保健科における教育実習の現状と問題点
保健体育科学校保健研究室内山 源
x 緒 言
保健科教育が保健体育科という合一教科としての国有の問題をもつ中で,これまで多くの識者より小 中,高校における保健科授業の低調性が指摘されてきた。この低調性は合一教科としての保健体育科の 中で,どのような騒髄においてうみだされているかは,これもまた多く締さ屈し㌦識腱
けて簡単に述べると,教科活動の内的事項と外的事項に係わる理論的問題と実践上の問題等である。
したがって,ここで問題点が明らかにされ,これに対する改善策への提言がなされるとしても,それ は「合一教科」及び「一人二役制」の問題との根本的改革を追求しない限り,それはあくまでも「合一 (〈t) (5)
教科・一人二役制」の枠の申での限られた改善策にしか過ぎない。
事実,保健科教育の実習をみるとき,これもまた保健の授業と同じくしてその問題構造の中で保健科 特有の問題をもっているのである。すなわち,他教科では,むろんこの申に体育科も含めて,教育実習 が実習生に対して,通常の授業実習及び研究授業,授業研究まで課されることが一般であり,研究授業
はいうまでもなく授業の実習が体験させられないということはまず皆無といってよいであろう。
理科の実習生であれば,理科の研究授業は実習校の条件とか実習教員の方針等により必ずしも担当さ せられるとは限らないが,通常の理科授業の担当は必ず実施されているのである。これは音楽であろう と体育であろうとどの教科でも変りはない。
しがし乍ら,これを保健科についてみると,そのルーチン化された教科授業の実習が必ずしも実習生 の全員に依って実施されでいるとは限らないのである。まして,保健科の研究授業となると一方におい て伝統的な体育科の研究授業が課せられることなどから,まず現状の体制の中でこれを求めるとしたら 大きな問題を含むことになるといってようであろう。
むろん,それこそ現状の制度に関係して,指導者の資質能力といった面からも複雑な問題を有してい るとみることができる。たとえば,附属学校が少なかったり,規模が小さかったり 或は附属学校が無 かった場合とか実習協力校の需要に対すう供給の条件がよくない場合に,実習生の数が多くて,とても 全員の実習生に保健の授業をもってもらうわけにはいかないという問題がある。しかし,これは保健科 固有の教育実習に係わる問題ではなくて,教科をこえての共通の現時点における「教育実習の重大な問 題」の一つになるわけである。
ところが,そうではなくて実習協力校なりの実習校と実習生の量的関係がバランスがとれている場合 には,制度的には必ず保健授業の実施がなされることになっているので,実習生の「体験的実習」もな される等なのであるが,実際には必ずしもなされていないのである。むろん,近年は保健と体育の合一
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教科としての成立上の問題が多く追求,指摘され,これに関する教員養成上の強化がすXめられているの ので問題は改善されている面もみられるのであるが,この問題は少なからず残されている。
もっとも,中には出身校で実習する者もいたり,私立の学校などで個人的な知遇の関係で教育実習を 依頼している場合には,実習生・保健体育科関係は1名で,これに対して学校側の保健体育教員は3.4 名というケースの際に「保健は君がみんなやってみなさい」とか「保健は自分でやってほしい」といわ れて,一週間にかなり多くの保健授業を担当させられたりすることもある。
つまり,ここでは見掛上は実習生に対して保健の授業の担当が積極的に実施されているかにみえるが,
その実は教師側の授業負担の軽減であったりすることがある。したがって,実習生だけが教室で保健授 業を担当し,指導に当るべき教師は全く顔をみせなかったり,一度教室に出て直ちに職員室に帰ったり して実習生は単に授業担当の体験に終っていたりすることもあるのである。というわけでこの種の特定 なケースを指して楽観話したり,先述の問題の反論の根拠とするわけにはいかないだろう。
