自養植林杭の開発の試み
−資化菌及び杭材料の評価−
An attempt to create a plantation pile
-Evaluation of materials for the pile and
microorganisms for its fertilization-
物質・環境システムコース
1065029 倉地 利幸
目次 要旨 1 緒言 3 1 章 Phaeocystis sp.について . 5 背景、培養、洗浄、成分分析法、成分分析結果 2章 混入菌の選択及び評価 8 2-1 目的 2-2 方法 2-2-1 混入菌の選択と同定 2-2-1-1 栄養条件での選択法 2-2-1-2 温度条件での選択法 2-2-1-3 顕微鏡観察と分類 2-2-2 混入菌の分解能及び増殖能の評価法 2-2-2-1 胞子粉末の調製法 2-2-2-2 混入菌のセルロース分解能の確認法 2-2-2-3 混入菌のセルロース基質での増殖の確認法 2-3 結果及び考察 3 章 杭材料の物理的評価 23 3-1 目的 3-2 Phaeocy tis s sp.と新聞故紙を用いた混成材料の作成及び硬さの評価法 3-2-1 混成材料の試料作成法 3-2-2 混成材料の圧縮試験法 3-2-3 比較のためのサンプルの調製及び試験法 3-3 結果及び考察 4 章 杭材料の生化学的評価 27 4-1 目的 4-2 異なる混成比の杭材料での混入菌の増殖しやすさの評価法 4-2-1 杭材料シートの作成法 4-2-2 培養及び ATP 量の測定法 4-3 結果及び考察 総括 31 謝辞 33 参考文献 34
要旨
熱帯雨林の大規模な伐採による森林の人為的な消失は地球環境に対して温暖化や異常気 象といった深刻な影響をもたらしつつある。すでに失われた森林は栄養のある表土の流出 によって自力での回復は難しく、裸地を放置することはさらなる森林の破壊につながるた め、可及的な熱帯雨林の再生は21 世紀の人類の大きな課題である。 大規模な森林破壊(1,500 万 ha/year)に対抗し森林を再生する簡便で効率的な新規植林技 術の一つとして自養植林杭の開発を試みることとした。この杭を小型杭打ち機によって機 械的に連続的して裸地にうち込もうと考えた。 自養植林杭は、廃棄物利用の一環として新聞故紙に、海産性微細藻類の一種Phaeocystis sp. を混ぜて、プレス乾燥して杭型とする。この藻は自身の周囲に寒天様の分厚い多糖層を持つので、 その接着性によって杭の強度の向上と、杭の分解時の周辺土壌への栄養補助を想定して用いた。 この時新聞故紙と藻の分解をたすけるために、杭材料を資化する菌類と樹木の種子を杭の中に入 れることにした。 本研究では、資化用菌の選定及び資化能の確認と杭の混成材料の評価と混成比の検討を行っ た。 資化用菌としては、セルロース分解菌として単離されていた 8 種類の糸状菌の中から、 杭材料の資化能及び 40℃以上の高温域での成育の有無を指標として菌を選出し、2 種を選 定した。それらは各々、真菌類Aspergillus属と放線菌類Streptomyces属であると判断で きた。資化用菌の新聞故紙の分解能は、染色新聞故紙基質を用いて菌の基質分解に伴う染 料の溶出を指標として測定した。新聞故紙基質での増殖菌体量は、培養に伴うATP の増加 を測定した。 杭材料の物理的強度と資化されやすさを指標として杭材料の混合比を決定することを試 みた。 強度については、新聞故紙のみで作成した杭材料の強度は土壌への打ち込みに耐えない ほど低かったが、Phaeocystis sp.の混入によって強度の向上が見られ、糖量含有率で Phaeocystis sp.が 7.5%の時が最も硬くなった。これは杉と同程度の硬さであった。7.5%混 成材料が杭材料として使用できると判断できた。 資化されやすさについては、7.5%前後で作成した各混成材料に先に選定した 2 種の資化用 菌を植菌し、ATP 量を指標とした菌の増加量で評価した。StreptomycesではPhaeocystis sp. 含有量が高いほどATP 量の増加がみられ、AspergillusではPhaeocystis sp.含有率 0%でも 増加がみられ、混成材料の硬さに反比例するかたちで増殖が進行した。この結果より、Streptomycesは基質の硬さに左右されにくいが、ある程度栄養を要求することが分かった。
紙のみ)でも生育可能であることが分かった。このことから菌種、栄養条件、材料の硬さを 変えることによって分解速度をコントロールすることができる可能性が見出せた。
緒言
近年、地球規模での環境問題の一つとしてあげられるものに熱帯雨林の破壊がある。特 にアマゾン川流域や東南アジアでは無計画な焼畑農業や木材の切り出しにより、広大な熱 帯雨林の消失が起きている。熱帯雨林は地球規模の環境において緩衝的役割を持つことが 知られている。最も重要な機能として炭素及び有機物の蓄積があるが、その蓄積量は1兆 250 億トン、地球全体の光合成産物の 56%にあたり、年間蓄積量は二酸化炭素量として 1 兆2623 億トン(大気中二酸化炭素の 51%)、生長に使用されるものだけでも 616 億トン(大 気中二酸化炭素の2.3%)を固定しているという試算がある。森林の損失は大気中の二酸化炭 素の増加をまねくことは明白であり、延いては地球温暖化につながる可能性がある。また 水環境の点において、熱帯雨林は熱帯特有の激しく降る雨水をも緩やかに吸収し排出、放 散することで局所的な環境を維持するだけでなく地球規模の気象にも大きな影響を与えて いる。裸になった土地は水の保持能を失い、土壌とともに急激に水を渇水の原因になった り、土地をさらに荒廃させる。緩衝作用の他にも、熱帯雨林には地球上の全生物の約半数 の種類が生息しているといわれており、いまだ未知なる種も多く存在するため、生物(遺伝 子)資源の宝庫であるという側面もある。これらのことを考えると、熱帯雨林の破壊は人類 にとっての危機につながり、大いなる財産の損失であるといえる。現存する熱帯雨林を保 護することはもちろん必要であるが、すでに失われた森は自力での回復は難しく、裸地を 放置することはさらなる森林の破壊にもつながっていくため、可及的な熱帯雨林の再生は 21 世紀の人類の大きな課題である。 森林破壊の問題は単に技術的な課題だけでなく、政策、経済、社会、文化的な問題を包 含しているが、工学の立場から技術的な問題に焦点を絞った。現在、熱帯雨林再生の方策 として各国政府、NGO やボランティア団体など各種団体による植林活動が行われている。 しかし、その主流となる方法は「手植え」であり人海戦術によるところか多い。また、表 土の洗い流された土地に植物を植えて成長させるには苗木の段階まで成長させたものを腐 葉土と共に植え込む必要がある。これらの方法は手間やコストの面から考えても年間1,500 万ha という大規模な森林破壊に対抗しうる手段とは考えにくい。 そこで、簡便で効率的な新規植林技術の一つとして自養植林杭の開発を試みることとし た。 自養植林杭とは植え込みの高速化を測るため機械による打ち込みを想定し杭型をした自 養型の土壌改良材である。廃棄物の有効利用の一環として新聞古紙に、栄養補助や強度向 上のために海産性の微細藻類であるPhaeocystis sp. (1 章参照)を混ぜ込んだ混成材料を母 材として用い、その杭の中に杭を資化し土壌改良のさきがけとなる資化用菌と森林再生の ための樹木の種子およびその樹木を補助する菌根菌類を混入する(図 1.) 