債務負担授権 とは場合が異 なる。 こういった状狸の 下では,請負人の債権担保 の利益が,負担 を免れ ようとい う土地利用者の利益 に 優 先すべ きだ2 0 ) 。又,現代 の建 築業 は分 業化 して お りその為 に建 築 責任 者 ( Baubet r e uer ) ,建築工務店 ( Bat r ager ) 等が挿入 されて注文者 と土地所有者 が分裂 していることも多い。立法者意思 にこだわ らず,こういった現実の変化 に

賃料を収取する結果 となる,という事実を重視 している。

1 9 )Fr ankPe t e r s ,a.a. 0. ,Rdz . 2 2 ,Gr o A a.a. 0. ,S. 6 8 .

2 0 )Nor be r tFe hl ,ZurI de nt i t a tYonBe s t e l l e ruudGr unds t ac ks e i ge nt Gme ral s Vo r aus s e t z un gf urdi eBe s t e l l ungde rBaus i c he r un gs hypot he ki .S.Yo n§ 6 4 8 BGB, BB1 9 7 7 ,S.6 9 f f . なお,フェ‑ルの議論は,他の論者よりもその射程が広い。

第 1 にフェ‑ルは,動産を修理 した請負人の修理目的物への法定質権 ( BGB§ 6 4 7 ) が,注文者≠所有者の場合にも所有者の修理‑の同意があれば BGB§ 1 8 5 の準用に

よって成立するとする。かつ,このこととパラレルに BGB§ 6 4 8 にも,同様の法律構

成を与える。第 2 に,他の論者が主に念豆 削こ置いているのは,経済的には一体の土地

所有者と注文者 とが法人の利用によって法人格を異にしている場合であるが,フェ

(7)

建築請負人の債権 担保 に関す る考察 1 4 3 も即応 すべ きで はな いか 2 1 ) ,と言 うの で あ る。フ ェ‑ル の見解 に対 して は,授権 の理論構 成へ の疑 問 は措 いて も,土地所有者 の建 築‑ の同意 を即 座 に保 全抵 当 の負担 に対 す る釆認 と考 え るこ とはで きな い と指摘 され て お り,通説 的学 説 の 賛 同 を得 てい る訳 で はない2 2 ) 。又 ,フ ェ‑ル を別 にすれば他 の論者 が主 に念豆 削こ お いてい るの は法 人 の関係 す るケース で あ り,注文者 と土地所有 者 の人格 の分 裂一般 の克服 が企 て られ て い る訳 で もない。それ故 に,請負人 が土地所 有者 で は ない者 と契約 した場合 に保 全低 当に到達 す る可能性 は, その意 味 で も限 られ た もの なので あ る。シュ レヒ トリームが指摘 して い るように,ここでの問題 の実質 は,民法 典 の立法 者 が 明示 的 に これ を峻 拒 した転 用 物債権 の復 活 に他 な らな

2 3

)

24 )

‑ルは建築業の分業化の結果,工務 店 ( Ba ut r age r ) ,建築責任者 ( Bau be t r e ue r ) 等が建築過程 に挿入される状況 も配慮 して議論 している。

2 1 )Fe hl , I de nt i t atYonBe s t e l l e rundGr ur ds t Gc ks e i ge nt Gme rbe iBauhandwe r ke r ‑ s i c he r ungs hypot he k, BB1 9 87 ,S.2 0 3 9 f f , S. 2 0 4 0 . 又,フェ‑ルによると ,BGH が BGB§ 6 4 8 が注文者≠土地所有者の場合成立 しないことの証左 とす る GSB§ 1 8

Ⅰも, 経済的状況の変化 に即応 した ものであ り,それが故に BGB§ 6 4 8 自体の解釈 も 変更 さるべ きであるとされる。つまりフェ‑ルが強調するのは,判例 による法の形成 発展 という契機である。

2 2 )Gr o β,a. a. 0. , S. 6 4 f f . ,Pe t e rSc hl e c ht l i e m, De rZugr i f fde sUnt e r ne hme r sa uf dasbe s t e l l e r f r e mdeGr unds t uc k‑ ZurAnwe ndungur dWe i t e r e nt wi c kl ungde s

§ 6 4 8 BGB, J A1 9 8 4 , S.4 5 3 f f . , S. 4 5 6 等。但 し,フェ‑ルが問題解決の為の理論構 成 として一番はっきりしている点は評価 されている。例えば, Fr ankPe t e r s ,a.a.

0. ,Rdz. 2 2. なお,通 説 的立 場 を最 も簡 潔 に示 して い るの が ,J amWi l he l m , Bauunt e r ne hme r s i c he r ungs hypot he kundw ir t s c haf t l i c heI de nt i t ;tvonBe‑

s t e l l e rundEi ge nt i i me r , NJ W1 9 7 5 , S.3 2 2 f f . であろう.さらに近時の論考で通 説を確認 し,法人格否認をも建築請負人の保全抵 当の局面で拡大す ることに対 して す ら批判的なのは, Kl ausWi l he l m Sl apni c ar ,Di eunz ul a s s i geFunkt i o nde s Gr unds t t i c ks e i ge nt Gme r sal sBe s t e l l e re i ne rBauhandwe r ke r‑Si c he r ungs ‑

bypo t he k,BB1 9 9 3 , S.2 3 0 f f .

2 3 )Pe t e rSc hl e c ht l i e m,De rr e c ht s ge bunde neRi c ht e runddi ewi r t s c haf t l i c he Be t r ac ht ungs we i s e, i nFe s t s c hr i f tf t i rHe r ma nnKor bi on, 1 9 8 6 , S.3 5 9 f f . は, 民法典の立法者の BGB§ 6 4 8 への評価,転用物訴権 ( ac t i odei nr e mve r s o ) を拒 否 した態度 ,GSB も土地所有者 を土地所有者であるということだけか ら建築抵当の 負担 を課 している訳ではない,という点を強調す る。但 し,‑‑ガ‑の論文( 前掲一, 注16 )参照)を引いて,立法的解決を与えることを考えてみる契機はあるとも示唆 し ている。

2 4 ) ちなみに,このコンテクス トで転用物訴権乃至は付加的性質の訴権一般がローマ法

(8)

1 4 4 4 7 巻 第 1 号

3. 以上 で見 て きた BGB§ 648 に即 した議 論 とは別 に,部分 的 にはあ る程 度効果 的 と言 われ て い る請負 人の債権 担保 手段 も存在 す る。

( 1 ) 第 1 は, VOB/B§ 1 6 で あ る 。YOB( Ver di ngungs or dnungf t i rBaul ei s t un‑

ge n 虜 築工 事請負規 定)は, A 手続規 定, B 私法規 定, C技 術規定 の三つの部分 か ら成 る。本来 は公共工事 の為 の建築規 定 で あ り法 令 で も規則 で もない。 しか し,民法典 の請負 の規 定 は請負契約一般 にあて られ た もので,個 々の規 定が必ず しも建 築請負 に適合 的 な もの とは と言 えない。 そ こで VOB の B ( Te i lB) は, 実務上 約款 に よ りしば しば建 築 請負 契約 の 内容 と して指 示 され て い る 25) 。 その 内の VOB/B§ 1 6INr . 1 は工 事 進 歩 に従 った分 割 払 い を注 文 者 に対 して求 め る権利 を請負 人 に与 えてい る2 6 ) 。注文者 が分割 払 い請求 に応 じなか った ときは, 請負人 はそれ以上 の 自己の給付 の履行 拒絶 が可能 で あ る ( §1 6V Nr . 3 ) 27) 。 だか