むしろ,現実はその逆で,保健の授業時間が設定されているのに,これらを体育の授業でうめる教師 が末だ存在しているため,改善されつつあるとはいえ残された問題として追求すべきものと考える。
つまり,制度的にも物理的時間枠も設定してある場合ですら,指導教師の保健科教育担当えの態度とか
.意欲から,これを無視・軽視し,それが教育実習生の活動内容に反映するという事態である。むろん,
保健科教育実習の問題はこれらに限定されるものではない。本稿では保健科教育の固有な教科としての 問題も含めながら実習の現状と問題点をみることにしょう。
2. 保健体育科における保健教育実習の問題の所在とその構造的把握の必要 それではどのように問題の所在をとらえたらよいであろうか,それにはやはり問題構造の把握が必要
となってくる。本稿が教育実習一般のことではなく保健科教育実習に関わることであれば,教育実習一 般の問題と密接に関連し乍ら,焦点は保健科教育実習の実際の活動に置かれることになるであろう。つ まり,保健科実習の活動の内容である。一体,保健科担当の実習生たちは①どのような授業の事前準備
・教材研究をなし,たとえば a)当該題材に関する専門科学技術の知識・理論や技術を学習・研修し,
b)学習者の条件・心身の発達段階や学習のための生活環境の条件をとらえ,さらにC)教授・学習 過程の展開や方法・技術等に関する知識,理論を学習・調整し②どのような指導案」2 ,どのような指 導観のもとに作成し,どれほど授業事前の心案化,戦略化,第2次展開,第3次展開等を準備してい るのか,それとも,ほぼ徹夜のような状態で指導案の,保健教材構成や戦略化の観点からみたら,まさ に「一枚岩」のごとき薄い指導案の作成にのみ追われて,翌朝の保健の授業の担当を迎えているのか,
或はこの単純な指導案の作成・形式的な指導案の作成もしないで教壇に昇ったり,途中で挫折放棄して 欠勤したり,体育の授業と代替することによって避けて通っているのか(筆者の関係した実例では,指 導案作成がはかどらず,翌日の担当授業を放棄して出勤もせず,その後,教職に適性も意欲もないこと を表明して退学したものいる。)そしてこれらの準備のもとに③どのような保健科の目標・教材の特性 に応じた教授・学習過程の展開を,a)どのような導入のための説明,段習事項などの復習,確認をな
し, b)どのような展開のための保健教材の基本的概念たとえば,SHESやホイマンとか小倉案な どを構成,構造化し, C)どのような発問やどれほどの数の主要発問を説定し, d)発問から或は 発問への「導入」や「つなぎ」となる説明や演示,デモ,観察等をどのように行ない, e)発問に対
する応答への取扱い方や説明の仕方,f)理解や定着,確認のための板書のし方, g)発問に対する 即時口答のみではなく,時間をかけて解答する場合の教具の使い方,ノートのとり方,たとえば中学生
や高校生の保健のノートを調べてみると,教師の板書した骨組み,枠付けだけの内容をそのまX写した ものが少なくない。彼らのノートをみながら質問してみると,何のために写したのかも意味のとれ.にくいもの,
とれないものが少なくない。したがって,ノートの整理とかとり方は板書や教科書のポイントの丸写し ではないこと,自分のための理解にとって役に立つ「自分のことば」で,しかも記号・単語的な表現で はなく「文章化する」ことなど,説明をきき乍ら書きこむこと,分団・共同・班別学習の際にも自分の 考えをまとめて書くことなどの指導が要点となっている。 h)この他,視聴覚教材,教育機器,たと えばOHPの利用は頻繁であるが,既成商品教材の利用の仕方,自分で作成したOHP教材等の保健教 材としての配慮や検討がどのようになされているのか, i)保健教材の特性として実験・実習・観察
・学習作業を行なう場合,理科等における実験実習とどのように違うのか,どんな配慮をもってのぞん でいるのか, 1)授業過程の展開においてどのような教授方法・過程の展開が選定,準備されている のか,目標や教材の特性とほとんど関係することなしに。いつも視聴覚教材を主とした方法による展開 なのか,いつも流行の「発見学習」とか「探究学習」なのか,どんな目標とどんな教材特性だから:ど のような「学習理論」たとえばMo de}s of Teachingを考慮する場合にBruner,Ausube1,
