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島根大チュートリアル学習2011

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Academic year: 2021

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島根大 チュートリアル学習2011 全身病理と口腔病理 東京歯科大学市川総合病院臨床検査科病理 田中 陽一 Bench pathologist? 病理学は解剖病理から発展してきたが、近年は生検、迅速や手術検体を主体とした外科 病理学に移行してきた。病理医も椅子に座って診断していたbench pathologist から、臨床 と直結した臨床科の一員としての役割が大きい。大学教育ではいまだに基礎科目として認 識され、病理総論が重視されている。近年の病理医の不足はこの辺にも原因があり、日本 病理学会でも病理診断科の標榜に合わせて、病理医獲得に動いている。わが国の病理専門 医は2000 名程度で、都市部や大学病院に集中し、市井の一般病院では一人病理医、あるい は外注などの状況である。口腔病理医も日本病理学会が認定しており、130 名程度で状況は 同様である。口腔病理専門医試験は60%が医科と同様の試験問題で、一般病院や大学医学 部に勤務する歯科医も増え始めた。麻酔医、産婦人科医の不足は周知されているが、病理 医不足を知る人は少ない。このままの状況が続けば外科領域の衰退は避けられない。 口腔とは? 口腔の定義は、立場や規定によってやや異なる。WHO での口腔癌は咽頭を含めており、 がんセンターの統計なども咽頭を含めることが多い。UICC の定義はやや異なり表 1 の様に なっているが、手術などでの実際的な線引きは難しい。また口腔ほど多数の疾患を抱える 領域もない。そして歯原性腫瘍など歯科特有の疾患や皮膚科と同様の粘膜疾患など多岐に わたる。一般歯科医は全身の状態把握に疎く、一般医は歯科の疾患に弱い。口腔病理も同 様で、歯科医も全身疾患に精通する必要がある。一般病理医も口腔領域を苦手とする人が 多い。口腔癌、咽頭、喉頭癌、食道癌など共通の発がん物質によるものや、組織類似性を もつものなど全身病理と口腔病理は密接な関係にある。共通する疾患や初発症状が口腔で ある疾患も少なくない。口腔は可視的で直接ふれることができる数少ない領域で、がん研 究や治療効果の確認などでも有利である。近年口腔がんに罹患する人に他の領域のがんが 多く発生することが知られ、スクリーニング的な要素も加わった。東京歯科大学市川総合 病院でも口腔がんの患者の上下部消化器検査は必須である。 口腔がん 全世界で口腔がんによる死亡者は年間34 万人といわれ、わが国でも 6500 人を越えた。 口腔がんは全腫瘍の1-2%であることを考えると死亡率が高く、近年問題となっている。こ れは進行した状態で発見されることが多いことによるが、口腔初期がんは自覚症状がなく、 一番の担い手である、歯科を含めた一般診療所の医療関係者の関心が低いことにも原因が

