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ハーバマスの普遍語用論の検討 

中山 康雄(大阪大学大学院人間科学研究科) 

   

Searle (1991) も認めるとおり、Habermas の言語行為論は、Austin と Searle の言語行為 論に取って代わるものというよりも、それを補完するものとして捉えうる。本発表では、

Habermas の普遍語用論(Universalpragmatik, universal pragmatics)の問題点と理論的 寄与がどこにあるのかを明らかにすることが試みられた。第1節では、Habermas と Searle の間に交わされた論争を通して、普遍語用論を検討した。第2節では、妥当性要求

(Geltungsanspruch, validity claim)の問題を中心に、普遍語用論の限界と可能性を吟 味し、明らかになった問題点を克服するための新しい提案と結び付けた。 

 具体的には、第1節「Habermas 対 Searle」では、「コミュニケーションの間主観的見解 という Habermas の提案」、「Habermas の普遍語用論」、「普遍語用論に対する Searle の評価」

という問題を扱った。そして、第2節「普遍語用論の検討」では、「妥当性要求の分析」、

「普遍語用論の評価」、「普遍語用論の吟味」という問題について考察した。 

 Habermas は、言語行為論を発展させた普遍語用論を提案し、コミュニケーションの間主 観的見解を描いてみせた。しかし、Searle (1991) が指摘するように、そのような議論を 展開するためにも、コミュニケーションの意図的見解は基盤として必要となる。また、

Habermas は、合意形成のための妥当性要求をコミュニケーションの本質と考えたが、会話 の参加者が異議を唱えることができるのは、妥当性要求のみではなく、妥当性前提も含ま れている。いかなる場合にも、人々はなにごとかが正しいと前提して話している。だから、

妥当性前提への異議は、どんな場面でも可能であると同時に、コミュニケーションの意図 的見解と整合的なものである。そして、妥当性前提に異議を唱えることにより、問いは明 示化され、妥当性要求に関する議論に入っていくことができる。また、コミュニケーショ ン的行為も目的合理的行為の一タイプにすぎない。重要なのは、むしろ、目的は共有され うるということである。つまり、Habermas が目指した社会理論は、コミュニケーションの 意図的見解や目的論的行為を基礎にして、これに集団的志向性の視点を取り入れることに よっても表現できるのである。 

参照

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