2007 年度 修士論文
Jリーグクラブを対象としたトリプルミッショ
ンモデル変量間の相互関連性
Interconnectedness in Triple Mission Model
Variables for J-League Club
早稲田大学
大学院スポー研究科
スポーツ科学専攻 スポーツビジネス研究領域
5006A011−8
浦嶋 亮介
Ryosuke, Urashima
研究指導教員: 平田 竹男 教授
目次 1.序章 5 2章 研究方法 8 3章 結果1 8 3-1 勝利 8 3-2 普及 9 3-2-1 するスポーツ(登録選手数) 9 3-2-2 観るスポーツ(観客数) 10 3-3 市場 11 3-4 分析の枠組みの設計 12 3-5 トリプルミッションモデルの分析モデル 16 3-5-1 従属変数と独立変数の設定 16 3-5-2 分析モデル 17 3-5-2 分析モデル2 18 4章 結果2 19 4-1 2005 年度、2006 年度 19 4-1-1 分析モデル1 19 4-1-2 分析モデル2 19 4-2 ディヴィジョン別 20 4-2-1 J1 20 1.分析モデル1 20 4-2-2 J2 24 1.分析モデル1 24 2.分析モデル2 26 4-3 企業型クラブと非企業型クラブ 28 4-3-1 企業型クラブ(2005 年度、2006 年度) 28 1.分析モデル1 28 2.分析モデル2 29 4-3-2 非企業型クラブ(2005 年度、2006 年度) 30 1.分析モデル1 30 5章 考察 31 5章 結論 35 6章 謝辞 36 参考文献 37
1.序章
1984 年のロサンゼルス夏季オリンピックが商業的に大成功を収めると、スポーツにビジ ネスの概念が組み込まれ、取り分け夏季オリンピックやFIFA ワールドカップのようなメガ イベントにおける誘致活動は激化していった。一国のプロスポーツシーンにおいても例外 ではなく、近年サッカー、英国プレミアリーグ所属クラブの相次ぐ外国人投資家による買 収が行われるなど、プロスポーツクラブのビジネスとしての投資価値が証明された。 長く日本のトップスポーツとして君臨していたプロ野球は2004 年のプロ野球再編問題に 象徴されるように、日本特有の広告媒体としての親会社主導型の経営の行き詰まりを示す こととなった。また、同トップスポーツと揶揄されるサッカーは、1964 年の東京オリンピ ックでベスト8、次大会のメキシコオリンピックで銅メダルを獲得したものの、以降のワ ールドカップを含む国際大会では、1998 年のフランスワールドカップの初出場までアジア 予選を突破することもままならなかった。図1は日本サッカー協会への登録選手数の推移 を示す。国際大会への出場が叶わなかったにも関わらず、1980 年から 1988 年にかけて大 幅な伸びを記録した。81 年に連載開始された漫画「キャプテン翼」の存在について「サッ カーは漫画との相乗効果で、普遍的な人気を手にした。」(朝日新聞2007 年 11 月 8 日朝刊 18 面)としており、今日のサッカー人気の一翼を担っていたことが考えられる。 0 100,000 200,000 300,000 400,000 500,000 600,000 700,000 800,000 900,000 1,000,000 1 980 1982 1984 1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 年度(年) 登録 選手数 図1 日本サッカー協会への登録選手数の推移 このような状況を受け、1988 年に日本サッカーリーグ事務局内に JSL 活性化委員会が組 織され、1993 年に日本初のプロサッカーリーグである J リーグはトヨタ自動車、日産自動 車、松下電器、三菱自動車工業等の日本の名立たる企業を母体にしたクラブを以って開幕 した。開幕時の10 クラブは 1998 年では 18 クラブへと増加し、1999 年にはトップディヴィジ ョンであるJ リーグディヴィジョン(以降 J1)と J リーグディヴィジョン2(以降 J2) の2 部制へと移行した。2006 年時点で J1、J2 を合わせて 31 クラブまでに拡大していった。 (図2)J リーグのレギュレーションは、延長戦の廃止と引き分け制度の導入や1ステージ 制への移行等の夥しい変化を辿り、未だ発展途上にある。 0 5 10 15 20 25 30 35 19 93 19 94 19 95 19 96 19 97 19 98 19 99 20 00 20 01 20 02 20 03 20 04 20 05 20 06 J1 J2 総クラブ数 図2 J リーグクラブ数の推移 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 199 3 199 4 199 5 199 6 199 7 199 8 199 9 200 0 200 1 200 2 200 3 200 4 200 5 200 6 平均 観客 数 0 1,000,000 2,000,000 3,000,000 4,000,000 5,000,000 6,000,000 7,000,000 合計 観客 数 J1平均 J2平均 J1合計 J2合計 図3 J リーグ観客数の推移 図3は年度別、ディヴィジョン別の平均観客数と合計観客数を示す。1993 年に開幕した J リーグは 1995 年以降に大幅に観客数が減少し、1997 年には 10,131 人までに減少した。 観客数の面で低迷していたJ リーグは 2001 年以降増加傾向になり、2005 年には 1995 年時 の観客数と同程度までに回復した。年間の合計観客数という点では、J2 を合わせると実に 800 万人近くである。
0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000 4,500 1 993 1 994 1 995 1 996 1 997 1 998 1 999 2 000 2 001 2 002 2 003 2 004 2 005 2 006 平均 営業 収 入 ( 単 位 : 百万 円) 0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 市場 規模( 単位 : 百 万 円 ) J1平均 J2平均 J1市場規模 J2市場規模 図4 J1、J2 リーグの平均営業収入とリーグ別市場規模 注1 図中の 1999 年以前のクラブ平均営業収入と市場規模について、J2 設立以前をJ1 と 表記 図4はJ1、J2 の平均営業収入とリーグの市場規模を示す。J1クラブの平均営業収入は 1994 年から 1999 年にかけて減少後、増加傾向にある。J2 と合わせると、J リーグ全体の 市場規模は開幕時と比較して2 倍を超える 600 億円までに拡大した。 1−2 トリプルミッションモデル 平田・中村は勝利・普及・市場の3つのミッションを定義し、これらがプロスポーツク ラブにおける成功において不可欠とし、トリプルミッションモデルと提唱している。(図5) 勝 利 市 場 普 及 図5 トリプルミッションモデル図 勝利は順位、勝ち点や大会の成績等の競技力を示す。普及は「するスポーツ」としての