Rogers,Skinner,Hunt,Gordon,Glasser,Tabaなどのいずれの理論に依拠・参考に することが検討されているのか,教授三論の一つとしてのザンコフの「ことばと直観の結合形式」,オ
オコーンの思考の教授学などがどれほど授業の展開,過程に組み込まれているか,これとh)やi)と の関係は密接に結合されているか,b)や。),d)はどうか ④授業のしめくくり或いはまとめとし ての評価,KRはどのように行われているか, ②の。)やd),e)に関するその場毎の小さなKR はどのようになされているのか,保健独自の評価と「合一教材」としての体育との関連評価は,どのよ
うに考えたらよいのか C ognitive domainの評価とAffective domainの評価さらに保健 に必要なSki11,Practice, BehaviorしかもC ov ert なBeh a Vi orなどはどのように取 扱っているのか,取扱ったらよいのか,⑤保健授業の後の研究活動への準備のための,データの収集と か記録のとり方,授業分 への方法や過程は,授業分析が活動内容とともに,どのように,行われ,実 習されているのか(すべでを通じて指導の直接的,間接的な手がほどこされているのか)⑥保健の授業 に関連する教育活動はどのようになされているのか ⑦保健の授業に関連する体育とよ理科,社会,家 政,道徳等の教育活動への結合は,どこまで,どのように行われ,考慮されているのか等といったもの
である。
3,保健科教育と実習生えの教育との関連とその問題
これらの実習生の「実習されるべき諸活動」は,先述したように保健と体育といった特殊な合一教科 としての条件枠の中での事態が改善,解消され「他教科なみ」にごく当り前に保健の実習が実施されて いる場合に問題にされるべきことであって,現時点における保健科教育の教育実習の状況はそこまでに 達していない。つまり,この種の当前の実習活動が「行われるか,行われていないか」 「どれほど行わ れているのかjなどといったそれ以前のマクmな段階なのである。
むろん,実施されているところもあるので,先に述べた実習活動の内容自体がどのようになされてい
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るかはやはり,焦点化されて追求されなくてはならないことである。それでは①このような広範で重大 な教育実習活動の内容の良否,有効性と効果的に高めるための教育指導やそのための条件づくりは誰が するのであり,②そのための条件,体制,組織,財政等の支持保障条件はどのようになっているのであ
ろうか。
a)
教育実習の場で発 上に示した保健科の実習生に必要な諸活動が円滑に高い教育革質を保持して,
揮できるようにし,そ畷b)保麟担当教師として成.長ずる働の事後の教育はどのように灘がど
のように実施することになるのであろうか。
「実習生の教育」ということを,しかも一般実習生としての教育の他に,保健独自の実習生の教育と いうことを考えるとすればそこには 1)大学側の教官,すなわち保健科教育に関わる担当教官(保健 科教育法や教材研究,学校保健等)の教育指導と 2)教育実習校。附属学校の専門教官や協力校の保 健関係教官の教育指導ということになってくる。つまり,保健の実習生の指導育成を中心に置けば,そ れらの教育指導に密接に関連する大学と現場教官とその教育のために要するカリキュラム・保健教育内 容や計画,方法技術などが「内的事項」として考えられることになる。
保健の教育実習を単に傍観者的な「体験的実習」に終らせないとすれば,実習生の教育意欲を振起し,
モラールを昂揚し,教授指導に関するスキルの向上をはかり,さらに教科専門,教職専門に関する知識,