でいわば法人格否認の法理 と同様の役割を果た していたことが想起 されて もよかろ う。即ち,転用物訴権 に即 して言えば,債務負担能力のない家子又は奴隷 ( M) が家 長 ( Y)の為に取引するのは,親会社 ( Y′ )が新規事業に乗 り出す際に危険の分散 をはかる為に子会社 ( M′ ) を設立するの と類似 した現象である。その意味では,土 地所有者 と注文者 との法人格が異なる際の BGB§ 6 4 8 の通用が法人格否認の理論 と の連続性で捉 え られ ることは,決 して偶然 とは言 えないであろ う。なお ,Ⅰ VRA ( Ri vi s t al nt e r nat i e nal eDi Di r i t t oRomanoEAnt i o ) 1 9 8 4 ,S.1 1 5 f f . の Po r t o , I mpr e s ac ol l e t i vaes c hi ao' ma na ge r ' i nRo maant i ka, 1 9 8 4 に対するマイヤー ・ マ リー ( Ma yr ‑ Ma r y ) の書評は,同書が複数の者が奴隷 を ma nage r として取引す

るのが近代の有限責任の唱矢 というテーゼの下でテキス ト( 法文)の解釈 を行なって いる, と高 く評価 している( なお,書評対象は筆者未見。書評の存在は,小菅芳太郎 北海道大学名誉教授 に御教示項いた) 0

2 5 )VOB については,例 えば, Fr ankPe t e r s ,a.a.0. ,Vor be m z u§ § 6 31 f f . , Rdz. 9 4 f f . に詳細である。

2 6 )VOB/B§ 1 6INr . 1 分割払いの申 し出があれば,契約 に適合すると証明された 部分的給付の価格が,その給付相当の付加価値税 を含め,可能な限 り短い期間毎に支 払わる必要がある。給付は,迅速かつ確実に給付の有無力判 定できる,検証可能な計 算書により証明される必要がある。委託者の選択に従 い,建築部品の所有権が委託者 に移転するか,又は所有権移転に代わる担保提供がなされたときは,当該給付の為に 製作 ・ 供給 された建築部品,及び建築現場に搬入された資材 ・ 建築部品 も,本条の給 付 とみなされる。

2 7 )VOB/B§ 1 6 V N r . 3 委託者が履行期に支払わないときは,受託者は適当な期間

を定めて委託者に催告で きる。同期間内に委託者が支払わないときは,受託者は期間

経過後,それ以上の遅延損害の証明をしない場合は,ドイツ連邦銀行のロンパル ド金

(9)

建築請負人の債権担保に関する考察 1 4 6 らこの限 りで,請負人は部分的 には先履行義務 ( BGB§ 641 ‑‑イ亡事引取 りと代 金支払の同時履行)か ら解放 されている。 しか し, VOB の規定 による分割払い 請求 の履行期が到来す るのは,請負人か ら注文者 に送付 した計算書到達後 1 2 日 経過 してか らであ り ( § 1 6INr. 3 28 ) ) , しか も請負人が履行拒絶で きるのはさら にその後適 当な催告期 間が徒過 して後であ る。そ うなると,現在 の建築工事の進 行の速度 を考 えると,以上の期間内に当初の分割払 い相 当分以上 の工事 が進ん で しまう可能性 も充分有 りうる。だか ら, VOB の規定が適用 されて も,請負人 に十分 な債務担保手段が与 え られ るとは言 えないのである2 9 ) 0

さらに今一つ ,VOB は下請人 に対す る弁済 にっていの規定 を置いている。即 ち,元請人が下請人 に対 す る支払 いを遅延 した ときは,注文者 は元請人ではな く 下請人に直接支払 うことがで き, この支払 いは元請契約上 の注文者の債務 に対 す る弁済効 を持つ ( § 1 6 V I )3 0 ) 。 しか し, この規定 は現実 に施工す る下請人に弁 済す ることで工事の進歩 をはか る為 の注文者の権利 を定めた もので,下請人の 請求 に応 じて注文者が支払 う義務 を定めた ものでない 3 1 ) 。注文者が下請人 に直 接弁済 す る場合 は,実際 に下請人の債権 が存在 しな くてほな らないか ら,この弁 済権 は慎重 に行使 されているようである3 2 ) 。加 えて,直接 の弁済が下請人 にとっ て最 も意味 を持つ元請人破産の局面では,注文者の下請人‑の弁済 は元請人の

利に従った利息を請求できる。さらに,受託者は支払いがあるまで仕事を停止するこ とができる。

2 8 )VOB/B§ 1 6I N r . 3 分割払いは計算書到達から 1 8 日以内に支払われる必要があ る。なお,本号は ,1 9 9 2 年には右の通 り 1 8 日と変更されている。 しかし ,1 9 8 8 年の 規定では 1 2 日となっており,本文では BGB§ 6 4 8a 立法以前の状況にあわせて後者 の期間とした。

2 9 )BT‑ Dr 1 2 /1 3 8 6 , S. 5.

3 0 )YOB/B5 1 6 VI 委託者は本条 1 項乃至 5 項の債務の履行 として,受託者の債権者 が受託者と締結 した雇用又は請負契約によって受託者の契約上の給付 と関与 してい るときは,受託者の債権者に弁済することができる。受託者は委託者の要請があった ときは,委託者の定めた期間内に,自己の債権者の債権をどの範囲で承認するかを回 答 しなくてはならない。回答の意思表示が適時になされなかったときは,債権は承認

され弁済の遅滞が確認されたものとみなされる。

3 1 )I nge ns t au/ Ko r bi on,a.a. 0. ,Rdnr . 31 6 .

3 2 )I nge ns t au/ Ko r bi on, a、 a. 0. , Rdnr . 3 3 2 f .又,注文者は下請人に弁済するに際

(10)

1 4 6 4 7 1

破 産財 団 には対抗 で きない3 3 ) 。だか らこの意味 で も, VOB が下 請人の債権 担保 の為 に果 す役割 は非 常 に限 られ た もので あろ う。

( 2) そ こで,従 来 か ら最 も有 力 な請負人 の債権 担 保 手段 だ とされ て きたのが, ( 施 行 され ていな い私法規 定で はな く)現行法 で あ る GSB の公法規 定 が定 め る 建築金 受領 者 の建築金使 用義務 ( §§ 1 ,5GSB) 3 4 ) を BGB § 823Ⅰ Ⅰの保護法 規 と解

して,建築金 受領者 に対 す る請負人の損害塵償 請求 を認 め る方法 で あ る 。GSB隻

§ 1 ,5 の建築金使 用義務 が保護法 規 にあた るこ とは RG も旧 くか ら承認 してい

しては信義則上元請人に照会する義務 ( Er kundi gungs pf l i c ht ) があるとも説かれて いる。

3 3 )I nge ns t a u/ Ko r bi on,a.a.0. ,Rdnr . 3 3 5 .