協会への登録選手数、「観るスポーツ」としてのスタジアムの観客数やTV 視聴率などがあ り、市場は事業規模やそこに含有される入場料収入や広告料収入等の変数に代表される。 また、これらのミッション間には循環機能をも有しているとしている。例えば好成績に より観客数が増え、観客数の増加により入場料収入、グッズ収入、広告料収入の増加に繋 がり、その収入を基盤とした戦力補強によりさらに競技力を増すことが可能である(本研 究ではこのような事象をトリプルミッションの好循環と呼ぶ)。こうしたプロスポーツクラ ブの成功要因について、dell'Osso , Szymanski(1991)らは選手人件費、営業収入と順位 の関係を用いたクラブ分析を行っている。しかしながら、このようなクラブの成功要因に 関する研究は限定的であり、また、多くの研究はリーグに焦点を当てたものである。Garcia , Rodriguez (2002)に代表される普及の一指標である観客数の需要分析や、リーグ内の収入分 配(市場)と競争(勝利)の均衡について言及している。しかしながら、トリプルミッシ ョンモデルの勝利、普及、市場の三要素を用いたクラブ分析は少ない。発展途上にある J リーグにおいては、普及ミッションを加えること適切である。 本研究では、トリプルミッションモデルを J リーグクラブに適用し、トリプルミッショ ンモデルの分析モデルについての検証を行うことを目的とする。
2章 研究方法
2005 年度より J リーグクラブの経営資料が公開されたことを受けて、本研究対象を 2005 年度、2006 年度の J リーグクラブとし、リーグ戦を主眼に置く。本研究ではトリプルミッ ションモデルを J リーグクラブに適用し、その分析モデルについての検証を行うことを目 的とする。第3章ではトリプルミッションモデルの各ミッションの勝利、普及、市場のそ れぞれの指標についての検証、分析の枠組みの設計、分析モデルの設計を行う。 4章では3章で定められたトリプルミッションモデルの指標と枠組みを用いて、トリプ ルミッションモデルの各変数間での単回帰分析(SPSS ver.12.0)を行う。3 章、4章を踏まえ、 5章ではトリプルミッションモデルの好循環を促す分析モデについての考察を行う。3章 結果1
3−1 勝利 クラブの競技力は順位や勝ち点を以て示すことが出来る。J2クラブの順位は、J1所 属クラブ数(2005 年、2006 年共に 18 クラブ)にJ2における順位を加えた順位とする。 例えばJ2で3位のクラブは21 と処理される。S.Szymanski & R.Smith(1997)即して、本 研究の勝利の指標は以下のように定義した。(式1)勝利= log(Pi/(Cn+1-Pi))・・・式1 (P=J1 リーグ順位, Cn=J1 所属クラブ数) 注2 2005 年度のJ2 のクラブ数は 12、2006 年度のJ2 のクラブ数は 13 である。 また、ディヴィジョン別の分析については、競技力を各ディヴィジョン所属クラブ数に 即して上記の式1を元に算出し、これを勝利ⅱとする。勝利ⅲを一試合当たりに獲得した 勝ち点とする。(2005 年度の J2 は 44、2006 年度の J2 は 48 で除算)勝ち点には順位では 反映されないクラブの競技力示すことが可能である。 3−2 普及 本節では普及のするスポーツと観るスポーツに観点から普及の指標を設計する。 3−2−1 するスポーツ(登録選手数) 日本サッカー協会の登録選手数は都道府県人口と比例する為、登録選手数を都道府県人 口で除算する必要がある。図6のように、クラブのホームタウンを含む都道府県の登録選 手数は図 1 と類似した奇跡を描く。サッカー御三家と称される所謂サッカー所の埼玉県、 静岡県、広島県の内の静岡県と徳島県が他都道府県から突出していることが分かる。また、 新潟県では2002 年以降大幅に上昇している。この点については、新潟県でのワールドカッ プ開催や、アルビレックス新潟の誕生とその躍進が考えられる。 しかしながら、このような登録選手数を用いた普及の指標には J リーグクラブそのもの が与える普及の指標として次のような難点を抱えている。 まず、浦和と大宮(埼玉県)、清水と磐田(静岡県)、G 大阪と C 大阪(大阪府)、川崎 F、 横浜FC、横浜 FM と湘南ベルマーレ(神奈川県)、FC 東京と東京 V(東京都)のように同 一都道府県内に複数のクラブがあり、クラブ固有の普及の状況が分からない。また、クラ ブが定めたホームタウンが必ずしも都道府県全域に跨るという確証もなければ、他都道府 県外に跨る可能性も十分に考えられる。次に登録選手数そのものを増やすことがプロスポ ーツクラブである J リーグクラブとしてのミッションと一致するとは考えにくい。また、 登録選手数がするスポーツとしての普及の指標としたが、そもそもするスポーツの指標は 競技者に携わる者に限定し、そうでないサッカーへの関心を持つ層を除外することとなる。 以上を以ってクラブの普及を表す指標として登録選手数を用いることは不適切であると 考える。次に観るスポーツとしての普及の指標について検討する。
0.000 0.002 0.004 0.006 0.008 0.010 0.012 0.014 0.016 0.018 1 992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 9991 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 登録選手 数 / 都道府 県人口
北海道
宮城
山形
茨城
群馬
埼玉
千葉
東京
神奈川
山梨
新潟
静岡
愛知
京都
大阪
兵庫
広島
徳島
愛媛
福岡
佐賀
大分
図6 登録選手数 / 都道府県人口の推移 注3 国勢調査が行われた2005 年、2000 年、1995 年以外の値は推計人口を用いた。 3−2−2 観るスポーツ(観客数) 本節では普及の観るスポーツの普及の指標としての妥当性について検証する。観るスポ ーツはスタジアム観戦とTV 等の媒体による視聴に2分される。 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 35,000 40,000 45,000 50,000 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 平均観客数 C大阪 FC東京 G大阪 磐田 浦和 愛媛 大分 大宮 鹿島 柏 川崎F 京都 草津 甲府 神戸 札幌 清水 湘南 仙台 千葉 東京V 徳島 鳥栖 名古屋 新潟 広島 福岡 水戸 山形 横浜F 横浜FC 横浜FM図7 クラブ別ホーム平均観客数の推移 図7のクラブ別のホーム平均観客数の推移を見ると、浦和レッドダイヤモンズとアル ビレックス新潟が2002 年以降突出するようになった。この2クラブに続くのが横浜 FM と FC 東京、そして大分トリニータである。