技術の発達をはかる者は誰なのであり,どの部分の分担役割が妥当なのか,可能なのか等といった問題 がでてくるのであろう。
そして,このような問題が教育実習の教育一一般のレベルで問題になり既に考究され,対策への段階に 至っているのか,ということと並行して各教科教育のレベルでも同じようなことが問題にされているが といった問題がでてくるであろう。ここでは保健科教育の教育実習に限定するわけであるが,先にも述 べたように保健科教育実習では授業実習をすること自体が重大間題とされる段階なので,その実習活動 の内容までは至らないというのが一般の現実とみることができよう。
指導機能の制度的な分担とか負担区分をどうするかといった問題は 一般のレベルでも明確なもの
が解黙しているわけでもないし,申し合わせ的調整がなされているわけでもないので,教科教育教官間 のそれらになると全く暖昧で,いくつもある実習校の各々の教官の「立場」なり「態度」にまかせられてい ることになっている。というわけで,極めて実践的な活勤に関わるこのあたりの問題すら,教育行政的 或は運営上の基準もなく,体のよい自律性とか自主性にまかせられているのが現状であって,基本的に これらの内的事項の喜劇勤に関わる最低基準ともなるべき「制度上」の問題が,更に理論レベルで究明 されるだけでなく,これを論拠においた法制上レベルで確立されることが必要であろう。
本来的にみるなら,何も法制上の枠で縛る必要などないのであるが,この種の体のよい自主性が如何 に無効か無能かは多くの実習校を観察してみれば十分に納得のいくものであろう。学校が校長から職員 全体まで一丸として教育実習の指導体制を組んでその活動が実に綿密に行われ,一つの自主的研修的態 度をまざまざと見せっげられるように藍極的な実習協力校もあれば,形式的には体制をもっていても実 質的な指導体制がばらばらな密度の薄いところも少なくない。このようになってくる保健科の教育実習 は全体的な枠の中で鍛え上げられることは少なく,まさに教科担当教官の胸一つということになってし まうわけである。
さて先の内的事項の一つ保健科教育(実習)指導教官・大学教宮の教育実習への関連であるが,この
関連を求めて,昭和44年に教科教育法・保健を受講した学生を対象とした調査がある。その時点では現在の ように受講生の数も多くなくやっと10名程度なので統計的な意味をもつものではなく,教科教育法へ のブイードバックを求めて実施したものである。この結果から得られたものは,保健科教育の実習状況 については,附属校を除くと,保健授業を担当して実習生は皆無に近く,その1週置担当した実習生も 担当が実習計画に組まれたものではなく,たまたま担当させられたもので,その理由は天候条件(雨降 保健晴天体育)なのか出張か教師の意図かどうかは明らかにされていない。
したがって,保健の授業の担当すらないのであるから「授業研究」は無論のこと「研究授業」など関 係しないことになる。それでいて,卒業時には法的根拠をもって正規の「保健体育科」の免許状が与え られているし,保健の実習なしに臨床的研修なしに,現場では保健の授業を担当させられたり,したり しているのである。この面の問題はいくつも論じられているので別におくとして,元にもどすと,先の 保健実習生の実習活動に対する指導がどのように行われたかが中質となってくる。この場合,授業担当 だけに終り,特に指導がなされなかったのは,これが特殊的なケースでφるという理由からだけではな く他に一般的な理由はいくつも上げることができるのである。これも保健授業担当教師の資質能力の問 題としてこれまで指導されている通りであろう。
というわけで,この時点では保健科教育法や関連学問に対する現場の実習生の意見を,その内容に反映する という段階には至っておらず,どうも「保健実習jを教育実習として「体験」されるかどうかのレベル にあったのである。このことは,大学に養護教員養成所ができて,保健体育科学生としてでなく保健準 教員・保健免許取得のための保健実習の協力実習を求めた際の事情をみれば,現在でこそ当然のごとく 実施されている教育実習・保健実習であるが,容易に理解できるところであろう。現場側がこれらを拒