3 4 )GSB§ §1‑8 の法規走の内 ,§ §4 , 7 は削除されている。以下では, BGB§ 8 2 3Ⅰ Ⅰ の不法行為 との関係で現実的意味を持つ規定 を訳出 してお く。

GSB§ 1 ( 1 ) 建築金受領者 ( Empf a nge rYonBaugel d) は建築金 を請負,雇用或 いは材料供給契約 に基づいて建物の作成に関与 した者の満足の為 に使用 しなければ ならない。それ以外で建築金 を使用できるのは,受領者が建築金以外の資金で上記の 債権者に満足 を与えた限度でである。

( 2) 受領者 自身が作成に関与 しているときは, 自ら建物 自体に支出 した給付の適正価額 の半額,或いは自らの給付が建物 自体 には支出されなかったときは,自己の労務 と自 己の支出 した費用の半額 までは,受領者は自らの満足 にあてることがで きる。

( 3 ) 建築金 とは,建築費支弁の 目的で,資金供与者の請求権保全の為 に,建築 さるべ き土 地 に抵当或いは土地債務が設定 されるか,又は建物の作成が全部或いは部分的に完 了 してはじめて土地所有権が移転 される,という方法で与えられた金銭である。建築 費支弁の目的で与えられたとみなされるのは,なかんず く以下の場合である。

一‑ 使用 目的を詳 しく定めないで,建築の進捗 に応 じて支払われる金銭

‑ 本法で建築抵 当と呼ぶ ( § 3 3 ) 抵当をひきあて として支払われる金銭

§ 2 ( 1) 建物の新築を請け負った者が,建築 を業 とするか又は新築の為建築金を与え られたときは,建築帳簿の記入の義務を負 う。新築建物の各々につ き,別筒の建築帳 簿が作 られな くてはならない。

( 2 ) 本法 に言 う新築 とは,建築許可が与えられるまで未建築か,又は付属的建物が建築 さ れているにす ぎないか,或いは建物建築の為 に取 り壊 される建築物のある土地への 建築である。

( 3 ) 建築帳簿には,以下の事項が記載 されな くてはならない。

1.請負,雇用,供給契約 を締結 した相手方,及びこれ等の者によりもたらされる仕 事の種類,約定報酬額

2. 各々の債権額,支払時期

3. 建築費支弁の為 に確保 された資金額,金銭供与者の氏名,及び建築 さるべ き土地

( 隻1( 3 ) ) による担保のみかえりとして与えられたが,建築費の支弁以外の目的で

与えられた金銭の額

(11)

建築請負人の債権担保 に関す る考察 1 47 たが」一 一 GSB は公益 に関す る法規で建築金受領者 に対 し請負人 ・材料供給者の 利 益 を守 る義 務 を課 して い るが,同 時 に BGB§ 823Ⅰ Ⅰの保 護 法 規 ( Sc hut z‑

ge s et z ) で もある ( RCZ8 4, 1 88, 190 ) 「 他の債権 担保手段 の不充分 さ故 に 近年再評価 され るに至 り, BGH もこれ を確認 している ( NJW 1 9 82, 1 037 等 ) 3 5 ) 0

そ こで損害頗債 の対象 とな るの は,建築金受領者 の使用義務違反 に よって建築 債権者 に生 じた損害であ る。以下, その要件,効果 を分説 しよう。

( J f ) 請求権者 GSB が保護す るのは建築債権者だか ら,請求の主体 は建築債権 者 とい うこ とにな る。 GSB§1S. 1の挙示す る建築債権者 は,請負 ・ 雇用 ・ 材料 供給契約 によ り建築 に関与 した者 であ り,請負人 のみな らず材料供給者 も含 ま れ る。又,土地所有者乃至 は注文者 と直接契約 関係 にあるこ とは建築債権者の要 件 とはされていないか ら,下請人 も建築債権者 とな る3 6 ) 0

( ロ) 建築金 GSB が その受領者 に使用義務即 ち建 築債権 者へ の弁済 義務 を負 わせ てい るのは,建築金 だけである。建築金 とは,建築の為 に他人か ら供与 され,

しか も抵 当権 に よって担保 された金銭 で ある ( GSB§1 Ⅰ Ⅰ IS. 1)。だか ら,建築

4.3 号の資金 も加えて帳簿記入義務者に供与されたか,又はその借方記入された金 額,及び供与,借方記入の時

5. 前号の資金の譲渡,質入又はその他の処分

6. 帳簿記入義務者が建築‑の自己の給付の支払いに,以上の資金からあてた額 ( 4 ) 帳簿は最終建築過程終了から 5 年を経過するまで保管されなければならない

§3 改築に建築金が与えられるときは, 2 条の諸規定は改築にも適用される。

§5 支払停止又はその財産に破産手続が開始 され ,1 条 1 項に示 された債権者に支払 停止又は破産手続で満足を与えなかった建築金受領者は,同上の債権者の不利益 と

なるよう1条の規定に故意に違反 したときは, 1ヵ月以内の懲役に処す。

3 5 )Fr ank Pe t e r s ,a.a. 0. , § 6 4 8 , Rdz . 4 7 f f . ,Rdz. 4 7 , Al f onsSc hul z e‑Hage n , Sc ha de ns e r s a t zbe主 z we ckwi dr i ge rVe r we ndungYo nBauge l d , N J W1 9 8 6 , S.

2 4 0 3 f f . , S. 2 4 0 3 f . , Chr i s t i an‑Ha nd j e r y, Di eSi c he r ungvo nGe l df or de r unge nde s Ba uunt e r ne hme r s , DB1 9 7 2 , S.21 9 3 f f "S. 21 9 3I.

3 6 ) 確かに GSB§1 Ⅰの規定は,明示的に下請人を建築債権者として指示 している訳で

はない。しか し,現実に施行されていないとはいえ GSB 全体の解釈には参照さるべ

きであると考えられる第 2 編の私法規定からは,下請人 も建築債権者であることが

明らかになる。例えば ,GSB§ 1 9IS. 1によると請負人 と契約 した者 も § 1 8S.1

の意味での建築債権者 とされる。更に ,§ 1 9Ⅰ Ⅰ の要件の下で下請人 も建築抵当の請求

権 を持つ,等である 。RGZ1 3 8 , 1 1 6 参照 。Sc hul z e‑Hage n,a.a. 0. ,S. 2 4 0 5 . ,

Fr ankPe t e r s ,a.a. 0. ,Rdz. 4 8 ,I nge ns t au/ Kor bi on,a.a. 0. ,B§4 , 1 ,

Rdnr . 4 3 等。

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14 8 4 7 巻 第 1 号

の為の資金で も,自己資金 は建築金 とはな り得 ない。又,建築資金 として他か ら 融資 を受 けて も,その返済 の為 に抵 当権が設定 されなければ建築金ではない。さ らに他人か ら融資 され抵 当権 で担保 されていて も,それが土地取得や既存抵 当 債務の弁済 の為 の資金 な ら同様 である。こういった制限は,先行抵 当の存在 によ って建築抵 当の対象 となる土地の担保価値 が不充分 な場合 に,建築金 の コン ト ロール により建築債権者の満足 をはか るとい う GSB の 目的か らの帰結 である。

問題 とな る金銭 が建築金であ り, 自己の債権 の弁済 にあて られ るべ きもので あ った との主張 ・立証責任 は,損害賭償 を求め る建築債権者が負担す る 37) 。

( / 〜 ) 建築金受領者 建築金受領者 とは,他人か ら供与 された建築金 によ り建築 債権者 に弁済す る義務 を負 う者である。 自己の土地へ の建築 を委託す る者 は も

ちろん,建築 主 の為 に建 築金 を受領 して これ を信 託 的 に管 理 す る元 引受 人 ( Ge ne r al i i be r ne hme r ) 乃至建築責任者 ( BaGbe t r e ue r ) も建築金受領者であ る3 8 ) 。 さらに,他人 に全 く工事 を委託せ ず総 ての仕事 を 自ら施工 す る請負人 ( Endunt e r ne hme r ) は別 として, 自分 も施工す るが他人に も仕事 を委ね る者, 例 えば元請人 ( Ge ne r al unt e r ne hme r ) も下請人に対 して支払義務 を負 う限 りで

