防災科学技術総.含研究報告 節7号 1966年3月
55:550・8(521.26)
箱根火山の地質
安 藤 武
地質調査所応用地質部応用地質課
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By Takeshi AndoG・・Z・ψ・18・岬θツ・ゾル声伽,T・是ユ■・
箱根火山大涌谷地区での火山性地すべりの総合研究に 関連して,箱根火山はどのようにしてでき,どのように なっている火山であるかを理解するため地質の概要を記
した.
本州中部を縦断するフオッサマグナでは,新第三紀中 新世以降に激烈な火山活動が行なわれており,現在でも 富士火山帯に引き継がれている.箱根火山はこの富士火 山帯に属する火1」」であり,二重構造からなるカルデラで 有名である・なお箱根火山を構成している火山岩の特異 性は世界的によく知られている.この火山については,
*久野久の永年にわたる詳細な研究があり,7万5千分の
1熱海図幅その他多くの研究論文として発表されている.
これらの資料によって記載した.この取りまとめについ **ては沢村孝之助の指導を受けた.
箱根火山は新第三紀の火山岩類および第四紀古期の湯 河原火山などを基盤とし,中期ないし後期更新世を通じ てできた火山である.その活動は2回のカルデラ陥没,
それに引き続いた浸食期を境とした3回の活動によって 形成され,その活動は第1期から第3期までの3段階に 区分される.
第1期の活動には,海抜2,700mに達する巨大な円錐形 成層火山体が生じたものと推定される一主として玄武岩 質の溶岩と凝灰集塊岩の噴出に初まり,つづいて安山岩 質の溶岩と火山砕暦岩がくり返し噴出し,その中心部で は1,O00mの厚さにおよんだものと考えられている.現 在では,古期外輪山の内側にある断崖でこの状態がよく 観察される・塔ノ峰一明神が岳一三国山一箱根峠一白銀
崇 東京大学教授
淵 地質調査所地質部地質第三課長
山をつらねる平均高度約1,O00mの山陵は古期外輪山に
相当する(図一1参照).
表一1 第四紀火山岩噴出順序
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火山性地すべりの発生機構および予知に関する研究(第2報その1)防災榊枚榊州ラヒ鮒f〃け1966
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図一1 箱恨火山外輸山および中央火口丘
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安■I1岩の溶岩流のみが繰り返し噴出し,爆発的な活動は ほとんど起らなかった・溶岩の厚さは300mに達し,ヵ ルデラの内部に緩傾斜の楯状火山が形成された.新期外 輸山と称きれる屏風山・鷹ノ巣川・浅間山はこの一部で ある。この活動末期には大規模な軽石流が発生し,カル デラ壁の低所をのりこえて溢流し,古期外輸山の外側斜 面の麓にまで達した.これは火口から25kmの遠距離に まで到達した部分がある。またこれによって緩傾斜の扇 状地形・段丘状地形を現山した(図一2D参照).この活 動直後に再び陥没が起り,楯状火山の西半分は失なわれ て,ほぽ第1期と同じようなカルデラとなった.ここに 新期外輪山が形成され,続いてこの外輸山の東部が再び 浸食され,早川および須雲川の峡谷が火山瀬として深く 刻みこまれた.
第3期の活動は,火山体の中央部に再開した火口で爆 発的な噴火が起り,安山岩質軽石の噴出にはじまる.こ の軽石の一部は風に運搬され,東京付近にまで到達し,
東京浮石層の名で知られている.引き続いて,7箇の中 央火口丘が北西一南東方向の一線上に配列する状態でカ ルデラ内に噴出した(図一2F参照)・この配列は前
図一2 箱根火山の構造ならびに地形発達史を 示す模式断面図(久野久(1950)による)
第1期の活動の中頃には,北西から南東に走る大きな 断層(金時山一幕山構造線)が火山体のほぼ中心を通る 位置に発生し,これによっで山体が2分された.この断 層を境として,北東側の山体では北西部が上り南東部が 下る運動を行い,南西側の山体では北西部が下り南東部 が上る運動を行った.一種の蝶番断層に相当するような 変動が行なわれた.この変動に伴なって,この線上に金 時山および幕山の寄生火山が生じた・金時山は安山岩質 溶岩と岩澤質火山砕屑岩の互層からなる成層火山である.
幕山は灰色の輝石安山岩と白色の輝石石英安山岩とが縞 状構造を示す有名な溶岩円頂丘である.第1期の活動後 に,火山体の山頂部は階段状に陥没し,これによって径 南北11km,東西7kmのだ円形のカルデラが生じた.
これを包む古期外輸山の東壁は浸食破壌されて早川の前 身をなす火口瀬ができた.
第2期の活動では,流動性に富んだ酸性安山岩や石英
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図一3 箱根火山の地質田各図(久野久(1938)による)
火山性地すべりの禿生機溝および予知に関する研究(第2報その1)防災科学技術総会研究鮎舳号1966
記の金時山一幕山溝造線に一致する・これらはよく類似 した轍櫨石含有輝石安山岩から構成きれている.この内 5箇の中央火口丘はドーム状の溶岩円頂丘である・駒ケ 岳は平頂な溶岩円頂丘であり,火山角礫岩と溶岩からな
る緩斜面上にのっている・他の1箇の神山は,他の中央 火口丘とはかなり異なり,急傾斜を示す溶岩と火山角礫 岩との互層からなる成層火山である.この一部は駒ケ岳 の基盤となっている.なお二の火山角礫岩は多孔質安山 岩片とその細粉から構成されており,神山噴出の間にお こったいわゆる熱雲(nu6eS ardenteS)の堆積物と考 えられるものである・活動の最後は,神山の北西斜面に
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生じたいわゆる水蒸気爆発で,二のため山体の一部が崩 壌して泥流となり,カルデラを2分して芦の湖を出現し た.大涌谷・早雲山・湯の花沢地区における硫気孔の活 動はこの余波を反影しているものと考えられる.
箱根火山は有史時代における噴火の記録がなく,この 火山がほとんど終末に近づいた頃から富士火山の活動が 始まった.箱根火山の中央火口丘の溶岩は互にきわめて 類似し,轍構石を含んた複輝石安山岩からなる.古期岩
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箱根火山天城火山群および大宝火11」砕 火山岩類の分化径路
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11.多賀火山 12、湯河原火山 13.禰午艮火山 ユ4.パ・田火山 15.人 島
伊豆半島第四紀火山の分布
体の岩石とは明らかに区別される.箱根火山の火山岩類 は,外輸山の岩石と中央火口丘群の岩石とに大きく区分 され,岩石学的な見地からは,前老はピジオソ輝石質岩 系に後考は紫蘇輝石質岩系に属する.
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藤井紀之,大八木規夫,武司秀夫,小泉久直,大久保太治(1966)
Noriyuki Fu川,Norio Oyagi,Hidoo Tokeεhi,削餉nao Koizu㎜i and Taiii Ok山o.
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防災科学技術総合研究報告 第 7 号
Reports o{CoopI at〜e Resea出丘o!・Disaster Prew耐ion No.7