Japanese Society for the Science of Design
NII-Electronic Library Service Japanese Sooiety for the Soienoe of Design
秋
田
県
に
お
け る
地 域 産
業支援
RegionaMndustrial
Support
in
Akita
Prefecture
五十 嵐 潤
秋 田 公 立 美 術工芸 短 期 大 学
IGARASHIJun
Akita Municipa1 Junior College ofArts and Crafts
1 .
はじめに 始め に、
秋 田県 に お け る デ ザ インに よ る 産 地 支援の 特 殊 事情を 述べ な け れ ば な ら ない。
そ れは、
公 的 な デ ザイン支援 機関が設 置され てい ない こ とであ る。一
般 的には地 域 産 業支援のた めの試 験・
研 究 開 発 を目的 と した工業 技術セ ン ター
ある い は同様の組 織 内に、
技 術 指 導 部 門 と してデ ザイン担 当 を 配 してい る が、
秋円県 の 場 合、
10
年余 り前か ら廃止され てい る。
同時 期、
平成7
年 に 開学した 本学の 設 置の主体は 秋 円市 及 び 周 辺 市町村であ り、
必ずしも 地域 産 業 支 援を 目的とし て開学した 訳で はなかっ た。
にもか かわ らず、
本 学 に 産 地 あ るい は 産 業 支 援の 要 請 が 行 わ れ るの は、
他に具 体 的な支援、
相 談窓口が無いか ら であると考え られ る。
これ まで商品化を 目指す 段階で本 学へ のデ ザイ ン相 談が多 数あ り、
教 育研究 の時 間 的 制 約の 中で個 別の 教 員の判 断で受 け人 れ、
実 施 してき た、
、
以 下 は、
これ ま で の本 学の産地支 援の事 例を伝 統工芸産 地支 援と地域 企業 支 援 と に 分 けて紹介 し、
次い で、 本学の地域産 業 支援の 現状につ いて概説する。
2.
伝 統工 芸 産 地 支 援 秋田県内に は多くの伝 統工芸があ るが、
国指 定の伝 統 的⊥芸 赫 と しては、
秋田杉 桶 樽 (能 代・
大館周辺), 大館曲 げ わっ ぱ (大館周辺)、
川連 漆 器 (湯 沢rfi川連町)、
樺 細工 (仙 北 市角 館町 周 辺 )があ り、
樺細工を 除 き 開 学 以 来 表 1の よ うな 支援を彳丁っ てき た 。 支援内容は具 体 的な デ ザ イ ン提案か ら組合活 動の ア ドバ イス ま で 様々 であ る が、
川 連 漆 器 に 関 しては 何 ら かの形で継 続 的に支援 活動を行っ てい る。
これ らの 支援に お け る 課 題 は、
本学の 協力の限 界で ある、 伝統工芸 産 地の振 興は、
極め て行政 的な側面 を 持ち、
施策の 事業計 画、
予算は別 個に策定 さ れて い る。
デ ザイン部 門 を 有 す る教 育機 関 と はい え
、
本学は県 立大 学でな く、
行 政と連 携し て県 内をカバー
す る 仕 組 表1 これ ま で の 伝統工芸 産業支援 2000 曲 げわっぱの新 製 品 開発 大館 曲 げワッパ協同組 合 2001 こ 嬲1
2004 o与1
、
旧 稲 川 町 の 学 校 給 食 用 漆 器 秋 田 県 漆 器工 業 協 同 組 合 販 路 開 拓ア ドバ イ ス 秋田杉 桶 樽協同組 合 図1 た なごころシ リー
ズ食器、
Gマー
ク選 定 商 晶 みや 責 務を負っ て いる 訳で はないの で、
教 員の 地域 貢 献 研 究 目的 とい う範囲での 対 応 が 限 度であ り、 産 地 の 戦略 的 な 支援は極め て 困難で あ る と考え てい る。
3,
地 域 企業支 援一
.
一
方、
地域企業 等に対 する支援は秋田県固有の技 術 を 活 用 した 商 姑 開 発 を 中 心 に 彳∫っ て来てい る。 これ ら は、
様々 な経 緯に よ り着千し た もの であ るが、
近年は 受 託方法の整備 を 行っ て きてい る。
表 2に主 な 事 例 を あ げる。 地域企業 支 援上 での課 題は、
伝 統工芸 産 業支 援と 比 べ 数 多 く あ げ られ る。
外 的 環 境の課 題 とし て、
・
限定さ れて いる行 政との連 携・
産 業 基 盤の脆 弱 さ (特 に製造 業 )・
企 業の デ ザ イン に対する理解不 足 (経 営 資源とし て12 SPECIAL ISSUE OF JSSD Vol
,
f4 No.