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ある。最も診療機会の多いと思われる歯科の責務は大きい。また老人施設など介護関係の 関与も少ない。米国では1960 年代に歯科医師会や州が中心となり、細胞診を用いた検診シ ステムが始まり致死率低下に繋がった。進行した口腔がんは、摂取、嚥下、構音障害が強 く、顔面の破壊を招くこともあり、口腔がんほど社会から隔絶されるがんも少ない。わが 国は先進国で唯一口腔がんの死亡率が増加している。近年歯科医師会、大学、行政などの 口腔がん検診が注目を集めている。市川市、千葉市、東京都の一部そして島根大などが中 心であるが、全国的な展開が待たれる。また今後耳鼻科、頭頸科などとの協力も視野に入 れなければならない。口腔がんは同じ扁平上皮領域の子宮頸がんと対比されることが多い。 上皮性異形成dysplasia、上皮内癌、進行癌と発育していくことも知られ、細胞診、生検な どでも同一に診断されてきた。しかし子宮頸癌では上記の段階的発育が明瞭な癌が多いが、 口腔癌では表層には異常がなくても深部で早い段階から浸潤する癌が一般的である。その ため近年では扁平上皮内病変squamous intraepithelial neoplasia SIN とする病理医もい る。子宮頸がんにはCIN cervical intraepithelial neoplasia があり、発生機序の違う領域で 類似した記号、概念を用いることに反対する意見もある。また口腔癌取扱い規約、頭頸部 癌取扱い規約、WHO 分類など統一性がなく混乱を招いており、皮肉にも癌同様早期の対応 が望まれている。 臨床的には歯周病やカンジダ感染、そして白板症などの前癌病変との鑑別が問題となる。 細胞診を含めた、病理診断が決め手となり生検が一般的である。しかし生検はがんという 危険地帯に踏み込むことで、腫瘍散布の点で問題もある。あらかじめ手術日程を決める、 抗がん剤の術前投与などと共に細胞診の導入など様々な配慮が必要である。私は病理医と しての反省もあるが、今まであまりに生検に頼る傾向があったと感じている。細胞診を推 進する理由はそこにあるが、病理は診断技術として組織学的検索、細胞学的検索または腫 瘍マーカーや蛋白発現、遺伝子検索など多くの武器を持たなくてはならないと考えている。 今後は益々その傾向が強まるであろう。 唾液腺腫瘍 口腔内の唾液腺腫瘍の約半数は悪性で、罹患率は高くないが注意を要する。口腔では腫 瘤として自覚する事が多く、潰瘍形成が生じない初期の段階では臨床的に良悪性の判別は 困難である。1992 年の WHO 分類では、腺房細胞癌、腺様嚢胞癌、粘表皮癌の 3 大悪性腫 瘍が主体であったが、2005 年の改定では basal cell ca., PLGA,上皮-筋上皮癌などを含め 24 に分類された。細分化された嫌いがあるが、全身病理と口腔病理の接点としても興味ある 領域である。唾液腺診断はFNAC, fine-needle aspiration cytology の発達が大きい。FNAB, biopsy ともいわれ、細胞診が病理医に注目されるきっかけともなった。北欧を中心に正診 率は90%程度と言われるが、これはかつてのデータで、近年の 24 分類になってからの組織 型判定のデータは定かではない。しかし唾液腺腫瘍は生検が禁忌とされ、迅速診断ととも にFNAC の存在価値は高い。

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歯原性腫瘍

口腔病理の主体は扁平上皮癌とともに歯原性腫瘍であることは言を俟たない。もっとも 一般的な腫瘍はエナメル上皮腫で、単房性のこともあり顎骨に発生する嚢胞や嚢胞性腫瘍 との鑑別が必要である。医科からの consult case が多いのも特徴で、頭蓋咽頭腫、骨 adamantinoma などとの組織類似性も興味深い。歯牙発育段階での腫瘍化のため各種の硬 組織形成があり、ameloblastic fibroma, fibrodetinoma, fibro-odntoma など診断名が複雑 となる。また良性腫瘍であるが顎骨侵襲性が高く、悪性型もあり全身転移を来たし死に至 る 疾 患 で も あ る 。 嚢 胞 性 腫 瘍で 2005 年 WHO から腫瘍と分類された keratocystic odontogeic tumor も、発育性嚢胞である follicular dental cyst や単房性エナメル上皮腫と の 鑑 別 が 問 題 と な る 代 表 的 な 疾 患 で あ る 。 さ ら に 顎 骨 は ossifying fibroma, fibrous dysplasia, aneurismal bone cyst, simple bone cyst など一般病理でも馴染みのある疾患も 生じる。口腔病理でも全身疾患に精通していなければならないが、逆も真で一般病理でも 口腔病理を学ぶと得るところが多い。口腔も全身臓器の一つであり、消化器や呼吸器の入 り口である。皮膚科疾患、骨軟部疾患、血液疾患、そして癌を含め共通項は多い。全身病 理も口腔病理も 患者さんのため”と言う大義を含め、変わるところはない。 表1 実際の臨床でこんな規定はあまり意味がない。 口腔(UICC) 1.頬粘膜部 (i)上・下唇の粘膜面 (ii)頬の粘膜面 (iii)臼歯部 (iv)上下頬歯槽溝(口腔前庭) 2.上歯槽と歯肉(上歯肉) 3.下歯槽と歯肉(下歯肉) 4.硬口蓋 5.舌 (i)有郭乳頭より前(舌 2/3)の舌背と舌縁(前方 2/3) (ii)下面 6.口腔底(口底)

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表2

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参照

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