同2クラブは J リーグ開幕時に最大の人気を博し たヴェルディ川崎(現東京ヴェルディ)を大きく上回り、集客力を収容できるスタジアム の有無が最大の違いである。また、浦和と新潟を除くJ リーグの平均観客数は 2005 年度で 2621 人、2006 年度で 2981 人下回り、この 2 クラブが J リーグ平均観客数に正の影響を与 えていることが分かる。 観客数の概念にはJ クラブのリーグ戦におけるホームゲームの平均観客数を H 平均観客 数とし、J クラブのアゥエーゲームにおける平均観客数を A 平均観客数と定義する。 A 平均観客数が多いことは即ち、次の4つのことが考えられる。1.クラブが全国的に人 気クラブであること。2.ホームタウンの多くのサポーターがアゥエーゲームに足を運ん でいること。3.アゥエークラブへの入場料収入に貢献し、他クラブにとっても望ましい ことである。4.クラブのスタジアム収容人数が普及を抑えられる箱でないとするならば、 A 平均観客数は H 平均観客数を上回る。 本研究では、普及の変数としてH 平均観客数と A 平均観客数の2つの指標を用いる。 3−3 市場 本研究の市場の変数は収入と支出に区分したものを用いる。J リーグクラブの営業収入、 並びに営業費用の内訳は下記の通りである。 J リーグクラブの営業収入は、1.入場料収入、2.広告料収入、3.J配分金、4.そ の他で計上されている。広告収入にはユニホームスポンサー、看板スポンサーが含まれる。 J配分金には公式試合出場料、放送権料、商品化権料、賞金が含まれるが、その全てが各 クラブの営業努力に基づくものではなく、放送権料のように J リーグ全体の営業努力を含 む。その他収入にはユニホーム契約金、グッズ販売、移籍金、プレシーズンマッチ出場料、 ファンクラブ収入、スクール会費を含む。 営業費用は1.人件費(監督、コーチ、チームスタッフ、日本人選手、外国人選手)、2. 移籍金償却費、3.試合運営直接費、4(競技場使用料、入場券販売、チーム移動費、広 告宣伝費、警備運営委託費、JFA/J リーグ納付金)、5.チーム運営費(合宿費、グランド 賃貸料、メンテナンス費)、6.一般管理費(社員給与、福利厚生費、事務所賃貸料、事務 所諸経費)である。 市場の代表値として、1.営業収入からリーグ全体の営業努力を含む J 配分金を減算し たものを市場ⅰ、2.営業収入からJ 配分金と入場料収入を減算したものを市場ⅴとした。 また、入場料収入を市場ⅱ、広告料収入を市場ⅲとする。営業費用の内、経営者がコント ロール可能な変数であり、且つ営業費用に占める割合の大きい人件費を市場ⅳとする。一
般的な経営分析として用いる営業利益は、プロスポーツクラブの営業活動が利益を追求す ることを主眼としているわけではない為、本研究では除外した。 また、年度や所属ディヴィジョンのクラブ数により開催試合数が異なる為、人件費を除 く市場の変数をリーグ戦の開催試合数で除算した。 3−4 分析の枠組みの設計 図8、図9ではディヴィジョン別の営業収入と順位を示す。 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000 営業収入(金額:百万円) 順位 図8 2005 年度、2006 年度 J1 クラブの営業収入と順位 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 営業収入(百万円) 順位 図9 2005 年度、2006 年度 J2クラブの営業収入と順位 注4 2005 年度は 12 クラブ、2006 年度は 13 クラブ
2005 年と 2006 年を合わせた J2 クラブの平均営業収入が1017 百万円に対し、J1クラ ブの営業収入は3029 百万円であり、実にJ2の約3倍の規模を誇る。つまり、J リーグの 営業収入は所属ディヴィジョンに営業収入が規定されていると考えられる。営業収入は順 位でだけでなく、所属ディヴィジョンに左右される要因の可能性があり、ディヴィジョン 別の分析を行う必要性がある。また、図9中の柏レイソルは J2に所属しながらも、J1 平 均を上回る。これは柏レイソルであり、親会社から広告料収入の名目の元で損失補てんが 行われていることがその一因である。このように J リーグクラブでは柏レイソルをはじめ とする親外社からの損失補填が行われているクラブがあり、所属ディヴィジョンや順位に 即さない営業収入を確保するクラブがある。そこで、損失補てんが行われるクラブを企業 型クラブ、そうでないクラブを非企業型クラブと定義した上で、再度営業収入と順位につ いて見てみる。(図10、図 11)ただし、本論では 2005 年度より親外社との損失補てん契約 を解除した浦和レッドダイヤモンズを非企業型クラブとして扱う。 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 営業収入(金額:百万円) 順位 図10 2005 年度、2006 年度 企業型クラブの営業収入と順位 注5 19 位から 31 位間はJ2 クラブ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000 営業収入(金額:百万円) 順位 図11 2005 年度、2006 年度 非企業型クラブの営業収入と順位 非企業型クラブは浦和レッズを除き、同ディヴィジョンの企業型クラブと比較して営業 収入が小さいことが分かる。営業収入の大小だけでは、損失補てんの存在が企業型クラブ の営業収入を底上げする根拠として不十分のため、図12、図 13 にて、営業収入の内、入場 料収入と広告料収入について検討する。 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 入場料収入/営業収入 広告料 収入/ 営業 収入 図12 企業型クラブの入場料収入、広告料収入の営業収入比
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 入場料収入/営業収入 広告 料収 入/ 営 業 収 入 図13 非企業型クラブの入場料収入、広告料収入の営業収入比 企業型クラブは入場料収入が営業収入の 30%を下回り、取り分け広告料収入が営業収入 の80%近く占めるクラブも存在し、大きな基盤となっている。つまり、企業型クラブの営 業収入は広告料収入によって営業収入が構成されており、異なる収入構造を有する企業型 クラブと非企業型クラブを二分して分析を行うことが妥当である。 以上を踏まえて、所属ディヴィジョン別(J1、J2)、経営母体別(企業型クラブ、非企業 型クラブ)の分析を行うこととする。表1にクラブ別の2005 年度、2006 年度における所 属ディヴィジョンと経営母体の一覧を示す。 表1 クラブ別カテゴリーの詳細 クラブ名 年度 ディヴィジョン 経営母体 クラブ名 年度 ディヴィジョン 経営母体 C大阪 2005 J1 企業 C大阪 2006 J1 企業 FC 東京 2005 J1 企業 FC 東京 2006 J1 企業 G大阪 2005 J1 企業 G大阪 2006 J1 企業 磐田 2005 J1 企業 磐田 2006 J1 企業 浦和 2005 J1 非企業 浦和 2006 J1 非企業 大分 2005 J1 非企業 大分 2006 J1 非企業 大宮 2005 J1 企業 大宮 2006 J1 企業 鹿島 2005 J1 企業 鹿島 2006 J1 企業 柏 2005 J1 企業 川崎 2006 J1 企業 川崎 2005 J1 企業 京都 2006 J1 企業 神戸 2005 J1 企業 甲府 2006 J1 非企業 清水 2005 J1 企業 清水 2006 J1 企業