。 樹木を切り倒され土壌を流された荒廃した地表に、重機のような機械によってこの杭を広範囲にわたって打ち込む。やがて雨を吸収した杭の中では資化用菌が杭材料を分解し始 める、と共に種子が発芽してその杭のまわりに根を伸長し始める。この根のまわりに資化 用菌が分解した材料を資化する微生物や資化用菌含め微生物群を食べる原虫などがより集 まることにより微小生態系(ミクロコスモス)を作り出し、このミクロコスモスを拡張してい くことで自動的に土壌を養生していく。これが杭による自養植林の基本コンセプトである。 実験として本研究では、資化用菌と杭材料の検討を行った。 資化用菌はセルロース分解菌として 8 種類単離されているので、その中から、杭材料の 資化能及び中∼高温域での成育の有無を指標として選出し、その新聞故紙分解能と増殖能 の確認を試みた。 自養植林杭には荒廃した土壌への打ち込みに耐えうる物理的特長が必要である。山崎が 廃パルプ(高度日本紙工業)のみを原料とし遠心分離法で作成した杭には、研究室近辺の各土 壌への打ち込みに耐えうる強度が備わっていたが、予備試験的にPhaeocystis sp.を混入し たところ、強度に変化(主に強化)が見られたので、配合比の検討次第では杭材料の強度を向 上させられる可能性がある。またもうひとつの特徴として、ミクロコスモスを形成し土壌 改良の先駆けとなるための生化学的特長とを持ち合わせる必要がある。異なる 2 つの原料 を混ぜてひとつの混成材料を作成するにあたり、両特徴を程よく兼ね備えた適当な配合比 を検討することが必要であると考え、物理的特徴については、材料としての硬さを評価し、 生化学的特徴については資化用菌の増殖しやすさを評価した。
新聞故紙
+
藻
(Phaeocystis sp.) ・強度向上 ・栄養補助 ・土壌改良材料資化菌
樹木の種子
菌根菌類
樹木の種子
菌根菌類
機械による打ち込み
熱帯地方の荒廃土壌
図1.自養植林杭の概念第1 章 海産性微細藻類Phaeocystis sp.について 背景 Phaeocystis sp.はハプト藻綱、ブリネシウム目に属する、藻体の周りに寒天様の外被多 糖を持つ海産性微細藻類である。向畑研究室では、Phaeocystis sp.およびその外被多糖 「Haptose」を環境に負荷を与えにくい新規材料として応用しようとする研究が進んでいる。 例えば、Haptose を用いて生分解性プラスチッ クや簡易浄水剤の開発、流土防止の試みなどが 行われている。そのことから、これを「Haptose プロジェクト」と呼んでいるが、その Haptose プロジェクトの一環にこの自養植林杭の開発の 試みがある。自養植林杭への利用については、 Phaeocystis sp.を主原料である新聞故紙に混ぜ 込むことで、強度の向上や生物の増殖活性の向 上を狙っている。 写真1.外被多糖「Haptose」を持つPhaeocystis sp. 培養 Phaeocystis sp. の 培 養 に は す べ て 人 工 海 水 ( ア ク ア マ リ ン 、 八 洲 薬 品 ) を 用 い 、 Phaeocystis sp.用の強化培地(PES)を加え、以下に示した培地を用いて培養を行った。まず Phaeocystis sp を 1%寒天 PES 培地に塗り、明 間、25℃の環境で培養した。1-2 週間で茶色のコ ロニーが出現した。コロニーを液体培地に移し、 10、50、500ml と順にスケールアップしながら 無菌振とう培養を行った。このあと100l の蓋付 きポリカーボネート製のタンクに移し、エアポ ン プ に よ る エ ア レ ー シ ョ ン に よ っ て 通 気 (20l/min)と攪拌と同時に二酸化炭素を供給しな がら培養した。約 4 週間の培養でタンクが茶色 になった。 期16 時間(平均照度 3,000Lux)、暗期 8 時 写真2. Phaeocystis sp.の100L タンクでの培養 4 週間培養したPhaeocystis sp.は連続集藻装置を用いて、培養液が 5l 程度になるまで濃 縮しながら回収した。回収したPhaeocystis sp.は遠心分離(4,000×g, 20min)にてさらに濃 縮し、ペースト状になったPhaeocystis sp.をポリエチレン製のボトルに入れて4℃で保存 した。
洗浄 回収した濃縮Phaeocystis sp.は培養水由来の塩分を多量に含んでいるため、使用の前に 洗浄を行った。塩分を含んだ状態で保存するのは、洗浄後のPhaeocystis sp.は腐敗しやす くなるためで、実験直前に使用量だけ洗浄した。 保存してあるペースト状の濃縮Phaeocystis sp.に約 3 倍容の純水を加えて、よく攪拌し、 遠心分離にて分離、上清を捨て洗浄する。洗浄作業を3 回繰り返し、洗浄Phaeocystis sp. を得た。実験にはこの洗浄Phaeocystis sp.を用いた。 成分分析法 Phaeocystis sp.の自養植林杭の助材としての有用性を考えるための参考として、成分分 析を行った。成分分析は以下の5 種目について、それぞれ示す方法で行った。 乾燥重量 予め乾燥して恒量値を求めておいたるつぼに、希釈した菌懸濁液を5ml 入れ、105℃で乾 燥した。24 時間後から適時とりだし、デシケーター中で 30 分間放冷した後に重量を測定し た。この操作を恒量になるまで繰り返し行った。 糖質:フェノール−硫酸法 適当に希釈したPhaeocystis sp.溶液を湯煎で煮出した(100℃,5min)。湯煎後の溶液 200 μl に 5%フェノール溶液 200μl を加え、ボルテックスで攪拌した。1ml の濃硫酸を加え再 び攪拌し、20 分以上放置した。分光高度計(SHIMADZU)を用いて、溶液の吸光度(490nm) を測定した。 粗たんぱく質:アルカリ性ペルオキソ二硫酸カリウム分解による紫外線吸光法 適当に希釈したPhaeocystis sp.溶液 1ml に 9ml の純水を加え、窒素測定用サンプルを調 製した。サンプル液は分解瓶中に入れ、ペルオキソ二硫酸カリウムを6%の濃度になるよう に 溶 解 し た 1.5MNaOH 溶 液 を 1.5ml 加 え 、 オ ー ト ク レ ー ヴ で 分 解 反 応 を 行 っ た (121℃,30min)。室温まで冷却し、3.5M の塩酸を 0.5ml 加えて中和し、分光高度計で紫外 線吸光度(220nm)を測定した。検量線は硝酸イオン標準液で作成した。窒素量に蛋白計数 (6.25)をかけて粗たんぱく質量とした。 粗脂質:メタノール−クロロフォルム抽出法 ペースト状のPhaeocystis sp.にメタノール−クロロフォルムを 1:1 で混合した溶媒を加 え、回転攪拌機()で 24 時間攪拌し、脂質を抽出した。抽出サンプルを予め恒量を測定して おいたガラス製のシャーレ(φ90cm)に入れて溶媒を蒸発し、重量を測定した。
灰分:直接灰化法 るつぼにPhaeocystis sp.溶液を入れて乾燥器で乾燥し(105℃)、煙が出なくなるまで電気 炉(600w)で熱して炭化した。その後電子レンジるつぼに入れて電子レンジで灰化し、デシ ケーター中で十分放冷した後重量を測定した。恒量になるまで灰化操作を繰り返した。 成分分析結果 Phaeocystis sp.の成分分析を行った結果を表 1.にまとめた。この成分分析より、杭材料 の強度向上や生物の炭素源として期待される糖質が 40%以上と最も多く含まれており、ま た生物の生育に欠かせない有機窒素を含むたんぱく質やミネラル分を含む灰分が比較的豊 富に含まれていることがわかった。このことよりPhaeocystis sp.が自養植林杭の助材とし て有望であると判断できた。