は建築金受領者であるO元請人は 自分では工事 を しない元引受人 ( Ge ne r al t i be r ‑ ne hme r ) とは異な り,事務処理契約 ( Ges c haf t s be s or gungs ve r t r ag) ではな く 請負契約 ( We r kve r t r ag) の当事者だか ら,仕事完成義務 は負 って も受領 した 金銭 ( 報酬)の信託的な ( t r e uhande r i s c h) 使用義務 は負わないのではないか と い う疑 問 も存在 した。 しか し,建築金 の使用義務 は個別の請負契約 ではな く, GSB 自体か ら発生す る。 しか も下請人 も又建築債権者であるか ら,元請人 は建 築金 を下請人への弁済 にあて る義務 を負 うと解 されている 39) 。 もっ とも元 請人 は下請人 に対 して請負契約上 の報酬の支払義務 を負 い, しか も建築金使用義務 違反の結果発生す る損害頗償義務 も債権 的な性質 を持 つ にす ぎないか ら,元請 人が下請人 との関係 で建築金受領者だ というのは一見無意味なことの ように も 3 7 )Fr a nkPe t e r s , a.a. 0. ,Rdz .4 9 ,Sc hul z e‑Ha ge n,a. a. 0. , S. 2 4 0 5 f .

3 8 )Sc hul z e‑Ha ge n, a. a. 0. , S. 2 4 0 6 f . , Fr ankPe t e r s , a. a. 0. , Rdz 4 9 ,I nge ns t au/

Ko r bi o n,a.a. 0. ,Rdn r A2 .

3 9 )Sc hul z e‑Ha ge n,a. a. 0. ,S. 2 4 0 6 .

(13)

建築請負人の債権担保に関する考察 1 4 9 思われ る。しか し,建築金受領者 たる元請人が法人の場合 ,§ 14St GB,§ 830IS.

1 , Ⅰ IBGB を介 して下請人 は法人の機 関 に対 して も共同不法行為者 として個 人責任 を問 うこ とが可能 とな り, この点 に GSBの主なメ リッ トが あ る4 0 ) 0( 2) 責任慮困 次いで問題 とな るのが,建築金 の 目的 に反す る使用 とい う要件であ

る。建築金 は建築債権者の建築債権 の満足 にあて られ る必要が ある。だか ら建築 金受領者 は,建築金 の建築債権者への弁済 を義務づ け られ,これ を一般的支 出, 管理費用,他の建築‑の支払 いに流用 してはな らない。但 し,建築金受領者 は破 産管財人の ように各債務者の債権額 に応 じて按分比例 で弁済 す る必要 はない。

又,中間者た る建築金受領者,例 えば元請人は,自己の給付の価値 の半額 までは 建築金 を自らの弁済 にあてることが許 されてお り, その余の建築金 につ いてだ け下請人の弁済 にあてる義務 を負 う。さらに GSB第二編が差額保証金 と建築抵 当 という制度 を用意 している通 り,建築金 は総 ての建築債務者の満足 には不足 を していることが前提 とされている。だか ら,建築債権者が弁済 を受 け られない ときも,必ず しも建築金の流用があった とは言 えない。この点 に鑑 み ると,建築 金の使用義務違反の証明は容易ではない ように思われ る。流用の証明責仔 は,逮 築債権者が負担す ると解 され るか らである。しか し,建築債権者 は,適正 に建築 金が使用 された ときは自分が満足 を受 けたであろ うとい う点 まで は証 明す る必 要 はな く,建築金 と満足 を受 けた額 とを証明 し,その結果差額が生 じていれば一 応の証 明責任 を尽 くした とされてい る。弁済の内訳 は,建築金受領者が明 らかに す る必要がある 4 1 ) 。最大の問題 は,GSB§5 が建築金使用義務違反の前提 に受領 者の故意 を要求 して い る点で あ る。 しか し,近 時 の判例 ( BGH19 84. 7. 1 0 , NJW 1985, 1 34) は,建築金受領者の故意 は不法の意識 自体 を前提 とせず,GSB の要求す る使用義務違反 を知 り得 る状状 にあった ときはその要件 を充足す る,と 解 している。 だか ら, その限 りで損害賠償請求は非常に容易にされていると言える 4 2 ㌔

4 0 )Sc hul z e‑Hage n, a. a. 0. , S. 2 4 0 7 ,Fr ankPe t e r s , a. a. 0 リRdz . 4 7 ,BT‑ Dr 1 2 / 1 3 86 , S. 6.

41 )Sc hul z e ‑ Hage n,a.a. 0. ,S. 2 4 0 7 ,Fr ankPe t e r s ,a.a. 0. ,Rdz . 5 0i.

4 2 )Sc hul z e‑Hage n,a.a. 0. ,S. 2 4 0 7 f . , Fr ankPe t e r s , a. a. 0. , Rdz . 5 1 .なお,今一

つ GSB§5 の要求する,建築金受領者の支払停止又は破産手続の開始は,判例,過

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15 0 4 7 巻 第 1 号

㈹頗償額 損害頗償額 は,建築債権者が満足 を受 けなかった額 ではな く,使用 義務 に従 って建築金が弁済 されなかったが故 に生 じた損害である 。GSB が保護 す るのは建築金の使用 による建築債権者の満足だか らである 43) 0

以上 の ように ,GSB は請負人 に直接の契約関係 にない建築金受領者 に対す る 損害賠償 を求め る途 を拓いている。さらに,建築金受領者が契約相 手で もそれが 法人な ら,法人の機関 に対す る個人責任 を追求 し契約相 手方の無資力の危険 を

回避す る可能性 をも与 えてい る。だか らと言 って, GSB の認め る損害賠償 で請 負人の債権担保が完全 にはか られ る訳 ではない。 ここで問題 とな るのはあ くま で も建築金の使用義務であ り, しか も建築金 は元 々総債権者の満足 には不充分 だか らである。さらに,例 えば下請人が直接 の契約関係 に立 たない建築金受領者 ( 注文者乃至 は注文者 たる有 限会社の取締役)に損害塵償 した場合,建築金受領 者が中間者 ( 元請人)と清算 していれば,その限 りで建築金受領者の建築金使用 義務違反 はない と解 されている ( BGH1 9 8 9, 1 2. 1 9 , MDR1 9 90, 61 4 ) 。だか ら, GSB の定める建築金使用義務 も,限 られた範囲内で請負人の債権担保 に資す る

にす ぎないのである 44) 0

仁 ∋ BGB§ 648a の立法一一建築請負人の債権担保手段の土地か らの切 り離 し

/ \ √ ‑

1. 以上見て きたように ,BGB§ 64 8 の請負人の保全抵 当権 は元来欠陥の多い 規定で あった。さらに, BGB§ 6 4 8 の解釈,その他の法手段 によって も,問題の 根本的解決 ははかれず,不完全 な弥縫策 を構 じ得たにす ぎなかった。しか し,こ の旧 くか ら認識 されていた問題 の立法 的克服 が特 に建築業界 を中心 に真剣 に と りあげ られ るようになったのは ,1 9 70 年代のオイル シ ョックに よる景気後退期 以後の ようである 45) 。スイスで もこの時期 ( 70 年代初め)に建築請負人の法定抵

説によって不要 と解されている 。Fr a nkPe t e r s , a. a. 0リRdz . 5 1 ,Sc hul z e‑Ha ge n , a.a. 0. ,S. 2 4 0 7 . 建築債権者の利益を害 し,保護法規の目的に反することが,刑事 罰ではなく損害賠償請求の前提 としては重要だからである。

4 3 )Fr ・ a nkPe t e r s , a.a. 0 "Rdz . 5 2 ,Sc hul z e‑Ha ge n,a.a. 0. ,S. 2 4 0 7 . 4 4 )BT‑ Dr 1 2 /1 3 8 6 , S. 6.