千葉 2005 J1 企業 千葉 2006 J1 企業 東京V 2005 J1 企業 名古屋 2006 J1 企業 名古屋 2005 J1 企業 新潟 2006 J1 非企業 新潟 2005 J1 非企業 広島 2006 J1 企業 広島 2005 J1 企業 福岡 2006 J1 企業 横浜FM 2005 J1 企業 横浜FM 2006 J1 企業 京都 2005 J2 企業 愛媛 2006 J2 非企業 草津 2005 J2 非企業 柏 2006 J2 企業 甲府 2005 J2 非企業 草津 2006 J2 非企業 札幌 2005 J2 非企業 神戸 2006 J2 企業 湘南 2005 J2 非企業 札幌 2006 J2 非企業 仙台 2005 J2 非企業 湘南 2006 J2 非企業 徳島 2005 J2 非企業 仙台 2006 J2 非企業 鳥栖 2005 J2 非企業 東京V 2006 J2 企業 福岡 2005 J2 企業 徳島 2006 J2 非企業 水戸 2005 J2 非企業 鳥栖 2006 J2 非企業 山形 2005 J2 非企業 水戸 2006 J2 非企業 横浜FC 2005 J2 企業 山形 2006 J2 非企業 横浜FC 2006 J2 企業 3−5 トリプルミッションモデルの分析モデル 本節ではトリプルミッションの各変数の回帰分析を行うに当たり、定められた変数の独 立変数と従属変数について整理し、その後分析モデルの構築を行う。 3−5−1 従属変数と独立変数の設定 トリプルミッションモデルの各変数の従属変数と独立変数について検討する。まず、従 来のトリプルミッションモデルでは勝利、普及、市場の各変数はそれぞれが独立変数、従 属変数になる。 普及の拡大或いは縮小は、入場料収入、広告料収入と比例する。しかし、入場料収入の 大小により普及が規定されるとは考えられない。つまり、観客数の増減による入場料収入 や広告料収入の増減の可能性はあるが、入場料収入や広告料収入の増減による観客数の増 減は考えられない。人件費は普及を規定すると考える。有能な選手には高額な年俸を獲得 し、観客数に影響を与えると考える。 入場料収入や広告料収入の大小により勝利が規定されるのではなく、勝利により入場料 収入や広告料収入が規定されると考えられる。
3−5−2 分析モデル 1.分析モデル1 市場ⅲ 普及ⅰ 市場ⅳ 市場ⅱ 勝利ⅰ a b d e g h c i f 市場ⅰ 図14 分析モデル1 注5 勝利ⅰ( log(Pi/(Cn+1-Pi)) )、普及ⅰ(A平均観客数)、市場ⅰ(営業収入-J配分金)、 市場ⅱ(入場料収入)、市場ⅲ(広告料収入)、市場ⅳ(人件費) 注6 図中に太線(a∼c)は変数間それぞれについての単回帰分析を行った。 分析モデル1では普及の指標にA 平均観客数を用いる。A 平均観客数は入場料収入や 入場料収入を含む営業収入との内部相関がないものと考えられる。市場の変数の代表値 は営業収入からリーグに帰属するJ 分配金を除外したものを用いた。下記図 15、16 で はディヴィジョン別の分析を行う際に、リーグ内での競技力を順位で現した勝利ⅱと勝 ち点で表した勝利ⅲについての分析を行う。 市場ⅲ 普及ⅰ 市場ⅳ 市場ⅱ 勝利ⅱ a c d b e 市場ⅰ 市場ⅲ 普及ⅰ 市場ⅳ 市場ⅱ 勝利ⅱ a c d b e 市場ⅰ 市場ⅲ 普及ⅰ 市場ⅳ 市場ⅱ 勝利ⅲ 0.06 0.09 0.12 0.19 0.18 市場ⅰ 市場ⅲ 普及ⅰ 市場ⅳ 市場ⅱ 勝利ⅲ 0.06 0.09 0.12 0.19 0.18 市場ⅰ
図15 分析モデル1 勝利ⅱ 図 16 分析モデル1 勝利ⅲ 3−5−2 分析モデル2 市場ⅲ 普及ⅱ 市場ⅳ 市場ⅱ 勝利ⅰ a b d f g c h e 市場ⅴ 図17 分析モデル2 上記図17 のモデル2は、密接な関連性がある H 平均観客数(普及ⅱ)と入場料収入(市 場ⅱ)を考慮した分析モデルである。本分析モデルでは市場の代表値を市場ⅴとし、入場 料収入とJ リーグに帰属する変数である J 配分金を営業収入から除外したものを用いた。 図中の勝利ⅰ、普及ⅱ、市場ⅴの3変数を従来のトリプルミッションモデルのミッション の代表値とし、太線で図示した。その他の市場の変数は、市場ⅱを入場料収入、市場ⅲを 広告料収入、市場ⅳを人件費とした。変数間の独立変数と従属変数については分析モデル 1と同様である。ただし、普及にH 平均観客数の指標を用いるに当たり、市場ⅱの入場料 収入との回帰分析をモデルから除外した。下記図18、19 ではモデル1と同様に 市場ⅲ 普及ⅱ 市場ⅳ 市場ⅱ 勝利ⅱ a c d b e 市場ⅰ 市場ⅲ 普及ⅱ 市場ⅳ 市場ⅱ 勝利ⅱ a c d b e 市場ⅰ 市場ⅲ 普及ⅱ 市場ⅳ 市場ⅱ 勝利ⅲ a c d b e 市場ⅰ 市場ⅲ 普及ⅱ 市場ⅳ 市場ⅱ 勝利ⅲ a c d b e 市場ⅰ
図18 分析モデル勝利ⅱ 図 19 分析モデル 勝利ⅲ
4章 結果2
本章では1.2005 年度、2006 年度、2.所属ディヴィジョン別、3.クラブ形態別を前 章で策定した分析の枠組みそれぞれの回帰分析の結果を示す。 4−1 2005 年度、2006 年度 4−1−1 分析モデル1 市場ⅲ 普及ⅰ 市場ⅳ 市場ⅱ 勝利ⅰ 0.62 0.79 0.51 0.63 0.57 0.42 0.63 0.59 0.63 市場ⅰ 市場ⅲ 普及ⅰ 市場ⅳ 市場ⅱ 勝利ⅰ 0.62 0.79 0.51 0.63 0.57 0.42 0.63 0.59 0.63 市場ⅰ 図20 2005 年度、2006 年度のトリプルミッションモデル 注6 普及ⅰと市場ⅳ、市場ⅳと勝利ⅰのN数は 46、勝利ⅰと普及ⅰ、ⅰと市場ⅰ、市場ⅰ と勝利ⅰのN数は 61 であり、それ以外のN数は 60 である。 注7 図中の数字は調整済R2値を示す。 2005 年度、2006 年度の分析モデル1では勝利ⅰと普及ⅰ(普及ⅰと勝利ⅰ)間で 0.62、 普及ⅰと市場ⅰ(市場ⅰと普及ⅰ)間で0.79、市場ⅰと勝利ⅰ(勝利ⅰと市場ⅰ)間で 0.63 の調整済みR2を得た。また、普及ⅰと市場ⅱ間で0.51、普及ⅰと市場ⅲ間で 0.63、普及ⅰ と市場ⅳ間で0.63、市場ⅳと勝利ⅰ間で 0.59、勝利ⅰと市場ⅱ間で 0.42、勝利ⅰと市場ⅲ 間で0.57 である。次に分析モデル2の回帰分析の結果を示す。 4−1−2 分析モデル2市場ⅲ 普及ⅱ 市場ⅳ 市場ⅱ 勝利ⅰ 0.41 0.40 0.29 0.57 0.42 0.63 0.59 0.48 市場ⅴ 市場ⅲ 普及ⅱ 市場ⅳ 市場ⅱ 勝利ⅰ 0.41 0.40 0.29 0.57 0.42 0.63 0.59 0.48 市場ⅴ 図21 2005、2006 年度の分析モデル2の回帰分析の結果 注8 普及ⅱと市場ⅳ、市場ⅳと勝利ⅰのN数は 46、勝利ⅰと普及ⅱ、普及ⅱと市場ⅴ、市 場ⅴと勝利ⅰのN数は 61 であり、それ以外のN数は 60 である。 