糖質 約45%
粗たんぱく質 約12%
粗脂質 約 3%
灰分 約37%
表1. Phaeocystis sp.の成分第2 章 混入菌の選択及び評価 2-1 目的 昨年度までに 3 期生の乾、沖野、森澤によって資化用菌の候補として、セルロース分 解菌選択用の寒天培地(表 2.(ツアペック-ドックス氏寒天培地を改良した。以下セルロース 寒天培地))を用いてセルロース分解菌が 8 種類単離されていた(写真 3.)が、実際に杭材料に 混入するにあたり、杭材料のみの栄養状態で成育できる菌株を選定する必要がある。また、 熱帯雨林への導入を考慮するなら、高温域でも活発な成育が みられる菌株が望ましい。8 種類を便宜的にナンバリングし て、選定した資化用菌については、知見を得るために大まか な分類(属)を行い、新聞故紙の分解能及びその基質上での増 殖能を確認した。 Cellulose (or CMC) 30 (7) K2HPO4 1 MgSO4・7H2O 0,5 KCl 0,5 NaNO3 2 FeSO4・7H2O 0,01 (Agar 20) pH 5,6 また菌についての取り扱いは、特に記述が無い場合すべて 無菌的操作である。 表 2.セルロース分解菌選択性 ツアペックドックス氏培地組成 写真 3.単離された 8 種類のセルロース分解菌 0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0 5 10 15 20 25 30
時間[日]
A
59 2 Control 1 2 3 4 5 6 7 8 図 3.8 種のセルロース分解菌による染色ろ紙の分解に伴う吸着染料の溶出2-2 方法 2-2-1 混入菌の選択と同定 2-2-1-1 栄養条件での選択法 ■混成材料製カップの調製法 シュレッダーにかけた粉砕新聞故紙材料(以下新聞故紙)とPhaeocystis sp.を 9:1 の割合で 混合し、材料が2.5%(w/w)になるように水を加えてミキサーで攪拌し た。新聞故紙の原形が見えなくなるほどによく混和した材料をポリス チレン製の秤量皿(底面積 22×22[mm])に入れて、乾燥器で乾燥した (50℃,24hr 以上)。乾燥したカップ(写真 4.)をカップ型材料とし、ポリ カーボネート製のサンプル容器に入れて乾燥状態で保存し、実験に使 用した。 写真4.カップ型材料 ■培養及び成育の確認法 セルロース寒天培地上に生やした8 種類各菌の胞子及び菌体を 1 白金耳かきとり、1ml の生理食塩水に懸濁し、予めプラスチックシャーレに入れた各カップに100μl ずつ散布し た。ついで各カップに1ml のイオン交換水を散布し、パラフィルムで密閉し 30℃で静置培 養した。 各菌株に対し4 検体作成し、混成材料上で培養したものを目視で確認した。観察期間は 1 ヶ月とした。 2-2-1-2 温度条件での選択法 ■培地(セルロース寒天培地、CMC 寒天培地)の作成 胞子の発芽、菌糸の伸長はセルロース寒天培地で確認したが、より分かりやすく確認す るために透明なカルボキシメチルセルロースを 7%含むツアペックドックス氏寒天培地(以 下CMC 寒天培地)も調製し、実験に供した。 セルロース寒天培地及びCMC 寒天培地は前述の培地組成で調製し、10ml/枚でプレート を調製した。 ■培養及び成育の確認法 混成材料上に生えた各菌の胞子及び菌体を 1 白金耳かきとり、セルロース寒天培地に直 接塗布し、パラフィルムで密閉して30℃∼50℃の温度域の恒温器内で静置培養した。 また各菌株、各条件に対し、懸濁液を散布したプレートは 9 枚、植菌を行っていないコ ントロールプレートは 2 枚作成した。30℃域で生育することは分かっていたが、菌の活性 があることを示すコントロールとして、4 枚作成した。 各プレートで培養したものを目視で確認した。観察期間は1 ヶ月とした。
2-2-1-3 顕微鏡観察と分類法 ■顕微鏡観察 菌を生やしたCMC 寒天培地から観察切片を切り出し、顕微鏡(OLYMPUS,BX-50)を用い て観察した。写真はデジタルカメラ(FUJIFILM,HC-300Z)で撮影した。 ■形態的同定 真菌類についてはおもな接合菌と不完全菌類の検索表 (上野氏原図(参考文献:微生物の 分類と同定上巻))に従い属の同定を試みた。 放線菌については形態及びその機能の観察結果を元に、Hutter の検索式(参考文献:微生 物の分類と同定下巻))に従い科及び属の同定を試みた。 以上 2 種について、属を推定した後にいつかの参考文献をもとに特徴を観察し判断の適 正さの確認を行った。 2-2-2 混入菌の分解能及び増殖能の評価法 今回、資化という言葉は、材料を他の生物が利用することができる状態にするという意 味で用いたが、具体的な方向性として2つの解釈がある。ひとつは、セルロースを分解し グルコースとするように資化用菌が材料を直接分解し、分解産物を他の生物の栄養にする ことで、もうひとつは材料を代謝して資化用菌自身の有機成分となって他の生物の栄養と なることである。ここではその 2 種類の能力、つまり資化用菌がいかに新聞故紙を分解す るか、そして新聞故紙基質でいかに菌体量を増やすかを調べた。それぞれ染色新聞故紙の 崩壊試験と新聞故紙を基質とした培養によるATP の増加量で定量した。 2-2-2-1 胞子粉末及び胞子懸濁液の調製法 菌の活性を(特に増殖速度を)比較する場合には、培養条件(特に初期濃度)をそろえること が必要である。今回比較する資化用菌 2 種は糸状菌であるため、菌糸部分を定量的に取り 扱うことは、①菌糸をバラバラにして均一な懸濁液を作成すること、②たとえほぐせたと しても固体を計数することは不可能であるため懸濁液濃度を等しくすることは困難である。 そこで、胞子ならば、ある程度の乾燥に耐えうること、計数および重量測定が可能である こと、分散しやすく失活しにくいなど、均一な活性を持つ懸濁液を作成するために有利で あると考えた。比較する 2 種が胞子を生産することがわかっていたので、その胞子粉末及 び懸濁液を調製し、培養初期濃度を統一した。 胞子生産では、予備実験でセルロース以外の糖を使用するとセルロース資化活性に影響 する傾向がみられたため、基質はセルロース系のものを用いた。また、真菌類については セルロース寒天培地、放線菌についてはCMC 寒天培地を用いた場合に、よりよく生育する
