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平面コイルの相互誘導を利用した磁歪効果型力(ひずみ)センサ

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Academic year: 2021

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平面コイルの相互誘導を利用した磁歪効果型力(ひずみ)センサ

古賀 文隆*1 笹田 一郎*2

Magnetostrictive Effect Type Force (Strain) Sensor Using Mutual Induction of Planar Coils

Fumitaka Koga and Ichiro Sasada

機械構造物に加わる力を把握するには,測定したひずみ量から換算する方法が多くとられている。そのためひず みセンサは力の測定に多く用いられており,磁歪効果を利用すると高感度なひずみ・力センサが実現できる。本稿 では,アモルファス磁歪箔と一対の平面コイルを積層した新しい構造を持つ力センサを提案,試作し,評価を行っ た。本センサは,機械構成要素に接着された磁歪箔に応力が加わることにより誘導される磁気異方性の変化を,一 対の平面コイル間の相互インダクタンスの変化として検出する。断面が15×15mm2のアルミニウム角棒の側面に接 着したMetglas2605SCアモルファス磁歪箔と巻数が16回の一対の平面コイルを用いた力センサの基本特性を評価し た結果,励磁条件が1MHz,60mAのときに38.4mV/Nm(1.57mV/με)の感度が得られた。

1 はじめに

機械構造物に加わる力を把握する際,最も直接的に 測定可能な物理量であるひずみを測定し,その値から 力を換算する方法がとられることが多い。そのためひ ずみセンサ(ストレインゲージ)は力の測定に多く用 いら れ てお り ,磁 歪 効果 を 利用 す ると 高 感度 な ひず み・力センサが実現できる。本稿では,アモルファス 磁歪箔と平面コイルを積層した構造の力センサを提案 し,試作及び評価を行ったので報告する。本センサは,

被測定物に固定したアモルファス磁歪箔には通電する 必要がなく,コイル及び配線は容易に着脱可能である。

また2個のコイルの相互誘導を利用するもので,原理 上は力が無印加のときに出力がゼロとなり,検出回路 系が簡単になる特徴を有している。

2 動作原理

図1に検出ヘッドの構造を示す。検出ヘッドは,一番 下に磁歪を有するアモルファス箔,その上に直交させて 配置した2つの平面コイルがあり,一番上に励磁効率を 高めるためのヨークとして用いるアモルファス箔を密着 させて重ねた構造になっている。平面コイルは,一方を 励磁コイル,他方を検出コイルとして使用する。磁歪箔 のみを被測定物に接着し,平面コイルおよびヨークは近 接して配置されていればよく,必ずしも接着する必要は ないことから,コイルやそれに付随する配線は着脱可能

となる。

図2に動作原理を示す。白抜きの矢印は磁束を表して いる。応力がゼロのとき,励磁コイルで発生される磁束 は図2(a)のようになる。励磁コイルの中心部で発生され る磁束は検出コイルには鎖交しないため検出コイルの電 圧誘起に寄与しない。また,励磁コイルの外周部で発生 される磁束は検出コイルに鎖交するが,全体では相殺さ れるため検出コイルに電圧は誘起されない。磁歪定数が 正であるアモルファス磁歪箔に図2(b)のように横方向に 引張応力σを加えると,応力誘導磁気異方性により,励 磁コイル中心部の磁束は回転して検出コイルに鎖交する 成分が発生する。また,励磁コイル外周部の磁束には増 減が生じて相殺されていたバランスが崩れ,検出コイル に電圧が誘起される。圧縮応力を加えた場合は,検出コ イルに逆位相の電圧が誘起される。検出コイルの誘起電 圧を同期整流することで応力印加の向きに対応した出力 電圧が得られる。

アモルファスヨーク 平面コイル (上側コイル) 平面コイル

(下側コイル)

アモルファス磁歪箔

図1 検出ヘッドの構造

*1 機械電子研究所

*2 九州大学

(2)

図3 励磁電流をパラメータとした感 度の周波数特性

0 10 20 30 40 50

10 100 1000

80 mA 70 mA 60 mA 50 mA 40 mA 30 mA 20 mA

Sensitivity (mV/Nm)

Frequency (kHz)

3 実験 3-1 実験方法

平 面コ イ ル は , 厚さ50μmの ポ リイ ミ ド 基 板 上に 厚 さ35μmの銅の 螺旋パ ター ン を形成 した も ので, 大き さ は 10 × 10mm2, 巻 数 は 16 回 で あ る 。 磁 歪 箔 に は Metglas2605SC,ヨークに はMetglas2705Mを用いた。

検出ヘッドのうち磁歪箔のみを断面15×15mm2,長さ 約150mmのアルミニウム製の角棒の側面に接着剤で固 定し,平面コイル及びヨークは両面テープで固定した。

アルミ角棒の一端を固定して片持ち梁の状態にし,検 出ヘッド装着部に±0.49Nmの曲げモーメントが生じる ように他端に力を印加したときの出力電圧の変化から 感度を算出した。このときアルミ角棒の検出ヘッド装 着部に生じる変異量δl/lは±12×10-6である。

3-2 実験結果

図3に励磁電流をパラメータとした感度の周波数特性 を示す。図3より,感度は励磁周波数の上昇と共に増加 し,励磁周波数1MHz,励磁電流60mAのときに38.4mV/Nm

(変位量 δl/l = 10-6当り1.57mV)の感度が得られた。

しかし単位力あたりの相互インダクタンス変化に着目す ると,10~20kHzをピークに励磁周波数と共に減少する 傾向が見られた。表皮効果を考慮すると磁歪箔に多くの 磁束を集中できる高周波が有利であると考えられるが,

高周波では励磁コイルにより発生される磁束が減少する ため,力(ひずみ)から出力電圧への変換効率がピーク となる励磁周波数が存在し,今回用いた検出ヘッドでは 10~20kHzで最大約0.41μH/Nmの単位力あたりの相互イン

ダクタンス変化が得られた。相互インダクタンス変化が 大きかった励磁周波数20kHz,励磁電流80mAのときの入 出力特性を図4に示す。ヒステリシスも小さく直線性も 良好であった。

検出コイル 磁歪箔+励磁コイル

(a) 応力がゼロの場合

(b) 横方向に引張応力が加わった場合 図2 平面コイルによる力の検出原理

(白矢印:磁束 黒矢印σ:応力)

σ σ

検出コイル 磁歪箔+励磁コイル

4 まとめ

直交させて重ねた2つの平面コイルをアモルファス 磁歪箔とアモルファスヨークで挟み込んだ構造の検出 ヘッドを持つ力センサを提案,試作した。断面が15×

15mm2のアルミ角棒に取り付けて曲げモーメントを加 え た と き , 38.4mV/Nm( 変 位 量 δl/l = 10-6当 り 1.57 mV)の感度が得られた。また,実質的な感度を表す励 磁-検出コイル間の相互インダクタンスの変化に着目 すると最適な励磁周波数が存在し,今回試作したセン サ で は 10~ 20kHzが 最 も 効 率 的 で , 0.41μH/Nmの 単 位 力あたりの相互インダクタンス変化が得られた。

5 掲載論文

電気学会論文誌 A, 127 巻(6 号),pp.355-360(2007)

0 1 2 3

-1 -2 -3

Outputvoltage(mV)

図 4 入出力特性

0 0.5

-0.5

Bending moment (Nm)

0 10

-10

Strain l/l (×10δ −6)

参照

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