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不動産登記の電子化

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

不動産登記の電子化

七戸, 克彦

慶應義塾大学法学部 : 助教授

http://hdl.handle.net/2324/6288

出版情報:Think : 司法書士論叢. 96, pp.45-68, 2000-03. The Japan Federation of Solicitor Associations

バージョン:

権利関係:

(2)

不動産登記の電子化

慶鷹義塾大学法学部七戸 克彦

第1章序論

(1)不動産登記の電子化に関する従来の議論は、①不動産登記の電子化の目的の変化を  めぐる問題(第2章)、②電子化された不動産登記簿のシステム構造をめぐる問題  (第3章)、③商号事務をめぐる問題(第4章)、④乙号事務をめぐる問題(第5章)、

⑤不動産情報の一元化をめぐる問題(第6章)の、5つに分類することができるσ

(2にれらの問題は、物権変動の手続法(不動産登記法)のみならず、公示の目的・公  示の対象・公示の効力といった実体法上の論点にも影響を及ぼす。

(3)以下、(1)に挙げた論点の各々を、それに関連する現行法(昭和63年改正法)の「概  要」と、その「問題点と課題」の2つに分けて検:卜する。

第2章 「行政の情報化」の一環としての不動産登記の電子化

§1 不動産登記の電子化の歩み

 不動産登記の電子化の歩みは、その「目的」の違いにより、昭和63年改正法までの時 代と、平成6年策定「行政回報化推進基本計画」以降の時代の、2期に分かれるであろ

う。

1 昭和63年不解法改正に至るまでの歩み

 (1)昭和42年、不動産登記のコンピュータ化の研究開始。

 (2)昭和47年、予算措置のついた本格的研究開始。

(3)昭和54年、パイロット・システムの研究開発に着手。

 (4)昭和58年1月、東京法務局板橋出張所においてパイ『ロット・システム実施。

 (5)昭和60年5月1日法律第33号「電子情報処理組織による登:記事務処理の円滑化のた   めの処置等に関する法律」(「円滑化法」)、6月7日法律第54号「登記特別会計法」。

 (6)昭和62年10月5日、登記事務のコンビュー・タ化処理についての「民事行政審議会答

申」

 (7)昭和63年6月11日法律81号「不動産登記法及び商業=登記法の一部を改正する法律」。

 (8)昭和63年10月6日、東京法務局板橋出張所がブックレス・システム(=「不動産登   記情報システム」)1号庁に指定(同月11日より稼働開始)。

THINK会報 第96号2◎0◎ 45

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不動産登記法施行100周年記念シンポジウム

(9)平成5年4月23日法律第22号「不動産登記法の一部を改正する法律」の国会審議の  際にも電子化の問題等が議論された(なお、参議院法務委員会の付帯決議第5項に   は「登記事務のコンピュータ化を更に推進するとともに、地図のコンピュータ化に  ついてもその実現を図ること。」とある)。

2 平成6年策定「行政情報化推進基本計画」以降の歩み

(1)平成5年10月27日第3次臨時行政改革推進審議会最終答申、平成6年2月15日閣議  決定「今後における行政改革の推進方法について」、平成6年12月25日閣議決定「当  面の行政改革の推進方向について」(平成7年度を初年度とする5力年計画「行政  情報化推進基本計画」を決定)。

(2)平成9年12月20日閣議決定「行政晴報化推進基本計画の改定について」。

(3)平成10年段階で、44の法務局・地方法務局が登記晴報システムへの移行作業を行っ  ており、保管筆個数の約4分の1について移行を完了。平成10年度末までには残り  の6地方法務局でも移行作業が開始される予定であり、平成16年度末までに、全国  の登記所の移行作業が完了予定。

(4)平成10年3月31日閣議決定「規制緩和推進3力年計画」を受け、同年夏、法務省民  事局は、乙号事務につき、平成11年度末に、①「登記晴報交換システム」と②「オ   ンラインによる登記情報提供システム」の提供を開始する旨を公表。

(5)平成11年1月(22日?)、法務省民事局「オンライン登記情報提供制度の概要につ  いて」公表。

§2 「行政の情報化」の歩み 1 法務省における電子化

(1)不動産登記の電子化は、法務省内部においては、(a)戸籍情報システム(民事局第二  課)、(b)地図情報システム(第三課)(第6章§1参照)、(c)商業登記情報システム   (第四課)、(d)債権譲渡登記システム(第四課)といった一連の電子化の流れの中   に位置づけられる(なお、(C)及び(d))は、不動産登記清報システムとあわせて「登  記情報システム」と呼ばれる)。

2 他の省庁における電子化

(1)更に、これら法務省における電子化は、他の省庁・地方自治体等を含めた「行政の  情報化〔〉電子化〕」の流れの中に位置づけられる。

(2)「行政の情報化〔〉電子化〕」は、①その初歩的段階一一(イ)計算処理、(ロ)電磁的記  録一一を経て、②ネットワーク活用の段階一一の申請・届出手続等の電子化、ω行  政情報の電子的提供、並びに、(ホ)それらの統合・一元化一一に達しつつある。

(3)昭和63年不動産登記法・商業登記法改正に際して参照された他の省庁の「電子化」

46 TH脳K会報 第96号20◎0

(4)

  立法としては、(a)自動車登録(運輸省)、(b)工業所有権(通商産業省(特許庁))、

  (c>住民登録(自治省)、がある。もっとも、これらの立法は、昭和63年段階では、

  上記(2)①の側面のみの電子化であった。

 (4)平成6年「行政情報化推進基本計画」の後、平成9年10月総務庁行政管理局「電子 化に対応した申請・・届出等の改善事例集」は、①各種税関手続の電子化(大蔵省)、② 食品等輸入届出の電送化(厚生省)、③植物防疫法による輸入検査手続の電子化(農林 水産省)、④家畜伝染病予防法による輸入検疫手続の電子化儂林水産省)、⑤特許出願 に係るペーパーレスシステム(通商産業省(特許庁))、⑥石油輸入調査のオンライン報 告(通商産業省)、⑦海洋生物資源の採捕数量等の報告手続の電子化儂林水産省)、⑧ 毒物劇物製造業等の申請等の電子化(厚生省)、⑨医薬品等のFD申請・審査システム

(厚生省)、⑩貿易保険申込みのペーパーレスシステム(通商産業省)、⑪通商産業省各 種申請の電子化(通商産業省)、⑫電気通信役務通信量等状況報告等の磁気ディスクに

よる提出(郵政省)、⑬建築確認支援システム健築物の確認申請等の電子化)健設省)、

⑭特殊車両通行許可申請手続の電子化健設省)を挙げている。

 (5)これら他の省庁における電子化と比較した場合、法務省の不動産登記の電子化への   対応は比較的早かった。しかしながら、その後、後発の省庁に追い抜かれる結果と   なった。その理由としては、(a)電子化の必要性が他の領域ほど切迫していなかった   こと、(b)移行対象物件の多さ、(c)電子化により登記の真実性が低下することへの危   惧、(d)関係諸機瀾・諸団体との合意形成の立ち後れ、等が考えられる。

 (6)今後の不動産登記その他の法務省における電子化は、上記他の省庁の先行事例 中でも工業所有権に関する特許庁「ペーパーレスシステ4」((4)⑤)

