ELCAS 京都大学大学院理学研究科
比例計数管を用いた 放射線測定
放射線と比例計数管の原理
信川正順
1,2、鶴剛
2、中島真也
21
京都大学白眉センター
2
京都大学大学院理学研究科
2012/02/04目次
1.放射線
2.放射線の発生機構
3.放射線と物質の反応
4.比例計数管
1.
放射線
放射線とは速度を持つ( )および( )の総称である。放射線を出す能力 を( )といい、放射能を持つ物質を( )と呼ぶ。下の図のように、懐中電 灯でたとえると、懐中電灯が( )に相当し、出てくる光が( )である。
出典:「原子力・エネルギー」図面集 2011 6-1
1.1.
単位
放射線量を測る単位として、一般的に以下のものが使用されている。
( )(Bq)…1秒間に放射線を出す回数。
( )(Gy)…吸収した放射線のエネルギーの総量(吸収線量)を表す単位である。
単位質量当りの物質が放射線によって吸収したエネルギーを表す。この単位はすべての 物質、あらゆる放射線に適用される。1グレイ=1J/kgのエネルギー吸収と定義される。
( )(Sv)…放射線防護の分野で使う。人体が吸収した放射線の影響度を数値化 した単位である。吸収線量値(単位、グレイ)に放射線の種類ごとに定めた係数を乗じ て算出する等価線量と、影響する体の部分ごとへの影響にもとづいて定めた定数を乗じ て算出する実効線量とがある。
物理学では、放射線のエネルギーの単位として( )を用いる。1 eV は電子が1 Vの電位差で加速された時に得るエネルギーに等しく、1 eV=1.602177×10-19 J。 なお、keV( )やMeV( ) も良く用いられる。
1.2.
種類
様々な種類の放射線が存在する。種類により透過力などの物理的性質も異なる。
(1)光子(photon)
( )のこと。波長の長い方から、( )、( )、( )、
( )、( )、( )と分類される。質量は( )。量子論で は全ての物質(素粒子)は波動性と粒子性と兼ね備えており、波長が短いということは エネルギーが高い状態を同値である。
エックス線やガンマ線はエネルギーが高く、透過力が( )。防御のためには
( )が高い物質を厚くして遮蔽する必要がある。
(2)電子(electron、e-)
マイナスの電荷を帯びた粒子。質量は511 keV/c2=9.109×10-31 kg。ベータ崩壊(n→
p+e-+νe)により放出されることから、ベータ線とも呼ばれる。電子の反粒子である陽電
子(positron、e+)は同質量で電荷が( )である。電離作用があるため、物質中
で反応を起こしやすく、透過力は低い。しかし反応によってエックス線が2 次的に生じ ることもある。
(4)陽子(proton、p)
原子核を構成する核子の1つ。プラスの電荷を帯びた粒子。質量は電子の約( )
倍(938.3 MeV/c2)。物質中では一定のエネルギーを失いながら進行する。
(4)中性子(neutron、n)
電荷はゼロ。質量は陽子と同程度(939.6 MeV/c2)。核子の1つである。電離作用をし ないため、透過力は非常に高い。同程度の質量を持つ陽子、すなわち水素原子核との衝 突によって、効率的にエネルギーが吸収される。
(5)原子核(nucleus)
原子から電子を取り去ったもの。原子番号に応じたプラスの電荷をもつ。アルファ線
(alpha particle、α)はヘリウム原子の原子核で、陽子と中性子が2つずつ合わさった
もの。電離作用が強く、透過力は低い。
2.