み,実習校の確保に困難を生じた事実が存在したのである。
4.保健科教育における教育実習活動の現状から
その後昭和5⑪年頃から 附属校以外の実習協力校における「保健実習」の担当学生も徐々に増大し
てきている。しかし乍ら,昭和54年の時点でも全実習生が「体験」するまでに至っていない。無論附 属学校に配置された学生は殆んどのものが,4週間の実習期間中に「3時間から,4時間」保健授業を 担当していることは先述あ通りである。
さて実習生の保健授業への担当意欲であるが,昭和40年代の後半期の調査には「魔はバスケットの 指導に情熱をかけて茨大に入ったのだから,保健など教える気はしない」などといった体育実技や記録 の向上,実技指導への偏った意欲が明らかにみられ,「保健は仕方なしに……」F免許法上だき併わせ になつがいるから……」というごく消極的な態度が少なからずみられたのである。
この他,調査結果の主なものを1っあげると,大学の教育内容・教職科目及び教科教育法・保健が実 習において「あまり後に立たない」という意見がある。むろん先述のごとく統計的な対象になるデータ
ではなく,ごく質的レベルの問題であるが,重要な参考意見となるものである。この「役に立たない」
という意味は「役に立つjとはどういう意味かによって,問題の内容は異ってくるのであるが,ここで は詳論はさけて,そのまX受取ることにし,大学の教育に,保健科教育法に要請される一側面として考 えてみたいのである。保健科教育実習の一般的実施状況は表1〜5に示す通りであるが,これは国公私
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立の関駄学を対象に躰学校保健学会姻研究として,昭和54年・月に実施したものである。6)こ
れについては既に程告されているので改めてふれないことにし,大学の保健科体育科等と保健教育実習 との関係について,筆者が実施した最近の調査結果について簡単に述べることにする。
表1 実習実施学年と実施時間 の 集中仕上方式
学 年 4〜8月 9〜11月 春秋2回 春又は秋2班 不定期 NA 合 計 (%)
2 2 2 0 0 0 0 ※ 4( &6)
3 1 7 2 1 0 1 12(2α0)
4 19 2 4 2 1 3 31(6乳3)
47(100.0)
(イ) 階段進行方式
3年次春 S年丁丁
〃 秋 V 春
〃 春 V 春
〃 秋 V 秋
2年次R年次
S 年次
合 計
0 5 1 2 1 9
注)2年事実一校は全部短 大である。私立大学は 全部4年次実施である。
表2 実習期間
N漏57
週 問 2 3 4 5 6 7 2〜3 NA 合 計
大 学 数 6 8 12 12 14 2 2 1 57
%
10.2 14.0 21.0 21.0 24.5 3.5 a5 L7 100.0
2週間実施校6校及び2〜3週間2校は短大及び私立大である
表3 実習校の種別
実 習 校 大 学 数 % 附 属 校 9 16.4
協 力 校 6 10.9
出 身 校 1 1.9
附 ・ 協 24 43.6
附 ・ 出 3 5.6
附 ・ 出 2 1.9
附・協・出 10 18.2
合 計 5 5 100
表4 保健体育実習時間数(1週間当り)
N=57
区分時間数
国 立 公 立 私 立 公立短大 私立短大 計 (%)
5時間以下 15 15 (26.3 )
6〜10時間 13 1 3 17(2{瓦8)
11〜15時間 2 3 1 6 (10.5 )
16時間以上 3 3( 5.3)
そ の 他 2 4 6(1α5)
N A 8 1 1 10 (17.5 )
43 1 9 1 3 57
表5 保健実習担当時間数(1週間当り)
N=57
時間 区分 国 立 公 立 私 立 公立短大 私立短大 計 (%)
1 時聞以下 15 15( 263)
1〜2 時間 1重 2 王 2 16 ( 28.1)
2 〜 3 〃 3 2 5 ( 8.8)
3 〜 4 〃 2 1 3 ( 53)