傾向がみられたので、それぞれの培地を用いた。 各菌を1 週間以上培養したプレートから白金耳で胞子をかきとり、バイアル瓶(5ml)に集 めた。スポンジ栓をして、50℃で 5 時間乾燥し、乾燥重量を測定して使用した。 胞子懸濁液は、乾燥胞子粉末を1mg/ml の濃度になるように 0.1%Tween80 水溶液に入れ、 ボルテックスで懸濁し、調製した。 胞子粉末及び胞子懸濁液は、各実験に使用する直前に調整した。 2-2-2-2 混入菌の新聞故紙分解能の確認 染色新聞故紙の分解に伴う吸着染料の溶出を比色する方法でセルロース分解能を確認し た。 ■染色新聞古紙の調製法 1ℓビーカーに新聞故紙溶液(100g/ℓ)を 200ml入れ、ホットプレート上で予熱し、ビーカーに蒸留 水(250ml、100℃) を注ぎ、攪拌した。Remazol Brilliant Blue R(以下 RBBR)溶液(6g/ℓ)250ml をビ ーカーに注ぎ、色素が均一になるようにスターラーで攪拌した(塊がある場合はスパーテルで粉砕 し、溶解した)。10 分間、2 分間隔で、硫酸ナトリウム溶液(300g/ℓ (100℃の蒸留水に溶解))を 20.0ml ずつ加えて、攪拌した(100ml 添加)。燐酸三ナトリウム溶液(100g/ℓ)15.0ml をこの溶液に滴 下し、よく混合し、10 分間そのままにしておいた。この溶液をガーゼでつつんで搾り、脱水した。脱 水した新聞故紙をビーカーに入れ、約 300ml の純粋中で攪拌し洗浄し なるまで洗浄・脱水の過程を繰り返す。今回は 10 回繰り返した。) すすぎの水が透明にな た。(すすぎの水が透明に ったところで、メタノールで 2 度すすぎ、湿ってい 分解量と染料の溶出量の相関確認の方法 5ml)に染色新聞故紙を 20±2mg を入れ(各々
erma viride由来,990[unit/g])を 0.1%Tween80 溶液にそれぞれ
0.0.2,1,2,10,20[mg/ml] て る間に 5∼10mm 程度に細かくちぎり、乾燥器(50℃、24h 以上)にて風乾 した。風乾した染色新聞故紙(写真 5.)は、ポリエチレンボトルに入れて 乾燥状態で保存した。 写真5.染色新聞故紙 ■ ポリプロピレン製のふた付遠心チューブ(1 にサンプルナンバーを割り当てるとともに、それぞれの新聞故紙重量を書き留めておく)、 CMC 液体培地をそれぞれ 2ml 入れた。遠心チューブのふたを閉め、オートクレーヴにかけ て(121℃,20min)滅菌した。 セルラーゼ(Wako,Trichod の濃度になるように懸濁して酵素溶液を調製した。酵素溶液100μl をチューブに入れ、蓋をしてパラフィルムで密閉した後、30℃,120rpm で振とうした。 4 日間インキュベートした染色新聞故紙サンプルを 121℃20 分間オートクレーヴにかけ 、室温まで冷却した後、遠心分離(7,000×g,5min)をした。上清を 1.5ml 採取し、エッペ
ンに入れて、再び遠心分離をし (12,000rpm(TOMY:MRX-150),5min)、上清の 592nm の吸 光度を分光光度計で測定した。 染 色 新 聞 故 紙 サ ン プ ル を 予 め 乾 燥 重 量 を 測 定 し て お い た ろ 紙(No1, φ 55 培養及び溶出量の測定法 新聞故紙を20±2mg を入れ、CMC 液体培地をそれぞれ 2ml 紙の減少量は、先の減少量と上清の吸光度との相関の回帰直線の式より求め -4-3 混入菌の新聞故紙基質での増殖確認の方法 体からのATP 抽出法の検討法 MC 液体培地を 1.9ml ずつ遠心チューブに分注し、オートクレーヴで滅菌した (1 TEA-NRB 法 1% ル コ ニ ウ ム 溶 液 を 100 μ l 添 加 し 、 超 音 波 細 胞 破 砕 機 L mm,ADVANTEC)上で吸引ろ過し、105℃で乾燥した。12 時間後からろ紙ごとサンプル の重量を測定し、反応前のろ紙及び染色新聞故紙からひいた値を減少量として算出した。 減少量と吸光度をプロットし、相関関係を回帰直線で表した。 ■ 遠心チューブ(15ml)に染色 入れた。遠心チューブのふたを閉め、オートクレーヴにかけて(121℃,20min)滅菌した。室 温まで冷ました後、胞子懸濁液 100μl を殖菌し、振とう培養を行った(30℃,120rpm)。培 養は9 日間行った。サンプリングは 2 日後から 9 日目まで 1 日毎に行い、オートクレーヴ にかけ(121℃,20min)室温まで冷却した後、遠心分離(7,000×g,5min)をした。上清を 1.5ml 採取し、エッペンに入れて、再び遠心分離をし(1,2000rpm(TOMY:MRX-150),5min)、上清 の 592nm の吸光度を分光光度計(SHIMADZU)で測定した。検体数は各菌株に対し2検体 使用した。 染色新聞故 た。 2 ATP 量を定量することで混入菌の増殖を確認した。 ■菌 C 21℃,20min)。室温まで冷ました後、胞子懸濁液 100μl を殖菌し、パラフィルムで密閉 して振とう培養を行った(30℃,120rpm)。培養は 4 日間行った。サンプルは各抽出法にて ATP を抽出した後、遠心分離し(7,000×g,5min)、上清 200μl を発光試薬(ルシフェライト, ニッスイ TES-Buffer(TES,MgSO4,pH7.5)6 倍希釈))と混合し、ルシフェリン−ルシフェラ ー ゼ 反 応 に よ っ て 発 光 す る 際 の フ ォ ト ン を フ ォ ト ン カ ウ ン タ ー (LUMICOUNTER,ADVANTEC)で測定した。検体数は、各菌各抽出法に対して 5 検体ずつ 用意した。 塩 化 ベ ン ザ (Sonicator,Heatsystem-ultrasonic)で破砕、懸濁した( v.6,5s)後、1.9ml の TES-Buffer を
加えた。
Dimethyl Sulfoxide (DMSO)抽出法
20 ボルテックスで激しく攪拌し 1 分間静置した。800 熱水抽出法 T 2ml 加え混合した後、蓋をして沸騰熱水中で 5 分間抽出をした。 Sonic 法 TES-Buffer を 2ml 加え、超音波細胞破砕機で破砕、懸濁した(Lv.6,5s)。 菌体量とATP 量、窒素量、糖量の相関確認の方法 菌体の乾燥重量あたりと ATP 量を散布図としてプロットし菌体量と ATP 量に相関関係 を 体の培養、菌体サンプルの調製法 液体培地(50ml フラスコ内)を 1 週間培養した。 20 成分の定両法 ルシフェリン−ルシフェラーゼ反応による発光光子のカウント 素量の測定法:アルカリ性ペルオキソ二硫酸カリウム分解による紫外線吸光法 量の測定法:フェノール硫酸法 体の培養及びATP 量の測定法 ml)に 20±1mg の新聞故紙と 1.9ml のツアペックドッ 0μl の DMSO をサンプルの加え、 μl の Na3PO4溶液(0.01M)を加え、再び攪拌し、さらに 1 分間静置した。超音波バス (Yamato,Bransonic)で 2 分間超音波抽出し、1%塩化ベンザルコニウム溶液を 100μl 添加 し、攪拌した。900μl の TES-Buffer を加えよく混合した。 ES-Buffer を ■ 確認した。データの信憑性を高めるために、共に菌体に含まれる窒素量や糖量相関を確 認した。各手順については以下の通りである。 菌 各菌を1 白金耳殖菌した 20ml の CMC ml の培養菌液を 200ml の CMC 液体培地(500ml バッフル付フラスコ内)に入れて、1 週 間培養した。培養菌液を吸引ろ過し(ろ紙:ADVANTEC,No.101,φ55mm)、純水で洗浄し た。ミクロスパーテルで菌体をかきとり、約5倍容の純水を加え超音波破砕機で破砕、懸 濁した液体を適時希釈し、各試験に用いた。 各 ATP 量の測定法: 窒 糖 ■菌 プラスチック製の遠心チューブ(15