2 2006 デ ザ イン学 研 究 特 集 号Japanese Society for the Science of Design
NII-Electronic Library Service Japanese Soolety for the Solenoe of Deslgn
把 握し てい ない )
一
方、 本学の 内 的環 境とし て、
小 規模 教 育機 関 (学 生数 350、
教員数 30弱 )と し ての攴 援の 限 界が あ り、
・
公立大 学 (秋 田 市 設 置 ) とい う立場の 曖 昧 さ・
設置 者、
教 員、
企業側での 支援の考え方の違い・
教 員の 少な さによる 対応の 限 界 (授 業運営な ど教 育 組織と 産 地 支援制度び)整合性は未整備 ) などの 課 題があ る。
加え て、
県内では 産・
学・
官 どの 領 域におい ても 知 的 所 有 権に対 する意 識は低 く、
契 約 関係な どの制度E
の未 整備も あげられ る。
表2 輿擁 年 内容 1998 曲 げ木技術 に よ る 車椅子開発 (Gマー
ク選 定)iggll
撮財素営羝潤 表料開饑 マ榊
ク選定> 2001 杉 間伐 材LVLによる 家具 開発2e
Ω3
曲 げ本携 街による墾餐器醐琵 これ まで の地 域 産 業 支 援 倭齢鬢 秋田 木工 株式 会社 株 式僉社縫工 秋田県 家 具工業 協同組 合 敏爾木ヱ滌鏡禽 社 秋 田学 術 振興財団 に よ る1
受託 研究」 とい う形式で教 員に委託さ れ、
実 施 される。 これ まで の産地 支援の受 託 研 究は プ ロ ダク ト系のデザイ ン分 野、
担当教員で あ る。
これ ら は 具 体 的 な デ ザ イン作 業 を 伴 う もの であ り、
そ れに伴 う費用が 発 生する場 合に対応 する仕 組み と し て用意して い る。
本 学の 産業デ ザ イン学 科とい う名 称か ら、
産 地 や 企 業 か らの依 頼 は今後 も 続 く と考え られ、
地域の 大学と し てもその役 割の 端 を 担っ て開 学 した経緯 も あるこ と から、
本 来であ れば地域 貢 献を 目的とする機関や 仕 組 み を保 有し てい るべ き なの で あ ろ うが、 現状で は 制 度、
施設と もに確立 されてい ない。
5 .
ま と め 秋田県に お け る製 造業の基 盤は、
第一
次産業に 比 し、
規 模、 内 容 と も に 脆 弱であ る と言 わ ざ る を 得 ない。 と はい え、
要請が あ る 以 上支援を せ ざる を得ない状況で あ り、
自立的な 産 地 構 造 を 確立す る ために も、
産 地支 援 活動 を継 続する必要が あ り、
前述の課 題をク リア し て ゆかな ければならない。
本 学 産 業 デ ザ イン学 科では、
平 成 18 年 度 よ りカ リ キュ ラム を人 幅に改変し、
地域産業と連 携 し た仕 組み を教 育プロ グ ラム に 取 り入 れ る 予定で、
地域産業、
企 業の参画による授業科目 とし て、
実践 的な 展開を計画 し てい る、
,
さ らに、
教 育 機 関 とし ての知 的 財 産の 取 り扱い の 問 題、
公立 大学とし て避け て通 れない と予想され る独立 行 政 法 人 移 行 後の 地 域 貢 献と自卞財 源の 確 保 などの 体 制 整備な ど、
これ らは産 地 支援と切 り離し て は考 え ら れない課 題で も あ り、
その 対応を模 索し てい る ところ である。 図2 曲げ木 中いす、
G マー
ク選定商品4 .
本 学の産 地 支 援の現状と課題 本 学へ の 支援依 頼は様々 な 形で生 じるが、
ド記の よ うに分け られる。
行 政から あ るい は 行 政 を介しての 支 援 依 頼 企 業、
組 合か らの 直 接の 支 援依頼E
記の依 頼が あっ た場 合には、
秋 田市の外部 機関のテ サ イン学 研 究 特 集 号 SPECIAL ISSUE OF JSSD Vol 14 No 2 2006 13