する形で進んでいくものと予想される。

を参考に

第3章 システム構成

(1澄記が何を公示する制度か、あるいは登記簿公開原則(21条)をどのように実現す  べきか、という問題は、電子登記簿においては、①磁気媒体への記録の仕方それ自 体の問題と、②これを引き出す際のプログラムの問題の、2つに分離した形で現れ  る。①に関しては本章、②に関しては「第5章」で問題となる。

§1 不動産登記ファイル 1 概要

(1)「登記簿」の用語(14条)。登記簿は「磁気ディスク(之二準ズル方法二依リ一定  ノ事項ヲ確実二記録シ得ル物ヲ含ム)」をもって調製する(不登法151条ノ2第2項

TH脳K:会報 第96号2◎◎0 47

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不動産登記法施行100周年記念シンポジウム

 後段)。しかし、登記「簿」の用語に変更は加えない(これに対して、債権譲渡登  記に関しては「債権譲渡登記ファイル」の用語が用いられている)。

(2>磁気ディスクに格納される「登記記録」(不登法151条ノ8による「登記用紙」の用  語の読み替え)は、次の3つからなるデータベース構造をとる。

 ①「登記事項管理部」(登記データの貯蔵庫としての機能を有する部分で、表題部    ・甲区・乙区の登記事項を格納する部分)、

 ②輸送部」(登記事項を解析し、現に効力を有する登記事項であるか等を判断す    るために必要なデータを管理する部分)、

 ③「事件管理部」(順位保全・キーロック等の機能を担当する部分)。

2 問題点と課題

(1)このような構造との関係では、不登法の以下の条文の改正(削除)の問題が生ずる。

 (a>土地登記簿・建物登記簿の区別(14条)、(b)1不動産1用紙主義(15条)、(c)物的  編成主義(15条)、(d)表題部・甲区・病気の区別(16条)、(e澄:記簿公開原則(21条)、

 (f)事項過多による移記(76条)等。

(2)第2に、右のような構造が、実体法に与える影響に関しても検討されなければなら   ない。とりわけ問題となるのは、(a)公示の対象の変化(「物権変動の過程」の公示  から「物権の現状」の公示への変化?)と、これと密接に関連するところの、(b>公  信力の問題である。

§2 分散処理・3階層ネットワーク 1 概要

(1)第1に、(a)各登記所ごとにコンピュータを設置し、各登記所における事務を独立完  結的に処理する(分散処理)。第2に、(a)右各登記所システムに加えて、(b)バック  アップセンター(BC)を法務局及び地方法務局(50カ所)に、また、(c)法務省民  事局(第一課)に中央センター(「登記情報センター」)を設置し、これらを通信回  線で階層的に連結する(3階層ネットワーク)。(b)BCは、自ら管轄内の登記事務   を独立完結的に処理するほか、登記所システムの障害時の業務代行と、登記所シス  テムのファイルが破壊された場合のバックアップを受け持つ。(c)中央センターは、

  コンピュータシステム全体の基本的な管理運営を行うほか、BCが障害等により登  記所システムに対する役割を果たせない場合の2次的な役割を担う。

(2)分散処理・3階層ネットワーク採用の理由としては、①従来の管轄の制度に馴染む   こと、②データ破壊の危険が地域的に分散されること、③階層化によって下位のシ  ステムに障害が出た場合にも上位システムによる業務代行が可能となること、④各  システムの一体的効率的運用が可能となること、が挙げられている。

48 TH:IN:K会報 第96号200◎

(6)

(3)このうち、(2②に関しては、平成7年1月17日阪神・淡路大震災を教訓に、3階層   の登記データ全てが破壊される危険を回避するため、平成9年度、バックアップセ   ンターに保管されている配下登記所の更新データ反映済みの登記データを他の磁気   テープに複写し、この磁気テープを遠隔地にある保管施設に定期的に搬送し、これ   を保管することにより、データの保全を図ることとした(いわば「4階層」化)。

(4)一方、(2)③に関しては、今までの3回の業務代行の経験:(平成2年7月9日(福岡)、

 平成4年4月14日(名古屋)、平成5年1月29日(札幌))から、システムの安定性  が実証された。

(5)なお、プログラム関係につき、平成6年「行政情報化推進基本計画」を受けて、法  務省は「次期不動産登記システムの再構築」に着手。その内容は、(a)現在の専用端  末をパソコンに置き換え、経費節減及び操作性の向上を図ることができるようオー   プン化する(平成9年度から3年計画で実施)とともに、(b)次期不動産登記情報シ  ステムの仕様書を作成する作業委託を実施する(平成10年度)、というものである。

2 問題点と課題

(1)登記所システムのデータとBC・登記情報センターの補完データの関係(前者が「原  本」で後者が「副本」となるのか、両者は共に「原本」なのか)については、規定        ノ  上決め込みはされていない。その結果、(a)登記所システムのデータは破壊されたが  補完データが残っている場合、不登法19条・23条にいう「登記簿ノ滅失」に当たる  か、これとの関連において、(b)業務代行の性質をどのように考えるか、更に、(C)補  完データ(のみ)を改亡した場合、公正証書原本不実記載罪(刑法157条)に当た   るか、等の点が問題として残された。

(2)分散処理採用の理由(=1(2))に関して。このうちの①管轄に関しては、特に乙号  事務管轄につき廃止論が出ており(→後述第5章§1参照)、障害対策としての②   ・③も、分散処理・3階層ネットワークを採用しなければならない決定的理由とは   ならない、との指摘がある。

(3)このことから、分散処理・3階層ネットワーク採用の理由は④システムの一体的効  率的運用にある、とする見解もあるが、その一方で、④システムの一体的効率的運  用のためには、分散処理・3階層ネットワークというシステム構造それ自体を見直  す必要がある、とする見解もある。

§3 改製作業 1 概要

(1)予算。5.000億円(ちなみに特許は1.500億円)。登記特別会計によって確保。しか   し、予算上の制約から、改製対象物件、移記される登記事項の範囲(下記(2×3)参照)

THXNK会報 第96号2000 49

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不動産登記法施行絶0周年記念シンポジウム

 等に影響が出た。

(2)改心される登記簿の種類。①土地登記・建物登記(不登法151条ノ2以下)、②みな   し不動産の登記(立木登記・工場財団その他の財団の登記。立木二関スル法律22条   ・工場抵当法48条ノ2等)、③船舶登記・農業用動産登記・建設機械登記(船舶登  記規則1条農業用動産抵当登記令21条・建設機械登記令12条)。但し、②・③に  関しては、改質が先送りされている。

(3)移記される登記事項の範囲。予算の制約等から、不登法76条ノ2に従い「三二効力   ヲ有スル登記ノミヲ移シ又ハ転写」する処置がとられた。

(4)プログラム関係。外字の取り扱いにつき、昭和63年9月1日民三第4941号東京法  務局長宛民事局長通達、氏名に関しては、平成6年11月30日民三第8198号民事局  長通達により対応済み。

2 問題点と課題

(1)予算。予算の制約が、公示の目的・対象・効力の内容に影響を与えている。

(2)改製される登記簿の種類。第1に、土地・建物に限っても、移行対象物件が非常に  多い(2億7。000万筆個。これに対して、イギリスは1.500万、イタリアは4.000万、