ク 波破砕して(Sonicator,Lv.6,5s)、遠心分離した(7,000×g,5min)上清 200μ l を ス氏培地の無機成分を加え、オートクレーヴにかけて滅菌をした。胞子懸濁液100μl を チューブに入れ、ふたをしてパラフィルムで封をして恒温槽内で振とう培養を行った (120rpm,30℃)。10 日間培養を行い、0 日目から 2 日間隔でサンプリングし、ATP の抽出、 測定を行った。 サンプルを超音 発光試薬(ルシフェライト,ニッスイ)と混合し、ルシフェリン−ルシフェラーゼ反応の発 光フォトンをルミカウンターで測定した。測定サンプルはバッチ式で 3 検体用いた、コン トロールは1 検体用意した。
2-5 結果及び考察 2-5-1 混入菌の選択 選択 視にてはっきりとした増殖がみられた株が 4 種類あった。こ の 2-5-1-1 栄養条件での 混成材料製カップの調製 栄養条件での選択では、目 4 種を有望株として次の温度域での選定をした。 以下に目視での特徴を示す(表 3.)。 No. 特徴 4 白い綿状の菌糸 5 胞子(分生子)が白に近い茶色、細かい粉状 6 胞子(分生子)が白い塊 7 黒い胞子(分生子)の塊が 表 3.杭材料上での増殖を確認した菌とその特 点在、分生子柄が長い(1 ㎜程度) また、No.1,2,3,8 につ 生長及び胞子の形成 は 2-5-1- 温度条件での選択 た結果、30℃域では 4 種すべての増殖がみられたが、40℃域で は 35℃ 40℃ 45℃ 50℃ いては、1 ヶ月以上静置培養したが、菌糸の 見られなかった。 2 さらに温度条件で選択し 2 種類についてのみ 3 日目から目視で確認できるほどの生長がみとめられた。50℃域で は⑤の 1 種のみの増殖が確認できた。以下に培養温度域とその条件で生育の見られたプレ ート数を表す(表 4.)。 No. 30℃ (/4) 4 4 9 0 0 0 5 4 9 9 9 9 6 4 0 0 0 0 7 4 9 9 0 0 C(/2) 0 0 0 0 0 4. ントロール 域が熱帯雨林の 表には激しい直射日 光 表 各温度域での生育の有無(C はコ ) 応用地 樹木が失われた荒廃土壌であることから、地 がじかにあたり表面の温度が40∼50℃に達するといわれている。資化用菌として用いる ためには、そのような中∼高温域の環境にも耐えうる能力が求められる。ある程度の温度 域で活発に増殖がみられた株であれば、それ以上の高温域での耐性が期待できると考えた。 そこで、40℃域でも生育可能であった⑤と⑦の 2 種を有望株として選定し、以後の実験に 用いた。
2-5-2 資化用菌株の同定 分類 定菌⑤について ち、胞子を形成する微生物であるが、 好気的に生育する。 には少なくとも明瞭な菌糸をつくる(写 omycetaceae の 気中菌糸に明らかな胞子構造がある(写真 胞子鎖(通常 20 個以上)の多数を気中 属について 酵素生産やストレプトマイシンなど抗生物質を生産する種を多く含む属。土壌中に多く 存在し、土の臭いの原因ともなる菌群である。 2-5-2-1 顕微鏡観察と形態 写真6.プレートに生えた⑤ 選 ⑤は糸状の菌糸を持 菌糸の細さ(1μm 以下)や胞子の小ささから見て(写真 7.)、 放線菌であると判断した。 ・ 真7.)。 ・はっきりとした生長時 ・胞子のうを形成しない。 以上の特徴より科が Strept 一種であると判断し、さらに属の同定を試み た。 ・ 8.)。 ・長い 菌糸に(写真 9.)、まれに基生菌糸に生ずる 以上の特徴によりStreptomyces属の一種で あると判断した(以下Str.と略す)。 写真7.⑤の基菌糸 写真8.胞子をつける⑤の気中菌糸 写真9.20 個以上の連鎖を持つ⑤の胞子 Streptomyces
選定菌⑦について ⑦も同様に糸状の菌糸を持ち、胞子を形成する微生物であ る さ(1μm 以上)や胞子の大きさから見て、 真 菌類 11.)。 る(写真 11.)。 状にふくらむ(写真 11.)。 いられるAspergillus. niger や 泡盛の生産などに用いられるAspergillus. awamoriの近縁種ではないかと推測される。 A 属について 和名はコウジカビで、アミラーゼやセルラーゼなど様々な酵素活性が高い種を多く含む。 またそれ故、醸造に用いられる種も多い。 写真10.プレートに生えた⑦ 。こちらは菌糸の太 菌類であると考えられる。菌糸内に隔壁が見られること、 分生子を作る分生子柄や頂嚢があることやその形態からも Aspergillus属であると考えられる(以下Asp.と略す)。 以下に形態分類の際、参考にしたキーを示す。 ・菌糸には多数の隔壁が存在する(写真 12.)。−不完全 ・分生子は乾性で、連鎖状となって生ずる(写真 ・分生子は単細胞である。 ・分生子はほとんど分枝せず、1 列の連鎖となって生ず ・分生子柄の先端は球∼円筒 また胞子の色が黒いため(写真 10.)、種々の酵素生産に用 写真12.⑦の基菌糸 写真11.⑦の分生子柄および分生子頭の様子 spergillus
2-5-3 混入菌の分解能及び増殖能の評価 胞子粉末の活性の有無を確認するために乾燥作業の前後の胞子粉末をプレートに散布し ものと比較して遜色ない生育がみられた。また懸濁したものも、 プ 2-5-以下に酵素を用いて染色故紙を た時の崩壊量と上清の吸光度の値をプロットした 2-5-3-1 胞子粉末の調製 た結果、乾燥前に懸濁した レート状では遜色なく生育してきた。しかし、Asp.が比較的長時間の乾燥状態に耐えた (50℃,1 ヶ月以上)のに対し、Str.は24 時間以上乾燥状態(50℃)においた胞子をプレー上に植 菌した結果、やや生育活性が落ちた。Str.に関して、乾燥時間を検討した結果、プレート10 枚分程度からとれる胞子の場合、5 時間ほどで乾燥できたため、以後菌の植菌の際、初期濃 度を定めるために胞子懸濁液を用いた。 3-2 資化用菌の新聞古紙分解能の確認 崩壊し 散布図と回帰直線を示す(図 4.)。 0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3 0 2 4 6 8 10 1 新聞故紙崩壊量[mg]
A
592 0.35 2 写真14.胞子懸濁液(右:Str.、左:Asp.) 図4.酵素による故紙崩壊量と上清の吸光度の関係 写真14.胞子懸濁液(右:Str.、左:Asp.)染料の溶出と染色新聞故紙の間に相関関係が見られた。 色新聞故紙崩壊量が0mg の時に吸光度が約 0.04 と比較的高い値となったのは、染色新聞 紙作成の際の洗浄が甘く、セルロース分子に結合しきれなかった染料分子が溶出してき ものと思われる。すべてのコントロールにおいて、 ∼ の範囲であったため大き な は約 ことになる。この結果より新聞故紙基質の分解活性があることが確かめられた。また、 料の溶出を定量する方法で崩壊活性が確認できた(分解基質を旺盛に取り込まない)こと か 染 故 0.04 0.05 た 影響は無いと判断し、菌の新聞故紙崩壊実験に用いた。 菌の培養に伴う染色新聞故紙の崩壊量を以下のグラフに示す(図 5.)。 今回の実験系において 20mg の基質を与えて培養を行ったが、9 日間の培養で Str. 8mg、Asp.は約10mg の染色新聞故紙を崩壊させた。それぞれ基質の 40%、50%を分解し 0 2 4 6 8 0 2 4 6 8 10
時間[日]
新聞故紙崩壊量[
m
g
▲
Str.
◆Control
図5.溶液中の着色から求めた新聞故紙崩壊量の経日変化 10 12]
■
Asp.
