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2 非自励なロジスティック方程式とその解

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Academic year: 2021

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非自励なロジスティック方程式が 単調増加解をもつための必要十分条件

Necessary and Sufficient Conditions for Increasing Solutions of Non-autonomous Logistic Equations

非線形解析研究室 V09033 染谷 裕太 指導教員 竹内 慎吾 准教授

1 初めに

ロジスティック方程式は様々な分野で応用されている 有名な微分方程式であり,初期値が小さい場合は解が単 調増加関数になる性質を持っている.この方程式を一 般化すると,解が単調増加関数になる場合とならない場 合がでてきた.そこで,解が単調増加関数になるための 条件を見つけ,方程式を解かなくても判定できるように した.

2 非自励なロジスティック方程式とその解

通常のロジスティック方程式は次の形で表せる.

y(t) =ky(t) (

1−y(t) a

)

ここで,aは環境収容力とよばれる正定数,kは成長率 とよばれる定数である.以下では簡単のため,k= 1と する.この解は求積法で得られ,

y(t) = et

1

a(et1) + y1

0

,(y0=y(0))

となる.0< y0< aのとき,この解はy(t)< aかつ単 調に増加し,t→ ∞のときaに収束する.

本研究では環境収容力aを正値関数a(t)に一般化し た非自励なロジスティック方程式

y(t) =y(t) (

1−y(t) a(t) )

(1)

を考える.

Mapleを用いて(1)の解のグラフを描いてみる.図

1はa(t) =t32.5t2+ 6とし,初期値をy0= 1,2,3, 4,5と設定したときの(1)の解のグラフである.

図1からわかるように,初期値y0の値によって,解 y(t)a(t)と交わらない場合(y0 = 1,2)と交わる場 合(y0= 3,4,5)がある.後者は通常のロジスティック 方程式では見られない現象である.

図1 a(t) =t32.5t2+ 6 ()と解y(t) (太線)

そこで以下では,(1)の解が単調増加関数であるため のa(t)y0に関する条件を考える.

3 十分条件

まず,y(t)が単調増加関数になるためのa(t)y0の 十分条件を考えてみよう.以下,0< y0< a(0)とする.

z(t) =a(t)−y(t)とおくと,(1)は z(t) +z(t) =a(t) +z(t)2

a(t) となる.したがってa(t)>0を仮定すると,

z(t) +z(t)>0.

両辺にetをかけ,0からtまで積分すると,

z(t)> z(0)et

ゆえに,z(t) = a(t)−y(t)>0.また(1)の解y(t)は 正なので,

y(t) =y(t) (

1−y(t) a(t)

)

>0.

以上より「0 < y0 < a(0)かつa(t) >0」ならば,解 y(t)は単調増加関数になることがわかった.

(2)

4 必要十分条件

y(t)が単調増加関数であるためのa(t)y0の十分条 件として「0 < y0 < a(0)かつa(t)>0」が得られた.

実は次の必要十分条件が得られる.

定理

a(t)t≥0においてC1級の正値関数とする.微 分方程式の初期値問題

y(t) =y(t) (

1−y(t) a(t) )

y(0) =y0>0

の解y(t)について,次が成り立つ.

任意のt >0に対して,次の3つは同値.

(i)y(t)>0 (ii) 0< y(t)< a(t) (iii) 1

y0

> 1 a(0)

t 0

a(s)es a(s)2 ds

系1.解y(t)について,次が成り立つ.

任意のt >0に対して,次の3つは同値.

(i)y(t) = 0 (ii)y(t) =a(t) (iii) 1

y0

= 1

a(0)−

t 0

a(s)es a(s)2 ds

系2.解y(t)について,次が成り立つ.

任意のt >0に対して,次の3つは同値.

(i)y(t)<0 (ii)y(t)> a(t) (iii) 1

y0

< 1 a(0)−

t 0

a(s)es a(s)2 ds

5 定理の適用例

定理の(iii)の右辺の関数を補助関数とよび,

A(t) = 1 a(0)−

t 0

a(s)es a(s)2 ds

と表すことにする.

a(t) =t34t2+ 10,y0= 5として,定理を適用する.

図2が 1

y0 = 15 = 0.2とA(t)のグラフである.1

y0A(t)が交わっており,その交点をt1t2(0 < t1 < t2) とする.0< t < t1またはt2< tのときはy1

0 > A(t)な ので定理の(iii)が成り立つ.よって定理によればこれ らの区間においてy(t)は(i)より増加し,(ii)からa(t) より小である.

図3はa(t)y(t)のグラフであるが,これらの区間 では確かにそうなっていることが見て取れる.

同様に図2からt1 < t < t2では y1

0 < A(t)なので系

2の(iii)が成り立つ.よって系2によれば,この区間

においてy(t)は(i)より減少し,(ii)からa(t)より大で ある.

図3を見ると確かにそうなっている.

図2 y1

0A(t) (緑の破線)

図3 a(t)y(t) (太線)

6 成長率 k(t)

以上では簡単のためにk= 1として扱ってきたが,k も成長率という役割がある.しかし,心配はいらない.

kを関数として一般化した方程式

y(t) =k(t)y(t) (

1−y(t) a(t)

)

k(t)>0

に対しても,(1)のときと同様にして,本定理に対応す る結果が得られる.

7 結論

非自励なロジスティック方程式の解は複雑になること もあるだろう.しかし,その方程式を解かなくても定理 によって,初期値y0と補助関数A(t)の大小関係,交点 を調べることで,解y(t)a(t)の大小関係と交点,ま た解y(t)の増減を決定することができるようになった.

参考文献

[1] 佐藤 總夫, 自然数理と社会の数理I, 日本評論社, 1984.

[2] デヴィッド・バージェス/モラグ・ボリー著, 垣田 高夫/大町 比佐栄 訳,

微分方程式で数学モデルを作ろう,日本評論社, 1971

参照

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