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インフルエンザウイルスが主としてノドを中心とした 上気道を感染の場とするのに対し RS ウイルスは 初めは上気道の粘膜に感染しますが そこから容易に下気道へ感染が波及し 細気管支炎と呼ばれる喘息に似た症状を現します 2) 通常 4~5 日の潜伏期を経て鼻汁 咳噺 喘鳴などの症状を呈し 7~12 日ほ

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Academic year: 2021

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RS ウイルス感染症(110818)

県内の感染症情報によると、例年よりも RS ウイルス感染症の届け出が多くなっているという。も ちろん、絶対数は冬期間の方が多い。冬になる前に一度 RS ウイルスの復習をしておく。 RS ウイルスの電子顕微鏡像 RS ウイルス Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/RS%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9  母体からの移行抗体による感染防御は不十分で、新生児期から乳児期早期にも感染する。 1)  通常 1 歳までに約 70%の乳児が初回の感染を経験し、2 歳までにはほぼ 100%の児が少な くとも 1 度は感染を経験する。1)  RSV は、一度の感染では終生免疫は得られず、一生にわたって再感染を繰り返す。もっとも 注意すべきは初感染となる 1 歳未満の感染で、重症化しやすく入院率も高い。1)  高齢者や新生児を含めてあらゆる年齢において罹患し、生涯何度も反復する感染症である。 その中でも高齢者や乳児は重症化しやすい。3)  気管支炎、細気管支炎などを発症して入院を余儀なくされる症例も多い。1)  RSV は、毎年 12 月、1 月をピークとして 10 月から 3 月にかけて流行期があるが、近年は 8 月や 9 月にも小規模な流行がみられたり、5 月、6 月でもある程度の感染が確認されている。 1)  RSV は、鼻汁や唾液を介した接触感染もしくは飛沫感染により伝播する。1)  RSV は、気管支喘息をはじめとしたアレルギー性疾患の発症危険因子として常にあげられて おり、乳幼児の突然死に関連している可能性も論じられている。1)  アメリカでは、RSV による死亡数は 1 歳未満で人口 10 万当り 8.4 人と、インフルエンザによる 死亡数 6.7 人を上回っていることが報告されている。1)

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 インフルエンザウイルスが主としてノドを中心とした、上気道を感染の場とするのに対し、RS ウイルスは、初めは上気道の粘膜に感染しますが、そこから容易に下気道へ感染が波及し、 細気管支炎と呼ばれる喘息に似た症状を現します。2)  通常 4~5 日の潜伏期を経て鼻汁、咳噺、喘鳴などの症状を呈し、7~12 日ほどで軽快する。 発症初期に 40 度以上の高熱となる症例もあるが、多くは発熱よりも呼吸器症状が主体であ る。初感染では上気道炎症状を呈した後、25~40%が気管支炎、細気管支炎などの下気道 炎に至り、2~3%が入院治療を要するといわれている。乳児では中耳炎を合併することが多 く、気管支炎、細気管支炎を発症すると、気道分泌物の増加から容易に無気肺となる。とくに 注意を必要とするのは生後 6 カ月以下の乳児で、無呼吸発作を繰り返し人工呼吸管理となる こともある。1)  冬に乳幼児に多量の高粘度の鼻汁があった場合、かなりの率で RSV 感染症である。流行時 期が重なるインフルエンザとの鑑別点の一つは鼻汁である。3)  9 シーズン 2,348 人の RSV 下気道感染症で喘鳴を伴わなかったのは 1,492 人(635%)で、喘 鳴を伴わないほうが多い。3)  初感染乳幼児の約 7 割は、上気道症状のみで数日のうちに軽快します。一方残りの 3 割は 上気道症状から 2、3 日後に咳漱が増強し喘鳴、呼吸困難症状が出現して下気道炎を呈する ようになります。2)  初感染時の不顕性感染はほとんどありません。2)  感染当初は発熱、鼻汁、咳噺等の上気道症状を呈します。RSV 感染で入院した患児の約半 数は感染初期に 38℃以上の発熱を呈し、2~7 日間持続します。発熱は初感染時に多く認め られますが、再感染時でも 20~40%の感染児で認められます。咳漱は下気道に炎症が進展 すると増強し、細気管支炎に至ると陥没呼吸などの呼吸困難症状を伴うようになります。こ れらの下気道炎症状は保存的治療で 1~2 週のうちに自然軽快しますが、中には人工呼吸 管理を要する重症例もみられます。2)  SIADH(抗利尿ホルモン不適合分泌症候群)と同様の病態から低 Na 血症などの電解質異常 をきたす症例や、痙攣、意識障害などの中枢神経症状を呈し、MRI などの画像所見に異常を 認める RSV 関連脳症も報告されている。1)  現在もっとも広く臨床的診断法として用いられているのが免疫クロマトグラフィ法による RSV 抗原迅速検査である。1)  RS ウイルス下気道炎の胸部 X 線像にはさまざまな所見がありますが、肺の過膨張を伴うび まん性間質性肺炎像が一般的です。RS ウイルス下気道炎の約 4 分の 1 例に肺に浸潤影を 認め、これは 6 か月未満の乳児に目立つ所見であったとの報告もあります。2)