た 染 ら、菌体外酵素を分泌するタイプの種である可能性も見出せた。また、木材腐朽菌(リグ ニン分解菌)であればこの染料を無色化してしまうという報告があることから、この資化用 菌は腐朽菌ではない可能性が高い。2-5-3-3 混入菌の新聞古紙基質での増殖の確認
ATP 抽出法の検討を行った結果を以下に示す(図 6.)。
、他と比
べて熱水抽 判断した。
またDMSO 抽出法は Aspergillus に対して、TEA-NRB 法は Streptomyces に対して効果 的だったが、各方法は両菌種に対して等しく有効ではなく、操作が煩雑なためかバラつき も 350 ] 未処理に比べていずれの方法も、抽出効果が上がっていることは確かであるが 出の効果はあまり高いも 切な抽出法ではないと 0 50 100 150 200
未処理 Sonic DMSO Heat TEA-NRB 抽出法 抽出A T P の濃度 [ Asp.Str. 図6.ATP 抽出法の比較 250 300 400 n M のではないため、適 大きくなった。そこで今回最もよく抽出でき、かつ操作が簡便であるためか比較ばらつ きが少なかったSonic 法を選択し、以後の実験に用いた。
菌体重量とATP 量との相関の確認の結果を以下のグラフに示す(図 7.,図 8.)。 ある糸状菌は死滅するものはごくわずかであることから、この検量線の菌体量は、ほぼ 生 Str.. Asp. 両菌体の菌体重量とATP との間に この検量線に用いた菌体は、培養系において 0 2 4 6 0 20 40 60 80 100 Str.の菌体量[μg] AT P 量 [ 相関関係が見られた。 増殖傾向にあるものを用いた。対数増殖期 0 2 4 6 8 0 100 200 300 400 Asp.の菌体量[μg] AT P 量 [ 図8.Asp.の菌体重量と ATP 量との関係 8 10 14 pm o l] に 菌体の重量であるとして取り扱う。
またStr.のほうがAsp.よりも菌体重量あたりのATP 量が多かった(Str.:Asp.=約 5:1)。こ れは、Str.の生物単位が Asp.よりも小さいため、重量単位あたりの個体数が多く、ATP 量 が多かったと考えられる。 他の菌体成分の乾燥重量あたりの含有量を以下のグラフに示す。 ATP 量[pmol/mg] 155±13 32±5 糖量 [μg/mg] 335±32 475±49 窒素量[ g/mg] 3μ 2±7 26±4 表 量 糖量および窒素量でも菌体重量と相関がとれたため、実験データに信憑性が高まった。 糖量の含有率がStr 。糸状菌の特徴 して、細胞壁を持つことが挙げられる。そして、その細胞壁を構成するのは糖類であり、 菌 い .で約30∼36%、Asp.で約43∼53%と比較的高かった と 体量に対する含有率も比較的高いと考えられる。とくに真菌類は厚い細胞壁で覆われて るため含有量が多かったと考察できる。 窒素量の含有率がStr.で約2.5∼3.9%、Asp.で約2.2∼2.9%で、これが蛋白に由来するも のであれば、概算で蛋白量がStr.15.6∼24.4%, Asp.13.8∼18.1%となる。これは一般的な生 物の蛋白量として適正な範囲である。 各成分は菌体に取り込まれた有機成分であると考えられるので、ほとんどセルロース体 の新聞故紙と無機塩類のみでこの程度の有機成分を合成する能力があることから、資化用 12 ] 12 10 14 pm o l 図7.Str.の菌体重量と ATP 量との関係 5.資化用菌の乾燥重量あたりの ATP 量、糖量および窒素
菌として有望であると考えている。 を差し引いたものを示す。縦軸の菌体量は、菌体重 とATP 量の検量線(図 7.,6.)より算出した。 で培養を試みたが、 .は0.6mg 程度の菌 に置き換わったことが分かる。ここで取り扱った菌体重量は生菌重量と考えられるため、 累 菌体の培養に伴う ATP 量の変化を以下のグラフに示す(図 9.)。グラフでの値は、両菌の データから予めコントロールのデータ 量 今回の実験系においても、2-5-3-2(資化用菌の新聞古紙分解能の確認)の実験系とほぼ同条
0
200
400
600
800
1000
1200
1400
0
2
4
6
8
10
時間[日]
菌体量[μg
]
◆
Asp.
図9.資化用菌の ATP より推定される菌体重量の経日変化1600
1800
■Str.
このグラフより少なくともStr.は1mg 程度、Asp 件 体 積菌体量(死滅した菌も含める)はこれ以上の量であると予想される。 新聞故紙を資化して菌体に置き換えられる能力を十分に有すると判断した。 また、培養後半の ATP 量の低下は、酸素の不足(密閉系の培養)、代謝物の蓄積などで培 養系が死滅期をむかえたことによると考えている。第3 章 杭材料の物理的評価 前述したとおり、自養植林杭は荒廃した土地への機械での打ち込みに耐えうる強度を持 つ必要がある。昨年度までの結果で山崎 廃パルプ製の杭が、研究室周辺の土壌 の打ち込みに耐えられる強度を持つことが分かっている。今回は各混合比のPhaeocystis sp 古紙を用いた混成材料の作成及び硬さの評価 3-2-1 混成材料の試料作成法 Phaeocystis 率で2.5g/個となるように用意し、100ml/個となるように ーで攪拌した。 完全 の乾燥器で 面をやすりで 50℃の乾燥機の中で保存しておいた試料をとりだ し、デシケーター内で室温まで放冷した。先端にφ をつけた圧縮試験機 (E 3-1 目的 が作成した へ .混成材料を作成し、混合比によって強度がどのよう変化するのかを評価し、混合比を決 定する際の指標のひとつとすることを試みた。また、その硬さが一般的にどの程度のもの かを知るために、廃パルプや木材サンプルのめり込み距離を測定し、混成材料が杭材料と して通用するかどうかを確認した。 3-2 Phaeocystis sp.と新聞 sp.と新聞古紙を糖量で 0:100 から 20:80 までの 図10.試験サンプル圧縮作製器 比 のイオン交換水を加えてミキサ に混合した混成材料を塩化ビニル製の 圧縮試料作成器(図 10.)に詰めて、上から 0.25kg の力を加え 24 時間圧縮し、脱水した。脱水した試料は 50℃ 完全に(24 時間以上)乾燥した。乾燥後、試験 水平に加工し、圧縮試験試料とした。 3-2-2 混成材料の圧縮試験法 図11.めり込み試験の模式図 φ3mm (50mm/min) めり込みの 距離[mm] φ3mm (50mm/min) めり込みの 距離[mm]
100[N]
100[N]
3mm の真鍮性アタッチメント Ztest,SHIMADZU)を用いて、試料に 50mm/min の速度で 100N までの力を加えたときのめり込み距 離を測定した(図 11.)。検体と試験数は、各濃度の試 料4 つに対して、任意の 5 点で試験した。3-2-4 比較のためのサンプルの調製及び試験法 昨年度までに研究室近辺への打ち込み可能な杭の材料として用いられていた廃パルプ、 内で杭にも加工されている杉をはじめとする木材などからサンプルを得て、めり込み試 紙工業の工場より廃棄された廃パルプを使用した。廃パルプには凝 剤などが含まれているので、これを除去するために予め洗浄をして使用した。ウェット 、ミキサーにかけた。ガーゼでつつみ脱水をして 洗 5×25[mm]の底面積をもつ角材 、10mm の厚さに切り、試験面をやすりで水平に加工したものをサンプルとして用いた。 よって硬さに違いが見られるので、ロットの異なる5 国 験の比較を行った。 ■廃パルプサンプルの調製及び試験方法 廃パルプは日本高度 集 な状態の廃パルプに約10 倍容の水を加え 浄した。洗浄を5 回くりかえしたものを、湿っている間に 5∼10mm 程度に細かくちぎり、乾 燥器(50℃、24h)にて風乾した。完全に乾燥したものを密封保存し、適時使用した。 試験サンプルは混成材料と同じ方法にて作製し、試験した。 ■木材サンプルの調整及び試験方法 木材サンプルは、バルサ材、杉、檜の3 種類を用意し、2 を 木材は、年輪幅、育成環境等ロットに つの角材より5 つのサンプルを切り出し、任意の 5 点でめり込み試験を行った。 試験の際の圧縮は木の生長方向に対して垂直に行った。
3-4 結果及び考察 -4-2 混成材料の 100N の力を加えたときのめり込み距離 Ph 含有量 12%以上の混成材料は圧縮での脱水が容易ではなく、また乾燥後のサンプルは cystis sp.含有量 12%以上のも は、圧縮試験に供することは難しく正確な測定ができなかった。また杭型に圧縮成形す る い材料ほど、試 上に硬い材料 を作成しなければならない場合は、より高密度な材料を作製することがキーポイントであ ると 3 乾燥する前の形とはかけ離れたものが出来上がった。Phaeo の のには向いていないと判断した。よってデータとしてはPhaeocystis sp.含有量で 0%から 12%までのものを提示する(図 12.)。
