岡崎市立井田小学校
ユニバーサルデザイン授業の手立て
算数科を通して
愛知教育大学名誉教授 志水 廣
ユニバーサルデザインとは何か?
ユニバーサルデザイン(Universal Design:UD)は、
ノースカロライナ大学のロナルド・メイス
(RonaldMace)が文化、言語、国籍の違い、年齢や
性別の違い、障害・能力のあるなしを問わず、誰で も利用することができる施設、製品、情報の設計 の配慮として提唱した概念です。
ユニバーサル(Universal)とは、普遍的な、あまねく という意味の英語です。
授業に置き換えると、どの子も分かりやすく、適切 な環境で学習できる教師の配慮や工夫といえます。
講演の概要
ユニバーサルデザイン どの子も
わかる できる 身に付く
授業成立の条件
「知」と「心」の変容
算数科の特性
ここで、自己紹介
• 現在66歳、43年間教員。
• 神戸市の公立小学校→東京の筑波大学附属小学 校の教員を40歳まで。
• 40歳で愛知教育大学に赴任。25年間。
• 平成29年3月退職 名誉教授
• 専門は、算数や数学の教え方の研究。人間論。
• 127冊の単行本、DVD
• 26年間で6200人の授業診断、学力向上アドバイ ザー
• ホームページ「志水 廣」
• 33歳から現在まで小学校算数の教科書(啓林館)
の編集者
小学校算数の教科書の著者
33歳から現在まで 1年前発刊 現在4刷
第4学年 執筆者代表
UD「道具をそろえる化」
の観点で志水が
お願いしました
道具が 違うだけ で子ども は混乱す
る
不透明な分度器
UD「そろえる化」の観点にたつと、
子どもにとって分かりやすい。
「そろえる」化
• 道具をそろえる
• ノートをそろえる
• 授業スタイルをそろえる
• 板書をそろえる
• 計算練習をそろえる
そろえる化
• レディネスをそろえる
• 問題把握をそろえる
• 見通しをそろえる
• 解決をそろえる
• 解き方をそろえる
• まとめをそろえる
• 授業前
• 問題の導入
• 見通しの固定化
• 自力解決では全員がで きていること・・○付け法
• 発表の場面では中心の 解決方法(手順)をそろえ る。すると、問題練習に 入ることができる
• さらに、適用問題定着法 でそろえる
ユニバーサルデザインの視点
どの教科にも
• 視覚化
• 焦点化
• 共有化
算数科特有
• 実感化
• つなげる化
• そろえる化
• (実態に)合わせる化
• 確認と見届け
認知
入力と出力
目
視覚
耳
聴覚
入力 出力
脳の認知処理
口に出す
手を動かす
体を動かす 顔に出す
一次判断
興味関心 面白い 役に立つ
二次判断
予めの知識 a,b,c・・・と 結びつける
①
②
③
五感で感じる
算数を教えるということは どういうことか
• 計算技能の習熟
• 問題解決の体験
• 思考力の育成
• 知識の習得
• 問題練習
• 算数の学習を通して
• 知識の学び方
• 技能の取得の仕方
• 算数を創ることの考え 方の習得
どちらも大事なこと
算数の見方・考え方の基本
②きまりの発見
R (きまり)
A B
問題(命題) 適用(練習問題)
①問題 の存在
③きまりを使って 問題を解く
算数学習のサイクル
①存在 ②きまり
• 数の存在
• 量の存在
• 図形の存在
• 数量関係の存在
(関数・統計)
• 性質(定理):その事物に
本来そなわっている特徴
• 約束
「存在と性質」について
学習指導要領では数学的活動に 記述あり
• 日常の事象から
• 見いだした算数の問題 を、具体物、図、数、式 などを用いて解決し、
結果を確かめる活動
• 算数の学習場面から
• 見いだした算数の問題 を、具体物、図、数、式 などを用いて解決し、
結果を確かめる活動
授業は、教師と子どもとの
「知」と「心」の一致から始まる
知→「わかった」 心→「わくわくして楽しい」
通常学級におけるUD
特別支援学級
通級指導
通常学級
ユニバーサルデザインが目指す授業
• どの子も
• 「わかる」
• 「できる」
• 「身に付く(活用できる)」
2014.3 10 刷 2016.10 4刷
学力の三層構造
「ユニバーサルデザインから主体的・対話的で 深い学びへ」が成立する条件
レベル3 算数・数学を創る力→ L3 (主体的・対話的で深い学び)
レベル2 すらすら問題解決力
知識・技能の自動化 → L2 レベル1 計算力 → L1
算数の「わくわく」
1.問題解決の喜び
• 未知の問題に接するだけ でわくわくする
• 問題を解けるだけでわくわ くする
2.進歩する喜び
・どんどん解ける
・「解けない」から「解ける」こと で喜ぶ
・解けると自信につながる
・次への挑戦意欲がわく
授業には「知」と「心」の同時変容
知→「わかった」 心→「わくわく」
教師 子ども (子ども達同士)
教材
「価値」(面白い) 内容知 (知識・技能・考え方)
どのように学ぶのか・・・方法知
ユニバーサルデザインを目指しても 授業には、「わくわく」が必要
質問
「わくわく」の意味は 何?