(3)

 冬季に気道症状を有する子どもに RSV の迅速検査を行えば、想像しているより多くの RSV 感染症が存在していることが理解できる。時に思いもかけない病態が RSV 感染症であること も経験する。マイコプラズマ感染症・インフルエンザや水痘など、同じ common disease との 重複感染もよく遭遇し、プライマリ・ケアの現場において、臨床的に重要な問題である。3)  「迅速検査で診断しても有効な治療方法がないので無駄である」という意見もある。多くの重 症の RSV 感染症を診ている小児プライマリ・ケア医は、有効な薬剤がないのなら他の方法で 治療する必要がある。小児の気道感染症に原因の診断がなされずに、RSV 感染症に無効な 抗菌薬が処方されることもあり、ロイコトリエン受容体拮抗薬が、小児気管支喘息のガイドラ インによる長期管理に関する薬物療法プランに基づかずに処方されている現実もある。RSV 感染症と診断されれば、症状・所見や年齢などを基本に、自宅での注意点の指示や、次回 受診のタイミングなどが適切になされるのも有意義なことである。3)  RSV 感染症の基本治療は対症療法。1)  乳児や幼若幼児は RSV 下気道感染症で喘鳴を呈することが多く、気管支喘息あるいはその 疑いと診断され、安易にロイコトリエン受容体拮抗薬が処方されている現実がある。  喘鳴に対してはβ2 刺激薬の吸入などが行われているが、その効果は限られたものである。 1) (※)単独でははっきりしないかもしれないが、ステロイドとエピネフリンの吸入が有効かもしれない とする論文(NEJM)と、高張食塩水の吸入の効果を示す論文(Cochrane Database Syst Rev)を読 んでみた。(一番最後)  RSV ワクチンは、40 年以上前にアメリカで不活化ワクチンが開発された経緯があるが、接種 した児の方が RSV 感染時に重症化するという失敗に終わっている。1)  パリビズマブに含まれる抗体は、下気道感染の防御にかかわる IgG であり、鼻腔、口腔など の気道粘膜の免疫にかかわる分泌型 IgA は含まれない。このため、パリビズマブは RSV によ る上気道感染は防御せず、下気道感染を防御し重症化を予防する。1)  パリビズマブ接種の保険適用は、限られたものである。保険適用の拡大が強く叫ばれている。 1) (※)パリビズマブの効果に関する論文は別に読んでまとめることにする。

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前述の NEJM(参考文献 4)を読んでみる。

●PECO

P:800 infants (6 weeks to 12 months of age) with bronchiolitis who were seen in the pediatric emergency department

E:One group received two treatments of nebulized epinephrine (3 ml of epinephrine in a 1:1000 solution per treatment) and a total of six oral doses of dexamethasone (1.0 mg per kilogram of body weight in the emergency department and 0.6 mg per kilogram for an additional 5 days) (the epinephrine-dexamethasone group),

C:the second group received nebulized epinephrine and oral placebo (the epinephrine group), the third received nebulized placebo and oral dexamethasone (the dexamethasone group), and the fourth received nebulized placebo and oral placebo (the placebo group).