4
Ph含有率(糖量%)
Phaeocystis sp.含有率 7.5%付近で作成した混成材料が最も硬いことが分かった。また、 図12.各 Ph 濃度で作成したサンプルの 100N 加圧時のめり込み距離0
0.5
1
1.5
2
2.5
め
り
込み距離[m
m
]
0
1.5
3
.5
6
7.5
9
10.5
12
硬 験片は小さく密度が高い傾向にあったため、もし、これ以 考えている。今回は縦方向からの2.5Kg 重の圧縮のみでサンプルを脱水・固化したが、 より高い圧力での固化や加熱をしながらの圧縮を試みることで、より硬い材料ができるの ではないかと予想している。3-4-3 廃パルプ試料との比較、他の材料(木材)との比較 パルプ、木材(バルサ、杉、檜)サンプルのめり込み試験結果と先に得られていた新聞故紙 3.) 材料はその廃パルプよ 柔らかくむしろバルサに近い さの材料であったが、 Phaeocystis sp.を加えることで廃パルプの材料よりも硬い材料を作ることができた。特に 最 廃 材料及び7.5%混成材料の結果を以下のグラフに示す(図 1 3 期卒業生の山崎が廃パルプ製の杭を遠心分離法によって作製することに成功している が、その杭には研究室周辺の土壌(スコップで)への打ち込みが可能であった。新聞故紙のみ
0
0.5
1
1.5
2
2.5
3
め
り
込み距離[m
m
]
図13.廃パルプ、木材のめり込み距離との比較 バルサ 新聞故紙 廃パルプ 杭材料(Ph7.5) スギ ヒノキ材料名
の りも 硬 も硬かったPhaeocystis sp.を 7.5%含む混成材料は、檜ほどの硬さは得られなかったもの の杉と同程度の硬さの材料であることが分かった。杉は日本国内で杭として使用されてい ることもあり、今回作製した杭材料が杭材料に適していると判断した。4 章 杭材料の生化学的評価 4-1 目的 自養植林杭は資化用菌によって分解され、ミクロコスモスを形成しつつ自動的に土壌を 良していくという大きな役割がある。そのために杭の材料は菌によって資化される感受 性を持つ必要がある。また感受性があっても 速度が樹種の発芽、根の伸長などミク ロコスモスの形成にあわせた適度なものでな れば意味がない。そこで今回選定した資化 用菌 混成材料自体が窒素や糖 を -2-1 杭材料シートの作成法 Phaeocystis sp.と新聞古紙を糖量で 1 枚あたり 100mg になるように 0:100 から 12:88 ま での各比率で混 ン製秤量皿(底 積 55×55[mm])に入れて、50℃で 24 時間以上乾燥した。乾燥したシートはプレス機 15Mpa、10 分間プレスをかけた。 5ml)に壁面に沿う形で 筒形に詰めた。軽くふたをしてオートクレーヴ各菌をかけた(121℃,20min)。十分に放冷 た後、滅菌水0.9m を加え、胞子懸濁液(1mg/ml,0.1%Tween80)0.1ml を植菌した。植菌 ,120rpm の条件で振とう培養を行った。各シート条件に対し、植菌 改 、その け を用いて、比率の異なる混成材料上での資化菌の増殖速度を確認するとともに、その 結果を最適混合比を決定する指標のひとつとしようと試みた。 先の圧縮試験の結果でPhaeocystis sp.含有量 7.5%の混成材料がもっとも硬いことが分か ったため、今回の実験では、その濃度付近での菌の生えやすさを調べて検討した。また一 般的に菌の増殖を確認する方法として、計数法、濁度法、糖量や窒素量を定量する方法な どがあるが、取り扱う菌が糸状菌のため計数不可であることや、 含む生物材料であることから生きた生物量を確実に取り扱えるATP 量を指標とした。 4-2 異なる混成比の杭材料での混入菌の増殖しやすさの評価 4 合し、イオン交換水で攪拌した。シート材料溶液をポリスチレ 面 (TOYOSEKI)を用いて 110℃、 4-2-2 植菌及び培養法 シートを 4 分割し、ポリプロピレン製のねじ口付遠心チューブ(1 円 し したサンプルは、30℃ サンプルを4 検体用意し、コントロール(界面活性剤のみを添加)は 2 検体用意した。
4-2-3 ATP 量の定量法 抽出法:各菌を7日間培養したシート入り遠心チューブに1ml の Buffer を加え、シート 破砕しないように超音波(Lv.6,5s)をかけて ATP を抽出した。遠心分離し(7,000×g)、200 l の上清を ATP 測定サンプルとした。 ト(ニッスイ)の発色試薬を混合し、24.5ml の TES 緩衝液で希釈し Str.の培養0 日目および 7 日目の ATP 量の結果を以下に示す。 られる。また、Asp.と して、 を μ 測定法:ルシフェライ たものを発光試薬として用いた。サンプル溶液と発光試薬500μl を混合し、ルシフェリン −ルシフェラーゼ反応より発する発光フォトンをルミカウンターでカウントした。 4-3 結果及び考察 Phaeocystis sp.の含有率が高くなるにつれて、菌体の増えがよくなっている。このこと よりStr.はPhaeocystis sp.に含まれるなんらかの栄養素を要求しているのではないかと考 0 50 100 150 200 250 300 350 0 4.5 6 7.5 9 10.5 12 Phaeocystis sp.含有率[糖量%] AT P 量 [p m o l] 0日目 7日目 図14.異なるPhaeocystis sp.濃度シート上で培養したStr.の ATP 量 450 500 400 比較 材料の硬さにあまり影響されていないことがわかった。 え
Asp.の培養0 日目及び 7 日目の ATP 量の結果を以下に示す。(図 15.) この結果の縦軸をATP 増加率と整理しなおして、硬さの結果を重ねてみたところ以下の グラフのようになった。(図 16.) 0 10 20 30 40 0 4.5 6 7.5 9 10.5 12 Phaeocystis sp.含有率[糖%] AT P 量 [p m o l] 0日目 7日目
図15.異なるPhaeocystis sp.濃度のシート上で培養したAsp.の ATP 量
60 50 0 1 2 3 4 5 6 8 9 10 11 0 4.5 6 7.5 9 10.5 12
Phaeocystis
sp.含有率[糖量%] AT P 増 加 率 [ 0.2 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8 2 め り 込み距離[ m m ] 7 倍 ] 0.4 7 倍 ] 0.4 0 0 ATP増加率 □めり込み距離 0 1 2 3 4 5 6 8 9 10 11 0 4.5 6 7.5 9 10.5 12Phaeocystis
sp.含有率[糖量%] AT P 増 加 率 [ 0.2 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8 2 め り 込み距離[ m m ] ATP増加率 ATP増加率 □めり込み距離Asp.は杭材料の硬さと反比例して増殖が進行していたことから、材料の硬さが増殖に影響 する可能性が高い。理由として、Asp.は菌糸が太いため、基質に伸長する際に物理的に阻 まれたのではないかと考察している。 Asp.はPhaeocystis sp.を含んでいない新聞故紙のみのシート上でも増殖が見られた。新 聞故紙は 99%以上がセルロースで、そのほかは洗浄もしくはインク由来の金属や洗剤の成 分を微量に含んでいるに過ぎない基質である。このことから、Asp.は貧栄養状態でも生育 可能な種であることが言える。しかし、ある程度硬さを持つPhaeocystis sp.を 12%含む杭 材料での増殖が最も柔らかい新聞故紙のみでの増殖よりも良くなっていることから、 Phaeocystis sp.に含まれる栄養が増殖に全く無関係ではなく、含有量が増えることで増殖 が良くなる傾向もある。
総括