「わくわくする」 意義素
by Weblio類語辞書• 将来起こるであろう良い物事に対して期待 すること
• ものを行うにあたっての興奮や期待が 高まること
• 物事を待ってワクワクすること
• ある物事に興奮し、高揚すること 胸を熱く する
• 期待と興奮で胸がどきどきするさま
「わくわくする」 意義素
• 将来起こるであろう良 い物事に対して期待 すること
• ものを行うにあたって の興奮や期待が 高まること
• 物事を待ってワクワク すること
• ある物事に興奮し、高 揚すること 胸を熱く する
• 期待と興奮で胸がど きどきするさま
現在 → 将来
に対する期待 興奮が高まる
これから何が起きるのか分からない。
現在の「心」の状態を言う。
では、何に「わくわく」するのか
算数に「わくわく」するのか
1.「わくわく」の存在
2.「わくわく」の追究が始まる
存在を疑う
• もしかしたら「わ くわく」しない子 どもがいるので はないか
GK
質問 次の教材を授業すると、
どこに「わくわく」を感じるか
いちごを見せることから始まった
UD 取り組みやすい課題の 提示で視覚化
T:いちごの数は 何個ですか
C:3個です。
• T:どうやって数えましたか
• C:????
• C:左から1こ、2こ、3こと数えま した。
• C:(三本の指を出して)この3本 がまっすぐ進むと当たるから。
UD 方法を問う たからこそ、考え 始めた
方向、順序
1対1対応
UD なるほど 面白い
UD 不明瞭な発問だけれど、内省を 促す「はてな」が生まれた。
教師の動き 子どもの動き
UD 既習とのつながる化
UD 問題提示
ワークシートを見せた瞬間、盛り上 がった!!
UD 図(形)を見ただけで面白そう。
UD ワークシート
の配布
ノートを見ると a+bが多い
• 10+3=13 8+5=13
UD 実態に合わせる化→発表は多い考えの人から
2人だけ下の式を書いていた
UD ねらいに焦点化
この式はとてもいい。
どこがいいかわかりま すか。
質問 どんな子 どもの言葉が でたでしょうか
UD 数学的価値に 迫る焦点化
この式はとてもいい。どこが
いいかわかりますか。 質問 どんな言葉がでたで しょうか
• 両側からの数が同じ
• 1.3.5となっている
見方・考え方を利用したい気持ち
子どもは、なぜわくわくしたのか
• 導入でいちごを数えたこと
• どんな風に数えたかを問われたこと。つまり、答えを求め ているのではなく、見方・考え方を質問しているから。
• 既習の身近な例で数えたこと
• 本日の教材のワークシートを準備したこと
• 自力解決ができたこと
• 自力解決が多様になったこと
• 発表では、他の子どもの発表が面白かったこと
• 意外性のある見方を教師は机間指導で見つけて、みんな に提示したこと
• 発展的な問題を与えたこと
ユニバーサルデザインの視点
視覚化 焦点化 共有化
• なぜ、上の3つが言われるのか。
• それは、授業が
• □□□いないから
• 視覚化
• 焦点化
• 共有化
わかりにくい!
されてい ないから
何を視覚化すればよいのか
• 算数の授業の構成要素を考えればよい
• 問題 めあて 見通し 手がかり(ヒント)
• 図 絵 考え方 式 答え 説明
• 定義 用語 性質 まとめ 練習問題
授業の展開の 視覚化
効果は抜群!
どんな効果が
あるか?
授業予定を表示するとよいこと
• 流れが分かるので児童の取りかかりが早くなる
• 児童が展開をイメージできる
• 児童が安心して取り組める
• 教師もイメージできて安心できる
• 聴くことが苦手には視覚的に見せることができる
• 授業前に組み立てることができる。準備ができる
• 毎回、同じ流れなので安心できる
• 教師の意識 意志 まとめまでしっかりやるんだ
• 見通しがもてる。何もないよりよい。
45 分間、意欲が継続するためには
• 知的に面白いことの連続を
スモールステップで組むこと。
課題の発見と解決
• 算数の特性と「課題の発見と解決」
算数では
どんなことを教えるのか
• 数と計算
• 図形
• 測定
• 変化と関係(関 数)
• データの活用(統 計)
特徴
• 全て抽象的な概念
• 見えるようで見えない
存在と性質(きまり)を追究するのが 算数の授業
志水の考え
「存在ときまり」の追究 なぜ、そう思うのか。
平成29年3月
課題の発見場面では
①教師からの方向性の指示
②教師と子どもとのやりとりの中から生み出す
③子ども自ら課題を発見する
③子ども自ら課題を見つけて
取り組む
誘導のもとで課題が見つかる
鉛筆君 は
授業 では 誰です か
6年 2
3 時間は何分ですか
この問題を見て変だと思いませんか
6年 2 3
そこから課題が生まれる
時間は 存在するのか
存在ときまりは 何か
3年 p52
何について考えるのか どんな方法で考えるのか