  フランスは土地と区分建物で1億4.000万)。なお、現時点では、平成16年度末に  移行完了のめどが立っているとされる(第2章§1−2(3)参照)。第2に、みなし  不動産の登記、種々の動産登記に関しても、早期の改製作業が必要である。

(3)移記される登記事項の範囲。現在記載されている登記事項のうち約60%は現に効  力を有しない登記事項であるといわれる。我が国の法制が登記に公信力を与えてい   ないことから、現に効力を有しない登記に関しても移記する必要があるのではない  か、という疑問が提起されている。

(4)プログラム関係。当初のプログラムが想定していなかった事項として、①登記事項  の誤り、②文字の制限値を超える事項の発生、③カナや漢字が付与された家屋番号、

 ④重複する家屋番号、⑤旧合併登記の所有権事項等がある。一部のものはプログラ   ム修正により対応済みとなっているが、しかし、最近でも「登認晴報センターでは、

 敷地権と信託で、困っているのです。所有権の持分の概念のない合有のようなもの   は、コンピュータにとっては論義不思議なもので、それをどうするかという問題が   ある」という。

(5)人的問題。要員の不足と経験不足から、①誤入力、②能率低下(とりわけ登記簿コ   ピー作業における)等が生じた。但し、この点は、ある程度解消されつつあるよう   に思われる。

(6)改製不:適合物件。平成7年2月10日現在移行作業が完了した登記所における改製不  適合物件の発生状況は、改製対象物件土地・建物合計23。748。257筆個に対して、

 訟訴不適合物件は土地・建物合計220.418筆個であり、未改製率は0。928%。但し、

50 TH:INK会報 第96号2◎00

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 登記実務では、解消のための検討がある程度進んでいる。

(7)地図混乱地域。全国で500カ所以上(昭和58年調査)。①地図整備(第6章§1参照)

 と並んで、②司法・行政側における紛争処理手続機関の設置、あるいは、③当事  者の手続関与(地図訂正の申立権を認める等)の方策が必要となる。

第4章 甲号事務

(1)甲号事務の電子化をめぐる問題は、当事者(及びその代理人)の申請の側面(§1)

 と、これを受理した登記所内部での事務処理の側面(§2)に分かれる。

(2)こζでの問題の中心は、電子化した場合に、登記の真実性をどのように確保するか、

 という点であり、この点との関係で、司法書士が果たすべき役割(司法書士の職域  論・権能論)が議論されている。

§1 申請 1 概要

(1)現行の不動産登認晴報システムは「カウンター内の変更」であって、当事者の行う  登記の申請手続に関しては変更がない。

2 問題点と課題

(1)申請書(35条1項1号)の書式の変更の必要性。電子申請(①OCR申請・②フロ   ッピー申請・③登記所での申請者自身による端末打ち込み申請、④オンライン申  請)に対応した書式への変更の必要性。

(2)申請方法の変更の可能性。ここでは、3つの選択肢があり得る。①出頭主義(現行  26条)を維持しつつ、書式を電子化に対応したもの(OCR申請・フロッピー申請)

  に変更する方法、②郵送申請(書式はOCR申請・フロッピー申請)・③オンライ

  ン申請。

(3)上記(1×2)につき、(a)従来の登記申請書+出頭主義、(b)OCR・FD+出頭主義、(c)

  OCR・FD+郵送申請、(d)オンライン申請、等の全てを認めるか、それとも(d)オ   ンライン申請に統一すべきか。

(4)考慮すべき点1一登記所のみならず、申請者にとってメリットのある制度か(申  請者の負担軽減)。(3Xb)OCR申請・フロッピー申請+出頭主義は、申請者にとつ   ては何らのメリットもない(?)。

(5)考慮すべき点2一現行法の出頭主義(26条)は、真実性担保(本人確認等)の機  能を果たしているか。オンライン申請論者は「果たしていない」との認識に立つ。

  これに対しては、少なくとも即時補正(49条但書)との関係では意味がある、との

THIN:K会報 第96号2◎00 51

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不動産登記法施行狛0周年記念シンポジウム

  反論がある。

 (6)考慮すべき点3  新たな制度において、登記の真実性は担保されるのか。他の省   庁における電子申請においては、(a)押印・(b)本人確認・(c)送受信確認の3点が問題   とされている。他の省庁のオンライン申請においては、(b)本人確認につき①申請者   の出力装置の届出と②申請者への暗証番号(デジタル署名)付与を行うことにより、

  (a)押印を廃止し、(c)送受信確認に関しては、申請者に対して受付番号を付した受領   証を返信する、といった手続がとられている。

 (7)考慮すべき点4一不動産登記に固有の問題はあるのか。(a)不動産登記に関して は、オンライン申請権者を司法書士に限定することにより、登記の真実性の担保を図る べき、との意見もある(更に、およそ代理申請の資格を司法書士に制限すべきであると の意見もある)。(b)これに対して、他の省庁のオンライン申請においては、申請資格者 に制限を設けていない(この場合の真実性担保の手段としては、共同申請主義(26条)

を維持して、両当事者の電子認証を要求すればよい)。

§2.登記官の等号事務処理 1 概要

 (1>登記官のコンピュータによる甲号事務処理も、基本的には簿冊処理の手順(受付→

調査→記入→校合→登記済証の作成・交付)に従って行われる。

2 問題点と課題

 (1)簿冊処理の手順に拘泥する必要はあるのか。

 (2)甲号事件の管轄廃止問題。管轄は廃止できない。→オンライン申請へ。

 (3)受付。かつてオンライン申請が見送られた理由として、通信ゐ遅れによる受付順位   の逆転の問題が挙げられていた。しかし、ISDN回線の発達により、この問題は   既に解消している。

       ㊧  (4)調査。他の官庁の情報を利用することはできないか。

 (5)記入。現状では「記入事務という点については、非常に弱いのではないか」。

 (6)校合。登記所の側で、職権更正登記の迅速処理方法につき検討が進んでいる。

 (7)登記済証の作成・交付。これに関しては、3つのパターンが考えられる。(a)現行法   においては、登記済票を用いた登記済証の作成が予定されている(平成元年5月1

  日民三第1698号民事局長通達)。(b)=登記済票のみの作成・交付。(c)=登記済証制度(60

  条・35条1項3号)の廃止。

  (a)方式。暗証番号方式の採用により、不動産取引は登記後決済に変わる(?)。

  (b)方式。登記済証の再交付を求めることはできるか。

  (c)方式。(イ〉登記済証に変わる本人確認制度の必要性(①印鑑証明書・②電子認証。

52 THINK会報 第96号2◎0◎

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  +司法書士の審査権限強化(?))。(ロ)集配原因証書(35条1項2号)制度の変更   の必要性(①登記原因証書の厳格化の主張(←司法書士の「公証人化」論)、②   登記原因証書の還付問題。③申請書副本(40条)制度の廃止。④オンライン申請   の場合、登記原因証書をどうするか)。の保証書(44条)制度の見直し。

