般 若 経 等 よ り み た 空 空(sunyata-sunyata) に つ い て ( 坂 部 ) 一 四 〇
般
若
経
等
よ
姶
み
た
空
空
(sunyata-sunyata)
に
つ
い
て
坂
部
明
こ こ で 論 じ よ う と す る ︽ 空 空 ︾ と い う 名 称 は、 ﹃ 大 品 般 若 経 ﹄ 等 に 説 か れ て い る 十 八 空 等 の 中 の そ れ で あ る。 ( 1) こ の 名 称 は、 小 部 経 典 ﹃ 無 擬 解 道 ﹄、 及 び 部 派 の 論 書 ﹃ 舎 利 弗 阿 (3) 毘 曇 論 ﹄、 ﹃ 大 毘 婆 沙 論 ﹄ 等 に 既 に 現 わ れ、 て お り、 ﹃ 大 品 般 若 経 ﹄ は そ の 名 称 を 取 り 入 れ た も の と 思 わ れ る。 な お、 十 八 空 は 小 品 類 に は ま だ 現 わ れ て い な い の で、 大 品 類 以 後 に な つ て 発 展 的 に 採 用 さ れ た も の で あ ろ う。 以 下 に、 ﹃ 大 品 般 若 経 ﹄ と そ れ に 関 し た 論 書 を 資 料 と し て 挙 げ て、 ︽空 空 ︾ の 意 義 を 検 討 し た い。 ︹ 山 ︺ ﹃ 二 万 五 千 頽 般 若 ﹄ ﹃ そ こ で 空 空(sunyata-sunyata) と は 何 で あ る か ? ︽ 一 切 法 の 空 で あ る と こ ろ の も の は、 そ の 空 に よ つ て 空 で あ る ︾(yasaradharmana Unyatayanyatay unya)。
常 で は な く、 壊 で は な い に 縁 つ て。 そ れ は 何 の 理 由 で あ る か ? 空 で あ る こ と が、 (4) 一 切 法 の 空 の 本 性(prakrti) な の で あ る。 こ れ が 空 空 と 云 わ れ る。 ﹄ 漢 訳 で は 以 下 の 如 く で あ る。 A ﹃ 何 等 為 二 空 空 幻 一 切 法 空 是 空 亦 空 非 レ 常 非 レ 滅 故。 何 以 故。 性 (5) 自 爾。 是 名 二 空 空一 ﹄ (﹃ 大 品 般 若 経 ﹄ )
B
﹃
云
何
空
空。
空
謂
一
切
法
空。
此
空
復
由
レ
空
空
非
レ
常
非
レ
壊。
何
以
(6) 故。 本 性 爾 故。 善 現。 是 謂 二 空 空一 ﹄ ( ﹃ 大 般 若 経 ﹄ 第 二 会 ) ︹ 二 ︺ ﹃ 大 智 度 論 ﹄ a ﹃ 空 空 者。 以 レ空 破 ニ 内 空 外 空 内 外 空 鱒 破 二 是 三 空 一 故。 名 為 二 空響
﹄
b ﹃ 復 次 空 縁 二 一 切 法 幻 空 空 但 縁 レ空。 如 下 一 健 児 破 一二 切 賊 -復 更 有 レ 人 能 破 中 此 健 人 上。 空 空 亦 如 レ 是。 又 如 二 服 レ 薬。 薬 能 破 レ病。 病 已 得 レ 破 薬 亦 応 レ 出。 若 薬 不 レ 出 則 復 是 病 叩 以 レ空 滅 二 諸 煩 悩 病 殉 恐 空 復 為 レ (8) 患。 是 故 以 レ 空 捨 レ 空。 是 名 二空 空一 ﹄ ︹三 ︺ ﹃ 中 辺 分 別 論 ﹄ ﹃ そ の よ う に 亦、 空 智 に よ つ て 内 処 等 は 内 処 等 を 欠 い て い る こ と が 見 ら れ た と き、 そ れ ( 空 智 ) が 空 で あ る こ と が 空 空 で あ る。 ﹄(taadhyatmikayatanad iyenanyadr Otamnyata jnena