注9 図中の数字は調整済R2値を示す 2005 年度、2006 年度の分析モデル2では勝利ⅰと普及ⅱ(普及ⅱと勝利ⅰ)間で 0.41、 普及ⅱと市場ⅰ(市場ⅰと普及ⅱ)間で0.40、市場ⅰと勝利ⅰ(勝利ⅰと市場ⅰ)間で 0.63 の調整済みR2を得た。普及ⅱと市場ⅲ間で0.29、普及ⅱと市場ⅳ間で 0.48、市場ⅳと勝利 ⅰ間で0.59、勝利ⅰと市場ⅱ間で 0.42、勝利ⅰと市場ⅲ間で 0.57 である。分析モデル2の 結果では勝利ⅰと普及ⅱ間は0.41、普及ⅱと市場ⅴは 0.40、市場ⅴと勝利ⅰは 0.63 の結果 を得た。 分析モデル1、2共に、各変数間では中程度の調整済みR2値を得た。次にディヴィジョ ン別の分析結果を示す。 4−2 ディヴィジョン別 4−2−1 J1 1.分析モデル1
市場ⅲ 普及ⅰ 市場ⅳ 市場ⅱ 勝利ⅰ 0.36 0.63 0.40 0.26 0.11 0.14 0.21 0.25 0.46 市場ⅰ 市場ⅲ 普及ⅰ 市場ⅳ 市場ⅱ 勝利ⅰ 0.36 0.63 0.40 0.26 0.11 0.14 0.21 0.25 0.46 市場ⅰ 図22 J1 の分析モデル1、勝利ⅰ 注10 普及ⅰと市場ⅳ、市場ⅳと勝利ⅰのN数は 25、勝利ⅰと普及ⅰ、市場ⅰと勝利ⅰのN 数は36 である。それ以外のN数は 35 である。 J1 クラブの勝利の変数に勝利ⅰを適用した分析モデル1では勝利ⅰと普及ⅰ(普及ⅰと勝 利ⅰ)間で0.36、普及ⅰと市場ⅰ(市場ⅰと普及ⅰ)間で 0.63、市場ⅰと勝利ⅰ(勝利ⅰ と市場ⅰ)間で0.21 の調整済みR2を得た。また、普及ⅰと市場ⅱ間で0.40、普及ⅰと市場 ⅲ間で0.26、普及ⅰと市場ⅳ間で 0.46、市場ⅳと勝利ⅰ間で 0.25、勝利ⅰと市場ⅱ間で 0.14、 勝利ⅰと市場ⅲ間で0.11 である。次に勝利ⅱの変数を用いた回帰分析の結果を示す。 市場ⅲ 普及ⅰ 市場ⅳ 市場ⅱ 勝利ⅱ 0.06 0.11 0.17 0.23 0.27 市場ⅰ 市場ⅲ 普及ⅰ 市場ⅳ 市場ⅱ 勝利ⅱ 0.06 0.11 0.17 0.23 0.27 市場ⅰ 図23 J1 の分析モデル1、勝利ⅱ 注11 市場ⅳと勝利ⅱのN数は 25、勝利ⅱと普及ⅰのN数は 36 である。それ以外のN数は
35 である。 J1 クラブの勝利の変数に勝利ⅱを適用した分析モデル1では、勝利ⅱと普及ⅰ(普及ⅰ と勝利ⅱ)間で0.06、市場ⅰと勝利ⅱ(勝利ⅱと市場ⅰ)間で 0.23 のR2を得た。市場ⅳと 勝利ⅱ間で0.27、勝利ⅱと市場ⅱ間で 0.17、勝利ⅱと市場ⅲ間で 0.11 のR2を得た。次に 勝利の変数に勝利ⅲを適用した回帰分析の結果を示す。 市場ⅲ 普及ⅰ 市場ⅳ 市場ⅱ 勝利ⅲ 0.06 0.09 0.12 0.19 0.18 市場ⅰ 市場ⅲ 普及ⅰ 市場ⅳ 市場ⅱ 勝利ⅲ 0.06 0.09 0.12 0.19 0.18 市場ⅰ 図24 J1 の分析モデル1、勝利ⅲ 注12 市場ⅳと勝利ⅲのN数は 25、勝利ⅲと普及ⅰのN数は 36 である。それ以外のN数は 35 である。 J1 クラブの勝利の変数に勝利ⅲの変数を用いた分析モデル1では、勝利ⅲと普及ⅰ(普 及ⅰと勝利ⅲ)間で0.06、市場ⅰと勝利ⅲ(勝利ⅲと市場ⅰ)間で 0.18 のR2を得た。市場 ⅳと勝利ⅲ間で0.18、勝利ⅲと市場ⅱ間で 0.12、勝利ⅲと市場ⅲ間で 0.09 のR2を得た。 2.分析モデル2
市場ⅲ 普及ⅱ 市場ⅳ 市場ⅱ 勝利ⅰ 0.07 0.08 -0.14 0.11 0.14 0.21 0.25 0.27 市場ⅴ 図25 J1 の分析モデル2、勝利ⅰ 注13 普及ⅱと市場ⅳ、市場ⅳと勝利ⅰのN数は 25、勝利ⅰと普及ⅱのN数は 36 であり、 それ以外のN数は 35 である。 J1 クラブの勝利の変数に勝利ⅰを適用した分析モデル2では勝利ⅰと普及ⅱ(普及ⅱと勝 利ⅰ)間で0.07、普及ⅱと市場ⅴ(市場ⅴと普及ⅱ)間で 0.08、市場ⅴと勝利ⅰ(勝利ⅰ と市場ⅴ)間で0.21 の調整済みR2を得た。普及ⅱと市場ⅲ間で−0.14、普及ⅱと市場ⅳ間 で 0.27、市場ⅳと勝利ⅰ間で 0.25、勝利ⅰと市場ⅱ間で 0.14、勝利ⅰと市場ⅲ間で 0.11 である。次に勝利ⅱの変数を用いた回帰分析の結果を示す。 市場ⅲ 普及ⅱ 市場ⅳ 市場ⅱ 勝利ⅱ 0.06 0.21 市場ⅴ 0.11 0.17 0.27 市場ⅲ 普及ⅱ 市場ⅳ 市場ⅱ 勝利ⅱ 0.06 0.21 市場ⅴ 0.11 0.17 0.27 図26 J1 の分析モデル2、勝利ⅱ
注14 市場ⅳと勝利ⅱのN数は 25、勝利ⅱと普及ⅱのN数は 36 であり、それ以外のN数は 35 である。 J1 クラブの勝利の変数に勝利ⅱを適用した分析モデル2では、勝利ⅱと普及ⅱ(普及ⅱ と勝利ⅱ)間で0.06、市場ⅴと勝利ⅱ(勝利ⅱと市場ⅴ)間で 0.21 のR2を得た。市場ⅳと 勝利ⅱ間で0.27、勝利ⅱと市場ⅱ間で 0.17、勝利ⅱと市場ⅲ間で 0.11 のR2を得た。次に 勝利の変数に勝利ⅲを適用した回帰分析の結果を示す。 市場ⅲ 普及ⅱ 市場ⅳ 市場ⅱ 勝利ⅲ 0.32 0.18 市場ⅴ 0.09 0.12 0.18 市場ⅲ 普及ⅱ 市場ⅳ 市場ⅱ 勝利ⅲ 0.32 0.18 市場ⅴ 0.09 0.12 0.18 図27 J1 の分析モデル2、勝利ⅲ 注15 普及ⅱと市場ⅳ、市場ⅳと勝利ⅲのN数は 25、勝利ⅲと普及ⅱのN数は 36 であり、 それ以外のN数は 35 である。 J1 クラブの勝利の変数に勝利ⅲの変数を用いた分析モデル2では、勝利ⅲと普及ⅱ(普 及ⅱと勝利ⅲ)間で0.32、市場ⅴと勝利ⅲ(勝利ⅲと市場ⅴ)間で 0.18 のR2を得た。市場 ⅳと勝利ⅲ間で0.18、勝利ⅲと市場ⅱ間で 0.12、勝利ⅲと市場ⅲ間で 0.09 のR2を得た。 4−2−2 J2 1.分析モデル1
市場ⅲ 普及ⅰ 市場ⅳ 市場ⅱ 勝利ⅰ -0.04 -0.00 -0.03 -0.03 0.18 0.20 0.29 0.20 -0.03 市場ⅰ 市場ⅲ 普及ⅰ 市場ⅳ 市場ⅱ 勝利ⅰ -0.04 -0.00 -0.03 -0.03 0.18 0.20 0.29 0.20 -0.03 市場ⅰ 図28 J2の分析モデル1、勝利ⅰ 注16 普及ⅰと市場ⅳ、市場ⅳと勝利ⅰのN数は 21、それ以外のN数は 25 である。 J2クラブの勝利の変数に勝利ⅰを適用した分析モデル1では勝利ⅰと普及ⅰ(普及ⅰと 勝利ⅰ)間で-0.04、普及ⅰと市場ⅰ(市場ⅰと普及ⅰ)間で-0.00、市場ⅰと勝利ⅰ(勝利 ⅰと市場ⅰ)間で 0.29 の調整済みR2を得た。また、普及ⅰと市場ⅱ間で-0.03、普及ⅰと 市場ⅲ間で-0.03、普及ⅰと市場ⅳ間で-0.03、市場ⅳと勝利ⅰ間で 0.20、勝利ⅰと市場ⅱ間 で0.20、勝利ⅰと市場ⅲ間で 0.18 である。次に勝利ⅱの変数を用いた回帰分析の結果を示 す。 市場ⅲ 普及ⅰ 市場ⅳ 市場ⅱ 勝利ⅱ -0.04 0.29 0.17 0.35 0.21 市場ⅰ 市場ⅲ 普及ⅰ 市場ⅳ 市場ⅱ 勝利ⅱ -0.04 0.29 0.17 0.35 0.21 市場ⅰ 図29 J2の分析モデル1、勝利ⅱ