4 〜 5 〃 3 3 ( 53)
5 〜 10 〃 1 1( 1.8)
そ の 他 2 4 6 ( 1α5)
N A 7 1 8 ( 14.0)
43 1 9 1 3 57(100.0)
①教育実習期間長短の適否意識
「ちょうどよい」とするものは殆んどなく「短かすぎる1とした者が9割以上を占めていた。しかし,
それではどれほどの教育実習期間を希望しているかをみると,「6週から8週間」に集中しており,長 期の実習への望みはみられていない。
②保健及び体育の授業担当時間数
体育の担当時数は最高13時間であり,最低は8時間となっている。これに対して保健の担当時数は 最高が5時間であり,最低は0時間である。実施したものの中の最低は2時間である。無論これらは附 属中学校の実習生の場合である。したがって,これが実習協力校でなされるとこの様相は全くといって よほど変化する。つまり。時間か1〜2時間の担当となってしまうのである。これが,養護教諭コース の保健教育実習と同一校で一緒に行われる場合は,保健の担当は養護教諭コースの学生に,保健体育コ ースの学生は体育の担当に集申化される傾向がみられている。というわけで「0時間」の実習生がなく ならぬというより,むしろ増大する傾向すらあるものと思われる。
そうはいっても近年,保健授業担当の体験実習生が除々にふえたことは好ましいことといえる。この
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理由の一つに実習校の保健体育指導教員の保健科教育観とか保健実習に対する態度といったものが大き く影響しているように思われてならない。というのは,比較的保健の教育実習に謄極的な姿勢を示して くれてきたと考えられる実習校でも転任等で保健体育科の関係教官がいなくなると,急に保健の「体健 的実習」すらもなくなってしまうからであり,その逆も 明にみられるからである。また同一校に復数
の実習生がっく場合,各々の指導担当教官によってもそれらの状況が異ってくるからである。
外枠には学習指導要領による体育内容だけですら消化しきれぬ時間数があり,そして内枠の中での
「晴天体育雨降保健」とか「不定期性授一Xの存在なのである。保健の教育実習はこれらの条件枠の中 でさえも焦点的に行なわれないことには有効性は望めない。これを単に熱意ある実習校教員の態度にの み依存していてはすまされない問題であり,依存による好転に問題解消の望みを托しているとすれば,
酷でもあり筋ちがいとしなくてはならないと考える。
③保健体育担当授業時数の多少についての意識
保健の授業を4時間担当したある実習者は,保健の担当時数を「ちょうどよい」としおり,体育は7時 間でも「少なすぎる」としている。その他の者は両方とも「少なすぎる」としている。即ち最高13時 間の体育実習担当学生ですら体育授業の担当時数は「少なすぎる」としているのである。これは保健の 最高5時間の担当学生の場合でも同様である。
④保健科の研究授業と授業研究
②等の結果からもわかるように,保健の研究授業は先述のような条件枠の中ではそれを望むことすら 困難となってくる。したがって授業研究・授業分析などは殆んど存在しないのである。後は熱意ある担 当教宮からの個別的な指導を受けることぐらいに限定されているので,保健の教育実習といってもこれ ちの点が他教科のもつ問題とは全く異る問題となっている。
教育実習期間の研究授業の時間枠の中で「体育」が「保健」を選ぶとすれば,現状で「体育」になる ことは当然であるので,保健教育は「重要である」 「債極的に担当したい」などといった意識・態度も 持つ学生の場合でも保健なしですまされてしまうことになる。
そして現場に立てば「研究授業・授業研究」はいうまでもなく, 「体験的実習」時間0の者でも先述 のように「保健体育科の正規の免許資格」をもって,保健の教壇に立つことになっており,立っているの である。このような現実をみるとき,まさに保健科の教育実習は何か,どうあるべきかを既に述べた構 造的問題の中に位置づけて追求しなくてはならないと考える。.