ta SyanyataUnyatyat)
漢
訳
で
は
以
下
の
如
く
で
あ
る。
A
﹃
内
入
身
及
世
器。
此
法
是
空。
無
分
別
智
能
見
二
此
空
幻
此
無
分
別
智
空 故 名 二 空 空一。﹄ (﹃ 中 辺 分 別 論 ﹄ ) B ﹃ 能 見 レ 此 者。 謂 智 能 見 二内 処 等 空 幻 空 智 空 故 説 名 二 空 空一。﹄ ( ﹃ 弁 (11) 中 辺 論 ﹄ ) ︹四 ︺ ﹃ 中 辺 分 別 論 釈 疏 ﹄ ﹃ 空 智 に よ つ て、 こ こ に 内 外 処 等 の 空 の 見 ら れ た と き の、 そ の ︹空 智 ︺ に 対 す る 所 取 能 取 の 執 着(qrhyagrahaabhinive)、 及 び そ の 空 智 に よ つ て 見 ら れ た も の の 如 き は、 実 に 勝 義 相(paramar hakara) で あ る と の 分 別(vikapa) が あ る。 観 行 地(yoqibhqmi) に 於 け る 迷 乱(bhranti) を 因 相(nimitta) と す る こ の 二 種 の 分 別-629-(vikalpa) を 観 察 す る た め に、 次 第 の 如 く、 空 空 と 勝 義 空 と が あ る。 ︹ 中 略 ︺ 空 が 境 体(visaya) で あ る こ と に よ り、 そ れ の 智(ana) も 空 で あ る と 説 か れ る が、 そ の ︹ 空 智 ︺ が 所 取 能 取 の 法 と し て 空 で あ る こ と が 空 空 で あ
る(tasyag rahyara hakabhavem Unyata
(12) sunyat Unyaa)。﹄ ︹ 五 ︺ ﹃ 十 八 空 論 ﹄ ﹃ 第 五 空 空。 能 照 レ 真 之 相。 会 二 前 四 空 幻従 レ 境 得 レ 名。 呼 為 二 空 智 幻 (13) 空 智 亦 空。 故 立 二 空 空一 ﹄ ︹ 六 ︺ ﹃ 現 観 荘 厳 光 明 論 ﹄ ﹃ 一 切 法 空(sarvadharma-nya) に よ つ て、 内 等 の 空 の 所 縁 (alabam) ・ 智(ana) ・ 自 性(vabhaa) も 空 で あ る か ら、 ︹ そ の ︺ 空 に よ つ て 空 空 で あ る。 一 切 法 空 は、 た だ 智 あ る 場 合 に の み 一 切 法 空 ︹ と 知 ら れ る ︺。 そ れ 故 に 亦、 そ れ (智 ) に 対 す る 能 取 ( qrahaka)・ 分 別(Vkpa) が 断 ぜ ら れ る か ら(Prahgat) 空 空 (14) で あ る。 ﹄ ︽ 空 空 ︾ の 意 義 の 検 討 ﹃ 二 万 五 千 頚 般 若 ﹄ に よ れ ば、 ︽ 空 空 ︾ と は、 ﹃ 一 切 法 の 空 で あ る と ハ ニ シ テ ノ モ こ ろ の も の は、 そ の 空 に よ つ て 空 で あ る。 ﹄ (漢 訳 ﹃ 一 切 法 空 是 空 ナ リ 亦 空。 ﹄ ) と し て い る。 即 ち、 ︽ 空 亦 復 空 ︾ が ︽ 空 空 ︾ な の で あ る。 ﹃ 智 度 論 ﹄ は、 十 八 空 の 中、 第 一 番 目 の< 内 空>、 第 二 番 目 の< 外 空>、 第 三 番 目 の< 内 外 空> を 破 す る 空 を ︽ 空 空 ︾ で あ る と し て い る。 