注17 市場ⅳと勝利ⅱのN数は 21、それ以外のN数は 25 である。 J2クラブの勝利の変数に勝利ⅱを適用した分析モデル1では、勝利ⅱと普及ⅰ(普及ⅰ と勝利ⅱ)間で-0.04、市場ⅰと勝利ⅱ(勝利ⅱと市場ⅰ)間で 0.35 のR2を得た。市場ⅳ と勝利ⅱ間で0.21、勝利ⅱと市場ⅱ間で 0.17、勝利ⅱと市場ⅲ間で 0.29 のR2を得た。次 に勝利の変数に勝利ⅲを適用した回帰分析の結果を示す。 市場ⅲ 普及ⅰ 市場ⅳ 市場ⅱ 勝利ⅲ -0.04 0.30 0.18 0.34 0.29 市場ⅰ 市場ⅲ 普及ⅰ 市場ⅳ 市場ⅱ 勝利ⅲ -0.04 0.30 0.18 0.34 0.29 市場ⅰ 図30 J2の分析モデル1、勝利ⅲ 注18 市場ⅳと勝利ⅱのN数は 21、それ以外のN数は 25 である。 J2クラブの勝利の変数に勝利ⅲの変数を用いた分析モデル1では、勝利ⅲと普及ⅰ(普 及ⅰと勝利ⅲ)間で-0.04、市場ⅰと勝利ⅲ(勝利ⅲと市場ⅰ)間で 0.34 のR2を得た。市 場ⅳと勝利ⅲ間で0.29、勝利ⅲと市場ⅱ間で 0.18、勝利ⅲと市場ⅲ間で 0.30 のR2を得た。 2.分析モデル2
市場ⅲ 普及ⅱ 市場ⅳ 市場ⅱ 勝利ⅰ 0.28 0.06 0.03 0.18 0.20 0.22 0.20 0.11 市場ⅴ 市場ⅲ 普及ⅱ 市場ⅳ 市場ⅱ 勝利ⅰ 0.28 0.06 0.03 0.18 0.20 0.22 0.20 0.11 市場ⅴ 図31 J2の分析モデル2、勝利ⅰ 注19 普及ⅱと市場ⅳ、市場ⅳと勝利ⅰのN数は 21、それ以外のN数は 25 である。 J2クラブの勝利の変数に勝利ⅰを適用した分析モデル2では勝利ⅰと普及ⅱ(普及ⅱと 勝利ⅰ)間で0.28、普及ⅱと市場ⅴ(市場ⅴと普及ⅱ)間で 0.06、市場ⅴと勝利ⅰ(勝利 ⅰと市場ⅴ)間で0.22 の調整済みR2を得た。普及ⅱと市場ⅲ間で0.03、普及ⅱと市場ⅳ間 で 0.11、市場ⅳと勝利ⅰ間で 0.20、勝利ⅰと市場ⅱ間で 0.20、勝利ⅰと市場ⅲ間で 0.18 である。次に勝利ⅱの変数を用いた回帰分析の結果を示す。 市場ⅲ 普及ⅱ 市場ⅳ 市場ⅱ 勝利ⅱ 0.22 0.29 市場ⅴ 0.29 0.17 0.21 市場ⅲ 普及ⅱ 市場ⅳ 市場ⅱ 勝利ⅱ 0.22 0.29 市場ⅴ 0.29 0.17 0.21 図32 J2の分析モデル2、勝利ⅱ 注20 普及ⅱと市場ⅳ、市場ⅳと勝利ⅱのN数は 21、それ以外のN数は 25 である。
J2クラブの勝利の変数に勝利ⅱを適用した分析モデル2では、勝利ⅱと普及ⅱ(普及ⅱ と勝利ⅱ)間で0.22、市場ⅴと勝利ⅱ(勝利ⅱと市場ⅴ)間で 0.29 のR2を得た。市場ⅳと 勝利ⅱ間で0.21、勝利ⅱと市場ⅱ間で 0.17、勝利ⅱと市場ⅲ間で 0.29 のR2を得た。次に 勝利の変数に勝利ⅲを適用した回帰分析の結果を示す。 市場ⅲ 普及ⅱ 市場ⅳ 市場ⅱ 勝利ⅲ 0.23 0.34 市場ⅴ 0.30 0.18 0.29 市場ⅲ 普及ⅱ 市場ⅳ 市場ⅱ 勝利ⅲ 0.23 0.34 市場ⅴ 0.30 0.18 0.29 図33 J2の分析モデル2、勝利ⅲ 注21 普及ⅱと市場ⅳ、市場ⅳと勝利ⅲのN数は 21、それ以外のN数は 25 である。 J2クラブの勝利の変数に勝利ⅲの変数を用いた分析モデル2では、勝利ⅲと普及ⅱ(普 及ⅱと勝利ⅲ)間で0.23、市場ⅴと勝利ⅲ(勝利ⅲと市場ⅴ)間で 0.34 のR2を得た。市場 ⅳと勝利ⅲ間で0.19、勝利ⅲと市場ⅱ間で 0.18、勝利ⅲと市場ⅲ間で 0.30 のR2を得た。 4−3 企業型クラブと非企業型クラブ 4−3−1 企業型クラブ(2005 年度、2006 年度) 1.分析モデル1
市場ⅲ 普及ⅰ 市場ⅳ 市場ⅱ 勝利ⅰ 0.50 0.60 0.68 0.36 0.25 0.26 0.29 0.17 0.63 市場ⅰ 市場ⅲ 普及ⅰ 市場ⅳ 市場ⅱ 勝利ⅰ 0.50 0.60 0.68 0.36 0.25 0.26 0.29 0.17 0.63 市場ⅰ 図34 企業型クラブの分析モデル1 注22 普及ⅰと市場ⅳ、市場ⅳと勝利ⅰのN数は 25 である。勝利ⅰと普及ⅰ、市場と勝 利ⅰのN数は 36 である。それ以外のN数は 35 である。 分析モデル1では勝利ⅰと普及ⅰ(普及ⅰと勝利ⅰ)間で0.50、普及ⅰと市場ⅰ(市場ⅰ と普及ⅰ)間で0.60、市場ⅰと勝利ⅰ(勝利ⅰと市場ⅰ)間で 0.29 の調整済みR2を得た。 また、普及ⅰと市場ⅱ間で0.68、普及ⅰと市場ⅲ間で 0.36、普及ⅰと市場ⅳ間で 063、市 場ⅳと勝利ⅰ間で0.17、勝利ⅰと市場ⅱ間で 0.26、勝利ⅰと市場ⅲ間で 0.25 である。 2.分析モデル2 市場ⅲ 普及ⅱ 市場ⅳ 市場ⅱ 勝利ⅰ 0.22 0.43 0.26 0.25 0.26 0.30 0.17 0.33 市場ⅴ 市場ⅲ 普及ⅱ 市場ⅳ 市場ⅱ 勝利ⅰ 0.22 0.43 0.26 0.25 0.26 0.30 0.17 0.33 市場ⅴ 図35 企業型クラブの分析モデル2
注23 普及ⅱと市場ⅳ、市場ⅳと勝利ⅰのN数は 25 である。勝利ⅰと普及ⅱのN数は 36 で ある。それ以外のN数は 35 である。 分析モデル2では勝利ⅰと普及ⅱ(普及ⅱと勝利ⅰ)間で 0.22、普及ⅱと市場ⅰ(市場 ⅰと普及ⅱ)間で0.43、市場ⅰと勝利ⅰ(勝利ⅰと市場ⅰ)間で 0.30 の調整済みR2を得た。 普及ⅱと市場ⅲ間で0.26、普及ⅱと市場ⅳ間で 0.33、市場ⅳと勝利ⅰ間で 0.17、勝利ⅰと 市場ⅱ間で0.26、勝利ⅰと市場ⅲ間で 0.25 である。 4−3−2 非企業型クラブ(2005 年度、2006 年度) 1.分析モデル1 市場ⅲ 普及ⅰ 市場ⅳ 市場ⅱ 勝利ⅰ 0.77 0.86 0.82 0.88 0.78 0.73 0.63 0.75 0.78 市場ⅰ 市場ⅲ 普及ⅰ 市場ⅳ 市場ⅱ 勝利ⅰ 0.77 0.86 0.82 0.88 0.78 0.73 0.63 0.75 0.78 市場ⅰ 図36 非企業型クラブの分析モデル1 注24 普及ⅰと市場ⅳ、市場ⅳと勝利ⅰのN数は 22 である。それ以外のN数は 25 である。 分析モデル1では勝利ⅰと普及ⅰ(普及ⅰと勝利ⅰ)間で0.77、普及ⅰと市場ⅰ(市場ⅰ と普及ⅰ)間で0.86、市場ⅰと勝利ⅰ(勝利ⅰと市場ⅰ)間で 0.63 の調整済みR2を得た。 また、普及ⅰと市場ⅱ間で0.82、普及ⅰと市場ⅲ間で 0.88、普及ⅰと市場ⅳ間で 0.78、市 場ⅳと勝利ⅰ間で0.75 勝利ⅰと市場ⅱ間で 0.73、勝利ⅰと市場ⅲ間で 0.78 である。 2.分析モデル1