(8)論点整理。(a>不動産登記法上、登記の真実性を確保するための制度としては、①出  頭主i義(26条)、②共同申請主i義(26条)、③登記原因証書(35条1項2号)、④登  記済証(35条1項3号)、⑤登記官の審査(49条)等があり、他方、(b)真実性を低  下させるとして批判されている制度としては、①代理人申請(26条)、②申請書副  本(40条)、③保証書(44条)等がある。

  このうち、(a)①(及び②)・④を、オンライン申請の採用に伴い廃止した場合、

 登記の真実性が低下しないかが問題とされる。

  低下する虞れがあるとの認識は、(a)に関しては、③登記原因証書の厳格化(→司  法書士の審査権限強化論)、⑤登記官の審査権の強化という、正反対の主張となつ  て現れる。

  他方、(b)に関しては、②40条廃止に関してはほぼ一致しているが、③保証書制度  の改善に関してはその内容は必ずしも固まっていない。また、①代理人申請((a②  共同申請主義の廃止論は、この点とも関連してくる)に関しては、代理人資格 (オ  ンライン申請資格)を司法書士(等)に制限するべきとの主張と、自由化の観点か  らこれに反対する主張が存在する。

第5章 三号事務

(1)電子化に伴う謄抄本交付の代替措置としては、登記事項証明書の交付(§1)があ  り、閲覧の代替措置としては、登記事項要約書の交付(§2)・ディスプレイ装置  による情報の供覧(§3)がある。

(2)法務省民事局は、平成10年夏、閲覧の代替措置につき、(§2 に関して)データ  交換方式による登記事項証明書発行(登記情報交換システム。不登法151条ノ3第  2項)、及び、(§3に関して)オンラインによる登記情報の提供を、平成11年度中  と時期を明示してスタートさせることを明らかにした。

§1 登記事項証明書 1 概要

(1)登記事項証明書とは、電子情報処理組織によって記録された登記事項の(a>全部を証  明した書面(全部事項証明書)と(b)一部を証明した書面(一部事項証明書)の総称

THINK会報 第96号200◎ 53

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不動産登記法施行⑳0周年記念シンポジウム

  である(不:登法151条ノ3第1項)。(a)が従来の=登記簿の謄本、(b)が登記簿の抄本に   対応する。

(2)登記事項証明書の種類は、合計6種((a>全部事項証明書と(b)一部事項証明書に大別   され(不登法151条ノ3第3項)、(b)一部事項証明書は、①現在事項証明書・②区分   建物全部事項証明書・③区分建物現在事項証明書・④何区何番事項証明書・⑤所有   者証明書に分かれる)。

   閉鎖登記事項証明書の種類は、合計3種(登記事項証明書と同様、(a>全部事項証   明書と(b)一部事項証明書に分かれ、後者が①区分建物全部事項証明書・②画譜何番   事項証明書に分かれる)。      。

(3阿れの証明書にも、末尾に認証文・作成年月日・登記官の職氏名・職印が付され

  る。

(4)「データ交換方式による登記事項証明書発行(登記情報交換システム。不=登法151   条ノ3第2項)」は、平成11年度中の実施が予定されている。

2 問題点と課題

(1)証明書の書式と公示の対象との関係。不登法細則35条ノ2は、現在事項のみを謄写 した書面(現在事項証明書)も「謄本」としている。公示の対象との関係で問題が生ず る(電子化された後の登記は、「物権の現状を公示する制度」に変化したのか)。

②「登記晴報交換システム」関連。白豆事務管轄廃止問題。甲立事務・自立事務分離

  論。

§2 登記事項要約書 1 概要

(1)登記事項要約書とは、電子情報処理組織によって記録された登記事項の「摘要」を  記載した書面をいう(不登法151条ノ3第5項)。閲覧制度の廃止に伴う代替措置で  ある。

(2毒消事項要約書の種類は、次の2種(不登法細則83条1項)。

 (a)基本的記載事項(1項本文の要約書)。①不動産の表示に関する事項、②所有権   の登記については所有者の氏名・住所・持分・申請書受付年月日・受付番号、③   所有権の登記以外の登記については現在事項のうち「主要な事項」を記載したも   の。

 (b)簡略型(1項但書の要約書)。①不動産の表示に関する事項については現在事項   のみ、かつ③所有権の登記以外の登記については現在事項の箇数のみを記載(②   所有権の登記については(a)と同様)。

(3>要約書に関しては、登霞惰報交換システム(データ交換方式)に乗せない。

54 T田NK会報 第96号200◎

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2 問題点と課題

(1>要約書への記載事項の拡充。平成10年、経済団体連合会から、地役権に関する事項   (地役権の設定範囲・面積)を、申請者の要望に応じて記載・交付するよう要望が  出された。

(2)要約書の制度は無意味化する(?)。上記要望に対して、民事局第三課は、「電子化   された登記情報については、電子化の特性を生かした方法による公開方法を提供す   ること〔=下記§3「オンライン登記晴報提供制度」を指す〕を優先に、各種施策   を検討しているところである」と回答。

§3 オンライン登記情報提供制度 1 概要

(1)平成11年1月(22日?)法務省民事局「オンライン=登記1青報提供制度の概要につい  て」「1 オンライン登記惰報提供制度の意義」

  オンライン登記晴報提供制度は、登記事務を電子情報処理組織によって取り扱う  登記所の=登記簿に記録された情報(以下「登記晴報」という。)を、インターネッ   ト回線を利用して一般利用者が自宅又は事務所のパソコンで閲覧することができる   ようにする制度である。

  本制度については、政府の規制緩和推進三か年計画(平成10年3月閣議決定)に  おいて、平成11年度中に法改正等の措置を講ずることとされており、通常国会にお  いて「電気通信回線による登記情報の提供に関する法律案」(仮称)を提出する予  定である。

(2)同「2 提供する情報」

 ①不動産登記、商業・法人登記の登記簿に記録された事項の全部についての情報    (ただし、不動産登記簿に記録された事項のうち、共同担保目録に記載された事   項については、その提供を受けるかどうかを利用者が選択することができる。)

 ②一〔=①?〕の不動産の所有者に関する情報

(3)同「3 利用方法・手順」

 (1)オンライン登記情報提供制度を利用しようとする者は、あらかじめ指定法人に   利用者の登録をする。

 (2)登録利用者は、自宅又は事務所のパソコンからインターネットを利用して、指   定法人に対し、登記晴報の提供を請求する。

 (3)指定法人は、登録利用者の請求に基づき、専用回線を利用して、登記所のコン   ピュータ・システムに対し、登記情報の提供を請求する。

 (4)登記所のコンピュータ・システムは、指定法人に対し、請求に係る登記情報を

THINK会報 第96号200◎ 55

(13)

不動産登記法施行100周年記念シンポジウム

2

(6)

 その内容を確認する。

(7)子

 各号に定める方法で利用料(登記手数料相当額を含む。)を徴収する。

①自然人である登録利用者クレジット決済

②法人である登録利用者銀行預金口座からの引き落とし 問題点と課題

 送信する。

  なお、指定法人は、国に対し登記手数料の納付義務・を負う。

(5)指定法人は、登記所のコンピュータ・システムから送信された登記堅雪をイン  ターネットを利用して、登録利用者に送信する。

  登録利用者は、送信された登認確報をパソコンの画面に表示し、又は印刷して、

指定法人は、毎月一定日に、次の各号に掲げる登録利用者の区分に応じ、当該

(1>端末設置場所。(a)かつては、アクセス権者を(司法書士等に)限定すべきとの議論  も存在したが、上記公表は、この主張を排斥。(b)パソコンを持たない一般市民のた  めに端末を設置すべきか。①銀行・税務署等に端末を設置、②特別のサービスセン  ターを置く。