放射線の放射機構
放射線は自然界から放射されている。一方で人工的に放射線を生成して利用する方法もあ る。
(1)放射性同位体( )
同位体(原子核中の陽子の数が同じであるが、中性子の数が異なる元素)のうち、不 安定で崩壊するものの総称。天然に存在するものもあるが、加速器や原子炉でも人工的 に製造できる。本実験で使用する( )や( )も放射性同位体の一つである。
(2)( )
地球上には宇宙から放射線が飛来している。大気による遮蔽効果により、上空に行く ほど放射線量は高い。また、高緯度地方の方が放射線量が高い。これは地球磁場の影響 により、電荷をもった放射線(荷電粒子)が極域に集まりやすいためである。オーロラ
はこの荷電粒子が大気中の原子を励起することに因る。大気に直接入射するものを
( ) と 呼 び 、 大 気 内 で 一 次 宇 宙 線 が 反 応 し 生 成 し た 放 射 線 を
( )と呼ぶ。
(3)( )
電子や陽子など電荷を持つ粒子を加速する装置。生じた一次放射線を標的に当てて二 次放射線を生成することもできる。また、放射性同位体の製造もする。物理学実験に用 いられるだけでなく、放射線を用いた医療のためにも使用される。日本では、高エネル ギー加速器研究機構やSPring-8(Super Photon ring-8 GeV)に巨大な加速器施設があ る。
(4)原子炉
原子炉は核分裂を利用してエネルギーを取り出す装置で、副産物として( ) を生成する。また、核分裂の過程で大量の中性子を生成するので、中性子線源としても 利用される。
文部科学省 中学校教師用解説書より転載
3.
放射線と物質の反応
放射線と物質は様々な反応をする。ここでは、電子および光子(エックス線)と物質の反 応についてのみ述べる。
3.1. 電子
電子は物質に侵入したときに、原子核と( )力(静電気力)を通じて軌道が 曲げられる。これを多重散乱と呼ぶ。また、原子内の電子と散乱すると、電離を起こしエ ネルギーを失う(電離損失)。標的の物質により失うエネルギーが決まっており、Ar ガス だと1つの電子を電離するのに平均的に( )eV失うことになる(平均電離エネルギー)。
3.2. エックス線
エックス線が物質と起こす反応は( )と( )がある。
( )ではエックス線の全エネルギーを物質が吸収し、内部の原子を電離す る。電離エネルギーとの差分の運動エネルギーを持った光電子を生成する。一方で、エッ クス線は電子と散乱しすることがある。これを( )と呼ぶ。結果的に、
エネルギーを電子に与え、エックス線のエネルギーは小さくなる。
4.
比例計数管
比例計数管は、ガス中での電子のなだれ増殖を利用した検出器である。基本構造を下図に 示す。円筒形の容器の中に不活性ガス( )をつめ、 中に張った芯線に高電 圧(約 1 kV)をかけて動作させる。 比例計数管でエックス線を検出する過程を時間順に追 っていくと以下のようになる。
(1)入射したエックス線が封入ガスに( )され、( )を生成する。
(2)光電子は周囲のガスを電離し一次電子雲を作る。
(3)一次電子雲が電場に引かれて( )の方に移動する。
(4)芯線付近の電場が強い領域まで移動すると、加速された電子が( )し始め る。電離してできた電子が(加速されて)新たにガスを電離し、(二次)電子がねずみ算 式に増えていく。
(5)増殖してできた電子が芯線に到達し、電気パルスを発生する。
比例計数管では、増殖してできる二次電子の数が一次電子数に( )するように 電 場の強さが設定されている(比例計数管の名前の由来)。したがって、 最終的にできる二次 電子数も入射エックス線の( )に比例することになるので、 電気パルスの大き さから元のエックス線のエネルギーが推測できる。
日本原子力研究所 国際原子力総合技術センター:原子力基礎用語集(1997年)、p.10
参考文献
新物理学シリーズ26「放射線計測」、加藤貞幸著、培風館出版
文部科学省 中学校教師用解説書 http://www.mext.go.jp/b_menu/shuppan/sonota/attach/1314222.htm
日本原子力研究所 国際原子力総合技術センター:原子力基礎用語集
「原子力・エネルギー」図面集 http://www.fepc.or.jp/library/publication/pamphlet/nuclear/zumenshu/