市場ⅲ 普及ⅱ 市場ⅳ 市場ⅱ 勝利ⅰ 0.74 0.76 0.80 0.78 0.73 0.63 0.75 0.87 市場ⅴ 市場ⅲ 普及ⅱ 市場ⅳ 市場ⅱ 勝利ⅰ 0.74 0.76 0.80 0.78 0.73 0.63 0.75 0.87 市場ⅴ 図37 非企業型クラブトリプルミッションモデル図 注26 普及ⅱと市場ⅳ、市場ⅳと勝利ⅰのN数は 22 である。それ以外のN数は 25 である。 分析モデル2では勝利ⅰと普及ⅱ(普及ⅱと勝利ⅰ)間で 0.74、普及ⅱと市場ⅰ(市場 ⅰと普及ⅱ)間で0.76、市場ⅰと勝利ⅰ(勝利ⅰと市場ⅰ)間で 0.63 の調整済みR2を得た。 普及ⅱと市場ⅲ間で0.80、普及ⅱと市場ⅳ 間で0.87、市場ⅳと勝利ⅰ間で 0.75、勝利ⅰと市場ⅱ間で 0.73、勝利ⅰと市場ⅲ間で 0.78 である。 非企業型クラブでは、分析モデル1、2の各モデルのそれぞれの変数間でR2値が高く、 トリプルミッションモデルの適合度が高い群であることが分かった。即ち、この適合度の 高さは、トリプルミッション上の循環の可能性が示唆される。市場の収入変数と支出の変 数である市場ⅳ(人件費)との関係性は高く、収入を基盤とした人件費への投下が行われ ている。
5章 考察
5−1 2005 年度、2006 年度のトリプルミッションモデル 2005 年度、2006 年度を対象とした回帰分析の結果では、普及と市場間での適合度は分析 モデル1が分析モデル2を上回る。特に、分析モデル1の普及ⅰと市場ⅰ間では0.79 の値 を得た。つまり、分析モデル1の普及の変数であるA 平均観客数の増加は H 平均観客数よ りも如実に勝利や市場を反映していることが考えられる。また、クラブの営業活動の中で、 直接入場料収入に繋がるH 平均観客数に着目するのは自然だが、収入に繋がらないアゥエ ー観客数はクラブのトリプルミッションモデル全体への好循環を促すヒントになり、軽視できない存在である。 5−2 ディヴィジョン別のトリプルミッションモデル ディヴィジョン別分析ではJ1 の勝利ⅰを用いた分析モデル1の普及ⅰと市場ⅰ間で 0.63 が最高値であり、総じて回帰分析の結果は低い。特にJ2 においては有意な結果が少なかっ た。また、勝利の変数に勝利ⅱと勝利ⅲを加えた分析を行ったが、回帰分析の結果に違い は見られなかった。ディヴィジョン別の分析はトリプルミッションモデルの適合度が低く、 同枠組み内では循環の可能性が確認できなかった。また、ディヴィジョンによって収入や 観客数が規定されているだけでなく、ディヴィジョンに関係なく普及や市場の変数が規定 されている可能性が示唆された。 5−3 クラブの経営母体別トリプルミッションモデル 企業型クラブでは、2005 年度、2006 年度の分析結果と同様に分析モデル1が分析モデ ル2よりも適合度が高く、A平均観客数の変数としての有効性を確認できた。非企業型クラ ブでは、親会社からの損失補てん契約に依存しない非企業型クラブで分析モデル1、2共 に高い値を得、ミッション間の説明能力の高さはクラブのトリプルミッションモデルにお ける好循環、或いは悪循環の可能性が示唆される。また、非企業型クラブでは全ての変数 間でのR2値が高く、即ち、いずれのミッションを起点とした循環が可能である。トリプル ミッションモデルの分析ではこうしたクラブの経営母体別で分けることが妥当である。 2008 年度から新たにFC岐阜、ロアッソ熊本がJ2 リーグに参入することが決まり、今後非 企業型クラブは増加していくことが考えられる。 5−4 分析モデル1と分析モデル2 回帰分析の結果では、2005 年度、2006 年と企業型クラブにおいて分析モデル1が分析モ デル2よりも適合度が高く、普及の変数である A 平均観客数の重要性がある程度確認でき た。本節では、分析モデル1で用いたA 平均観客数と分析モデル2で用いた H 平均観客数 の関係性についての考察を行う。普及のミッションを起点、或いは経由したトリプルミッ ションモデルの好循環を促す為には普及のミッションでの成功が必要不可欠である。
0 1 2 0 1 2 3 H平均観客数/J平均観客数 A 平 均観 客数 / J 平均 観客 数 4 図38 J リーグ 1993 年‐2006 年度における H 平均観客数と A 平均観客数 図38 の X 軸は 1993 年から 2006 年の J リーグクラブの H 平均観客数を同年の所属ディ ヴィジョンの平均観客数で除算した数値を、Y 軸は H 平均観客数を同年の所属ディヴィジ ョンの平均観客数で除算した数値を表す。例えば、図中の1は同年度の J リーグ平均観客 数(J1 もしは J2)と同等の H 平均観客数或いは A 平均観客数になる。クラブは概ね J 平 均観客数(J1 もしくは J2)付近で安定するが、中には H 平均観客数で突出するクラブ、A 平均観客数で突出するクラブもあり、その逆もある。
D
C
A
B
D
C
A
B
H平均観客数 / J平均観客数
A
平均
観客数
/ J
平均
観客数
1
1
図39 H 平均観客数と A 平均観客数のカテゴリー 上記図39 において第一象限(図中 A)に当たるクラブはホーム、アゥエーの双方におけ る普及が達成されて、分析モデル1、分析モデル2共に普及からの循環が可能になり、ト リプルミッションモデルの好循環が達成される。一方、第三象限(図中C)に位置するクラ ブはホーム、アゥエーの双方における普及が不十分であり、分析モデル1、2共にトリプルミッションモデルでの適合度が低く、悪循環に陥ることが考えられる。分析モデル1、 分析モデル2の適合度が高い非企業型クラブでは、図中のA で最大の循環が可能になると 考える。図中の B において座標(1、1)に近いクラブは分析モデル1で好循環が行われ るとA へと移行することが考えられる。ホームでの普及が進み、その後にビッグクラブと してアゥエーでの普及が進むとするならば、D から A へと移行する。 次に2005 年度、2006 年度の非企業型クラブの H 平均観客数と A 平均観客数を見てみる。 (図40)
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
1.2
1.4
1.6
0
0.5
1
1.5
2
2.5
H平均観客数/J平均観客数
A
平均観客/J
平均観客数
浦和 浦和 新潟 新潟 仙台 仙台 札幌 札幌3
A
B
C
D
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
1.2
1.4
1.6
0
0.5
1
1.5
2
2.5
H平均観客数/J平均観客数
A
平均観客/J
平均観客数
浦和 浦和 新潟 新潟 仙台 仙台 札幌 札幌3
A
B
C
D
図40 2005 年度、2006 年の非企業型クラブの H 平均観客数と A 平均観客数 図 40 が示す様に、非企業型クラブのうち、J1クラブの浦和レッズとアルビレックス 新潟、J2 所属の仙台と札幌は同ディヴィジョン内クラブと比較して、H 平均観客数は多い。 特にアルビレックス新潟はホームでの普及が達成しているように思えるが、アゥエーでの 普及は不十分であり、その点で浦和と大きく異なる。次に浦和レッズのH 平均観客数と A 平均観客数の変遷を見る。(図41)0
0.5
1
1.5
2
0
0.5
1
1.5
2
2.5
H平均観客数/J平均観客数
A
平
均観客数/J
平
均観客数