4 5 ) 建築業界の対応として重要なのは,度々文献でも言及される,ドイツ手工業者中央遵

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建築請負人の債権担保 に関す る考察 1 5 1 当をめ ぐって紛 争が多発 し, その為 に法 制度 の見 直 しが論議 の狙上 に登 った と 指摘 されてい る4 6 ) 。他方実効性 あ る請負人の債権担保 手段 を欠 く ドイツ法 も,こ の時期 に新 たな立法作業 に着手す る契機 を与 え られたので あ る。但 し ,1 980 年代 初頭 の債権法 改正 の鑑 定意見 の一環 として公表 され た, ヴ ァイヤ ース ( Hans LeoWe yer s ) の 「 請負契約 ( Wer kve r t r ag)4 7 ) 」とカイル ホル ツ ( Kur tKei l hol z ) の 「 建築法 ( Baur ec ht )4 8 ) 」は, BGB§ 648 の問題性 を指摘 しなが らも,積極 的 な立法提 案 を提 示 していない。又,連 邦司法省 の提 出 した債権法 改正 の最終報告 書 ( Sc hul βber i c ht ) も請負契約全般 につ いて大幅な改正案 を含 んで い るに もか かわ らず,同様 に BGB§ 648 の見直 しは必要 ない としてい る 4 9 ) 。しか し,第 55 回 ドイ ツ法 曹大会 ( Der55. Deut s c heJur i s t ent agi nHambur g, 1 9 84 50 ) ) では請 負契約が私法 部会 のテーマ と して と りあげ られ, タイ ヒマ ン ( Ar ndt Tei c h一 mann) の鑑 定意見 は BGB§ 64 8 の問題性 を詳 しく論 じていた。 その上 で タイ ヒ マ ンは, GSB の規律 の方向性 を評価 し,建築資金 の流 れの コン トロール,各 債

合 金 ( Ze nt r al ve r bandde sDe ut s c he nHandwe r ke r s ) の Dokume nt a t i onde s Kol l ogui umsSi c he r ungvonBauf or de r unge n, 1 9 8 7 ( 但 し,筆者未見)であろう。

さらに,同連合会は ,1 9 8 5 年に保全抵当の利用の現状について もアンケー ト調査 を行 っている。前掲三注 ( 4) 参照。

4 6 )Sc huma c he r , ‑Fn. ( 1 ) Rdnr . 1f f .

4 7 ) We ye r s , 三 Fn( 5 8 ) . ヴァイヤースは ,§ 6 4 8 BGB の改正は基本的に「 建築法 ( Baur e‑

c ht ) 」の課題であると手 綱 し,建築資金の流れのコントロールの契約上の措置を説 く 他は,現在同条でとりあげられている幾つかの問題 ( 注文者≠土地所有者のときの保 全抵当の成否,区分所有権の場合の保全抵当,建築家の保全抵当請求等)にコメント するにとどまっている 。A.a. 0. ,S. 1 1 8 0 f f .

4 8 )Ke i l hol z , 三 Fn. 帆 カイルホルツは,まず保全抵当の登記可能な時期を早めた場合 に生 じる法技術的問題 ( 前掲注を参照)を指摘 し,故にこの方法では問題解決ははか れないと評 した上で,より完全な規律が行われているはずのスイス法に言及する。し か し,スイス法の法定抵当権者の先行抵当権者に対する優先権 ( 取消権)‑のカイル ホルツの評価は,そこで も建築金供与者 と請負人の利害対立 とその調整がいかに深 刻かが明 らかになるだけだ というものであり,結局積極的な提案 を打ち出すには至

らないのである .A.a. 0. ,S2 9 5f.

4 9 )Abs c hl uβbe r i c htde rKomi s s i o nz ur Ube r a r bei t ungde sSc hul d r e c ht s , 1 9 9 2 , S.27 3 .i 6 5 0BGB‑ KE では, BGBi 6 4 8 の文言を変更するにとどめる,とされて いる。なおこの最終報告書については,下森走・ 岡孝編 「ドイツ債務法 ・ 改正委員会 草案の研究」法政大学現代法研究所叢書 1 5 ( 法大出版 ・ 1 9 9 6 ) が翻訳及び詳細を検討

を加えている。本間については ,1 8 1 頁 ( 新井誠)を参照。

5 0 ) NJ W1 9 8 4 ,S.2 6 7 1 f f . に法曹大会全体の記事があ り ,S.2 6 7 2f.に民法部会 ( 債 権法改正の一環 として,請負契約に全 く新 しい規律を与えることがそのテーマであ

る)の要約が与えられている。

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1 5 2 4 7 巻 第 1 号

権者の債権額の確定,建築 による土地増加額の算定 といった措置 を欠 くな ら,逮 築請負人の有効 な債権担保手段 は確保 されない,と説 く。だか ら,従来か らGSB

に下 されていた否定的評価 に見 られ るように, こういった手段 をとる為 の コス トを惜 しむな ら現行法 に甘んず る しかない,とい うのである。もちろん請負人の もた らした土地増価 を先行低 当権者が奪 うこ とがない ように,保全抵 当が登記 可能 となる時期 を繰 り上 げるこ とも考 えられ る。しか し,それでは現実 に建築資 金 を融資す る者がいな くなること,及び請負人の給付 に畷庇 があるに もかかわ らず保 全抵 当が登記 されてい る ときの注文者の救済 方法 とい う問題 の困難 さ 故,この方法 も実現不可能 とされ る。その結果,全 く新 しいシステムが考察 され るな ら別だが, さもな くば現行法の骨格 を動か さない改正だ けが可能であ ると して,や は り根本的な立法提案はなされていない。タイヒマ ンが部分 的な現行法 の手直 しとしてあげているのは,保全抵 当権 を建築家,材料供給者 に も拡大す る か とい う抵 当権者の人的範囲,及び注文者 と土地所有者 とが一致 しない ときも 土地所有者の建築‑の同意がある場合 は保全抵 当請求 が行 えるか, とい う問題

にとどまっていた 51) 。しか し,法曹大会の討論 では BGB§ 6 48 の全面的改正の必 要性,及びその際 にスイス法 を参照すべ きことが大方の一致 を見 た5 2 ) 。又,討論 の中でクラウスハ‑ル ( G6t zvoncl aus haar )は,特 に下請人の債権担保手段 の必要性 を強調 してい る。下請人 には保全抵 当権 は もとよ り債権担保方法 自体 が欠如 してお り,注文者が元請人 に支払 って も元請人が倒産 した場合 を考 えれ ば,元請人以上 にその保護 は必要だ, とい うのである( 但 し,同時 に下請人 に独 自の保全抵 当権取得 を認めれば注文者の二重払 いの危険が生 じる。だか ら BGB

§ 64 8 一般 とは別途の考慮が必要, とも指摘 している)5 3 ) 。大会最後の決議 では三 つのテーゼの賛否 が問われ,その結果 は次の通 りであった。( イ) 決議事項 46:

5 1 )Ar ndtTe i c hmann, Empf e hl te ss i ° he i neNe uko nz e pt i o nde sWe r kve r t r a gs r e‑

c ht s ? , i nVe r handl unge nde s5 5 .De ut s c he n J ur i s t e nt age s , BdI( Gut ac ht e n) , 1 9 8 4 ,A 1f f . ,A9 3 f f .