5.結 言
①保健科教育実習の問題を把握しようとする場合,保健科独自の「合一教科・一人二役制」の特徴 と関連させて,保健科教育固有の問題として構造的な把握が必要である。
②即ち,教育実習一般がかSえている問題と保健科教育実習国有の問題を関連的にとらえようとす るなら大きな枠組として,教科教育実習活動の内的事項と外的事項の構成要素を設定し,これらに関する 理論的側面と実践活勤上の側面の4側面についての構造的な把握が求められる。
③一般的教育実習のかt ・えている実施実践上の問題の主なものには,④これらの実践指針や支え となるべき理論が未開発,未熟であるため,⑤教育実習に関わる法制的な保障条件が 台んで存在して いない。 −(Dしたがって教育実習校と大学は「何を」 「どのように」分担・指導(共同,協力して責
務をもつのか暖昧なまXになっており,多くは実習協力校の「伝統的慣行」とか「好意」「サーヴィス」に依存し ている状況にある。「受験生製造工場的」ではない附属学校の存在意義とかその増設,実習期間の検討,臨床 教育実習としての適正期間,教育実習を保障するための行政・財政等の側面,国公立,私立等の大学種,大学 種間,大学における教育カリキュラム,教科教育法等の調整,充実,教員養成大学における教科教育担当教官以外の 教官の意識,態度(現場を知らない大学教員が教科教育法等を担当しているのはおかしいという現場側の指摘が
ある。)教育実習の期間とともに,いっ実施するのかという時期の研究,これらはすべてカリキュラムのあり方 に関係しており,教育実習と大学カリキュラムの問題は特に重大であるといわねばならない。
④保健科教育法との開連では,この科目の履修と実習時期との問題,教科教育法の射程範囲と教育 実習との関連、限界の明確化,そして実習活動からの評価的反映点とて,保健科教育法の内容を検討し,
先の大学カリキュラウ問題と結びつけて教育実習からのフィードバックを十分に活用できるよう追求さ れることが必要である。現状としは現場からのフィードバックも殆んどなく 教育実習からのそれすら s
もフィードバックされることの少ない体制,教科教育法のあり方は大いに問題視されなければならない。
⑤ それにしても基本的な問題は教育実習校の不足、国公立教員養成大学,学部と国公立,私立等の 教員養成を主目的としない大学における教育実習協力校獲得のための需給関係にみられる問題である。
これは上記の ③の問題でもあるが,緊迫した現実的問題としてその法制的幹組の設定と教員養成大 学教官の自覚と積極的な姿勢が望まれる。この問題が整理されない限り,仮りに内部的な保健科教育に 関わる問題が解消されようとも根本的な解決にはならないからである。
⑥保健科教育実習の実施状況及びそれについて学生の意識等については,量的に統計的処理の対象 になるものではないが,教育実一ge 一一般のあり方や保健科教育と教育実習との関連や問題を把握する点で 有動なフィードバックとなるものである。すなわち,教育実習の期間については「短かすぎる」とした 者が9割以上を占めている。保健体育科の教育実習であり乍ら,保健の授業担当時数「o」時間の者が 末だに存在している。したがって,保健担当時数の多少についての意識は全体的に「少ない」「少なす ぎる」といったものとなっている。さらに,保健科の「研究授業」及び「授業研究」は当然のこと乍らs 保健教育は「主要である」 「寒極的に担当したいj 「重い負担を感じるが蹟極的に担当したい」などと いった意識があるにも抱らず,全くといってよいほど実施されないでいるのが現状となっている。これ
らの問題状況は上に述べた保健と体育との合一教科としての構造珍問題状況の申で考えられなければな らない側面を多分に含んでいるといえよう。
参考・引用文献
1)田原 靖昭
2)内山 源
・)辮・蝋
4)内山 源
:中学校保健体育科r保健」担当教員の今日的問題について,p101.%1& 長 崎県立女子短大 紀要1971
:保健学習における生徒の学習意欲,P56〜%264 健康教室 1972
:中学,高等学校における保健授業に関する全国実態調査 P253〜Vo至14 東 大教育学部紀要,1975
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lle
,1内山 源
6 j日本学校保健 学会課題研究 B班共同研究
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健康教室,1976
:保健学習における学習意欲と合一教科保健固有の担当教師の問題,P49〜Vo1 25,ノ彪10,健康教室,1974
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Ps13〜Vo121.%11 学校保健研究,1979