1993 1994 1995 1996 2000 2004 1997 1998 1999 2002 2003 2001 2006 2005 20073
0
0.5
1
1.5
2
0
0.5
1
1.5
2
2.5
H平均観客数/J平均観客数
A
平
均観客数/J
平
均観客数
1993 1994 1995 1996 2000 2004 1997 1998 1999 2002 2003 2001 2006 2005 20073
B
C
A
D
図41 浦和レッズの H 平均観客数と A 平均観客数 浦和レッズは 2006 年にはリーグ優勝を果たし、H 平均観客数では 45573 人を記録し、 市場では営業収入で2位の横浜FM と 22 億円引き離す 70 億円を突破するなど、トリプル ミッションのぞれぞれで成功を収めていると言っても過言ではない。こうした浦和レッズ の成功の一因として、H 平均観客数と A 平均観客数の対 J リーグ平均観客数が上記図の右 上に移行し、ホームだけでなく、全国的な人気を有するクラブへと成長を遂げた。特に H 平均観客数が A 平均観客数に先行して拡大している。浦和レッズの事例でその全てを語る ことはできないが、分析モデル2での循環の後に分析モデル1での循環が続くことが考え られる。5章 結論
本研究では平田、中村が提唱するトリプルミッションモデルを2005 年度、2006 年度の J リーグクラブに適用し、その分析の枠組みを設計することを目的とした。設計に当たり、 各ミッション間の循環を測定する為に変数間の回帰分析を行うこととした。第3章ではト リプルミッションモデルの勝利、普及、市場の各変数の設計、分析の枠組みの設計、分析 モデルの設計を行った。分析の枠組みではそもそも順位に関係なく所属ディヴィジョンで 規定されると考えられるディヴィジョン別の分析、経営母体別分析として、クラブの収入 に経営母体からの損失補てんが行われているクラブを企業型クラブ、そうでないクラブを 日企業型クラブに分類し、2005 年度と 2006 年度の全てのクラブを対象とした3つの枠組 みを作成した。分析モデルの設計ではトリプルミッションモデルの普及の変数にアゥエー 平均観客数を用いたモデル1、ホーム平均観客数を用いたモデル2とし、これらの変数、枠組み、分析モデルについての回帰分析を行った。その結果、トリプルミッションモデル は、2005 年度、2006 年度の枠組みと企業型クラブでは特に普及に関わる変数間での分析モ デル1の適合度が分析モデル2よりも高く、普及の変数として、A 平均観客数を用いること の妥当性がある程度証明された。非企業型クラブでは、全てのミッション間での説明能力 が高く、トリプルミッションの循環が示唆された。一方、ディヴィジョン別の分析ではJ1、 J2 共に、分析モデル1と分析モデル2において適合度が低く、ディヴィジョン別での分析 は不適切であるとした。 次に、モデルの適合度か高い非企業型クラブを対象とし、本研究の普及の変数で用いたH 平均観客数と A 平均観客数の関係についての考察を行い分析モデル1と分析モデル2の関 係性について検証した。その結果、浦和レッズのような成功クラブではH 平均観客数が A 平均観客数に先行して拡大した。これは、本研究で定めた分析モデル2が分析モデル1に 先行していることが考えられる。 本研究の2つの分析モデルと変数を考慮したモデルの構築が今後のクラブ分析を行う上 で必要不可欠であり、また、リーグ戦だけではなくカップ戦を考慮した変数の設計が望ま しい。
6章 謝辞
本修士論文作成に当たり、研究指導教員の平田竹男教授には論文の構成等、多岐に渡り、 丁寧にご指導頂きました。同じく、中村好男教授、間野義之教授の御指導にこの場をお借 りして心から感謝申し上げます。平田教授には大学院生活の2年間で未熟者の私を根気強 く、ご指導頂きました、このことは人生の宝物であり心から感謝申し上げます。また、多 くの学友に支えられ、充実した学生生活を送りましたこと早稲田大学に感謝しております。参考文献
1)平田竹男・中村好男、トップスポーツビジネスの最前線――「勝利」「マーケット」「普 及」のトリプルミッション、講談社BIZ、2006. 2)平田竹男・中村好男、トップスポーツビジネスの最前線――勝利と収益を生む戦略、 講談社BIZ、2006. 3)平田竹男・中村好男、トップスポーツビジネスの最前線――スポーツライティングか ら放映権ビジネスまで、講談社BIZ、2006. 4)平田竹男、佐藤峻一、梶川裕矢、アルビレックス新潟における無料招待券配布と成 功の軌跡、ビジネスモデル学会論文誌 4 (2007).5)Dobson, Stephen and Goddard, John. , Revenue divergence and competitive balance in a divisional sports league, Scottish Journal of Political Economy, August.Vol.51, Iss.3, pp.59-376(18), 2004.
6)Filippo dell'Osso, Stefan Szymanski, Who are the champions? (An analysis of football and architecture) , Business Strategy Review 2 (2), pp.113–130, 1991. 7)Jaume Garcia,Placido Rodriguez, The determinants of football match attendance
revisited Empirical evidence from the Spanish Football league, Journal of Sports Economics, February, Vol.3, pp.18-38, 2002.
8)S.Szymanski, The Economic Design of Sporting Contests, Journal of Economic Literature, American Economic Association, vol. 41(4), pp 1137-1187, 2003
9 )S.Szymanski, Why is Manchester United So Successful? , Business Strategy Review, Vol.9(4), pp.47-54, 1998
10)S.Szymanski & Kuyper, Winners & Losers, Penguin Books, PP.157-193, 2000 11)S.Szymanski & R.Smith, The English Football Industry: profit, performance and industrial structure, International Review of Applied Economics, Vol.11, No.1, pp135-153, 1997
12)Jリーグ公式ホームページ(http://www.j-league.or.jp/)