5 2 )Ve r ha ndl unge nde s5 5 .De ut s c he n J ur i s t e nt age s , BdI I( Si t z un gs be r i c ht e ) , 1 9 8 4 ,Ⅰ1 5 0 f f . なお,討論でも倒産法改正作業の過程でスイス法が参照されているこ

とが度々言及されている。

(17)

建築請負人の債権担保 に関す る考察 1 5 3 BGB § 648 の保護 に建 築材料供 給者 ( 否決 :賛成 5 0 ,反対 6 1 ,棄権 21 ) ,建築家及 び他の専門技術者 ( So nde r f a c hl e ut e ) ( 否決 :賛成 49 ,反対 54 ,棄権 1 2 ) を も 含 め る必要 が あ るか。( ロ) 決 議事 項47 :注文者の所有 で はない動産 を修 理 した請 負人 に 目的物‑ の法 定質権 の成立 を認 め るの と同 じ く,注文者 に属 さないが土 地所有者が建築 に同意 した土地 に,保全抵 当を成立 させ るべ きか ( 圧倒 的多数 で 可決) 0( , , ) 決議事項 48: ZGB Ar t .837‑841 のル ール を BGB S 648 に取 り入れ る こ とがで きないか検 討す るように立法者 に要求 す る ( 圧倒 的多数 で可決) 5 4 ) 0

債権法 改正 での問題 設定,以上 の決議事項 か らもわか るように,当初 の出発点 は, BGB § 6 48 の保全抵 当の技術的改善で あった。 しか も,その際 に範 とな る と 考 え られたの は,ス イス法 の法 定抵 当権 制度 で あった。現 に最終 的な立法 に至 っ た BGB § 64 8a に落 ちつ く以前 に建築 請負 人 の債権 担保 が倒産法 改正作業 の過 程 で とりあげ られ たが, そ こでの立法 案 はほぼス イス法 の模倣 と言 って もよい

もので あった。 しか し,先 に も言及 した通 り, BGB § 64 8a は BGB § 648 自体 は その まま残 し,請負人 に建 築の進捗 に応 じ部分 的 に担保供 与 の請求権 及 び担保 供与 されなか った場合 の履行拒絶権 ,契約 自体 の解 除権 を与 える とい う解法 に

5 3 )A.a.0リ11 5 1 f f .

5 4 )A. a. 0. , Ⅰ1 9 9 . ちなみに,わが国で転用物訴権の例 としてまず想起 される,注文者 の所有ではない動産を修理 した請負人の所有者( 賃貸人,所有権留保売主,譲渡担保 権者)に対する不当利得返還請求 という問題‑の立法的解決 も,ここで決議 されてい る。即ち,動産修理 した請負人の法定質権 ( § 6 4 7 BGB )が請負人の注文者の所有権 又は所有者の修理施行‑の同意‑の善意を条件 として成立する ( 決議事 項4 4 ( a ) ) ,又

は請負人の善意を前提 とせず注文者が修理施行の権限を与えられていることだけを 条件 として請負人の法定質権が成立する ( 同 ( b) ) という提案が,圧倒的多数で賛成を 得た。つまり,結果的にこの局面では転用物訴権が承認されているのである。本間題

については,前掲‑注 ( 1 7 ) ,二注 ( 5) の拙稿 を参照。スイス法での問題解決は,前掲二注

( 2 8 ) を参照oここで,請負人の保全抵当との関係で本間につ き言及 してお くo建築請負

人 ( の保全抵当)が先行抵当に土地増価の限 りで優 先すべ きだという評価 と,本間で

動産修理の請負人の法定質権が成立するという解決 には,共通点がある。 というの

は,確かに先行抵当権者 ・ 抵当権設定者 ( 注文者)間,乃至動産所有者 ・ 賃借人 ( 注

文者) 間では土地増価乃至動産修理につ き対価的清算が行われている。しか し,それ

は,将来第三者たる請負人の建築,修理 という給付をあてこん だ 清算,乃至はこれを

前提 とした投機的な抵当権者,動産所有者の出損である。それ故に,請負人 との関係

では,相対的にこの清算が不当なものと考えられる契機が存在するのである0

(18)

15 4 4 7 巻 第 1 号

落 ちつ いた。つ ま り,建築請負人の債権 担保 の必要性 の根拠,先履行義務 と添付 に よる材料所有権 の喪失の 内,前者 に着 目 したのが BGB§ 6 4 8a であ り,失 われ た所有権 の代償 と しての物 的担保 の供 与 とい う転 用物思 想 の表現 が保 全抵 当権 だ とすれば, これ を改善 しようとしたのが倒産法 改正 に際 しての提 案 で あらた

と言 える。以下, この二つ の立法 ( 莱) を見 てい くこ ととしよう。

2. ( 1 ) 1 9 7 8 年 に連邦司法 省 ( Bunde sMi ni s t e r i umf i i rJ us t i z ‑ BM J ‑ ) の イニ シァテフで 創 設 され た倒産法 改正委員会 ( Ko mi s s i o nz urRe f o r m d e s l ns ol ve nz r e c ht s ) は 1 9 8 9 年 に第二次報告書 ( z we i t e rBe r i c ht ) を提 出 してい る が, その中で注文者破産 の際 に別 除権 ( Abs o nde r ungs r e c ht ) として主張 で きる 建築請負人 の法 定抵 当権 の提案が な されていた。報告書 は 1 0 .1 か ら 1 0 .6 まで の破 産法上 の基本方針 ( Le i t s at z e 55 ) )の他 に, ( 同委員会 の責任範 囲 を超 える と 断 ってはい るが)注文者破 産以外 の局面 での請負人 の債権 担保 方法 につ いての 5 5 )Zwei t e rBe r i c htde rKoml s s i onf Grl ns ol ve nz r ec ht , 1 9 86 , S.1 9 9 f f . 以下, そ

の基本 方針 ( Lei t s 昌t z e ) を訳 出 して お く.

LS1 0. 1 建 築手工 業者保 全抵 当 ( 1 度 物 の全部又 は一部 の工 事 を施工 す る請負 人 は, 請負契約締 結後 直 ちに注文者 に対 し請負契約上 の報酬 請求 につ き,注 文者 の土地 に 最 高額抵 当の設定 を請求 で きる。最 高額 は契約上 の報酬請求額 とす る。

( 2) 注文者が土地所有 者 で はない場 合 も,土地所 有者 が 自己の土地 ‑ の建 築 を注文者 又 は請負人 に公正証 書 に よ り麻諾 した ときは, 請負人 は建築 土地 の所 有者 に対 して も 前項 の最 高額抵 当の設定 を請求 で きる。

( 3 度 築記 入が土地登 記簿 に登 記 され た ときは,最 高額 抵 当設定 の請求権 は仮 登 記 され た場合 と同様 に保 全 され る。建 築記入 は所有者 の同意及 び所有 者又 は登 記‑ の 同意 を所有者 か ら得 た建築手工 業者 の 申請 に基づ いて登記 され る。請負人 は,建築記入が 登 記 され るか又 は所 有者 が登 記所 に登記‑ の同意 を提示 しな い限 り, 自己の給付 を 拒絶 す る権利 が あ る。建築記 入 を抹 消 で きるの は,建 築記 入 され た総 ての建築手工 業 者,及 び建築契 約 の締 結 を建築契約書 に よって登記所 で示 した総 ての建 築 手工 業者 が,抹 消 に同意 した ときだ けで あ る。建築 手工業者最高額 抵 当の登記へ の承認 を訴求 す るよう建 築手工 業者 に求 め た所有者 の 申請 か ら 4 週 間がう 経過 した ときは, 同意 が 与 え られ た もの とみな され るC但 し,建築 手工 業者 が喜 斥を期 間内 に提起 した こ とを証 明 した ときは,この 限 りで はない.訴撞起期 間 は,登 記 された 建築記 入者 と登 記所 で 建 築契約 を提示 した建築 請負 人 に送達が あ った時 か ら進行 す る。