化用菌について 今回選定した 2 種の使用を考えているが、日本から現地に持ち込む場合、安全性や適合 などのチェックが必要であると思われる。場合によっては、現地の環境に適応している より単離したほうが安全かつ有用である可能性が高いと考えている。本研究の結果は、 地で菌の探索または単離作業をするにあたって、参考になる手順を示したマニュアルと ての意味も大きいと考えている。特に一般的に糸状菌のセルロース分解活性や菌体量な を定量的に取り扱うことは困難であったが、一連の実験結果より比較的容易に定量でき 方法を見出せた。 料の物理的特性について 杭材料の硬さは、Ph の含有率が 7.5%のものが最も硬く、杉と同程度のものが得られた。 れは杉と同程度の硬さがあることがわかり、杭材料への利用ができると判断したが、熱 雨林の土地に応用するためには熱帯雨林の地表の固さを考慮しなければならない。 森林を失った熱帯雨林の土壌は、自身の保持力が極端に低下し、熱帯特有の激しい雨に 洗い流されやすくなる。ひとたび土壌を失った地表は、ラテライトと呼ばれる固い岩石と の入り混じった粘土層がむき出しになり、直射日光によってその地表はレンガのように 地表がやわらかい雨季の時期は、杭が湿る恐れがあり杭の主成分が水 に 熱処理をしたものがより硬い材料になる可能性がある。もし、今以 の強度が必要であれば検討事項となるかもしれない。 表では水分の蒸散が激しく、水分含量の著しい低下が予想さ れ 保水 性 資 性 菌 現 し ど る 材 こ 帯 砂 固められる。比較的 弱い新聞故紙であることを考えると、この時期の打ち込みは考えにくい。そのため、杭 は地表が最も硬くなる乾季に打ち込むこととなることが予想され、結果、より硬い材料が 求められる可能性がある。 Ph と廃パルプの混成材料からつくる生分解性フィルムの研究報告より(森川さんの論文 名、年度)、加圧時に 100[kgf/cm2]という高い圧力を加えたもの、また熱処理をしたものの ほうが強度的に強い材料ができている。このことより、杭材料も脱水時、乾燥時、もしく は成形時に高圧または 上 また雨のあがった熱帯の地 るため、他の検討事項として、杭材料の保水性を調査する必要があると思われる。確実 なデータとしては取り扱っていないが、混成杭材料を乾燥する際、Phaeocystis sp.の含有 量が多いほど乾燥にかかる時間が長かったため、Phaeocystis sp.を含むことによって が向上する可能性があるかもしれない。材料の生物的特性について 自養植林杭は適度なタイミングで分解される必要がある。もし、分解が早すぎれば、他 の生物が集まる前や発芽の前に呼吸によって消化され、土壌が生成されなかったり、増え す されるというのは、菌の生え方を観察する中 、各菌の生え方の特徴に起因するものと考えている。例えば、Str.の場合は、基質深くに り込もうとせず、表面を高密度に覆うように生育するが、一方 Asp.は Str.に比べて密度 高くないが、基質深くに菌糸を伸ばし、生活の場と栄養を確保しようとする傾向にあっ スモスを形成するのに有利か分からないが、これらの特徴も 菌 2種の菌は互いのプレートに容易にコ ン ら 2 種の株は互いに競合的ではなく影響を及ぼしあわない共生系で あ 示 ぎた資化用菌によって植物根が侵される可能性も高くなる。また、遅すぎるならば杭材 料がほかの生物にとって利用しにくい基質として残ることとなりミクロコスモスの形成も 難しくなり、資化用菌を混入した意味がなくなる。 適度なタイミングで分解されるために、環境に応じて分解速度を設定できるような設計 をする必要がある。 実験の結果より、2 種類の資化用菌について増殖速度を左右する主な要因が Str.は Phaeocystis sp.に含まれる栄養の量、Asp.は基質の硬さというようにそれぞれ違うことが 考えられる。このことから、菌の種類、配合比、材料の硬さ、栄養条件などによって分解 速度をある程度コントロールできる可能性が見出された。 また、菌が基質の硬さによって増殖が左右 で 入 は た。どちらの特性がミクロコ の配合比を決定する際の指標となりうる可能性がある。 しかし、水分含量や温度などその他の環境要因によっても増殖の速度は変わってくるた め、さらにそれらの条件を変えて検討してみる必要があると思われる。 2 種の資化用菌を同時に混入するにあたり、お互いが阻害しあわない(例えば抗生物質や その他有害代謝物を分泌しない)ことが重要になる。 タミネーションを起こし、特にひとつがもう一方の周りで生育阻害されていることは確 認できなかった。これ る可能性が高い。この結果は、これらの資化用菌を同時に用いることのできる可能性を 唆している。
謝辞
高知工科大学榎本恵一教授、大浜武教授、有賀修助教授、堀澤栄講師、 静岡常磐短期大学佐塚正樹講師に厚く御礼申し上げます。 研究遂行にあたって絶えずご協力いただいた江村英人氏、関裕美氏、神戸隆介氏、山 志津香氏環境生物工学研究室の卒業生及び在籍する諸君に感謝しここに厚く御礼申し上 ます。最後に本プロジェクトに携わり、セルロース分解菌株をはじめその他有益な知見 与えてくださった、3 期卒業生の乾、沖野、小林、森澤、山崎の各氏に深く感謝いたしま 。 本研究をまとめるにあたり、絶えず懇切なご指導とご助力を賜った高知工科大学大学院 特任教授の向畑恭男教授に深く感謝の意を表します。また、研究遂行上種々の有益なる御 尽力をいただいた 本 下 げ を す参考文献
松眞一(1978):熱帯多雨林-生態学的研究-、共立出版株式会社 林繁男 編(1992):沈黙する熱帯雨林―現地からの報告―、東洋書店 境庁「熱帯雨林保護検討会」(1992):熱帯雨 帯雨林再生技術研究組合編(1998):熱帯雨林再生技術研究成果報告書 谷川武治編(1996):微生物の分類と同定(上)、株式会社学会出版センター 谷川武治編(1995):微生物の分類と同定(下) 、株式会社学会出版センター 談社サイエンティフィク編(1978):真菌図鑑(上)、講談社 講談社サイエンティフィク編(1978):真菌図鑑(下)、講談社ase Assay for etermining Cellulolytic Activity of Fungi. Applied Microbiology,23(5),875-879.
.G.Savory,B.Mather,C.C.Maitland and K.Selby(1967) : Methods,Apparatus:New
y and Industry,
January(28),153-154
.E.Smith(1977):Rapid Tube Test for Detecting Fungal Cellulase Production. Appled
stroying Ancient Books. Acta
Microbiologica Polonica,29(4),375-387.
. Verstraete, H. Van de Werf, F. Kucnerowicz, M. IlaiwiL. M. J. Verstraeten and K. icrobial ATP. Soil Biology and
植 小 環 林を守る、日本放送出版協会 熱 長 長 講 土壌微生物研究会(1992):土壌微生物実験法、養賢堂
Raymond P. Poincelot and Peter R. Day(1972) : Simple dye Rele D
J
Product Reserch,Process Development and Design. Chemystr
R
and Environmental Microbiology,33(4),980-981
Stanisla Leznicka(1980):Cellulolytic Activites of Fungi De
W
Biochemistry, 15(4), 391-396
on the xtraction of adenosine triphosphate from soil by trichloracetic acid, Soil Biology and
J S. Jenkinson(1979):Adenosine triphosphate content of the soil icrobial biomass, Soil Biology and Biochemistry,11(2),201-204
F tive determination of ATP in soil, Soil
Biology and Biochemistry,15(6),665-670
Q Z I orte(1988):A simple effective procedure for the etermination of adenosine triphosphate in soils,Chemosphere,17(12),2461-2470
t ogy and Biochemistry,11(2),193-199
K. Inubushi, P. C. Brookes and D. S. Jenkinson(1989):Influence of paraquat e
Biochemistry,21(5), 741-742.
. M. Oades and D. m
. Eiland(1983):A simple method for quantita
. Y. Bai, L. elles, . Scheunert and F. K d
D. S. Jenkinson and J. M. Oades (1979) : A method for measuring adenosine riphosphate in soil, Soil Biol