一 方、 ﹃ 中 辺 分 別 論 ﹄ 等 の 唯 識 系 論 書 で は、< 内 空>、< 外 空> ・< 内 外 空> に< 大 空>(mahaunyata=器 世間bhanaloa> の 空 ) を 加 え る が、 そ れ ら を 観 察 す る 空 智 が、 所 取 能 取 の 法 と し て 空 で あ る こ と を ︽ 空 空 ︾ で あ る と す る。 そ し て そ れ は、 空 智 に よ つ て 内 外 処 等 の 空 が 見 ら れ た と き の、 そ の 空 智 に 対 す る 所 取 能 取 の 執 着、 即 ち 迷 乱 を 因 相 と す る 分 別 を 破 す る た め の も の と す る。 ま た 一 方、 ﹃ 現 観 荘 厳 光 明 論 ﹄ で は、< 内 空> ・< 外 空> ・< 内 外 空> は、 所 縁、 智、 自 性 の 点 か ら 空 で あ る の で ︽ 空 空 ︾ で あ る と し て い る。 ︽ 空 空 ︾ の 意 義 に 関 す る 結 論 空 の 修 習 の 段 階 と し て、 内 空> ( 眼 耳 鼻 舌 身 意 の 六 内 処 の 空 ) ・ < 外 空> ( 色 声 香 味 触 法 の 六 外 処 の 空 ) ・< 内 外 空> ( 内 外 十 二 処 を ま と め た 一 切 法 の 空 ) ・ ︹< 大 空> ( 器 世 間 の 空 ) ︺ が 観 行 者 に よ つ て 観 察 さ れ る と き、 こ れ を 観 察 す る 空 智(Unyataa) が 分 別 さ れ て 執 着 と な る の を 避 け る た め に、 次 の ︽ 空 空 ︾ 即 ち ︽ 空 亦 復 空 ︾ が 説 か れ、 空 ︹智 ︺ に 対 す る 執 着 を 離 れ し め よ う と す る 意 図 を 持 つ て い る と 言 え よ う。 ﹃ 智 度 論 ﹄ b 文 に お け る 薬 と 病 の 響 喩 等 は、 そ の 間 め 事 情 を 明 ら か に 物 語 る も の で あ る。 換 言 す れ ば、 ま た こ の 事 実 に よ つ て、 ︽ 空 空 ︾ を 説 い て い る の は、 あ る い は 説 か ね ば な ら な い の は、< 内 空> ・< 外 空> ・< 内 外 空> を 観 察 す る 空 智 に 対 し て 観 行 者 が 執 着 を 起 し が ち で あ る ご と を 示 し て い る と 言 つ て も よ い で あ ろ う。 1 K. N. Pts. vol. II. p. 178 南 伝 四 一。 一 一 四 頁。 2 大 正 二 八。 六 三 三 頁 上。 3 大 正 二 七。 三 七 頁 上。 4 ﹃ PVS. PP﹄ed. by N. Dutt. p. 1965 大 正 八。 二 五 〇 頁 中。 6 大 正 七。 七 三 頁 上-中。 7 大 正 二 五。 二 八 七 頁 下。 8 大 正 二 五。 二 八 八 頁 上。
9 Madhytavibhaa Bhya; ed.
by M. Naao. P. 2510大 正 三 一。 四 五 二 頁 中。 11 大 正 三 一。 四 六 六 頁 上。12 Madyaaibhqatkade Sthira
mat ed.by S. amaguch. p. 5413
大 正 三 一。 八 六 一 頁
中。14 Haribhadra; Abhiamaaa Haok. ed. by U.
Woihara. p. 95 15﹃大 品 般 若 経 ﹄ で は、< 大 空> を< 十 方 空> の 義 と し、 ︽ 空 空 ︾ の 後 に 配 し て い る。 般 若 経 等 よ り み た 空 空(Unyata Unyata) に つ い て ( 坂 部 ) 一 四 一