( 4) 注文 者 が建築手工 業者 の債権 担保 の為 に充分・ な担保 を提供 した ときは,最 高額 抵 当 権 設定 の請求 権 は発生 しないO

( 5 力 建築給付の引取 りか ら 3 ヵ月以 内に抵 当権 登 記‑ の同意及 びて 登記 申請 が登記所 に提 出 され ない ときは,最 高額抵 当の登 記請求権 は消滅 す る。建築手工 業者 が期 間内 に登 記所 に登 記 申請 した ときは,建 築手工 業者 の所 有者 に対 す る登 記 へ の 同意 を求 め る 訴 の提起 に よ り , 3 ヵ月の期 間 は遵 守 され た こ ととな る。その際 は,民訴法 270 条 が 適用 され る。訴提起 が登 記所 で証 明 され,かつ期 間が遵 守 され て いた ときは,登記所・

は不登 記法 1 8 条 の 中間処分 を しなけれ ばな らない。登記へ の同意 を求 め る訴 が訴 訟

係 属 中は,登 記 申請 は却下 されて はな らないO所有者 の財産 に破 産手続 が開始 され る

か,土地 の強制執行が命 じられ た ときは,遅 くとも破 産 手続 開始又 は土地 が有効 に差

(19)

建 築 請 負 人 の債 権 担保 に 関 す る考 察 155

押 え られ た時 か ら期 間が進 行 す る ( 強制執行法 2 2 条 1 項 ) 0

10. 2 下請人 ( 1 ) 請負人 が元 請人 に対 し建物 の全部又 は一部 の建築 の義務 を負 う とき は ( 下請 人) ,元 請人が下請人 に対 し遅滞 に陥 り,かつ元請 人が催告期 間 を徒 過 した こ とを下請人が注文 者 に告知 した時 か ら直 ち に,下請人 は元 帝人 の注 文者 に対 す る 報酬 請求権 に質権 を取 得 す る。質権 は民法 1190 条 と同様最 高額質権 であ る。契約 で合 意 された報酬 が最 高額 とな る。質権 の効 力 は,所有者 に対 す る最 高額抵 当権 設定の請 求権 ( LS10. 1 ) に及ぶ。下請 人が元請人 との単一 の契約 に よって複数 の土地 に対 す る仕 事 を義 務づ け られ てい る ときは,質権 は個 々の土地 へ の仕事 に対 す る各 々の債 権 の一部 を担保 す る。

( 2) 前項 の通知が注 文者 に到達 した時 か ら,注文者 は下請人の給付 に対 して は元 請 人 に 支払 うこ とがで きない.注文者 が禁止 に反 した ときは,注文者 は下請人 に対 し損害籍 償 義務 を負 う。

( 3) 元請 人 は注文者 に対 し,. 注文者又 は下 請人 に よ り定 め られ た期 間 内 に,下 請人の債権 の承 認,泰 認の範 囲,及 び遅滞 の有無 の確認 を意思表示 しなけれ ば な らない。意思表 示 が適 時 にな され. ない ときは,債権 は承認 され遅滞 は確認 され た もの とみな され る。

( 4) 元請 人が下請人の債権 を承認 し,その支 払 いの遅滞 を確認 した限度 で,下 請人 の質権 に服 す債権 に対 して注文者 の下 請人‑ の支払 いは弁済効 を持 つ。

( 5) 下請人 が孫請人 を建築作業 の施工 に引 き入 れ た ときは,孫 請 人 はその契約 相 手方 の 質権 に対 し最 高額質権 を取得 す る 。 1 項 乃至 4 項 力準 用 され る。

( 6 凝 集記 入の抹消 に下請人の同意 は必要 で はな い。

10. 3 建築 手工業 者 の担保権 相互 間の順位 複数 の建築 手̲ 工業 者最 高額抵 当権 は相互 に同J 瞭位 とす る。複数 の下請人質権 の順位 も同様 で あ る。

10. 4 取消権 に よる賠償 ( 1 度 築 手工業者抵 当が土地へ の執 行 か ら満足 を受 けなか っ た限度 で,強制執行法 10 条 1 項 4 号 ,1 1 項 ‑ 1 号 に よ り弁享 斉陸の あ る者 は,以下 の計 算 方法 で建築 請負人 にその支払 い を受 けなか った額 を賭償 しな ければな らな い。

a) 建物 の価格 を除 いて も執行 で満 足 を受 け る者 は賭償 義務 を負 わない.

b) 建物価格 を算 入 して執行 で満足 を受 け る権利 では,順位 が下位 の債権 者 か ら順 次,上位 の債権 者 以前 に賠償義 務が生 じる。

C) 建 築手工 業者 の賠償請求 は,弁済 を受 けない債権 が競売後 も存続 す る権刑 と売得 金 の. 合計額 中の建物 の価格 を越 えない限度 にお いて行使 で きる。

( 2 湘 斉を受 けない債権 の賠償 請求 は,請負 人の不利益 が認識可 能 で はなか った先順位 権利 者 に対 して は行使 で きない。

( 3 牌 像義務者 の権利 が競 売 に よ り消滅 す る ときは,塵償 請求 は強制執 行法 11 5 条 の配 当 異議 の訴 に よ り行使 で きるO. 賠償 義務者 の権利 が最低競売価 格 で弁済 を受 けた とき

は,義 務者 は権利 者 に賭償 す る必要が あ る。

( 4) 土地 競売 にお いて請負人担保 権 が完全 な満足 を受 けなか った ときは,. 賠償 請求 は 6 カ月で時効消滅 す る。時効 は,関係 す る建 築 手工 業者 に時効期 間 を指示 す る執 行裁判 所 の決 定の送達 の時 か ら進行す る。

( 5) 複数 の建築手工業者 が全部又 は一部 の満足 を受 けない ときは,塵償 請求 は共 同で帰 属 す る。配 当異議 の訴 は,各賠償権利 者 が全員 の為 に提起 で きる。頗償 義務者 が賠償 権利 者 に対 し金銭支 払義 務 を負 う限 り,義 務者 は総 ての権利 者 の為 にだ け給付 で き, 権利 者 は総 ての権利 者 の為 にだ け給付 を求 め るこ とがで きる。各権利 者 は,賭償養 跨 者 に総債権 者の為 に供 託す るこ とを請求 で きるO権拝I J 者の一人 に よる時効 中断 は,他 の権利 者 に対 して も効 力 を持 つ。

( 6) 供託金 の配 当には,執行裁 判所が 配 当表 を作 成す る。強制執行法 1 0 条以 下 が準 用 され る。配 当は,建築手工 業者担保 権に よ り担保 され,強制執行法 1 06 条 の準 用 に よ り屈 出 られ た未払 いの債権 額の割合 に よ り行 われ る。

1 0. 5 事 前放棄 の無 効 請負契約締 結時又 は予 め最 高額抵 当請求 を放棄 す る請負 人 の 意思表示 は効 力が ない .LS1 0. 4 の鼎償 請求権及 び下 請人の法 定質権 ( LSI O. 2 ) の落 木L前 の放棄 も同様 とす る.