(2回報提供時間。上記公表では、不明(24時間?)。

(3)プライバシーの保護。

 (a)登記にプライバシーはあるか。

 (b)昭和63年12月16日法律第95号「行政機i関の保有する電子計算機i処理に係る個人情   報の保護に関する法律」。

(c)登記1青馬の目的外利用の危険を回避する方策としては、①民間についても個人情   報保護のための立法を作る方法、②オンラインによってデータを取得できる者の   範囲を限定する方法、等があり得た。しかし、インターネットによる情報提供が   決定された以上、②の方法はもはやあり得ない。

第6章 不動産登記の「総合的不動産情報システム」化

(1)昭和62年愚行審答申は、「今後の検討課題」として、「不動産に関する総合的情報シ  ステムへの対応」を提言した。その内容は、①「地図情報を充実し、そのコンピュ  ータ化を図る」こと、及び、②「不動産ごとの登認惰報を中核とし、不動産に関す  る他の公的情報をも付加した総合的不動産情報を得ることができるシステム」開  発、というものである。

(2)しかし、昭和63年法改正は、基本的には登記所の負担軽減を目的とする電子化(カ  ウンタ円内の変更)を内容としたため、右提言が直接生かされることはなかった。

(3)ところが、平成6年策定「行政晴報化推進基本計画」以降、不動産登記の「総合的

56 THINK会報 第96号20◎0

(14)

不動産晴曇システム」化への動きは、一気に加速しつつある。

§1 地図整備 1 概要

 (1)昭和63年法改正の際には、「地図整備の諸方策を更に積極的に推進すること」とい   う付帯決議が両院において可決された。

 (2)平成元年1月31日民三第178号民事局長通達「地図整備の具体的推進方策」。(財)民事   法務協会の委託研究「コンピュータによる地図情報処理の調査研究」が始まる。

 (3)平成5年「数値地図管理システム」。数値法によって作製された地図を、座標値に   よって管理することを目的として、全国10カ所の登記所に試行的に導入されたコン   ピュータシステム。

 (4)平成5年不登法改正の際に、「登記事務のコンピュータ化を更に推進するとともに、

  地図のコンピュータ化についてもその実現を図ること。」との附帯決議が参議院に   おいて可決。

(5)地理情報システム(GIS;Geographical Information System)。平成6年12月25日閣   議決定「当面の行政改革の推進方向について」を受けて、政府は、平成7年9月「地   理情報システム関係省庁連絡会議」を設置。

 (6)平成7年「地図管理システム」。数値地図のみならず、登記所が保管するすべての   地図を対象。全国40の法務局・地方法務局に導入。

 (7)平成9年8月27日民三第1488号法務局民事行政部長・地方法務局長宛民事局第三 課長通知「今後の地図整備の方向について」。「行政情報化推進基本計画」「地理情報シ ステム関係省庁連絡会議」等の動きを受けて発出されたもの。「第2 地図管理システ ム」「3 今後のスケジュール」「(2)法整備等」には「平成11年度を目処に、地図を磁気 ディスクをもって調整できる旨の所要の法的措置を講ずるとともに、コンピュータ化ま での経過措置として、システムに記録された情報を地図として法制度上認知し、その写 しの交付等の制度を設けるものとする」とある。また、「第3 地図のコンピュータ化」

「1 基本」には「登営情報システムと連動した独立のシステムの構築を目指す」とあ り、「3 情報の提供」には(1)平成10年度までには実験的コンピュータシステムの開発、

(2)平成11年度には実験:的コンピュータシステムの室内実験及び検証を行い、(3)平成12年 度には登記所の現場においてパイロットシステム実験、(4)平成13年度末までには所要の 法改正作業を行い、平成14年度中の運用開始を目指す、とある。

 (8)なお、平成10年4月22日行政1青報システム各省庁連絡会議了承「行政晴報化の推進   状況報.告  平成9年度における実施状況を中心として  」の「地図管理システ   ム実施経費(法務省)」の項には、地図管理システムを「登記申請事件3万件以上

丁畷NK会報 第96号2◎0◎ 57

(15)

不動産登記法施行栂0周年記念シンポジウム

 の226庁(既配備庁(本局)を除く◎)に平成9年度から14年度までの6年計画で整  備」とある。

2 問題点と課題

(1)地図混乱地域(第3章§3−2(7)参照)。

(2)地震・地殻変動による変化をどのように考えるか。

(3)「登記晴報システムと連動した独立のシステムの構築」(1(7))。

§2 不動産情報の一元化 1 概要

(1)昭和62年錯行審答申における総合的不動産情報システム構想に対して、法務省は消  極的であった。

(2)国土庁の動き      ・

 (a)昭和62年10月閣議決定「緊急土地対策要綱」、昭和63年6月閣議決定「総合土地   対策要綱」において、土地情報の一元化の方針が固まる。

 (b)平成元年12月22日法律第84号「土地基本法」17条、平成3年1月閣議決定「総合   土地政策推進要綱」第10のアにおいて、データベースの計画的整備が要求される。

 (c>国土庁は、平成2年6月「土地基本台帳」計画を発表。平成4年度「土地基本調   査」に着手するとともに、「土地センサス」の設計開始、同年10月1日分土地局   に「土地情報課」設置。

(3)こうした国土庁の動きに対して、法務省は極めて消極的であった。

(4)しかし、平成6年「行政情報化推進計画」、平成7年「地理情報システム関係省庁  連絡会議」等の動きを受け、法務省は、独自のシステム構築を目指し、平成9年8  月27日(上記§1−1(7))第三課長通知を発出。

2 問題点と課題

(1)どのような情報を統合するか。「名寄せ」問題の復活。

(2>公示制度の目的をどのように捉えるか。

58 T:HIN:K会報 第96号2◎0◎

(16)

21世紀に向けての登記システ ムとオンライン申請の課題

七戸 ただいま早稲田大学の鎌田先生か ら、「不動産登記法の100年と司法書士の役 割」というご講演をいただきましたので、

早稲田大学がいままでの100年ということ でしたら、慶応大学としてはこの次の100 年をやってみよう、という形でやらせてい ただきたいと思います。

 喜成会長の最初のご挨拶にもございまし たように、では次の100年は何かといえば、

コンピュータ化、電子登記簿の時代だと思 います。という形で、レジュメに沿ってご 報告させていただきます。

 まず第1章序論の部分をご覧ください。

電子化に関する従来の議論は、資料に挙げ ました①から⑤までの5つに分類できるか と思います。そして、その各々に2章以下 が対応するのですが、時間の制約から、資 料に挙げた事柄をすべて紹介することがで きませんので、省略部分はご質問で受けさ せていただくことにして、内容をかいつま んで、2章以下から述べさせていただきま

す。

 第2章の「『行政の情報化』の一環とし ての不動産登記の電子化」の部分です。今 後電子化がどのような形で進んでいくかと いう問題は、歴史的な縦の流れと日本の行 政全体の横の流れの双方から検討する必要 があります。