O:The primary outcome was hospital admission within 7 days after the day of enrollment (the initial visit to the emergency department).

つまり、気管支炎で救急へ受診した 6 週間から 12 ヵ月の乳児 800 人に、エピネフリンの吸入と 経口ステロイドを投与すると、それぞれ単独又はプラセボと比較して 7 日以内の入院が減少する かどうかを検討した研究であることが分かる。

●妥当か

抄録中に、randomly assigned、double-blind などのキーワードがある。本文には All analyses followed the intention-to-treat principle の記載があるが、800 人中 797 人が解析されており、厳 密な意味での ITT 解析では無い。それでも、解析されていないのはごく少数なので結果に影響を 与えるものではない。 ●結果 7 日以内の入院は、併用群で少なかった。エピネフリン吸入単独群とステロイド単独群はプラセ ボと差が無かった。 併用群とプラセボを比較した効果

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RRR:1-17.1/26.4=35.2% ARR:26.4-17.1=9.3% NNT:1/ARR=11 人(7 日)

By the seventh day, 34 infants (17.1%) in the epinephrine-dexamethasone group, 47 (23.7%) in the epinephrine group, 51 (25.6%) in the dexamethasone group, and 53 (26.4%) in the placebo group had been admitted to the hospital. In the unadjusted analysis, only the infants in the epinephrine-dexamethasone group were significantly less likely than those in the placebo group to be admitted by day 7 (relative risk, 0.65; 95% confidence interval, 0.45 to 0.95, P=0.02). However, with adjustment for multiple comparisons, this result was rendered insignificant (P=0.07). There were no serious adverse events.

(参考文献 4 より引用)

次にコクランの結果を確認。RCT のメタ解析である。以下のように、3%の高張食塩水の吸入は、 生理食塩水と比較して、入院期間、症状、入院率を改善している。

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We included seven trials (581 infants) with mild to moderate acute viral bronchiolitis (282 inpatients, 65 outpatients and 234 emergency department patients). Patients treated with nebulized 3% saline had a significantly shorter mean length of hospital stay compared to those treated with nebulized 0.9% saline (MD -1.16 days, 95% CI -1.55 to -0.77, P < 0.00001). The 3% saline group also had a significantly lower post-inhalation clinical score than the 0.9% saline group in the first three days of treatment (day 1: MD -0.95, 95% CI -1.52 to -0.39, P = 0.0009; day 2: MD -1.31, 95% CI -1.87 to -0.75, P < 0.00001; day 3: MD -1.31, 95% CI -2.01 to -0.61, P = 0.0003). The effects of improving clinical score were observed in both outpatients and inpatients. Two emergency department-based trials failed to show significant short-term effects (30 to 120 minutes) of up to two doses of nebulized hypertonic saline in improving clinical score and oxygen saturation.

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(参考文献 5 より引用) 参考文献 1. 五百井寛明, 柏木保代, 河島尚志.小児における RS ウイルス感染症の重要性.Medical Technology, 37(12) : 1309-1313, 2009. 2. 永井和重.RS ウイルス感染症.チャイルドヘルス, 11(11) : 772-774, 2008. 3. 植村幹二郎.プライマリ・ケアにおける RS ウイルス感染症.外来小児科, 11(3) : 294-300, 2008. 4. Plint AC, Johnson DW, Patel H, Wiebe N, Correll R, Brant R, Mitton C, Gouin S, Bhatt M,

Joubert G, Black KJ, Turner T, Whitehouse S, Klassen TP; Pediatric Emergency Research Canada (PERC). Epinephrine and dexamethasone in children with bronchiolitis. N Engl J Med. 2009 May 14;360(20):2079-89

5. Zhang L, Mendoza-Sassi RA, Wainwright C, Klassen TP. Nebulized hypertonic saline solution for acute bronchiolitis in infants. Cochrane Database Syst Rev. 2008 Oct 8;(4):CD006458.

参照

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