10. 6 適用範 囲 LS1 0. 1 乃至 10. 5 には,民法 648 条 の適 用範 囲が準用 され る。

(20)

15 6 4 7 巻 第 1 号

モデル も示 してい る5 6 ) 。既 に言及 した ように,同報 告書 はス イス法 の強 い影響 下 にあ り, 末 尾 に建 築 請負 人 の債権 担保 につ いての ス イスの指 導 的法 律 家 で あ る シューマ ッヒャ ‑( Rai ne rSc huma c he r ) のス イス法 に関す る鑑 定意見が付 され てお り, 又委員会 自身の基 本方針の解説で も必ずスイス法 との異同が言及 されてい る 5 7 ) 。以 下, 基 本 方針 とその解説 を中心 と して報告書 を見 て い くこ とと しよう。

5 6 ) 同モデルは,問題解決の出発点 として提示 してお く, とされている,A. a. 0. , S. 25 9 f f .

モデルは,元請人の為のモデル 1 と下請人の為のモテル 2 が存在する。但 し,その内 1は,請負契約締結後の建築計画の変更,注文者の要望の変化 により建築費が高額化 することで請負人の債権回収が困難 となった場合‑の処置である。報告書は,こうい った事態は基本的には建築家 ( Ar c h i t e k t ) の責任で注文者・ 建築家の間で処理 さる べ きだ と指摘 して ,2 つの対策 を示 している。( 1 ) 建築主の用意できる建築資金の申告 ( 「 建築資金記入 ( Ba u mi t t e l v e r me r k 」 ) を建築許可申請時に要求する。申請を怠れ ば建築許可が与えられず,又虚偽の申請には罰則 を用意する 。( 2) 施工中に建築資金の 不足が判明 したときは,建築家は期限を定めて建築主に追加資金の有無 を問い合わ せ る。建築主の回答がなければ,建築家は請負人に対 し分割払い期 日前までに資金不 足 を通知す る義務を負 う。義務の悔怠は保護法規違反 ( BGB§ 8 2 3 Ⅰ Ⅰ ) とな り建築家

は請負人に対する損害賠償の責に任ずる。

以 上のモデル 1 とは異な り,モデル 2 A ,2 B は,いずれ も下請人の債権担保の為の

方策であり,しか も基本方針 とは異な りより実効性のある提案である。具体的には,

モデル 2A は, . ( J l ) 元請人は契約締結 とともに特別な口座 を開設 し,注文者はこの口座

にだけ支払いができるもの とする。元請人の右の義務‑の違反は刑事・ 行政罰の対象

とな り,注文者の義務違反は BGB§ 8 2 3 Ⅰ Ⅰ( 保護法規違反)を介 しての下請人に対す

る損害賭償義務 を発生 させ る。( ロ) 元請人は同口座か ら下請人に支払 った後 に始めて

残金 を自己の給付への弁済にあてることができる。ここでの元請人の義務違反にも,

刑事・ 行政罰が課 されるo( , , ) 元請人の一般債権者は,元請人の注文者に対する債権及

び特別 口座の差押えがで きない。差押え可能なのは,下請人‑の支払いを除いた元請

人の注文者に対する請求だけである,という提案。モデル 2B では,( イ) 元請人が下請

人に対 し遅滞 に陥ったときは,下請人は元請人に催告 し,催告期間が徒過 されたとき

は,その旨注文者に通告 し,以後下請人の給付に対 しては元請人には支払わないよう

要請す る。それにもかかわ らず注文者が元請人に支払ったときは,注文者は下請人に

対 し損害賠償義務を負 う ( BGB§ 8 2 3 1 Ⅰ) 0( ロ) 元請人は注文者の定めた期間内に,下

請人の債権及び遅滞の有無を確答す る必要があ り,回答が期間内になされない とき

は債権 を釆認 し遅滞 を確認 したもの とみなされる。( ‑) 元請人が債権 を承認 し遅滞 を

確認 した ときは,以後注文者は直接下請人に弁済する必要がある。元請人が債権の存

否,その額 を争 うときさ,注文者は以後の支払いを下請人の給付 については下請人の

為 に僕託する義務がある。注文者の 以 上の義務‑の違反の効果 も下請人に対する損

害賠償 ( BGB§ 8 2 3 I I ) である.モデル 2A は,仲介 ・宅建業法 ( Ma kl e r ‑ u n d

(21)

建築請負人の債権担保に関する考察 1 57

( 2) 元請人の債権担保 報告書 は, まず何故建築請負人 に債権担保手段 ( 別除 権)が与 え られなければな らないのか を,破産法の立場か ら説明 している。即 ち, 破産法での配 当の優先順位 を決定す る基本的な考 え方 は, 自ら進んで ( f r ei wi l ‑ 1 i g) 無担保で信用供与 した者 は債権者平等の原則 に服す とい うものである。しか

し,請負人は自発的 に無担保信用供与 した訳ではないか ら,債権者平等‑ と指示 す る帰責の契機 を欠 く。つ まり,請負人はその先履行義務 を有効 に回避す る手段 を持 たない。具体的には,建築材料の所有権留保 は土地への付合 により効果がな く,BGB § 648 の保全抵 当 も先行抵 当の存在 で土地担保価値が枯渇 し,VOBの 分割払 いの規定 も完全 には請負人 を先履行義務か ら解放す る訳で はない。加 え て,請負人の給付 は土地 の抵 当権者の担保価値 を増大 させ ているか ら5 8 ) ,と言 う のである。その結果,報告書が元請人 に与 える具体的な債権担保手段 は,建物が 建築 された土地 に対す る法定抵 当権の請求権 である 。BGB i 648 とは異な り基本 方針では,注文者 と契約 した請負人 ( 元請人)は仕事完成後始めてではな く契約 締結後直ちに注文者の土地 に対 す る最高額抵 当 ( Hbchs t bet r ags hypot hek)請 求権 を行使で きる。請負人の法定抵 当が最高額抵 当 とされたのは,建物完成後で ない と仕事の畷痕等 によ り実際の報酬 請求が確定 しないか らであ る。最高額 は 契約時 に合意 された報酬請求額 である ( LS10. 1( 1) ) 59) 。注文者が土地所有者で ない ときも,土地所有者の建築‑の同意 を条件 として,土地所有者 に対 して も抵 当権請求権が成立す る。その際,同意 は注文者 ・ 請負人のいずれに対 し与 え られ

Baut r えge r ve r o r dnnng,MaBV)の規定 ( § § 4 , 6,1 8 MaBV) 即ち受任者の一 般財産からの委任の為の資金の分離と受任者の使用義務に ,2B は VOBの規定( B

§ 1 6 Vト⊥ 前掲注帥参照)下請人・ 注文者間の直接の法律関係に倣ったと説明されて おり,かつこの 2 つを組み合わせることも可,とされている 。以 上のモテル 2A・2 B も基本方針同様,元請人の注文者に対する債権の下請人‑の排他的帰属 を前提 と

している。

5 7 )シューマッヒャ‑の他にも,ガウホ ( Pe t e rGauc h)とツオーブル ( Di e t e rZo b l ) が,立法作業に助言を与えている,A. a.

0

. , S. 2 01 。又,BGB§ 6 4 8 とスイス法の規 律 ( 法定抵当権)との違いが,まず冒頭で整理されている, S.2 0 1 f f .

5 8 )A.a. 0. ,S. 2 0 0f.

5 9 )A.a. 0 リS. 2 0 5 .

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