 まず縦の流れが「§1 不動産登記の電 子化の歩み」です。我が国において不動産 登記のコンピュータ化の研究が開始された のは昭和42年といわれています。それ以 降、昭和63年不登法の改正に至るまでの流 れは、資料(1)から(8)までに挙げた

とおりです。ここまでの流れの内容に関し ては、皆さま方には「釈迦に説法」ですの ですべて省略いたしまして、結論だけを述 べますと、これら昭和63年の改正に至るま での電子化の流れというのは、要するにそ の目的は登記事務の軽減化にありました。

したがって、昭和63年改正における変更点 も、要するに登記所内部、カウンター内部 の変更にとどまるのであって、それを超え た変更というのは基本的に意図されていま せんでした。それが63年法改正の目的で

す。

 ところが、2の「平成6年策定『行政情 報化推進基本計画』以降の歩み」をご覧く ださい。この基本計画を受けて、法務省の 不動産登記の電子化の目的も大きく変更さ れます。というのは、この基本計画におい ては、まず行政機関内部の事務処理を合理 化、迅速化する情報システムの整理という

ことがいわれます。これは63年法改正の目 的と同一です。ところが、これに加えて新 たに3点、まず第1に、申請・届出・報告

・相談等の電子化、オンライン化を業務内 容に即して促進する。第2点目は、電子的 縦覧・閲覧を推進する。第3点目は、各行 政手続を一元的、電子的に処理する行政手 続システムのあり方を検討する、以上の3 つの目的が、平成6年以降新たに加わるわ けです。これは閣議決定ですが、これを受 けて、法務省の内部においても、昭和63年 改正までの目標であった登記事務の軽減化 の目的に加えて、まず第1に申請のオンラ イン化を進めなければならない、第2に閲 覧を電子化しなければならない、第3に不 動産情報を一元化しなければならない。こ の3つの目的を新たに加えざるを得なくな ったのはこういう事情からです。

THINK会報 第96号20◎◎ 53

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不動産登記法施行笛0周年記念シンポジウム

 以上が、法務省の不動産登記の内部の縦 の流れですが、次に「§2 行政の情報化」

全体、横の流れの中で電子化を位置づけて みます。

 まず第一に、法務省の内部全体を見てみ ますと、不動産登記の電子化というのは、

法務省内部においては戸籍情報システム、

地図情報システム、商業登記情報システ ム、債権譲渡登記システムといった一連の 電子化の中に位置づけられます。ちなみ に、商業登言引虚報システムと債権譲渡の登 記システムは、不動産登記情報システムと 併せまして、登記情報システムと呼ばれて おりますが、これは単なる呼び方でくくっ たわけではなくて、法務省のコンピュータ のシステム構造それ自体に関わる問題であ るということに留意したいと思います。つ まり、登記情報システムという名前のメイ ンシステムの下に、不動産登記情報システ ムとか商業登記情報システムといったサブ システムがぶら下がっているというわけで す。したがって、こういつた階層システム の結果、不動産登記と商業登記と債権譲渡 登記、この3つの電子化の内容は相互にシ ステム的に、あるいはプログラム的に影響 し合う関係になっております。つまり、単 なる名前の問題ではないということです。

 第二に、他の省庁における電子化との関 係も重要です。行政の情報化あるいは電子 化というものは(2)に書きましたように、

歴史的には、データの計算処理と電磁的記 録、磁気テープとか磁気ファイルへの記 録、保存という初歩的な段階から開始され ました。国の行政機関におけるコンピュー タの利用というのは、昭和34年の気象庁の 電算機導入に始まるわけですが.これはも

っぱら統計処理のためのものです。

60 T田NK:会報 第96号2◎◎◎

 そして、次にくるのが(3)の(a)(b)

(c)の立法です。まず一番早かったのが

(b)の特許庁の工業所有権で、これは39 年です。次に古いのが運輸省の自動車登録 権で、44年です。次が、比較的最近といえ

ば最近ですが、昭和60年の住民票です。こ れら(a)(b)(c)の立法は、たかだか 電子化の歴史の(ロ)の段階、つまり電磁 的記録の段階と、それから閲覧の一部、要 するに電磁的記録で保存したものをただ打 ち出して、そのペーパーを渡すというかぎ りの電子化にとどまっているわけです。そ して昭和63年法というのは、この3つ、

(a)(b)(c)の立法を参照して改正さ れた、というわけです。

 ところが、レジュメの(4)、その後他 の省庁における電子化というのは大幅に進 展します。ここに挙げた①から⑭までの事 例は、総務庁行政管理局が電子化に対応し た申請・届出等の改善事例集に掲げている ものです。つまり、直接には(2)(ハ)

の段階の改善事例を挙げているんですが、

これらは同時に、行政情報の電子的提供や 行政情報の一元化のモデルケースでもあり

ます。この中では、申請にかぎっていえば、

①から⑦までがオンライン申請、⑧から⑭ がオフライン申請で、したがって、前半の 7つの事例のほうがより電子化の過程とし ては進化した事例です。そのなかでも進ん でいるのが①の大蔵省の各種税関手続の電 子化、「NACCS」といわれているもの、

それと⑤の特許庁のペーパーレスシステム です。この2つは我が国電子立法の中でも 最高の成功事例といわれます。

 これら行政情報化のモデルケースとして 挙げられている事例は、上記電子化の内容 の(イ)(ロ)(ハ)(二)(ホ)のすべての

(18)

段階を満たしております。ところが、先ほ ど述べましたように、 昭和63年改正による 登記情報システムというものは、いまだに 電磁的記録という初期的な段階しか満たし ていない。乙案事務に関してはようやく来 年度より実施されますが、甲号事務に関し てはいまだにめどが立たない。オンライン 申請に関してはまだ予定中。また、不動産 情報の一元化に関してもやっと動きだした ばかりというわけで、電子化への対応は比 較的早かったわりには、その発展が非常に 遅い。その理由としては、資料の(5)に 挙げたような事情が考えられるかと思いま

す。

 そこで、こういつた縦の流れ、横の流れ を見据えた末での今後の展望ですが、(6)

で今後の不動産登記その他の法務省管轄の 甲号の電子化は、行政情報化の先行事例の 中でも、工業所有権に関する特許庁「ペー パーレスシステム」を参考に進んでいくと いうのか、たぶん進んでいかざるを得な い、行政情報化との兼ね合いで、総理府総 務庁側との兼ね合いで、そう進まざるを得

ないだろうというのが私の予測です。

 次に「第3章 システム構成」に入りま

す。

 まず「§1 不動産登記ファイル」から 説明しますが、その概要に関しても、皆さ まにはご説明の必要もないと思いますの で、すべて省略いたしまして、レジュメペ ージの「問題点と課題」から入ります。

