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急性期脳卒中患者に対する早期かつ充実したリハビリテーション介入の効果

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Academic year: 2021

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(1)理学療法学 第 162 43 巻第 2 号 162 ∼ 163 頁(2016 年) 理学療法学 第 43 巻第 2 号. 平成 26 年度研究助成報告書. 急性期脳卒中患者に対する早期かつ充実 したリハビリテーション介入の効果 猪村剛史 1),長澤由季 1),福山大樹 1),佐藤優子 1), 今田直樹 1),沖 修一 2),荒木 攻 2) 1). 医療法人光臨会 荒木脳神経外科病院リハビリテーション部. 2). 医療法人光臨会 荒木脳神経外科病院診療部. キーワード:急性期脳卒中患者,リハビリテーション施行単位,. 図 1 各期における所属療法士数 少単位期および多単位期における所属療法士数を示す.少単 位期から多単位期にかけて所属療法士数が増加した.. FIM 効率 緒  言  我が国の脳卒中治療において,脳神経外科手術をはじめとす る治療技術の発展に伴い死亡率は減少している 1)。しかし,脳 卒中は要介護者となる原因疾患の第 1 位,特に重度要介護者と なる原因の約 4 割を占めており 2),要介護となる要因として脳 卒中による後遺障害の影響はきわめて大きい。  脳卒中患者に対する発症早期からのリハビリテーションが機 能障害の軽減や日常生活動作能力の改善に対して重要であるこ とが報告されている 3)4)。日常生活動作能力の改善のためには, リハビリビリテーションの施行量が重要とする報告も散見され るが,その多くは全身状態の安定した回復期リハビリテーショ ン病棟に入院した患者を対象としており 5),急性期脳卒中患者. 図 2 各期における 1 日あたりの提供単位数 少単位期および多単位期の提供単位数を示す(平均値±標 準偏差).少単位期と比較して多単位期で提供単位数が有 意に増加した(p < 0.01).. に対する充実したリハビリテーション介入の効果に関する報告 は少ない。  そこで,本研究では急性期脳卒中患者に対するリハビリテー ションの効果について,施行量や開始時期も含めて包括的に調 査し,早期かつ充実したリハビリテーション介入の効果につい て検討した。 対象および方法  平成 22 年 10 月∼平成 26 年 9 月に当院の一般病棟に入院し た脳卒中患者 1,618 名を対象とした。その内,死亡退院例,デー タ欠損例,状態不良もしくは合併症のため標準的介入が困難で あった例,増悪例を除外した 1,492 例を解析対象とした。解析 対象とした 4 年間の中で,リハビリテーション施行単位の少な かった平成 22 年 10 月∼平成 24 年 9 月の 2 年間を少単位期(733 例),平成 24 年 10 月∼平成 26 年 9 月の 2 年間を多単位期(759 例)とした。当院の一般病棟データベースをもとに,両群の. 図 3 各期における入院同日のリハビリテーション処方率 少単位期および多単位期の入院同日のリハビリテーション処 方率を示す.どちらの期においても半数以上は入院同日に医 師からリハビリテーション処方があった.. 属性(年齢,性別,診断名,リハビリテーション開始時 FIM, 一般病棟退院時 FIM),提供単位数,在院日数,FIM 効率(FIM 2. 単位期では所属療法士数は 50 名,平均提供単位数は 6.7 単位. 利得 / 在院日数)を比較した。統計解析には χ 検定,マン・. / 日であり,提供単位数は多単位期において,有意に多かった. ホイットニー検定を用いた。危険率 1%未満を統計学的有意と. (図 1,2) 。少単位期,多単位期ともに,半数以上が入院同日. した。なお,本研究は医療法人光臨会 荒木脳神経外科病院. に主治医からのリハビリテーション処方があった(図 3)。少. 倫理審査委員会の承認を得て実施した。. 単位期,多単位期の間で属性(年齢,性別,診断名,リハビリ. 結  果. テーション開始時 FIM,一般病棟退院時 FIM)には有意差が.  少単位期では所属療法士数(理学療法士,作業療法士,言語. なかった。在院日数は少単位期と比較して多単位期で有意に短. 聴覚士の総数)は 44 名,平均提供単位数は 5.5 単位 / 日,多. く,FIM 効率は多単位期で有意に高値であった(図 4) 。.

(2) 急性期脳卒中患者への早期かつ充実したリハビリテーション介入. 163. 筋力向上が図れ,FIM 効率の増加に繋がったと考える。  しかし,本研究の限界として,対象とした脳卒中患者の重症 度を考慮しておらず,重症度別での解析も行っていく必要があ る。今後は,重症度別での提供単位数の違いが ADL 能力や平 均在院日数に与える影響を解析し,急性期での早期かつ充実し たリハビリテーション介入の効果を詳細に検討していく必要が ある。 文  献. 図 4 各期における FIM 効率 少単位期および多単位期の FIM 効率を示す(平均値±標 準偏差).少単位期と比較して多単位期で FIM 効率が有意 に増加した(p < 0.01).. 考  察  当院では,療法士数が少単位期では 44 名,多単位期では 50 名と増加した。それとともに提供単位数も低単位群では平均 5.4 単位,高単位群では 6.7 単位と増加した。提供単位数が増大し たことで,早期からの動作学習に加えて,廃用症候群の予防,. 1)厚生統計協会:国民衛生の動向.厚生の指標.2001; 48: 406‒413. 2)山口武典:わが国の脳卒中診療の現状と 21 世紀の展望. 脳卒中.2001; 23: 261‒268. 3)Hayes SH, Carroll SR, et al.: Early intervention care in the acute stroke patient. Arch Phys Med Rehabil. 1986; 67: 319‒321. 4)Bernhardt J, Dewey H, et al.: A very early rehabilitation trial for stroke (AVERT): phase II safery and feasibility. Stroke. 2008; 39: 390‒396. 5)Sonoda S, Saitoh E, et al.: Full-time integrated treatment program, a new system for stroke rehabilitation in Japan: comparison with conventional rehabilitation. Am J Phys Med Rehabil. 2004; 83: 88‒93..

(3)

図 4 各期における FIM 効率

参照

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