 ここでは、不登窯つまり手続法上の問題 と、実体法つまり民法上の問題の2つの問 題が生じます。

 まず不参法との関係でいえば、(1)に 挙げた諸規定の改正問題が起こってきま す。例えば(a)の土地登記簿・建物登記

簿の区別というのは、磁気ディスクにおい てはもはや観念的なものにすぎません。と いうのは、登記情報システムにおいては、

土地に関する登記事項と建物に関する登記 事項は同じ磁気ディスクの中に保存されて しまうからです。皆さまお使いのコンピュ ータのハードディスクやフロッピーディス クを想像されればおわかりになると思いま す。例えば、私のいまのコンピュータのハ ードディスクには、この発表原稿も入って いれば、有斐閣の原稿もそのまま入ってい ます。これを指して、不登法14条のように、

「登記簿ハ土地登記簿及ヒ建物登記簿ノニ 種トス」というのはいかにもしっくりきま せん。同じように、不登法15条、16条、21 条などというのは、やはり簿冊主義を前提 としておりまして、どうも磁気ファイルと いう構造にはしっくりこない規定である。

さらに、76条の「事項過多による転記」の 条文に関しては、既に63年改正でも151条 の5が新設されているわけであって、完全 にペーパーレスシステムに移行すれば、も はや76条は死文化するという具合です。

 もっとも、以上に述べた不登法上の改正 問題というのは、当盤といえば夏雲な事柄 で、むしろ重要な問題は、(2)に書きま した、このような登記簿の構造変化が実体 法に及ぼす影響の側です。まず問題となる のは(a)、つまり簿冊主義から電子登記 簿への移行は、公示の対象をめぐる議論に 変化を来すという点です。先ほどいいまし たように、磁気ファイルに記憶されている データは、それ自体が全く意味のない、た だ電子的な文字列にすぎません。したがっ て、これから日本の登記において公示され る対象は何なのかという議論は、その登記 簿というか、磁気ファイルというハードの

T田NK会報 第96号20◎◎ 61

(19)

不動産登記法施行100周年記念シンポジウム

面ではなくて、その中に何を打ち込む、ど んな情報を打ち込むかという、インプット のプログラムの問題、それから、それをど

うやって、どういうソフトで引き出すかと いう、アウトプットのプログラム問題、こ の2つのプログラム問題に分化してしまう

と思います。

 このうちのインプットプログラムに関し ては、あとで述べる§3の改製作業、アウ トプットの側に関しては第5章で検討しま すが、結論を先取りしていえば、そのいず れの側面においても、現在行われている電 子化では、公示の対象は物権変動の過程で はなくして、 ドイツと同じような、物権の 現状といわざるを得ないと私は判断してお

ります。

 そうしますと問題となってくるのがレジ ュメの(b)登記の公信力の問題です。一 般に我が国の登記には公信力が認められて いないから、これから取引に入ろうとする 者は時効まで遡って、物権変動の過程を調 査しなければならないといわれます。した がって、振り返って日本の登記制度は、物 権変動の過程を公示する制度でなければな らない、こう説かれるわけです。ところが、

電子化によって登記が物権の現状を公示す る制度に変化したとなると、これとの権衡 上、登記に公信力を付与することによって 第三者を保護する必要が出てくるのではな いか、こういう議論が行われるわけです。

 次に「§2 分散処理・3階層ネットワ ーク」。これは非常に技術的な問題ですが、

一部だけ申し上げますと、分散処理・3階 層ネットワークの採用の理由というのは、

一つは従来の管轄に馴染むという点であ り、もう一つは障害対策のためのフェイル

・セーフの思想にあった。ところが、どう

62 TH:IN:K会報 第96号20◎0

もそれを超えて、行政情報化の中で情報の 一元化とのからみを考えてきた場合、もは や3階層ネットワークの側も変更しでいく 必要があるのではないかというようなこと がいわれている、という点だけを指摘し て、次の改製作業に移ります。

  (1)の「概要」は、皆さまご存じのと おりですので省略して、「問題点と課題」

のみを説明しますと、まず第一に予算。限 られた予算をどこに使うかというのは、制 度の基本設計と密接に関連する問題です。

例えば公示の対象に関する議論についてい えば、登記は物権変動の過程を公示する制 度であるという建前を貫きたければ、限ら れた予算はすべて取得時効期間まで遡る物 権変動の連鎖に投入しなければならない筈 です。あるいは、それを見越しただけの予 算を計上しなければならない筈です。とこ ろが、法務省はこれを行いませんでした。

つまり、現在事項のみの速記でよいとした わけです。果たしてこれでよかったのかに ついては、昭和63年改正の国会審議でも論 議されておりまして、総予算5000億円で よかったのか、十分なのか、あるいは、登 記に公信力を認めないスウェーデンでは、

あとになってあわてて過去の所有者につい ての権原連鎖も電子化を始めたけれども、

日本でやらなくて大丈夫なのか、といった 議論が行われたわけです。

 次に(2)の「改製される登記簿の種類」

ですが、日本の場合、移行対象物件は2億 7000万幽玄と、異様に多いわけです。そ して、この点が現在事項のみの移記につな がったということですが、その結果、まず 第一に、みなし不動産の登記である、種々 の動産登記の改心は先送りされる結果にな りました。これは早期の全面移行が必要に

(20)

なってくるかと思います。

 次に(3)の「移記される登記事項の範 囲」。先ほど来述べておりますように、こ の点が最大の問題で、現在記載されている 登記事項のうち約60%は、現に効力を有

しない登記であるといわれています。した がって、確かに移行対象物件があれだけ多 いのに比べて、この現在事項以外の事項も 登記するとなれば、予算的に非常に厳しい

というのはわかります。しかし、もし我が 国の登記が公信力が認められていないとい うことであるのならば、現に登記を有しな い事項に関しても移記する必要は当然出て きた筈です。ところが、これは行われなか

った。

 次の(4)から(6)までは、現在比較 的解消されつつあるので省略しまして、

(7)の「地図混乱地域」。これに関して は現行法では如何ともしがたい部分があり ます。ここでは、地図整備とならんで、司 法・行政側においては紛争処理手続を新た に設ける必要があるのではないか、あるい は当事者に対しても、自分の土地は自分で 守れといった形の手続関与が必要なのでは ないかといった提言がなされております が、本格的な検討はこれからという感じで

す。

 次に「第4章 建直事務」。申請の電子 化をめぐる問題というのは、当事者及びそ の代理人の申請の側面と、これを受理した 登記所内部での事務処理の側面に分かれま す。その各々に§1と§2が対応するわけ

です。

 そして、ここでの問題の中心は、電子化 した場合に登記の真実性をどのように確保 するかという点で、この点との関係で司法 書士が果たす役割が議論されます。

 まず申請に関しては、現行法の立場は「カ ウンター内の変更」であって、当事者の申 請手続に関しては全く変更がない。

 そこで「問題点と課題」ですが、まず第 一に、ここでは不登法35条1項1号の要求 する登記申請書の書式に関して、これを電 子化に対応したパターンに変える必要があ る。これには①から④の方法がありえると 思います。他方、提出の方法という観点か ら見ますと、その方法は(2)に挙げた出 頭申請、郵送申請、オンライン申請の3つ が考えられ、これと(1)で挙げた4つの 方法のどれを組み合わせるかというのが問 題となってくるわけです。

  さらに、(3)に書きましたように、こ れらの方法を並列的に認めるのか、どれか 1本にしぼるのか。しぼるとなれば当然オ ンライン1本ですが、その点も問題となっ

てくる。

 以上の選択肢のどれを選ぶかを考える際 に留意すべき点というのが、(4)から(7)

の4点になるかと思われます。

 その第一は、制度が、登記所の負担軽減 のみならず、申請者の負担も軽減するもの でなければならないという点です。その意 味で(1)に挙げた方法のうちの③は消え るだろう。それから、(2)で挙げた方法 のうちの郵送申請も実は消えるのではない かと踏んでいます。それから、OCR申請

・フロッピー申請という組み合わせも、行 政情報化推進基本計画のモデルケースにお いては、単に行政事務に都合がよいだけ で、申請者にとっては何のメリットもない 制度という評価がなされています。総務庁 の評価です。したがって、これも法務省は たぶんとりにくいだろうと踏んでいます。

 それから、行政情報化推進基本計画との

THINK:会報 第96号2◎◎0 63

(21)

不動産登記法施行100周年記念シンポジウム

関係ではもう一点。そのモデルケースと称 賛される特許庁のペーパーレスシステム は、去年(平成10年)の5月6日の法改正 によってオンラインシステムに統一しまし た。特許庁がペーパーレスシステム、これ は紙申請とフロッピー申請も同時に認める やり方でしたが、これに移行したのが平成

2年のことでしたから、たった8年で併用 型は廃止されたということです。例外的に オンライン事情が悪感ときのみ申請は受け 付けますが、原則は廃止です。その背後に は、オンライン申請の圧倒的な支持があり ます。ペーパーレスシステムが導入された 平成2年の出願件数の割合は、オンライン

申請が42.8%、フロッピー申請は48。5%、

紙申請は既にわずか8。7%でした。さらに

平成8年になると、オンライン申請は

67.2%にまで増えたのに対して、フロッ ピー申請は28.5%まで落ち込みます。さ らに、紙申請はわずか4.3%まで減りま

す。

 そういう意味では、先ほど(3)に書き ました、あらゆる方法を認めるのが申請者 にとって便利だという論理は成り立たない のではないか、ということになります。つ まり、工業所有権のように、オンライン申 請が圧倒的に便利で、しかも問題がなけれ ば、最初から法改正はオンライン申請一本 でいってさしつかえないという例を、特許 庁の例が示していると考えます。

 しかし、そこにはミ問題がなければ鳶と いうのが留保付きなわけで、もっぱらオン ライン申請を念頭に考えてみますと、現行 法との関係では、次の2つの点において問 題があるかと思います。

 その1は、不動産登記法26条の出頭主義 が廃止されるという点、その2は、不密法

64 TH脳:K会報 第96号20◎O

35条の1項の2号から5号まで、登記原因 証書から代理権を証する書面までが、廃 止、ないしその他の制度に置き換えなけれ ばオンライン申請はできないという点で

す。

 このうち、出頭主義に関しては、資料の

(5)に書きましたように、現行法の出頭 主義は真実性担保の機能を果たしていない という認識がオンライン申請論者の基礎に はあります。

 他方、問題は35条1項2号から5号まで の書面をオンライン申請の場合にどうする かという点ですが、これはかなり悩ましい 問題だと思います。(6)に書きましたよ うに、行政情報化推進基本計画において は、押印と本人確認と送受信確認をどのよ うに行っているかという点が問われており まして、モデルケースにおいては、資料に 書かれたような処理がなされています。し かし、これをそのまま不動産登記に応用で きるかというと、なかなか難しい。例えば 登記原因証書について、オンライン申請の

もとでは売買契約書をどうやって電子的に 送るのかというと、画像で送るわけにもい かないし、結局これは無理です。したがっ て、ここでの考え方は二通りになるかと思 います。

 一つは、先ほど鎌田教授からもご説明が ありましたが、かつてのドイツのように、

物権行為の独自性説に立って、176条の意 思表示をオンライン申請行為中に認定する という方法が考えられるかと思います。も う一つは、現行ドイツ法とフランス法の立 場と同様に、司法書士その他(公証人でも 弁護士でもいいんですが)が.いままでの 登記官に代わって、原因証書の審査を行っ たのち、彼がオンライン申請を行うという

(22)

パターンです。

 ただ、オンライン申請において、本人申 請を全く排除して、もっぱら司法書士のも とからのオンライン申請しか認めないとい うパターンは問題が大きいと思われます。

(7)にも書きましたように、他の省庁の オンライン申請においては、申請資格者に 制限を設けておりません。オンライン申請 資格を司法書士に限定するやり方は、これ との関係で問題が生ずると思われます。ち なみに、平成9年度の特許の出願件数は、

日本人の出願に関していえば、弁理士によ る代理出願が86.26%であるのに対して、

本人出願は13。54%です。つまり、不動産 登記に関しても、司法書士による申請のメ リットが本人申請よりも大きければ、弁理 士による出願と同様、おのずと制度的な制 限など設けなくてもその方向に向かってい

くと考えられます。

 以上、35条1項2号の登記原因証書につ いて例を挙げて説明しましたが、3号の登 記済証に関してもかなり大きな問題があり

ます。4号の、第三者の許可・同意・承諾 書に関しても、登記原因証書と同様の問題 が生ずる。5号の代理権に関しては、特許 庁のペーパーレスシステムでは包括委任状 という制度を設けていますが、これはどう も不動産登記には使いにくいなという感じ

です。

 ちなみに、35条2項3号の手続に関して は、6章で述べる一元化が進んで、官庁問 がオンラインで結合されれば解消する問題 だとは思います。

 次に岡寺事務処理の場合ですが、これは 登記所の側の話ですので、今回のご報告で は大幅に省略したいと思います。ただし、

「問題点と課題」の(7)部分だけは説明

しておく必要があると思います。つまり、

先ほどのオンライン申請とも関連するので すが、登記済証をどうするかということが どうしても問題となってくるわけで、ここ では(a)(b)(c)の3つのパターンが あります。このうちの(a)の方式が現行 法で、したがって我々は現行法の解釈論と

して、これをどうするかという問題に直面 しているわけですが、現行法の立場では、

どうも登記済票というのを打ち出して(こ れには暗証番号がつけられているのです が)、この登記済票を登記原因証書に添付 することによって登記済証を作るというこ とを考えているようです。ところが、そう なりますと、司法書士は登記済証の真実性 を審査することができなくなります。なぜ なら、暗証番号の審査ができるのは暗証番 号を知っている者、つまり登記所のみであ って、司法書士は権利証、つまり登記済証 が偽造なのか真正なのか、全く審査できな くなる。その結果どうなるかというと、不 動産取引は登記後決済に変わらざるを得ま せん。そしてこれが現行法の予定している 立場なのです。ところが、この点がどうも 私にはよくわからない。私が読んでいる資 料では、司法書士の先生方はオンライン申 請の側を中心に議論されていて、あるいは 登記原因証書の側を議論・されて、いま申し 上げたような登記済証の問題をご議論され ていないように思いますが、すでに司法書 士の側では何らかの形でこの点に関する対 応策がとられているわけでしょうか、この へんはむしろ司法書士の先生方にご教示い ただければありがたいです。次に、(b)

の方式はあまり賛同を得られていないので 省略して・一。つまりなぜ賛同を得られ ていないかというと、それは登記済証を廃

丁腿NK会報 第96号20◎◎ 65

参照

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